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35.色々考えるけど幸せな時間
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お守りを届ける為に、朝から二人に送ってもらってミカちゃんちまで行った。
「ミカちゃん、これお守り。いつも首にかけて持ってて。私が袋作ったんだよ」
「ありがとう。魔法使いの家に行ったの?」
「行って帰って来た」
「・・・楽しかった?」
「まあまあ。虫が沢山いたわ。飼ってるんだって」
「えっ、虫を?」
「そう、虫を」
「・・・ふーん、虫好きなんだね?」
「そうみたい。心配しなくても、ちゃんと帰ってくるよ。同じだよ、魔法使いも臭かったし」
「ぶっ、俺に、言ったみたいに言ったの?くふふっ、あれ、結構、悲しいんだよ、」
「うん。少し悲しそうにしてた」
「んふっ、ユウはちょっと酷いよね、くふっ。俺、魔法使いに同情しちゃった」
「でも、臭いの嫌だし。ミカちゃんも!ほら、洗濯するから洗い物出して」
「えー、俺、また臭いかな?でも、洗濯してくれるの嬉しい。へへ」
木を刈りに行くミカちゃんを見送って洗濯をした。お昼に一度帰ってきて、一緒にご飯を食べる。ミカちゃんの食べ方も随分キレイになった。たまに恥ずかしそうにスプーンを口に持って来て、食べさせてくれるので、お返しに私も食べさせてあげる。モグモグしながら、もじもじしているのを見たら閉じた唇に指を当てる。その度に嬉しそうにするので、その初々しさに身悶えた。
「ユウ、今日は俺の家に泊まれる?」
「うん。良い?」
「凄く良い!俺、早く仕事終わらせるよ」
「頑張って。私は敷き藁刈ろうかな」
「ユウは何もしなくても良いんだよ?」
「暇だから。私が一仕事したら、その分ミカちゃんとゆっくり出来るし」
「・・・エへへ。嬉しい。ありがとう、ユウ。俺も頑張る」
「じゃあ、ミカちゃんが帰ったら一緒にスープ作ろうよ」
「うん。ふふっ、ユウが居ると嬉しい事ばっかりだ」
はにかんで笑ったミカちゃんは唇だけの優しいキスをして、嬉しそうに出掛けて行った。
私は単純労働に精を出す。
考えなくていい仕事って、余計な事考え出すよね。
ミカちゃんのことは好きだな、可愛くて。アルとベルも好きだな、可愛くて。エーミールは別に好きでもないし、嫌いでもない。あれか、セフレか。夫だけど。このまま、たまにしか会わないならそれでいいかなーと思う。虫に体を這われて興奮しちゃう難儀な人の相手は、たまにで十分だ。
ミカちゃんが嬉しそうに笑うと私も嬉しい。良い事したと思う。私に良い人ポイントが加算される。ミカちゃんや双子を喜ばせると、他人の為に何か出来る人間になれた気がする。自分がここに居てもいいと思える。喜ばれている間は。
ベッドでの充足感は嘘じゃないのに、なんでこんなこと考えるんだろう。性欲の充足は精神的充足にならない?いや、終わった後でくっついて眠る時って、満ち足りてる気分なんだけど。性欲によって得られる充足は消えやすいってことかな。うーん、他の事が目に入らないくらいセックス没頭して夢中になれる歳でも無いってことか?十代だったら、性欲の充足=私愛されてる!→愛してる!ぐらいの勢いだったかもしれん。
まあ、大事にされてるっちゃあ、されてる。では、何が問題か?なんだろう?うーん、彼らの切実さがわからないので、感情の温度が違うこと。こんなに全面的に愛情を示されると戸惑うこと。そう!貰った量と同じくらいの愛情を返さないと、と思って、返せる気がしなくて、罪悪感がある。
これだよ、罪悪感。同等額のお返しが出来そうにないので、取り繕うために喜ばれそうなことを言う。嘘じゃないんだけど、気持ちが篭ってないというか、自分が上っ面だけの人間だって思えて落ち込むというか。
なんか違う問題が混じり合ってる気がする。自分のポンコツさと、彼らへの罪悪感は違う話か?あれ、こんがらがってきた。
あー、止め止め。使わない頭を使うと疲れるわ。チョコ食べたい。チョコはこの世界のどこの片隅にあるのかなぁ。私は戻れたら嬉しいだろうか?嬉しくも悲しいな。こんなに、全面的に想われて縋られたことないもんな。重い愛情って鬱陶しくもあり、中毒性もあるのかも。これが共依存なのか?っかー、やべえ。すでに共依存領域に入ってない!?まずいのか?うまいのか?よくわからん。DVじゃないから、まあ良いか。
考えながら黙々と作業をしていたら、結構な量を刈って干していた。汗まみれの顔を洗って休憩していたら、仕事を終えたミカちゃんが帰って来た。
早いなあ。ミカちゃん。愛しのミカちゃん。早過ぎない?私の仕事が遅いのか?
