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【31 1月30日 味噌の日】
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・【31 1月30日 味噌の日】
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今日は味噌の日ということで、味噌汁フェアをすることにした。
各種具材を三種類選べるといった感じだ。
干物の用意は勿論、味変として、梅おかかや辛子高菜などのおにぎりの具材も用意した。
ただの味噌汁だけじゃなくて、いろんな風味のする味噌汁を味わってほしいからだ。
それによりお椀は少し小さめのモノを選んだ。二杯、三杯とたくさん飲んでほしいから。
テイが辛子高菜を混ぜながら煮詰めている最中に、こんなことを言った。
「味噌って日本人が昔から慣れ親しんでいる調味料なんだよね」
「そうだよ、というかこういう味噌というモノを扱う国は日本くらいなんじゃないかな」
「ということは味噌のことわざとか、いっぱいあるんじゃないかな? 慣用句というか、そういうの」
「なるほど、テイはそういうことも知りたいわけね」
「そう! 好きなモノのことは何でも知りたいからね! 勿論寧のことも!」
と嬉しそうに笑ったテイ。
いやまあ、
「とってつけたように有難うね」
と軽くあしらうようにとりあえず言ってから、私は語るように喋り出した。
「有名なことわざで、江戸時代からあるヤツは『味噌は医者いらず』だね、味噌を食べていれば健康ということわざで現代科学が解明した結果、本当に味噌って体に良いらしいよ。勿論何でも過ぎたるは及ばざるごとしだけどね」
「じゃあ寧が居れば辞書いらずだ」
「辞書も医者も必要だけどね」
と言っておくと、クラが飛び出してきて、
「他は! 他には無いの!」
と言ってきたので、私はう~んと思い出してから、
「同じようなことわざだけども、医者に金を払うよりも味噌屋に払え、ってヤツもあるよ」
クラは頷きながら、
「わ~ぉ、本当にほぼ一緒だぁ」
と言って、何かそのぼんやりとした言い方に笑いそうになってしまった。
テイは小首を傾げながら、
「もっと無いものか」
と言ったんだけども、まあ知ってるは知ってる。
でもあんまカフェの準備中に言うヤツじゃないんだよなぁ、と思っていると、クラがすぐさま、
「それも教えて!」
と言ってきたので、すぐさま私は、
「また読心魔法っ?」
「いや今のは普通に何か言いたげだったから! 僕は魔法使わなくたって寧の気持ち分かるよ! テイとは違うんだから!」
テイが何だか妙に焦りながら、
「俺は魔法とか使えないから!」
と叫んで、いや、
「そういうことじゃなくて。むしろ俺も寧の気持ち分かるよ、とか言ってほしかったよ」
とツッコむように、ちゃんと冗談っぽく言うと、
「そ! そうだった!」
と後ろ頭を軽く叩いたテイ。
というか、
「まあ言ってほしい言葉をこうやって促すことほどダサいことは無いけどもね」
するとクラが両手を挙げながら、
「話がズレてる! 寧のことわざ教えてよ!」
「あーぁ、このまま忘れてくれれば良かったのになぁ……」
と、もう思ってることが口から出てしまった。
何故なら私の知っている慣用句は『味噌も糞も一緒』だから。糞って今日日、乙女言わないでしょ。言うほど乙女でもないけどもさ。
と思ったところで、クラがグッと拳を握りながら、
「もういいよ! 僕今から江戸時代の味噌屋さんを口寄せして聞くから! ちゃんとテイは出てきたことわざメモして後から僕に教えてね!」
それに対してテイは敬礼しながら、
「分かりました!」
と答えた。こういう時の連携は仲良いなぁ、と思っていると、クラはその場で、キッチンの床で座禅を組んで呪文を唱え始めた。
