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2章 魔法使いのウィザード様

嗚呼、私のウィザードさま 「風の魔法使いさんとウィザードさま」

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会社

マリアが席に座って息を吐いて言う
「ふぅ…」

マリアが思い出す


会社の前

レイとマリアが現れレイが言う
『はい 到着!マリア 時間は間に合いそうか?』

マリアが時計を確認してから言う
『はい 大丈夫です!ウィザード様 有難う御座いました!』

レイが微笑して言う
『礼には及ばないよ!それじゃ またな!マリア!』

マリアが微笑して言う
『はい!』

マリアが会社へ向かい数歩歩いてから振り返るとレイは居なくなっている マリアが苦笑し会社へ入る


マリアが思う
(時間に追われていたせいで なんだか バタバタしている内に終わってしまったけど 大灯魔台の灯魔儀式は無事成功したし あの様子なら… ”お母さんのウィザード様”は不認定になんて ならないだろうし…)

マリアが書類を探りながら思う
(他のウィザード様には申し訳ないけど ちょっと安心… でも 一応)

マリアが書類を用意しながら思う
(家に帰ったら お母さんに確認しておこうかな?)

マリアが作業の手を止めて言う
「あ、そう言えば…」

マリアが思う
(今日はお昼休みも返上で 仕事に追われていたから いつもの中央公園でマキに会えなかったけど… マキ… 大丈夫かな…)

マリアが考えながら思う
(”私のウィザード様”は それこそ 魔法使いになっても 大灯魔台の灯魔儀式をこなしちゃうような人だから 私には マキの苦労が分からない… もしかしたら お母さんなら分かるかな…?あ、でも 待って?ウィザード様だって 元から凄かったって事はないよね?そうそう あの初めての灯魔台の灯魔儀式の時だって…)

課長が叫ぶ
「マリア君っ!」

マリアが衝撃を受け慌てて言う
「は、はいっ 課長っ!」

課長がマリアに目を光らせる

マリアが冷や汗を掻き 作業をしながら思う
(い、今は しっかり 仕事をしよう… 課長の目が…)


退社時

マリアが会社を出て来て言う
「はぁ~ 何とか終わった… すっかり 課長の目が 厳しくなってきたなぁ…」

マリアが思う
(まぁ… 自業自得だけど…)

レイが言う
「マリアー!」

マリアが横を向くとレイが到着し言う
「マリア お疲れ様!今日は大変だっただろう!?」

マリアが苦笑して言う
「お疲れ様です ウィザード様 私より ウィザード様の方が 大変だったんじゃないですか?あっちこっちへ 飛び回って?」

レイが言う
「大丈夫だよ マリア!俺は風の魔法使いだもん!移動は魔法一筋で通してるから!空腹で死ぬ寸前でも 飛べるんだぜ!」

マリアが衝撃を受けて思う
(う… その節は 大変失礼致しました…)

レイが言う
「って事で マリア!?何処かに用があるなら 連れて行ってやるし 無いなら家に帰ろう!」

マリアが反応して言う
「あ…」

マリアが思う
(何処かに行きたいと言えば マキの事が気になるから あのお部屋に行ってみたいけど… …流石にそれは)

レイが疑問して言う
「ん?どうした?何処か行きたい所があるのか?マリア?」

マリアが言う
「い… いいえ!?ありません!家に帰るつもりです」

レイが言う
「そうか!それじゃ 帰るぞ!マリア!」

レイがマリアを包む マリアが思う
(マキだって困るだろうし 一応奉者だからって 簡単に訪ねて良い場所じゃないよね?)

レイとマリアが風に消える


自宅 前

レイとマリアが現れる

レイが言う
「マリアー!」

レイがマリアに抱き付く マリアが苦笑して思う
(きっと ウィザード様にとっては これが目的なんだろうなぁ… だから 私の移動のお世話をしてくれて… って そうじゃ無くて 一応 聞いておこうと 思ったんだった!)

マリアが言う
「あ、あの ウィザード様 ちょっと お伺いしたい事が!」

レイが言う
「なんだ?マリア?何でも訊いてくれ!」

マリアが苦笑して言う
「実は 私の友人が 奉者になったのですが」

レイが言う
「そうなのか!マリアの周りは 奉者が一杯だな?」

マリアが思う
(言われてみればそうかも?…て、今は そうじゃなくて!)

マリアが言う
「は、はい… それでですね?それで、彼女のウィザード様が 先日初めて 灯魔台の灯魔儀式を行ったそうなんですが」

レイが言う
「ああ!懐かしいな!俺とマリアも そんな頃があったよな!」

マリアが反応して言う
「あ!そうです!その時!」

レイが言う
「うんうん!マリアは 緊張してたみたいだったな!でも心配ないぜ!俺は最強のウィザードだったから!」

マリアが衝撃を受けつつ言う
「そ、そうですね!?お陰様で 私は灯魔台の灯魔儀式が 実は結構大変な事だと言う事を 知らなかったのですが!?」

レイが言う
「そうか!まぁ 俺にとっては 大した事無いよ!実力の5割も出せば十分釣りが来る!」

マリアが言う
「そ、そうみたいですね …って そうではなくて!」

レイが言う
「うん!”そうではなくて”?」

マリアが言う
「あの時 私は緊張していましたが ウィザード様も 少しは緊張していらっしゃいましたよね?」

レイが言う
「え?俺が緊張してた?そんな訳無いだろう?確かに一番丁寧にやった灯魔儀式だったけど 全然緊張なんか してなかったよ?」

マリアが言う
「え?そうですか?でも…」

マリアが思う
(間違いなく あの時は いつもと違ったのに… 帰って来てからは いつもの マリアー!だったけど…)

レイが言う
「あ!でも そう言えば あの時 俺は あの部屋のドアを出る前から ウィザードらしくしてたんだよな?」

マリアが言う
「そ、そうですよね!やっぱり 最初の灯魔儀式は緊張しますよね?それで 私の友人のウィザード様は とても苦労されたそうなんですが」

マリアが微笑して思う
(そうよね?やっぱり いくらウィザード様でも!あの日は ウィザード様だって あのお部屋のドアを出る前から 神聖なるウィザード様だった!私の記憶に間違いは無いわ!)

レイが言う
「ああ 俺も あの灯魔儀式の時は 苦労はしなかったけど それ以上に 色々考えててさ?そう言う意味では 精神的に安定していなくて 大変だったな」

マリアが疑問して言う
「精神的に安定しない程… と言う事は?」

マリアが思う
(このウィザード様が 一体どれ程の事を考えて?)

レイが言う
「ああ!やっぱ ”あの部屋の中では 堅苦しくしないで行くべきだ” ってさ!」

マリアが衝撃を受け言う
「は?」

レイが言う
「だってさ?部屋のドアの外や エレベータの中にまで 監視やら防犯やらのカメラが付いてるんだぜ?何処だったら 俺 マリアと仲良くしていられるかなーってさ?俺は 最初の灯魔儀式の時は それを一生懸命に考えていたよ!」

マリアが衝撃を受けて言う
「なっ!?」

レイが言う
「それで 儀式が終わる頃には 結論が出てさ!マリアの為に 外ではウィザードらしく!部屋の中では 仲良くしようって!」

マリアが思う
(マキや ”マキのウィザード様”が 必死に灯魔儀式を終えたと言う 最初の灯魔儀式の最中 ウィザード様が考えていた事は そんな事だったなんて…っ!?)

