カラフル*レイヴン♪~アホの相手は面倒ですね~

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
23 / 50
赤い瞳の姫君

で、なにが原因不明だと?

しおりを挟む
 ヴァンは深い溜息を吐いて、告げる。

「ここへ連れて来なさい。診て差し上げますよ」

 すると、ざわめきの中心から、おろおろとした顔色の悪い二十歳前後の女性が出て来た。

「失礼。少し、触ります。手を」

 了承を取る前に素早く女性の手を取り、

「あ、おいっ!?」

 脈拍を計るヴァン。ゴロツキ未満Aは無視。

「え?」

 脈は幾分速いが、正常の範囲内。爪は白くなく、健康的なピンク色。熱もない。

「失礼」

 と、ヴァンは女性の両頬へ手を伸ばし、

「え? え? ええっ!?」

 べっと下瞼を引っ張る。若干白い。

「・・・では、今度は本当に失礼を」

 と、女性の胸元へ手を伸ばし、

「おっ、お前っ!?」

 胸の上の辺りをふにふにと確かめるように触るヴァン。更に、女性の下腹部へと手の平を乗せる。

 ヴァンの遠慮無い行為へ、驚く村人達。声も出ないで、絶句している。と、

「おめでとうございます、奥様」

 体調不良の女性へ祝福を述べるヴァン。

「へ?」

 きょとんとした顔の女性。そして、

「なにがおめでとうだっ!? 巫山戯ふざけるなっ!」

 女性の旦那であろう人物が怒鳴り付ける。

「ご主人ですか?」

 しかし、ヴァンは意にも介さない。

「あ、はい」

 女性が頷く。

「おめでとうございます。どうやら、奥様はご懐妊なされているようですね」
「は? え? ええっ!?」

 旦那が目を白黒させるのを無視し、

「食事はちゃんとっていますか? つわりが酷くても、ちゃんと食べないと、丈夫なお子さんにはなりませんよ? 栄養価の高い食品、肉や魚、卵、ミルク、チーズなどを重点的に摂取するとよいでしょう」

 ヴァンが的確なアドバイスを述べて行く。

「不安があるというのでしたら、先輩方へ相談されると宜しいでしょう。出産を経験した女性は沢山いるのですから」

 腕を広げ、村の女性達を示すヴァン。

「はい!」

 母であることを自覚したお陰だろうか、女性からは先程までのおどおどした態度が消え、どこか自信が溢れる表情へと変わった。そして、それとは逆に、今度は父になる予定の男が不安そうにおどおどし始めた。

「で、なにが原因不明だと?」

 ゴロツキ未満Aへと向き直るヴァン。その口元へ浮かぶのは、馬鹿にしたような冷笑。

「くっ!? じゃ、じゃあ、エドワーズさんの不調は一体なんなんだっ!?」

 ぐいっと太った中年男性の腕を引くゴロツキ未満A。男性はとても迷惑そうだ。

「見るからに太り過ぎですね。酒と脂物の多い食事を控えなさい」
「ぶ、ブランドンのばあさんは!」

 引っ張り出されたのは、高齢の婦人。こちらもまた、非常に迷惑そうな顔をする。

「高齢になれば、身体のあちこちに不調が出て来るのは当然のことです。軽い運動。そして、食事に肉、魚、卵、チーズを取り入れることをお勧めします」
「っ!?!?」
「身体に不調があるのなら、馬鹿馬鹿しい噂など信じず、ちゃんとした医者にかかりなさい」

 ヴァンは呆れたように正論を言う。

「では、これで失礼します」

 ポカーンとする村人一同を放置し、ヴァンは城の方へと歩き出した。

 暗い夜道など、ものともせずに。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

処理中です...