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3章

嗚呼、私のウィザードさま 「戦うウィザードさま」

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朝 マリアの部屋

マリアがシャネールの服を着て ネックレスを付けてから微笑して 姿見の鏡の前で喜んで言う
「素敵っ」

マリアが微笑してネックレスに触れて思う
(でも やっぱり… これが一番 素敵だよね?ピンクダイヤだって事を 知らなくたって…)

マリアが言う
「私の一番の お気に入り…」

マリアが微笑した後 荷物を持って言う
「さてっ」

マリアが部屋を出て 玄関へ向かいつつ顔をリビングへ向け 覗いてから言う
「…居ない よね?」

マリアが玄関へ向かいながら思う
(お母さんにも 見てもらいたかったんだけど… 今日もいつも通り 朝早くに出て行っちゃったんだろうなぁ?)

マリアが言う
「お母さんは ”お母さんのウィザード様”の所に… でも 私は…」

マリアが玄関を出て 鍵を閉めてから振り返って思う
(私が 行かなくたって ここを出れば)

レイの声が聞こえる
「マリアー!」

マリアが思う
(”私のウィザード様”に 会えるから!)

レイが言う
「お早う!マリア!」

マリアが言う
「お早う御座います!ウィザード様!」

レイがマリアの姿を見て言う
「おぉ!すげぇ 似合ってるよ マリア!また一緒に 買物に行こうな!」

マリアが言う
「はい!有難う御座います ウィザード様!でも 今度は もう少し ゆっくりしましょうかね?3時のお茶は お家で飲んで?」

レイが言う
「そうだな!やっぱ お茶は そっちの方が 良いな!」

マリアが思う
(そうですよね?お外のお店では ”仲良く”出来ないですからね?)

マリアが微笑する レイが言う
「それじゃ マリア 今日も 早速 会社へ行くか?マリアは 仕事が 大好きで!俺は マリアが 大好きだから!俺はマリアの為なら 何時だって 力を貸すぞ!」

マリアが気付いて思う
(え?”マリアは仕事が大好きで”? …えっと 確かに 今の仕事は気に入っているけど ”大好き”って言葉は そっちじゃなくて…?)

レイが疑問して言う
「ん?今日は仕事に 行かないのか?マリア?」

マリアがハッとして言う
「あっ い、いえっ!行きます!もちろん 行きますよっ!?」

レイが言う
「よし、それじゃ 行くぞ?マリア?」

マリアが言う
「はい、お願いします ウィザード様」

マリアが思う
(まぁ… いっか…?)

レイとマリアが風に消える


会社

マリアが言う
「お早う御座います!課… 長?」

マリアが疑問して課長を見る 課長が息を吐いて言う
「お早う マリア君…」

マリアが呆気に取られてから 課長のデスクへ向かいつつ言う
「あの?どうか なさったんですか?もしかして… 泊り込みで?」

課長が言う
「ああ 社に泊まり込むなど もう何年ぶりか… それこそ 私が新入社員で 先輩方の力になろうと 必死であった あの頃以来だよ」

マリアが慌てて言う
「ど、どうして!?昨日は…っ」

マリアが思う
(確かに 昨日は ミッシェルリンク社の事があって 大変だったかもしれないけどっ 彼女たちは3人で前日から 準備をしていたから きっと何とかなるって…!?)

マリアがハッと思い出して言う
「あ… 違う 3人じゃなくて…」

課長が言う
「いや、3人だったとも… 私を含めて 3人だよ」

マリアが思う
(そうよね… 課長を含めれば… だって、彼女は…エミリィちゃんは 私たちと一緒に ライトストリートで 休日のデートを…)

後輩1が来て言う
「お早う御座います」

マリアが振り返って言う
「あ…」

課長が言う
「エミリィ君 こちらへ来たまえ」

後輩1が緊張して言う
「はい…」

後輩1が来ると マリアが横へ退く 課長が後輩1を見て言う
「昨日の朝 君からの連絡に 私は言ったね?今日だけは どうしても 人手が必要だから 臨時休暇は与えられないと」

マリアが思う
(え…っ!?)