レイがマリアを抱き締めて言う
「けどさー!結局 ウィザードじゃない 今の方が 何処でもマリアと仲良く出来て 俺 凄く嬉しいよ!今となっては やっぱり マリアが間違えてでも 俺に認定票を入れなった事は 正しかったな!」

マリアが衝撃を受け レイを剥がしながら言う
「な!何言ってるんですかっ!ウィザード様っ!?」

レイがマリアから離れて言う
「って事で!俺 帰るな!マリア!」

マリアが一瞬驚いて言う
「え?」

レイが言う
「マリア!今日も お疲れ様!お休み!」

マリアが慌てて言う
「あっ は、はいっ!お疲れ様で… あっ!今日は本当に 有難う御座いましたっ!」

レイが言う
「礼には及ばないよ!またな!マリア!」

レイが風に消える

マリアが呆気に取られた後 レイの消えた場所を見て言う
「大灯魔台の灯魔儀式を こっそりお手伝いしたりして… ちょっと見直したと思ったのに」

マリアが思う
(相変わらず あの人は…)

北風が吹き抜ける マリアが身を震わせて言う
「わ、さ、寒い 早く中に入ろう」

マリアが玄関ドアの鍵を開けながら言う
「そう言えば お母さん帰って来てるかな?」

マリアが玄関ドアを開け言う
「ただいまー?」


翌朝

マリアが玄関を出てあくびをしながら言う
「はわ… 眠い… 昨日はお母さん 帰りが遅くて… 気になって起きてたら 遅くなっちゃった でも…」

マリアが微笑して思う
(やっぱり ”お母さんのウィザード様”は 不認定じゃなかった… それ所か)

マリアが苦笑して言う
「史上初の 不認定票0票って… きっと 町の管轄にある灯魔台の灯魔儀式も 完璧なんだろうなぁ…」

マリアが思う
(流石 お母さんと ”お母さんのウィザード様”)

マリアが微笑する レイが言う
「マリアー!」

マリアが一瞬呆気に取られると レイが抱き付いて来て言う
「お早う!マリア!今日は少し暖かいな!」

マリアが苦笑して言う
「え?あ… そう言えばそうですね?ちょっと寝不足気味なせいで ボーっとしちゃってました」

レイが言う
「そうか!マリアは いつも 忙しいからな!」

マリアが苦笑して言う
「ウィザード様は 今日もお元気そうですね… あ、そう言えば ウィザード様?」

レイが言う
「ん?何だ?マリア?」

マリアが微笑して言う
「”お母さんのウィザード様” …ウィザード様の ”先輩”は 不認定では無かったですよ?ご存知でしたか?」

レイが一瞬呆気に取られた後 笑って言う
「あっはははっ 何だ 先輩 今回も 引退 逃しちゃったか!?」

マリアが呆気に取られて言う
「え?引退?」

レイが言う
「まぁ 当然だよな?昨日は 結局 先輩1人で 合計9回の灯魔を成功させたんだから!誰も不認定票なんか 入れられないよな!」

マリアが一瞬呆気に取られた後 驚いて言う
「きゅ、9回も!?」

マリアがハッとして思う
(あ… でも よく考えたら その前の灯魔儀式の時は…)

マリアが言う
「でも、その前の時は ウィザード様も1人だけ 合計9回の灯魔をやったんですよね?」

マリアが思う
(それなのに 私が…)

レイが言う
「ああ、回数で言うなら確かにそうだけどさ?俺の時は 殆どの威力は 先に先輩が抑えておいてくれたから 俺は最後にちょっと手を貸した位だよ」

マリアが言う
「そ、そうだったんですか…?」

レイが言う
「うん!俺 思うけど 魔力で言うなら俺がNo1で 精神力で言うなら先輩がNo1かな?そう言えば マリアは知ってるか?マリアのお母さんは あの灯魔儀式の時 1番の控え出口で 見守ってたんだぜ?」

マリアが驚いて言う
「え?それって…っ」

マリアが思う
(私とウィザード様の時も 1番の控え出口 1番の控え室だった… つまり!)

レイが言う
「先輩 相変わらず あの法衣の色だから マリア分からないと思ってさ?それとも お母さんに聞いてたか?」

マリアが言う
「い、いえっ 知りませんでした」

レイが言う
「そうか!なら一応伝えておいて正解だったな!これで安心だろう  マリア?今更かもしれないけど あの7人のウィザードの中じゃ マリアの”お母さんのウィザード様”が ダントツで最強のウィザードだよ!」

マリアが一瞬驚いてから微笑する レイが微笑する


会社

マリアが書類を作りつつ思い出す

レイが言う
『そうか!なら一応伝えておいて正解だったな!これで安心だろう?マリア!今更かもしれないけど あの7人のウィザードの中じゃ マリアの”お母さんのウィザード様”が ダントツで最強のウィザードだよ!』

マリアが思う
(”お母さんのウィザードさま” …やっぱり凄いウィザード様だったんだ そうよね?だって あの14年前の大灯魔台でも… あのウィザードさまだけ)

マリアがふと思い出して思う
(あ、でも… お母さんは あのウィザードさまの 苦労や苦しみを知っている様子だった… …私とは違うんだ ”私のウィザード様”は 最初から 最強のウィザードで 私は ウィザード様とは 苦労も苦しみも…)

マリアがハッとして 衝撃を受け思い出して言う
「あ… そう言えば…」

マリアが思う
(別の意味で 苦労とか 苦しみとかあった気が… 何と言っても 私のせいで 危うく ウィザード様を が… が…)

マリアが言う
「餓死 させちゃう所だったし… はぁ…」

課長が後ろに立っていて言う
「マリア君っ!!」

マリアが驚いて思わず立ち上がって言う
「は、はいっ!課長っ!!」

課長が言う
「エメド商社の専務が 来社されたそうだ しっかり商談を頼むぞ!?くれぐれも 商談の最中にはっ!別の事を考える事は 無いようにっ!!」

マリアが言う
「は、はいっ すみません… それでは 行ってきます…」

マリアが資料を持って表情を困らせつつ立ち去る

課長が溜息を吐いて言う
「はぁ… まったく いつも 何考えているのだか… あんな状態で 仕事が出来るのだから 大した者だ…」

課長が立ち去る


中央公園

マリアがやって来て気付き 微笑して呼びながら向かう
「マキー!」

マキが顔を向け微笑して言う
「マリア!」

マリアがマキの隣に座りながら言う
「お疲れ様!」

マキが言う
「お疲れ様!…良かった マリア今日も来ないのかなー?って ちょっと寂しいなって 思っていた所だったんだ?」

マリアが言う
「え?あ、ありがとう!それに ごめんね?商談の影響で お昼休憩が少し遅れちゃって… それから 昨日は月曜日で…」

マキが言う
「うん、そうだよね?昨日は絶対休暇禁止の月曜日で… リナだけじゃなくて 私まで居なくなっちゃったから マリア1人で大変なんだよね?お昼休憩も取れないくらい?ごめんね マリア」

マリアが言う
「あ、ううんっ 違うの!えーと… 相変わらず 月曜日が忙しいのは変わらないけどね?それだけじゃなくて 午後にお昼休憩を回して 大灯魔台の灯魔儀式を見に行っていて」

マキが言う
「え?大灯魔台の灯魔儀式を?…でも、マリアのウィザード様は…」

マリアが苦笑して言う
「うん、”私のウィザード様”は 私のせいで 参加資格を失ってしまったけど… 儀式には 私の”お母さんのウィザード様”も参加していて それに… ウィザード様が!」

マリアがハッとして思う
(あ…っ 言わないで置こう… ”私のウィザード様”は 魔法使いの状態でありながら 大灯魔台の灯魔を手伝った だなんて… 今のマキと ”マキのウィザード様”には…)

マリアが気を取り直して言う
「…あ、その …やっぱり 参加資格はなくても 見に行くって!そう言うから わ、私も 一緒に連れて行って貰ったの!」

マキが言う
「そうだったんだ… そうだよね?今回の大灯魔台神館は レーツ町だったもんね 1時間の休憩じゃ とても 行って見て来るなんて 出来ないもん それこそ 魔法で行かないと」

マリアが衝撃を受けて言う
「え!?レーツ町だったのっ!?」

マリアが思う
(し、知らなかった…)

マキが言う
「そうだよ 私も 後々の為にも 見て置きたかったんだけど レーツ町には この町から行ったんじゃ 片道だけでも3時間は掛かるから」

マリアが言う
「そ、そうだね… あ!それなら マキも ”マキのウィザード様”に 魔法で連れて行ってもらったら 良かったんじゃない?」

マキが言う
「私のウィザード様は 元々火の魔法使いだったし ウィザードになっても まだ 風を操る事は出来ないって言ってた 移動魔法って 風魔法の上級魔法でしょ?」

マリアが衝撃を受けて思う
(えっ!?そうだったの!?)

