元・愛玩奴隷は愛されとろけて甘く鳴き～二代目ご主人様は三兄弟～

２１）初めてのお務め

「少なくとも、日和がろくでもない主人のもとで、今まで苦労をしてきた事がよく分かった」
「っ、ぁ……ッ」


　水湊様の親指の腹で、熟れた先端をこねるように潰され、私は再び声を飲み込む。次いで両胸を同時に摘まれて、私は堪らず小さく声を漏らした。


　やがてマッサージ器を再び手に持った水湊様は、今度は腹から下へと振動を滑らせる。

　鞭で打たれぬとわかった途端、現金にも私の陰部には快楽を求める熱が灯り始めていた。
　
　無論、久方ぶりの夜の勤めに不安がない訳ではない。それでも若い体に与えられた小さな快楽の炎は、私が長らく拗こじらせていたものを煽り、じわじわと蘇らせていった。

　
「まだ胸にしか触れていないのに、兆きざしているな」


　そう言われて、私は恥じ入る。
　
　年頃になってからというもの、悪い事とは知りながらも、どうしても我慢ならずに一人で処理したことがないわけではなかったからだ。

　だが主人に手ずから愛して頂くなどという光栄なことは、私にはほとんど初めての経験だ。
　
　先程までの強い恐怖心や緊張が薄れた結果、私の中で『主人に性的な意味で触れてもらえる』という嬉しい気持ちが上回った。

　けれども同時にそれは、己の欲情を主に知られるということでもある。私は恥ずかしさに顔を伏せて、水湊様がいらっしゃるであろう方向から視線を反らせた。


「ここにも刺激が欲しいか？」


　クスリと小さく笑われた水湊様は、竿の下側……二つの膨らみの皮膚に、電気マッサージ器を触れるか触れないかのギリギリで置いた。

　薄い下生えをチリチリと振動が揺らすと、それだけで私の意に反して中心に血が集まるのを自覚する。


「……ッ」


　その部分から意識を逸らそうとした途端に、双玉を包む皮に僅かに振動に触れた。私の腰がビクンと震える。

　答えを促すようにちょんちょん、とそこをマッサージ機の先でつつかれると、そのたびに強烈な振動が股間に伝わっていった。
　初めての感覚に戸惑いながらも、水湊様の焦らすような行為の連続に、私は堪らず弱音を漏らす。

　
「どうか、お許しください……お願いします……っ、っあ……ッ」


　私が言い終わるか否かのタイミングで、マッサージ機の振動がグイッと膨らみに押し当てられる。
　
　その強烈すぎる振動は、性器全体をブルブルと小刻みに揺らす。
　くすぐったさの交じるその快楽は、性感とはまた違った意味で耐え難い。よろけて反射的に逃げかけた腰を、水湊様が強い力で真っ直ぐに引き戻される。


「駄目だ。ちゃんと立て」
「あ……っ、ふ……ぁっ、ッ！」


　逃げられないようになのか、ペニスを掴まれて私は僅かな恐怖心を抱く。水湊様の手で二、三度上下に扱かれたそれは、包まれた皮の先端からゆっくりと露の滲む頭を出した。
　そんな剥き出しの先を振動でちょんとつつかれて、私の体は再び跳ねる。

「ひ……ンッ……！」


　何度となく、快楽混じりの強い痺れが与えられる。くすぐったいはずなのに、それに混じるゾワリと追い立てるような快楽が堪らなかった。


「腰が揺れているな」
「も、もうし、わけ……っ、ぁ……ッ」


　何とか真っ直ぐ立とうとしてはみるが、初めて主人の手から与えられた快楽と本能に蹂躙される初うぶな下半身は、気を抜くとすぐに力が抜けてしまう。
　ゾクゾクと込み上げる快楽に喉が震え、謝罪の言葉が途切れる。
　
　私が再び謝罪を口にしようとするたび、下から押し付けるようにその振動の塊で裏すじを撫でられた。悪魔の道具と化したそれは、ついにはぬめる涙を床へこぼし始めたその先端までもを本格的に餌食とした。


「ん、く……っ」
「…………？」

　
　なんとか鳴かぬよう唇を噛んで耐えている私を、ふと水湊様が間近で覗き込まれている気配がある。
　
　楽しんで下さっているご様子の水湊様を、私の聞き苦しい喘ぎ声で興醒めさせてはいけない。
　
　そう思い耐えていると、しばらくしてパチンという音と共に振動が止んで、室内には唐突に静寂が訪れた。


「――もしかして、日和は鳴けないのか？」
「あ……」
「気持ち良くない……訳ではなさそうだが、なにか理由でも？」


　水湊様の言葉は、私を答えに詰まらせる。
　
　――――私の声は人よりかなり低い。
　
　
　『主人に愛でられ、可愛い声で喘ぐ』

　
　これは声変りして以降、私にはできない行為だった。