後輩1が言う
「すみません… どうしても お休みさせて頂きたくて…」

課長が言う
「理由も言わずに 一方的に電話を切って その後は ずっと電源を切っていた様だが… お陰で 君の同僚の2人は とても大変だったよ 皆 夜遅くまで 残業をして… 仕事は遊びではない だから勝手は許されない 分かっているのかね?」

後輩1が言う
「すみません…」

課長が後輩1を見てから 息を吐いて言う
「今後 同じ様な事があれば 考えさせてもらう事にもなるから 十分に反省をしておくように …それから同僚の2人は 今日は少し遅れてくるから まずは 彼女たちに 昨日の詫びをしっかりとするように」

後輩1が言う
「はい 分かりました」

課長が言う
「では 下がって良い」

後輩1が言う
「はい」

後輩1が立ち去る 課長が息を吐いて言う
「反省の色は無しだな?困ったものだ…」

マリアが言う
「昨日は 普段も忙しい月曜日な上に ミッシェルリンク社の事もあって 大変だったんじゃないですか?それに 出勤していた社員は 課長の他に 後輩の2人で」

課長が言う
「まったく その通りだよ お陰で 私も 自分の仕事も出来ないまま 後輩たちのフォローをしながら そちらの仕事を…」

マリアが言う
「私に連絡を下されば すぐに来ましたのにっ」

課長が苦笑して言う
「うん、最初はすぐに マリア君へ連絡をしようと思ったのだが マリア君には プロジェクト企画の方へ 全力を投入してもらいたくてね 今はとても調子が良いだろう?それを 崩して欲しくなかったのだよ」

マリアが言う
「そ、それは… …有難う御座います」

マリアが思う
(課長 私に 期待してくれてるんだ…)

課長が微笑して言う
「一応 何とか 後輩2人と共に 乗り切る事が出来たからな?昨日の忙しさを経験したんだ あの2人は とても力を付けた筈だよ これからは 昨日の様な事があろうとも しっかりと こなしてくれるだろう」

課長が苦笑する マリアが微笑して言う
「将来有望ですね?」

課長が言う
「マリア君の様になるかもな?これからも 目を掛けてやってくれ」

マリアが言う
「はい」

課長が言う
「一応 エミリィ君にもな?」

マリアが苦笑して言う
「分かりました」

課長が頷き席を立つ マリアが自分の席へ向かう


マリアが席に着くと 後輩1が言う
「あのぉ… マリア先輩…?」

マリアが苦笑して言う
「どうしても 彼と会いたかったんなら 私に連絡してくれたら良かったのに… 課長や同僚の子に 迷惑になっちゃうから これからは 遠慮しないで私に連絡してね?」

後輩1が言う
「はい… 有難う御座います …でも 昨日は マリア先輩も 魔法使いさんと デートだったみたいですし…」

マリアが言う
「うん… まぁ… そんな感じだったけど 私は あの魔法使いさんとは 毎日会ってるし 彼も 協力してくれるから?」

後輩1が言う
「それじゃ やっぱり マリア先輩の 彼氏さん なんですか?あの 魔法使いさん」

マリアが苦笑して言う
「えっと… それは…」

後輩1が言う
「フランツは… マリア先輩の事 好きなんですよ… だから もし マリア先輩が あの魔法使いさんと 本当にお付き合いしてるなら… そうだって 言って欲しいです」

マリアが呆気に取られてから言う
「え?…何言ってるの?」

後輩1が言う
「マリア先輩 気付いてないみたいでしたけど…っ フランツは マリア先輩の事しか 見て無かったですよ …昨日 あの お店の前で会った時から… ずっと…」

