歳時記カフェ

青西瓜

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【06 1月5日 初競り】

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・【06 1月5日 初競り】


「二日目だけども、何か疲れちゃったね」
 正月休みを挟んで、カフェを再開してから二日目。
 お風呂でゆっくりしたつもりなんだけども、まだ疲れは取れず。
 別に何をしているわけでもないんけども、やっぱりずっと厨房に立っていると疲れてしまうのかもしれない。
 するとテイが近付いてきて、
「労おうか、いや労うという言葉は本来目上の人には使わない言葉らしいから、えっと」
「テイ、また辞書で勉強? 別に私とテイは平等な存在だから労うでもいいんだよ」
「いやいや、俺にとって寧はお姫様だから。敬うのは当然」
「お姫様よりも、対等に話し合える幼馴染のほうがいいなぁ」
「幼馴染……ポッと出の俺には無理だ……」
 そう言って膝から崩れ落ちたテイ。
 いやそうじゃなくて、
「そういう心持ちで居てほしいという意味だから」
「なるほど! マジで幼馴染を欲しているんだと思った!」
「そんなはずないでしょ、私にはクラとテイがいてくれるだけでいいんだから」
「それならお安い御用さ!」
 そう言ってジャンピングガッツポーズをしたテイ。
 まあ元気になるならそれでいいけども。
 それにしても、
「何かカフェの価格も初競り価格にして商売して、マッサージチェアでも買いたいなぁ」
 と私が呟くように言うと、テイは小首を傾げながら、
「初競り価格ってなんだい?」
「初競り価格というのは、まずこの時期に各地の市場では初競りを行なうの。その時に景気付けの意味も込めて、初競り限定のご祝儀相場でやり取りするんだって。競り値は超高値で、ほら、さっきテレビでマグロを超高額で買っている寿司屋さんが映ったじゃない。それのこと」
 テイは「なるほど」と感嘆の息を漏らした。
 するとクラがぴょんぴょん飛び跳ねながら、
「じゃあクラには初競り価格のお年玉をちょうだい!」
 と言ったので、私は首を横に振ってから、
「そういうことじゃないっ」
 と答えると、テイが廊下に出て、何だろうと思っていると手にいっぱいのみかんを持ってきて、クラの前で優しく、そのみかんをこたつの上のテーブルに転がしながら、
「お年玉みかんだよー」
 と言った。
 多分”落とし玉みかん”でもあるんだろうけども、テイ元来の優しさから完全に転がしているなぁ、と思って見ていると、早速クラがみかんを食べ始めて、
「おいしいー」
 と言うと、なんとクラが段々黄色くなっていき、しかもちょっと光り始めたのだ。
 それに対してテイはうんうんと頷きながら、
「真っ黄っ黄になって光るなんて縁起ものだぁ」
「いやというかもう結構眩しいんだけども」
 と私が言うと、テイは目を見開いて力強く、
「いいや! 俺のほうが眩しいと思っている!」
「そんなんどっちもよ!」
「いいや俺のほうが絶対眩しいと思っている! だってもうさっきよりも眩しいから!」
「いや競りみたいに上げていこうとしないでよ」
 と私はテイの肩を軽く叩くと、テイは私の両肩を手で掴みながら、
「だって寧も可愛くていつも輝いているから眩しいんだよ! 絶対俺のほうが眩しいと思っている! もうさっきの二倍!」
「じゃあ負けでいいけどもっ」
 と私がちょっと気恥ずかしくなりながらもそう答えると、テイは優しく微笑んで、
「だから眩し過ぎだって」
 と言った。
 するとクラが負けられないという瞳で、
「じゃあ僕はもっと光る!」
 と言ったんだけども、それは本当にちょっと困るので、
「クラはもう光らなくていいから! どうあがいてもクラの勝ちだから!」
 と私が言うと、クラは満足げな顔をしてから、元に戻った。
 クラったら、みかんを食べて黄色くなるなんて、私たちのみかん食べ過ぎ指かよ。
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