元・愛玩奴隷は愛されとろけて甘く鳴き~二代目ご主人様は三兄弟~

唯月漣

文字の大きさ
32 / 108

32)焦れ焦れの夜

しおりを挟む
「体、火照ってきたね」


 律火様に甘い中低音で囁かれ、否が応でも己の体の中心にくすぶり始めた熱を自覚せざるを得ない。

 律火様には先程セックスを断られたはずなのに、主人である律火様を差し置いて自分だけがこうして気持ち良くなってしまうなんて。 
 きっと、許されないはず。
 許されるはずがない……。なのに。


「りっ、律火、様……っ」


 密着した体を剥がすように両手を突っぱった私は、火照る体の内側で騒ぐ心臓の音を感じながら、律火様のお顔を真っ直ぐに見た。


「落ち込む私を気遣って、こうして慰めて下さるお気持ちは嬉しく思います。ですが、このように私ばかり気持ちよくして頂くのでは私が申し訳なく……」
「何故?」
「何故って……」


 そう問う律火様の琥珀色の大きな瞳が真っ直ぐに私を見つめていて、私はその美しさに息を飲む。


「日和さん、他人の手で気持ちいいことをされるのは苦手? それとも、気持ち良くなかったかな」
「いえ、そんなことは……。ですが、主人を差し置いて私だけこんな……」
「……日和さんが以前いた家のルールなんて、僕は知らない」


 律火様はそう仰って、ふわりと優しく微笑まれた。

 
「日和さんは今、この東條院家の愛玩奴隷としてここにいるんだよね?」 
「はい、勿論です」
「だったら僕には、日和さんをこの家の……ううん。僕のやり方で、可愛がる権利がある。違う?」
「あ……。ち、……違いません」
「でしょ?」

 律火様はクスクス笑いながら、小さな子供にするように私の頭を撫でてくださった。


「なら僕は、可愛い日和さんが気持ち良さそうにしてる顔が見たい。出来れば気持ちいい時の声も。新たな主人である僕の願い……叶えてくれる?」
「あ……。が、頑張ります……!」

 声も、と言われて少しだけ緊張したけれど、律火様はそんな私の考えを表情から読み取られたのだろう。
 私の頬に軽くキスを落として、そのまま僅かに盛り上がる喉仏に口付けた。


「日和さんの声、僕は好きだけどな。ねぇ、日和さん。僕の名前、呼んで」


 そのまま唇を滑らせた律火様は、私の胸元に顔を埋められた。チュッと乳首に吸いつかれて、甘噛みされる。

 
「律火さ……あっ、り、……っか、さ……」

 
 優しい愛撫ばかりだった律火様がそこを噛まれると思わず、ドキンと心臓が高鳴る。舌先でくすぐるように舐められると、くすぐったさと快楽の入り交じったものが込み上げてきた。


「律火様……り、りっ……」


 名前を呼びながら、私はその感覚に堪らず眉根を寄せていた。

 
「ふーん。くすぐったい時の声は出るんだね?」
「ちょ、律火様……あぁ、う……」


 律火様はそう仰ったかと思うと、私をベッドへ優しく寝かせて下さった。
 奴隷どころか、まるで宝物を扱うような手つきで私を撫でる律火様の手は、触れられるほどに私の理性を溶かす。


「今時、愛玩動物ペットにだって愛護法があるんだよ。愛玩動物よりも、愛玩奴隷にんげんの方が大事にされるのは当たり前。そうでしょう?」
「そ、そうでしょうか……」
「そうだよ。それに、どちらも可愛がるために傍に置く存在でしょ?」


 律火様は楽しげにそう仰って、今度は私の下着へと手をかけられる。


「もっとも。動物と人間の違いは、こういう楽しみ方が出来ることだと思ってるけどね」
「……?」

 律火様はそう仰ると、布越しにやんわりと私の両足の間にある膨らみを撫でた。
 律火様のしなやかな手は私のその形を確かめるようにゆっくりと往復して、時折悪戯に優しくそれを手の中に包む。

 かと思えば、律火様のすべすべな掌は中心から逸れて下腹、そしてへその辺りをさわさわと撫でる。
 
 ホッと気を抜くと途端にその手は中心に戻って、芯を帯び始めたそれを上下にしごいた。けれども長くは続かず、再び手は肝心の場所から離れてゆく。

 そんなことが延々行われるのだから、私は理性を試されているかのようで、もどかしくて堪らなかった。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

処理中です...