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フェルドとスザンヌは身勝手な言い訳を始めました。

「ちょっと待ってください。私が何をしたっていうのんですか?私は大聖女をがんばっていただけですよ。」

「そうだ、王太子の私はやましい事は何もしていない。」

ミハエルがこれを一喝します。

「やましい事は何もしていないだと??ふざけるな!!お前たちの愚かな言動や行動によって治癒院頼って来た人達や国境の近くの町の人々の命を危険に晒した。そしてお前たちは事もあろうに、マリーを悪役令嬢だと言いがかりを大聖女の地位を奪った挙句に、何の権限もないのに、貴族学院の退学処分と国外追放お触れだしてマリーを罪人扱いしただろうが!!」

フェルドが苦しい言い訳を続けます。

「私は王太子として最善を尽くそうとしただけだ。」

ミハエルがフェルドに言い放ちました。

「最善を尽くしただと??笑わせるな。フェルドお前は最悪の判断を下したんだ。わざわざ触れまで出してマリーとの婚約破棄をするという暴挙に出ておいて!!本来はお触れは国王様しか出せないだろうが!!!」

フェルドがミハエルに言いました。

「あれは??そのう??そうだみんなの事を考えてやったんだ。それに俺たちはあの場にいたみんなの事を思ってマリーを婚約破棄にしたんだ。あの場にいたみんなが同じ事を考えていたはずだ。俺はみんなの意見をくみ取って婚約破棄をしただけなんだ。」

ミハエルがフェルドに言いました。

「ふーん、みんなの意見ねえ?なあみんなに聞いてみるか??」

フェルドが困惑した顔で言いました。

「なに?」

すぐにミハエルは舞踏会に出席していた人々に集まってもらいました。

「みんなに尋ねたいんだが?舞踏会に出席していた時にこのフェルドの意見に賛成だったか?ああそうそう、もうフェルドもスザンヌも身分を取り上げられている。今のこの二人はただの罪人でしかない。みんなの素直な意見を聞かせてくれ。」

うーんみんなが口ごもった。

すると舞踏会に出席していたみんなが意見を言い始めました。

「なんでマリーにそんなひどい事するのって思いました。」

「私も。マリーは本当に大聖女を頑張ってたと思うよ。ケガしたときマリーに傷を治してもらった事も何度もあったし。」

「俺もだ。王太子のくせにマリーにこんなひどい嫌がらせをするなんてどうかしてると思った。」

「マリーは本当に不憫だな思ってたよ。」

ミハエルがフェルドに言いました。

「フェルド??どうやら誰もお前に賛同してなかったようだぞ?」

フェルドが慌ててみんなに言いました。

「おい!!みんな!!!あの時心の底ではマリーを追放してほしいと願っていただろう??」

ですがみんなの返答はフェルドの期待を裏切りました。

「そんな事願ってないよ。マリーとってもいい子だし。」

「あなたが王太子だから顔色を合わせてただけよ。私の意見で家の立場を悪くはできないし。」

するとミハエルがフェルドに言いました。

「フェルド??言い直さなきゃな。」

「なんだと?」

「みんなの意見じゃなくて頭が残念な元王太子フェルドのいち個人の意見ですってな。」

「ふざけるな!!!私はまっとうな常識人だ!!」

「常識人が婚約破棄なんかするものか!!常識人が勝手にお触れを出したりするものか!!」

「おい!!スザンヌも何か言ってくれ。」

明らかに分が悪いフェルドはスザンヌに助けを求めたのでした。

ですがスザンヌからの言葉はフェルドが期待した言葉とは真逆のものでした。

「そうですね、私もフェルドが全て悪いと思います。」

慌てたフェルドがスザンヌに聞き返します。

「何を言い出すんだ??スザンヌ。スザンヌは私を愛しているんだからそんな事を言わないでくれ。」

「もうフェルドあなたなんか愛していませんよ。罪人になったあなたなんか愛するわけないじゃないですか?私は王太子様だったあなたを愛していただけです。」

「私の地位目当てに近づいただけなのか??スザンヌ??私の事を心から愛してますって言ってくれたじゃないか?」

「あんなの嘘に決まってるじゃないですか?王太子でなくなったフェルドとなんか一緒にいたくありません!!」

「そんな!!!」

フェルドはスザンヌの裏切りにショックを受けていたようでした。

「このフェルドが全ての責任をとって処刑されますから、このスザンヌは助けてください。マリーさん、一緒に大聖女のお仕事頑張りましょうね。」

ミハエルがスザンヌに言いました。

「スザンヌ?君がやった事が許されると思っているのか?フェルドをそそのかしたのも、大聖女の仕事をこなせると言ってマルステイン王国を危機に追いやった張本人は君なんだぞ!!」

