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ヴァンパイア編。
57.うわ…悪女だね。君は。
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「これでよし」
「・・・見事な手際で追い払ったね。一応聞くけど、行くつもりあるの? 君は」
とりあえず聞いてみた、という感じの狼の子。
「ふふっ…後で覚えていたら、ね?」
「絶対行かないパターンだ」
「大丈夫。やっぱり怖くなっちゃって…ごめんなさい。とでも言っとけば、許してくれるから。彼」
あの馬の子は、復讐さえ絡まなければ、基本的には女好きで陽気な…割と頭が残念な子だし。
それに、あの馬の子は、いるだけでアルの機嫌とか神経をささくれさせるからね。ぶっちゃけ、邪魔だ。今は、アルへの悪影響を遠ざけるに限る。
「うわ…悪女だね。君は」
「茶番だな。それで、手前ぇはいつまでそうやってアルを抱えてる気だ? いい加減放しやがれ」
「ふふっ、イ・ヤ♥️」
「クラウド・・・」
低くなる声。じわりと高まる殺気。
「ところで、君。シーフ君と少し似ているけど、アルちゃんの兄弟だったりするの?」
狼の子の疑問。
「そうねぇ? 兄弟というか・・・遠い親戚って感じかしら? アルの弟君の、お祖母ちゃんのお祖母ちゃんのお祖母ちゃんのお祖母ちゃん…とかで、繋がってたりするかもしれないわ♪」
確か、アルの弟君はイフリータの子だ。
俺は、イフリータ…イフリートの更に上位種の、イーブリースだとも言える。
イーブリースというのは、太古の悪霊だとか堕天使だとか謂われているモノだ。
イフリートやその下位種のジーニーなんかを生み出した存在だと謂われている。
まあ、あれだ。彼らは俺が昔生んだ子供とか、愛した女が生んだ子供達の、更に子孫ってやつ?
永く生きてるだけあって、俺ってば、実は結構な子沢山なんだよね。
因って俺は、彼らの始祖に当たる。
悪霊とか堕天使というのは、人間が勝手に言っているだけだ。とは言え、正確には、俺も俺がなんなのかは判らない。
ただ、遥かな昔。おそらくは、生物が夢というモノを見始めた頃から俺は存在している。
俺は、夢を揺蕩っていた。
まあ、俺《あたし》が俺《あたし》という自我を得たのはそれから大分後のことになるんだけどね。
だから、俺は自分を夢魔だと思っている。
アークとイリヤよりも旧い存在だろう。
「それってもう、ほぼ他人なんじゃ…?」
「そうとも言うわねぇ?」
「・・・それで、本題に入るけど、君はアルちゃんの味方…ってことでいいのかな?」
「ああ。それは明確に断言しよう。俺はアルの味方だよ。多分、誰よりも、ね」
おそらくはアル本人よりも、だ。アルの自由意志よりも、アルの生命を優先させると決めた。
それは、本当は正しくはないかもしれないが。
「だから、いい加減アルを休ませてあげたいのよねぇ? 部屋に案内してくれないかしら?」
まあ、本当は部屋の場所は判っているんだけどね? 押し通ると後が面倒だしさ。
案内させる方が、印象が悪くならない。
「君がアルちゃんを、問答無用で連れて行かないのは、君なりの誠意ってこと?」
「そうとってもらって、構わないわ」
※※※※※※※※※※※※※※※
というワケで、猫の子の説得に時間は掛かったけど、アルの部屋に来た。
ベッドにそっとアルを横たえて、靴を脱がせ、服を寛げる。…ねぇ、アル。少し、武器を仕込み過ぎじゃないかな? 君は。
白い胸元に浮かぶのは真紅の痣。ヴァンパイアの所有印。これはあの子…ローレルの徴か。
「へぇ…ローレルも面白いことをする」
髪留めを外して、白金の髪をサラリと流す。
これで準備はOK。さて、アル。
君の精神に這入らせてもらおう。
まあ、俺は役得だけど・・・
這入るのは、女の方がいいよね。
君は、女の子が好きだから。侵入者…俺に対するハードルが低くなる。
君を壊さないように、ね?
精神に潜るなら身体を繋げる方が効率はいいんだけど、それは合意の上ですることだからね?