マリアが言う
「そんな事は…」

後輩1が視線を落として言う
「マリア先輩たちと別れた後も ずっと そうでした…」

マリアが言う
「そんな…」

後輩1が目に涙を浮かべて言う
「だから 私… フランツに 言っちゃって良いですか?マリア先輩は あの魔法使いさんと お付き合いしてるから… マリア先輩は あの魔法使いさんの事を 大好きだから フランツとは付き合えないんだよって… 言っちゃって良いですか?」

マリアが呆気に取られて思う
(それじゃ… 私に別の人がいるから だから 諦めて 自分と付き合って欲しい …なんて 言うつもりなの?そんな事…)

課長が戻って来て言う
「マリア君 プロジェクト企画会議の方は 大丈夫かね?今は 急な 方向転換を行って 大変な時だろう?」

マリアがハッとして思う
(そ、そうだったっ!)

マリアが言う
「はい!課長!」

マリアが後輩1へ向き直って言う
「…ゴメン ちょっと 会議前だから お話は また後で」

後輩1が言う
「分かりました…」

マリアが言う
「あ、それから」

後輩1が振り向いて言う
「はい?」

マリアが言う
「私、今はまだ あの魔法使いさんと ちゃんと お付き合いしている訳じゃないけど… だから ”彼氏さん” じゃないけど 私は… 彼の事 …大好きだからっ」

後輩1が驚く マリアが微笑して言う
「だから フランツさんと お付き合いする事は 絶対に無いからね?」

後輩1が表情をほころばせて言う
「はい!分かりました!有難う御座います!マリア先輩!」

後輩1が小走りに席へ向かう マリアが微笑して言う
「よしっ」

マリアが立ち上がる


プロジェクト企画会議

会議が行われている 社員が言う
「私の推薦する企業は…」

マリアが資料を見ながら思う
(ああ… やっぱり この会社も 私の推薦した会社より ずっと有力だなぁ… 今期は 残念だけど 私の推薦は…)

社員が言う
「しかし、そちらの社でしたら 休暇前に推薦発表された A社の方が 数字が良いのでは?」

マリアが肩を落として思う
(折角 課長に 期待してもらってるんだし… もっと 頑張りたいんだけど… 何か無いかな?いくら今まで取引をした企業があったとしても 私1人で受け持った企業の数なんて 大した数はないし… …うん?私一人?)

社員が言う
「いえ よくよく資料を確認しました所…」

マリアが思う
(そう言えば私、リナやマキから 担当企業を任されたんだ…っ あの資料 今回 全然見てないっ もしかしたら あっちに もっと良い企業があるかもっ!?)

マリアが顔を上げる 司会役が言う
「…どうやら 急な方向転換で 少々勇み足に なっているのかもしれませんね?重要な点を見逃す事の無い様 今一度 資料の確認をした上で 発表は各自責任を持って お願いします 今回は ミッシェルリンク社の衰退による 我が社への利益も多いので ここで無理をして 余計な 不利益をこうむる様な事は無い様…」

マリアが思う
(あ、そっか… 評価ばかり焦らずに しっかり 足元を固めるようにって 昔 課長に言われたっけ?いけない いけない… 落ち着かないと)

司会役が言う
「では 少し早いですが 一度 皆さん 冷静になると言う事で 休憩を入れましょう 次の会議は 午後3時から」

社員たちが立ち上がる マリアが立ち上がって思う
(うん… それじゃ 私も ちゃんと お昼を食べて 落ち着いて 資料の見直しを…)

会議室に後輩1が駆け込んできて言う
「マリア先輩っ!大変ですよっ!」

社員たちとマリアが驚いて後輩1を見る 後輩1が言う
「マリア先輩の お母さんがっ!!」

マリアが驚いて思う
(え…?私のお母さんが…?)


