6人の夫と巫女になった私が精霊作りにはげむ1年間の話【R18】

象の居る

文字の大きさ
20 / 119
第一章 巫女ってなんなんですか

20.リーリエとの憂鬱な時間

しおりを挟む
 
 目が覚めたらサミーはいなくて、なんとなくホッとした。ことが終わったあとも一緒にいて落ち着くようになるのは、まだまだ先になりそう。貢いでフラれた仲間なので親近感はあるけど、慣れるかどうかは話が別だし。

 ベッドでゴロゴロしてたら、リーリエが起こしに来た。

「お早うございます、巫女。湯浴みはしますか?」
「うん」
「ではお湯を張りますね。背中を流しますよ」
「いらないってば」
「私は夫ですから、遠慮しないでください」
「ホントにいらないの」

 リーリエはニコニコしながら押し付けがましいので、結構イラつく。しかもしつこい。うんざりして、早くも対応がぞんざいになってしまった。それでも、お湯を張ってくれたり掃除してくれるのは大変ありがたいので、お礼は言う。
 お風呂から上がったあと、まだ部屋にいたリーリエに髪を乾かしてもらった。申し出を全部拒否するのも申し訳ない気がした結果の妥協。

 今日はリーリエの日で、図書室のヒソヒソ話を思い出して憂鬱になった。面と向かって嫌がりはしないけど、リーリエも妖精族だから思うところはあるんだろうな。そう考えるとどんどん落ち込んでしまう。

「今日はリーリエの日だけど、夜になったら来るの? 無理しなくていいんだよ?」
「大事なお勤めですから大丈夫です。名誉なことですから精一杯頑張ります」

 繰り返す同じ様な問答にため息が出る。
 私が気にし過ぎなのかもしれない。私個人とお勤めは切り離して考えた方がいいのかも。たぶんお勤めの相手は関係なくてお勤めが大事なだけだから。でも、そんな割り切って寝れるものかな。やっぱり相手のこと多少は考えちゃうよね。もっとましなのが良かったとかさ。

「リーリエはしたいことある? なかったら図書室に行ってもいい?」
「巫女のやりたいことを優先していただいてかまいません。鍵を持ってきますね」
「ありがとう」

 一緒にいなくてすんだことにホッとした。

 一日中、図書室で精霊に関係する本を読んだけど、異世界の巫女の話は見つからなかった。がっかりして夕食を食べ、眠る準備をした。なるべく時間を短くしたくて、リーリエには眠る時間になってからと言ってある。それでもやっぱり憂鬱だ。

 ノックのあと、少し緊張したリーリエが入ってきた。ベッドに腰掛けて、もう一度確かめる。

「大丈夫?」
「大丈夫です。初めてなので緊張していますが潤滑油は準備してますし、やり方も聞いてきました」

 何を聞いても『大丈夫』しか言わなそうなリーリエは、手に持った小瓶を見せてくれた。

「すぐ済むようにしようか。リーリエは自分で準備できる? 途中まで自分でしてくれれば、あとは私がするから。潤滑油貸して」
「でも巫女、それでは」
「妖精族はそのほうが良いでしょ?」
「……はい」

 お互いに背を向けた状態で、ゴソゴソ下着だけ脱ぐ。これは仕事だからと自分に言い聞かせながら潤滑油をぬりつけて準備をした。

「できました」
「じゃあ、ズボンから出して仰向けに寝て」

 静かに寝転んだリーリエのペニスが勃起してることに安心する。手に残った潤滑油をペニスに塗りつけてから、ゆっくり挿入した。
 リーリエを見たら、胸の前で手を組んで目をつむり歯を食いしばってる。苦しい目に遭って助けてくれってお祈りしてるみたいに見えた。
 惨めな気分を片隅におしやって何も考えないように体を動かした。少しも気持ち良くない、ただ擦るだけの運動をしばらくすると、リーリエが短く叫んで体を強張らせた。

 それほど時間はかからなかったのに、やけに疲れてる。リーリエの蠕動が収まってから体を離し、ペニスを拭いたら驚いたのか、慌ててズボンにしまって体を丸めた。
 さわられるのが嫌だったのかもしれないとさらに落ち込みながら風呂場で下半身を洗い、リーリエに背を向けて離れた場所に寝転んだ。

「お疲れ様。お休みなさい」
「お休みなさい、巫女」

 何も考えないように深呼吸を繰り返して眠りに落ちた。

 どんな惨めなセックスでも精霊は産まれるらしい。明け方に白い光の精霊がポツポツと天窓に消えていった。リーリエはとても嬉しそうな顔で精霊を見送って私にお礼を言った。
 私はすごくすごく疲れて、もう起きたくないなと思いながらまた眠った。


 それでもやっぱり目は覚める。
 今日はヨアヒム・リヒターの日で、お昼は外で食べると約束した。気を取り直してヨアヒム・リヒターのことを考えよう。
 2メートルくらいの大きい体の上にラスプーチンみたいな胡散臭い顔乗っけてるのに、すごい緊張してキョドってるとこを思い出して笑った。ギャップがあってなんか可愛いよね。リーリエは仕方ないとしても他の人たちとは上手くやりたいから頑張ろうと思う。

 できることから。頑張れ私。


しおりを挟む
感想 101

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...