DRAGOON LEGEND

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〜〜リュウの少年とヒトの少女〜〜

狩人vs戦士 part2

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「"コアレスト技術"、無事成功してるみたいですねぇ」

 クラーケンがフリングを襲った頃合いから特に干渉せず、観察に徹しているハーフメルは口からそんな言葉を吐き出す。
 空中で静止し、黒いコートと顔にかけた黒布を波打つ様に揺らす姿は不気味の一言に尽きた。
 それを助長するように目玉模様の柄が入った陣笠を被る彼、あるいは彼女か。
 声が中性的、黒布で顔も見えず、厚いコートという服装もあって性別の判断は付かない。
 性別すら判断できないそのハーフメルはどうやら何処かにいる誰かと通信を交わしていた。

「しっかしコアが無いのに活動できるって、どーゆー原理してんですか?」

『ふむ。ならば、ならば!教えてあげよう!直々にねぇぇ!!』

 通信している相手は、通信越しでも分かる程度にウキウキな上機嫌で、今にも解説したくて堪らないといった様子だ。

『コア。正式的な名は"ユグシス・コアクター"』

 渋味を含んだ声ですらすらと説明していく。

『これは大抵我々の胸部中心。別の位置にある場合もあるが、必ず私達の中にあり、精神と生命維持を司る重要器官だ」

「知ってますが?で?」

『結論を急がないでくれ。では、何故コアが生命維持を担うのか分かるかい?』

「んん~~……たしかぁ、体内のユグジス粒子を循環させてるから、だったっけ?」

『うむ。細かく論理的に説明したいところだが、とりあえずそういった認識で問題ない』

 "ユグジス・コアクター"ことコアは、ユグジス粒子で構成された非物質的な臓器。
 そして何度も言うがハーフメルにとって重要性が大きい代物だ。
 コアはユグジス粒子を生み出し身体を循環させ、金属細胞と有機細胞に必要なエネルギーを分配。
 それによって細胞は身体を動かす為の熱量を生成、その生命が維持されると言う訳だ。
 
『循環によって生命のエネルギーが生まれる。なら、コア以外に循環の役割を代替できる物があればどうなると思う?』

「……もしかして~……その装置的なヤツを埋め込んでるって感じっすか?」

『正解だ。しかしコアは精神……自我意識も司っている』

「そっすねぇ~。意識が無いんじゃ役に立たないでしょ」

 至極当然、とばかりに黒ずくめのハーフメルは言う

 意識がないのであれば、身体が腐り錆びつくことなく生きていたとしても、それは指一つとして動かない置物に等しい。
 戦いでは役になど立たず、せいぜい的にされるのがオチだ。
 しかし。向こう側にいる彼は、それをよく承知している。

『だからね、繋げたんだよ。コアとその装置を繋ぐパイプを作ったんだ』

 そう言ってのける言葉には、何処となく狂気的な臭いが入り混じっていた。
 黒ずくめは特に気にしなかったが。

「へぇ~。そいつは大胆ですねぇ~。けど、そんな簡単に?」

『そこだ。勿論、決して楽ではなかったよ』

 そう言って、完成への経緯を話し始めた。

『パイプと言っても文字通りの意味じゃない。特殊な粒子による不可視の経路だよ。それで身体とコアを繋ぐ。すると、コアから思考情報が身体へ伝達され、ちゃんとした意思で身体を動かす事ができると言うわけだ』

 続けて、男は語る。

『358。生きた検体としてそれだけの数を用意してもらったが、その殆どが死亡した。実に苦労したものだ』

 サラッと普通では有り得ないことを口走るものの、そこに躊躇も後悔も一切感じられない。
 どこまでも冷静で平淡。
 それは姿の見えない通信越しの男の本質をよく表しているとも言える。

