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2章 魔法使いのウィザード様

嗚呼、私のウィザードさま 「やっぱり凄い 魔法使い様」

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レイが言う
「悪い魔力って言うのは まぁ 言っちゃえば 強すぎる思いを持っている奴とか 後は 魔法使いやウィザードとか 魔法を使えちゃうような奴はさ?もし この家に入って来たら マリアやマリアのお母さんの身に 危険が迫るって思うだろ?」

マリアが衝撃を受けて思う
(や、やっぱりっ!?で、でも 待ってっ!?落ち着いて!1つ引っ掛かるものっ!勇気を出して聞いちゃおう!ここで引き下がったらっ!!)

マリアが言う
「あ、あのっ!それでっ なんで お母さんが 居るか居ないかが 関係するんですかっ!?だって もしこの家に 悪い魔力が入り込んで 私が1人だったら!?お母さんは助かったとしてもっ!?まさか 私1人ならっ!?」

マリアが思う
(私1人なら 襲われちゃっても良いとか!?襲っちゃおうとかっ!?)

レイが言う
「え?マリアが1人の時に 悪い魔力が入り込んだら?そんな時はもちろん 俺はマリアの下へ飛んで行くよ!元々結界魔法はその為に 張っているんだからっ マリアの出入りを見ているのは そのついでだよっ!」

マリアが思う
(…って あれ?何かおかしい?)

マリアが言う
「あ、あの… ウィザード様?」

レイが言う
「マリアが1人の時は 俺がちゃんと守っているから 大丈夫だよ!だって俺は ”マリアのウィザード様”なんだから!それをするのは 当然だろう?」

マリアが言う
「”マリアのウィザード様”だから当然?…それじゃ 逆に私が居なくて お母さんが一人の時はどうなるんですか?珍しい事ですけど 昨日はそうでした 実際 そんな時に この家に 悪い魔力が入り込んだら ”私のウィザード様”は 私のお母さんを助けては くれないんですか?」

レイが言う
「そりゃ気にはするよ?でも 俺は来ないな?」

マリアが怒って言う
「ど、どうしてですかっ!?折角 結界魔法を張っているんですからっ お母さんの事だって 助けて下さいよ!」

レイが言う
「大丈夫だよ マリア マリアのお母さんの事は もちろん マリアの”お母さんのウィザード様”が 助けてくれるさ!」

マリアが言う
「…え?」

レイが言う
「だから俺は入れないんだよ マリアのお母さんが家に居て 俺がそこに入ったら 先輩はきっと怒って来ちゃうだろ?俺だって 逆の事をされたら 飛んで来るからな!」

マリアが衝撃を受けて言う
「なっ?!”お母さんのウィザード様”が 怒ってって… そんな事…?」

マリアが思う
(ど、どうなんだろう?考えてもみなかった… でも よく考えたら お母さんは あのウィザードさまの奉者なんだし …確か以前 ウィザード様が ウィザードは自分の奉者は守るものだって…)

マリアが考えながら 紅茶を飲もうとすると カップが空になっている

レイがそこへ紅茶を注ぎながら言う
「俺が清掃員になって マリアをストーキングして この家を確認したらさ?かなり強い 結界魔法が張ってあって すぐに分かったよ 14年前に大灯魔台で 俺に力を貸してくれた あのウィザードの結界だって」

マリアが驚いて言う
「え?14年前に ”力を貸してくれた”っ!?」

マリアが思う
(だって お母さんのウィザードさまは ”私のウィザード様”が 暴走した魔力を収めたって!?私を守ってくれたって!?)

レイが言う
「ああ、あの時 マリアの頼みを聞いたのは 俺だったけど  やっぱ 俺1人じゃ無理だったよ 魔力はあっても 杖は無かったし それに精神力も足りなくて …だから 言っただろう?あの先輩 何も言わないんだよ そう言う事」

マリアが呆気に取られる

レイが自分に紅茶を注ぎながら言う
「それで 普通 結界の2重張りなんて 杖を貸すのと同じ位 許さない事だけど 俺は この家に 2重目の結界を張っちゃった!きっと あの先輩なら それも 許してくれるだろうって思ってな!けど 流石に 自分の奉者が 結界の中に居る時に 俺が入り込んだら あの先輩だって怒ると思うんだ それで もしそうなったら…」

マリアが苦笑して思う
(ウィザード様… やっぱり 2人は仲良…)

レイが言う
「デカイ魔法の1発勝負なら 俺は負けないけど この住宅街じゃ それやると 軽く周囲の民家が 吹っ飛ぶから!」

マリアが衝撃を受けて思う
(戦う気ですかっ!?)