クラは煙に包まれて、次に姿を現したその時には、鉢巻きを巻いた元気そうな若い男性に変わっていた。
「ここはどういう世界でぇい! ちゃんと説明を聞いていなかったでぇい!」
スタートから大丈夫かよと思ってしまったが、テイがすぐに喋り出した。
「今は江戸時代から約四百年後の世界で、味噌屋さんから味噌のことわざを聞きたくて、やって来てもらったんだ」
テイが的確に説明してくれたけど、果たして。
味噌屋さんだと思われる若い男性は首を振ってキョロキョロしてから、
「ここから動けないということはもう会話するしかないでぇい! 味噌のことわざを知りたいってことでぇな! 任すでぇい!」
『こと”でぇ”な』……? 何かちょっと言葉に違和感を抱くけども本当に大丈夫だろうか。
まあいいや、クラが口寄せしているわけだから、どこか変なところがあってもそれは致し方ないことだろう。
この人が動けないことも分かったので、ここは安心して、
「というわけで突然ですが、ことわざや慣用句を教えてくれませんか?」
と聞くと、その若い男性は自分の袖で鼻の下をグイッと拭いたところで、こう言った。
「味噌と糞も一緒ということわざがあるでぇい!」
真っ先に私が言わないようにしていたヤツを言ったので、吹き出してしまった。
ヤバイ、ヤバイ、仕事道具にギリギリ唾掛からなくて良かったけども。
テイは頭上に疑問符を浮かべながら、
「それはどういう意味だ? その時代の調味料?」
「違うでぇい! 何もかも性質が全然違うモノを、区別することなく、何もかも一緒くにするという意味でぇい!」
するとテイが、
「でも味噌も糞も似ているけどなぁ」
と言って、何か嫌な価値観聞いちゃったなと思ってしまった。いや形状がって話だし、この慣用句もそういうところからきているんだろうけども。
「まあこういうのの変なところはいっぱいあるでぇい!」
と味噌屋さんはザックリと言って、まああんま詳しくは知らないといった感じだ。
まあいい、他に何か知っているかなと思っていると、
「まだまだあるでぇい! 味噌があると薬が立たぬ、とかでぇい!」
聞いたことは無いけども、医者関係のヤツだ。
この系統が多すぎるなぁ、と思っていると、味噌屋さんは矢継ぎ早に口を開いて、
「味噌無くしては江戸城ナシでぇい!」
これも聞いたことないけども、何か、なんとなくなんだけども、この人が今適当に作ってる感をちょっと抱いて。
テイは楽しそうに頷いているけども、大丈夫かこの味噌屋さんはと思っていると、
「医者は味噌を塗り薬にしたい、でぇい!」
いやこれはさすがに嘘だろ。
味噌は塗り薬よりも口に入れたほうが絶対良いだろ、こんな滑稽なことわざないだろ、と思って、
「味噌屋さん、今思いついたことを適当に言っていませんよね?」
と聞いてみると、味噌屋さんはギクゥッといったような表情をして、額から汗を垂らしながら、
「本当でぇい! 味噌のことわざは江戸一でぇい!」
と言い出して、あぁこれは”やってるな”と思った。
もういいや、
「クラ、この人にはもう帰ってもらって。盛り上げようとしていることは有難いけども、嘘ついてるから。嘘ついてうるさいから」
「待ってほしいでぇい! 久々に生身のべっぴんさんと会話できているでぇい! しかも見たこと無いほど絶世ときたもんだでぇい!」
「いやそういうおべっか、あんまりなので……」
とあえて過剰にヒくように言うと、味噌屋さんはめちゃくちゃデカい声で、
「せっかく楽しいことになってきてるでぇい! 待ってほしいでぇい! あとこれもあるでぇい! 味噌があると薬が立たぬ!」
それに対してテイが、
「さっきも言ったよ」
と言ったところで味噌屋さんは舌をチッチッチッと鳴らして、
「いいや! 味噌屋はうるさくないと名が立たぬ! でぇい!」
私は即座に、
「営業のための喋りが逆効果を産むこともありますよ」
