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パーティ当日・朝
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お城でのパーティー当日、継母らは「王子がダメでも近衛騎士との出会いが……」と騒ぎながら、日の出前にはお城に出発しました。
家にポツンと一人残されたシンデレラは3人が姦しく出ていったのを見届けると、手に持っていた雑巾を床に叩き付け、「よっしゃー!自由だー!」と叫びながらガッツポーズをとりました。
「ん~っ!やっと出発したぁ!しかしまぁ、朝っぱらから気持ち悪いモン見たなぁ」
やれやれと言った様子で、呟いたのはシンデレラ。姉らが使うドレッサーを見ながら頬に付いた煤を乱暴に腕で拭うと、粗雑に椅子に腰を掛けます。
「そろって化粧濃すぎるし。普段遅くまで寝てるくせに今日は早起きしたせいか、寝不足で酷い顔だし。髪の盛りなんてあれウ○コの形だろ……。しかも甘い香りの香水を大量に吹きかけて……。キツい、あれは無いって。男は絶対萎える」
シンデレラは毎日の小言やいびりで溜まった鬱憤を吐き出すように、思った事を口に出します。
「ああ、コレ参考にしたんだ……。花嫁メイクって……何考えてるんだ?しかも、やたらと白い白粉塗って……顔色に合ってないって気づかないか?フツー」
偶々目についたこの国のファッション誌を適当にペラペラと捲ります。
『失敗しない花嫁メイク術!』
『男を魅了する話し方テクニック!』
「……胡散臭っ。……こんなのに金使うなよ」
どれもこれも奇抜という言葉を体現したようなものばかりが紹介されており、その雑誌にはご丁寧に所々丸が付けられています。おそらく、それらを真似たのでしょう。シンデレラがドン引きしたウ○コ盛りの髪型もそこに載っています。
へらへらと馬鹿にしながらページを捲っていくと特集ページの題が目に飛び込んできました。題は『王子を射止めるのは貴女! 王子様特集』とあり、ちょうど本日の昼間からあるガーデンパーティーの主役である、この国の第三王子のことが触れられていました。
どうやら、誕生日パーティは貴族と平民分かれて開催されるらしく、今日開かれるパーティは男爵家と平民が参加対象のようです。
「うわぁ……王子って大変なんだな。一庶民でよかったわ……」
プライベートなんてまるで無いのではないかという情報の多さに、思わず雑誌を閉じて放り投げます。王太子ではなく第三王子という点がちょうど良いと継母らが騒いでいたのも思い出し、若干の同情も覚えます。
「……っと、それより今日はいつもより豪勢な朝食にしようっと」
ぐーっと伸びをすると、普段はあまり口にしていない凝った料理を作ろうと台所にへと足を向けた時、玄関から来訪者を告げる音がします。
「は~い。あれ?」
ドアの外には薬師のお婆さんが立っていました。
このお婆さんは、シンデレラのことをとても可愛がってくれていて、よくご飯を食べさせてくれたり薬学を教えてくれたりしています。だからこそ、シンデレラはこの家庭環境で餓えることもなく強く生きていられました。
「お婆さん、こんにちは。この家に来るなんて珍しいですね」
「こんにちは。今日はイライザ達に頼まれて作った『惚れ薬』の代金を受け取りに来たのよ。イライザ達はいるかしら?」
ニコニコと笑顔のお婆さんは、どうやら薬の代金の取り立てに来たようです。
継母達はお婆さんにまでツケで買い物しているのかと、シンデレラは思わず遠い目をしてしまいました。
「ごめんなさい、お婆さん。継母達は王城で開かれる第三王子の誕生日パーティに行ってしまいました。代金をお支払いしたいのですが……あいにくお金を持ってなくて……」
シンデレラには父の遺産がありますが、まだ未成年のシンデレラは勝手に遺産を使う事ができません。15歳の成人までは司法が管理しており、毎月一定の生活費のみが支給されています。
その生活費も継母達の暴飲暴食でなくなってしまいますが……。
継母達がドレスやアクセサリーを購入しているのは、父親がシンデレラへと残してくれた店舗でツケにして購入しているのです。シンデレラが成人して財産の管理がシンデレラへと映った瞬間に、全財産は自分達の物になると信じて疑っていないのです。シンデレラの財産はあくまでもシンデレラの物なのに……。
今、店舗は副店長が店長代理として経営を継続してくれています。シンデレラが成人した時に、シンデレラが経営者となれるよう店を守ってくれているのです。
父は幼いシンデレラを1人家に残しておくこともできず、また、勉強も兼ねてシンデレラを仕事先へと連れ歩いていました。そこで事業の知識や礼儀作法などを徹底的に教え込んでいました。
シンデレラは父の厳しい指導に嫌な顔一つせず、努力し続けていました。
そんなシンデレラの頑張りを周りの大人達はずっと見守っていました。可愛らしく努力家で働き者のシンデレラは従業員一同のアイドル的存在であり、愛されていました。
現在、店舗を守ってくれている副店長のザイールは、元々勤めていた商店で同僚から嫌がらせや裏切りに遭い、職を辞して路頭に迷っていた所をシンデレラの父に拾われました。シンデレラの父への感謝の念もあり、忘れ形見であるシンデレラを守ろうと心に決めています。
ただ、シンデレラが未成年のうちは、継母といえど母親であるイライザの存在が邪魔です。表立ってシンデレラの手助けをすると、継母達がどんな行動に出るかわかりません。だからシンデレラが成人するまでは、陰から応援してくれる大人がシンデレラの周りにはいました。