マキが言う
「ウィザードでも 風魔法で移動出来る人は かなり上位のウィザード様じゃないかな?多分 法魔帯の色で言っても 真ん中より上とか?私のウィザード様は まだ 黒と言える位 暗い色の法魔帯だし… きっと、まだまだじゃないかな」

マリアが苦笑して言う
「そ、そうなんだ… しょ、しょうがないよね!?まだっ ウィザード様に なったばっかりだもん!?」

マリアが思う
(あ~ 言えない 私のウィザード様は ウィザードになった その時 から 真っ白の法魔帯でした なんて…)

マリアが顔を逸らして思う
(…しかも 法魔帯って言葉すら 私 知らなかったし…)

マキが言う
「そうだよね?だから 灯魔儀式も ギリギリでもしょうがない それが修行なんだ!って 思う様にしてみた!」

マリアが慌てて言う
「そ、そうだよね!うんっ!そうだよ!マキ!」

マキが言う
「うん!あ、そうだ マリア 聞いても良いかな?マリアのウィザード様は 何色の法魔帯を使っているの?」

マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?」

マキが苦笑して言う
「法魔帯の切り替えって 奉者が管理するでしょう?講習では 法魔帯が魔力に耐えられなくなった時って 習うけどさ?具体的に どんな感じなのかなぁって?それって目で見て ハッキリと分かるもの?」

マリアが慌てて言う
「えっ!?えーと!?えーとっ!?」

マリアが思う
(あああっ ど、どうしようっ!?元々 法魔帯って言葉すら知らなかった私にっ!?しかもっ 白色以上のは無いって 確かお母さんが言ってたっ だから どの道私はその管理をしなくて済むし!?)

マリアが顔を逸らして言う
「そ、そもそも 私もウィザード様も 奉者やウィザードじゃないし…」

マリアがハッとして気付いて言う
「あ、あのねっ!?マキ 私 ほら ちょっとの間しか 奉者してなかったから!だから その切り替え時期には 当らなかったんだ!?」

マリアがホッとして思う
(良かったっ!我ながら ナイスフォロー!)

マキが気付いて言う
「あ… そっか… ごめん マリア 失礼な事聞いちゃったね」

マリアが言う
「そ、そんな事無いよ 大丈夫!それに わ… 私は… 今も ”私のウィザード様”と 上手くやっているから!」

マキが言う
「そっか… そうだね うん マリア 今 とっても元気だし マリアの愛しのウィザード様と 上手く行っているんだね?」

マリアが衝撃を受けて言う
「え!?ち、違うよっ!?そんなっ!私はっ!?」

マキが軽く笑って言う
「マリアって やっぱり 相変わらずだよね?ふふ …羨ましいなぁ」

マリアが顔を赤らめつつ言う
「う、羨ましいって!?こっちは 私の間違えで ウィザード様がウィザードじゃ なくなっちゃって!」

マリアが思い出す


レイがマリアを抱き締めて言う
『けどさー!結局 ウィザードじゃない 今の方が 何処でもマリアと仲良く出来て 俺 凄く嬉しいよ!今となっては やっぱり マリアが間違えてでも 俺に認定票入れなった事は 正しかったな!』 

マリアが衝撃を受け レイを剥がしながら言う
『な!何言ってるんですかっ!ウィザード様っ!?』


マリアが呆れて言う
「…そう言えば ウィザード様 本人も 今の方が嬉しいとか… あの間違えは 正解だったとかって…」

マリアが溜息を吐いて思う
(でも… よく考えたら 私も…)

マリアがハッとして慌てて言う
「ち、違っ!違うんだから!大体 そんなのは駄目よっ!?何言ってるの!?私はっ!?」

マキが考えていて言う
「う~ん…」

マリアがハッとして言う
「マ、マキ…?」

マキがハッとして言う
「あ、ごめん マリア …でも そっか そうだよね?あの会社の仕事みたいに 何でも マリアに頼ってばかりじゃ駄目だよね?もっと 自分で…」

マリアが呆気に取られ表情を落としてからハッとして言う
「あ、そうだっ マキ!それじゃ 私 聞いておいてあげるよ!」

マキが言う
「え?」

マリアが言う
「私のお母さんに!だって 私のお母さんは 奉者として 私やマキの 大先輩だよ!?」

マキが気付いて言う
「あっ そっか!…で、でも 良いのかな?マリア?」

マリアが言う
「大丈夫だよ!聞いて置く!私も… ちょっとは気になるから!」


会社

マリアが思う
(…と 思わずマキに あー言っちゃったけど よく考えたら 私 お母さんと奉者の話は 余りした事が無いんだった…)

マリアが書類を手に取って思う
(あ、でも 昨夜は…)

マリアが思い出す


マリアがベッドの中で 目を閉じていた状態から 目を開いて思う
《だ、駄目…っ やっぱり 気になって眠れない…っ あの灯魔儀式の様子からして ”お母さんのウィザード様”が 不認定になるなんて事 無いと思うけど… でも 私が見たのは 最後の2回だけだったし もしかしたら それまでの間に 何かあったとか…!?》

マリアが起き上がって時計を見てから言う
『それに いつもならもう 帰っている時間なのに… やっぱり何かあったのかな…?はぁ… 心配』

玄関からソニアの声が聞こえる
『ただいまー』

マリアがハッとして言う
『あっ!お母さんっ!』

マリアがベッドを出る


玄関にソニアが上がる マリアがやって来て言う
『お帰りなさい お母さん』

ソニアが言う
『あら マリア まだ起きてたのね?最近は 早寝の習慣が付いて 奉者らしくなったな~?なんて 思っていたのに?』

マリアが苦笑して言う
『で、でも、私は 今は休業中だし』

ソニアが言う
『ああ、そうだったわね でも 魔法使いになった彼とも まだ続いているのでしょう?だったら』

マリアが慌てて言う
『そ、それはっ 別にっ 続いているって言ってもっ お、お友達としてっ!?』

ソニアが軽く笑って言う
『うっふふっ そう?なら その お友達の魔法使いさんに会ったら 伝えておいて頂戴?お陰様で 良い評価を頂けましたって』

マリアが疑問して言う
『え?良い評価を?…て?もしかして!?』

ソニアが微笑して言う
『史上初だって 奉者協会の本部でも 話題になっていたわ 不認定票が0票のウィザード様だって』

マリアが喜んで言う
『お母さんのウィザード様が!?』

ソニアが微笑して言う
『ええ』

マリアが微笑して言う
『良かった…』


マリアが思う
(あ… そっか?昨夜みたいな あんな感じで 普通に聞いたら良いかもしれない …よしっ それじゃ 今日家に帰ったら 早速!)

マリアが書類をめくって思う
(お母さんからの伝言は ちゃんと ”私のウィザード様”にお伝えしたんだったし その事を切欠に 話してみよう)

マリアが言う
「うん!」

専務が言う
「はい、如何でしょうか?そちらの条件で」

マリアがハッとして慌てて書類を見ながら言う
「え?え?え!?あっ!えーとぉ…っ」

専務が言う
「午前中の商談を元に 急いで仕上げてきましたので 少々見苦しい表で申し訳ないのですが そちらが 我が社の…」

マリアが慌てて書類を見て言う
「は、は、はいっ!えーと そ、そうですね!」

マリアが思う
(い、いけないっ!今は仕事中だった!…課長にも キツく言われたしっ 今は 奉者やウィザード様の事は すっきり忘れて この仕事に専念しよう!そうよっ!私は今 全力で この仕事をするわっ!)