レイが言う
「そうしたら マリアは怒るだろう?だから 被害が無いようにやるとしたら 持久戦になっちゃうんだよ?そうすると 俺に不利になっちゃうし!」

マリアが叫ぶ
「怒るに決まっているじゃないですかっ!?っていうか そもそも 戦わないで下さいっ!」

レイが言う
「分かってるよ マリア それに きっと マリアのお母さんも困るだろうから それなら 先輩も分かってくれるよ!」

マリアが息を吐いて言う
「はぁ… それなら 何と言うか… とりあえず 平和的にお願いします」

レイが言う
「うん!マリアがそう言うなら 俺はそうするよ!」

マリアが言う
「そうですか… でも、私がそう言うからとか お母さんが困るだろうとか そうじゃ無くて…」

マリアが思う
(あ~… でも ”お母さんのウィザード様”はともかく このウィザード様は 本当に 私の為だったら やりかねない様な気もするし… ん?そう言えば)

マリアが言う
「ウィザード様 この家に お母さんが居る時は 近付かないと言う その理由は 一応 分かりましたが… それなら どうして ウィザード様のお部屋では お茶を飲む事が出来ないんですか?」

マリアが思う
(そうよね?だって この家に入る事が そんなに大変なら むしろ そんな事を気にしないで ウィザード様の部屋においでって 言うのが普通だと思う)

レイが言う
「ああ、それは 俺の住んでいる場所は 外みたいなもんだから」

マリアが衝撃を受けて言う
「え!?でも 確かに ウィザード様は ”お部屋に住んでいる”と」

レイが言う
「うん 部屋は部屋だけど そこには 俺以外の奴も 居るんだよ」

マリアが言う
「ウィザード様 以外のって… ウィザード様っ 今 お1人で住んでいるんじゃ ないんですか!?」

マリアが思う
(どう言う事っ!?そんなっ!?まさかっ!?)

レイが言う
「俺は1人で住んでいるんじゃ ないよ?だって」

マリアが思う
(だってっ!?)

レイが言う
「俺が今住んで居るのは 住所で言うなら サウスサイドストリート216!」

マリアが言う
「サウスサイドストリートの216… って…」

マリアが思う
(え?あれ?私、その住所を 知っているような?)

レイが言う
「そこの 魔法使い養成所の 寮の相部屋に 住んでるからさ?」

マリアが驚いて言う
「寮にっ!?どうしてっ!?」

レイが言う
「うん!そこなら 食堂があるからな!」

マリアが衝撃を受けて言う
「しょ、食堂…っ!?」

レイが言う
「ああ!折角マリアに お米の焚き方を教わったけどさぁ 俺がやると どうしても上手く行かないんだよ それに俺 長い時間待ってられないし 元々機械って奴も 好きじゃない だったら 食堂がある所に行こうって!でも あの食堂は 開いている時間がスゲー短くてさ?夜は1時間しか空いてなくって だから 急いで行かないと 閉まっちゃうんだよ」

マリアが呆気に取られた後 ハッとして言う
「そ、それじゃ!いつも 私を送った後 急いで消えてしまうのは その…」

レイが言う
「夕食の時間に遅れちゃうからな!それで急いでるよ!昨日なんて 後ちょっとで ヤバイ所だった!」

マリアが衝撃を受けた後呆れて言う
「…そうだったんですね?てっきり お仕事にでも 向かわれているのかと…」

レイが言う
「え?そんな筈無いだろ?確かに 灯魔作業はやってるけどさ?そんなに急いでないし 大体 マリアと居られる時間を そんな事で削るなんて 俺は絶対にしないよ?」

マリアが思う
(でも 夕食の時間は大切なんだ… それは確かに そうかもしれないけど… ん?)

マリアが言う
「急いでないって… それじゃ?」

マリアが思う
(豪華なお部屋に住んでいる所か 目的はともかく 寮の相部屋に住んでいながら 燭魔台の灯魔をして 得られるほどの大金を何に?それとも もしかして…)

マリアが言う
「もしかして 魔法使いの養成所の寮って そこに入るには 凄い大金が必要なんですか?だって 燭魔台の灯魔費用は かなり 高いですよね?いくら格安にしても…」

レイが言う
「寮は そんなに高く無いよ?えっと いくらだったか忘れたけど あそこは 税金で賄われているから!ひと月 夕食込みで 2万くらいだったかなぁ?」

マリアが思う
(安いっ!!それじゃっ!?)

レイが言う
「そっちは どうでも良いんだけど 俺には今 杖のローンがあるからさ?」

マリアが呆気に取られて言う
「え?…杖のローン?」

マリアが思う
(…あ、そうだったっ 杖は あの中央公園の灯魔作業で 壊れちゃって…)

レイが言う
「あの杖は 中央公園の灯魔作業をやったら 買って5分で ぶっ壊れちゃったから もう 魔法使いの杖なんか 買うつもりは無かったんだけど 金で買える杖って これしかないんだよ ウィザードの杖は 非売品だから」

マリアが思う
(買って5分だったんだ…)

レイが言う
「でも マリアが他のウィザードからは 取るなって言っただろう?だから しょうがないから また買ったんだけど それでローンが倍になっちゃって でも よく考えたら ウィザードの杖じゃ 燭魔台の灯魔作業は やり辛いから やっぱ この杖で 丁度良かったな!流石 マリアだよ!」

マリアが衝撃を受けてから思う
(う、う~ん 褒められているんだか…?でも きっと ウィザード様としては 褒めているんだろうなぁ だから)

マリアが言う
「そ、それは 良かったです?」

レイが言う
「うん!ありがとな!マリアー」

レイがマリアに抱き付く マリアが呆れつつ紅茶を飲み思う
(まぁ… 良いよね?この場所でなら… それにしても?)