と切り返すと、味噌屋さんは自分のおでこを叩きながら、
「それは生前も良く言われたでぇい!」
と言いながら煙に包まれて消えて行った。
良く言われたんかい。
・【31 1月30日 味噌の日】
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今日は味噌の日ということで、味噌汁フェアをすることにした。
各種具材を三種類選べるといった感じだ。
干物の用意は勿論、味変として、梅おかかや辛子高菜などのおにぎりの具材も用意した。
ただの味噌汁だけじゃなくて、いろんな風味のする味噌汁を味わってほしいからだ。
それによりお椀は少し小さめのモノを選んだ。二杯、三杯とたくさん飲んでほしいから。
テイが辛子高菜を混ぜながら煮詰めている最中に、こんなことを言った。
「味噌って日本人が昔から慣れ親しんでいる調味料なんだよね」
「そうだよ、というかこういう味噌というモノを扱う国は日本くらいなんじゃないかな」
「ということは味噌のことわざとか、いっぱいあるんじゃないかな? 慣用句というか、そういうの」
「なるほど、テイはそういうことも知りたいわけね」
「そう! 好きなモノのことは何でも知りたいからね! 勿論寧のことも!」
と嬉しそうに笑ったテイ。
いやまあ、
「とってつけたように有難うね」
と軽くあしらうようにとりあえず言ってから、私は語るように喋り出した。
「有名なことわざで、江戸時代からあるヤツは『味噌は医者いらず』だね、味噌を食べていれば健康ということわざで現代科学が解明した結果、本当に味噌って体に良いらしいよ。勿論何でも過ぎたるは及ばざるごとしだけどね」
「じゃあ寧が居れば辞書いらずだ」
「辞書も医者も必要だけどね」
と言っておくと、クラが飛び出してきて、
「他は! 他には無いの!」
と言ってきたので、私はう~んと思い出してから、
「同じようなことわざだけども、医者に金を払うよりも味噌屋に払え、ってヤツもあるよ」
クラは頷きながら、
「わ~ぉ、本当にほぼ一緒だぁ」
と言って、何かそのぼんやりとした言い方に笑いそうになってしまった。
テイは小首を傾げながら、
「もっと無いものか」
と言ったんだけども、まあ知ってるは知ってる。
でもあんまカフェの準備中に言うヤツじゃないんだよなぁ、と思っていると、クラがすぐさま、
「それも教えて!」
と言ってきたので、すぐさま私は、
「また読心魔法っ?」
「いや今のは普通に何か言いたげだったから! 僕は魔法使わなくたって寧の気持ち分かるよ! テイとは違うんだから!」
テイが何だか妙に焦りながら、
「俺は魔法とか使えないから!」
と叫んで、いや、
「そういうことじゃなくて。むしろ俺も寧の気持ち分かるよ、とか言ってほしかったよ」
とツッコむように、ちゃんと冗談っぽく言うと、
「そ! そうだった!」
と後ろ頭を軽く叩いたテイ。
というか、
「まあ言ってほしい言葉をこうやって促すことほどダサいことは無いけどもね」
するとクラが両手を挙げながら、
「話がズレてる! 寧のことわざ教えてよ!」
「あーぁ、このまま忘れてくれれば良かったのになぁ……」
と、もう思ってることが口から出てしまった。
何故なら私の知っている慣用句は『味噌も糞も一緒』だから。糞って今日日、乙女言わないでしょ。言うほど乙女でもないけどもさ。
と思ったところで、クラがグッと拳を握りながら、
「もういいよ! 僕今から江戸時代の味噌屋さんを口寄せして聞くから! ちゃんとテイは出てきたことわざメモして後から僕に教えてね!」
それに対してテイは敬礼しながら、
「分かりました!」
と答えた。こういう時の連携は仲良いなぁ、と思っていると、クラはその場で、キッチンの床で座禅を組んで呪文を唱え始めた。
クラは煙に包まれて、次に姿を現したその時には、鉢巻きを巻いた元気そうな若い男性に変わっていた。
