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第一章 巫女ってなんなんですか
31.鼻が利くから ※
しおりを挟む緑のドアから笑ったラルフが顔を出した。
「楽しそうだったな。良くなった、か? ――――」
雰囲気がガラリと変わり張り詰めたような空気が流れた。暗い部屋に黄色の目が光って見える。何も言わず近づいたラルフが私を見つめた。いつもと違う目つきと、どこか危うい雰囲気で。
「…………うん」
「もしかして、精霊の卵の副作用って、これか?」
指先でそっと首筋を撫でられただけなのに、体の芯が震えた気がした。
「っふ、ん。……だから、触らないで」
「オオカミ族は鼻が良いんだ」
急に抱きあげられて体が揺れ、咄嗟にラルフの肩に腕をまわした。ラルフは足早に階段を登る。
「なに?」
ラルフは無言のまま二階の部屋へ入り、ベッドに私を降ろして覆い被さった。
「匂いに中てられた」
鼻に皺を寄せてそう言うと口の中に舌を捩じ込んで掻き回した。いきなりで頭がついていかないのに、乳首をこするラルフの手に体が反応する。待ち焦がれた刺激が与えられた体は、いつもより鋭い快感を下腹に響かせた。乱暴にスカートをまくったラルフの手がクリトリスに触れ腰が跳ねる。何も考えられず刺激だけを求めて指に擦りつけ、すぐに達した。
「っふ、すげぇな。たまんねぇ」
ラルフが上擦った声で呟き乱暴に下着を剥ぎ取る。力任せに膝を押し広げられ、いつのまに脱いだのか、硬く立ち上がったモノが割れ目にあてがわれた。交わったあとのように濡れているのが自分でもわかる。疼いた体はメチャクチャにされたいのに、理性がそれを受け入れられなくてもがこうとした。
「んぅっ、あ、や、ダメ」
それなのに力は入らず、腰だけが物欲しそうに揺れて羞恥が煽られる。
「待てない」
大きな質量が下腹を一気に満たし、刺激が頭まで駆け上がって背中をしならせる。そのままクリトリスに押し付けられながら、奥をグイグイ抉られて頭が真っ白に弾けた。
「っあ、アアアアあぁぁああんんっんーー」
「グッ、うぅ、っぅく、っは」
いつになく蠕動する下腹の中で感じるラルフの硬さが、引かない快感の波へ被せるように、鈍い疼きを送りこんでくる。硬直がとけ息を整える間もなく腰を打ち付け始めた。息を荒げ、口からはみ出た舌から涎が滴って私の胸を汚していく。暗闇の中でギラギラと光を放つ黄色い目に射すくめられて鳥肌が立ち、中が反応するのがわかった。
経験したことのない欲求と快感が怖くて、なけなしの理性にしがみついた。
「ヤダ、ああぁああ、違う」
「っあ、ああ、卵のせいだ。だから、いい、これで、っは、クッぅ」
ラルフの腰は止まらず、肉を打つ音とぐしょぐしょに濡れた水音が大きく響く。卵のせいだからと頭の中で叫び、ラルフに合わせて腰を振った。膣壁が擦られるジンジンした快感が腰をとかしていく。もう止められない。
「ん、んぁああっ、あああアアぁーーっあーーー」
「っぐぅっあ、う」
背中を仰け反らせ押し付け合って絶頂する。抑えられない声が喉から叫びになって出ていった。
体を緩めたラルフが大きく息を吐いた。
「熱いな」
そう言って体を離し上着を脱いだら、力が抜けて動けない私の服も手早く脱がせた。重い腕を動かしてコップを受け取り、カサついた喉に水を流し込む。コップをテーブルに戻したラルフをぼんやり見ていたら、また私に覆い被さった。
薄い舌でベロリと私の唇を舐め、やっと呼吸が整った私の舌を絡めとる。両足を肩にかつぎ、先っぽだけ浅く挿し込んでゆっくり小さく揺れた。
「んぁ、あっ、あぁ、また」
「たっぷり産まないと明日も発情するだろ。もっと出すから俺の精霊孕んでよ」
両方の乳首をキュッと潰されて甘い痺れが体に走った。爪で先端を引っ掻かれるたび、体の奥から震えるような気持ち良さが湧き上がる。入口だけを擦られて疼く腰が、硬い異物をもっと奥に飲み込もうと収縮を繰り返した。
「欲しいだろ? 欲しいって言って、サヤカ」
「ん、ぁっあ、ほしい」
「もっかい」
焦らされて増幅したもどかしさに体が捩れる。シーツにしがみつき、涙が滲む目でラルフを見上げ懇願した。
「ほしい、ラルフ、ん、あぁ、おねがい」
「っふ、サヤカ、たまんねぇ」
口の端を引き上げて笑い最奥まで体を沈めた。容赦なく突き入れられ、何度も奥まで穿たれる。皺の寄った鼻先と荒々しい息が、余裕のなさを教えてくれて気持ちが沸き立った。乳房を鷲掴みされながら、腰をガクガク揺らされる強引さに興奮する。
ホントに欲しい。奥までメチャクチャにしてほしい。ただただ精子を注がれたかった。卵が望み、私も望んだ。
「あっ、あ、ちょうだい、ラルフ、あぁ、もっと」
「はっあ、サヤカ、出るっ、くっぅぅ、グッぅ」
低い唸り声を出して腰をグリグリ押し付ける。中の律動が止むと、力の抜けた体を私の上に横たえて短い呼吸を繰り返した。
一段落ついたのか頭がスッキリした気がする。さっきまでの自分が恥ずかしくなり、ラルフの毛を撫でて落ち着かなさを誤魔化した。頭から首まで毛の流れに沿って撫でてたら、目を開けてふにゃりと笑った。
「サヤカが発情すると種持ちのオレもつられんの? こんなん初めてなった」
「あり得る話だね」
「悪い、強引だった。大丈夫だったか?」
「うん。気持ち良かった」
「治まった?」
体の中の疼きを探ってだいぶ落ち着いたのを確認する。
「けっこう落ち着いたみたい。精霊産みって酷い副作用つけるね」
「ホントだな」
こういうときは軽口を言い合えるラルフが気楽でありがたい。顔を見合わせて2人で笑ってたらノックの音がした。
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