6人の夫と巫女になった私が精霊作りにはげむ1年間の話【R18】

象の居る

文字の大きさ
105 / 119
第二章 精霊産みといろいろ

105.エピローグ ※

しおりを挟む
 
 服を脱がされて浴室に入ると、リーリエもやってきて髪を洗ってくれた。至れり尽くせり。
 新しい家の浴槽は神殿と違って精霊石が付いていない。

「精霊石がついてないものあるんだね」
「精霊石はとても高価だ。神殿だからふんだんに使えるが、そうでなければ難しい。貴族だって大して持っていない」
「そうなんだ」
「警備の指輪も限定的にしか支給されない。ヨアヒムが水を出してゲルトが温めてくれたが、属性持ちがいなければ汲んだ水を火で温めることになる」
「そうです。浴槽もありません。私の実家は小さな村でしたから、タライで体を洗っていました。浴槽は神殿で初めて見ましたよ。サヤカは異世界で貴族だったのですか?」
「ううん、庶民。魔法がないから道具が発達してるの。水道は一軒一軒ついてたし」
「便利ですね」
「うん」

 体が温まって気持ちがいい。久しぶりにさっぱりした。
 お返しにリーリエの頭を洗ったら、自分で洗ってしまったヴェルナーが羨ましそうにするので、今度と約束をした。

 食卓に顔を出してお休みを言い、またもヴェルナーに抱かれてベッドまで運ばれる。大きなベッドだけど、6人は無理かな。

 私をベッドに寝かせたヴェルナーが優しく布団をかけてくれた。押し倒されると思ってたから拍子抜けする。軽いキスをし髪を梳くヴェルナーを見上げると、優しく微笑まれた。

「添い寝が必要か?」
「ううん。なんか落ち着いた?」

 そう尋ねたら甘く笑って頬を撫でられる。

「サヤカが振り向いてくれたから、いくらだって待てる。疲れたのならゆっくり眠るといい。意外か?」
「うん」
「そうだな。……無理をさせてすまなかった。私を見てほしかったんだ」

 目を伏せて静かに話す声にストンと納得する。
 ヴェルナーは私だ。そうだった。記憶がクルリと反転する。振り向いてほしい、愛してほしい、優しくしてほしい。そうして必死に縋った。貢いで捨てられたって言ったって、買ってあげるから捨てないでと、なんでもするから優しくしてと差し出したのは私だった。

 柔らかな紫色の瞳はいつになく綺麗に見える。

 振り向いて愛してもらうことだけ望んでいた自分とヴェルナーが重なり、スルスルと何かが解けていった。
 同族嫌悪だったのかな? 母みたいと思ったのは、自分に似たものを嗅ぎ取ったからかもしれない。
 でも、落ち着いたヴェルナーは全然違う。私よりずっと穏やかで大人みたい。年も1つしか違わないのに。

 いつかの望みは今叶ったらしい。愛してくれる人をみつけた。愛を乞うその人に愛を返したいと自然に思える。
 魂からと、精霊王に聞かなかったらずっと胡散臭く思ってたかも。ラルフの言っていた、精霊王が付いているから安心だという気持ちがしみじみわかる。不安だったけど、もう大丈夫。精霊王のお墨付きだし。

 だからきっと。

「愛してる」

 ヴェルナーの手を握って口にしたら、紫の瞳がみるみる見開かれた。

 今はまだそんなでもなくても、いつかきっとそうなる。そんな気がする。だってもう離れたくないから。一人も漏れなく愛するよ。どんな形でも。

 震える手が頬を撫でて、キラキラする目から涙がこぼれた。

「……ぁ、サヤ」

 私の胸に顔を埋めたヴェルナーの頭を撫でた。
 この家が居場所になる。もう必死に自分が入る隙間を探さなくてもいい。あなたの腕の中にいよう。

「もう一度……」
「愛してる、ヴィー」
「私も、私も愛している。愛して、……サヤカ」

 唇がふれて熱い吐息が吹き込まれる。荒々しい舌が口の中をくまなく探った。迎えにいけばもどかし気に絡みつく。大きな手は輪郭を確かめるみたいに頬や耳やおでこを撫でてくすぐる。

「……待てなくなった。こんな、……待てるわけない」
「うん。私も待てない」
「サヤカ……」

 ヴェルナーが勢いよくパジャマを脱ぎ捨てるので、私も自分で脱いだ。

 裸で抱き合って体温を感じる。肌が重なり温かさが馴染む。キスは何度しても嬉しくてもっとしてほしくなる。
 ヴェルナーの手に乳房を揉まれ、先端が焦れた。あなたの指を舌を待って体が疼く。足を擦りつけてねだったら、すぐに指先で押し込まれて声が出た。弱く優しく、強く、キュッと摘ままれて腰が揺れる。

 私の手はあなたの背骨の窪みを撫で、筋肉の線を辿り骨盤の骨をくすぐった。足の付け根から内腿を通って陰嚢まで手を伸ばし優しく揉む。硬く立ち上がった根元から張り出したカリまでそっと撫でた。

