かみかかり

しまうま弁当

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25話 かみかかり

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途端に粗木田教授の態度が変わったのだった。

「それがなんだ?」

「深出(ふかで)神社といえば今でこそ有名な心霊スポットになってしまっていますが、かつては全国的にも有名な神社だったらしいですね。粗木田教授あなたが深出神社の跡取りだったならば高い霊能力をお持ちなのでは?」

祖木田教授は目をそらして下を向き始めた。

「そんな事は別にどうでもいいだろう。」

「よくはありません。大事な事なので答えて頂けませんか?」

「答えたくない。」

「なにか答えるとまずい事でもあるんですか?」

粗木田教授は先ほどまでとはうって変わって動揺していた。

「確かに俺は深出神社の跡取りではあった。だが俺は深出神社を継ぐ気はなかったんだよ。全くといっていいほど霊能力を持っていなかったからな。だから自分で神社を継ぐ事を拒否して神社を出てきたんだよ。」

「粗木田教授、嘘はいけませんな。あなたは跡取りになろうとしていたが、相続で揉めていた事も調べがついています。」

「そんな事まで調べてやがるのか。」

「ええ調べていますよ。あなたが子供の頃から色々な奇跡を起こして神童と言われていたのも調べがついていますよ。あなたの素性はだいたい調べさせてもらいました。」

「だったら俺に聞く必要ねえだろうが!!」

「粗木田教授あなたの口から確認しておきたかったので。」

粗木田教授が大声で怒鳴り散らす。

「もう何も答えねえからな!!」

「あなたが自分の守護霊を被害者に取り憑かせて操って殺した。そうですね??」

「だからいい加減にしろ!!こんなふざけた理由で俺を殺人鬼呼ばわりする気か。そんな事をすれば警部さんあんたが頭がおかしくなったと思われるだけだぞ。」

「では粗木田教授、あなたは誰も殺してないと?」

「ああ、だから誰も殺してないと言ってるだろう。」

「守護霊も全く使っていないと言うのですか?」

「当たり前だろうが!!さっきから言ってるが俺には霊能力がそもそもないと。神童とか言われていたのは、周りが勝手にチヤホヤしていただけだ。いいかそもそも俺には幽霊なんて見えないんだから、俺に守護霊が使えるわけないんだよ!!」

「本当ですかな、あなたはいくつもの心霊の相談や助言をして解決に導いていますよね。相当に強い力をお持ちだと思いますが?」

「あれは知恵を凝らしてたまたま解決しただけだ。霊能力で解決したわけじゃない。」

「高い霊能力がなければ到底不可能な事もあったようですが?ならば教えてくれますか?来る人来る人の体の悪い箇所をどうやったら間違いなく見事にいい当てれるんですか?神社に来ていた参拝者の人達の体の悪い箇所をことごとく当てていたんですよね。」

