元・愛玩奴隷は愛されとろけて甘く鳴き~二代目ご主人様は三兄弟~

唯月漣

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20)疼く体

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 胸の輪郭をなぞるように丸く往復されたあと、不意にキュッと胸を指で摘まれた。

  
「――あっ」
 
 
 機械的な刺激に突然交ざる水湊様の指先の感触。それは高鳴る心臓を摘まれているようなゾクリとした緊張を私に覚えさせる。
 
 すると今度は、頼りなさそうに飛び出たその小さな尖りの先端に、不意にツン……と先程の強烈な振動が僅かに触れた。


「……っ」
 

 刹那、そこにピリリと電流のような刺激が伝う。
 
 それは快楽と呼ぶには拙い、チリチリとした不思議な感覚だった。
 その刺激は瞬く間に全身に波及して、鳥肌となって背筋から腰、四肢へと駆け巡る。
 
 強烈な振動がくると勝手に身構えていた私は、そのえも言われぬ感覚に困惑した。


「すぐに固くなったな」
「あ……申し訳ありま……せ……っ」


 痺れるような、痒みのような、不思議な感覚。
 それがマッサージ器に触れている僅かな皮膚から全身へと走って、ぞわぞわとした本能的なくすぐったさに私は身をよじりそうになる。


「くすぐったいのか?」
「はい……」
「もう少しだけ耐えなさい」


 水湊様の言葉に、私はコクリと頷いた。

 感覚というのは不思議なものだ。
 
 摘まれた乳首の先を、強烈な振動がゆっくりと何度も往復する。器具に触れているのは、恐らく数ミリ。
 
 けれどもその度私は頭の中でその刺激を追いかけて、通り過ぎた振動が再び乳首の先を撫でるのを想像し、期待してしまう。
 
 だが規則的に往復する滑らかなその先端は、一定のリズムを保ったままだ。


「んん、くっ……、ぁ」

 
 くすぐったさであったはずのその痺れは、いつしか私の中で甘い疼きへと変わり始めていた。
 
 球体に擦られた私の胸元の小さな粒は、恐らく片側だけが物欲しそうにぷっくりと熟れて尖ってしまっているだろう。
 
 それを思うととても恥ずかしくて、けれどももっと刺激が欲しくて……。

 そんな私の考えを見透かすかのように、マッサージの往復が止む。
 摘んでいた胸から手を離された水湊様は、振動で敏感になりきっていた胸の飾りを指先でピン……と弾かれた。


「……ひっ」


 その瞬間、ゾクリと甘美な毒のような甘い痺れが体の中心を駆け抜ける。
 
 まだ触れられてすらいない両足の中心が内側から疼いて、毒が広がるように熱を持った。
 
 それは初めて感じる感覚だった。
 
 水湊様はなおも焦らすように私の胸板を撫でて、今度は胸の先端を避けるように指の腹で円を描きながら言った。


「初めはまるで男を知らぬような淡い色だったが、片側だけ赤く熟れたな」


 そう言ってクスクスとお笑いになった水湊様に、私は恥ずかしさで頬がかぁっと赤くなっていくのを感じる。
 
 ――――私は今、もてあそばれているのだ。
 
 水湊様に……恐らく、新しい玩具として。
 
 けれど、嘘をついた私への折檻の件は……?
 水を沢山飲む事だけが折檻?
 
 油断したところで何か酷い目に遭わされたりするのだろうか……。

 
「――――どうした?」
「いえ、その……」


 黙ってしまった私を、水湊様は不審に思われたようだ。もう一度「どうした?」と問われたため、私はおずおずと口を開いた。


「その……てっきり罰として、鞭で打たれるか……殴られるか、ひょっとしたら蹴られるかも、と……思っていたものですから」
「…………」


 私の言葉に、水湊様は少し黙った。
 
 それから少し何かを考えるような間があって、それからぽんっと優しく私の頭を撫でて下さった。


「そんな暴力など振るわない。日和は奴隷と言ってもと付くのだから。普通は可愛がるものだろう?」
「……」
「それに日和は愛玩奴隷である以前に契約社員だ。怪我なんてさせたら労災ものだし、故意に怪我をさせるなど論外だな」
「ろう、さい……?」


 私は聞き慣れぬ言葉に首を傾げながら質問を返す。


「ああ。労災と言うのは、仕事中に怪我をした従業員が使える保険みたいなものだ。ただし、これを使うのは私としては恥だな。『私の安全管理がなっておらず、従業員に怪我をさせた』と、公言しているようなものだから」
「?」


 よく分からないけれど、私が少なくとも今宵、暴力を振るわれることはないらしい。
 
 ホッとするのと同時に胸元に水湊様の指の感触を感じて、私は性感の世界に引き戻された。
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