ポンコツな私と面倒な夫達 【R18】

象の居る

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37.三人で居ること Side アル

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Side アル

食事の後、三人でテーブルを囲み、お茶を飲む。俺達がサイコロ振って遊ぶ横で、ユウは刺繍をする。俺達が贈った櫛を入れる袋を作るらしい。贈り物を大事にしてもらうのは、凄く嬉しい。俺達の気持ちが大事に扱われていると感じられて。

ユウはたまに歌う。縫いながら、料理をしながら、髪を梳かしながら。色んな歌を知ってる。
体を洗った後、椅子に座ってユウが髪を梳かす。歌いながら梳かすのを、ベッドから眺める。すごく満ち足りて幸せだ。こんな気持ち知らなかった。
ユウがもうすぐベッドに来る。俺達を見て笑い、俺とベルの間に寝転ぶ。そうして、ユウの体に触れる。考えただけで胸が震えた。

蝋燭の明かりがぼんやりと照らす、黒い髪に櫛が流れる。静かに歌う声が聞こえる。

ユウを抱きしめたい。いつも。腕の中に抱いていたい。抱きしめると、俺を見てユウは笑う。嬉しそうに。
ユウの口から俺の名が聞こえると、喜びで体が痺れる。ユウはベルの名も呼ぶ。ベルはユウに甘え、ユウはベルを愛し気に抱く。俺達は大事にされて、俺達もユウを大事に思う。

いつも俺の側へ来る。出迎えてくれる時、ユウが帰って来た時、皆で集まった時。薬指の夫を優先すると説明したから、その通りに振る舞っているのだと思う。俺を尊重してくれている。凄く嬉しい。

ユウと肌を合わせるのはとても気持ちがいい。ユウは柔らかい。俺達とは違う。ユウの肌はなめらかだ。ユウの肌が粟立つと、どこを触っても声が、息が、零れてくる。それに俺は夢中になってしまう。ユウに求められて。俺もユウが欲しい。ずっと、いつも、欲しいと思ってる。ユウの中を俺で満たしたい。

婚姻してから、この国のことを聞いてくるようになった。ユウは何も知らない。お金のことも、物価も、暮らしのことも。
俺達は聞かれない限り説明しなかった。ユウを閉じ込めておきたくて。ユウが何も知らないままで、俺達の手を必要とするように。ユウも、家の中のことしか聞いてこなかった。それと、文字。文学や歌。生活のことは聞かなかった。
でも、聞かれると嬉しかった。俺達と一緒に暮らすことをちゃんと考えてくれているようで。

三人での暮らしは穏やかで幸せだ。いつまでもこうして暮らしたい。ユウと俺とベルと。

時々、ユウが出掛ける。他の夫の元へ。ユウが居ないと、家が空っぽになった気がする。大事な欠片が無くて途方に暮れそうになる。静かに息をして帰りを待つ。静かにやり過ごす。これまでと同じだ。ベルと二人で暮らしていた時のように。何も感じないように静かに過ごす。

ユウが帰って来るとホッとする。ユウは笑ってただいまと言う。ただいま、と。ユウの家はここだ。俺達の家だ。ユウは帰って来る。俺達の所に。
俺もベルもユウを愛していて、ユウは俺達を好きだと言う。愛してると。俺達は夫で、ユウは妻だ。俺達は幸せで、家の中は幸福で満たされているようだ。

俺のユウ。俺の妻。愛しい人。


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