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遊び場。
ハロウィン企画。※絵も無いというのにコスプレさせてみたっ!?本編とは全く関係ありません。
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「問題アリ…ハロウィン企画。登場人物達にコスプレ衣装を着せてみました。開始し致します」
クラシカルな海賊船長という衣装に身を包んだ男性が舞台上でスポットライトを浴び、華麗にお辞儀をする。銀髪、銀灰色の瞳に涼やかな白皙の面をした三十代半ば程に見える男性の、耳に心地よい低い声が会場へと響き渡った。
「ということで、本日司会を務めさせられているのはわたし。アダマス家現当主こと、ローレル・ピアス・アダマスです。ちなみに、わたしの衣装はフック船長となっているそうです。理由は、イリヤの糞爺がピーターパンだから。とのことです」
「は? なんで僕がピーターパンなんだ? おかしいだろ?」
舞台の端から、緑の子供服の上下に羽の付いたとんがり帽子を被り、不機嫌な顔をした黒髪に金眼の妖艶な美少年が出て来て言う。
「理由・・・ああ、ピーターパンのモデルは、アイルランド地方に伝わる子供の魂を専門に刈り取る死神だそうなので、ある意味ピッタリですね。はい、緑の上下と緑のとんがり帽子で辱しめを受けた、御歳ウン万歳の若作り爺でした」
「誰が辱しめを受けた若作り爺だっ!?」
「ああ、あれだ。とっとと消え失せろ? 糞爺。つか、手前ぇとコンセプト統一衣装とか、俺もいい迷惑だぜ・・・とっととくたばれ糞爺が…」
「…喧嘩売っているんだよな?ローレル」
瞳孔が縦に長い金色の瞳がローレルを睨む。
「はい、五月蝿い耄碌爺は退場。次の方どうぞ」
「誰が耄碌爺だ!」
文句を言いつつも退場するイリヤ。
「あ? 俺か?」
オレンジに近い短い金髪、深緑の瞳によく日に焼けた肌。その裸の上半身に毛皮を纏い、金属製の角のある兜を被り、刀身の反り返った片刃の大剣を持ち、野生味を感じさせる長身の偉丈夫が舞台へ上がる。
「はい、次はスティング・エレイス。衣装は、古式床しい北欧のヴァイキング。毛皮の鎧に金属兜、大きな曲刀がその巨躯にとてもよくお似合いです」
「応。船が欲しいところだな」
曲刀を担いで颯爽と退場するスティング。
「はい、次の方」
「僕、でしょうか? 眼鏡が無いので視界が…」
日本人ならお馴染み、黒い詰襟を改造して丈を短くした俗に言う短ランを纏い、ミルクティー色の髪をオールバックにした、視線だけで人を射殺せそうな程目付きの悪い男が、よたよたとどこか覚束無い足取りで舞台へ上がる。
「フェンネル・アダマス。アダマスの次期当主の衣装は、詰襟短ラン、オールバックのメンチ切ってるヤンキーだそうです。フェンネルは弱視でド近眼の為、眼鏡が無いと壮絶に目付きが悪いですね。ちなみに、フェンネルの瞳の色は灰色の瞳孔が浮かぶセピア色ですが、本物のヤンキーがメンチ切っているのを直視すると喧嘩を売られたと思い込む習性があるので、あまり見ないように気を付けましょう」
「メンチ? ヤンキーとはなんでしょうか?」
首を傾げながら、物凄い目付きと覚束無い足取りで退場して行くフェンネル。
「はい、次の方」
「あー…男に呼ばれても嬉しくねー…」
パカパカと四足歩行で重たそうな四角い箱を引きながらやって来たのは、紫がかった黒髪に蘇芳の瞳。その右目の下に泣き黒子、褐色の肌の上半身に古代ギリシャの白いトーガを纏った男が舞台へ上がる。その下半身は、紫がかった漆黒の毛並の馬となっている。
「トゥエルナキス・デザイン・ヴァイオレット。通称色欲バカ…失礼、トールです。衣装は、説明の通りトーガを纏ったケンタウロスですね。サテュロスと、馬頭どれにしようか迷い、他の候補二つよりもメジャーなケンタウロスになったそうです」