会社

マリアが駆け込んで来る 後輩2,3と課長がTVの前に居て マリアへ振り返る マリアが息を切らせつつ 走って来てTVを見て驚いて言う

「なんで!?私のお母さんがっ 人質になんてっ!?」

TVに映る映像では ソニアが覆面をした男にナイフを突き付けられている

TVからレポーターが言う
『現在 警察に動きはありませんがっ 人質の救助を最優先にするとの事で 犯人からの要求である 500億の大金と…』

犯人が叫ぶ
『さあっ 早くしろっ!この女が どうなっても良いのかあっ!?さっさと 500億の金と!この女と一緒に居た あのウィザードを連れて来いっ!』

マリアが驚いて言う
「えっ!?」

レポーターが言う
『今!再び 犯人が 叫び声を上げました!要求は変わらず 500億の身代金と 人質にされている女性 ソニア・ノーチス奉者様のお仕えする ウィザード様を連れて来る様にと!』

マリアが思う
(一体どうなっているのっ!?)

マリアが言う
「何で お母さんと ”お母さんのウィザード様”をっ!?」

課長が言う
「詳しい事は言われてないが 犯人は最初の要求で この映像を TVへ放映するよう TV局へ連絡をしたらしい」

マリアが言う
「ど、どうしてっ!?何でそんな事っ!?」

マリアがTVを見る レポーターが言う
『尚 警察からの発表では 警察から奉者協会へ掛け合った所 奉者協会は ウィザード様の保護を 最優先とする為 犯人からの要求には 答えられないと』

マリアが驚いて言う
「そんな…っ」

マリアが視線を落として思う
(でも そうよね?奉者とは言え 一般の人と ウィザードじゃ… どちらが大切かなんて… …分かってる …そんな事は 分かるけどっ だからってっ!)

マリアがTVを見る レポーターが続けて言う
『共に 現行の事件は ウィザード様へは お知らせしていないとの事です そして、人質の救助等は 警察へ委任するとの事で 現在 警察は 犯人へ対し 身代金のみによる 人質の釈放を交渉しているものと 思われますが 依然として 犯人からの要求は変わる事は無く』

犯人が叫ぶ
『金だけじゃ 意味がねぇっ!あのウィザードを連れて来いっ!あいつを ぶっ殺してやらなけりゃ 意味がねぇえっ!』

マリアが驚いて言う
「こ、殺すってっ!?」

マリアが思う
(どうして ウィザードを?…違う ”あの”ウィザード… ”お母さんのウィザード様”を狙ってるっ …でも、どうしてっ!?)

後輩1が言う
「で、でもっ 大丈夫ですよね!?マリア先輩っ!?マリア先輩のお母さんと一緒に居た あのウィザードって人は この間の ダムの決壊から 村を守ったほど 凄い人 なんですから!それなら あの魔法で!あんな 犯人なんて やつけちゃいますよねっ!?」

マリアがハッとして言う
「…だ、駄目だと思う」

後輩1が言う
「どうしてですかっ!?だってっ!」

マリアが言う
「ウィザードも魔法使いも… 普通の人に対して 魔法を使っちゃいけないって… それをしたら 死刑にされちゃうって…」

後輩たちと課長が驚く 課長が言う
「そうか… もしかしたら その為に この様子をTVの映像へ撮らせるようにと 要求したのかもしれんな?」

後輩2が言う
「そうですよね?犯人は その人を …殺したいって 言っているんだから」

後輩3が言う
「それじゃ ウィザード様を連れて来たら 魔法も使えないし… あのナイフで 本当に殺されちゃうかもっ?」

皆がTVを見る TV映像では 犯人が同じ事を叫んでいる

マリアが思う
(どうしようっ!?ウィザード様に?ううんっ 駄目よ ウィザード様だって 犯人に魔法を使う事は許されないっ …それが 力を持つ者の義務なんだからっ 私が 助けを求めたりしても…っ でも それなら どうしたら?どうしたら 今 お母さんを助けられるのっ!?)

マリアが下を向き 強く目を閉じて思う
(お父さんっ お母さんを 助けてっ!)

TVからレポーターが言う
『あっ 今 犯人がっ!』

マリアが目を開く レポーターが言う
『痺れを切らしたのでしょうか?今 犯人が 人質の女性の顔を 殴りました!』

マリアがTVへ向こうとしていた顔を逸らして思う
(そんなの 見られないっ!)