「ここはどういう世界でぇい! ちゃんと説明を聞いていなかったでぇい!」
スタートから大丈夫かよと思ってしまったが、テイがすぐに喋り出した。
「今は江戸時代から約四百年後の世界で、味噌屋さんから味噌のことわざを聞きたくて、やって来てもらったんだ」
テイが的確に説明してくれたけど、果たして。
味噌屋さんだと思われる若い男性は首を振ってキョロキョロしてから、
「ここから動けないということはもう会話するしかないでぇい! 味噌のことわざを知りたいってことでぇな! 任すでぇい!」
『こと”でぇ”な』……? 何かちょっと言葉に違和感を抱くけども本当に大丈夫だろうか。
まあいいや、クラが口寄せしているわけだから、どこか変なところがあってもそれは致し方ないことだろう。
この人が動けないことも分かったので、ここは安心して、
「というわけで突然ですが、ことわざや慣用句を教えてくれませんか?」
と聞くと、その若い男性は自分の袖で鼻の下をグイッと拭いたところで、こう言った。
「味噌と糞も一緒ということわざがあるでぇい!」
真っ先に私が言わないようにしていたヤツを言ったので、吹き出してしまった。
ヤバイ、ヤバイ、仕事道具にギリギリ唾掛からなくて良かったけども。
テイは頭上に疑問符を浮かべながら、
「それはどういう意味だ? その時代の調味料?」
「違うでぇい! 何もかも性質が全然違うモノを、区別することなく、何もかも一緒くにするという意味でぇい!」
するとテイが、
「でも味噌も糞も似ているけどなぁ」
と言って、何か嫌な価値観聞いちゃったなと思ってしまった。いや形状がって話だし、この慣用句もそういうところからきているんだろうけども。
「まあこういうのの変なところはいっぱいあるでぇい!」
と味噌屋さんはザックリと言って、まああんま詳しくは知らないといった感じだ。
まあいい、他に何か知っているかなと思っていると、
「まだまだあるでぇい! 味噌があると薬が立たぬ、とかでぇい!」
聞いたことは無いけども、医者関係のヤツだ。
この系統が多すぎるなぁ、と思っていると、味噌屋さんは矢継ぎ早に口を開いて、
「味噌無くしては江戸城ナシでぇい!」
これも聞いたことないけども、何か、なんとなくなんだけども、この人が今適当に作ってる感をちょっと抱いて。
テイは楽しそうに頷いているけども、大丈夫かこの味噌屋さんはと思っていると、
「医者は味噌を塗り薬にしたい、でぇい!」
いやこれはさすがに嘘だろ。
味噌は塗り薬よりも口に入れたほうが絶対良いだろ、こんな滑稽なことわざないだろ、と思って、
「味噌屋さん、今思いついたことを適当に言っていませんよね?」
と聞いてみると、味噌屋さんはギクゥッといったような表情をして、額から汗を垂らしながら、
「本当でぇい! 味噌のことわざは江戸一でぇい!」
と言い出して、あぁこれは”やってるな”と思った。
もういいや、
「クラ、この人にはもう帰ってもらって。盛り上げようとしていることは有難いけども、嘘ついてるから。嘘ついてうるさいから」
「待ってほしいでぇい! 久々に生身のべっぴんさんと会話できているでぇい! しかも見たこと無いほど絶世ときたもんだでぇい!」
「いやそういうおべっか、あんまりなので……」
とあえて過剰にヒくように言うと、味噌屋さんはめちゃくちゃデカい声で、
「せっかく楽しいことになってきてるでぇい! 待ってほしいでぇい! あとこれもあるでぇい! 味噌があると薬が立たぬ!」
それに対してテイが、
「さっきも言ったよ」
と言ったところで味噌屋さんは舌をチッチッチッと鳴らして、
「いいや! 味噌屋はうるさくないと名が立たぬ! でぇい!」
私は即座に、
「営業のための喋りが逆効果を産むこともありますよ」
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