マリアがレイの杖を見て思う
(この杖って いくら位するんだろう?燭魔台の灯魔作業をしても ローンはまだ 返しきれていないって事?えっと… でも こんな事を聞くのは やっぱり 失礼かな?)

マリアが言う
「あの、ウィザード様?もし良かったら 教えて貰いたいんですけど?」

レイが言う
「何だ?マリア?俺に分かる事なら 何でも教えてあげるよ!」

マリアが苦笑して思う
(それなら 良いのかな…?)

マリアが言う
「では… その… 魔法使いさんの杖って そんなに お高い物なんですか?燭魔台の灯魔費用で補おうにも 時間が掛かってしまう程…?」

レイが言う
「そんな事無いよ マリア 心配は要らない!俺はしょっちゅう 杖をぶっ壊しちゃうから ちょっと 金をためて 今度は また壊しても 大丈夫なようにしてみようと思ってるんだ!」

マリアがホッとして言う
(なんだ そう言う事なんだ…?つまり 予備の杖を用意しようって事かな?それじゃ それはもう ローンじゃなくて 貯金って言うんじゃ?)

レイが手にしている杖を見て言う
「俺の使っているのは 魔法使いの杖の中でも 一番上の奴で 金額は 1本で 1億だよ!」

マリアが衝撃を受けて思う
(い、1億っ!?しかも 以前は それを たったの 5分で…っ!?)

マリアが石化する レイが言う
「だから今は ローンが 1億8千万くらい この町の残りの燭魔台の数が112台だから この町が終わったら 今度は別の町へ行くつもりだよ!費用も 3ヶ月の灯魔なら1回100万で 引き受けてるから 分かりやすいだろう?燭魔台の灯魔作業を200台分やれば とりあえずローンは終わりさ!」

マリアがハッとして言う
「な、なるほど…」

マリアが思う
(そっか… それなら そんなに 遠い金額じゃないような… 1億なんて言われると 私には 手の届かない金額だけど… 結局)

マリアが苦笑して言う
「ウィザード様は… 凄いですね?」

マリアが思う
(私たちとは 規模が違い過ぎて…)

レイが言う
「ん?ああ!もちろんさ!だって 俺は ”マリアのウィザード様”だからな!凄いに決まってるだろ?」

マリアが呆気に取られた後 苦笑して言う
「…そうですね!」

レイが喜んで言う
「ああ!」

レイがマリアに抱き付く マリアが思う
(そんな凄い人なんだけど この人は相変わらず ”私のウィザード様”で…)

マリアが苦笑して息を吐く


夕方

玄関を開けて ソニアが言う
「ただいまー」

マリアが言う
「お帰りなさーい お母さん」

ソニアが気付きキッチンへ向かうと 苦笑して言う
「あら、マリア 折角の お休みだったのに 風の魔法使いさんと外へ デートにでも 行かなかったの?」

マリアが衝撃を受け 料理を作っている手を止めて慌てて言う
「え!?な、何っ 言ってるのっ お母さんっ!?私とウィザード様はっ そう言うんじゃなくてっ!」

ソニアが荷物を置きながら言う
「良いじゃない?魔法使いなら 別に 何の制約も受けないんだから 仲良くお外でお茶でも飲んでも?」

マリアが言う
「そ、それは そうかもしれないけど…っ ウィザード様は 相変わらず… じゃ無くてっ!その前に 私とウィザード様は 普通のお友達ですからっ!」

ソニアが手を洗いながら 軽く笑って言う
「うふふ… 相変わらず 男の人が苦手なのね マリアは?」

マリアが言う
「苦手と言うか… 仕事とかで 普通にしている分には 良いけど… それ以外で 特に人前で べたべたしていたりするのとかは… は、恥ずかしくないのかな?って…」

ソニアが手伝いをしながら言う
「良いじゃない?恋人同士なら?」

マリアが言う
「違いますからっ」

ソニアが洗われたティーセットに気付き苦笑して言う
「それで 外では恥ずかしいから お家で お茶を飲んでいたのね?」

マリアがハッとして思う
(あっ …お母さんが 帰って来る前に 片付けておくつもりが…っ)

マリアが言う
「そ、その… た、たまたま 家を出たら 彼が飛んで来たから… 家には お母さんも 居なかったし…」

マリアがハッとして思う
(あっ こんな言い方をしては!?)