私がスザンヌに言いました。

「あなたがやった事は許させる限度をとうに超えています。あれだけの事をしておいて許してくださいなんて虫がよすぎます。」

スザンヌが明るい顔でこう私に言いました。

「だったらこのフェルドを盛大に苦しめて処刑して構いませんから!!!ねっ??」

今度はフェルドが大きな声で言いました。

「ふざけるな!!スザンヌ!!お前が俺の代わりに苦しめられて処刑されろ!!」

スザンヌがフェルドに言った。

「そんなの絶対に嫌です。スザンヌはちゃんと大聖女としての役目は果たしていたと思うし。」

ミハエルがスザンヌに言った。

「全然役目を果たせてないから、今君は捕まってるんだぞ!!!」

私がスザンヌに言いました。

「すべての元凶はあなたなんですよ。許されるわけがないでしょう。」

私とミハエルはしばらく考え込みました。

するとまずミハエルが私に言いました。

「マリー??二人には死罪を申し渡そうと思うが?どうだろう?」

ミハエルも私と同じ事を考えていたんですね。

私がミハエルに言いました。

「そうですね、あれだけの事をしたのですから死罪は妥当だと思います。反省している様子も全くみられませんしね。」

そしてミハエルがフェルドとスザンヌに処罰を言い渡しました。

「フェルドそしてスザンヌの両名には死罪を申し渡す。」

フェルドとスザンヌは大きく驚いていました。

「死罪だと??」

「うそでしょ??」

慌てたスザンヌはミハエルに尋ねました。

「待ってください。まさか本当に私を処刑する気なんですか?」

ミハエルがスザンヌに言った。

「もちろんそのつもりだ。死罪なんだから当然だろう。」

スザンヌがミハエルに言った。

「待ってください!!私??死にたくないんですけど?」

ミハエルがスザンヌに言った。

「誰だって死にたくはないよ。君は大きな過ちを自ら進んで犯したんだ。その償いをしなくてはならない。」

スザンヌがミハエルに言った。

「私の可愛さで許してもらえませんか?」

ミハエルがスザンヌに言った。

「無理だ。」

するとスザンヌはとんでもない事を言いました。

「それならあなたの女になりますから助けてください。」

ミハエルは呆れた様子でスザンヌに言いました。

「君は節操がないな。悪いがその必要はない。君のような心の汚れた女性とは関わりたくはないし、なによりも俺はマリーのそばにいたいからな!!」

だからそういうのをはっきりと言わないでください。聞いてる私の方が恥ずかしくなってきちゃいます。

スザンヌはさらに慌ててミハエルに言いました。

「そんな??待ってください!!!それじゃあ何をしたら助けてくれるんですか??」

ミハエルがスザンヌに言いました。

「だから何をしても助けないよ。君は死罪と決まったんだ。それをちゃんと受け入れろ!!!」

「そんな!!!」

「そうだ、銀のアミュレットは返してもらうよ。少なくとも君にはそれを持っている資格がない。」

ミハエルはそう言うと大聖女の証である銀のアミュレットをスザンヌの首から外して取り上げたのでした。

すると今度はフェルドがミハエルに言いました。

「おい!!こんな奴はいいから、私を助けろ!!遠縁とはいえ親戚だろう??なあ目をこぼしてくれよ。」

ミハエルがフェルドに言いました。

「親戚だからこそフェルドお前を断罪しなくてはならないだよ!!それにマリーを困らせた貴様を許す事など到底できない!!!」

するとフェルドは事もあろうに私に話しかけてきました。

「なあ、マリー??本当に俺が悪かった、この通りだ。これから一緒にやり直おそう。だからミハイルに死罪は止めるように言ってくれ?なっ??」

私はこのフェルドという男に呆れながら言いました。

「今さらよくそんな事が言えますね。悪役令嬢だのなんだのあれだけ無礼な事を私にしておいて。」

本当にふざけた男です。今さらそんな事を言って私が許すわけないでしょう。

フェルドはふざけた言い訳を続けました。

「この見てくれだけの汚れた女に騙されていただけなんだ。悪いのは全てスザンヌなんだ。」

「全てあなたが招いた結果でしょう?私ちゃんと忠告しましたよね。スザンヌを大聖女にしたらとんでもない事になりますよ、フェルドあなたの人生が終わってしまいますよ。って実際にその通りになったでしょう?」

