虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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「は? 意味わかんないんだけど?」
「美人さんな婚約者とののろけなんか聞いてられっかっ!! さっさと始めろよなっ!?」

 別に惚気のろけたつもりはないんだけど・・・まぁ、深く追及されないなら、それでいいや。

「一応、言っておくが・・・ハウウェルとフィールズの顔に怪我させるのはやめろよなっ!! 美人さんな顔や美少女な顔に傷が付くのはいただけないからっ!!」
「顔は、って・・・あのね、他は怪我してもいいって言ってるの?」

 ビシッとレザンへ言ったテッドへツッコミ。

「・・・なるべく怪我はしないようにしろよな!」

 と、一拍おいて言い直された。さすがに、ちょっとアレだと思ったようだ。

「フッ、それではやるぞ。構えろハウウェル、フィールズ!」
「はいっ!」
「手加減を求めるっ!!」
「まだ始めてもいないぞ?」
「そうですよっ、ハウウェル先輩」
「だって、先に言っとかないと」

 やる気満々な奴のやる気や出鼻を挫くの、大事だと思う。

「まぁ、手加減よろしく。で、どうするの?」

 木剣を構えながら聞く。

「俺は二対一でも構わんぞ。まとめて掛かって来い」
「そう? わたしも、別に一人でもいいよ?」
「はあっ? ハウウェル、レザンより強くないなら、普通にフィールズと二人で掛かって行きゃいいじゃんよっ?」
「ああ、メルン先輩は知らないですよね……ハウウェル先輩って、一対一で戦うよりも、実は乱戦とか多対一の方が得意って言う、割と珍しいタイプの人なんですよっ」
「へ?」
「だから、レザン先輩と一対一で戦っても、あんまり強くは見えないんですよね~。それじゃあ、ハウウェル先輩。レザン先輩を一緒に倒しましょうっ!」
「それ、本気で言ってる?」

 わたしは、チーム戦などでは当たりたくない奴。そして、それよりも・・・味方には・・・・したく・・・ない奴・・・だと噂されていた。

「わたしは、君を振り回す・・・・よ?」
「はいっ! 頑張るので使ってくださいっ!!」
「わかった。なら、覚悟しろよ?」
「行くぞハウウェル、フィールズ!」
「行きますっ!」

 と、レザンとエリオットが木剣を構える。

「ハアッ!」

 まず、向かって行ったのはエリオット。

「甘いっ!」

 その剣を軽々防ぐレザン。まぁ、やっぱり体格差があると厳しいよねぇ。身長、体重、リーチ、筋肉、地力。そのどれを取ってもレザンに敵う部分が無いんだから。

 そして、わたし達みたいにあまり体格に恵まれているとは言えない人は、レザンみたいに一撃一撃が重い相手と当たる場合は、なるべく剣を合わせる時間を減らし、一撃離脱のヒットアンドアウェイが定石。だというのにっ・・・

「なにしてんの君はっ!?」

 エリオットは直ぐに離れる気配もなく、鍔迫つばぜり合いでレザンに上から押さえ込まれ掛けている。それを、横合いから剣を突っ込んでバランスを崩しながらエリオットの肘を掴んで引き、ぐいっと後ろへ下がらせる。ついでに、レザンへ牽制と嫌がらせの蹴りを入れておく。

「ふぇっ!? す、すみませんっ!?」
「次やったら、投げるから。飛べ・・

 うん。今のはエリオットだったから、問答無用では投げなかったけど・・・

 騎士学校時代。チーム戦などのこういう状況で、味方が鍔迫り合いみたいに膠着こうちゃく状態で動けなくなっていたら、今みたいに引かせることもあった。

 けど、嫌いな奴だったら・・・問答無用でぶん投げてたりしていた。ついでに、振り回して敵に味方(嫌いな奴)を当ててダメージを与えていたりした。抗議や文句? 外道やら鬼畜だなんだと言われたけど、そんなものは受け付けない。そういうことを繰り返していたら、味方にしたくない奴だと言われたものだ。

 エリオットも、わたしが味方(嫌いな奴)を投げたり振り回すところを見たことはあるから、知っている筈だ。

「ひぅっ!? ふぁいっ!」

 わたしの本気を感じ取ったのか、ビクッとした返事。ちゃんと意図は伝わったかな?

「ほら、行くよ」

 と、今度はわたしがレザンに向かって行き、弾かれて直ぐに離れる。それをエリオットと交代で何度か繰り返していると、

「ふむ・・・では、俺からも行くぞ。ハッ!」

 短い呼吸で振り下ろされる剣。けれど、十分なスピードが乗り切る前に剣の腹をバン! と叩いて軌道を逸らす。

「さすがハウウェル先輩ですねっ」
「や、今のは普通に小手調べだし。というか、無駄口叩いてる暇あるなら、突っ込め」
「うむ。来い!」
「はいっ!」

__________


 ネイサンは味方(嫌いな奴など)を物理的に振り回して敵に当てるという、なかなか鬼畜な戦い方をします。(笑)

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