マリアが慌てて言う
「ああっ!って 言ってもねっ!?別にっ 変な意味じゃなくてっ この家に お母さんが居る時に ”私のウィザード様”が入ると ”お母さんのウィザード様”が 怒って来ちゃうとかっ!?そう言う事への 心配が無いって意味で!」

マリアが視線を逸らす

ソニアが呆気に取られて言う
「え?あら そうなの?」

マリアが言う
「え?あ、あれ?やっぱり 知らなかった?お母さん?この家の 結界魔法の話…」

マリアが思う
(ま、まぁ… よく考えたらそうよね?いくら傍に居れば 分かるって言っても… 私だって 今日 ウィザード様から 一杯説明を聞いて やっと理解出来たんだし… あ、でも それなら?)

マリアが言う
「…あ、でも お母さん言ってたよね?”私のウィザード様”… 私のお友達の 風の魔法使いさんが 間違えて お母さんの所に 飛んで来ちゃう事は 無いって?」

ソニアが言う
「ああ、あれはね?ただ そうだろうな~?って 思っただけよ?」

マリアが衝撃を受けて思う
(思っただけっ!?)

ソニアが軽く笑いながら言う
「だって、ウィザード様も ウィザード様だった その風の魔法使いさんも お母さんからしたら とっても理解を超える方だから 私たちの常識では 計れないと思って」

マリアが思う
(そ、そっか… 確かに 私たちの常識とは 全然違う… 結界魔法も移動魔法も… そもそも 魔法を使えるって事が 私たちの常識には無いものだし… そう考えれば良いって事?)

ソニアが微笑し作業をしながら言う
「でもね?昨日マリアから ”マリアのウィザード様”とのお話を一杯聞いて お母さんも少し気になっちゃって それで 今日はお母さんも ”お母さんのウィザード様”と 魔法に関する お話をしてみたの」

マリアが言う
「え?あ… そうだったんだ?」

マリアが置かれている荷物をみて思う
(そっか… だから… いつもなら お母さんは 普段お休みを取れない分 ショッピングに行ったら 結構 沢山お洋服とか買って来るのに 少ないなって…)

ソニアが言う
「それでね お母さん 今までずっと 自分はウィザード様と 苦しみや喜びを共にしている って 思っていたけど… それは そうじゃなかったんだって… 気付かされちゃって」

マリアが驚いて言う
「え?」

ソニアが言う
「昨日 マリアに ”ウィザード様の法魔帯の切り替えは どう判断したら良いか”って聞かれたでしょ?」

マリアが言う
「あ、うん! 法魔帯が ”魔傷印に焼かれていたら” って… はっきり目に見えるものだから分かる って教えてくれたよね?」

ソニアが言う
「そう」

マリアが思う
(ついでに その”魔傷印”って言うのが 魔法を使う為の 焼き印だって話を聞いた… だから 魔法使いやウィザード様たちの法魔帯は その火傷によって弱められてしまった 皮膚を守る為のものだって言うのも 改めて教えてもらって… 結局 私が 奉者協会の講習会の 前半を受けていなかったと言う事が ついに… って)

マリアが気を取り直して思う
(それは 今は良いとしてっ!!)

ソニアが言う
「だから 法魔帯の切り替えについては 奉者は気を抜けない事で 常に心配をしなければいけない所だけど  ウィザード様たちにとっては 魔力を高める事が修行なのだから 法魔帯の色が白色に近づく事は 喜ばしい事だって」

マリアが言う
「うん だから お母さんも 新しい色の法魔帯を巻く時には ”お母さんのウィザード様”と 喜びを共にしていたって 言ってたよね!」

ソニアが言う
「ええ… そうだと思ってた …でもね?いつも気になってたの お母さんは もちろん喜んで見せていたけど ウィザード様ご本人は そんなに喜んでは居ないように見えて… それに そんな時よりも あの人は 私がマリアのお祝い事なんかを 喜んで話して居る時の方が 一緒に 喜んでくれているような そんな気がしていたのよ」

マリアが呆気に取られて言う
「え?私の話を ウィザードさまと?でも お母さんは ”お母さんのウィザード様”は 何も仰らないって?」

ソニアが苦笑して言う
「ああ、それはね?魔法や灯魔儀式の話に関してよ?そう言った事は 魔法を使わない 私たちには とても理解出来ない事だと思って… お母さんも聞かなかったし あの人も話さなかった …だから マリアから あの大灯魔台での話を聞いて 驚いちゃったわ?だって ウィザード様たちが お互いに助け合ったり 認め合ったりするなんて事は 奉者の知る常識では 有り得ない事だもの」

マリアが言う
「え?奉者の常識では 有り得ない事って?どうして?だって 大灯魔台の灯魔儀式は 7人のウィザード様が力を合わせているのに?」

ソニアが言う
「確かにそうだけど その大灯魔台の灯魔儀式だって 最終的には たった1人のウィザード様を選出する為の審査でしょう?灯魔を行うと言う目的の為に 行動を同じくする事はあっても あの7人は皆 ライバルなんだから」

マリアが呆気に取られて思う
(そう言えば…)

ソニアが言う
「それに ”マリアのウィザード様”は マリアの間違えで ウィザードの称号を奪われて 杖も失ったと言うのに 恨む所か 仲良くお茶を飲んで お話をしているのでしょう?」

