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1.イチャイチャしたすぎる
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石畳につまずいてよろめいた。サンダルからずり落ちそうになった足がくたびれて細くなった皮に食い込んでいる。ロラは酒臭いため息を吐き、悪態をついて足首を回した。
幼なじみが三回目の結婚をするからと集まった三回目のガールズパーティーの帰り道。三回目だけあってただの飲み会だったが。参加者も家庭持ちばかりで解散も早め。幼なじみは迎えにきた婚約者と仲良さそうに帰っていった。なんとなく寂しくなったロラは一人で飲み直した。カウンターに座り、ここで声かけられたらよっぽどじゃなきゃついてくのになー声かけてくれないかなぁと思う。酔いのせいであからさまになってる物欲しげな目線とぶつぶつこぼれる愚痴で周りから引かれているとは気づかずに。
なーにが「私だけ三回も結婚してごめんねぇ」よっっ。「ロラも一回くらい結婚してみたら?」ってうるせーーーんだよっっ!
いつもの気安いやり取りだった。ロラだっていつもどおり「どれだけもつか賭けようか」とか「どうやってだましたの」などと言い返してる。今回に限ってなぜ引きずっているのか。独身がロラだけだった、子供の愚痴を言い合う友達が昔と違ってみえた、こないだ会った母親がとうとう結婚の話をしなくなったとか、いろいろ重なった結果なかなかのダメージを受けていた。
愚痴の堂々巡りにうんざりして店を出たロラは、それでもまっすぐ帰りたくなくて閉店間際の屋台に寄って売れ残りの惣菜を買った。涼しくなった夜風を頬に受け、石畳に残ってる昼の暑さをサンダル越しに感じて歩く。酒の回った足はおぼつかない。たまに湧き上がるムカつきで道を蹴りつける近寄りたくない見事な酔っ払いは、夜空を仰いでため息をついた。
恋人は10年近くいない。飲んだ勢いで関係を持ったのも何年前なのか。はっきり言って、言わなくても、本当に随分と何もなかった。ロラは独立した薬師で、家で薬を作り納品に行く。つまり出会いがない。女でも独立できる職業柄か同業に独身も結構いるし、別に結婚しなくても生きていけるとは思ってる。なんかすごい魔女みたいなお婆とかもいる。それにそこまで、結婚したいと思ってない、でも、と胸の内に沸き上がる熱い思い。
いちゃいちゃしたいいいいいいいっ! いちゃいちゃしてむちゅむちゅしたいぃぃぃぃーーーあああーーやりてーーーー!!! 一人じゃできないいろいろをいろいろっ! 〇〇とか〇〇〇〇たりとか〇〇〇されたりとかしたりしたいいいい----!!! あああああーーーー!!!
心の中で思い切り叫んでたらふらついてる足がもつれた。またもやサンダルの上で足が滑る。年季の入った皮の留め具が負荷を支えきれずにブチッという音を立てた。酔ってなくても運動不足のロラがバランスを取れるはずもなく、総菜を勢いよくまき散らして倒れた。一瞬、混乱したあとで横たわってるのに気づく。衝撃で早くなった鼓動を深呼吸でやり過ごしてからのろのろと上半身を起こした。
「はあ……」
ため息が声になってこぼれた。なんだこれ。急激に気持ちが萎えたロラはさっきまでの脳内盛り上がりとの落差に顔を覆い、もう一度ため息をついた。あほか。
「うう、……いたぁー」
じわじわとぶつけた痛みが主張し始める。
「大丈夫?」
ロラはかけられた声に驚いて顔を上げた。自分以外にも誰かいた。
「え、あ、だいじょ、う……」
返事をしようと見上げると、見上げた先の顔がずいぶん遠くて首が仰け反った。酔っ払いの不安定さでひっくり返りそうになった背中はサッと支えられた。
さっきより近いけどやっぱり遠い。でも人間より鼻先長いから顔は近いと言えるかもしれないとどうでもいいことを考えつつ、砂色の大きなトカゲを眺めた。
幼なじみが三回目の結婚をするからと集まった三回目のガールズパーティーの帰り道。三回目だけあってただの飲み会だったが。参加者も家庭持ちばかりで解散も早め。幼なじみは迎えにきた婚約者と仲良さそうに帰っていった。なんとなく寂しくなったロラは一人で飲み直した。カウンターに座り、ここで声かけられたらよっぽどじゃなきゃついてくのになー声かけてくれないかなぁと思う。酔いのせいであからさまになってる物欲しげな目線とぶつぶつこぼれる愚痴で周りから引かれているとは気づかずに。
なーにが「私だけ三回も結婚してごめんねぇ」よっっ。「ロラも一回くらい結婚してみたら?」ってうるせーーーんだよっっ!