「はぁ…この中途半端な形態、本編では絶対出て来ねぇし。つか、こんなの普通にできねぇから。これ、ハロウィン特別使用。男相手に話すのも今回が特別だから! 俺は普段、女としか話さねぇっ!」
「そして、彼が引いている棺からもう一方」
ガタンと棺が開き、中から現れたのは波打つ黒髪、紫に金色の混ざるアメトリンの瞳、濃い蜜色の肌を包帯でグルグル巻きにして隠した妖艶且つ蠱惑的、色気溢れる美少年。
「やあ」
「クラウド・ナイトメア。衣装はミイラ男です」
「ふふっ、実は…ミイラ女でもあるのよ♥️」
パチンと流し目でウインク。あっという間に体型と性別が変化。色気が垂れ流し、そして包帯の隙間から蜜色の肌があられもなく露出する。
「美人のお嬢さんキターーーっ!?」
「はい、色欲バカが煩いですね。彼女はルージュエリアル・ナイトメア。包帯が危ない感じに弛んでしまったので、さっさと直してください」
「あら、失敗しちゃった♥️早く運んで?」
ルーの一言で馬の脚が舞台を蹴り、物凄い速度で棺を引いて退場して行った。
「さあ、次の方どうぞ」
「シュール過ぎやしないか?これ・・・」
そう言って舞台へと上がったのは、くすんだ金髪に緑灰色の瞳、端正ながらも野生味を感じさせる容姿に警備員の制服を纏った長身の男。そして、その男が運ぶガラスのショーケースの中には、鼻筋に疵痕の走った灰色の狼が微動だにせず立っている。
「・・・」
「レオンハルト・エレイス。そして、クレア・エレイスの狼親子。衣装は博物館の警備員と、その展示品の剥製の狼だそうです。レオンハルトの言う通り、かなりシュールなコスプレです」
ガラガラとクレアの入ったガラスケースの乗ったキャスターを押して退場するレオ。
「さあ、次の方々どうぞ」
「急がなくては」
「・・・っ」
時計を確認して舞台へ上がるのは黒に近いダークブラウンの髪に、左右で色の違う黒と青のオッドアイ、白いウサ耳を付けたキリッとした和風美少年。更に、そのウサ耳和風美少年を追うように舞台へ上がるのは、ライトブラウンのロングヘア、ミルキーなターコイズの瞳で、顔を真っ赤にして青と白のエプロンドレスを纏った美少女。
「椿の息子、そしてわたしの孫に当たる瀧元・龍胆・ブライト。そして、カイル。衣装は不思議の国のアリスと白ウサギです」
「っ…なんでっ、僕が女装をっ!?」
「男の娘じゃないからさせてみたそうです」
「なにその巫山戯た理由はっ!?!?」
「宜しいのでしょうか? お祖父様。本編では名前すら登場していないわたしが出てしまっても」
「フェンネルが散々あの子あの子言ってたので、ビジュアルと名前だけは決まっているから出しとけ。だそうです。この後も出て来るかは不明だそうですが…まあ、気にするな。龍胆」
「…お祖父様が仰るならば・・・」
「こんな服さっさと着替えてやるっ!?」
「全員の紹介が済むまではこのままでお願いします。呉々も、勝手に脱がないように」
「はあっ!?聞いてないんだけどっ!?」
「では、失礼致します」
真剣な顔で悩みながら歩を進める龍胆と、ぷりぷりと怒鳴りながら退場するカイル。
「次の方、どうぞ」
「俺のはコスプレ…か?」
男物の中華服、袍を着て顔には面を被り、青竜刀を携えた男が舞台へと上がる。
「緋悠。通称ヒュー。衣装は京劇風です」
「風っつーか、俺一応中華圏出身なんだが?」
「本編ではチャイナ服を着る機会が無さそうなので、袍を着てもらったそうです」
「ま、実は袍ってのは膨大な民族の集まる中華圏の中の、一民族の衣装だからな。中華圏の人間がみんなこれを着てると思うのは間違ってンだぜ?」
肩を竦めてヒューが退場。
「次の方、どうぞ」
「なんだかなぁ・・・」
青みのある銀髪をオールバックに、薄い琥珀の瞳を黒のサングラスで隠し、テラテラの紫のシャツに黒スーツ。モデルガンを持った長身の男が、溜め息を吐きながら舞台へ上がる。
「ジン。衣装は一昔前のヤの付く自由業風です」