マリアが衝撃を受けて言う
「あ、う… うん…」

ソニアが軽く笑って言う
「うふふっ それで、お母さんの固定観念も すっかり壊れちゃって?だから思い切って 聞いてみたの マリアに聞かれた時に話した 法魔帯の話 おとといの大灯魔台の灯魔儀式を終えた後 法魔帯がボロボロになってしまっていて 腕にも酷い怪我をさせてしまったって お母さん 驚いて 奉者としての不手際を謝ったって」

マリアが言う
「でも ”お母さんのウィザードさま”は ”余剰魔力を使った影響だから 奉者のせいじゃない”って…」

マリアが思う
(その”余剰魔力”って言葉も 私は分からないんだけど…)

ソニアが言う
「ええ、ウィザード様が そう仰るのだから お母さんも それで納得しちゃっていたんだけど でも、マリアと同じ様に ”普通に考えてみたら”ね?おかしいんじゃないかしら?って思ったの …だってウィザード様は魔力を高める為に 修行をしているのだから もし、余剰魔力と言うものがあるなら 常に使っている方が もっと 修行になるんじゃないかしら?って」

マリアが思う
(た、確かに!?…って言うか 大体 余剰魔力って何なんだろう?…でも ここで聞いたら また 私の奉者としての知識不足が…)

ソニアが言う
「だから お母さん思い切って 聞いてみたの 余剰魔力って何ですか?って …うふふっ」

マリアが衝撃を受けて思う
(お母さんも 知らなかったのねっ!?)

ソニアが言う
「そうしたら 返って来た答えが ”法魔帯の色を上げない為に 意図的に抑えていた魔力だ”ですって?」

マリアが言う
「え!?」

ソニアが微笑して言う
「ね?おかしいでしょう?だって 法魔帯の色が白色に近づく事が 何よりの喜びの筈の ウィザード様から返って来た答えが そんな答えなのだから」

マリアが言う
「た、確かに…」

マリアが思う
(え?え?どう言う事?だって ”私のウィザード様”だって いつも ”俺は強い”とか”最強のウィザードだ” って 魔力の強さを 自慢しているくらいなのに?)

ソニアが言う
「それに 法衣の色も… お母さんはずっと 14年前の大灯魔台の失敗を 気にしているんだと思っていたから それは 前回や今回の灯魔儀式で もう良いんじゃないかって 次の大灯魔台での灯魔儀式では 新調した法魔帯の色と同じ 白色か せめて もっと明るい色の法衣にしましょうか?って伺ったのだけれど」

マリアが言う
「けれど?」

ソニアが言う
「次の大灯魔台の灯魔儀式は 14年前の再戦になるから 同じ法衣で行くんですって?…お母さん 奉者として ウィザード様の事は 十分分かっていたつもりだったのに マリアと違って 魔法や灯魔儀式の話になると 分からない事ばかりだわ」

マリアが言う
「え?あ… 私も いつも分からない事ばかりだよ?でも… 今日は時間もあったし 一杯 話を聞いてみたら 分かったけど …お母さんは それ以上は 聞かなかったの?14年前の再戦って?」
 
マリアが思う
(次の大灯魔台の灯魔儀式が 14年前の再戦 …どう言う意味なんだろう?)

ソニアが苦笑して言う
「ええ、お母さんも あの大灯魔台での事は覚えていたから 聞いてみたの 場所も人も 14年前とは異なるのに どうしてそれが 再戦なんですか?って」

マリアが言う
「そうしたら?」

ソニアが言う
「次の大灯魔台は 14年前と同じ 水属性の大灯魔台だから ですって」

マリアが驚いて言う
「水属性の大灯魔台?…そうなんだ?…え?でも 確か…」


翌朝

マリアが言う
「大灯魔台の属性と言うのは 最初から分かるものなんですか?確か それが分からないから…」

マリアが顔を向ける

レイがマリアに抱き付いていて言う
「ああ!分からないな!実際 先輩だって 大灯魔台の属性は 起動作業が終わるまでは 分からないって 言ってたぜ?マリアー?」

マリアが首を傾げて言う
「しかし、その”先輩”が そう仰ったそうですが?」

レイが言う
「そうなのか!まぁ 先輩が そうだって言うんなら そうなんじゃないか?」

マリアが衝撃を受けて思う
(そうなんじゃないか?って!?)

マリアが言う
「そうなんじゃないかって!?そんなんで また 失敗しちゃったら 大変じゃないですか!?」

マリアが思う
(あ、でも… また ウィザード様が…?)

マリアがレイを見る レイが言う
「大丈夫だって!」

マリアが微笑して言う
「そうですね!また?」

レイが言う
「ああ!また そうなったら 今度こそ 先輩は 引退 出来るからな?俺も 今度こそ 手伝わないよ~」

マリアが怒って言う
「手伝わないんですかっ!?」

マリアが思う
(どうして!?それに なんで 引退が ”出来る”って!?…って それよりも!もし 失敗しそうな時は!)