フェルドは目に涙を浮かべて私に言いました。

「ああマリーお前の言う通りだった。だから頼む!!助けてくれ。」

「すでに手遅れです。忠告を聞くならあの時に聞かなければならなかったんですよ。」

「マリー様、お願いします。助けてください。」

私は最後にフェルドに冷たく言い放ちました。

「いいじゃないですか、スザンヌと一緒に処刑されれば、真実の愛を見つけったって言ってましたよね。スザンヌとの真実の愛を示せる絶好のチャンスですよ。」

そしてミハエルが大きな声で言った。

「ではこれより刑を執行を行う。フェルドとスザンヌを処刑場へと連行しろ!!」

「はっ!!」

公爵家に仕える騎士達によってフェルドとスザンヌはそのまま処刑場へと引きずられていきました。

私とミハエルも処刑場へと移動しました。

私が到着した時には処刑場の中央には2台のギロチン(処刑台)が並べて用意されており、領地の人々や諸侯達がすでに待機していました。

まずはフェルドが処刑台へと連れていかれました。

「うあーー、嫌だ!!!死にたくない!!助けてくれ!!!」

フェルドはそう大声で叫びながら処刑台へとひきずられていきました。

そしてフェルドが処刑台の上へと乗せられました。

次にスザンヌが処刑台へと引きずられていきました。

「ちょっと??本気で私を殺すつもりなんですか??お願いです!!お願いです助けてください!!」

スザンヌはそう大声で叫びながら引きずられていきました。

せして今度はスザンヌが処刑台の上へと乗せられました。

しかし処刑台の上でもフェルドとスザンヌが大声でわめき合っていました。

「嫌だ!!私はまだ死にたくない!!!」

「いやああああ!!死にたくないです!!死にたくないです!!!」

「頼む!!考えなおしてくれ!!」

「だれか??だれでもいいから助けてください!!!助けてくれた人に愛人として尽くしますから!!」

「お前ふざけるんじゃねえぞ!!この尻軽女が!!!」

「あなたの声なんて聞きたくもありません。黙っててください!!!」

「テメエが黙ってりゃいいだろうが!!!」

ミハエルが呆れた様子で二人に言いました。

「はあ全く!!お前達は醜態をさらす事しかできないのか?」

ミハエルが宣言しました。

「ではこれよりフェルドとスザンヌの死罪の執行を執り行う!!!」

フェルドとスザンヌはお構いなしに言い合いを続けていました。

「待ってくれ!!!殺すならこの女だけにしろ!!!全てスザンヌが悪い!!スザンヌをどれだけ苦しめて殺しても構わない!!だから王太子である私は助けてくれ!!」

「余計な事言わないでください!!悪いのはすべてこの男なんです!!!フェルドをどれだけ苦しめて殺しても構いませんから私だけは助けてください!!!助けてくれたら愛人になってあげますよ!!!」