「えっぐ」

『まぁ、自覚はあるさ』

 布の下で苦虫を噛み潰した様な苦渋の顔をするが、別段このハーフメルに良心や同情といった感情はない

 あくまで、その場のノリだ。
 
『けど、最後に残った検体一名が見事成功してくれた。いやはや、アレは本当に感動ものだと自負するよ……結局もがき苦しんで死んだけど』

「えぐい上にヤバさ足してますねぇ~」

 客観的に正論だが、それをスルーして男は、話し続ける。

『だが、成功には違いない。出発点だからまだまだ改良の余地は沢山あるが、有意義で素晴らしいデータが多く取れた』

「それは喜ばしい事で」

『ところで、"監査官"くん?』

「なんですかぁ?」

『コアレストの処置を施したあの粗暴で、野蛮で!物事の道理を弁えないバルセルク3名の状態について、一応報告が欲しいんだが』

 どうやら、相当バルセルクを毛嫌いしている様子。監査官と呼ばれた黒ずくめのハーフメルの頭中神経には、色々と思い当たる情報がチラチラと浮かんでいた

 バルセルクはアレスから見ても狂人の類いに入るのは間違いなく、それ故に数え切れない問題を引き起こし、しまいには彼等を排除すべきと言う声もあった。
 その起こして来た問題のいくつかの被害を、通信相手の男が受けて来たのだから、毛嫌いの感情は妥当だろう。
 下手したら、それ以上かもしれないが。
 とは言え、結局竜帝の決定で厳罰はあれど、『お咎めなし』と沙汰を言い渡されている。
 理由はバルセルク強襲部隊の異常な強さと、それを確かな証拠とする戦績にある。
 仲間であっても必要性の有無を問わず殺すような生粋の殺戮者である狂人達。
 そんな性質の彼等だが、だからこそ一般的な道理に囚われず行動する事ができる。
 時に性質というものは枷になる事がある。
 例え話をしよう。
 ある者が自分と親密の間柄の誰かを強く想い、その誰かが敵に人質に捕らえられたとしよう。
 ある者…仮にAとして、誰かをBと呼称する。
 AはBを人質にした犯人に対し、攻撃しようとしても、Bがいるので攻撃できない。
 親しい故に何もできない。
 想う感情が枷になってどうやっても成すべき行動に移れない。
 もし、これが物事の筋道における転換点だとしたら

 行動における選択次第で最悪の未来が生まれるとすれば?
 その最悪の未来へと続く選択が……Bごと敵を攻撃することへの躊躇で、断念だったら?
 バルセルクなら、そんな事にはならない。
 そう言っていい程に彼等はその根底から他のハーフメルとは一線を画している。
 血を分けた兄弟に等しい同部隊の仲間が人質にされたとしても、彼等は攻撃を実行する。
 そこに躊躇も、悔恨も、情けも、後悔すらもありはしない。
 彼らにとっては死とは当たり前のもの。
 他者の死は自分達の心を麗し、満たす。
 自らの死であっても…例外にはならない。
 恨む?憎む?そういった悪感情すらなく、あるのは無慈悲に目の前の命を毟り取れる、残虐と冷酷さを兼ね備えた兵士としての矜持。
 だから人質など意味はない。
 人質になるという、兵士にあるまじき陵辱を受ける位なら死を選び、仲間がそうなったなら速やかに攻撃し命を絶たせる。
 横暴と思うかもしれない。
 理不尽と詰るだろう。
 狂気だと恐れ忌み嫌われる。

 だが、それでも。

 それはある意味、彼等だけしか到底持ち得ない強さであり、他に類がない。
 その強さが功を奏し、アレスという組織に幾多の利益を齎している。
 どれほどの犠牲を積み重ねたとしても、だ。
 しかしそれも潮時だと竜帝は思っていた。
 彼等の成した功績の数々が組織にとって大きな益を生んだとしても、やはり行動面に問題が多くあり、今後それが障害にならないとも限らない。
 実際のところ、今回においてバルセルクが割り振られた最たる理由は、"選別"だ。
 手段・方法を問わず成功すれば今後とも幹部としての地位を約束。だが失敗すれば……

