ポンコツな私と面倒な夫達 【R18】

象の居る

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番外編2

12.妻からの褒美 Side エーミール ※

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Side エーミール

 久しぶりに休みを取り、朝からユウナギと一緒に過ごしている。王都には雪が降らないため冬ごもりはしないが、風は冷たい。寒いのは嫌だというユウナギに合わせ、暖炉の前に座って他愛ない話をした。

 できない約束はしないとグラウに言ったら曲解されたという話をユウナギにする。あいつはどこまで迷惑かければ気が済むんだと、腹立ちながら話すと楽しそうに笑い声をあげた。

「グラウが言うと冗談に聞こえない」
「そうだね。まあ、今のところは大丈夫」
「当たり前だ。ひと冬の間に何度もあったらたまったものじゃない」

 文句を言った私を可笑しそうに見て、ふと目を細めた。

「エーミール、ありがとう。エーミールのお陰だよ」
「まあ、私が一番適役だったからな。妻のために頑張ったんだ、褒美をくれるか?」
「もちろん」

 そう言って、持ってきたカバンの中から取り出した布を手渡される。広げると、私の名前が刺繍してあるハンカチだった。縁にもグルリと飾り刺繍がされていて、普段使いには申し分ない出来になっている。

「なかなか上手いな」
「飾りが均一じゃなくて恥ずかしいけど、ハンカチは畳むし、お目こぼしして」
「ありがとう、ユウナギ」

 ユウナギの針仕事を眺めたことがあるが、随分と進みが遅い気の長い手仕事だった。これを作るのにどれくらい時間がかかったのだろう。その時間を私のためだけに費やしてくれたことが嬉しい。私のためにと、手を動かしてくれたことが嬉しかった。

 ユウナギを抱きしめてもう一度、礼を言った。

「エーミールも私に色々と贈り物をくれるし、お相子だよ」
「私は買うだけだ」
「何が良いかあれこれ考えて、買い物に行ったり、お店に連絡したりするでしょ? 一生懸命に働いたお金だって使うし。充分気持ちがこもってるよ」

 そうか、そうだな。何が良いのか、あれこれ考えて選んでいる。
 自分で思ってもみなかったことを肯定され、喜びが胸にこみ上げた。嬉しくて、抱きしめる腕に力が入ると、ユウナギからも顔を擦りつけてきた。可愛らしい仕草に、胸が甘酸っぱいような、切ないような気分になる。

「ハンカチは日ごろのお礼です。今回、助けてくれたお礼は何が欲しい? 私にできることなら何でも」
「まだくれるのか? 私は遠慮しないぞ?」
「怖いことを言う夫ですね」
「可愛い妻が望みを叶えると言ってくれているんだ。遠慮するなんて失礼だろう?」

 抱きしめた耳元に小さな笑い声が零れる。
 楽しそうなのも、悲しそうなのも、喜びに笑う顔も、困った顔も、すべて素直に現れる自然な表情が愛しかった。私の前で取り繕わずいてくれることに安心する。恥ずかしがっていることを隠そうとしているのに全然隠れてない所も可愛らしい。
 普段は子供っぽいのに、たまに見せる慈しむような表情に目を奪われる。愛しそうに目を細めて見つめられると胸が高鳴ってしまうし、悪戯っぽく笑われるとそそられる。

 首ったけとはこのことだな。惚れたら負けだが、負けでも悪くないと思える。反応の良い可愛い妻を抱けるのだから。

「今日は2人だけだから、いいだろう? 尻を洗おう」

 耳元で囁くと体をピクリと反応させて、頷いた。

 道具を使って洗うのはまだ慣れないようで、平気なふりをして恥ずかしがっている。それをからかうと、同じ目に遭えと怒りだして私を洗うと言い張った。慣れていてなんともない私を見て悔しがったのに、道具の方に興味が移って面白そうに動かしている。興味の先がコロコロ変わる子供のようで可笑しい。

 体を洗い流し、準備をしてベッドに入った。
カーテンを閉めたほの明るい部屋の中、クリームのように滑らかなユウナギの肌が浮かぶ。覆い被さった私の首にユウナギが腕をまわし、微笑み合い口付けを交わした。
 唇を啄み合って離すときにユウナギから漏れる吐息が、私をゾクゾクさせる。声を抑えて微かに震える熱い息が、私の理性を溶かしてしまう。口を合わせて深くまで舌を差し込み、すべてを舐めまわして味わいたい。手で体で肌で、全身で感じたい。
 ざらつく上顎を、歯の並びを、濡れた歯茎を、私に絡みついてくる可愛い舌を、柔らかな乳房を手の中で捏ねながら味わう。寄り添うように動く、濡れた舌に吸い付いて唇で扱くと、呻き声を出して息を荒げた。

