幼馴染があやかしからラップで守ってくれる話

青西瓜

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音源バトル(最終話)

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・【音源バトル】


 放課後。
 私は呼び出された。
 今日は誰も使用していないはずの体育館に、大勢の人やあやかしたちがいた。
 いや。
「大勢いるところでやるんかい!」
 何か久しぶりに大きな声出したような気がした。
 いや別に昨日の今日なんだけどもね、この放課後は。
 ステージに立っている餓狼くんがこう言った。
「俺様の一発で全てを終わらせてやるぜ!」
 どうやら餓狼くんから始めるらしい。
 餓狼くんの曲か……正直全然期待していない。
 だって正直、餓狼くん、押韻下手だから。
 私の近くにひょこっと顔を出してきた猫美ちゃんが、私に対してこう耳打ちした。
「餓狼じゃ前座にもならないよねっ」
 あっ、やっぱり猫美ちゃんもそう思っていたんだ。
 じゃあもう全員の総意なんだろうなぁ。
「俺様のラップに震えろぉぉおおおおおおおおお!」
 そう叫んだ餓狼くん。
 いやでもまあ、余りの下手さに身震いはしちゃうだろうなぁ。

《餓狼》
『ガチキ』
ガチで好き、ガチ好き、略してガチキ マジになってしまったガチキ
開始した俺様の恋、どんどん来い どんと来い! 味は勿論めっちゃ濃い
老いも無い常に若々しいぜ 俺様以外の連中は馬鹿馬鹿しいぜ
良い目をしている俺様ギラギラ そして那智の瞳はガチキでキラキラ
あぁ、イライラするぜ、その他の連中 俺様が社長なら当然減給
センキュー無しでぶった切るぜ というかもうハッキリ言うぜ
俺様が一番那智を愛すことができる つまりエース、ザコらを全員制す
ベストは俺様、那智はもうゲストじゃない 俺様の愛しき恋人なんだよ!

「おっしゃぁぁぁあああ! 俺様の番はこれで終わりだぁぁぁああ!」
 餓狼が叫んでから、舞台袖に掃けていった。
 ま、まあ、下手なりにそこそこ頑張っているような感じだ。
 最初のガチキで若干笑ってしまいそうになったけども。
 次は龍太くんの番らしい。
「那智ちゃん! ちゃんと僕のラップを聞いてくれると嬉しいな!」
 そう言ってこっちを微笑んだ。
 実際、ラップを聞くことはそんなに嫌いではない。
 でも何か、何か、海人のことを考えると、どこか物悲しく感じてしまうところがあって。
 ちなみにこの体育館に来てから海人の姿は見ていない。
 狐弓くんも牛助くんもいないので、多分ステージ上の袖にいるのだろう。
 今、海人はどんな顔をしているんだろう。
 いやもしかしたら海人は元々この体育館にいないのかもしれない。
 だとしたら私は、どんな顔になってしまうんだろう。
「じゃあ僕の曲を聞いて下さい!」
 龍太くんは笑顔でラップを始めた。
 私も無理して笑顔を作った。

《龍太》
僕は那智ちゃんとなりたい対等 一緒になれたら最高な愛情
常に献上、炎上無し、今の戦況 一体どうだろう、でも今頑張る戦場
洗浄したいよ、その他の連中 研究し、引き金を引く拳銃
良い意味を吐きたい意志 生きたい那智と、そういう日々だい!
聞きたい毎日那智の声 終えたくない、僕よ、高く飛べ!
見たい美しい光景、同盟じゃない 一つの国となる構成
挑戦する新しい生活を計画 性格一致でブレない、まるで定額
見学じゃ嫌だ、君と手を繋ぎたい 君と日々の感情を食らいたい