 そのコアを破壊され、身体を"再利用"される。

比喩でも何でもなく、凄惨でまともとは言えない"死"が待ち構えているという事だ。

「今んところ良好ですよ~。ま、後々どんな副作用が出るか分からないですけど。最初の成功例の検体は死んだんですよ?」

『ああ。最高で一週間は持った。どうにも装置の移植後の負荷に耐えられなかったようでね。今後の研究課題としては、いいデータが取れたので問題はないが』

 是非もなく告げられるその内容は、非道残酷な手段を必要とあれば用いるアレスでも、多くの者が嫌悪感に眉を顰めることだろう。
 もっとも、この監査官は感慨や思うところ等
微塵すらないが。
 
「ん?」

『どうかしたかい?』

「クラーケン相手に精鋭が1名……あ、2名っすね。
小さめではあるんですけど……上手く押してますね」

『ほう?誰かは分かるかね?』

 興味深そうに男は尋ねる。

「あー、確かアレっす。"ニズグ"と"フレスベル"ですよ~」











「ちょ、ちょっーー待って待って!!」

 甲高い悲鳴を上げる精鋭の少女、ニズグ。
 彼女は今、フリングに搭載してあった小型航空戦闘機を用いて、拙いながらも迫り来るクラーケンの触手やマクロファートを迎撃していた。
 だが、控えめに言って彼女の操縦技術は下手を地で走っている。
 戦闘機は大きさが10m程で、エイに左右6枚のトンボに似た翅を取り付けた風貌の形状をしており、中央にコックピットが備えてある。
 武装は敵を自動追跡、迎撃する粒子先鋭光弾。
 マシンガンの如き連射、ショットガンのように単発ごとに威力が高い攻撃。二つのモードを切り替えることができる砲撃装置が前方後方に二つずつ。
 ある程度の衝撃・攻撃を軽減するバリアに、敵を捕らえる粒子の流れた鉄縄『ワイヤス・グリッパー』。
 更にパイロットの状態を観測・把握。その安全を前提とした有効的最適化を図るAIの搭載

 まさに至り尽くせりの戦闘機だが、それを十分に使いこなせないと意味がない。

『操縦者。落ち着いて。自動操縦モードへ切り替える事を推奨します』

機内に流れる女性の電子音声はニズグの操縦不得手によるパニック状態を把握。的確な指示を出す。

「あ。そー言えばそーゆーの出来るんだっけ」

 割とすぐに落ち着くことができた。
 操縦専用ディスプレイ画面には、分からなくても目につくよう、青い色の四角で自動操縦と表示されているアイコンがあり、AIの指示通りにそこを押す。

『自動操縦に移行。下手クソパイロットはもう何もしないよう命令します』

「口、悪ッ?!え?何それ?しかも命令!」

『落ち着いて下さい。貴方の無能さを考慮しただけです』

「尚更悪いんだけど!!」

 自動操縦に移行してからは、動きがきちんとしたものになり、優雅に華麗に。
 敵の攻撃を上手く捌きつつ、クラーケン本体への攻撃を開始する。

「アイツ、やっと自動操縦に切り替わったのか」

 そんなニズグの様子を見ていたフレスベル。
 溜息混じりに吐き出された言葉には苦労の色が見て取れる。
 ニズグが撃墜されないよう、敵と交戦しつつ彼女をサポートしていたのだから当然だろう。

「枷が無くなったもんだ。こっから倍にして返すぜ!!」

 傷跡を残さず、見事に完治させた円形の翼を広げ、飛行の為に使うユグジス粒子を出力を調整。
 それをクリアさせると一気にクラーケンめがけて降下し、その恐ろしい眼球に両腕から射出した赤い結晶のミサイルを放つ。

 ドォォォォンッ!!

 周囲に重く、轟き渡るような爆音と共に衝撃と炎がクラーケンの眼球の一つを蹂躙する。
 痛みに耐えかねた断末魔の咆哮を上げるが、それでも触腕を艦から手放さない。

「チッ。もっと目を潰した方がいいな」

 苛立ちを絡めた舌打ちを鳴らしながら、ミサイルを再装填し、数を増加。
 左右一本ずつで二つだったミサイルを六つに。再び発射したミサイルは捕らえようと伸びる触腕の猛攻を掻い潜り、巧く避けつつクラーケンの他の眼球へと接近していく。
 
