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第一章 巫女ってなんなんですか
57.してもいいのか Side サミー ※
しおりを挟むSide サミー
『好きなのか?』なんてなんで聞いちまったんだ。神官が好きだ、って言われちまったらどうしよう。やっぱ聞かなきゃよかった。バカなことばっかしてんな、俺。
冷や汗を垂らしながら返事を待つ俺の耳にサヤカの声が届く。
「うん」
「そう、か」
「サミーはしたくないんだよね?」
「なに」
「口付け」
「え? いや? え、なんでだ? 俺、そんなこと言ってねぇけど」
「してこないし、普段はいつも体を離すから、寝る以外の触れ合いは嫌なんだと思ってたんだけど」
「は? え? あ、さわっちゃダメかと思ってて」
口付けはいつも断られっから、もっと仲良くなったらって考えてたけど、思い出してみたら俺のそういう相手って娼婦ばっかだった。
「したいの?」
「……してぇ」
「体にさわるのも? さわられるのは?」
「両方ほしい」
「ふーん」
俯いたまんまの俺の顔を両手で挟んで上に向けたサヤカは、ニヤリと笑って俺の鼻の頭に口付けた。頬にもまぶたにもいくつも口付けされて、くすぐったい。顔を離したサヤカが笑って、俺も笑った。
なんだよ、すげぇ嬉しい。なんかホッとして胸がジンと疼いた。
「もっとする?」
「いいのか?」
立ち上がったサヤカに手を引っ張られて俺も立ち上がる。手を引かれてベッドに寝かされ、サヤカが布団ごと覆い被さった。布団の中の暗闇で心臓が跳ね上がる。
俺の唇を柔らかな指先が撫でる。そっとふれられるむず痒い刺激に鳥肌が立った。指先を咥えたくて口をあけると、唇の粘膜を撫でられて呼吸が乱れる。俺よりも細い手首を掴んでサヤカの指をしゃぶった。指の股まで舌で舐めまわし、夢中で吸い付く。頭の横で押さえられた、もう片方の手は爪先でくすぐられてる。サヤカの舌が耳たぶを舐めた。耳の穴から入った吐息に頭の中を犯されてるみてぇな気分になってゾクゾクする。
熱くてたまらない腰を揺らしてまたがってるサヤカの体にこすりつけた。
サヤカの舌が耳たぶから頬を通り、唇の端にたどり着いてそのまま際をなぞっていく。俺の両手は頭の横で押さえつけられてて、期待に震えて動かせない。押し倒されてるみてぇな恰好も、サヤカが俺の唇を舐めてるのも、興奮してどうしようもない。俺は口を開けてエサを待つ犬みてぇに荒い息をする。サヤカの唇が俺の厚い唇にふれて、食む。1回2回3回……。その先を待ち切れずに口の周りを舐めまわした。
口を離したサヤカが俺を見下ろして笑い、俺が舐めまわして濡れた唇のまわりを指で拭った。心臓が跳ねる。熱い。そしてまた顔を近付けて、息を切らしてる俺の口の中に柔らかい舌をヌルリと入れた。
たまんない。我慢できずにサヤカの頭を両手で抱いて舌をむちゃくちゃに絡ませた。もっとほしい。2人の唾液がからんでクチャクチャ音がする。流れ落ちてきたものを飲み込んで、もっと深く口を重ねた。
片手をサヤカの腰にまわし下からこすりつけて快感を追いかけてると、両手で胸を押されて体を離された。なんで、こんなたまんねぇのに。
「サミー、欲しいの?」
「欲しい、欲しくてたまんねぇ」
「脱いで」
サヤカが覆い被さってる布団の中で、焦ってぐちゃぐちゃにズボンを脱いだ。サヤカの長いスカートをまくり上げて、下着を脱がせる。
「なぁサヤカ、たのむ」
「言うこと聞いて」
「聞く、なんでも聞くから」
腰がジンジン疼いて、頭ん中はサヤカの中に入れることしか考えられなかった。
「ジッとして」
俺の両手を押さえつけたサヤカが、勃起したモノを足のあいだに挟んで腰を動かす。先っぽがヌルヌルこすられて、たまらなく気持ち良い。もっと刺激が欲しいのに中途半端に焦らされておかしくなりそうだ。
「サヤカ、サヤカ頼む。たのむから」
「ん、ふふ。大人しくね」
俺を焦らして笑うサヤカが欲しくてたまんねぇ。なぁ、襲い掛かりそうだから、頼むから、サヤカ。
息切れしてる俺の唇を舐めながら腰を動かして、先っぽだけヌルヌルのあったけぇ穴に咥えた。待ち焦がれた気持ち良さに鳥肌が立つ。
「あっっ、うぅぁ……、あ、サヤカぁ、あ、たのむ」
俺の懇願でサヤカが腰をゆっくり沈めて、俺は飲み込まれる快感に体を硬直させて声を上げた。ぜんぶ咥え込まれてチカチカする。玉も竿もキュウキュウして、絞られてるみてぇな快感が体の中を突き抜ける。サヤカが何回か腰を揺すっただけで脳天まで刺激が駆けあがり、叫びながらあっけなく暴発した。