課長と後輩たちが表情を顰める 後輩1が顔を逸らす

TVから犯人の声が聞こえる
『おらっ!てめぇえっ!言う通りにしやがれぇえっ!あのウィザードに 助けを求めろっ!助けて下さいって あのカメラに向かって叫べっ!黙ってんじゃねぇっ!そんなに 殴られてぇえのかぁあ!?』

マリアが両手で顔を覆って思う
(お願いっ!お母さんを 助けてっ!お父さん!…ウィザードさまっ!!)

レポーターの驚きの声がする
『ん!?あ…っ あれはっ!?…ウィザードっ!?ウィザード様ですっ!間違いないでしょうっ!?今 突然 犯人の前に ウィザード様がっ!!』

マリアが驚いて顔を上げてTVを見る レポーターが言う
『ここからでは 確かな確認は 取られませんがっ!恐らく 以前 ポルト村のダムの決壊から 村を守ったっ!今 人質とされている ソニア・ノーチス奉者様の仕える ウィザード様では なかろうかとっ!?』

マリアがTVを見て思う
(ウィザードさま!来てくれたっ!…でもっ!?)


某所

犯人が呆気に取られる ソニアが言う
「だ、駄目ですっ 逃げて下さいっ 私の事は構わずにっ どうか…っ」

ウィザードがソニアから犯人へ視線を向ける 犯人が笑んで言う
「フ…ッヒャッヒャッ 馬鹿がぁ 本当に来やがったぁ!おいっ!知ってんだぞ!?ウィザード!てめぇえは 俺たちに 魔法を 使えないんだろうぉ?使ったら てめぇえが 死刑だからなぁ!?」

犯人がソニアの首にナイフを突きつけたまま TVクルーへ向いて叫ぶ
「おいっ!しっかり 撮っておけぇっ!良いかぁっ!?こいつが魔法を使ったら それで終わりだぁあ!」

ソニアが犯人を見る 犯人がソニアを見て言う
「それとも?お得意の魔法を 使えないまま あいつらに殺されるのが先かぁ?フッヒャッヒャッ!」

ウィザードが横へ視線を向ける ウィザードの周囲を犯人の部下たちが囲う


会社

マリアたちがTVを見ている レポーターが言う
『今、犯人が叫んでいる 魔法を使えないと言うのは 魔力者共存法とされる 法律の下 魔法を扱う者は、それを扱わない者へ 魔法による危害を与える事を禁ずる と言う 法律の事ではないかと!この法律の下では どの様な理由があろうとも 魔力者ではない 犯人らへ対しての 魔法による攻撃は許されませんっ!』

後輩1が言う
「そんなぁ~っ!それじゃぁ どうしら良いんですかぁっ!?悪い人に使うなら 良いじゃないですかぁっ!」

課長が言う
「しかし… 法律だから と言うのではなく 魔力者と、そうではない者が 共存する と言う名目上では それは 仕方の無い事… かもしれないな?」

課長がマリアを見る マリアが表情を落とす レポーターが言う
『なんとっ!更に 犯人の仲間たちが 現れましたっ!手にナイフや鈍器を持っています!』

マリアがハッとしてTVを見る レポーターが続けて言う
『ウィザード様を それで攻撃しようと言うのでしょうかっ!?警察に動きはありませんっ!一体どうなるのでしょうかっ!?このままではっ 魔法を使えない ウィザード様が 数の上に置いても 立場に置いても 絶対的に不利です!こうなっては もはや 魔法で 逃げるしかないでしょう!?しかしっ 人質を連れて逃げる事は 出来ないのでしょうか!?ウィザード様にも 依然 動きはありませんっ!』