「どうもありがとうございました!」
 そう言って頭を下げてから舞台袖に消えていった龍太くん。
 龍太くんの細かく刻む韻はいつも通りで、耳触りは良かった。
 でもいつも通りと言えば、いつも通りって感じだったなぁ。
 ……って冷静に心の中で審査できている分だけ、まだ大丈夫なのかなと思いつつ、やっぱり胸が詰まる部分があって。
「次は私ですね」
 牛助くんが袖から出てきた。
 餓狼くんや龍太くんと違って、何故か神妙な面持ちだった。
 まるで私みたいだ。
「実は私、告白したいことがあります」
 いやそうだろ、私への告白なんでしょ。
「私、牛助は、那智さんではなくて、猫美さんが好きです」
 ……えっ?
 えぇぇぇぇえええええええええええええええええ!
「両親や周りの期待から那智さんのことを好きだと言っていたけども、本当は猫美さん貴方が好きです。だからこのラップは、猫美さん、貴方に捧げます」
 牛助くんはラップを始めた。
 誰よりも真剣な表情で。

《牛助》
『君に捧げる歌』
猫美さん、君はいつも気まぐれ だから私はこれから誓うね
君の奔放な行動ごと愛します って言うことなんて無い資格?
当たり前だね、全てを欺いて 本当にこういうことは危ういね
ただ悔いて、自分が情けなく きっとこれからもそんな自分にまた出会う
……じゃダメなんだ、変わらないといけない でも私はまだ課題を斬れない
消えない不安、つらく、闇は常に暗く 塞ぐ、苦楽もどうせ苦が多い深く
未だに悩みが多くてダメな私だけど まだまだ全然頼れない値(あたい)だけど
もしよろしければ一緒にいてほしい 私のもとへ来てほしい
星になるよう努力する 君が攻撃されたら覆う、すぐ
というかそもそも攻撃させない そして君への楽しい衝撃欠けない
常に新しい娯楽の提供 私は君にそういった公約を清書
つまらない人生にはさせない 笑いは絶えない、気持ちは変えない
会えないことも無い、一緒に歩こう 私はこれから君に、きっと見合うよ
君と同じレベルになることを誓う 得る資格、滲み出る自覚
仕舞うネガティブな感情は 誕生だ、美しく輝き続ける環境が
愛情は満タン、心に常に感嘆 判断してほしい、私が君に合うかどうか

 頭を深々と下げた牛助くん。
 牛助くんが顔を上げた時に、猫美ちゃんは腕で大きな丸を作りながらこう言った。
「アタシも大好きだよ! 牛助くん! ありがとう! ありがとう!」
 猫美ちゃんは猫のあやかしだけあって、軽快なステップとジャンプでステージ上にあがり、牛助くんを抱き締めた。
 私は正面というよりも、横の位置に立っていたので、猫美ちゃんの表情がしっかり見えた。
 その表情はとても柔らかく安堵したような表情で、優しく微笑んでいた。
 いいなぁ。
 端的にそう思った。
 私もそんな表情できればいいのに。
 牛助くんと猫美ちゃんはステージを降りて、私の隣にやって来た。
 いや眩しいな。
 牛助くんはこう言った。
「今まで那智さんを困らせて申し訳御座いませんでした」
 私は慌ててこう言う。
「いやいや! 別に全然困ってもいなかったよ! うん!」
「結果騙しているような感じになってしまい、本当に自分が情けなかったです」
「そんなこと! 私は全然気にしていないから大丈夫だよ!」
 そして牛助くんと猫美ちゃんはそのまま二人で帰っていった。
 いや見ていかないんかい!
 いや別にいいけどもさっ!
 そんなこんなで次は狐弓くんだ。
 いや、次、じゃなくて、最後、かもしれない。
 海人はいないかもしれないから。
「ボクのこだわり、聞いて下さい!」
 そして狐弓くんはラップをし始めた。

《狐弓》
『えいえんあい』
永遠愛、ボクは誓うよ 永遠無い、なんてこと無いから

この想いは制限破棄 この強い気持ちを根に現在
君のおかげで言葉の経験咲き 今のボクはこうやって芸全開
一緒にいたい、庭園、輪に この場所には閉園無い
ボクには見えない、背に限界 ボクは繋いだ、手に恋愛
君がいれば心は常にK点だし グラフは踊る罫線たち
ドキドキするよ、恋的遠雷 でも不安は消し、連帯
君は太陽、照り、天才 でもボクという名の弟子、繊細
それでも君に見合う晴天なり 常に強く精錬書き