マリアが書類を見た状態で 頷いてから 気を取り直して顔を正面へ向け衝撃を受けて言う
「なっ!?」

マリアの視線の先 窓の外にレイが居て 笑顔を向けている

マリアが衝撃を受けて思う
(ウィ、ウィザード様っ!!)

マリアが書類へ視線を戻して思う
(なっ 何で!こんな時にそんな所にっ!?これじゃ また…っ)

マリアがふと思い出して思う
(あっ… もしかして?以前の時の様に また 私を心配して…?でも)

マリアが視線を専務へ向けて思う
(この人は別に… あの社長の様な 心配は要らない商談相手だから …ですから)

マリアが微笑して言う
「大丈夫ですよ?」

専務が言う
「え?本当ですか?助かります!」

マリアが衝撃を受けて言う
「へっ!?」

専務が言う
「いやぁ~ 中々そうと言って下さる会社はありませんでして この話は 今まで ずっと流れていた話だったのです!しかし 我が社はこの商品に 全力を投入していましてね?自社の事をこの様に言うのも お恥ずかしい所ですが こちらに関しましては 他社には絶対に引けは取らないと!自信を持っているんです!」

マリアが呆気に取られた後 慌てて言う
「あ、あ~っ そのっ… い、今のは…」

マリアが窓の外を見て驚く レイは居ない

専務が言う
「ええ!今の言葉は しっかりと 証明して見せると!どうか そう 信じて下さい!マリアさん!」

マリアが専務を見た後 微笑して頷いて言う
「は、はい!分かりました!」

マリアが思う
(正直 全然話を聞いていなかったし この表の数字からしたら 難しいと思うけど… でも、この人は)

マリアが専務を見てから思う
(私、信じられると思う!)

マリアが言う
「上司には 私から説得しておきます どうか 頑張って下さい!宜しくお願いします!」

専務が言う
「はい!こちらこそ 宜しくお願いします!では早速 社へ戻って 手配を行いますので!」

マリアが言う
「はい!」

専務が意気揚々と出て行く

マリアが窓の外を見てから 苦笑して言う
「もう… これで失敗しちゃったら ウィザード様のせいですからね?」

マリアが軽く笑ってから応接室を出て行く


課長が叫ぶ
「マリア君!!」

マリアが言う
「はいっ!課長!」

課長が書類をデスクに叩き付けて言う
「この様な数字を見せられて置きながらっ この商談を成立させるとはっ!?一体 何を考えているのかねっ!?」

マリアが衝撃を受けつつ言う
「うっ… し、しかしっ 専務さんは 自信を持っていらっしゃいました!こちらの商品には 全力を投入していると!確かに数字的には厳しい所ですがっ きっと!」

課長が言う
「商談相手の言葉に惑わされて 契約を行うなどっ もっとも 初歩的なミスだろう!?マリア君!また君は 商談中に 別の事を 考えていたのでは ないのかね!?」

マリアが衝撃を受ける


退社時

マリアが会社から出て来て言う
「ふぅ… 課長にはやっぱり 怒られちゃったけど 何とか 商談の破棄は免れたし 後はもう… あの専務さんの言葉に 賭けるしかないなぁ…」

マリアが思う
(この商談が失敗に終わったら… 私 もしかしたらクビかもしれない でも しょうがない もし… クビになったら… なったで 私は…)

レイが言う
「マリアー!」

マリアが思う
(ウィザード様と… って!?)

マリアが慌てて言う
「な、何考えてるんですかっ!?私 ウィザード様と そんな事なんてっ!するつもりはありませんからっ!」

マリアがハッとする レイが疑問して言う
「え?そうなのか?」

マリアが衝撃を受けて言う
「はっ!?ウィ、ウィザード様っ!?」

レイが言う
「うん!お疲れ様!マリア!」

マリアが言う
「お、お疲れ様です ウィザード様」

マリアが思う
(って… 言っても ウィザード様は ”お疲れ様” なのかしら?…大体 今日だって…)

マリアが言う
「そ、そう言えば ウィザード様 今日…」

レイが言う
「うん、今日は何かあるのか?マリア 明日は休みだろう?それじゃ 今日はこれから… 友人との食事の約束でもあるのか?」

マリアが苦笑して言う
「そう言えば 以前は そんな感じでしたが その友人の2人とも ちょっと 遠くなっちゃって…」

レイが言う
「そうなのか?遠いのなら 俺が連れて行ってやるぞ?」

マリアが苦笑して言う
「いえ、遠いと言っても 物理的な距離ではなくて… まぁ 1人はそうですけど そう言う誘いをする機会が 無くなってしまったと言う 意味で…」

レイが言う
「そうか じゃぁ 今日も この後は 家に帰るのか?」

マリアが言う
「はい そのつもりです」

レイが言う
「なら そっちは 俺と一緒でも良いよな?」

マリアが疑問して言う
「え?あ、はい…?」

レイが言う
「よしっ じゃ 帰るぞ!マリア!」

マリアが言う
「はい…?」

レイがマリアを包み 風に消える


自宅 前

レイとマリアが到着する レイが言う
「はい 到着!マリアー!」

レイがマリアに抱き付く マリアが溜息を吐いてから 思い出して言う
「い、いつも有難う御座います… そう言えば 今日 奉者の友人に聞いたのですが この移動魔法って 風魔法の中でも とっても難しい魔法だそうですね?」

レイが言う
「ん?ああ そうかもな?けど、慣れちゃえばどうって事無いよ!ウィザードなら これ位出来なきゃ カッコ悪いぜ?」

マリアが苦笑して言う
「先日ウィザードになった その友人のウィザード様は まだ風を操る事が出来ないので 移動魔法は出来ないと言っていました …あ、でも ウィザード様は そうなる以前から 風の魔法使いさん だったので 出来たのでしょうか?」

レイが言う
「ああ!そうかもな!俺は元々 ウィザードになるつもりなんて 無かったからさ!便利な風魔法を ただ使ってただけだよ~?」

レイがマリアに甘える マリアがげっそりして思う
(便利だから 使ってただけなんだ… そうなんだ… 確かに便利だけど)

マリアがふと 窓の外に居たレイの事を思い出して言う
「あ、ウィザード様 今日」

レイが言う
「うん?今日が何だ?マリア?」

マリアが言う
「お昼過ぎに 会社の窓の外にいらっしゃいましたよね?」

レイが言う
「そうそう!それこそ 風魔法の移動の途中でさ?たまたま 通り掛ったから  マリア居るかなーって?」

マリアが苦笑して言う
「もぅ… ビックリしちゃったじゃないですか?お陰で ちょっとリスクのある商談を 成立させちゃいましたよ?」

レイが言う
「ん?そうなのか?大丈夫だよ!マリアが良いと思ったんなら きっと上手く行くって!」

マリアが苦笑して言う
「ビジネスは そんなに簡単なものじゃ ないですけど… 今はもう そうなるようにって 信じて待つだけです」

レイが言う
「うん!ビジネスなんて 俺には分からないけど  何にしたって 相手は同じ人間だろう!?そいつを 信じるかどうかって事じゃないか!」

マリアが驚き呆気に取られる

レイが言う
「それに 人間が出来る事なんて 大した事無いよ 何も心配する事 無いって!」

マリアが気付いてから苦笑して言う
「…確かにそうですね?」

マリアが思う
(そっか… 私たちにとっては大切な事でも 万物を動かせるほどの ウィザード様たちからしてみれば 本当に大した事じゃないんだろうな …お仕事なんて)

