【完】メスイキTrip!〜メスイキした瞬間フリ○んで異世界に飛ばされて魔王を目指す羽目になるとかちょっと意味が分からない〜

唯月漣

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17-②

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「鷹夜さーん、みなさーん! おかえりなさーい!」


 転移者である男性を無事に保護し、俺達は1度ギルドに戻った。俺達の姿を見付けて遠くから手を降っているのは三ツ矢だ。

 俺が最初にカヴァに拾われてここに案内された時、この無駄に広い建物は半分朽ち果てて、半ば廃墟と化していた。
 それが今は、数人の新たなギルドメンバーによってすっかり綺麗になった。

 筆頭になってギルドを建て直してくれているのは、なんとその三ツ矢だった。
 彼は家事とDIYは得意なのだと言って、ギルドに来るや否や、あっという間に建物内をピカピカに掃除し、庭の草をむしり、植木を手入れした。


「料理だけはルナさんに敵わないんですけどね」


 なんて言いながら、こちらの世界の食材で煮魚や唐揚げ、肉じゃがもどきやシチューもどきなんかを作ってくれる。
 幸田が以前再現に成功したムクノヤの牛丼は、三ツ矢によって定番料理として復活され、ギルドメンバーの中で一番人気のメニューだ。

 ルナの料理はもちろん美味しいのだが、いかんせん彼のセンスは独特な上、なにかと精が付き過ぎる。
 俺としては、普通の日本食が食べられる事がとても有り難い。

 彼がチー・ママを引退して街に下る際、数人の側室が彼を慕って共に街に下った理由が、今なら分かる気がする。
 男は胃袋を掴まれると弱いものなのだ。

 当面はギルドとしての仕事は乏しく、その殆どが魔王やチー・ママ経由の転移者の保護活動だった。
 そんな貧乏ギルドだったが、三ツ矢の提案でギルドの空きスペースを改装し、この冬からルナと三ツ矢でギルドの敷地の片隅で食堂を開くことになった。

 少しでもギルドの稼ぎの足しになればと思って始めたこれが予想外に大当たりだったらしく、異世界の料理や幻のチンギン料理を手軽な価格で食べられる店として、今や他の街の転移者なんかも集まってきて、店は大繁盛だ。
 因みにこの食堂には、お忍びで魔王である碧君や各街のチー・ママ達も通ってきている。
 花咲君からは、この食堂に自分の監修したパフェや焼き菓子なんかを置かせてほしいという、業務提携の申し出があったくらいだ。



 あれから全ての闇ギルドを一網打尽にした碧君の手により、街では本格的に転移者の体液の売買が厳しく取り締まられた。
 違法に搾り取られた体液を売ったものは勿論、買った側にも厳しい罰則が課される。
 もし売買をする際には厳しい決まり事と本人の顔写真、氏名などを開示しなければならず、今では体液の売買自体が殆ど見られなくなった。

 半年ほど経つと、違法に体液を購入し魔力を得ることで一番精力的だった頃に若返っていたらしい貴族が元の姿に戻るという現象がちちらほらと現れた。
 彼らは魔力の供給が尽き年齢相応の肉体に戻る事で悪事がばれ、王都にて裁判にかけられたそうだ。


 さて、これでどちら様も安心してこの異世界に転移してこれる環境が整った訳で、俺はカヴァと共に日々転移者の保護活動に精を出している訳なのだが…………。





◇◆◇◆◇◆




「……かやっ、鷹夜っっ!! んもう、明日が休みだからっていつまで寝てるの?」


 逞しい男の両腕が、深い眠りに落ちていた俺の体を揺する。


「ん、んん…………? カヴァ……?」


 遮光カーテンの隙間から射し込む光がチクリと俺の瞳孔に刺さって、俺は慌てて目を閉じた。


「あっ、二度寝する気? チェックアウトの時間、過ぎちゃうわよっ」


 男はそう言って、勢いよく部屋のカーテンを開けた。瞼を閉じていてもなお眩しさが伝わるほど、外は快晴だ。


「大体、カヴァってなに? アタシの名前は茅谷(かや)よ」
「…………え」


 慌てて眩しさに縮こまる瞼を叱咤して、俺は目を開けた。そこにいたのは、カヴァによく似た顔立ちの、黒髪ロングヘアの男だった。


「ん!? んんんーー!?!?」


 部屋を見渡すと、ここはいつか涼と泊まったはずの、都内某高級ホテルの一室だった。


「は!? え、!? 待って、お前カヴァだよな!? 涼は……!?」
「涼って一体誰? もしかして、浮気? それならこれからちょーっとキツめのお仕置きタイムになるけど?」


 茅谷と名乗る男に頬をつねられて、俺は強い痛みを感じた。
 つまりこれは、夢ではない。


「えーっと、もしかしてここは日本だったりはしない……ですよね?」
「やーねぇ。日本以外のどこだっていうのよ? 寝ぼけるのもいい加減にしないと、本当に襲っちゃうわよ」
「………………???!」


 ……そもそもなんで俺、ここにいるんだっけ? 単なる夢? 記憶喪失?


 ーーーーいや待て。落ち着こう。
 一度、昨日の夜あったことから順番に思い出すことにしよう。
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