映像の中 犯人の部下たちがウィザードに近付いて行く マリアが言う
「ウィザードさま…っ お母さん…っ」

マリアが息を飲む TVから犯人の声が聞こえる
『やっちまえぇえ!!』

レポーターが言う
『ああっ!犯人の掛け声により 犯人の仲間たちがっ!…あっ ウィザード様が杖を掲げたっ!?魔法を使ってしまうのかぁあっ!?』

マリアが慌てて叫ぶ
「だ、駄目っ!」


某所

ソニアが叫ぶ
「逃げてぇーっ!」

鈍い音が響く ソニアが驚く ソニアの横に居る犯人が呆気に取られる 誰かが倒れる


会社

マリアたちが呆気に取られる TVからレポーターが言う
『な… な、殴ったぁっ!?』

マリアたちが言う
「「えっ!?」」


某所

ウィザードが両手で杖を握り 自分へ向かって来た犯人の部下1人を 殴り倒した状態から 上体を上げ横目に他の部下を見る 犯人と犯人の部下たちが 思わず立ち止まった状態で 呆気に取られているが 犯人がハッとして言う
「な、何やってやがるっ!?相手は 1人だぞ!?てめぇえら やっちまえぇえっ!!」

犯人の部下たちが いっせいにウィザードへ襲い掛かる ウィザードが杖を両手で握り顎を引く


会社

マリアたちがTVの前で呆気に取られている TVからレポーターが言う
『げ、現場は 大乱闘になっていますっ!し、しかしっ い、意外…っ と言いましょうかっ!?ウィザード様…っ つ、強いっ!?魔法を使う事も無くっ!?襲い来る 犯人の仲間たちからの攻撃を 素早く避けながら 次々と杖による 打撃にて 襲い来る敵を ノックアーウトッ!』

マリアが言う
「う、嘘…?」

課長が言う
「あれは… 魔法… では無いな?」

後輩1が言う
「じゃ、じゃぁ… 良いんですかぁ?」

後輩2が言う
「い、良いんじゃない?」

後輩3が言う
「暴力ではあるけど 正当防衛… って 奴ですよね?」


某所

レポーターが遠くで叫ぶ
「なんとぉっ!?ウィザード様ぁあっ およそ 26人の 犯人の仲間たちを 全員 ノックアーーウトッ!」

ウィザードが上体を起こし 犯人を見る 犯人が驚きに目を丸くしていると ウィザードが犯人のもとへ向かう 犯人がハッとして 慌ててソニアとウィザードを交互に見てから ナイフを構え ウィザードへ攻撃を仕掛けながら言う
「こ、この野郎ぉおおっ!」

ウィザードが犯人の攻撃をかわし 杖で殴り付ける 犯人が悲鳴を上げる
「がはあっ!」

犯人が倒れる ソニアが呆気に取られた状態から ホッと肩の力を抜く ウィザードがソニアへ向き 構えを解除して ソニアの下へ向かう


会社

TVの映像にウィザードがソニアの下へ向かい ソニアを拘束していたロープを 魔法で切る ソニアが拘束から解除され ウィザードへ向かい微笑する

レポーターが言う
『たった 今!ウィザード様が 最後に残っていた 犯人をも殴り倒し!人質の拘束を解除しました!尚 ロープを切る際には 確かに 杖が一瞬光りましたが!それまでの間は 一度も光ってはいません!これにより ウィザード様が 犯人たちへ対して 魔法による攻撃はしていないものと!その様に 判断しても 良いのではないかとっ!?』

TV映像に ウィザードがソニアを片腕で包み 風に消える映像が見える

レポーターが言う
『あっ!消えましたっ!ウィザード様と 人質にされていた ソニア・ノーチス奉者様が ウィザード様の魔法で 現場から 居なくなりました!と、同時に たった今 警察たちが 倒れている犯人たちの 拘束へと向かう模様です!』

後輩1が言う
「もぉっ!今頃 来ても 遅いですよぉっ!」

皆が苦笑する 皆がTVへ向き直ると レポーターが言う
『たった今 入りました情報です!奉者協会並びに 司法鑑定結果により この度の ウィザード様による 奉者奪還作業において ウィザード様から 犯人たちへ対する魔法の使用は 一切 確認されなかった との 正式発表がなされましたっ!』