「なんで・・・とか、聞くだけ無駄か…」
ジンが舞台を降りて行く。
「次の方、どうぞ」
「ったく、ヴァンパイアはそっちでしょうに…」
蜂蜜色のハニーブロンドの長い巻き毛を後ろで括り、キリッとしたアイスブルーの瞳。フリルの付いたドレスシャツに黒い外套姿、スラリとした細身の美しい男性が小さくぼやきながら舞台へと上がる。
「アマラ・コーラル。衣装はヴァンパイア」
「なんでアタシが男の格好なのよっ!」
「本編では常に女装なので、男の格好をさせてみたそうです。あと、人魚は実は肉食なので付け牙が要らないから、だそうです」
「なによそれっ?」
「そして、万が一リクエストがあれば、アマラを本編で男の格好で出そうかと…とのことです」
「ハッ、リクエストなんざあるワケないでしょ?」
鼻で笑ったアマラが舞台を歩いて行く。
「次の方、どうぞ」
「これ、案外重たいねー?」
カラコロ下駄を鳴らし、しゃなりしゃなりと舞台へ上がって来るのは、白塗りの化粧を施した肌に色鮮やかな着物を纏い、結い上げたかつらに幾つも刺した簪がシャラシャラと鳴る。艶やかに紅の乗った唇がにっこりと笑う和風美人。
「御厨雪路。衣装は花魁」
「なんかこれ、合計三十キロくらいあるんだって。びっくりだねー。しかも、もっと重たいとガチで五十キロ以上とかもあったんだってさ?昔の花魁道中って本当に大変だったんだねー。雪路太夫でありんす、なんてねー?」
カラコロと下駄を鳴らし歩いて行く御厨。
「次の方々、どうぞ」
「いいのかねぇ?あたしも父様も、本編じゃあまだビジュアルの描写もちゃんとはされてないってのに、こんなお巫山戯で出て来てさ?」
「いいよ。オレは姉さんと出られて嬉しいし」
「無論ですわ。椿お姉様」
「ん」
頭からすっぽりとシーツを被った蜜色の腕が、茨に覆われたベッドを押して舞台上を進む。そのベッドに乗るのは二人。
ベッドへ腰掛けるのは、艶やかな黒の長いストレートを背中へ流し、アーモンド型の瞳は、銀環が取り囲む漆黒。滑らかな象牙の肌に黒のタイトロングドレスを纏い、黒のとんがり帽子を被ったキツめの迫力和風美女。
そして、ベッドへ横たわるのはクラシカルなドレスを纏うビスクドールのような人形染みた美少女。白金の長い髪に白く整った美貌、 その閉じた瞳は何色か・・・
「瀧元・椿・ブライト。そして、アレクシア・ロゼット・アダマス。衣装は眠り姫。そして、姫へと呪いを掛けた悪い魔女。シーフェイド・サルヴァトール・フラメル・アダマスは魔女の使い魔。アレク…アルと椿とシーフだ」
「わたくしもおりますわ。ローレル様」
ベッドの後ろから、男物の軍服を着て帯剣し、長い赤毛を後ろで括ったアクアマリンの瞳の小柄な美少女が続いて歩いて来る。
「リリアナイト・ローズマリー。衣装は、眠り姫の呪いを解く王子」
「さあ、眠り姫。わたくしの口付けで貴女の眠りの呪いを解いて差し上げますわ♥️」
クスリとイタズラっぽく笑うリリアナイト。
「待ちなさい、リリアナイト! 僕がっ」
「兄様! アンタは動くな!」
「つ、椿…」
「・・・アル。キス、要る?」
「要らんわ、普通に起きてるから!」
「アレク様♥️」
むくりと起き上がるアルに、ぎゅっと抱き付いたリリが、その頬へとキスをする。
「むぅ…残念・・・」
「つか、お前のコスプレ雑過ぎね?」
「…シーツおばけ。…養母より、マシ?」
「まあ、養母さんはほぼ素だったけど…」
「アレク、そろそろいいか?」
「お、失礼。どうぞ? 父上」
「さあ、これで主要キャラが出揃いました。これにて、ハロウィン企画を終了致します。大したオチも無いのに長々とお付き合いくださいましたこと、厚く御礼申し上げます」
ローレルがお辞儀。
「全員、舞台上へ!」
舞台を降りた全員が舞台へ上がり・・・
「せーのっ」
硬質なアルトの掛け声。
「「「「HAPPY HALLOWEEN!」」」」
「「「「ありがとうございましたっ!!」」」」
以上。
