歳時記カフェ

青西瓜

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【37 2月5日 春告草】

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・【37 2月5日 春告草】


 梅の花が少しずつ咲き始める季節。
 今日は春告草ということで、梅フェアをちょっと長めにすることにした一日目だった。
 閉店の札を置いたところで、居間に戻ってくると、テイが何だか嬉しそうにこっちを出迎えている。
 何だろうと思っていると、テイがこう言った。
「梅は春告草! 五弁の花なので、俺は五回の答弁をする! まずは一つ目! 寧! いつも美しく可憐だ! 今日も可愛いよ!」
「もう三つ言ってない?」
 とほんの少しだけ呆れながら、こたつの中に入ると、
「次が二つ目! いつも優しくて有難う! 訳の分からないだろうクラにも優しくしてくれて嬉しいよ!」
 と言ったところで、こたつの中から顔を出してクラが、
「訳の分からないって」
 とツッコむように言ったので、すぐさまテイが、
「ミステリアスってことっ!」
 と言うと、クラが納得した顔をしながら、
「じゃあいいけどっ」
 と言った。じゃあいいんかいとは思った。
 いやまあまずテイへ何か言わないとダメだよね。
「そんなん一緒に生活する相手に対しては当たり前じゃん」
「三つ目! 料理が美味しい! 俺も寧みたいに上手くなりたいよ!」
「十分上手くなってきているよ、成長速度は嫉妬するくらい」
「四つ目! こんな俺と一緒にいてくれて本当に有難い! 俺なんて正直怪しいでしょ!」
 まあ怪しさはある、異世界的な部分。
 でも言いたくないみたいだし、聞く必要は無いよね。
「まあ私も好きだからね」
 と言ってあげることにした。
 するとテイは満面の笑みをして、可愛いなぁ、とは思った。
「五つ目! 俺も大好き! というか俺のほうが好きだと思う!」
 何か四つ目とかぶっているような気がする。
 あとそうだね、
「テイ、春告草の梅は控えめで気品溢れるお花だから、今のテイはちょっと派手過ぎたね」
 と言うと、テイはハッとした表情をして、少し肩を落とした。ミスった、という感じ。
「でも有難うね、私先にお風呂行ってくるよ」
 と言ったあとに、ちょっと冷淡過ぎたかなと今、お風呂場で反省している。
 もうちょっとオーバーに喜んであげたほうがいいかなとか考えた。
 でも春告草を元ネタにするなら、あんな大きな声じゃないほうが良かったのでは、とは思っている。
 お風呂から上がってくると、こたつの上に、淡いエメラルドグリーンの液体が入った、コップが置いてあった。
 それを見るなり、テイが落ち着いた声でこう言った。
「梅のシロップで梅寒天を作ったから、あとでまったり食べよう。やわらかく甘い、時に爽やかに甘酸っぱい、そんな恋愛をしていこうよ」
「六つになっちゃったじゃん」
 と私が言うと、テイは笑顔で、
「梅の花は一個だけじゃないからね、どんどん咲いていくわけだから、俺の言葉もどんどん咲かせていこうと思うよ」
 お風呂場での反省もあるので、
「有難う。いつも嬉しい言葉をくれて。私だってテイのこと大好きなんだからね」
 と思っていることをそのまま口にすると、テイは優しく微笑んだ。
 寒天は常温で固まる。
 まったりと、ゆっくりと、じわじわ私とテイ(とクラ)の絆はまた美しい結晶になる。
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