 乳房を揉みつぶして乳首を指で挟めば、腰を揺らして私に擦り付ける。喉から漏れる細い喘ぎ声に、頭が痺れて腰が熱くなってしまう。私にしがみついたユウナギが、硬くなった下腹に擦りつけてくる。沸き起こる、挿入したい衝動に理性を総動員して耐えた。

 ヒダを割る前から溢れた蜜で濡れ、塗り広げずとも肛門は十分に潤いを纏っていた。ほぐすために押し撫でると、肌を粟立てて高い声を上げる。撫でるたびに溢れてくる蜜でヌラヌラし、指が滑らかに肛門の中へ吸い込まれた。掻き回す私の指に合わせて反応し、悶える姿にそそられ下腹が重怠くなる。

 腰の疼きが我慢出来なくなり、ヒダの奥に隠れて蜜を零すヒクついた穴に先端を当て、少しだけ咥えさせた。すぐに抜き、また浅く咥えさせる。何度か繰り返すと、ユウナギが声を上げて腰を揺らし、酷く乱れた。
 狂おしく乱れる姿に、嗜虐心がそそられるが、私も入れたくてたまらない。ユウナギの最奥を穿ちたい。ユウナギの中に熱を送りこんで掻き回し、2人の熱を混ぜ合わせたい。

「エーミール、酷い、お願い、エーミール」
「どんな願いだ?」
「お願い、ちょうだい、奥まで入れて」
「ハッ、そんなにか。いつもは言わないのに」

 待ち望んだ言葉に煽られ、それを詰って余計に興奮した。
 腰を掴み、思い切り打ち込むとユウナギが叫び、中が吸い付いてくる。奥のすぼまりを何度も押し込むと、私に食らいついて締め付け、激しく蠕動した。持っていかれそうな快感を食いしばって耐える。
 蠕動が収まりそうなところでまた打ち込むと、すぐに仰け反り腰を震わせて達した。蠢く粘膜の絡みつきが蕩けるようで我慢できそうになく、抜いて深呼吸をした。

 カバーを付けてぬめりを塗り、肛門に入れていく。久しぶりだからかユウナギの反応が固い。
ゆっくり揺れ始めると、潤んだ目で縋るように私を見上げ小声で囁いた。

「抱きしめて、エーミール」

 黒い目に見つめられ、引き寄せられるようにすぐに抱きしめ口付ける。待ち焦がれたように応えるユウナギに愛しさがこみ上げ、腰が痺れてもちそうにない。

「そんなに可愛らしいと、もたない」
「気持ち良いと、嬉しいよ」
「私がもっとしたい」

 もっと繋がっていたいのに。森番達の若さが羨ましく悔しかった。

「私がしていい?」
「無理はいい」
「したいから、させて。エーミール、お願い」
「……本当か?」
「うん。たまには押し倒したい。両方欲しい。舐めさせて」
「ああ」

 愛し気な微笑みを向けられると、愛される幸福に胸が震える。抱き合って口付けしながら揺れ、喜びのまま熱を吐き出した。

 息が落ち着いてからカバーを外して拭いた。ユウナギが楽しそうに私をうつ伏せに押し倒し、耳に口付けを落とす。そこから舌で体を辿り、尻までいくと甘噛みしながらほぐし始めた。
 尻肉を広げられて肛門を舐められるなんて真似を、年下の妻にされているという背徳感で背筋がゾクゾクして腰が痺れる。舌先で穴をくすぐるように舐められて堪らず、喘ぎ声が出た。ユウナギは可愛いと楽し気に言い、チロチロと私で遊ぶように舐める。

 愛する人から愛撫を受け、私の中に喜びが満ちた。

 クリームを丁寧に塗りこめて指が出入りする。仰向けになった私にユウナギが覆い被さり、舌で乳首を弾き、もう片方の指で摘まんで潰した。指が増え掻き回される快感で体が揺れる。
 腰が疼いて堪らず、ユウナギに強請ると、笑みをもらして張り形を準備し始めた。クリームを満遍なく塗り、ゆっくりと挿入される。もどかしく思いながらも、ユウナギに気遣われて丁寧に扱われるのは、幸福だった。

 張り形が根元まで入り、その充実にため息が漏れる。動かして欲しくて腕にふれ、指先で呼びかけると少しずつ動かし始めた。柔らかくなった陰茎は、楽しそうなユウナギの口の中で遊ばれている。
 張り形が動くたび、下腹の奥からの刺激が背骨を駆け上がる。久しぶりの下腹の快感が腰を堪らなく痺れさせた。ユウナギの暖かな舌で嬲られる刺激と混ざって、頭が真っ白になる。