いつもの気安いやり取りだった。ロラだっていつもどおり「どれだけもつか賭けようか」とか「どうやってだましたの」などと言い返してる。今回に限ってなぜ引きずっているのか。独身がロラだけだった、子供の愚痴を言い合う友達が昔と違ってみえた、こないだ会った母親がとうとう結婚の話をしなくなったとか、いろいろ重なった結果なかなかのダメージを受けていた。
愚痴の堂々巡りにうんざりして店を出たロラは、それでもまっすぐ帰りたくなくて閉店間際の屋台に寄って売れ残りの惣菜を買った。涼しくなった夜風を頬に受け、石畳に残ってる昼の暑さをサンダル越しに感じて歩く。酒の回った足はおぼつかない。たまに湧き上がるムカつきで道を蹴りつける近寄りたくない見事な酔っ払いは、夜空を仰いでため息をついた。
恋人は10年近くいない。飲んだ勢いで関係を持ったのも何年前なのか。はっきり言って、言わなくても、本当に随分と何もなかった。ロラは独立した薬師で、家で薬を作り納品に行く。つまり出会いがない。女でも独立できる職業柄か同業に独身も結構いるし、別に結婚しなくても生きていけるとは思ってる。なんかすごい魔女みたいなお婆とかもいる。それにそこまで、結婚したいと思ってない、でも、と胸の内に沸き上がる熱い思い。
いちゃいちゃしたいいいいいいいっ! いちゃいちゃしてむちゅむちゅしたいぃぃぃぃーーーあああーーやりてーーーー!!! 一人じゃできないいろいろをいろいろっ! 〇〇とか〇〇〇〇たりとか〇〇〇されたりとかしたりしたいいいい----!!! あああああーーーー!!!
心の中で思い切り叫んでたらふらついてる足がもつれた。またもやサンダルの上で足が滑る。年季の入った皮の留め具が負荷を支えきれずにブチッという音を立てた。酔ってなくても運動不足のロラがバランスを取れるはずもなく、総菜を勢いよくまき散らして倒れた。一瞬、混乱したあとで横たわってるのに気づく。衝撃で早くなった鼓動を深呼吸でやり過ごしてからのろのろと上半身を起こした。
「はあ……」
ため息が声になってこぼれた。なんだこれ。急激に気持ちが萎えたロラはさっきまでの脳内盛り上がりとの落差に顔を覆い、もう一度ため息をついた。あほか。
「うう、……いたぁー」
じわじわとぶつけた痛みが主張し始める。
「大丈夫?」
ロラはかけられた声に驚いて顔を上げた。自分以外にも誰かいた。
「え、あ、だいじょ、う……」
返事をしようと見上げると、見上げた先の顔がずいぶん遠くて首が仰け反った。酔っ払いの不安定さでひっくり返りそうになった背中はサッと支えられた。
さっきより近いけどやっぱり遠い。でも人間より鼻先長いから顔は近いと言えるかもしれないとどうでもいいことを考えつつ、砂色の大きなトカゲを眺めた。
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