「おいテメエ余計な事言うんじゃねえ!!」

「フェルドこそ黙ってください!!!」

「よし構え。」

ミハエルが手を上にあげました。

「うあああ!!!いやだああああ!!!たすけてくれ!!!」

「お願いです!!!殺さないでください!!!!殺さないでください!!!死にたくありません!!!」

「執行!!!」

そしてミハエルの号令と同時にギロチンの鋭い刃がフェルドとスザンヌの首にめがけて振り下ろされました。

そして次の瞬間にフェルドとスザンヌの首が地面転がり落ちました。

フェルドとスザンヌの体は頭部を切り落とされて、ドサッと地面へと崩れていきました。

二人の処刑が完了しました。

それから半年の月日が経ちました。

馬車に揺られながら、横に座っているミハエルと私は話をしていました。

「うん、銀のアミュレットをしているマリーは素敵だね。」

「ありがとうミハエル。」

私は首につけている銀のアミュレットを見ながらそうミハエルに返事をしました。

「それにマリー君は本当の天才だと思うよ。」

「そんな事ありませんよ。」

「量産化は不可能と言われていた奇跡の回復薬であるエリクサーの量産を成功させてしまったんだよ。」

「ええ、エリクサーの傷を癒す能力はポーションの比ではありませんからね。量産ができれば治療院の業務が劇的に変えられるとはずっと考えていましたから。」

「さらには結界魔法の付与まで開発してしまうとはね。」

「ええ、結界魔法は特に維持するのがネックでしたからね。これからは結界魔法を付与された魔導士ならばだれでも維持する事ができるようになりました。」

「義父上も義母上もたいそう喜んでおられた。これで義母上のご負担も減らす事ができるってね。」

「大したことは何もしていませんよ。」

「君はまちがいなく大聖女と呼ばれるにふさわしいよ。君と一緒に歩んでいける事を誇りに思う。」

「ありがとう、ミハエル。私もあなたと一緒になれてとてもうれしい。」

「これで王妃様の負担を軽くなるでしょう。」

「正直君が大聖女に戻ると言ったときは、嬉しさもあったんだが心配でもあったんだ。せっかく縛りから解放されたのにまた死ぬほど働かされてしまうのではないかとね。」

「私を心配してくれてたんですね。」

「ああ、義父上が君に過酷な労働をさせようとしたら、君と一緒にこの王国から逃げ出すつもりだったからね。」

「ありがとうございます。」

「でもミハエルも王太子様になれたじゃないですか?」

「ああ、まさか俺に王家に入ってくれと言われるとは思わなかったよ。まあ確かに俺も王位継承権は持ってはいたが、父上や叔父上を差し置いて指名されるとはね。」

グスタリア公爵家はもともと王家の分家であり王家に後継者がいなくなった時はグスタリア公爵家からも国王が出せるようになっているのです。

ですのでフェルドよりは順位は下になるのですがミハエルにも王位継承権があったのでした。そして国王様はなんとミハエルに次の王家の後継者として指名されたのでした。

「正直、王族になりたいなんて思っていなったから、マリー君が大聖女に復帰するという話を聞かなければ断っていた。」

「国王様も王妃様を私達を正式な仲を知ってたんですね。」

「きっと今回の件の詫びの意味もあるんだろうけど、俺としてはとにかくうれしいよ。マリーと一緒に歩んでいける事を。」

ミハエルは顔を赤くしながらそう言いました。

「私もです。ミハエル。あなたと結ばれて一緒に歩んでいける事がとても幸せです。」

私もかなり恥ずかしいのできっと顔は真っ赤になっているでしょうね。

するとミハエルが私に言いました。

「マリー??もう一回言っていいかい。」

「何回でも聞かせてください。」

「マリー愛しているよ。」

「私もです。ミハエル。」

そしてミハエルの唇がゆっくりと私の唇に近づいてきました。

私はゆっくりと目をつぶりました。

少しして暖かな唇が私の唇と合わさりました。

私はミハエルと深い口づけをかわしました。

そして名残りおしそうにミハエルが真っ赤な顔を遠ざけていきました。

きっと私の顔も赤くなっているはずです。

ミハエルとキスした後はやぱっり心臓がドキドキします。

「マリー、ありがとう。」

「いえいえ私もとっても満たされますから。」

するとミハエルが私に言いました。

「そうだ、マリー??ひとついいかい?」

「何ですか?ミハエル??」

「くれぐれも働きすぎてはいけないよ。一日8時間以上働いたりしないこと、そして一週間に二日は休みを取るんだよ。」

「はい、現状それ以下に抑えられてますから大丈夫ですよ。今の大聖女のお勤めはホワイトな状況そのものですから。こうして長期休暇もとれましたし、しばらくグスタリア公爵家公爵領で羽を伸ばすつもりです。」

「そうかなら良かった。」

「また昔みたいにハーゼルの町を回りませんか?」

「そうだな。このまま行ってみるとしようか。」

私たちはその後で昔に二人でよく過ごしていたバーゼルの町へと向かうのでした。

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