 ユウナギに強請って動かしてもらっても足りず、我慢できなくて手を握って一緒に動かした。口の中でも腰を振りたいのに振れず、もどかしくて叫ぶように強請れば、吸い付くようにしゃぶってくれ、もう蕩けそうだ。
そのまま手を夢中で動かして下腹で絶頂し、ユウナギの頭を押さえて口の中でも達する。
 ユウナギの口に吸い付かれて最後の熱まですべて吸い取られ、陶然としたまましばらく動けなかった。

 余韻から抜けて、苦しくさせたと思い至り、焦る。慌てて口から取り出して布を当てた。布で口を拭いたユウナギが謝る私を見て笑い、優しく張り形を抜いて、私に寝ているように言い、カバーもまとめて浴室へ持って行ってしまった。

 いい年をして苦しい思いをさせるまで夢中になるなんて、と自己嫌悪しているとユウナギが戻って来た。

「エーミール、お水飲む?」
「ああ」

 答えると、口移しで飲ませてくれた。唇が触れて、少しずつ流れ込む水を飲む。飲み終わっておかわりを断ると、コップを盆に戻し、私を抱きしめた。私を抱きしめてくれる柔らかな体に抱き付く。

「すまない、苦しかっただろう?」
「気持ち良かった?」
「良かった。良過ぎて夢中になってしまった。……すまない」
「最後、ちょっと苦しかったけど、エーミールが夢中で嬉しかったよ。可愛くてそそられた」

 艶っぽく笑って、軽く唇に触れる。

「また、こういうのしても良い?」
「ああ。してほしい」
「可愛い、エーミール」

 頬ずりして答えた私の頭を子供にするようにくしゃくしゃ撫でる。

「体洗おうか」
「そうだな」

 浴室で石鹸を泡立てて、抱きしめたユウナギの太腿から背中まで撫で上げる。尻をやわやわ揉むと怒られた。

「ユウナギ用の張り形を用意するか」
「え、いらないよ」
「そそられたと言っただろう? もう一度欲しかったのではないのか?」

 ユウナギも泡立てた石鹸で私の体を洗い始め、尻も陰茎も丁寧に撫でる。

「足りてるよ。満足してる。エーミールは足りないの?」
「……足りない。もっと可愛がりたいのに」
「そっか。じゃあ、洗い終わったら良いこと教えてあげる」

 俯いた私に悪戯っぽく笑いかけ、泡を洗い流した。冬用の夜着を着て部屋に戻る。

「男性機能に良い、下半身を鍛える運動があるの。私は気にしないけど、エーミールが気になるなら試すといいよ。女にも良いから覚えたんだけど役に立つ日がきたわ」

 そう言って真っ直ぐに立ち、少し足を開いた。

「足を肩幅に開いて、背筋は伸ばしたまま、膝をつま先より前にださないように腰を下げる。力を入れる場所はここ」

 説明をしながら見本で動いて見せてくれた。真似した私の体の動きを見て、手直しと注意事項を話す。

「他にも、5つ数えながらお尻をギュッと締めて緩めてを繰り返すのもいいよ。最低10回で、暇なときにするといいよ」
「ユウナギはしているのか?」
「してない。今は洗濯とか、家のこととか、前よりずっと色々動くから、鍛えられたよ。エーミールはそういうことしなくなって、あまり動かないでしょ?」
「そうだな」
「効果はすぐに出ないけど、ちゃんとやれば段々変わるからね。あと、カキを食べると良いよ。それと牛肉」
「それは、以前話していた食物の専門知識か?」
「あー、そういえばそんな話したっけ。そうだよ」

 感心しながら聞いていると、いきなり私に抱き付いて胸に顔を埋めるから、抱き返して背中を撫でた。

「どうした?」
「あのねー、大人で落ち着いてて頼りになる、今のエーミールだから好きだよ。今のエーミールだから上手くいってると思うし」
「そうか?」
「そうだよ。それに若いエーミールだったら、私のこと相手にしないでしょ」
「……そうだな」
「ふふっ、ハッキリ言う。そういうわけだから、今のエーミールで良いんだよ」

 そう言って私を見上げ嬉しそうに笑うから、胸が震えてほんの少し泣きそうになってしまった。
 ユウナギを抱きしめて口付ける。その唇は私に柔らかく応えて、優しく動いた。

「ありがとう、ユウナギ」
「ありがとう、エーミール。一緒にいてください」
「いる」

 柔らかいユウナギを抱きしめて、幸福に浸る。
 私の愛しい人。可愛い妻。あなたのためならこれからも力になろう。


 ◆◆◆


 体を鍛えて少しずつ自信を取り戻したエーミールに可愛がられ、教えなきゃ良かったとユウナギが後悔するのは、もう少し先の話。



めでたしめでたし




______________



活躍したエーミールへのご褒美で、少し長めになってしまいました。
「番外編2」の最終回です。最後までお読みいただきありがとうございました。

良い年末年始をお迎えください!
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