成人さえすれば、商会の経営権はシンデレラのもの。シンデレラには生活のあてがある。ザイールとも相談し、成人と同時に離縁届を提出し、継母達との縁を切る事を決めていました。そう思えばこそシンデレラはこの生活に耐えられていました。
家にポツンと一人残されたシンデレラは3人が姦しく出ていったのを見届けると、手に持っていた雑巾を床に叩き付け、「よっしゃー!自由だー!」と叫びながらガッツポーズをとりました。
「ん~っ!やっと出発したぁ!しかしまぁ、朝っぱらから気持ち悪いモン見たなぁ」
やれやれと言った様子で、呟いたのはシンデレラ。姉らが使うドレッサーを見ながら頬に付いた煤を乱暴に腕で拭うと、粗雑に椅子に腰を掛けます。
「そろって化粧濃すぎるし。普段遅くまで寝てるくせに今日は早起きしたせいか、寝不足で酷い顔だし。髪の盛りなんてあれウ○コの形だろ……。しかも甘い香りの香水を大量に吹きかけて……。キツい、あれは無いって。男は絶対萎える」
シンデレラは毎日の小言やいびりで溜まった鬱憤を吐き出すように、思った事を口に出します。
「ああ、コレ参考にしたんだ……。花嫁メイクって……何考えてるんだ?しかも、やたらと白い白粉塗って……顔色に合ってないって気づかないか?フツー」
偶々目についたこの国のファッション誌を適当にペラペラと捲ります。
『失敗しない花嫁メイク術!』
『男を魅了する話し方テクニック!』
「……胡散臭っ。……こんなのに金使うなよ」
どれもこれも奇抜という言葉を体現したようなものばかりが紹介されており、その雑誌にはご丁寧に所々丸が付けられています。おそらく、それらを真似たのでしょう。シンデレラがドン引きしたウ○コ盛りの髪型もそこに載っています。
へらへらと馬鹿にしながらページを捲っていくと特集ページの題が目に飛び込んできました。題は『王子を射止めるのは貴女! 王子様特集』とあり、ちょうど本日の昼間からあるガーデンパーティーの主役である、この国の第三王子のことが触れられていました。
どうやら、誕生日パーティは貴族と平民分かれて開催されるらしく、今日開かれるパーティは男爵家と平民が参加対象のようです。
「うわぁ……王子って大変なんだな。一庶民でよかったわ……」
プライベートなんてまるで無いのではないかという情報の多さに、思わず雑誌を閉じて放り投げます。王太子ではなく第三王子という点がちょうど良いと継母らが騒いでいたのも思い出し、若干の同情も覚えます。
「……っと、それより今日はいつもより豪勢な朝食にしようっと」
ぐーっと伸びをすると、普段はあまり口にしていない凝った料理を作ろうと台所にへと足を向けた時、玄関から来訪者を告げる音がします。
「は~い。あれ?」
ドアの外には薬師のお婆さんが立っていました。
このお婆さんは、シンデレラのことをとても可愛がってくれていて、よくご飯を食べさせてくれたり薬学を教えてくれたりしています。だからこそ、シンデレラはこの家庭環境で餓えることもなく強く生きていられました。
「お婆さん、こんにちは。この家に来るなんて珍しいですね」
「こんにちは。今日はイライザ達に頼まれて作った『惚れ薬』の代金を受け取りに来たのよ。イライザ達はいるかしら?」
ニコニコと笑顔のお婆さんは、どうやら薬の代金の取り立てに来たようです。
継母達はお婆さんにまでツケで買い物しているのかと、シンデレラは思わず遠い目をしてしまいました。
「ごめんなさい、お婆さん。継母達は王城で開かれる第三王子の誕生日パーティに行ってしまいました。代金をお支払いしたいのですが……あいにくお金を持ってなくて……」
シンデレラには父の遺産がありますが、まだ未成年のシンデレラは勝手に遺産を使う事ができません。15歳の成人までは司法が管理しており、毎月一定の生活費のみが支給されています。
その生活費も継母達の暴飲暴食でなくなってしまいますが……。
継母達がドレスやアクセサリーを購入しているのは、父親がシンデレラへと残してくれた店舗でツケにして購入しているのです。シンデレラが成人して財産の管理がシンデレラへと映った瞬間に、全財産は自分達の物になると信じて疑っていないのです。シンデレラの財産はあくまでもシンデレラの物なのに……。
今、店舗は副店長が店長代理として経営を継続してくれています。シンデレラが成人した時に、シンデレラが経営者となれるよう店を守ってくれているのです。
父は幼いシンデレラを1人家に残しておくこともできず、また、勉強も兼ねてシンデレラを仕事先へと連れ歩いていました。そこで事業の知識や礼儀作法などを徹底的に教え込んでいました。
シンデレラは父の厳しい指導に嫌な顔一つせず、努力し続けていました。
そんなシンデレラの頑張りを周りの大人達はずっと見守っていました。可愛らしく努力家で働き者のシンデレラは従業員一同のアイドル的存在であり、愛されていました。
現在、店舗を守ってくれている副店長のザイールは、元々勤めていた商店で同僚から嫌がらせや裏切りに遭い、職を辞して路頭に迷っていた所をシンデレラの父に拾われました。シンデレラの父への感謝の念もあり、忘れ形見であるシンデレラを守ろうと心に決めています。
ただ、シンデレラが未成年のうちは、継母といえど母親であるイライザの存在が邪魔です。表立ってシンデレラの手助けをすると、継母達がどんな行動に出るかわかりません。だからシンデレラが成人するまでは、陰から応援してくれる大人がシンデレラの周りにはいました。
成人さえすれば、商会の経営権はシンデレラのもの。シンデレラには生活のあてがある。ザイールとも相談し、成人と同時に離縁届を提出し、継母達との縁を切る事を決めていました。そう思えばこそシンデレラはこの生活に耐えられていました。
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