「おかえりミカちゃん。早かったね」
「ただいま、ユウ。楽しみで早く終わったんだ」
「頑張ったね。スープに何を入れるの?」
「畑に取りに行こう」
刈った枝を干場に置いてから、私の手を引いて畑に向かう。ネギやらハーブやらカブやらを収穫して家に戻った。桶で洗って、ナイフで切りながら鍋に入れていく。ミカちゃんは干し肉を削いで鍋に追加した。楽しそうなミカちゃんに釣られて私も笑い、二人で並んでスープを作った。
スープを煮る間に道具の手入れをする。
穏やかで楽しい時間。いつもこんな感じなら、この世界で生きていけるのではないかと思った。
出来上がったスープとパンとチーズで食事にする。
「干し肉が入ると美味しいね」
「うん。ユウが居るから今日は特別」
「私が居る時が特別なら、特別が多過ぎて困ることになるよ」
「ふふっ困らないよ。干し肉はある時だけだから」
「なんだー、つまんない」
「秋になったら、木の実入れるよ。美味しいよ」
「それも美味しそう。楽しみ」
「うん。俺も楽しみ。ふふ」
食事を終えて片付けてから、体を洗う。ミカちゃんは優しい手つきで私を洗い、抱き合って、そっとキスをした。
手を繋いでベッドに入り、体を寄せる。指で唇を撫でながら、愛しそうに目を細めるミカちゃんと見つめ合った。
「ねえ、ユウ」
「なあに?」
「ねえ、ユウナギ」
「なあに、ミヒャエル」
「ユウナギって呼べて嬉しいんだ。俺、ユウナギに名を呼んで貰って嬉しい」
「ミヒャエル、可愛い。私も、ミヒャエルが気持ちいい時に名を呼ばれるの好きだよ」
「・・本当?なんか恥ずかしい」
恥ずかしがって目を伏せたミカちゃんの、お尻から腰を撫でながら、もう片方の手を下腹に這わせた。
「本当。ミヒャエルが私の名を呼びながら出しちゃうのって、凄くそそる」
「ユウ、ユウがそんなこと、言っちゃ、俺、そんなこと言われたら、ユウにユウナギに、俺、ああ」
ミカちゃんは切ない声を上げて、私の下腹部にペニスを擦り付けて動かし始める。私は、ミカちゃんの先端から漏れた汁を指で塗り広げながら、手で包んで下腹部に押さえ付けた。もう片方の手で根元を撫で擦る。
「あっあっ、ユウナギ、俺、ああ」
私の頬に額を擦り付けながら、甘えた声で鳴くミカちゃんが可愛くて愛しくて胸が締め付けられ、腰が疼きだす。
「ミヒャエル、呼んで。ねえ、ミヒャエル、気持ち良い?ああっミヒャエル」
「ユウナギ、気、持ち良い、ユウナギ、ああっあっ、あっユウ、ナギっっ」
抱き付いた体を震わせて、私の手の中に精子を吐き出したミカちゃんは、息が整うと恥ずかしそうに鼻と鼻をくっつけて、そっと口付けた。
「ユウナギ、ありがとう。俺、ユウナギのこと、好きで堪らないんだ。ユウナギ、好きなんだ」
「ミヒャエル、好きだよ。ミヒャエル、早く、私の中に入って来て」
「っユウ、また、そんなこと言う。・・ユウの手を拭くよ・・綺麗になった。ユウナギ、そんなに」
ミカちゃんの言葉を遮って、キスをした。唇を割って入り込み、口中を舐めまわすと、ミカちゃんの息も荒くなって舌を絡ませてくる。
そうしてまた互いが果てるまで睦み合った。
「ミカちゃん、これお守り。いつも首にかけて持ってて。私が袋作ったんだよ」
「ありがとう。魔法使いの家に行ったの?」
「行って帰って来た」
「・・・楽しかった?」
「まあまあ。虫が沢山いたわ。飼ってるんだって」
「えっ、虫を?」
「そう、虫を」
「・・・ふーん、虫好きなんだね?」
「そうみたい。心配しなくても、ちゃんと帰ってくるよ。同じだよ、魔法使いも臭かったし」
「ぶっ、俺に、言ったみたいに言ったの?くふふっ、あれ、結構、悲しいんだよ、」
「うん。少し悲しそうにしてた」
