誰がための香り【R18】

１１．聞いてはいけない気がした Side リディア ※

　
　Side　リディア

　布を見てた私をベッドに押し倒し、お構いなしに口付けてきた。でもこれも嬉しい。私が求められてるって思えるから。
　長い舌が入ってきて口の中を掻きまわす。乱暴に服を脱がされて胸を揉み潰された。

「っん、……いたぃ」
「っぁ、悪ぃ、……っは、リディ。……くそ、服がっ」

　自分の服をもどかし気に脱いで床に放り投げてる。
　ジェイクに抱きしめられて、深い口付けを受けた。大きな口に咥えられて頬っぺたまで涎まみれ。息と一緒に押し込まれた舌が口の中で暴れてる。夢中になってるってわかるから、嬉しくてたまらない。
　両手で胸を揉まれて、ゾクゾクする背中が仰け反った。スリスリなでる優しい指が時々強くなって、また力が抜ける。私が痛いって言ったから気をつけてくれてるの、嬉しい。

　声を出すのも体を動かすのもまだ恥ずかしいけど、我慢しないようにする。でも、もう全部は我慢できそうにないと思う。だって体が勝手に跳ねるし、口から出ちゃう。名前を呼ばれると、背中がゾクゾクしてたまらない。
　太もものあいだをジェイクのモノで擦られて、下腹の奥が熱くなる。心臓が苦しい。

「スゲェ、こんななって。リディ、……あーたまんねぇな」

　起き上がったジェイクが大きな手で太ももを押さえて口を開け、舌で舐めまわす。

「あぁ、……あっ、……ん、ぁ」

　いちど声に出してしまうと抑えが効かず、息するたびに口からこぼれた。
　舌が穴の周りを舐めたら、くすぐったいような感じで腰が動く。中に入り込まれたらムズムズして背中が捩れる。

「ん……、――――っあ、ひっアアっ、やっ」

　急にビリビリする強い刺激がきた。怖くて逃げようともがいたら、がっちり捕まえられた。

「逃げんな。あ、痛ぇのか？」
「……強くて」
「そっか。悪ぃ。もっと弱くな」

　そう言って、そっとおしっこが出るとこの近くを舐めた。チリチリ鋭い刺激がくる。漏れないけど漏れそうな、中がギュッとなるような切なさに襲われて足に力が入った。
　刺激のもって行き場がなくて体がすごく動いてしまう。

「アアっ、……ぁっあっ……、あぁっ」

　逃げたいのに、もっと欲しい。ビリビリするのに、ジンジン膨らむみたいに気持ち良くなる。でも、なんだか落ち着かない。
　自分の声だけが聞こえる静かな部屋にいたたまれなくなった。私の声だけって嫌だな。ジェイクに舐められて自分だけが気持ち良くなっているって、恥ずかしい。

「や、……ゃめて、くださ」
「嫌か？」
「……あ、恥ずかしくて」
「何が？」
「私だけ、気持ち、いいのが」
「んあ？　なんでだよ？」
「その、ジェイクも、楽しいほうが」
「俺は楽しいことしかしてねぇけど」
「……舐めても気持ち良くないですよね？」
「リディが反応してよがってんの楽しいだろ」

　そんなこと言うなんて……。顔が熱い。手で隠したらジェイクが笑った。

「ハハハ、なんだよ、あれか、俺の反応見てぇのか？」
「え、と、はい」

　うん、それはそう。ジェイクが気持ち良さそうじゃないと心配になる。

「じゃあ、俺が欲しいって言えよ」

　ジェイクが楽しそうに、とんでもなく恥ずかしいことを要求した。ニヤニヤ笑って私を見下ろしてる。

「え、……」
「言えってば。早く」
「あ、…………ジェイク、が、……ほしい」

　断れそうにないので仕方なく手で顔を隠しながら言ったら、抱きしめられた。

「俺も」

　小さな声がして、私の中にジェイクが入ってきた。最初はいつもお腹が苦しい。でもその苦しさが嬉しい。
『俺も』って言ったジェイクの言葉に胸が痛くなった。

　ジェイクが動いて、だんだん気持ち良くなる。唸ってるのは興奮してるからだと教えてくれたから大丈夫。名前を呼ばれながら抱かれるのはすごくドキドキする。ジェイクが気持ち良さそうだと嬉しくて、私で気持ち良くなってもらえるんだって嬉しくて体の奥が熱くなる。
　擦られて気持ち良いなんて不思議。自分の体がビクビクしてるのも不思議。ジェイクが私の中で果てるのが嬉しくて中が震えるのも不思議。


　ジェイクと話をして笑ってから、少し仲良くなれた気がする。
　最初に言われた通り、酷いことは一度もされてない。ちょっと痛かったのも人間の力加減がわからなかったからだし。必要なものはすぐ用意してくれた。
　でももっと違う理由で親しみを感じてると思う。なんだろう、毎晩抱きしめて眠るから？　言葉に何の含みもないから？　私を呼びながら夢中になるから？　全部？

　何を話していいかわからなかったから話しかけなかったけど、これからは話しかけてみようかな。美味しいご飯のこととかでも。些細なことを話してもつまらないかと思ってたけど、私が泣いたぐらいで慌てるジェイクを見たら大丈夫な気がした。

　替えのワンピースとエプロンを作ったあと、まだまだ残ってる布を見て何を作ろうか考える。
　私の服をたくさん作っていいって言ってたけど、本当に良いのかな。ジェイクが言ったからその通りなんだろうけど、贅沢になれてないから迷っちゃう。そういえば、こっちの国の女の人はどんな服なんだろう。ジェイクの着てる服も村とはちょっと違う。

　もっといろいろ知りたい。私もこの国で生きていくなら、この国のこと知らなくちゃ。そしたら私がジェイクにできることも増えるかもしれない。役に立ちたいな。

　作った服を見せてから、出掛けようとしてるジェイクに思い切ってお願いをしてみた。

「ジェイク、あの、私も一緒に行ってはダメですか？」
「外に？」
「あの、えーと、こっちの人はどんな服を着てるのかと思って。……ダメですか？」
「ダメだ」

　ジェイクにキッパリ断られて、固まってしまった。
　怖い顔で、嫌な目に遭うかもしれないって説明してくれる。最初の頃に聞いた襲われるかもって話と同じ。奴隷か娼婦しかいないって言ってたもんね。
　楽しかった気持ちがしぼんだ。自分が嫌われてるとわかるのは悲しい。戦争が終わってだいぶ経つけど、そんなにすぐ恨みは消えないか。私も獣人を怖いって思ってたし。

　私はここでも歓迎されない。
　仕方がない。人間がダメなんだから、私がってことじゃないから大丈夫。でもやっぱり悲しい。

　そういえば、ジェイクはなんで私を買ったんだろう。なんで大事にしてくれてるんだろう。ジェイクは人間のこと嫌いじゃないの？
　なんとなく聞けなかった。ジェイクは嘘をつけそうにないから。聞いてはいけない気がした。