永遠愛、ボクは誓うよ 永遠無い、なんてこと無いから

君に出会って心の塀、変化し 全て楽しく是に展開
ボクの心にもう零点無い 全て立体で平面無い
新しくできた絵に見解 これは清らかだ、君に礼千回
君は心を溢れさせる、霊泉ばり 君は根っからの性善だし
さぁ、ここから闘う聖戦祭 本気を出してく、冷戦裂き
ボクが一番君を幸せ系伝来 他の連中を蹴り、減退
させてやるんだ、HEY、天下に なるんだ、ボクの聖剣舞い
時には強く守る永遠愛 繋ぎ続ける君への、えいえんあい

永遠愛、ボクは誓うよ 永遠無い、なんてこと無いから
僕は永遠那智

 私は何だかちょっとホロっとした。
 いや心が傾いたというわけではないんだけども。
 ノート買いに行って出会ってラップした時も、同じ母音で押韻することは無理がきているのではと思っていた。
 でもこの曲は全て”えいえんあい”で韻を踏んでいて、しっかり形になっている。
 自分のスタイルを貫いて完成したその姿に少しホロリときてしまった。
 というか、うん、もし、もし、海人がいないのならば……。
「最後は俺の番だな」
 ステージに姿を現した海人。
 あっ、いてくれたんだ。
 何かそれだけでちょっと嬉しいかも……。
「俺も牛助と一緒で告白したいことがあって」
 ……えっ?
 それって、誰かへの、告白ってこと……ちょっ! ちょっと!
 私じゃないのっ! 海人! 他に好きな人がいるのっ!
 そんなの嫌だよ! 待って! 待って!
「待ってぇぇぇぇええええええええええええ!」
 ……あっ、声に出てしまった。
 体育館は静まり返る。
 みんな私のほうを見る。
 海人も。
 どうしようと思っていると、海人が喋り出した。
「待たないよ」
 あっ、待たないんだ。
 もう誰かに告白しちゃうんだ。
「もう待たない」
 そうだよね、早く告白したほうがいいもんね。
「ちゃんと自分からいくって決めたんだ」
 そうそう、それがいいよ、うん。
 あーぁ、海人が好きになるくらいの人だから、きっと素敵な人なんだろうなぁ。
「那智、オマエが好きだ」
 ……えっ?
「今まで気持ちを隠していてゴメン、自分に自信が無くてさ、でも今だったら言える、いや言う! 俺は那智が好きだっ!」
 ……えっ。
「他のあやかしにはとられたくない! 俺が一番那智のことが好きだ!」
 ……じゃあ!
「牛助くんと一緒で告白したいことがあるって言うな! 別のヤツに告白するって思うだろ!」
 そう私がツッコむと、海人は少し困惑しながら、
「えっ、いや、だって、その、隠していたことだから」
「普通にラップするだけでいいんだよ! バカぁぁぁああああ!」
「じゃあ、ラップ、します……」
 何かちょっと納得いっていないような顔をしつつも、マイクを構えた海人。
 でもビートの前奏が始まると、真剣な表情になった海人。
 というか、というか! 海人って私が好きなのっ?

《海人》
『那智』
気付いた時には、もう那智がいた 俺の中のチャペルの教会咲いた
満開の愛の未来、乾杯を毎夜したい 周りからの反対を解除したい
期待新時代、那智と居たい信じたい 那智の言うことに嫌い・禁止無い
神秘舞い、心を照らし続ける音の光線 那智の言葉は世界震えるほどの応援
挑戦できる、闘える、まだ耐える 技が出る、また跳ねる、宝得る
ただ変えるじゃなくて、劇的な変化 那智がいれば産み出せる霹靂な成果
勝利の女神、那智とは驚異の出会い 那智の魅力に道理も眩暈
俺の中では那智が最高の法律 それ以外のモノ・事柄は退場と消失