「んふっ、ユウはちょっと酷いよね、くふっ。俺、魔法使いに同情しちゃった」
「でも、臭いの嫌だし。ミカちゃんも!ほら、洗濯するから洗い物出して」
「えー、俺、また臭いかな?でも、洗濯してくれるの嬉しい。へへ」
木を刈りに行くミカちゃんを見送って洗濯をした。お昼に一度帰ってきて、一緒にご飯を食べる。ミカちゃんの食べ方も随分キレイになった。たまに恥ずかしそうにスプーンを口に持って来て、食べさせてくれるので、お返しに私も食べさせてあげる。モグモグしながら、もじもじしているのを見たら閉じた唇に指を当てる。その度に嬉しそうにするので、その初々しさに身悶えた。
「ユウ、今日は俺の家に泊まれる?」
「うん。良い?」
「凄く良い!俺、早く仕事終わらせるよ」
「頑張って。私は敷き藁刈ろうかな」
「ユウは何もしなくても良いんだよ?」
「暇だから。私が一仕事したら、その分ミカちゃんとゆっくり出来るし」
「・・・エへへ。嬉しい。ありがとう、ユウ。俺も頑張る」
「じゃあ、ミカちゃんが帰ったら一緒にスープ作ろうよ」
「うん。ふふっ、ユウが居ると嬉しい事ばっかりだ」
はにかんで笑ったミカちゃんは唇だけの優しいキスをして、嬉しそうに出掛けて行った。
私は単純労働に精を出す。
考えなくていい仕事って、余計な事考え出すよね。
ミカちゃんのことは好きだな、可愛くて。アルとベルも好きだな、可愛くて。エーミールは別に好きでもないし、嫌いでもない。あれか、セフレか。夫だけど。このまま、たまにしか会わないならそれでいいかなーと思う。虫に体を這われて興奮しちゃう難儀な人の相手は、たまにで十分だ。
ミカちゃんが嬉しそうに笑うと私も嬉しい。良い事したと思う。私に良い人ポイントが加算される。ミカちゃんや双子を喜ばせると、他人の為に何か出来る人間になれた気がする。自分がここに居てもいいと思える。喜ばれている間は。
ベッドでの充足感は嘘じゃないのに、なんでこんなこと考えるんだろう。性欲の充足は精神的充足にならない?いや、終わった後でくっついて眠る時って、満ち足りてる気分なんだけど。性欲によって得られる充足は消えやすいってことかな。うーん、他の事が目に入らないくらいセックス没頭して夢中になれる歳でも無いってことか?十代だったら、性欲の充足=私愛されてる!→愛してる!ぐらいの勢いだったかもしれん。
まあ、大事にされてるっちゃあ、されてる。では、何が問題か?なんだろう?うーん、彼らの切実さがわからないので、感情の温度が違うこと。こんなに全面的に愛情を示されると戸惑うこと。そう!貰った量と同じくらいの愛情を返さないと、と思って、返せる気がしなくて、罪悪感がある。
これだよ、罪悪感。同等額のお返しが出来そうにないので、取り繕うために喜ばれそうなことを言う。嘘じゃないんだけど、気持ちが篭ってないというか、自分が上っ面だけの人間だって思えて落ち込むというか。
なんか違う問題が混じり合ってる気がする。自分のポンコツさと、彼らへの罪悪感は違う話か?あれ、こんがらがってきた。
あー、止め止め。使わない頭を使うと疲れるわ。チョコ食べたい。チョコはこの世界のどこの片隅にあるのかなぁ。私は戻れたら嬉しいだろうか?嬉しくも悲しいな。こんなに、全面的に想われて縋られたことないもんな。重い愛情って鬱陶しくもあり、中毒性もあるのかも。これが共依存なのか?っかー、やべえ。すでに共依存領域に入ってない!?まずいのか?うまいのか?よくわからん。DVじゃないから、まあ良いか。
考えながら黙々と作業をしていたら、結構な量を刈って干していた。汗まみれの顔を洗って休憩していたら、仕事を終えたミカちゃんが帰って来た。
早いなあ。ミカちゃん。愛しのミカちゃん。早過ぎない?私の仕事が遅いのか?