 そして、計四つ。

 クラーケンの眼球に直撃。威力も一撃目よりも強めている為、その分ダメージはデカい。
 証拠に爆風の熱が焦がし、視覚器官としての機能を奪った。
 視覚を潰され、激痛によってパニックを起こし艦から離れると踏んでいたフレスベルは結果を見守る。
 予想は……的中した。
 相当堪えたらしく、触腕を全て艦から離すと立ち去りはしないものの、呻き声を吐き続けて全身を震わせ
、悶えるように滞空。
 一先ず、引き離す事だけはできた。

「あれま。痛覚ってあるんですねアレ」

『ふむ。痛覚神経は除去しておきたかったんだが、中々難しくてね』

 一方、例の監査官は今の一部始終を見届け、特に何かアクションを起こす訳でもなく。
 徹底して監視の任を果たしていた。

『何せ重要な筋肉繊維の組織に密着していてね。仕方ないので除去はしなかったんだよ』

「左様で」

『だがクラーケンはあくまで陽動に過ぎない。バルセルクどもが例の娘を確保できれば問題はないさ』

 "予備プラン"の全貌は何て事はない、マクロファートやクラーケンを利用して戦力の大半をそちらに集中させ、バルセルクが艦内にいるであろう"例の娘"こと瑠璃を奪取する。
 本来ならばバルセルク部隊が研究施設を占領し、奪取する予定だったが精鋭の妨害に加え、まさかカオスから議員であるフレイアが介入するとは思わず。
 それが結果的に失敗を招いてしまった。
 ここで挽回しなければ、バルセルクに後はない。

「はてさて。任務完了か、任務失敗か……」

 監査官はあくまで監視・調査・裏付けといった裏仕事が主だ。
 介入しないのは、誰の側にも立たない中立の立場でもって組織に属する者に不義・不正を暴く為。
 それが"アレス"の監査官『ラタトスク』という、ハーフメルなのだ。











「ハアァァァァァッッッッッ!!!!」

「ヒャッハァァァァァーーーーーッッ!!!」

 勇猛と狂気。二つの感情が腹の底から湧き出た、とでも言わんばかりの咆哮を鳴らし、腕が剣となった剣腕と炎の如きエネルギー体の剣、レヴァトが交差する

 レヴァトはエネルギー体という特性上、物理的に触れられるものではなく、触れようとしても透けてしまうし、超高温である事を加味すれば無事では済まない

 それでも、エネルギーとしての圧力がある。
 それを利用することで接近武器による攻撃を防ぐ事はできる。
 
「メ、チャ、クソ熱ちぃなオイィッ!!」

 鋼鉄のように硬質化した腕は斬撃、射撃、果ては高火力の砲撃にさえ耐えて斬り捨てられる代物だが、それでも限界はある。
 完全無欠の物質など無い。
 世界一頑丈、次元を超えた切れ味などと謳っても弱点はある。
 例えば、地球上最高度の硬さを誇るとされるダイヤモンドは実は衝撃に弱く、劈開性(結晶や岩石の割れ方がある特定方向へ割れやすいという性質)を持っている為、片手ハンマー1つ
とほんの少し入れた程度の力で簡単に砕けてしまう。
 剣腕の場合は、高い温度になる。
 それも並でもそれ以上でもなく、5000度以上の超が付くレベルの破壊的な高温。高温の熱を利用したアーティスは数多くあるが、これ程のレベルのものは、そう易々とあるものではない。
 しかし、ジークアのレヴァトはその数少ないアーティスの一つだ。
 つまり、その頑丈極まる剣腕を焦がし、溶かすに足るオオウルの弱点となると言う事を意味している。

「フンッ!」

「おぉっと!!」

 一気に押し出すジークア。その衝撃で融解し、所々崩れかかっていた剣腕の刀身が砕ける。
 しかしあくまで一本。
 剣腕はまだあるのだ。
 それに、オオウルにはきちんと対策がある。

暗黒領域ダークゾーン

 オオウルの粒果式ラーニメント
 暗黒を生み出し、自在に操るというそれは広範囲を暗闇状態することもできれば、サイズを縮小させ、武器に付与することもできる。
 勿論、付与するメリットが存在しているからこそ、そうするのだ。

