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第一章 巫女ってなんなんですか

44.優しくされたいだけ ※

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 いやーびっくりした。怖かった。目が爛々としてた。ゲルトはカウンセリング案件だったらしい。どうしていいかわかんなくてとりあえず優しくしたけど、精霊王は私に何を求めてるんだよ。
 ラルフとヴェルナーの3Pを思い出してラルフの見張りを提案したけど、オッケーしてくれて助かった。ゲルトと二人きりは無理だ。助けてくれる人がいないと怖くて。

 話し合いは終わったけどなんとなく落ち着かない。震えて泣いてたゲルトが可哀想になったけど、怖いのが消えてなくなるわけじゃない。誰かに抱きしめてもらって安心したい。誰か、でラルフのフワフワした毛の感触を思い出した。からかう笑顔も。なんとなく泣きそうになって打ち消した。やっぱり違う人がいい。
 ふと、ヨアヒムの大きい体に抱きしめられたくなった。私がすっぽり隠れられるくらい大きくて大型動物みたいに懐いてくれる、その無邪気さが恋しい。

 今はお昼のパンを焼くのに忙しいだろうから、お昼を食べたら時間あるか聞こう。

 食事のあとはみんなでお茶を飲む。ヴェルナーは昼の休憩時間いっぱい私を引き留めて、休憩が終わったら仕事に急いで戻り、ラルフはときおり狩りに出かけて不在になる。護衛が付くからいつもより楽だと笑ってた。出かけないときは一緒にお茶を飲む。ゲルトは食べ終わったらすぐに部屋に戻る。サミーはまちまちで、ヨアヒムは部屋に戻らないで静かに話を聞き、リーリエはニコニコといつも隣に座ってる。

「ヨアヒムは午後もパンを作るんだよね。何時から作るの?」
「少し休憩してから」
「晩ご飯用なのに? そんなに早く仕込むんだ」
「あ、最近は神殿のパンも手伝ってるから」
「へー。頑張ってるね」
「うん」

 私を見て口をキュッと閉じてから目を逸らした。これはたぶん照れている顔だな。

「今日はパンを作るのか? お菓子?」

 ヴェルナーに聞かれて思案する。考えてなかったけど作ってもいいか。ヨアヒムに顔を向けると目が合った。

「今日はお菓子作るのにお邪魔しても大丈夫?」
「うん。何作るの?」
「何作ろうかな。ヨアヒムのビスケット教えてもらってもいい?」
「俺、教えるよ」

 少し声が弾んでる気がする。

「作ったら食べたい」
「俺も。甘いモン食いたくなるよな。ここじゃ酒飲めねぇし」
「うん、作ったら晩ご飯のあと食べようね」

 ヴェルナーとサミーに返事をした。ヴェルナーの休憩時間が終わって解散するために立ちあがると私をチラチラ見てたヨアヒムが話しかけてきた。

「あの、迎えに行く」
「うん」

 笑い返すと自分の部屋に戻っていった。可愛いくて内心ニコニコになる。

「今日は図書室に行きませんか?」
「うん。リーリエは自由にしてください」
「わかりました」

 リーリエが食器を乗せたワゴンを押して宿舎棟に行くのを見送り玄関ドアを閉める。誰もいなくなったホールを横切り青いドアをノックした。顔を覗かせたヨアヒムに抱き付いて、そのまま部屋に入り込む。抱きしめ返してくれたヨアヒムが戸惑った声を出した。

「どうしたの」
「会いにきた。ダメ?」
「ダメじゃない。……嬉しい」

 大きい体にギュッと抱きしめられ、ホッとしてため息が出た。ベッドに座ってもらい、膝の上に横向きに座って抱きしめられる。広い胸にもたれて目をつぶった。ヨアヒムのキスが頭の上にいくつも降って、くすぐったい気持ちになる。