「っうぁ、うぅっぅーーーーーっ」
ゼイゼイ息を切らして、落ち着いたとこで目を開けたら、サヤカが笑って俺を抱きしめた。俺も思い切り抱きしめ返す。こんなふうに抱き合って、最高に気持ち良いことして、俺、おかしくなりそう。サヤカ、もっとしてぇ、もっと欲しいんだ。
我慢できずに腰を揺すったら耳元でサヤカが小さく笑った。
「もっと?」
「もっと。なぁ、服ぜんぶ脱がしていい?」
「うん」
俺が腰紐をほどいてサヤカは胸元のボタンを外す。そのまま下着も一緒に上から脱がした。
裸で抱き合う肌が気持ち良い。唇を重ねて食む柔らかさが気持ち良い。サヤカの中に入ったままゆっくり揺れてるもの気持ち良い。
サヤカの可愛い舌に吸い付いた。こんなこと、するなんて思いもしなかった。舌絡めんのはやったことあるけど、唾液を飲みたくなんのも、舌に吸いつきたくなんのも知らなかった。こんなたまんねぇ気持ちになんの知らなかった。
サヤカが腰を動かして声が漏れる。漏れた声は俺が飲み込んだ。丸い尻を掴んで揉めば、体を捩って悶え、俺を咥え込んでキュウキュウ吸い付いた。腰が抜けそうにたまんねぇ。
サヤカが俺を押さえつけてるから、おとなしくあまり動かないようにする。押し倒した俺にまたがって、自分で腰振って気持ち良くなってるサヤカに興奮する。無茶苦茶に犯したい気持ちもあるけど、こんなふうにいいようにされてると求められてるようで嬉しさが先に立つ。
動いてるサヤカの息が荒くなって中が締まりだした。繰り返し締め付けられて持ちそうにない。
「うっあ、サヤカ、あっ、そんな、もう、うぅ」
「イヤ、ダメ、まだ、ねぇ、ああぁ」
「うっ、ん、ああ、くっ、うごいちゃ、っぐ……、っっ」
「あっ、サミー、んっ、あぁぁ、っあーーーぁぁぁ」
サヤカがグイグイ動いて押し付けたあと、グッと締まって硬直した。俺も我慢したもんが爆発する。そのあとドクドク動いて、2人でイったってことに無性に感動した。
一息ついたあと、暑いと言ったサヤカが布団をはいだら夕陽の最後の明かりが部屋を照らしてた。隣に寝転んで笑うサヤカがすごく可愛らしく見えて、興奮は収まったのにドキッとした。髪を撫でてくれる手は俺と同じくらいの大きさなのに薄くて心配になる。
抱きしめておでこに頬ずりをしたあと、唇をつける。口付けていいんだな。触ってもいいし、抱きしめてもいい。俺がそんなことしていいなんて嬉しくてくすぐったくて、にやけちまう。
「なに笑ってるの?」
「あぁ、なんか嬉しくて」
「なにが?」
「サヤカがイったから」
「なにそれ」
「水飲むか?」
「うん」
ベッドから出て水を汲み、サヤカにコップを渡した。夕陽が途切れて青みを帯びた部屋の中、ランプを付ける。
二人でベッドに座ってたら、ドアがノックされて神官が入ってきた。
「巫女、……あ、灯りを」
裸の俺と布団に包まってるサヤカを見て焦った顔をした。どっちも夫だし、お互い寝てんのは知ってるからなんも言うことはねぇけど、やっぱちょっと気まずい。
「夕食は部屋にお持ちしますか?」
すぐ立ち直ったみてぇだ。さすが神官。でも、さっきはすげぇ甘えてたよな。俺も甘えてたっけ? 俺はいいようにやられてたのか。
「リーリエ、おいで」
「でも、巫女」
「おいで。座って」
サヤカがベッドを叩いて神官を呼び、神官が俺をチラチラ見ながらそばにいく。手を引っ張られて座りサヤカに抱きしめられた。おでこに何度も口付けをされてるのは、子供みてぇだ。
「夕食は一緒に食べようね。用意するから下で待ってて」
「はい、巫女」
嬉しそうな声音で返事をして、サヤカに抱き付いてる。頭を撫でられてから立ち上がって部屋を出て行った。
「ごめんね、体洗おう」
俺たちは湯浴み室で汚れた部分だけお湯で流して服を着る。
「可愛がってんな」
「うん。子供みたいだから甘やかしてるの」
「ホント、子供みてぇだった」
「サミーは大人だから、大目に見てあげて」
「まぁな」
俺達は笑い合って階段を降り、食事テーブルについた。神官はサヤカの隣に座って、嬉しそうに笑ってる。俺は大人だから譲ってやるさ。
口付けできなかったのは俺がしねぇから、したくねぇって思われてたってことだから、もしかしたら最初っからしようと思えばできたのかも。もったいねぇことした。でもまあ、今日から思う存分すりゃいいか。
向かいに座るサヤカの耳に、俺が作った耳飾りが咲いてる。もっと色んな花を咲かせてみてぇと思った。
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