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第5話 悪魔喰らいの禁術
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ラーナ・エークレー。
彼女は名誉正しき聖女の家系、エークレー家の末女だった。
さて、この世界の聖女の実態は言葉の響きとの乖離が激しい事で有名である。
神に祈る事はごくまれで、基本は国や小さな町の治安や衛生面を維持する為の雑事をこなしている。
ただでさえ、ギギラの様な禁術使いや恐ろしいモンスターが跋扈している世界だ。
男は常に戦いに駆り出されてしまう。
ゆえに、聖女となった者はその一生をかけて町や国の世話をすることを強いられる。
聖女の中にはそんな風習を忌み嫌う者もいたが、ラーナは違った。
逆に誇りを持って、エークレー家の聖女として生き抜くつもりだった。
「近年、聖女の数は減少傾向にありました。この国の治安を維持するには人手も力も足りなくなっていった。だから私はその力を補うために、この力を得たんです」
「ふ~ん。だから悪い事はしてないって、そう言いたい訳なんだ」
「ええそうですよ。あの時、私にこの力を下さったあの人はきっと神の使いだったのでしょう」
ラーナは恍惚とした表情で空を見つめる。
悪魔と融合する術を受け取った事を思い出しながら。
「ハハ……アハハハハハハ!!」
「ギギラ?お前どうした」
「バラン君、どうしてって、アハハハ!!イーヒヒヒ!!」
そんなラーナの独白をギギラは笑い飛ばしていた。
「そんな笑う事無いだろ」
「だってさ、だってだよ。あの子、全部理解してるのに必死で自分を騙してるんだよ?」
ギギラは一通り笑った後、目を擦りながらラーナに質問する。
「ねぇラーナ。君にその力を与えた人ってさ、目がない女の人だよね」
「……貴方、どうしてそれを?」
ラーナの顔が一瞬グニャリと歪んだのをギギラは見逃さなかった。
きっとラーナも心の奥底では自分が死刑になった理由を理解しているであろう……ギギラは心の中でそう結論を出していた。
自分に禁術を預けたあの『目無しの女』を必要以上に神の使いと呼んでいるのも、おそらく現実逃避の一つだ。
「せっかくの機会だから教えてあげる。君が使ってるその力は禁術だよ。私のコレと同じ」
ギギラはそう言いながら、見せつける様にバランをグルグル回す。
「酔うだろやめろ!!」とキレるバランを横目に、ギギラは話を続ける。
「私の力が禁術?そんな馬鹿な、ありえない」
「因みに、君が死刑になっている理由も禁術を使ったからだよ。君は世の為、人の為にその力を使おうとしたみたいだけど……禁術は持ってるだけで重罪だからね」
「違う……違う……私は一人で聖女の仕事を全て全うするために。全てはこの国を良くするために」
「その禁術をあろうことか聖女が……それも悪魔を取り込む禁術だよ?」
「私は……あの人に託されたんだ。あの『目無しの女』はきっと、本当に神様の使いで」
「タブーにタブーを重ねて国民を不安にさらした聖女の責任の取り方なんて、死刑しかありえないよね~」
ギギラが煽れば煽るほど、ラーナは苦悶の表情を浮かべて苦しみ始める。
そんなラーナの顔を見て、バランは一抹の不安を抱えていた。
「おいギギラ!!な~んで煽ったんだよ。あのままやれば勝てそうだっただろうが」
「何でって、奥の手隠してる女の戦うのギギラ嫌いだもん」
「嫌いってお前……それより、奥の手?」
「バラン君だけで勝てるレベルの弱っちい人間がこのコロシアムで生き残れる訳ないじゃん」
「お前なぁ」とバランがツッコミを入れようとしたその瞬間の事だった。