「オラァァッ!!」

「フッ!」

 獰猛な叫びを上げるオオウルに対し、ジークアは軽く息を吐き出すのみ。
 そして、また両者の剣が交差する。
 だが……結果は先程とは違っていた。

 なんと、レヴァトの刀身が消失したのだ。

「なっ?!」

「貰ったァァ!!」

 拙い。そう思っても回避は距離と刃の到達時間を考えるに一か八かの刹那。
 失敗すれば首を刎ねられ、コアを刺し突かれるか、斬られる。
 そうなればジークアは確実に死ぬ。
 
「させるか!!」

 ほんの少し先の未来を承知で受け入れるほど、往生際はお利口な方ではない。
 口腔内にムスペナを収束させ、かなりの火力を秘めたそのエネルギーを下へ向ける。
 口が開かれ、両者の足元へと流れる業火はオオウルを一度後退させるには十分。
 
(レヴァトは……出せるな)

 刀身は消えたが、レヴァト自体に異常はなく、すぐに刀身を展開したジークアは今度は直接斬りかかるのではなく、刀身を斬撃として飛ばした。
 だが、容易く真っ二つにされた。
 その際にジークアは見た。
 胡散したレヴァトの刀身を構成するエネルギー……エナジスが黒に染まった剣腕へ吸い寄せられる瞬間を


(そういうことか。レヴァトが一度消えたのは吸い取ったから……)

「はぁぁ~アッチチ。俺熱いの苦手なのによ~、酷くね?」

「散々敵味方関係なく殺しておいて、よくそんなセリフがほざけるな」

「ハッハッハッハッ!そうだな!どーせどっちか死ぬんだし、いいか!!」

 常軌を逸した言葉の応酬はすぐに幕を下ろし、すぐに戦闘は再開される。
 が、忘れてはいけないのはジークア1人だけではないと言うことだ。

轟拳ライヅ!!」

 雷を迸らせ、けたたましい重低音を鳴らす、ゼウの鉄拳が背後から迫る。

「ほいっと」

 それを視認せず、振り返ることなく剣腕の1本を素早く突き出す形で対応する。
 間一髪で横へ身を捻り、仰け反らして回避するゼウは雷の拳をオオウルの顔へ叩きつけようとする。
 しかし別の剣腕が刀身の腹の部位を利用し、それを防ぐ。

「チッ、やっぱ無理か」

 ゼウも分かってはいた。だからこそ愚痴がその口から零れ落ちる。
 
「無謀はオススメしないぜ?早死にすっからな!」

 剣腕の2本をハサミのように使い、ゼウの首を切断しようと左右から差し迫る。
 更に分離した四振りの剣腕が空を裂きながら左側の斜め上、右側の斜め下から高速回転で向かって来る。
 四方八方と逃げ道が無くなった。
 それでもゼウは慌てる事なく、全身へ雷を迸らせ、なんと。
 ハサミと化した剣腕を両腕の甲で、残る四つの剣腕は磁気を利用して誘導させ、両腕を刺し貫く。

「マジかよ!」

 これには、さしものオオウルも驚く。
 剣腕はコアへ狙いを定め向かっていた為、致命傷を防ぐ為にもそれを逸らす目的で、両腕へと引き寄せたのだ。
 両腕は一時的に使えなくなるが、仲間がいる。もし、これが単独での戦闘だったならこうはしなかった

 合理的に見て形勢への不利は避けられず、自滅の危険性もあるからだ。
 逆に言えば、心情的に仲間を信頼している証でもある。
 そして、その信頼は功を奏した。

灼炎一閃レーヴァス!!」

 ジークアが技銘ネムワを叫ぶ。
 意識をゼウへ向け、且つ剣腕を全て出し尽くしていた状態だった為、反応が遅れてしまった。

「ナ、ニ、……アァァッッ!!!!」

 赤熱した極光が縦に一線引くように。オオウルの身体を右半身と左半身に分かつ。
 その際、オオウルの身体に埋め込まれていたコアの代替装置諸共、分断。







 活動維持が不能となり、そのまま意識を喪失させ仮死状態となってしまった。









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