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やり直し
45.優しい夜
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観覧車を降りて、私たちはゆっくりと遊園地の出口へ向かった。
夜風が少し肌寒くて、陽翔くんの袖へそっと手を伸ばすと、彼は何も言わずに手を握ってくれた。指先が重なるたび、あたたかさが心の奥にまで広がっていく気がして、胸の中がじんわりと満ちていく。
人混みの中を歩いていた昼間とは違って、今はもうほとんど人のいなくなった道を、ふたりで静かに並んで歩いていた。
イルミネーションがキラキラとしていて、今はとても優しく、輝いて見えた。
「楽しかったね」と私が小さく呟くと、陽翔くんはうんと頷いて、少しだけ私のほうに寄り添ってきた。
「うん。すごく、楽しかった。……美緒ちゃんと来られて、よかった。」
その言葉があまりにも素直で、優しくて。私は思わず笑って、うつむいた。
何も特別なことをしているわけじゃないのに、これまでもデートとか、してきたのに。
だけど今日は心がぽかぽかしている。これまでで一番、温かい。
それから、ふたりで話すでもなく、ただ静かに歩き続けるうちに、自然と足はホテルの方向へ向かっていた。
わざとでも、決意でもなく、ただ「一緒にいたい」という気持ちに導かれて。
ホテルのエントランスの前で足を止めたとき、陽翔くんが小さく私の手を握り直した。
「……このまま、隣にいてもいい?」
その声に、私はそっと目を伏せたまま、こくりと頷いた。
特別な言葉はなかった。でも、それで充分だった。
この夜が、ただ幸せだったから。
夜風が少し肌寒くて、陽翔くんの袖へそっと手を伸ばすと、彼は何も言わずに手を握ってくれた。指先が重なるたび、あたたかさが心の奥にまで広がっていく気がして、胸の中がじんわりと満ちていく。
人混みの中を歩いていた昼間とは違って、今はもうほとんど人のいなくなった道を、ふたりで静かに並んで歩いていた。
イルミネーションがキラキラとしていて、今はとても優しく、輝いて見えた。
「楽しかったね」と私が小さく呟くと、陽翔くんはうんと頷いて、少しだけ私のほうに寄り添ってきた。
「うん。すごく、楽しかった。……美緒ちゃんと来られて、よかった。」
その言葉があまりにも素直で、優しくて。私は思わず笑って、うつむいた。
何も特別なことをしているわけじゃないのに、これまでもデートとか、してきたのに。
だけど今日は心がぽかぽかしている。これまでで一番、温かい。
それから、ふたりで話すでもなく、ただ静かに歩き続けるうちに、自然と足はホテルの方向へ向かっていた。
わざとでも、決意でもなく、ただ「一緒にいたい」という気持ちに導かれて。
ホテルのエントランスの前で足を止めたとき、陽翔くんが小さく私の手を握り直した。
「……このまま、隣にいてもいい?」
その声に、私はそっと目を伏せたまま、こくりと頷いた。
特別な言葉はなかった。でも、それで充分だった。
この夜が、ただ幸せだったから。
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