マリアがふと思い出して言う
「あ、そう言えば ウィザード様!?ウィザード様は 今 何か…」

レイが思い出して言う
「あっ そうだった!それじゃ!」

レイが離れる マリアが疑問して言う
「え?」

レイが言う
「うっかり忘れる所だったよ!ありがとな マリア!助かった!」

マリアが言う
「は?…え?え?」

レイが言う
「お仕事お疲れ様!明日は ゆっくり休んでな!?お休み マリア!」

レイが風に消える マリアが言う
「え!?あっ!ウィザード様っ!?」

マリアが呆気に取られて言う
「きょ… 今日もまた 消えちゃった…」

マリアが疑問して思う
(何か思い出して 急いでいたみたいだけど…)

マリアがふと思い出して言う
「そう言えば…」

マリアが玄関ドアの鍵を開けながら思う
(ウィザード様って いつも 急いで消えてしまう気がする… 何でだろう?…もしかして)

マリアが玄関ドアを開けながら言う
「やっぱり お仕事でもしているのかな?」

マリアが思う
(丁度 聞こうと思ったのに… まぁ いっか また明日で…)

マリアがドアを閉めながら言う
「ただいまー」

玄関ドアが閉まる


玄関ドアに鍵を掛けつつマリアが思う
(と言っても 返事は無いよね お母さんは9時頃まで戻らないし 昨日みたいに もっと遅く…)

遠くから ソニアの声がする
「お帰りなさい マリア」

マリアが驚いて言う
「え?お母さん?」

マリアが家に上がりキッチンへ向かいながら思う
(あれ?何でだろう?まだ9時所か 6時過ぎなのに… それに)

マリアがキッチンへ入りながら言う
「良い匂い… もしかして?」

ソニアが料理を作りながら振り返って言う
「ええ トマトの煮込みマリネ 今日は久し振りに マリアの大好物を作ってみようかと思って もうすぐ出来るから」

マリアが言う
「わぁ 久し振り!時間の掛かる料理なのに 今日は随分早かったんだね?お母さん」

ソニアが言う
「あら やっぱり気付いていなかったのね?お母さん今日は1日お休みで 今朝マリアが家を出る時も居たけれど 貴方 ”行って来ます” も言わず出て行っちゃったから お母さんも声を掛けられなくって」

マリアが驚いて言う
「え?あっ そうだったんだ?まさか お母さんが居るとは思わなかったから つい、いつもの調子で出て行っちゃった」

マリアが思う
(それに今日は寝不足だったから ボーっとしちゃってたし…)

ソニアが言う
「そうね いつも お母さん朝早くに出て行ってしまうから しょうがないわね?」

マリアが言う
「何だか久し振り お手伝いするね!」

ソニアが言う
「ええ お願い」


マリアが料理をよそりながら言う
「そう言えば お母さんが お休みなんて 久し振りだよね?昨日は…」

ソニアが食事の仕度をしながら言う
「ええ 昨日は大灯魔台の灯魔儀式だったから 今日は1日ゆっくり休むって たまには 君も休みを取れって言われて それで」

マリアが微笑して言う
「”お母さんのウィザード様” 私、少ししかお話しなかったけど とっても ウィザード様らしい方だよね?なんて言うか 本当に見透かされている感じ… 雰囲気も 凄く落ち着いているし」

マリアが思う
(でも お陰で 凄く緊張したけど…)

ソニアが苦笑して言う
「そうね 本当に」

マリアが思う
(きっと ”私のウィザード様”とは まったく違うんだろうなぁ… あ、でも)

マリアが言う
「あ、でもね? ”私のウィザード様”は ”お母さんのウィザード様”の事 先輩って呼んだりして 何だかとっても仲が良さそうなんだよ?あ、それにね!お母さん知ってた?前回の灯魔儀式の時 あの最後の灯魔は 殆ど ”私のウィザード様” と ”お母さんのウィザード様”の2人だけで やったんだって!」

ソニアが一瞬驚き動作を止める

マリアが言う
「それで ”私のウィザード様”は 風の魔法が得意で だから 灯魔を受け止める事が出来たけど ”お母さんのウィザード様”は 大変だったみたい それでも そう言う事を何も言わなかったって 巡礼者の人たちに不認定票を入れられる事に対しても 何も言わない… それが とってもカッコ良いって ”私のウィザード様”ちょっと 焼き餅焼いていたみたいなの!うふふふっ」

ソニアが苦笑して言う
「…そうだったの」

マリアが料理を運びながら言う
「それに今回も 前回の時は ”私のウィザード様”が 結果として 1人で合計9回の灯魔をしたけど 9灯目の灯魔の威力は ”先輩”が 殆ど押さえてくれてたから ”俺はちょっと手を貸しただけだ”って 今回は 先輩が1人で9回の灯魔をしたって言ってたよ?やっぱり ”お母さんのウィザード様”凄いんだね?不認定票0票だし… あ、でもそれは 奉者のお母さんの お陰でもあるのかなぁ?」

ソニアが微笑して言う
「お母さんは そう言う事は何も知らないし ”お母さんのウィザード様” は ”マリアのウィザード様”と違って 何も仰らない方だけど 昨日の灯魔儀式が終わってすぐ 控え出口に戻った時にね?仰っていたわ」

マリアが振り返って言う
「え?何て?」

ソニアが言う
「”また優秀な後輩に助けられた”って?」

マリアが驚く ソニアが微笑して言う
「ホント… あの人は何も仰って下さらないから お母さんは分からない事も多いけれど… でも それで良いの 一緒に居れば …分かるから」

マリアが言葉を失う

ソニアが微笑して言う
「さ、食べましょう?マリア」

アリアが微笑して言う
「うん!いただきます!」


翌朝

マリアがベッドから起きて言う
「ふぅ… 久し振りに ゆっくり寝た…って えっ!?」

マリアが時計を見て驚き 苦笑して言う
「もう お昼…っ」

マリアが部屋を出て言う
「でも 今日は 久し振りの休日だし… あっ」

マリアが思う
(そう言えば お母さんも 今日も休みって言ってた お母さんが2連休なんて… 今まであったかなって位?…そっか  それで…  それだけずっと一緒にいたから…)

マリアが思い出す


ソニアが微笑して言う
『ホント… あの人は何も仰って下さらないから お母さんは分からない事も多いけれど… でも それで良いの 一緒に居れば …分かるから』


マリアが苦笑して言う
「凄いなぁ… 私とウィザード様じゃ 全然そんな… って!?」

マリアが思う
(違う違う!私は別に!”私のウィザード様”と そんな風になりたいだなんてっ!?大体 あの人 ”お母さんのウィザード様”と違って一杯仰るけど!でも それ以上に 何考えているんだか 分からな…っ!)

マリアが言う
「あ… えっと でも… 相変わらず ”マリアの為に” なのかなぁ?だとしたら 私が…」

マリアが思う
(でも 私は… 私も ちょっとは ウィザード様の事 知りたいかも…?お母さんは ”お母さんのウィザード様”の事 どれ位知っているんだろう?…でも 何も言ってくれないんじゃ 分からないような気もするけど…)

マリアがリビングに入ると ソニアが身支度を整えた状態で振り向いて言う
「あら マリア お早う …と言うには もう お昼ね?」

マリアが苦笑して言う
「う、うん ちょっと 寝過ぎちゃった お母さん 何処かへ行くの?今日もお休みだって?」

ソニアが言う
「ええ 休むようにと言われているけど やっぱりちょっと 様子を見に行こうと思って… 何も無ければ 久し振りに ショッピングにでも 行こうかなってね?」

マリアが言う
「あぁ そうなんだ?お母さん たった2日なのに ウィザードさまの事 気になっちゃうんだね?」

ソニアが苦笑して言う
「そうね 何かご不便は無いかしら?って …外出する予定もないし 特にこれと言って無いでしょうけど」

マリアが言う
「それじゃ ショッピング決定かな?」

ソニアが軽く笑って言う
「ええ きっとね?たまには 良いかもしれないわ」

マリアが言う
「うん!行ってらっしゃい!お母さん!」

ソニアが言う
「はい、行って来ます …あ、マリア 悪いけど 玄関の鍵を 閉めてもらっても良いかしら?」

マリアが言う
「うん 分かった」

ソニアが玄関のドアを開ける マリアがそれを見つつ ふと思う
(あ… そう言えば… ”私のウィザード様”は 今日は どうしているのかな?)

