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112.エピローグ
赤ん坊の泣き声が聞こえる。
頭がぼんやりする。痛いのなんのって。ひでぇわ。骨が軋む音を初めて聞いたわ。
双子だってさ。女の子の。周りのテンションが高過ぎて、逆に冷める。良かったね、とか思って他人事みたい。
神殿の医療棟で出産したから、女神と同じ女の双子だってんで、スタッフ全員どころか患者全員と神殿にいる魔法使い達からもお祝いされた。途中で面会謝絶にしてもらった。ストレスで死ぬっつーの。そんで縁談もきた。早過ぎるだろっ。
女の子の双子産んだから、魔力無しとかそういうことは霞んで消えてしまい、これからもバンバン子供産んでって、応援されてる。
産んだばっかりで股裂けてるんですけど。
子供の髪の色と目の色は私と同じで、髪質はふわふわしてて、ハーフ顔って可愛いなぁと思いながら眺めてる。
子供の名付で夫どもが、かんかんがくがくやり合った。面倒臭え。
神殿にいると、私と子供が縁起物扱いされて、訪問されまくってストレス酷いから、ずっと森に住むことになり、そうすると子供と一緒に住みたいということで、結局、みんなで森番の家に住んでる。狭すぎるので一部屋増築した。エーミールとオリヴァも、夫追加しないかとか、子供の縁談をとか、色々大変でうんざりしてるから離れたくて、全員一致で決まった。
ベルが目に入れても痛くないほどの可愛がりっぷりで、アルもいつも楽しそうに抱っこして遊んであげてる。魔法使い達は手袋とローブしたままだけど、エーミールは下手くそな手遊び歌で遊んで、オリヴァは髪を結ってあげてる。直接触れないけど楽しそう。
ミカも子供を可愛がるけど、ミカの子は私だからと言って私を一番に可愛がってくれる。へへへ。
ベビーシッターを神殿から雇った。神殿に捨てられた子で魔法使いじゃない、まだ成人前の子。成人前はお試し雇い期間らしい。私の夫に捨て子がいると聞くと、自分も結婚できるかも!と希望をもって、大事に子供の世話をしてる。
エーミールに神殿で寺子屋的なことをしたらどうか提案した。授業料をいくらか取れば収入が入るし、神殿の捨て子に教師という就職先ができるし。まあ、自分の子供の教育を考えてなんですけどね。一年くらいの準備期間を得て、大きい都市で試験導入することになった。バンザイ!
不安で怖くて眠れなかったり、もう無理って夫に押し付けて寝込んだり、夫達には早目早目にキレておくことを学んだ。黙って我慢しても良いことない。まあ、色々あったけどなんとか5歳まで育ってる。
魔力計で測って魔力ゼロだったんだけど、誰が喜んだって、魔法使い達だよ。引くほど喜んで抱っこして頬ずりしてチューして、子供に嫌がられてた。
子供とのふれあいが手袋して頭撫でるとか、眠ってから抱っこするとかだったからね。直接さわれるのが嬉しいんだろう。存分にチュッチュしてくれ。
双子の下にまた女の子が、その下も女の子で、治療棟にいくたびフィーバーされる。
下の子二人は色付きだった。でも、髪色が薄茶色だから神官級だろうとの予想。魔力がかなり低かったら神殿にあずけなくてもいいみたいだけども、教育は神殿で受けさせる予定。
5歳ユリとマリ、2歳カロ、1歳クリス。四人目ともなれば慣れたものでコロコロと転がして遊んでる。魔法使い達は触れないけど、手袋はいて撫でてる。
ベビーシッターと家事手伝いに、もう二人追加した。人件費安いしね、金払いの良い夫がいると助かる。金で解決なのさ!