 唇を離して見つめ合う。潤んだ目をしたヴェルナーを愛しく想って微笑んだ。

「きてほしい」
「……ああ、もう、入れたくておかしくなりそうだ」

 先端を合わせたらヌルリと入り、奥まで埋め尽くされた。足りなかった部分が満ちた喜びに肌が粟立つ。そのまま抱き合って充足の吐息を聞いた。
 ゆっくり抜いてゆっくり入る、もどかしい動きが欲望を昂らせ、もっと飲み込みたいとヒクついて疼いた。入り口から擦り上げられ、最奥へ到達する刺激が背骨を通って頭まで貫くたび背中が仰け反り叫びが出る。

 ずっと味わっていたい気持ち良さに、体の中で喜びの泡がパチパチ弾けた。

「ぁっあ……、ヴィー、もっと、ずっと、こうして。……っあぁーーーー」
「っふ、う、サヤカ、……もうっ、ああっくっぅう、――――ぅううっ」

 ヴェルナーが腰を押し付けてブルブル震えた。心臓の音が心配になるほど早くて、荒い呼吸を繰り返してる。

「……我慢できなかった、すまない」
「気持ち良い?」
「ああ。気持ち良くて幸せでたまらない」
「私も」

 抱き合ったヴェルナーの背中を撫でてたらまた腰が動き出した。

「これが好きか?」
「これも好き、……ぁあ、ヴィー」

 ゾクゾクする快感が背中を仰け反らせる。どこにもいけない悶えが堪らなくて顔を覆った。
 ヴェルナーが私の手を掴み、頭の上で両手首を交差させて押さえた。

「隠さないで」
「あぁ、でも、……ヴィー、お願い、もっと」
「サヤカ、私ももっと欲しい」

 熱い吐息とともに言葉を吐き出し腰の動きが早くなる。お腹がわを突き上げられて、快感が湧き上がる。下腹から腰が甘く痺れてたまらない。

「あっああぁ、っあアア、ヴィー、……、んっぁああ」
「っサヤカ、はっ、……ぅ、っつ」

 もっともっとと焦れて吸い付くのに、擦れるたびに離れるのがもどかしい。

「っぁ、もっと、やだ、離れないで、ああっ」
「あぁ、そんなに、……うっ、は、ぁ、……こうか?」

 押し付けて小刻みに揺れる。振動が快感を引き絞り、収縮する一点で弾けた。

「ん――、ああぁっああっアアーーーーー」
「っくぅううっ、―――――っ、く」

 硬直するのに腰がとろけて訳が分からないほど気持ち良い。頭が真っ白のまま叫び声を上げた。ビクつく体にグリグリと円を描くように押し付けられ、また軽く達した。

「…………ぁ、ヴィー、――愛してる」
「サヤカ、あぁ、愛している」

 優しく微笑み、力強い腕で私を抱きしめた。私は安心して目を閉じる。

 静かな呼吸と温かさに満たされた部屋のドアが開き、リーリエがベッドにきた。

「巫女、サヤカ、私も一緒に寝ます」

 ヴェルナーと私のあいだに腕を差し込んで私にくっつく。前は遠慮してばっかりだったのに、いつのまにそんな逞しくなったんだ。いや、前から鉄面皮なとこあったから本領発揮なのかな。

「オレも寝る」
「俺も」
「お前はもうどけろ」

 ラルフとヨアヒムもやってきてヴェルナーを押し退け、私を抱きしめる。ヴェルナーは仕方なさそうに譲った。大人になったなぁ。

「同居の初夜だからな、楽しもうぜ」
「明日はゲルトの家に挨拶に行くから早く寝たほうがいいんじゃないの?」
「夕食ですし、昼に起きれば大丈夫ですよ」

 ゲルトはラルフに賛成らしいうえに、すでに足の指を舐めっている。なんという早業。

「ケツも使えばイイだろ」
「うん、俺がほぐしてあげるね」

 ヨアヒム、お前もラルフの味方か。というか気に入ったのか、後ろ。

「俺は明日でいいからな。一回ずつにしとけよ」
「サミーはいいの?」
「6人は大変だろ。昼と夜でわけるんでもねぇのに」

 一人だけ遠慮されたらなんか悪い気もする。でも、大変だし余力が残ってたらにしよう。

「優しいね」

 サミーの顔に両手を伸ばし、引き寄せてキスをした。離して見つめると照れ笑いをしてる。

「サヤカ、私も」

 頬ずりしてねだるリーリエにもキスをした。

 可愛くて我儘なみんなを愛しく想う。

「あのねぇ、みんなのこと好きだな。ありがとう」
「私も好きです、巫女、私のサヤカ」
「オレも好き」
「俺も大好き」
「私も。好きです。大事にします」
「……あー、俺も惚れてる」
「愛している」

 ヴェルナーが甘ったるい声で言った。

「私もです、私も愛してま」

 ヴェルナーに負けじとリーリエがひっついてくる。みんな口々に対抗しだすので、おかしくて笑った。
 可愛い6人の夫を抱きしめて幸せを味わう。大変だと思うけど大丈夫。これは、精霊王が結んでくれた、私たちが幸せになる縁だから。



 めでたしめでたし



-------------------------------


明日から実家まわり、イチャイチャ新婚番外編、月水金土の更新です! 
しおりを挟む
感想 101

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...