司会進行。ローレル。
衣装制作。椿、龍胆。
小道具制作。アル、シーフ。
資金提供。リリアナイト、フェンネル。
スポンサー。ローレル・ピアス・アダマス。
クラシカルな海賊船長という衣装に身を包んだ男性が舞台上でスポットライトを浴び、華麗にお辞儀をする。銀髪、銀灰色の瞳に涼やかな白皙の面をした三十代半ば程に見える男性の、耳に心地よい低い声が会場へと響き渡った。
「ということで、本日司会を務めさせられているのはわたし。アダマス家現当主こと、ローレル・ピアス・アダマスです。ちなみに、わたしの衣装はフック船長となっているそうです。理由は、イリヤの糞爺がピーターパンだから。とのことです」
「は? なんで僕がピーターパンなんだ? おかしいだろ?」
舞台の端から、緑の子供服の上下に羽の付いたとんがり帽子を被り、不機嫌な顔をした黒髪に金眼の妖艶な美少年が出て来て言う。
「理由・・・ああ、ピーターパンのモデルは、アイルランド地方に伝わる子供の魂を専門に刈り取る死神だそうなので、ある意味ピッタリですね。はい、緑の上下と緑のとんがり帽子で辱しめを受けた、御歳ウン万歳の若作り爺でした」
「誰が辱しめを受けた若作り爺だっ!?」
「ああ、あれだ。とっとと消え失せろ? 糞爺。つか、手前ぇとコンセプト統一衣装とか、俺もいい迷惑だぜ・・・とっととくたばれ糞爺が…」
「…喧嘩売っているんだよな?ローレル」
瞳孔が縦に長い金色の瞳がローレルを睨む。
「はい、五月蝿い耄碌爺は退場。次の方どうぞ」
「誰が耄碌爺だ!」
文句を言いつつも退場するイリヤ。
「あ? 俺か?」
オレンジに近い短い金髪、深緑の瞳によく日に焼けた肌。その裸の上半身に毛皮を纏い、金属製の角のある兜を被り、刀身の反り返った片刃の大剣を持ち、野生味を感じさせる長身の偉丈夫が舞台へ上がる。
「はい、次はスティング・エレイス。衣装は、古式床しい北欧のヴァイキング。毛皮の鎧に金属兜、大きな曲刀がその巨躯にとてもよくお似合いです」
「応。船が欲しいところだな」
曲刀を担いで颯爽と退場するスティング。
「はい、次の方」
「僕、でしょうか? 眼鏡が無いので視界が…」
日本人ならお馴染み、黒い詰襟を改造して丈を短くした俗に言う短ランを纏い、ミルクティー色の髪をオールバックにした、視線だけで人を射殺せそうな程目付きの悪い男が、よたよたとどこか覚束無い足取りで舞台へ上がる。
「フェンネル・アダマス。アダマスの次期当主の衣装は、詰襟短ラン、オールバックのメンチ切ってるヤンキーだそうです。フェンネルは弱視でド近眼の為、眼鏡が無いと壮絶に目付きが悪いですね。ちなみに、フェンネルの瞳の色は灰色の瞳孔が浮かぶセピア色ですが、本物のヤンキーがメンチ切っているのを直視すると喧嘩を売られたと思い込む習性があるので、あまり見ないように気を付けましょう」
「メンチ? ヤンキーとはなんでしょうか?」
首を傾げながら、物凄い目付きと覚束無い足取りで退場して行くフェンネル。
「はい、次の方」
「あー…男に呼ばれても嬉しくねー…」
パカパカと四足歩行で重たそうな四角い箱を引きながらやって来たのは、紫がかった黒髪に蘇芳の瞳。その右目の下に泣き黒子、褐色の肌の上半身に古代ギリシャの白いトーガを纏った男が舞台へ上がる。その下半身は、紫がかった漆黒の毛並の馬となっている。
「トゥエルナキス・デザイン・ヴァイオレット。通称色欲バカ…失礼、トールです。衣装は、説明の通りトーガを纏ったケンタウロスですね。サテュロスと、馬頭どれにしようか迷い、他の候補二つよりもメジャーなケンタウロスになったそうです」
「はぁ…この中途半端な形態、本編では絶対出て来ねぇし。つか、こんなの普通にできねぇから。これ、ハロウィン特別使用。男相手に話すのも今回が特別だから! 俺は普段、女としか話さねぇっ!」
「そして、彼が引いている棺からもう一方」