マリアが怒って言う
「そんな事 言ってないで 手伝って下さいよっ!ウィザード様っ!」

レイが言う
「ああ!分かってるよ!マリア!」

マリアが微笑すると 体が浮き上がる マリアが呆気に取られて言う
「え?」

レイとマリアが風に消える


会社 前

レイが言う
「はい 到着~!」

マリアが疑問して言う
「到着って…?」

レイが言う
「そんなに力一杯 頼まなくったって 俺は何時だって マリアの移動を手伝ってあげるよ マリア!」

マリアが衝撃を受けて言う
「そ、そうでは無くてっ!」

レイが浮き上がって言う
「ああ!もちろん!」

マリアがホッとする

レイが言う
「帰りも ちゃんと 迎えに来るからな!安心して良いぞ!マリア!」

マリアが衝撃を受け思う
(だから そうじゃ無くてっ!!)

レイが言う
「それじゃ マリア いってらっしゃいだな!俺も今日は 西の方の 燭魔台に 行って来るよ!」

マリアが衝撃を受けて思う
(今日は 西の方ですかっ!?)

マリアが言う
「ですから 西とか南とかじゃなくて… 大体 どうして ウィザード様は いつも そんなに極端で …はっ!?」

マリアがハッとして時計を見てから言う
「ホント もう こんな時間っ!で、では 行って来ます!ウィザード様も いってらっしゃ!あ、有難う御座いました!」

マリアが会社へ走る


中央公園

マリアが弁当箱を片付けつつ思う
(…と、結局” お母さんのウィザード様”も分からないけど ”私のウィザード様”も 相変わらず 分からない人で… ウィザード様って 皆そんな感じなの?それこそ お母さんの言っていた通り 私たちの常識で計っちゃいけないとか…?それとも?)

マリアが言う
「何となく ズレていると言うか… はぁ…」

マキが言う
「あれ~?何だか久し振りの マリアの溜息だねー?」

マリアが衝撃を受けてから苦笑して言う
「あっ!?はは… そ、そうかも?あっ!でも 言っとくけど マキ!?この溜息は!マキやリナが考えるみたいに そのぉ… れ、恋愛事に関してのものじゃなくてっ!」

マキが言う
「うん、分かってる!私も 奉者になったんだもん 奉者が考える事は 皆同じでしょう?」

マリアが言う
「あ、そ、そうだね!」

マリアが思う
(と、言ってみたけど 奉者が考える事って …何だろう?)

マキが言う
「奉者は 常に 自分のウィザード様の事に気を配って お茶の用意をしたり 夕食を作ったり 掃除したり 洗濯したり」

マリアが衝撃を受け続けて思う
(う…っ 私は どれも やってませんでした… とは 言えない… …でも)

マリアが苦笑して思う
(私のウィザード様は ”マリアのウィザード様”だから それで良いんだって 言ってくれたし…)

マキが言う
「灯魔儀式の場所や 予定を考えて立てたり 連絡をしたり」

マリアが反応して微笑して思う
(うん… それは 私もやってた… …こ、後半は 連絡だけだった… とは やっぱり 言えないけど…)

マキが言う
「後はウィザード様の 魔力が高くなりますようにって 法魔帯の管理をしたり」

マリアが苦笑して言う
「う、うん…」

マリアが思う
(それこそ 私は やる必要すら無くって… …最初から 魔力も それを示す法魔帯も 一番上だったから… そもそも 法魔帯を知らなかったとか…)

マリアが落ち込む マキが言う
「本当に ありがと マリア!お陰で 法魔帯の切り替えに付いての心配は 無くなったから これで安心!マリアのお母さんにも お礼を言っておいて!」

マリアが微笑して言う
「うん、分かった 伝えておく」

マキが立ち上がって言う
「それじゃ 私 行かないと!」

マリアが言う
「あれ?今日は随分 お昼短いね?私より後に来たのに?」

マキが言う
「うん 今日来たのは マリアから法魔帯のその話を 教えてもらえるかな?って 後はちょっとでも 話がしたかったから」

マリアが言う
「ああ、そうだったんだ?あれ?でも… マキお弁当は?」

マキが言う
「私も もう少しでも ”私のウィザード様”と 気持ちを1つに出来ないかなー?ってね?試しに彼と同じ様に お昼を お茶だけにしてみようと思うの!」

マリアが衝撃を受けて言う
「え!?奉者まで 食事制限を!?」

マキが苦笑して言う
「でも、流石に 1日1食はキツイから 朝と夜の2回にしてみるつもり …何日続くかは 分からないけどね~?にゃははっ」

マリアが苦笑して言う
「凄いね マキ でも あんまり無理はしないでね?ウィザード様を支える奉者が 倒れちゃったら大変だよ?」

マキが言う
「はーい 気を付けます!マリア先輩ー!それじゃ また明日!」

マリアが言う
「うん!行ってらっしゃい!」

マキが走って行く

マリアが手を振った後 息を吐いて言う
「ふぅ… 凄いなぁ マキ 本当に”マキのウィザード様”の事 大好きなんだろうなぁ… 私は…」

マリアが空を見上げてから 苦笑して言う
「どうなんだろう?」

マリアが噴水を見て微笑する


会社

マリアが書類作成をしながら思う
(マキはこれから ウィザード様の食事制限に付き合うって言ってたから お昼もあんまり話せないかもしれない… 今日も法魔帯の話の他は ほんの少し… それもやっぱり ウィザード様の話で…)