ラーナがまるで人とは思えない奇声を上げ始めたのだ。
「違う違う違う違う違う!!!彼女の言うことは全て嘘っぱちだ!!!この私が禁術使い??あり得ない!!!やっぱり死刑囚になる様な禁術使いは殺さなくては」
彼女の纏うドレスもその声に共鳴する様に青く光り輝く。
その青い光からはビチャビチャとした液体が飛び出し、ラーナ・エークレーと言う人間を複製していく。
「禁術使いはやがて精神を蝕まれエゴを暴走させると言い伝えられています。だから私が殺してその魂を開放しなければ。そう、聖女である私が……人殺しの汚名を被ってでもその魂を開放しなければ!!」
「へぇ……君の禁術の本質は実態を持ったコピーな訳だ」
おおむね、それが可能な悪魔を喰らいつくしたと言った所だろうか。
恐らく禁術に手を出した根本的な原因は、聖女の人手不足問題を解決する為だろう。
そんな考察をしながら、ギギラは杖を振り、魔法を放つ。
そんな魔法を気にも留めず、大量のラーナ・エークレーがギギラに襲い掛かって来た。
「お、おい!!こんな数、俺じゃ捌き切れないぞ?どうすんだよ」
「性能は本体とほぼ一緒ね。数でごり押して今まで勝ってきたんだ」
「俺こんな所で死ぬのは嫌だからな?!何かいい案があるんだよな」
「もちろん、ギギラは良いデートプランを思いついたよ。この状況なら、きっと彼が大喜びしてくれる」
ギギラは目に映る大勢のラーナ・エークレーを見て微笑する。
この闇落ち聖女を全員食べられる何て聞いたら……きっと彼は喜ぶだろうと惚気ながらゲートを開き、出番を待つ彼氏に手を伸ばした。
「さぁ、君にとって最高の舞台を用意したよ」
いつもの様にバランを投げ捨て、ギギラが取り出したのは、異常に大きい牙の付いた金属製のマスクだった。
自分の口を覆う様にそのマスクを装着したギギラは、いつもの様に彼氏の名前を呼んだ。
「彼氏No59、【悪食の咢ブロン】」
彼女は名誉正しき聖女の家系、エークレー家の末女だった。
さて、この世界の聖女の実態は言葉の響きとの乖離が激しい事で有名である。
神に祈る事はごくまれで、基本は国や小さな町の治安や衛生面を維持する為の雑事をこなしている。
ただでさえ、ギギラの様な禁術使いや恐ろしいモンスターが跋扈している世界だ。
男は常に戦いに駆り出されてしまう。
ゆえに、聖女となった者はその一生をかけて町や国の世話をすることを強いられる。
聖女の中にはそんな風習を忌み嫌う者もいたが、ラーナは違った。
逆に誇りを持って、エークレー家の聖女として生き抜くつもりだった。
「近年、聖女の数は減少傾向にありました。この国の治安を維持するには人手も力も足りなくなっていった。だから私はその力を補うために、この力を得たんです」
「ふ~ん。だから悪い事はしてないって、そう言いたい訳なんだ」
「ええそうですよ。あの時、私にこの力を下さったあの人はきっと神の使いだったのでしょう」
ラーナは恍惚とした表情で空を見つめる。
悪魔と融合する術を受け取った事を思い出しながら。
「ハハ……アハハハハハハ!!」
「ギギラ?お前どうした」
「バラン君、どうしてって、アハハハ!!イーヒヒヒ!!」
そんなラーナの独白をギギラは笑い飛ばしていた。
「そんな笑う事無いだろ」
「だってさ、だってだよ。あの子、全部理解してるのに必死で自分を騙してるんだよ?」
ギギラは一通り笑った後、目を擦りながらラーナに質問する。
「ねぇラーナ。君にその力を与えた人ってさ、目がない女の人だよね」
「……貴方、どうしてそれを?」
ラーナの顔が一瞬グニャリと歪んだのをギギラは見逃さなかった。