ソニアがドアを出る

マリアが何と無しに見つめながら思う
(いつもなら そのドアを出ると マリアー!って… はっ!?)

マリアが慌てて ソニアへ言う
「お、お母さんっ!気を付けてっ!!」

ソニアがハイヤーへ向かっていた所 一瞬驚いて 振り返って言う
「え?どうしたの?マリア?」

マリアがハッとして 慌てて言う
「あ、いやっ その…っ!」

マリアが思う
(うっ 言えない… ”私のウィザード様”が 間違えて 抱き付いて来るかも!?だなんて…)

マリアがぎこちなく言う
「…えっと その、何か… 当ってくるかも!?そ、その… 突風… とか?」

ソニアが疑問して言う
「え?突風が?」

マリアが周囲を見てからホッとして言う
「あ、ううん?何でもない 突風… で 物が飛んで来たりしたら 危ないかなって…?」

マリアが苦笑して言う思う
(あぁ… 私 何言ってるんだろう?我ながら 意味の分からない事を…)

ソニアが軽く笑って言う
「心配してくれて有難う マリア でも大丈夫よ?同じ家に住んでいたって ”マリアの風の魔法使いさん”が間違えてお母さんの所に 飛んで来たりなんかはしないわ?…うふふっ」

マリアが衝撃を受けて思う
(うっ!?見られてたっ!?)

ソニアが言う
「それじゃ 行って来ます」

マリアが言う
「い、いってらっしゃい…」

ソニアがハイヤーに乗り ハイヤーが発車する

マリアが家に戻り溜息を吐いて思う
(とりあえず 着替えよう…)

マリアが部屋に戻る


マリアがリビングにやって来て言う
「う~ん 朝食兼 お昼を食べるまでは 良かったけど… 後は何をしよう?ホントは お掃除でもしようと思ってたけど 流石 お母さん 昨日の内に済ましちゃってたみたい 私がやるより 断然綺麗だし…」

マリアがリビングの床を見て思う
(やっぱり 雑巾掛けしたのかなぁ モップで簡単にすましちゃうより ずっと気持ち良い…)

マリアが苦笑して言う
「家事は負けない つもりだったんだけどなぁ~」

マリアがソファに座り息を吐いてから言う
「う~ん 折角のお休みなのに 困っちゃった 私も ショッピングでも行こうかなぁ?マキはきっと ”マキのウィザード様”に 掛かり切りだろうし…」

マリアが窓の外を見てから息を吐いて思う
(そう言えば いつも お話しようとすると 消えちゃうから 結局 ウィザード様が 今何処に住んでいるのか 私 知らないのよね…?これじゃ 会いにもいけない… でも?)

マリアが気付いて言う
「今は ウィザード様の方が 私が 家や会社を出ると すぐに飛んで来てくれるから …もしかして?」

マリアが席を立ち 玄関へ向かいながら思う
(もしかして 何処か… 空の上からでも見てるのかな?さっき お母さんを見送った時には 居なかったけど …でも あれは 家を出たのが お母さんだったから?…そう言えば お母さんも よく考えてみたら そんな様な事言ってたし…)

マリアが思い出す


ソニアが軽く笑って言う
『でも大丈夫よ 同じ家に住んでいたって ”マリアの風の魔法使いさん”が間違えてお母さんの所に 飛んで来たりなんかはしないわ?…うふふっ』


マリアが玄関を出て進みながら思う
(あれは いつもの マリアー! を見られたって 訳じゃなくて 別の意味だったりして?)

レイが言う
「マリアー!」

マリアが驚いて言う
「ウィザード様っ!?」

レイがマリアに抱き付いて言う
「お早うー!じゃなくて こんにちは!だな!マリア!」

マリアが言う
「は、はい  そうですね  こんにちはです  ウィザード様」

マリアが思う
(ホントに来たっ!?)

レイが言う
「でも今日は マリアも ゆっくり休めたみたいだな!それなら良かったよ!」

マリアが言う
「は、はい  お陰様で…  と、それより っ ウィザード様!?今 何処から 飛んで来たんですか!?」

レイが言う
「うん!俺は 今 南の方 から飛んで来たよー マリアー!」

マリアが衝撃を受けて思う
(南の方ってっ!?)

レイがマリアに甘えている マリアが思う
(そんな アバウトじゃ 全然分からないっ!?だから そうではなくて!)

マリアが言う
「そ、そうではなくてですね!?私は ウィザード様が 今 どちらに住んでいらっしゃるのかと!?大体 そんな大まかに飛んで来たりして 間違って 私のお母さんにでも 激突してしまったらどうするんですか!?この家には 私の他にも お母さんが一緒に住んでいるんですから!」

レイが言う
「大丈夫だよ マリア!ちゃんと マリアのお母さんが 家を出て行くまでは 俺は近付かないようにしているから!」

マリアが呆気に取られて言う
「え!?そうなんですか?」

レイが言う
「もちろんだよ マリア!」

マリアが息を吐いて思う
(そうだったんだ…  なら 心配は無いのかな?…って 私っ 何の心配をっ!?)

レイがマリアを強く抱き締めて言う
「マリア~ 今日もマリアに会えて 俺すごく嬉しいよ~」

マリアが苦笑して思う
(そ、そうだったっ これを見られてしまうのが…!だって ”お母さんのウィザード様”に比べて ”私のウィザード様”は こんなだからっ だから!…別に それが嫌って訳じゃないんだけど… って はっ!?)

マリアが衝撃を受ける 玄関の前を通行人が通り マリアとレイを見て一瞬驚いた後 失笑を隠しながら言う
「あらあら… うふふっ」

マリアが赤面して レイを剥がしながら言う
「ウィ、ウィザード様っ ですから 何度も言っていますがっ 外で 抱き付くのは…っ!」

レイが言う
「だって~ ここ以外は みんな”外”だろ~?マリア?」

マリアが言う
「ここだって 外 ですよっ!」

マリアが思う
(しかも 家の前で!それも 玄関の前でってっ!?いかにもっ!?)

マリアが困っていると 更に 若者たちの集団が 玄関前の道へ向かっているのが遠目に見える マリアが衝撃を受け思う
(だ、駄目っ!もう これ以上 人に見られるのは 我慢出来ないっ!そんな目に会う位ならっ もうっ!)

マリアが意を決して言う
「ウィザード様っ!その…っ  一緒にお茶を飲みましょうっ!」

レイが言う
「え?本当か!?マリアっ!?」

マリアがレイを引き剥がして言う
「ええ!ですから どうぞっ!中へっ!」

レイが言う
「そうだな!マリアのお母さんも 出掛けたし それなら この家でも 大丈夫だな!」

マリアが衝撃を受けて思う
(それは どう言う意味ですかっ!?)