ガタンと棺が開き、中から現れたのは波打つ黒髪、紫に金色の混ざるアメトリンの瞳、濃い蜜色の肌を包帯でグルグル巻きにして隠した妖艶且つ蠱惑的、色気溢れる美少年。
「やあ」
「クラウド・ナイトメア。衣装はミイラ男です」
「ふふっ、実は…ミイラ女でもあるのよ♥️」
パチンと流し目でウインク。あっという間に体型と性別が変化。色気が垂れ流し、そして包帯の隙間から蜜色の肌があられもなく露出する。
「美人のお嬢さんキターーーっ!?」
「はい、色欲バカが煩いですね。彼女はルージュエリアル・ナイトメア。包帯が危ない感じに弛んでしまったので、さっさと直してください」
「あら、失敗しちゃった♥️早く運んで?」
ルーの一言で馬の脚が舞台を蹴り、物凄い速度で棺を引いて退場して行った。
「さあ、次の方どうぞ」
「シュール過ぎやしないか?これ・・・」
そう言って舞台へと上がったのは、くすんだ金髪に緑灰色の瞳、端正ながらも野生味を感じさせる容姿に警備員の制服を纏った長身の男。そして、その男が運ぶガラスのショーケースの中には、鼻筋に疵痕の走った灰色の狼が微動だにせず立っている。
「・・・」
「レオンハルト・エレイス。そして、クレア・エレイスの狼親子。衣装は博物館の警備員と、その展示品の剥製の狼だそうです。レオンハルトの言う通り、かなりシュールなコスプレです」
ガラガラとクレアの入ったガラスケースの乗ったキャスターを押して退場するレオ。
「さあ、次の方々どうぞ」
「急がなくては」
「・・・っ」
時計を確認して舞台へ上がるのは黒に近いダークブラウンの髪に、左右で色の違う黒と青のオッドアイ、白いウサ耳を付けたキリッとした和風美少年。更に、そのウサ耳和風美少年を追うように舞台へ上がるのは、ライトブラウンのロングヘア、ミルキーなターコイズの瞳で、顔を真っ赤にして青と白のエプロンドレスを纏った美少女。
「椿の息子、そしてわたしの孫に当たる瀧元・龍胆・ブライト。そして、カイル。衣装は不思議の国のアリスと白ウサギです」
「っ…なんでっ、僕が女装をっ!?」
「男の娘じゃないからさせてみたそうです」
「なにその巫山戯た理由はっ!?!?」
「宜しいのでしょうか? お祖父様。本編では名前すら登場していないわたしが出てしまっても」
「フェンネルが散々あの子あの子言ってたので、ビジュアルと名前だけは決まっているから出しとけ。だそうです。この後も出て来るかは不明だそうですが…まあ、気にするな。龍胆」
「…お祖父様が仰るならば・・・」
「こんな服さっさと着替えてやるっ!?」
「全員の紹介が済むまではこのままでお願いします。呉々も、勝手に脱がないように」
「はあっ!?聞いてないんだけどっ!?」
「では、失礼致します」
真剣な顔で悩みながら歩を進める龍胆と、ぷりぷりと怒鳴りながら退場するカイル。
「次の方、どうぞ」
「俺のはコスプレ…か?」
男物の中華服、袍を着て顔には面を被り、青竜刀を携えた男が舞台へと上がる。
「緋悠。通称ヒュー。衣装は京劇風です」
「風っつーか、俺一応中華圏出身なんだが?」
「本編ではチャイナ服を着る機会が無さそうなので、袍を着てもらったそうです」
「ま、実は袍ってのは膨大な民族の集まる中華圏の中の、一民族の衣装だからな。中華圏の人間がみんなこれを着てると思うのは間違ってンだぜ?」
肩を竦めてヒューが退場。
「次の方、どうぞ」
「なんだかなぁ・・・」
青みのある銀髪をオールバックに、薄い琥珀の瞳を黒のサングラスで隠し、テラテラの紫のシャツに黒スーツ。モデルガンを持った長身の男が、溜め息を吐きながら舞台へ上がる。
「ジン。衣装は一昔前のヤの付く自由業風です」
「なんで・・・とか、聞くだけ無駄か…」
ジンが舞台を降りて行く。
「次の方、どうぞ」
「ったく、ヴァンパイアはそっちでしょうに…」
蜂蜜色のハニーブロンドの長い巻き毛を後ろで括り、キリッとしたアイスブルーの瞳。フリルの付いたドレスシャツに黒い外套姿、スラリとした細身の美しい男性が小さくぼやきながら舞台へと上がる。