それは、君に許可を得てから。
でも、これは・・・
「アレクシア・ロゼット」
俺は君の意志を無視させてもらう。
「ごめん、ね?」
無防備に眠るアル。その白い手へ指を絡ませて繋ぎ、反対の手を滑らかな頬へ添え、上を向かせてそっと口付ける。最初は触れるだけの口付けで柔らかい唇をふにふにと啄む。
「ん・・・ふ、ふっ…可愛い♥️」
悪いとは思うけど、アル。
俺も君を好きなんだ。
だから、イリヤには渡さない。
俺は君の精神を侵す。
思い出しかけた君の悪夢を・・・
イリヤの記憶を、食い荒らしてあげる。
「忘れさせてあげるから…」
ゆっくりと口付けを深め、アルの精神に潜る。
__________
夢魔のヒトに関する淫魔、イーブリース云々…あれこれは、書いてる奴の独自解釈です。真に受けないでください。
「・・・見事な手際で追い払ったね。一応聞くけど、行くつもりあるの? 君は」
とりあえず聞いてみた、という感じの狼の子。
「ふふっ…後で覚えていたら、ね?」
「絶対行かないパターンだ」
「大丈夫。やっぱり怖くなっちゃって…ごめんなさい。とでも言っとけば、許してくれるから。彼」
あの馬の子は、復讐さえ絡まなければ、基本的には女好きで陽気な…割と頭が残念な子だし。
それに、あの馬の子は、いるだけでアルの機嫌とか神経をささくれさせるからね。ぶっちゃけ、邪魔だ。今は、アルへの悪影響を遠ざけるに限る。
「うわ…悪女だね。君は」
「茶番だな。それで、手前ぇはいつまでそうやってアルを抱えてる気だ? いい加減放しやがれ」
「ふふっ、イ・ヤ♥️」
「クラウド・・・」
低くなる声。じわりと高まる殺気。
「ところで、君。シーフ君と少し似ているけど、アルちゃんの兄弟だったりするの?」
狼の子の疑問。
「そうねぇ? 兄弟というか・・・遠い親戚って感じかしら? アルの弟君の、お祖母ちゃんのお祖母ちゃんのお祖母ちゃんのお祖母ちゃん…とかで、繋がってたりするかもしれないわ♪」
確か、アルの弟君はイフリータの子だ。
俺は、イフリータ…イフリートの更に上位種の、イーブリースだとも言える。
イーブリースというのは、太古の悪霊だとか堕天使だとか謂われているモノだ。
イフリートやその下位種のジーニーなんかを生み出した存在だと謂われている。
まあ、あれだ。彼らは俺が昔生んだ子供とか、愛した女が生んだ子供達の、更に子孫ってやつ?
永く生きてるだけあって、俺ってば、実は結構な子沢山なんだよね。
因って俺は、彼らの始祖に当たる。
悪霊とか堕天使というのは、人間が勝手に言っているだけだ。とは言え、正確には、俺も俺がなんなのかは判らない。
ただ、遥かな昔。おそらくは、生物が夢というモノを見始めた頃から俺は存在している。
俺は、夢を揺蕩っていた。
まあ、俺《あたし》が俺《あたし》という自我を得たのはそれから大分後のことになるんだけどね。
だから、俺は自分を夢魔だと思っている。
アークとイリヤよりも旧い存在だろう。
「それってもう、ほぼ他人なんじゃ…?」
「そうとも言うわねぇ?」
「・・・それで、本題に入るけど、君はアルちゃんの味方…ってことでいいのかな?」
「ああ。それは明確に断言しよう。俺はアルの味方だよ。多分、誰よりも、ね」
おそらくはアル本人よりも、だ。アルの自由意志よりも、アルの生命を優先させると決めた。
それは、本当は正しくはないかもしれないが。
「だから、いい加減アルを休ませてあげたいのよねぇ? 部屋に案内してくれないかしら?」
まあ、本当は部屋の場所は判っているんだけどね? 押し通ると後が面倒だしさ。
案内させる方が、印象が悪くならない。
「君がアルちゃんを、問答無用で連れて行かないのは、君なりの誠意ってこと?」
「そうとってもらって、構わないわ」
※※※※※※※※※※※※※※※
というワケで、猫の子の説得に時間は掛かったけど、アルの部屋に来た。
ベッドにそっとアルを横たえて、靴を脱がせ、服を寛げる。…ねぇ、アル。少し、武器を仕込み過ぎじゃないかな? 君は。
白い胸元に浮かぶのは真紅の痣。ヴァンパイアの所有印。これはあの子…ローレルの徴か。
「へぇ…ローレルも面白いことをする」
髪留めを外して、白金の髪をサラリと流す。
これで準備はOK。さて、アル。
君の精神に這入らせてもらおう。
まあ、俺は役得だけど・・・
這入るのは、女の方がいいよね。
君は、女の子が好きだから。侵入者…俺に対するハードルが低くなる。
君を壊さないように、ね?
精神に潜るなら身体を繋げる方が効率はいいんだけど、それは合意の上ですることだからね?
それは、君に許可を得てから。
でも、これは・・・
「アレクシア・ロゼット」
俺は君の意志を無視させてもらう。
「ごめん、ね?」
無防備に眠るアル。その白い手へ指を絡ませて繋ぎ、反対の手を滑らかな頬へ添え、上を向かせてそっと口付ける。最初は触れるだけの口付けで柔らかい唇をふにふにと啄む。
「ん・・・ふ、ふっ…可愛い♥️」
悪いとは思うけど、アル。
俺も君を好きなんだ。
だから、イリヤには渡さない。
俺は君の精神を侵す。
思い出しかけた君の悪夢を・・・
イリヤの記憶を、食い荒らしてあげる。
「忘れさせてあげるから…」
ゆっくりと口付けを深め、アルの精神に潜る。
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