マリが書類を見て軽く息を吐いて言う
「まぁ… 話題は別に それでも良いんだけど それに…」

マリアが思い出す


マキが言う
『はーい 気を付けます!マリア先輩ー!それじゃ また明日!』


マリアが苦笑して思う
(一応 私は マキにとっては ”奉者の先輩”みたいだから… 本当は何も 分かってないんだけど…)

マリアが言う
「明日も また ウィザード様の お話かな~?」

課長がやって来て言う
「マリア君」

マリアが衝撃を受け慌てて言う
「は、はいっ!課長!」

マリアが思う
(う… また 課長に…)

課長が言う
「明日から この部署に 新人社員を3名入れる事になった」

マリアが一瞬呆気に取られてから慌てて言う
「…え?あ、は、はいっ!?」

課長が言う
「リナ君に続きマキ君も 居なくなってしまったからな?そこで 新たに迎え入れる その3名へ 彼女たちがやっていた仕事を教えて欲しいのだが 頼めるかね?」

マリアが言う
「は、はいっ!」

マリアが思う
(そうよね やっぱり2人も抜けちゃ… 新しい人を入れるしかないよね?)

課長が言う
「では 明日改めて紹介するから よろしく頼むよ」

マリアが言う
「はい 分かりました」

課長が立ち去る

マリアが思う
(新人指導かぁ… そう言えば マキの時には 元々の知り合いだったから お昼休みや退社後にも リナも一緒に 教えたりしてたっけ?とは言っても 最初は仕事の話をしていても いつの間にか 別の話に切り替わっちゃったりしてて…)

マリアが苦笑して言う
「ふふ… 懐かしいなぁ…」

課長が咳払いをして言う
「うんっ!くれぐれも 仕事以外の事を考える その癖まで 教える事は無いように」

マリアが衝撃を受けてから言う
「う…っ は、はい…」

マリアが表情を困らせつつ仕事に戻る


会社 外

マリアが会社を出て来て言う
「あ~ やっと終わった~」

マリアが思う
(やっぱり 1人だと作成書類が多くて 他の商談なんかを考える時間も無い… でも これも明日から 新入社員が入るなら 楽になるだろうし)

マリアが言う
「良かった…」

レイが言う
「マリアー!」

マリアが苦笑して振り向く レイが言う
「お仕事お疲れ様!マリア!」

マリアが苦笑して言う
「ウィザード様も 今日は”西の方”の燭魔台へ 灯魔をしてらしたんですよね?お疲れ様です」

レイが言う
「うん!これで この町の西の方は 全部終わったよ!」

マリアが思う
(あぁ… やっぱり ”西の方”とか ”この町の西の方”って規模で話が進むんだ… それじゃぁ…)

マリアが苦笑して言う
「では 明日からは 今度は”東の方”へでも 向かわれるんですか?」

レイが言う
「うーん 東でも良いんだけど 東側は先輩の町があるからさ?そっちの灯魔台の効力が十分にあるから 東の方は 最後にするつもりだよ!」

マリアが一瞬驚いて言う
「あ… なるほど」

マリアが思う
(そっか… 西とか東とか ただ大雑把なだけじゃなくて そちら側にどんな町があって その灯魔台の状況が… とか そんな事も考えていたんだ…)

マリアが微笑した後言う
「では 明日は東ではなくて?」

レイが言う
「そうだな!明日は”北西方面”へ 飛んでみるよ!」

マリアが衝撃を受けて言う
「北西方面…」

マリアが思う
(う~ん やっぱり 私では この規模での会話には 付いていけそうにない…)

レイが言う
「それより マリア!この後は 何処かへ行く予定なのか?家に帰るなら さっさと 帰ろうぜ?」

マリアが苦笑して言う
「はい… では家へ …あ!」

マリアがふと気付いて思う
(でも 折角だから ちょっと聞いてみようかな?)

マリアが言う
「あの ウィザード様?ちなみに この場所から 私の家へ向かうと言う時には どちらへ飛ぶと考えるんですか?」

マリアが思う
(この会社から考えれば 家は確か 南東方向?だから当然 答えは)

マリアがレイを見る レイがマリアを包んで言う
「ああ!もちろん!」

レイとマリアが浮かび上がる マリアが微笑して思う
(南東方面へ!)