「アマラ・コーラル。衣装はヴァンパイア」
「なんでアタシが男の格好なのよっ!」
「本編では常に女装なので、男の格好をさせてみたそうです。あと、人魚は実は肉食なので付け牙が要らないから、だそうです」
「なによそれっ?」
「そして、万が一リクエストがあれば、アマラを本編で男の格好で出そうかと…とのことです」
「ハッ、リクエストなんざあるワケないでしょ?」
鼻で笑ったアマラが舞台を歩いて行く。
「次の方、どうぞ」
「これ、案外重たいねー?」
カラコロ下駄を鳴らし、しゃなりしゃなりと舞台へ上がって来るのは、白塗りの化粧を施した肌に色鮮やかな着物を纏い、結い上げたかつらに幾つも刺した簪がシャラシャラと鳴る。艶やかに紅の乗った唇がにっこりと笑う和風美人。
「御厨雪路。衣装は花魁」
「なんかこれ、合計三十キロくらいあるんだって。びっくりだねー。しかも、もっと重たいとガチで五十キロ以上とかもあったんだってさ?昔の花魁道中って本当に大変だったんだねー。雪路太夫でありんす、なんてねー?」
カラコロと下駄を鳴らし歩いて行く御厨。
「次の方々、どうぞ」
「いいのかねぇ?あたしも父様も、本編じゃあまだビジュアルの描写もちゃんとはされてないってのに、こんなお巫山戯で出て来てさ?」
「いいよ。オレは姉さんと出られて嬉しいし」
「無論ですわ。椿お姉様」
「ん」
頭からすっぽりとシーツを被った蜜色の腕が、茨に覆われたベッドを押して舞台上を進む。そのベッドに乗るのは二人。
ベッドへ腰掛けるのは、艶やかな黒の長いストレートを背中へ流し、アーモンド型の瞳は、銀環が取り囲む漆黒。滑らかな象牙の肌に黒のタイトロングドレスを纏い、黒のとんがり帽子を被ったキツめの迫力和風美女。
そして、ベッドへ横たわるのはクラシカルなドレスを纏うビスクドールのような人形染みた美少女。白金の長い髪に白く整った美貌、 その閉じた瞳は何色か・・・
「瀧元・椿・ブライト。そして、アレクシア・ロゼット・アダマス。衣装は眠り姫。そして、姫へと呪いを掛けた悪い魔女。シーフェイド・サルヴァトール・フラメル・アダマスは魔女の使い魔。アレク…アルと椿とシーフだ」
「わたくしもおりますわ。ローレル様」
ベッドの後ろから、男物の軍服を着て帯剣し、長い赤毛を後ろで括ったアクアマリンの瞳の小柄な美少女が続いて歩いて来る。
「リリアナイト・ローズマリー。衣装は、眠り姫の呪いを解く王子」
「さあ、眠り姫。わたくしの口付けで貴女の眠りの呪いを解いて差し上げますわ♥️」
クスリとイタズラっぽく笑うリリアナイト。
「待ちなさい、リリアナイト! 僕がっ」
「兄様! アンタは動くな!」
「つ、椿…」
「・・・アル。キス、要る?」
「要らんわ、普通に起きてるから!」
「アレク様♥️」
むくりと起き上がるアルに、ぎゅっと抱き付いたリリが、その頬へとキスをする。
「むぅ…残念・・・」
「つか、お前のコスプレ雑過ぎね?」
「…シーツおばけ。…養母より、マシ?」
「まあ、養母さんはほぼ素だったけど…」
「アレク、そろそろいいか?」
「お、失礼。どうぞ? 父上」
「さあ、これで主要キャラが出揃いました。これにて、ハロウィン企画を終了致します。大したオチも無いのに長々とお付き合いくださいましたこと、厚く御礼申し上げます」
ローレルがお辞儀。
「全員、舞台上へ!」
舞台を降りた全員が舞台へ上がり・・・
「せーのっ」
硬質なアルトの掛け声。
「「「「HAPPY HALLOWEEN!」」」」
「「「「ありがとうございましたっ!!」」」」
以上。
司会進行。ローレル。
衣装制作。椿、龍胆。
小道具制作。アル、シーフ。
資金提供。リリアナイト、フェンネル。
スポンサー。ローレル・ピアス・アダマス。
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