「アル父さん、ベル父さん、おかえりなさーい」
「ただいま、ユリ、マリ」
「ただいま、元気にしてたか?」
アルがマリを抱き上げて、ベルがユリを抱き上げた。
「マリねーいも虫つかまえたの。こんなにおっきかった」
「すごいな」
「父さんにねーあげようとおもったの。でもトリさんに食べられた。パクって」
「残念だ。見たかったな、マリが捕まえた大きい芋虫」
アルが笑いながらマリの頭にキスして、マリも嬉しそうに笑う。
「ユリもねー、虫つかまえたよ」
「へーユリはどんな虫つかまえたの?」
「えーと、足がもげる虫だよ」
「ふふっ、足がもげるんだ」
「そう。ひっぱるともげるんだー」
「それはもげそうだね」
ユリはベルの首に抱き付いて話をしてる。ベルも凄く楽しそう。双子同士で毎日、楽しそうに話してるのを見ると、子供がいて良かったなと思う。
「マリ、父さんの所にもおいで」
「エミ父さん、マリねー、ルイ兄さんとコンインするやくそくしたの」
「ルイは子供の世話をする仕事だから優しいだけだぞ?」
「ちがうっマリのことスキっていったの!父さんキライ!」
エーミールはなんとも情けない顔でマリを膝にのせて抱いている。
それを呆れた顔して見たオリヴァがユリを抱き上げる。
「ユリは好きな人いるのか?」
「ユリね、えーと、虫すきだよー」
「・・・ヘルブラオ、お前のせいだぞ」
「持って生まれたものだろう。私のせいにするな」
「足もげるんだよーポクって!」
「・・・そうか、楽しいのか?」
「うん!オリィ父さんもユリといっしょにしよーよ」
オリヴァも微妙な顔してる。まあ、子供の内はね、そういうこともあるよね。ちょっと怖いけど。
ミカは私の隣に立って、私と顔を見合わせながら、そんな光景を眺めて笑ってる。
私は物凄く腹を立てたり苛々したりしたら、言葉が出て来ず睨みつけてしまう癖があるみたいで、そんなときはシッターに任せて外に出る。クールダウンして腹立つワケを考えたり、クールダウンできないくらいむしゃくしゃしたときは、炭焼きの家まで行ってぼんやりする。それで、ミカが迎えにきてくれるまでじっとしたり、泣いたりしてる。
シッターいないとホント無理。私、日本合わないかもとか思ったりする。子供好きの夫がいないと挫けるわ、いても挫けてるけど。
たまに炭焼きの家に家出して一人になる。夫達も家出したくなったら炭焼きの家に泊りに行くんだけど、なぜか私も連れて行かれヨシヨシと慰め係をしてる。
魔法使い達も神殿に帰りたくないらしくなぜか炭焼きの家でヨシヨシする。オリヴァだけはギラギラがヨシヨシがわりだけど。やれやれ。
夫が5人もいると子供のお世話を頼めるので、ここはすごい利点。
私は昔見たテレビで芸人が話してた産後の尿もれ防止体操をしてる。下が緩むし、尿もれパッドないし大変。出産で体も徐々に変わり夫に付き合いきれないこともある。夫達のほうも、衰えたり落ち着いたりして変わってきた。
一緒に住むと色々ある。だいたいは苛々。でも、やっぱり結婚したんだし、話し合ってお互い妥協して続いている。双子とのあの体験は話し合う、歩み寄る、受け入れる、頼る、そんなことを経験できたんだと思う。
テンヤワンヤで色々あるけど、やっぱりこうやって暮らしてくんだな~と思ってる。このまま大過なく過ごしたい、切実に。ホント。病気も、盗んだバイクで走り出すのも勘弁願いたい。女神様、頼みます。
めでたしめでたし
____________
これにて完結です。
ありがとうございました。
近況ボードに完結の挨拶を書きましたので、そちらも是非ご覧ください。
読み始めた切っ掛けも近況ボードで随時募集しています。
毎日ではありませんが確認していますので、教えていただけると嬉しいです。
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