俺は誰よりも誰よりも那智が好きだ 弱音・諦めるという涙拭いた
俺は誰よりも誰よりも那智が好きだ 言えない日々の倍は悔いた
でも言うんだ、俺は那智が好きだ 那智との春を望む、開花追加
俺は那智が好きだ 那智が好きだ

今まで素直になれなくてゴメン でももうこの関係を変えたくて越える
超越する過去から、豪雪降る過去から 解き放たれるんだ、凍結ぶるアホから
後からじゃなくて今、春を迎える準備 自分の中のカスと無駄蹴る終始
急に、かもしれないが、今やらないと ついにこの時がきた、闘いを
那智へ響かす純然たる想い 俺の心臓は噴煙増す音に
俺の燃え盛る熱情、那智の声沸かす切望 那智への告白を遂げ、回る鉄道
那智と世界を巡りたい、この決意・愛 得る未来、那智以外は別に無い
那智が居れば最高だ、愛が知れた最強だ 俺の海は退化消えた海上だ

俺は誰よりも誰よりも那智が好きだ 弱音・諦めるという涙拭いた
俺は誰よりも誰よりも那智が好きだ 言えない日々の倍は悔いた
でも言うんだ、俺は那智が好きだ 那智との春を望む、開花追加
俺は那智が好きだ 那智が好きだ

 間違いなく、海人は私のことが好きだった。
 そんなん、そんなん!
「私のほうが好きだからなぁぁぁぁあああああああ!」
 猫美ちゃんと真逆で私は、ドタバタ小汚く走ってステージ上にあがった。
「マイク貸せ! 私も言いたいことがあるんだよ! 海人に!」
 そう言うと、舞台袖からスッと出てきた狐弓くん。
 そして狐弓くんは自分の持っているマイクを海人に渡して、そのままステージからしゃんなりと品良く降りた。
 あやかしは基本的に、品が良いな、と思いながら、狐弓くんを目で追っていると、狐弓くんは一度も振り返らずにこう言った。
「那智ちゃんは海人くんのことだけ見ているといいよ」
 ハッとして、私は海人のほうを見ると、海人はマイクを二本持って、どうすればいいか分からないという顔をしていた。
 すると、狐弓くんは大きく溜息をついてから、また振り返らずにこう言った。
「海人くんは自分のマイクを那智ちゃんに渡して、海人くんは僕のマイクでラップバトルすればいいのっ。ホント鈍感なんだからさ。困るよ。もっと那智ちゃんの気持ちを分かってあげてよ」
 それを言われた海人は、
「いや、じゃあ狐弓が自分のマイクを那智に渡せばいいじゃん」
 と言うと、頭をボリボリかきながら、狐弓くんが振り向いて、
「海人のマイクのほうが良いに決まってんでしょ! 汲み取れ!」
 と叫ぶと、体育館の電気は消え、まだ日が沈んでいないのにも関わらず、あたりが真っ暗になっていき、そして、ステージ上だけ明るく何か丸い光に照らされた。まるで大きい蛍が飛んでいる様に。
 そしてどこからともなく流れ出したビート。
 狐弓くんが言う。
「この妖術は2分で切れる。誰もいないような気分で二人だけで褒め合ったらいいんじゃないの? 今の気持ち、ぶつけ合うといいと思うよ」
 狐弓くんはカッコつけだ。
 そして何よりも優しい。
 やっぱり私は狐弓くんや牛助くんと同じ学年で良かった。
 猫美ちゃんとも同じ学年で良かったし、何よりも海人と同じ学年で本当に良かった。
 そう、海人と。
 いやでも!