「おかえりミカちゃん。早かったね」
「ただいま、ユウ。楽しみで早く終わったんだ」
「頑張ったね。スープに何を入れるの?」
「畑に取りに行こう」
刈った枝を干場に置いてから、私の手を引いて畑に向かう。ネギやらハーブやらカブやらを収穫して家に戻った。桶で洗って、ナイフで切りながら鍋に入れていく。ミカちゃんは干し肉を削いで鍋に追加した。楽しそうなミカちゃんに釣られて私も笑い、二人で並んでスープを作った。
スープを煮る間に道具の手入れをする。
穏やかで楽しい時間。いつもこんな感じなら、この世界で生きていけるのではないかと思った。
出来上がったスープとパンとチーズで食事にする。
「干し肉が入ると美味しいね」
「うん。ユウが居るから今日は特別」
「私が居る時が特別なら、特別が多過ぎて困ることになるよ」
「ふふっ困らないよ。干し肉はある時だけだから」
「なんだー、つまんない」
「秋になったら、木の実入れるよ。美味しいよ」
「それも美味しそう。楽しみ」
「うん。俺も楽しみ。ふふ」
食事を終えて片付けてから、体を洗う。ミカちゃんは優しい手つきで私を洗い、抱き合って、そっとキスをした。
手を繋いでベッドに入り、体を寄せる。指で唇を撫でながら、愛しそうに目を細めるミカちゃんと見つめ合った。
「ねえ、ユウ」
「なあに?」
「ねえ、ユウナギ」
「なあに、ミヒャエル」
「ユウナギって呼べて嬉しいんだ。俺、ユウナギに名を呼んで貰って嬉しい」
「ミヒャエル、可愛い。私も、ミヒャエルが気持ちいい時に名を呼ばれるの好きだよ」
「・・本当?なんか恥ずかしい」
恥ずかしがって目を伏せたミカちゃんの、お尻から腰を撫でながら、もう片方の手を下腹に這わせた。
「本当。ミヒャエルが私の名を呼びながら出しちゃうのって、凄くそそる」
「ユウ、ユウがそんなこと、言っちゃ、俺、そんなこと言われたら、ユウにユウナギに、俺、ああ」
ミカちゃんは切ない声を上げて、私の下腹部にペニスを擦り付けて動かし始める。私は、ミカちゃんの先端から漏れた汁を指で塗り広げながら、手で包んで下腹部に押さえ付けた。もう片方の手で根元を撫で擦る。
「あっあっ、ユウナギ、俺、ああ」
私の頬に額を擦り付けながら、甘えた声で鳴くミカちゃんが可愛くて愛しくて胸が締め付けられ、腰が疼きだす。
「ミヒャエル、呼んで。ねえ、ミヒャエル、気持ち良い?ああっミヒャエル」
「ユウナギ、気、持ち良い、ユウナギ、ああっあっ、あっユウ、ナギっっ」
抱き付いた体を震わせて、私の手の中に精子を吐き出したミカちゃんは、息が整うと恥ずかしそうに鼻と鼻をくっつけて、そっと口付けた。
「ユウナギ、ありがとう。俺、ユウナギのこと、好きで堪らないんだ。ユウナギ、好きなんだ」
「ミヒャエル、好きだよ。ミヒャエル、早く、私の中に入って来て」
「っユウ、また、そんなこと言う。・・ユウの手を拭くよ・・綺麗になった。ユウナギ、そんなに」
ミカちゃんの言葉を遮って、キスをした。唇を割って入り込み、口中を舐めまわすと、ミカちゃんの息も荒くなって舌を絡ませてくる。
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