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58.おねだり

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森番の家に着いた途端、抱きしめられる。痛くて苦しい。オリヴァの背中を叩くと、緩めてくれた。見上げるとくしゃりと歪んで泣きそうな顔をしている。私も悲しくなって、オリヴァを強く抱きしめ返した。

「・・・すぐにでも婚姻をしてほしい」
「・・・うん、そうだったね。ごめん。二人で会えないって知らなかったの。ごめんなさい」

デートしたいとかいう動機で延ばしてごめん。二人で会えないとは気付かなかったよ。ごめんね。保護者付きデートってデートじゃないだろが。ごめん。
ゆるゆると体を離し、私の手を掴んで頬に当て口付けた。

「・・また来る」
「うん。待ってる」

オリヴァが消えて、大きくため息をつく。
あんな顔させたくなかった。あれじゃ、本末転倒だ。笑ってほしかったのに。自分以外の夫が私に触れるのに、自分だけおあずけ食らうとか酷いな。あーあ。私のバカ。調子に乗ったせいだ。オリヴァから求婚されて浮かれてデートとか思って、オリヴァの気持ちは無視した。私のクソ。

家に戻り家事を始める。敷き藁を替え、使用済みの敷き藁を畑の側に運び積んでいく。藁が発酵したら畑に梳き込むのだ。リサイクルでエコな生活。洗濯だって灰汁だしね。アルカリだから肌にキツイのよ。自然は私に優しくない。

ミカちゃんがやって来てお昼を一緒に食べる。

「海に行ったことある?」
「あるよ。船、見に行ったんだ。俺、森しか知らないから、初めて一人で街に行ったとき、見に行った。船も人も凄かった。ユウも見たい?」
「うん。今度、エーミールと出掛ける約束したんだ」
「きっと楽しいよ。俺、船に乗ってみたいんだ。知らないとこ見てみたい」
「船で旅ってできるの?」
「うん、船で向こうの島に行ったりしてる」
「行ってみたいね」
「うん」

ミカちゃんは好奇心旺盛なんだなぁ。私は知らない場所って緊張する。

「ユウ、傷はどお?」
「大分、治ったよ。跡残るかもしれないけど」
「・・・ユウは俺と違って肌が綺麗なのに」
「仕方がないよ。傷残っても可愛がってくれる?」
「可愛がるよ!俺、傷があっても気にしない」

傷は大分治っている。深いところは残るかもしれない。賭博に人生かけた人みたくなるかな。焼き土下座しないと。中二という病が治り切っていないので、傷跡もちょっとカッコイイと思っている。でも、猫の髭みたいな形だと嫌だな。形って重要!エーミールにかなり真剣に罪悪感を抱かれて、アホなことを言えなかった。

「私も気にしない。自分で見えないから分からないし。傷持ちって強そうでカッコいいよね!」
「・・・・・ユウ、本当にユウは気にしないんだね」
「どうせなら、刀傷みたいなさ、カッコいい形だといいんだけど。変な形だとちょっと悲しい」
「ユウは、ユウは・・ふっくふっ、もう、ユウってば」

ミカちゃんは笑いながら帰って行った。

夕方にはアルとベルが帰って来る。お出迎えもなんだか久しぶりみたいに感じる。
エーミールをうんと甘やかしたので、アルとベルも凄く甘やかしたいような、甘やかされたいような気分だ。ベルはいつも甘やかしてるか。罪悪感を誤魔化したいのかもしれない。代替行為だな。

五人目が決まって、これ以上はイベントないし、このままここで暮らしていくのかな。こうして出迎えて、食事をして、眠る。春、夏、秋、冬ずっと。ここは山の上だから、雪は降るのか?

「冬になったら雪降るの?」
「降る。積もるから、雪板を付けて歩くんだ」
「冬の間も見回りするの?」
「ああ」
「冬になったらミカも一緒にここで過ごすよ。炭焼きは冬は休みだし、一緒にいれば薪ももつから」
「ミカちゃんは冬何するの?」
「糸紡ぎとか籠作ったりとか手仕事してるよ。冬は家籠りするから」
「私も糸紡ぎ教えてもらおうかな」
「じゃあ、道具も揃えなきゃね」

そうよねぇ、何するにも準備が必要だ。
アルが待ち切れないような、そわついた顔で私を見る。

「ユウ、体を洗おう」

アルは私が他の夫のところから帰ってくると、必ずほしがる。私を取り戻すかのように抱く。そんなアルが可愛くて、胸が切なくなる。アルを凄く甘やかしたい。
三人で体を洗ってベッドに入る。切ない顔をしているアルを寝かせて頬を撫でた。

「ベル、アルの両手でアルの目隠しして、ベルが押さえてて。アルは寝てるんだよ」

アルを可愛がるあいだ、ベルも楽しめるサービスプランなのさ。
ベルは興奮の面持ちでアルの手を押さえながら目を見開いている。目隠しされてるアルの唇に口付けると、待ち切れないようにアルが舌を差し入れてきた。いつもよりほしがるような熱いアルの舌を、軽く吸って絡ませる。
筋張った首から鎖骨を通り、乳首を掠ってから脇までを、指の先で流すと胸が大きく上下し、荒く息を弾ませながら舌に強く吸いついてきた。

ほしがって体を揺らす可愛いアルのペニスのまわりをくすぐると、喘ぎ出し、腰が持ち上がる。
プクリとした汁を先端に乗せて、もどかし気に腰を揺らすアルは凄く色っぽくて、すぐにでも私の中に埋めてしまいたくなる。この人の引き締まった体を組み敷いて、喘ぐ声をもっと聞きたい。