粗木田教授はやはり大きく動揺していた。

「えっっとあれはだな。あの時はサクラを使ってたんだ。」

「一日100人近くもサクラを雇っていたんですか?とても現実的とは思えませんが。そんな事をしていたら神社の収益的にも大赤字でしょうに。」

「知らないよ、でもあの時はサクラを使っていたんだ。」

「男児の行方不明事件を見事に解決していますよね。誘拐事件であることと犯人の特徴やその子が監禁されている場所までピタリと言い当てたとか。これはどうやったんです?」

「えっと、それはだな。・・・た・・たまたまだ。適当に言ったらなんか当たってしまったんだ。」

「当時の警察ですら何の糸口も掴めなかった事件なんですよ。それをたまたまで言い当てられますか?やはりあなたには本物の力があるように思えるんですが。」

「本当に俺はそんな力はないんだ。霊能力ゼロの人間なんだ。何の奇跡も起こせないんだ。」

「本当に本当ですか?」

「本当に本当だ、俺は幽霊すら見る事ができないパチモノなんだよ。」

「フーム、分かりました。粗木田教授、疑ってすいませんでした。」

「分かればいい。」

「あっそうだ。粗木田教授、一応あなたにもお知らせしておきますね。増当田物流にいた彼らの御霊を救おうと思っています。」

「おい、何の話をしている?」

「この前増当田物流の倉庫にいた自然霊達を除霊させようと言った方が分かりやすいですかね。」

すると粗木田は必死にやめるように言ってきたのだった。

「なんだと!!そんな事はダメだ!!すぐにやめさせろ!!」

「もう無理ですよ、五十日祭の儀式はもう始まっていますので。」

「そんな事をするんじゃない!!絶対にやめるんだ!!」

粗木田が必死にやめるように詰め寄ってきたのだった。

「何がダメなんですか?それになぜそんなに必死なんです?あなたは全く関係のない事なのでしょう。幽霊も全く見えないとさっき言っていたじゃないですか。」

粗木田はしどろもどろな返答をしてきた。

「ダメに決まってる、いやそのダメ・・ではないんだがその何て言うか・・やっぱりその・・・ダメというか・・・ダメじゃないというか。」

俺は粗木田教授に畳みかけた。

「粗木田教授、あなたには幽霊が全く見えない。そうですよね?」

「あ、ああ。」

「であればもう帰って頂いて結構ですよ粗木田教授。犯人扱いをして本当にすいませんでした。」

だが粗木田は相変わらず食い下がってきた。

「おい!!待て待て!!今帰るわけには行かない!!そんなわけにはいかないんだよ!!」

「警察として正式に謝罪をしろという事ですか?」

「ああもうそうじゃねえよ!!テメエの謝罪とか警察の謝罪とかそんな事はどうでもいいんだよ!!五十日祭をするのを止めろって言いたいんだよ!!」

「五十日祭をするのを止めろと?」

「そうだ、そんな事は絶対やめてるんだ!!」

「粗木田教授、なぜ今そんな事を言うんですか?」

「なに?」

「貴方は五十日祭をするのを止めろという。なぜそんな事をいうんですか?」

「そんなの当たり前だろうが!!」

「もし貴方が本当に無罪だとすれば、私に対する怒りや憤りの感情がまず湧いて来るはずです。なにせ殺人の濡れ衣を着せられたのですから。にも関わらず貴方はさっきからずっと見えもしないはずの幽霊の事しか気にしていない。なぜですか?」

「えっ、いや、そのー。・・・それはだな・・・・えーっと・・・」

粗木田教授は言葉に詰まっていた。

「私が納得できる説明をしてください。」

すると粗木田はこう釈明をしてきた。

「えっと、実はさっき言った事は嘘だったんだ。」

「貴方には霊能力がないと言った事が嘘だったという事ですか?」

「ああそうだ。実はほんの少しだけ幽霊が見えるんだ。」

「なるほど。」

「それで五十日祭なんかしたらその幽霊達がかわいそうだなと思ったんだ。」

「はて?御霊を救おうとする事の何がいけないんでしょうか?苦しんでいる御霊を放置する事の方がよっぽどかわいそうではないですか?」

「それは。えっと・・・。」

粗木田は再び言い淀んでいた。

「増田物流にいる自然霊達はとても苦しんでいるように見えました。御霊として救ってあげるべきだと私は思いますよ。」

「そ、それは・・・。」

「苦しむ霊達を放置してそのままにしておくなんてそんなひどい事はできませんからな。」

「だから!!それは絶対にダメだと言ってるだろうが!!」

「ですからなぜダメなんですか?」

「それはだな・・・え・・・っと・・・」

「納得できる返答をしてください!!」

「えっと、・・・だか・・・ら!!」

すると粗木田は絶叫したのだった。

「えええいいいいい、クソオオオオオオーー!!!!」

「ウオオオオオ!!!!クソオオオオオーー!!!!」

そして何度も絶叫した後で俺にこう言ってきたのだった。

「ああ!!そうだよ!!お前の言う通りだ!!当夜は守護霊を使って俺が焼死させたんだよ。笠歌線の事件もその栗林って刑事も俺が守護霊を使って殺したんだ!!」
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