レイが言う
「それじゃ お邪魔します するぞ?マリア!」

レイが玄関へ向かう マリアが困惑しつつ言う
「は、はい… ど、どうぞ…」

レイとマリアが玄関の中に入る 玄関前の道を 若者の集団が通り過ぎる


玄関の中

マリアがそれを確認して ホッと胸を撫で下ろす レイが疑問すると マリアがハッとして言う

「あ、そ… それでは リビングの方へ …私は お茶の用意をして来ますから 適当に座っていて下さい」

レイが言う
「うん!分かった!」

マリアがキッチンに入って来て ティーセットを探しながら言う
「えっと… 確か ティーセットがあったはず …あ、あった!」

マリアがティーセットを確認して 続いて棚を探りながら言う
「後は 紅茶がここに…」

マリアが用意しながら思う
(まさか 家でウィザード様と お茶を飲む日が来るだなんて 考えてもいなかった… それに 家にお客さんが来る事もなかったから このティーセットを 使う日が来るなんて事も 考えてなかったのに… でも、あるって事は知っていたから 良かった)

マリアが言う
「所で… さっきの…」

マリアが思い出す


レイが言う
『そうだな!マリアのお母さんも 出掛けたし それなら この家でも 大丈夫だな!』


マリアが思う
(…あれは ど、どう言う 意味だったんだろう…?ウィザード様って いつも言う事が極端だから 私も 変に誤解する事が多くて… 今までは それで失敗しちゃってたし… でも)

マリアがコンロのの火を止め ティーセットを運びながら思う
(”何処から来たんですか?”の質問に ”南の方から”って答える人なんだから 私がおかしいんじゃないよね?だから こう言う時は お互い 誤解の無いように…?)

マリアがリビングへ入りながら思う
(面倒でも 細かい所から しっかりと ちゃんと お話をして お互いに 分かり合わないと 駄目なんだよね?うん!)

マリアが言う
「お待たせしました ウィザードさ… ま?」

マリアが思う
(…って 思った 矢先から…)

マリアが言う
「あの… 何を しているんですか?ウィザード様?」

レイがTVをまじまじと見て言う
「マリア… この黒くてデカイ板は何だ?」

マリアが衝撃を受けて思う
(…え?えっと… もしかして…?)

マリアが苦笑して言う
「て… TVですが?…ごく普通の…」

マリアが思う
(め、面倒でも… 細かい所から しっかりと ちゃんと…)

レイが言う
「じゃぁ TVって何だ?」

マリアが衝撃を受けて思う
(お… お話を… って やっぱり そこからっ!?)

マリアが言う
「え~っと… あのぉ 多分」

レイが言う
「うん?」

マリアが微笑して言う
「ウィザード様は お気になさらなくて 良いと思います!お茶にも 魔法にも関係ないですから?」

レイが言う
「そうなのか マリアがそう言うのなら それで良いや!じゃぁ あっちの白い箱は?」

レイがエアコンを指差す

マリアが言う
「…そちらも 気にしなくて良いと思いますが… あ、ちなみに ウィザード様は?お部屋の温度が 暑かったり寒かったりした時は どうするんですか?」

レイが言う
「ん?そうだな?暑かったら 水や風の魔法で周りを涼しくすれば良いし 寒かったら火の魔法で 周りを暖めれば 良いんじゃないか?」

マリアが閃いて言う
「あ!では そちらの白い箱は そう言う事をする… 機械ですよ!」

レイが言う
「へぇ~ そうなのか 魔法が使える機械か!」

マリアが苦笑して言う
「言われてみれば そんな感じですね!」

マリアが思う
(エアコンの説明は ある意味 魔法に近いから 良かったけど TVの説明は… 無理…)

マリアが気を取り直して言う
「それより ウィザード様?お茶にしましょう!」

レイが言う
「そうだな!」

マリアがソファに腰掛け ポットにお湯を入れながら言う
「ウィザード様も 立っていないで どうぞ座って下さい」

レイが言う
「うん!」

レイがソファへ座る

マリアが思う
(…で、やっぱり こうなるんですね?)

レイがマリアの横に座っている

マリアが視線を逸らして思う
(ソファは4方にあるのに… そこに2人しかいなくても やっぱり…)

レイがマリアに抱き付く マリアが思う
(こうなった…)

レイが言う
「あの部屋は追い出されちゃったけど マリアと一緒に こうして 仲良くお茶を飲めるって 俺 すげぇ嬉しいよ!お茶は飲めても やっぱ店じゃ ”外”だからな!」

レイがポットに魔法を掛ける マリアが他方を見ながら言う
「そうですね…」

マリアが思う
(一応 お店では こうしては来ないから良いけど… 確かに あのお部屋以外ってなったら ここしか…)

マリアが思い出して言う
「あっ!そっ!そうですよ!ウィザード様!?」

レイが疑問して言う
「ん?何だ?マリア?」

マリアが言う
「ウィザード様は 今 どちらに住んでいるんですか?以前 ”お部屋に住んでいる” とは伺いましたが… えっと…」

マリアが思う
(えっと ここで… 住所を聞くなんてしても 良いのかな?私とウィザード様は… 恋… いやっ!お友達っ!…なんだから そ、そうよね?お友達だとしたら!)

マリアが言う
「何処かの近くですか?…って 言っても 南の方とか この町の近くとか そう言う 極端な答えじゃなくてですね?例えば… 中央公園の近くとか?その… も、もし 私がウィザード様のお部屋で また 一緒にお茶を飲もうと思ったら 何処へ行ったら良いか とか そう言う…っ」

マリアがハッとして思う
(え!?あっ 私 つい…っ どうしよう!?そんなつもりじゃないけど でも… もしかしたら また ウィザード様が お部屋で 餓死しかけていたりしたら 私が行って また…)

レイが言う
「えーっと そうだなぁ?何か近くにあったかなぁ?あの近くは そんなに目印になるようなものはなくって… 俺も慣れてるから 感で飛んじゃうからなぁ?」

マリアが衝撃を受けて言う
「か、感で!?」

マリアが思う
(あ… でも 私も 家に帰る時は そんなに意識しないで 帰路に着いちゃうかも… って そう言う感覚なの?)

レイが言う
「あ、それに」

マリアが疑問する

レイが紅茶の様子に気付き お茶をカップに注ぎながら言う
「マリアと仲良く お茶が飲める場所はさ?もう ここしかないんだよ」

マリアが疑問して思う
(え?それはどう言う意味?)

レイがマリアに顔を寄せて言う
「だから マリア ここに マリアのお母さんが居ない時に また俺を誘って欲しいんだ な?良いだろう?マリア?」

マリアが思う
(お母さんが居ない時に 俺を誘ってって?そ、それは どう言うっ!?…ううんっ 駄目よっ!また誤解がっ!!だから しっかりと 確認を!)

マリアが顔を赤面させる レイの顔が更に近付く

マリアが驚いて思う
(か、確認しなきゃっ!…でもっ!)

レイが言う
「あ…」

マリアがドキッと胸を高鳴らせつつ レイを見る レイが他方を見ている マリアが疑問してレイの視線を追うと レイの視線の先 レイのが手を伸ばした先のティーソーサーが僅かに届かない

マリアが衝撃を受けて思う
(え…?)

レイが軽く魔法を掛け ティーソーサーがレイの手に向かって来る マリアが呆気に取られていると レイがティーソーサーごと紅茶を注いだカップを持ち上げて マリアへ向けて言う

「はい、どうぞ マリア!」

マリアが受け取り言う
「あ… 有難う御座います…」

マリアが紅茶を飲みつつ思う
(い、今のは… た、たまたま偶然 手が届かなかっただけで…っ べ、別にっ 変な 意味では…っ って… 動作の説明にはなっても さっき言ったのは… えっと~!?)

マリアが強く目を閉じた後思う
(駄目っ!とりあえず 後にしてっ 今は 話題を変えようっ!)

マリアが言う
「そっ!そういえばっ!?ウィザード様は いつも 私を送ってくれた後… い、急いで 何処かへ飛んで行っちゃうみたいですが …その 何かお仕事でも しているんですか!?それとも…?」

マリアが思う
(そんなに急いで 家に帰りたいって 思うのかな?)

レイが言う
「お仕事?ああ… そうだな?一応 お仕事って言うのか?俺は今 燭魔台の 格安 灯魔屋さん をやってるんだよ~」

マリアが驚いて言う
「灯魔屋さん!?ではっ!ウィザード様は あの燭魔台の 灯魔作業をっ!?」

マリアが思う
(…で、格安って?)

