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【07 1月6日 寒の入り】

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・【07 1月6日 寒の入り】


 私は朝の寒さに震えながら、ストーブの電気をつけた。
 するとテイが少し遅れて、一階の居間にやって来て、私の手を握りながら、こう言った。
「おはよう。手が冷たいみたいだから、朝の準備は俺がやっておくから、寧はこたつの中で温まってて」
「いいよ、だって今日は寒の入りだから寒くて当然だしさ」
 それに対して、ずっとこたつの中に入っていたクラが起き上がって、外に出てきて、
「寒の入りって何ぃ?」
 って聞いてきたので、私は答えることにした。
「寒の入りというのは、今日から始まる二十四節気の小寒と大寒を合わせた期間で、一年で一番寒い季節のことを言うの。ちなみにこの時分で行なう武道の練習を寒稽古と言って、風物詩にもなっているよ。多分今日の昼に寒稽古やっている映像撮って、夕方のニュースで流れるんじゃないかな。そういう、波打ち際に向かって正拳突きしているような映像」
 テイは顎に手を置いて何か考えている様子。
 何だろうと思っていると、テイがゆっくりと口を開いた。
「じゃあ今日は俺から寧へ、暖の入りをする。しっかりついてくるように!」
 そう言って正拳突きをすると、それに合わせてクラも二足歩行のように立って腕をシュビッと伸ばした。
 私は小首を傾げながら、
「暖の入りって何よ」
 と言うと、テイは両腕を曲げて、腰に当てて、押忍! といった感じのポーズをしながら、
「これから暖稽古を行なうんだ! せい!」
 と言ってまた正拳突きをした。クラもまた同じようにテイの真似をした。
 いやいや、
「暖かい時にする稽古は普通だから。夏だから。冬でもちゃんと水分取ろうという話?」
「違う! まずは寧がこたつに座る!」
 そう言って私をこたつに座るよう手で促してきたので、まあ付き合ってやるかと思って座ってあげると、テイが優しく私に毛布を掛けてきた。
「何これ、暑さ我慢大会みたいなこと?」
「そうじゃない! これは俺の暖かい優しさに慣れる稽古だ! せい!」
 もう完全に同時で正拳突きするようになったテイとクラ。
 私は少し呆れるように、
「優しさに慣れちゃったらダメなんじゃないの? 有難みが感じなくなっちゃうんじゃないの?」
「そうなったら! もっと上の暖稽古がある! 俺の進化は止まらない! せい! せい!」
 と言って左右の正拳突きをしたテイと、同じ右腕だけをシュッシュッと二回したクラ。クラの正拳突きの解像度低いなぁ。
 そんなことを思いながら、クラのほうを見ていると、
「僕も進化するよ!」
 と言った刹那、まばゆい光に包まれたと思ったら、その光の陰はどんどん大きくなり、なんとクラが人型の、ガテン系の赤髪ツーブロックになったのだ!
 テイとはまた違った感じのイケメンで、細長の瞳が笑っていて、優しそうだ。
「僕からの暖稽古だよ、寧」
 そう言ってこたつに座っている私の近くにしゃがんで、包み込むようにバックハグをしてきたクラ。
 私はその暖かさについ、
「暖かい……」
 とそのまま口にしてしまうと、テイが大きな声を上げた。
「せい! 制止! ダメ! 終わり! 暖稽古はもう中止! クラも元に戻ること!」
 するとクラがハグをやめつつも、耳元で、
「もう終わりだってさ」
 と囁いてから立ち上がって、クラが元いた場所に歩いたので、私はついクラのほうを視線で追ってしまうと、微笑みながらこっちへ向かって手を振ってから、元のクラに戻った。
 私はちょっとムッとしながら、
「せっかくクラが暖かったのにさ、もしかするとテイ、嫉妬してるの?」
 と少し意地悪そうに聞いてみると、テイはこう叫んだ。
「嫉妬しているに決まっているだろ! 俺は寧のことが好きなんだから!」
 直球過ぎて何だかニヤけてしまった。
 それを見たテイが、
「笑ってもいい! 俺が寧を好きな気持ちを寧が笑ってもいい! むしろ笑ったほうが楽しい雰囲気だから良い! 今日も可愛いよ! 寧! せい!」
 と少し照れ臭そうに正拳突きをしたテイに私は最強過ぎると思ってしまった。
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