きっとラーナも心の奥底では自分が死刑になった理由を理解しているであろう……ギギラは心の中でそう結論を出していた。
自分に禁術を預けたあの『目無しの女』を必要以上に神の使いと呼んでいるのも、おそらく現実逃避の一つだ。
「せっかくの機会だから教えてあげる。君が使ってるその力は禁術だよ。私のコレと同じ」
ギギラはそう言いながら、見せつける様にバランをグルグル回す。
「酔うだろやめろ!!」とキレるバランを横目に、ギギラは話を続ける。
「私の力が禁術?そんな馬鹿な、ありえない」
「因みに、君が死刑になっている理由も禁術を使ったからだよ。君は世の為、人の為にその力を使おうとしたみたいだけど……禁術は持ってるだけで重罪だからね」
「違う……違う……私は一人で聖女の仕事を全て全うするために。全てはこの国を良くするために」
「その禁術をあろうことか聖女が……それも悪魔を取り込む禁術だよ?」
「私は……あの人に託されたんだ。あの『目無しの女』はきっと、本当に神様の使いで」
「タブーにタブーを重ねて国民を不安にさらした聖女の責任の取り方なんて、死刑しかありえないよね~」
ギギラが煽れば煽るほど、ラーナは苦悶の表情を浮かべて苦しみ始める。
そんなラーナの顔を見て、バランは一抹の不安を抱えていた。
「おいギギラ!!な~んで煽ったんだよ。あのままやれば勝てそうだっただろうが」
「何でって、奥の手隠してる女の戦うのギギラ嫌いだもん」
「嫌いってお前……それより、奥の手?」
「バラン君だけで勝てるレベルの弱っちい人間がこのコロシアムで生き残れる訳ないじゃん」
「お前なぁ」とバランがツッコミを入れようとしたその瞬間の事だった。
ラーナがまるで人とは思えない奇声を上げ始めたのだ。
「違う違う違う違う違う!!!彼女の言うことは全て嘘っぱちだ!!!この私が禁術使い??あり得ない!!!やっぱり死刑囚になる様な禁術使いは殺さなくては」
彼女の纏うドレスもその声に共鳴する様に青く光り輝く。
その青い光からはビチャビチャとした液体が飛び出し、ラーナ・エークレーと言う人間を複製していく。
「禁術使いはやがて精神を蝕まれエゴを暴走させると言い伝えられています。だから私が殺してその魂を開放しなければ。そう、聖女である私が……人殺しの汚名を被ってでもその魂を開放しなければ!!」
「へぇ……君の禁術の本質は実態を持ったコピーな訳だ」
おおむね、それが可能な悪魔を喰らいつくしたと言った所だろうか。
恐らく禁術に手を出した根本的な原因は、聖女の人手不足問題を解決する為だろう。
そんな考察をしながら、ギギラは杖を振り、魔法を放つ。
そんな魔法を気にも留めず、大量のラーナ・エークレーがギギラに襲い掛かって来た。
「お、おい!!こんな数、俺じゃ捌き切れないぞ?どうすんだよ」
「性能は本体とほぼ一緒ね。数でごり押して今まで勝ってきたんだ」
「俺こんな所で死ぬのは嫌だからな?!何かいい案があるんだよな」
「もちろん、ギギラは良いデートプランを思いついたよ。この状況なら、きっと彼が大喜びしてくれる」
ギギラは目に映る大勢のラーナ・エークレーを見て微笑する。
この闇落ち聖女を全員食べられる何て聞いたら……きっと彼は喜ぶだろうと惚気ながらゲートを開き、出番を待つ彼氏に手を伸ばした。
「さぁ、君にとって最高の舞台を用意したよ」
いつもの様にバランを投げ捨て、ギギラが取り出したのは、異常に大きい牙の付いた金属製のマスクだった。
自分の口を覆う様にそのマスクを装着したギギラは、いつもの様に彼氏の名前を呼んだ。
「彼氏No59、【悪食の咢ブロン】」
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