レイが紅茶を一口飲んでから言う
「うん!燭魔台の灯魔作業なら 魔法使いの杖で 丁度 良いからな!」

マリアが言う
「な、なるほど… 杖も壊れないし 灯魔もされて そ、それは… とても 良い事ですね!それで… か、格安… と言うのは?」

レイが言う
「うん いくら こっちから行って やってやるぞって言ってもさ 突然なもんだから 断られたり 日時を改めてくれって 言われるんだよ そうするとメンドクサイからさ?だったら 少し安ければ やっちゃおうって気にも なるだろう?」

マリアが言う
「あ… なるほど それは良い案ですね?」

レイが紅茶を一口飲んでから言う
「うん!ついでに 2倍の金額なら 灯魔の持ちも2倍にしてやるよって言えば 大体そっちにするからさ?だから 格安にしてやっても 結局 2倍払ってくれて 普通にやるより 早く金になるんだよ!」

マリアが呆気に取られて言う
「そ… そうだったんですか…」

マリアが思う
(ウィザード様… 意外と商売上手かも…?それに 燭魔台の灯魔作業なら 出来る人も限られて ウィザード様なら 普通の魔法使いさんの 倍の期間を持たせる事も 出来ちゃうんだから お金を稼ぐには 凄く良い方法だと思う)

マリアが紅茶を飲もうとして気付いて思う
(あ、あれ…?お金を稼ぐ?)

マリアがレイを見る レイがマリアを見て疑問する

マリアが思う
(ウィザード様が 今 どんな お部屋に住んでいるにしても 燭魔台の灯魔作業に掛かる費用は 確か 1回で120万から150万だって… だったら 倍にすると240万から300万!?格安にしたとしても それだけやっているのなら 凄い金額になる… そんなお金で ウィザード様は何を?)

レイが紅茶を飲んだ後マリアを見る

マリアがハッとして視線を逸らしてから 紅茶を飲みつつ思う
(どうしよう?ウィザード様の事を知る所か どんどん分からなくなっちゃう… こういう時 どうしたら良いんだろう?お母さんと違って 一杯お話しているのに 一杯分からなくなっちゃって… これって本末転倒って事?それに えっと 確か 他にも気になっていた事が)

マリアが思い出す


ソニアが軽く笑って言う
『でも大丈夫よ 同じ家に住んでいたって ”マリアの風の魔法使いさん”が間違えてお母さんの所に 飛んで来たりなんかはしないわ?…うふふっ』


マリアが閃いて思う
(そ、そうだった!)

マリアが言う
「あ、あのっ ウィザード様!?」

レイが言う
「なんだ?マリア!」

マリアが言う
「そう言えば 私、気になっていたんですけど ウィザード様は 私が朝 出勤の為に家を出る時も 夕方 帰宅の為に会社から出てくる時も いつもすぐに 文字通り 飛んで来てくれますよね?」

レイが言う
「ああ!もちろんだよ マリア!」

マリアが言う
「今日もまた 全くいつもと違う時間でも 飛んで来てくれましたし… ウィザード様 どうして 私が家を出たりする そのタイミングが 分かるんですか?」

マリアが思う
(お仕事もしているんなら ずっと 何処か見える場所で 監視しているって訳ではないよね?まさか それも 感だとか言われたりして…?)

レイが言う
「ああ、それは簡単だよ マリア!俺は その どちらの建物にも 結界魔法を掛けているからさ?」

マリアが呆気に取られて言う
「結界魔法?」

レイが言う
「うん!って 言っても 会社の方は 正面の出入り口だけだよ だから その他の出口から出られたら 分からないけど 家の方は全体的に掛けてあるから 何処から出ても分かるからな!」

マリアが言う
「そ、それは… 一体どんな魔法なんですか!?も、もしかして あのお部屋の前にあった 監視カメラや防犯カメラみたいな!?」

マリアが思う
(って 言っても そもそも TVを知らない ウィザード様は その2つの機能が 分かっているのかな?)

レイが言う
「俺は正直 その2つの機械の事は よく分からないんだけどさ?誰かの目に その光景を見せる 機械だって聞いたよ?で、結界魔法って言うのは そう言うんじゃなくて」

マリアが言う
「”そう言うんじゃなくて”?」

レイが言う
「うん そうだなぁ えーっと なんて言うのかな?悪い魔力が入り込まない様に 見張っているって感じか?でも 会社の方は いろんな奴が出入りするから そんなの感知してたら やってらんないからさ?そっちは マリアの出入りだけを 感知させているよ」

マリアが言う
「私の出入りだけを 感知させているって?つまり 私が出入りしている光景を ウィザード様が見ているって事ですか?」

レイが言う
「光景は見えないけど マリアの魔力が結界の中に有るか無いかを まず感知させているんだよ この杖に」

レイが杖を取る マリアが言う
「え?」

レイが杖の飾りを指差して言う
「マリアが会社の入り口を入ると マリアの魔力を込めた この魔石がこっちに行って 外に出ると こっちに移動する こっちは 家の方 こっちにある時は 結界の外 で、今は中に居るから こっちにある」

マリアが言う
「わ… 私の魔力って?私は…」

レイが言う
「魔法を使えるほどじゃないけど 生き物は皆 魔力を持っているんだよ 人種によっては別の言い方をするかな?極端に言えば 魂とか 生命力とか言ったりして」

マリアが衝撃を受けて言う
「じゃ、じゃあっ!? この石に私の 魂や生命力が!?」

レイが軽く笑って言う
「あっはははっ 大丈夫だよ マリア 魂とか生命力って言っちゃうと そう思うかもしれないけど ここへちょっと入れたくらいなら 減っちゃったりは しないからさ!」

マリアがホッとして言う
「そ、そうなんですか… それなら 良かったです… それに」

マリアが思う
(結界の中の様子が 監視カメラで見られている ようなものじゃ無いって言うのなら…)

レイが言う
「けど これは 簡易的な物だから 実際に マリアがどうしているのかなー?って言うのは 俺の魔力で確認するんだけどさ?」

マリアが衝撃を受けて言う
「え!?そうなんですかっ!?」

マリアが思う
(ちょ、ちょっと待ってっ それってまさかっ!?)

レイが言う
「うん!だって そうしないと マリアが何で結界の外に出たのか 分からないからな?もしかしたら 昼休憩とか   他の会社の奴を 迎えに出ただけとか そう言うのは 実際に俺自身で確認しないと 分からないんだ それでいつも 迎えに行くのが 一歩送れちゃうんだよ」

マリアが言う
「な… なるほど…」

マリアが思う
(そう言われてみれば 確かに ウィザード様が迎えに来てくれるのは しっかり そう言うタイミングが計られている感じ… でも それって事は やっぱり)

マリアが言う
「では 会社は正面の出入り口だけですが この家は 全体的にって… それじゃ 私が 部屋に居るとか リビングに居るとかって事も 分かるんですか?」

レイが言う
「俺は この家の間取りを知らないから マリアの魔力がどの位置にあるかって事しか分からないよ でも ここがリビングだって分かったし さっき居た場所がキッチンなんだろ?玄関は知ってるし いつも深夜に止まっている位置が マリアの部屋かなー?って そんな感じだ」

マリアが言う
「あ… なるほど そんな感じなんですね?魔法で家の中を 目で見るように 覗ける訳じゃないんですね?」

レイが言う
「それは出来ないな 空間があるとか 障害物があるって事ぐらいは 分かるけど」

マリアがホッとして言う
「そうでしたか… それなら良かったです」

マリアが思う
(それくらいなら 別に良いよね?)

マリアが紅茶を一口飲んでから言う
「あ、それじゃ さっき言っていたのは?」

レイが言う
「ん?」

マリアが言う
「悪い魔力が入り込まない様に 見張っているって… 会社の方は出来ないけどって事は この家には?」

レイが言う
「そうそう!だから マリアのお母さんが この家に居る時には 俺は入れないんだよ」

マリアが疑問して言う
「え?お母さんがって?それは どうしてですか?悪い魔力って…?」

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