【完】死にたがりの少年は、拾われて初めて愛される幸せを知る。

唯月漣

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第一章 常春と真冬編

21)快楽に溺れて。*

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「真冬、大丈夫か……?」


 そう言いながら、常春は萎えかけた俺の性器を掴んで軽く扱く。
 恐らく後ろの圧迫感を和らげようとしてくれたのであろう常春のその行為は、結果的に狂おしいほどの快楽で俺を攻め立てることになった。


「ああーーっ、やっ、やあ……ッッ、いいっっ、それっ、ダメっ! いいっ、いいから……ぁッッ」
「くっ……真冬、あんま締めんな……」

 常春が苦しそうに呻くが、そんなのは無理だ。
 常春は空いている方の手で俺の手を握る。常春は強張っていた俺の拳をそっと開かせると、恋人同士がするそれのように手のひらを合わせて、指を自身のそれと交差させて繋いだ。
 常春はそのまま腹の上に座る俺の体を揺するようにして、小刻みに中を擦った。


「あッ……あッ……んん、んッ……、んんんッッ!」


 揺れに合わせて俺の口から漏れる甘い喘ぎと、熱い常春の吐息。
 繋がったそこからは、僅かに濡れた音と皮膚同士の当たる乾いた音がした。
 常春を受け入れたまま揺らされた俺の体は、己の体重によって容赦なく内側を深く抉られる。
 常春の熱い楔が深いところまで届いて、先程刺激を受けた俺の弱点に強く突き当たった。


「さっきの場所、ここらへんか?」


 そう言って、常春は先程俺が教えた所を探り当てる。


「……うあ!? あっ……う、イッ……イッ……あああ、そこぉ……っ、そこはぁ……あッッ」


 質問に答えるように激しくなった俺の喘ぎに合わせ、常春はずんずんと下から突き上げるように激しく俺の体を揺らす。
 荒れ狂うように走る快楽の熱が、腹の中でどんどんと色濃くなって、俺の思考を奪っていく。
 最後に頭の中に残るのは、ただ気持ちいいという事実だけだ。


「あぁ、ぐッ……! んん、い、い、……っ、もうイ……っクっ……イクッ………!!」


 俺は繋がれた手に力を込めて、常春に限界を訴える。常春は手を握り返すと、仰け反って倒れそうになる俺の腰を反対の手で掴み、支えながら言った。


「ん……っ、いいぞ。いっぱいイけよ……真冬」
「あ……! あッ、あッ……イッッッ!!」


 常春がそう言ってペニスを半分程抜くと、そのまま勢いをつけて何度も俺の中を穿った。
 強く内壁の粘膜を擦られて、勢い良く弱いところに常春のペニスが当たるたび、腹の奥からいっそう熱い快楽の波が押し寄せる。
 常春を受け入れているそこはキュウっと収縮を繰り返し、やり過ごしきれなくなった熱は上り詰めたまま、限界を超えて弾けた。


「あ……ぅ……、んッッッ……!!!」


 唇を噛んで呻くように達した俺は、なおも波のように押し寄せる快楽の波にぼんやりと惚けながら、常春の胸の上に崩れ落ちた。


「おわっ……!?」


 常春が慌てて俺の上肢を支えると、ゆっくりと胸の上に俺を寝かせてくれた。そうしている間にも、常春のものを加え込んだままの俺の秘孔は脈打つように収縮を繰り返し、俺の意思を無視して常春のものを締め付けた。


「あ……ごめ……、俺だけ先に……」
「別にいいよ。少しはスッキリしたか?」


 常春も俺の中に締め上げられて限界に近いほど辛いはずなのに、それでも優しく俺を気遣う。


「うん……。も……俺、大丈夫だから、常春も最後までして……」


 俺は常春の唇にキスを落とすと、繋がったままのそこを揺らすようにして常春を誘った。


「ん……。なら、一旦抜いてゴムを……」


 常春がそう言って慌てて腰を引くが、俺はそれを追いかけるようにして腰をずらした。


「いいんだ。常春の、俺の中に出して欲しい……」
「…………!」


 普段ならば決して言わない言葉も、常春にならば言ってしまえる。
 常春は迷うように数秒沈黙したのち、体を起こして俺にキスを返した。そのまま体勢を入れ替えて、俺を押し倒すように畳に寝かせる。


「……んな事言われたら、いくら俺でも手加減出来ないぞ?」


 常春は乱れた吐息を吐くようにそう言って、激しく腰を動かし始める。先程限界を迎えたばかりの秘奥は、擦られる粘膜から再び快楽の波を拾って俺の体を追い立てた。



「手加減なんて……っ、いら、ない……ッ、もっと……ッ、もっと常春が欲しいぃ……」


 俺がそう答えると、常春は一気に抜き挿しを早めた。雁首の段差で中の弱い部分を執拗に掻かれると、そこから湧き出る快楽に俺は爪の先まで痺れた。
 先程の射精によって少しだけ萎えていた俺のペニスは、再び先端から透明の液体をとろとろと吐き出して震えている。


「真冬っ……真冬……ッッ……」


 徐々に息が上がっていく常春の額には、薄っすらと汗が光る。常春はうわ言のように俺の名前を呼び、何度も何度も俺の唇に口付けた。


「んん、常春……っ、好きぃ……好きぃ……ッッ! ……あ、いして、る……ッッ……! 常春ぅ……つねは……る、常春……っ!」


 常春の口づけの合間を縫うようにして、俺は何度も名前を呼んでは常春に愛を囁く。


「俺も……真冬が好きだ……ッ、真冬……ッ、んん……愛してる……ッッ、はぁ……っ、真冬……っ、もう……」


 常春が俺の最奥に腰を入れたまま、ビクンと大きく震える。その瞬間、俺は自分の中で常春が果て、精が解き放たれるのを感じた。熱い液体が腹の奥に広がって、快楽にうねる粘膜にじわりと広がる。


 常春はずるりと自身のものを俺から抜き取って、畳に崩れるように手をつく。俺の隣で天井を仰ぐように仰向けになると、


「真冬、大丈夫か?」


 と俺に問う。


「大丈夫。常春は?」


 俺がそう答えれば、


「ああ。畳の上じゃ、流石に腰が痛いな」


 と答えて笑った。






 それから俺は狭いシャワー室へ連れて行かれて、中に注がれた精を常春に入念に掻き出されて洗われた。
 俺は出したくなんて無かったけれど、体の構造上そういう訳にはいかない。

 
 散々常春に中を洗われて再び勃ってしまった俺のペニスを、常春が笑いながら石鹸で滑らせた手で扱く。

 温かいシャワーの湯は俺たちの体を伝い、俺の放った精を巻き込みながら排水溝へと渦を巻いて消えていった。
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