舌で首を舐め上げ、乳首まで辿り、乳輪ごと甘噛みして固くなった乳首を舌で弾く。可愛い小さな粒を弾くたびに、腰を捩りアルが声を上げる。もっと声が聞きたくて、膨れた乳首の根元に柔らかく歯を立てたまま、舌で舐りまわした。
切ない声を上げて、しなるアルの腰の下に手を入れ、背中まで撫で上げる。プクリと浮かんでいた汁はタラリと垂れた涎になり、待ち焦がれるように震えていた。

目をギラつかせて動く腰を凝視するベルに見せつけるように、律動するアルのペニスに手を添える。興奮に潤んだベルを見つめながら、ぬらついた亀頭に舌を這わせた。
途端、アルの声が上がり、切なげに私の名を呼び始める。できるだけ柔らかく口に含み、物欲しげなベルを見ながら上下に動かした。

甘く喘いで、自分で腰を突き上げ出したアルのお尻を揉みしだき、垂れた涎を擦り付けて肛門を軽く押す。
アルは足で私を挟み狂おし気な声を上げ、激しい突き上げを繰り返し、吐精した。
アルが全部吐き出して弛緩したので、口を離し布に吐き出す。力が抜けて柔らかくなった膝にキスをした。

「可愛いアル、気持ち良かった?」
「・・・良かった。ユウ、凄く」
「ふふ、良かった。アル、私にも頂戴」

硬くそそり立ったままのペニスにゆっくり腰を沈めると、アルが呻き声をあげる。

「くっ、うあっ、ユウ、あ」
「ああ、アル、気持ち良い。・・・ベル、ベルもおいで」

律儀に目隠しし続けるベルの手を取って抱き寄せると、唇が襲われ舌を捩じ込まれた。私の口に残るアルの残滓を舌で暴きまわりながら、滑ったペニスを私の足に夢中で擦りつける。必死になって快楽を追うベルが愛しくて胸が疼き、ベルのペニスを軽く握って足に押さえ付けた。

飲み込んだままゆっくりとしか動かない腰に痺れを切らしたのか、アルの力強い手が私の腰つかみ、容赦なく揺らし始める。

「ユウ、ユウ、ああ、お願いだ、ユウ、欲しい、ユウナギっ」

アルの性急さと切ない声が、私の肌を粟立たせ、背中をしならせる。アルの動きに乱されたのか、ベルの喘ぎが大きくなった。ベルを握る手に、少しだけ力を加える。

「ユウ、俺、出ちゃう、ユウっっ、ああっ」

ベルの熱い精液が私の足と手にドロリとかかった。私も、私の中にも出してほしい。
汚された手をそのままアルの腰に置いて、思うさま腰を振り立てる。

「アル、アルフレート、ねえ、頂戴、アル、ああ、お願いアルフレート、私に」
「ユウナギ、ああ、ユウ、俺も欲しい、ユウナギ」

二人で喘ぎながら腰を擦りつけ合い、快感を追って昇って行く。

「あっ、・・ぅああぁあっ、アル、っく、うぅっ、うあああぁぁ」
「ユウナギっっ、くっ、出、るっっ・・うっぅぅっ」

余韻に声を漏らしながら、波が引くまで揺れていた。
アルの胸に倒れこみ、抱きしめられながらゆっくり息を整える。こうして抱きしめられると安心して眠くなるな。

「眠くなってきた」
「ええ、俺まだ足りない。ユウってば、起きてよ」
「うん。・・あ、アルの体汚しちゃった。ベルのだからベル拭いてよ。ここ」
「・・・俺の。・・・うん。ユウの手も出して」

ベルがいそいそと、アルと私の体を拭く。ベルのベルは立ち上がったまま体の動きに合わせてプリンプリンと可愛く揺れて、つつくとピクンと動いた。

「・・・ユウ、何するのさ」
「なんか、可愛いなと思って」
「じゃあ、可愛がってよ。俺もユウの中に入りたい」

潤んだ目のまま口を尖らせて可愛いことを言うベルを、笑いながら両手を広げて迎えた。ベルが私の中に入り込み、ピッタリと抱き合ってキスをする。ベルの強引な舌をゆっくりと舐めり、唇を離してから頬にキスをした。ベルはたいてい強引で余裕のなさが可愛らしく、顔を抑えてベルの柔らかい唇を軽く何度も啄むと、くすぐったそうに笑った。

「俺、摘ままれてるみたい」
「そうだよ。摘まんで食べてるの。美味しいベルの唇、美味しいベルの舌」

笑って、ベルの唇をそっとなぞり舌先だけチロリと舐めた。

「あっ、ユウ、それっ」

ベルの肌が粟立ち、震えた。私の首筋に顔を埋め、腰をガッチリ掴んで振り立て始める。喘ぐベルの細く柔らかな髪を梳いて、優しく撫でた。

「ユウ、ね、好き?ねっ、あああ、ユウ、ああっ」
「好き。好きだよベル。好きだよ可愛い双子」
「もっと、ユウ、ああっ、あぁぁっ、ねぇっ」
「好き、大好きベルンハルト」

ねだるベルにずっと囁いた。ベルが何度か熱を吐き出すと、待ち切れないアルがすぐ交代し、囁きを欲しがる。アルはいつも、自分にも同じものが欲しいとねだるので子供みたいだなぁと思う。そんな子供みたいなおねだりが可愛いくて、笑いながら抱きしめる。アルと抱き合っている間中、もっと甘く囁き、もっと優しく撫でた。


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