「ふふ、くすぐったい」
「だって、可愛い」
「嬉しい」
「俺も、俺も嬉しい」

 ヨアヒムを見上げて笑ったら潤んだ目に見返された。
 なんとなく、なんとなく泣きそうになる。胸に顔を埋めたら抱きしめてくれた。

「嫌なことしない?」
「しない。絶対。俺、何かした?」
「してないよ。聞いてみただけ」
「絶対しない。どうしたの?」
「なんでもない」

 なんでもない。ただ優しくされたかっただけ。ヨアヒムの優しさにつけ込む私は、いったいゲルトと何が違うのか。

「あの、俺、大事にする」
「……ありがとう」

 ヨアヒムの首を抱き寄せてキスをした。小さく何度も啄んだ唇が深く噛み合っていく。重なった唇から厚くて大きな舌が侵入し、私の口の中を軟体動物みたいに動き回る。ヌルヌル絡め合わせると小さな喘ぎを漏らして抱きしめる力が強くなり腰が揺れ始めた。
 口を離して息を零してるヨアヒムを見上げる。

「私の部屋に行く? すぐパンを焼きに行かなきゃダメ?」
「あ、部屋に、行く。少しだけ大丈夫」

 恥ずかしそうなヨアヒムと手を繋いで私の部屋まで歩いた。ベッドに寝転び見つめ合う。熱をたたえた目は怖くない。どちらかというと切なさを感じる。私を見下ろすヨアヒムの首に腕を回してキスをした。舌を絡ませながら抱き合う体が揺れる。優しく撫でてくれる大きな手に安心をもらって気持ちが緩んだ。

 服の上から胸をそっと揉まれ、乳首を軽く擦られる微かな刺激が下腹を疼かせる。太腿に当たるヨアヒムの硬い膨らみは足を動かして撫でた。息を切らして反応する可愛らしさに胸が締め付けられる。
 優しくめちゃくちゃにしてほしい。なんだろうこれ。昨日の記憶を塗りつぶしたい。優しいだけの愛情で抱かれたい。

「ちょうだい」
「うん」

 体を起こしたヨアヒムのズボンの紐を解いて硬く立ち上がったモノを取り出す。軽く扱いただけでピクピク揺れて可愛い。
 スカートをたくし上げたヨアヒムの太い指が下着の中へ忍び込んで割れ目を開く。膣口の周りをクルクルと撫でてヌメリを広げる動作に焦らされ、咥え込みたいと穴が疼いた。遠慮がちに浅い部分だけを擦られて、もっと奥に飲み込もうと下腹が収縮する。勃起して先っぽから汁をこぼすペニスが欲しくて握る手に力を込めた。自分から足を広げてペニスを誘導し、ヌメリを擦りつける。

「っう、あ、サヤカ、あっ、出そう」
「中に、出して」
「うん」

 下着を脱いだ足のあいだにヨアヒムが呻きながら沈む。大きい体に包まれて、私を呼ぶ切なくて甘い声を聞いた。すぐに出してしまったヨアヒムにもう一回とねだったら、ますます硬くして腰を振った。喘ぎながら私を呼ぶヨアヒムが可愛くて下腹が疼く。足を絡ませて腰を押し付けると、ヨアヒムが体を起こして私の腰を抱える体勢になった。大きな手にがっしり掴まれた腰は逃げ場なく、打ち付けられるたびにお腹側の膣壁が押し上げられて腰に甘い電流が流れる。腰がとけそうな快感に体が仰け反って叫び声が溢れた。

「ああっん、んあっぁっあ、あぁ」
「うっぁ、っ、サヤカ、きもちいい?」
「ん、っうん、すごくっ、いい、あぁっあ、あっんんああっ」

 そう答えると動きが早くなった。電流が何度も背中を駆け上がり頭が白くなっていく。腰がとろけて力が抜けるのに、絶頂で引き攣るように背中が仰け反った。

「ンあっ、アアッあぁん、あっあーーーっあーーーー」
「うっぁあう、ぅーーーー」

 硬直した体を震わせながら繋がりを押し付け合った。
 力が抜けた体を投げ出して荒い呼吸を繰り返す。目を開けるとヨアヒムが私を見ていて、なんだかそれが嬉しくて笑った。腕をのばして抱き寄せ唇を啄む。

「もう行く時間?」
「うん」
「残念。体洗ってから行こうか」
「うん。あの、まだしたかった?」
「うん。満足したけどまだ一緒にいたかった」
「俺も」

 小声になったヨアヒムの頬はほんのり赤かった。


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