《那智》
本当鈍感、全然ダメだね、根幹 いっそのことしちゃうよ、恋人、交換
称賛し切れない海人には ちゃんと私を笑わせてね、最後には
というかしたい爆笑、そういう確証 してほしいんだけども、まあ託そう
次の小節から海人が愛のラップして 私という名のスマホをタップして

《海人》
じゃあアクセス、那智に、格別愛し 隔絶無いし、サクセス開始
というか終始させる爆笑、ある確証 ハッキリ言って楽勝、腕を捲ろう
覚悟はできている那智との最高な日々 行き来バッチリ開港な意味
海の幸を那智に、区費も無いよ廃止 何でもしてあげる、悔いの態度無いし

《那智》
いやいやハッキリ言って全然足りない もっともっとほしいの、まだ愛無い
相対しているような感じだけど違う 威嚇しているみたいな感じだけど違う
もっと芯から愛してほしいの 今は何だか甘いだけの干し芋
もっと瑞々しい言葉を掛けてよね あっ、まだ足りないことは、敢えてよね?

《海人》
足りないなら、もっともっと逢いたい 解体しない、愛のやり取り開催したい
未来期待、次回誓いではなくて今から 俺と那智の楽しい話し合い確定、宝
頭を振り絞って案へ、無味気取ってなんて 変なカッコつけはもうしないだって
一番大切なのは勿論那智だから 俺と那智の間から咲いた華

《那智》
いやいやまだ無味気取ってる 自分の中で強いナルシスト持ってる
もっと直接的に褒めてほしい 小さなプライドくらいは越えてほしい
星に、とかはもういらないから 難しい言葉は知らない、ただ
単純な言葉で私を沈めてほしい 海人の海にどっぷり沈めてほしい

《海人》
じゃあもうハッキリ言う、好きだ好きだ好きだ 万策尽きた、悔いか、無理か、いや好きだ
次は何だろう、いやしたい抱擁 那智のことを癒したい行動
堂々とする交際宣言、那智と航海永遠 いっそのこと送ってしまう、教会へ視線
それくらい好きなんだ、那智愛している ずっと、ずっと、ずっと

 ……言わせておいてなんだけども、私、何か体がめちゃくちゃ熱くなってきたな……いや! まあいいか!
 熱くなって当たり前だ! だって私も海人のこと大好きなんだからっ!
 私は言う。
「まあいいでしょう! 海人、私も好きだから!」
 そう言えば言葉でまた返してくると思った。
 海人って大体そういうヤツだから。
 なのに海人は私を強く抱き締めた。
「ちょっと! 海人! 急に! どうしたのっ!」
 そう言いつつも、何だか胸がどんどん高鳴っていく。
 そっか、そうか、私は言葉も好きだけども、こうやってちゃんと愛情表現されたかったんだ。
 海人は私の耳元で囁く。
「好きだよ、那智。今までゴメン」
 私は海人から離れて、デカい声でこう言った。
「ゴメンじゃなくて、ありがとうって言って!」
「いや俺の囁きをデカい声でバラすなよ」
 そう言いながら、恥ずかしがる海人。
 ハグしといて何が今さら恥ずかしいんだか。
 まあとにかく。
「これからたくさん一緒にいることを感謝し合おうね、海人っ」
 そんな私に少し呆れるように、フッと笑った海人はこう言った。
「当たり前だろ、これからは楽しむだけだよ」
「なら良し!」
「……というかやたらさっきから偉そうだな、一応対等なんだからな。というか対等じゃないと一緒に楽しくやれないだろ」
「確かにね、上から目線も嫌だからねっ」
 私がそう言うと、海人は少し溜息をついてからこう言った。
「俺が那智に上から目線で言うかよ。どっちが前後ろとかでもなくて、俺はずっと那智と一緒の隣でいたいんだよ」
「まあ頑張って下さい!」
「いや那智が上から目線じゃん! というか頑張らなくてもできるわ、だって那智と一緒にいることって楽しいだけで頑張ることじゃなから」
「それはそれは良かった!」
 きっと海人と交際宣言したって、あやかしたちは私を奪おうとやって来るだろう。
 でもその度に、海人は私のことを守ってくれるに決まっている。
 だって、それが、私が大好きな海人だから。
 いつまでも私のこと守ってねっ!

(了)
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