レイが言う
「マリアの家へ!って思うだけだよー!」

マリアが衝撃を受けて言う
「えっ!?」

レイとマリアが風に消える


自宅 前

レイとマリアが現れ レイが言う
「はい、到着!」

マリアが思う
(到着した…)

レイがマリアに抱き付いて言う
「マリアー!大丈夫だよ マリア!何も考えなくったって 俺は マリアの家を 見失う事は無いよー!」

マリアが思う
(そうなんだ… 見失う事は無い…?それは)

マリアが言う
「どうしてですか?」

レイが言う
「それはもちろん!」

マリアがハッとして思う
(まさか…っ 愛の力 とかって 言うんじゃ…)

レイが言う
「この家ほど 強力な結果が張られている場所なんて この町には ここしかないからな!」

マリアが一瞬驚いてから言う
「あ… なるほど そう言う事…」

マリアがホッとして言う
(何だ… そう言う事なら… ちょっとは 分かるかも?)

レイが言う
「ああ!だって 俺と先輩の結界二重張りだぜ?これだけ強力なら 隣町からだって 一発で分かるよ!」

マリアが思う
(そんなに強力なんだ…)

レイがマリアに甘えて言う
「だから この家は 絶対 安全~ マリアは何があっても 心配しなくて良いぞ~」

マリアが呆れて思う
(元々 何の心配があるんだろう…?でも 確かに このウィザード様と …あのウィザードさまが 守っていると考えれば 鬼に金棒と言うか… …あっ!?)

マリアが思い出して言う
「あの、ウィザード様」

レイが言う
「なんだ?マリア?」

マリアが言う
「今朝の話の続きなんですが… 大灯魔台の属性の事は ウィザード様は分からないと仰いましたが それなら 法魔帯の事は分かりますか?」

レイが言う
「ん?法魔帯の事って?」

マリアが言う
「”お母さんのウィザード様”は 法魔帯の色を上げないために わざと魔力を抑えていたみたいなんです …でも、ウィザード様たちは 食事制限はもちろん 魔力を上げる修行をなさっているんですから どうして 怪我をする危険性まであるのに その魔力を抑えて 法魔帯の色を上げないようにする 必要があるのでしょう?」

レイが一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
「うん!それは 普通はしないな!」

マリアが言う
「あ… やっぱり そうなんですか?」

レイが言う
「もちろんだよ!けど なるほどな?それで 何回 大灯魔台の灯魔儀式を 免れたんだろうな?」

マリアが驚いて言う
「え?それは?」

レイが言う
「だって 大灯魔台の灯魔儀式をやるには 6人のウィザードの総魔力が 一定以上無いと無理だからサ?その儀式を管理してる奉者協会の奴らは 申請されている法魔帯の色で 総魔力を計算しているんだろ?」

マリアが気付いて言う
「え!?」

マリアが思う
(知らなかった… じゃなくてっ!)

マリアが言う
「それではっ!?法魔帯の色を上げないで居れば!」

レイが言う
「そうそう!法魔帯の色が低ければ 総魔力も足りなくて 儀式はやらないで済むだろ?俺も参加してみて分かったけど 俺や先輩以外のウィザードは 全然弱いからな?」

マリアが思う
(それじゃ”お母さんのウィザード様”は 14年前の失敗が 再び起こらないように その為に 自分の法魔帯の色を抑えて 総魔力を上げないようにしていたって事…っ!?)

マリアがレイを見る レイが言う
「けど、急ぎだか何だか知らないが 1人増やして7人にされて おまけに その1人が俺だった訳だから!いくら先輩が法魔帯の色を下げて誤魔化したって 大灯魔台の灯魔儀式は 開始される事になっちゃったな!」

マリアが衝撃を受けて言う
「そ、それじゃっ!?今は大変じゃないですかっ!?やっぱり次の大灯魔台でも ウィザード様は 儀式を手伝って上げて下さいよっ!?」

レイが言う
「マリアが言うなら 俺はそうするよ …けどさ?」

レイが離れる マリアが言う
「けど?」

レイが浮き上がって言う
「次の大灯魔台の灯魔儀式は 14年前の再戦だって言ってるんだろ?だったら 大丈夫なんじゃないか?それに そんな事より」

マリアが言う
「そんな事より?」

レイが言う
「ああ!早くしないと 食堂が閉まっちゃうから 俺は 帰るよ!」

マリアが衝撃を受ける レイが言う
「それじゃ!お仕事お疲れ様!お休み!マリア!」

レイが風に消える マリアが言う
「お、お休み…なさい… って もう居ないし… はぁ…」

マリアが思う
(大灯魔台の灯魔儀式が 失敗してしまうかも …って事より 食堂の空き時間の方が ウィザード様にとっては 大切なんだ…)

マリアが玄関の鍵を開けて言う
「確かに …1日1回の食事だもんね 大切かもしれないけど …やっぱり」

マリアがドアを開けて思う
(”私のウィザード様”と比べると ”お母さんのウィザード様”の方が ウィザード様らしいような…?)

マリアが苦笑して言う
「でも… ”私のウィザード様”は 今は風の魔法使いさんだし それに」

マリアが思う
(神様に選ばれる為の ウィザード様じゃなくて …”マリアのウィザード様”だもんね?)

マリアが微笑した後顔を上げて言う
「ただいまー」

マリアが玄関ドアを閉める
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