マリアたちが安堵の声を上げ マリアが言う
「良かった…っ」

マリアがホッと肩の力を抜く レポーターが言う
『犯人たちは 警察により 全員検挙された模様です 人質も保護され この事件は 無事 解決されたと言って良いでしょう!これも 全ては… 意外な力を垣間見せて頂きました ウィザード様の… 武勇によるものであると!いやぁ、しかし 驚きました ウィザード様の杖は 魔法を使うだけではなく 時として 強力な 鈍器にも成り得る模様ですっ』

マリアが衝撃を受けて言う
「…そ、そうなんだ?あの杖…」

マリアが思う
(確かに 1億の 魔法使いの杖より おっきくて… 殴られたら痛そうだけど… でも、あれ 意外と 軽かったんだけど…?)

マリアが言う
「鈍器にも なる物だったんだ…」

マリアが苦笑してから溜息を吐く
「は… はは… はぁ~…」

マリアがホッとして思う
(ウィザードさまって… やっぱり 分からない人… …でも)

マリアが苦笑して言う
「やっぱり… 助けてくれた」

マリアが思う
(それでも 相変わらず… ”何も言わない” のかな?)

マリアがくすっと笑う 課長や後輩たちが微笑し 後輩1が言う
「良かったですね!マリア先輩!」

マリアが微笑して言う
「うん!」

課長が頷き言う
「さぁ、では 皆 仕事に戻ろう …うん?ウィザード様の武勇を観戦している間に もう 昼休憩の時間か すっかり見入ってしまったな?」

後輩たちが笑い 後輩2と3が言う
「私たちは さっき来たので これから仕事を始めます」
「課長や皆さんは ゆっくりして来て下さい」

課長が言う
「うむ、それでは しばらく頼むよ」

課長がマリアを見て言う
「マリア君は お母様の所へ行くかね?無事であったとは言え この様な事があったんだ 午後は半休を取って お母様の下へ帰るかね?」

マリアが反応し言う
「あ… えっと…」

マリアがTVを見る TVには事件のダイジェストとして ソニアの映像が映っている ソニアは拘束されていても 毅然とした態度で居る マリアが気付き微笑してから 課長へ向き直って言う

「いえ、大丈夫です 課長 私は 私の仕事を しっかりこなします!」

課長が言う
「うん?いや、しかし… そこまで 無理はしなくとも」

マリアが言う
「それに 母も まだ家には戻らないと思います 今日も きっと いつも通りの時間まで 奉者の仕事をきちんとこなしてから 帰ってくると思いますので」

課長が言う
「そうか… 立派な お母様だな?」

マリアが微笑して言う
「はい!自慢の母です!」

課長が頷く マリアが微笑する


会社 外

マリアが出て来て言う
「ふぅ~ 終わった~…」

マリアが苦笑して思う
(課長には あんな風に言ったけど… 結局 午後は あまり 仕事に身が入らなかったなぁ… 一応 リナとマキから引き継いだ 企業の確認はしたけど 午後のプロジェクト企画会議は だた聞いて居るだけで ちょっとボーっとしちゃったし…)

マリアが苦笑して言う
「まだまだ 私は お母さんには 及ばないな?」

マリアが軽く笑う レイの声が聞こえる
「マリアー!」

マリアが顔を向けると レイが到着して言う
「お仕事お疲れ様!マリア!」

マリアが言う
「はい、お疲れ様です ウィザード様 …あ、ウィザード様 今日の事件は ご存知ですか?」

レイが疑問して言う
「ん?今日の事件って?」

マリアが苦笑して言う
「私のお母さんが 誘拐されてしまったんですっ それで…」

レイが一瞬驚いて言う
「マリアのお母さんが!?…ああ、けど それなら大丈夫だろ?先輩が助けに行くからさ?」

マリアが言う
「はい、その先輩が ”お母さんのウィザードさま”が 助けに来て下さいました …それに その様子は 私たちも TVで見ていたんですけど」

レイが言う
「マリアたちも 見ていたのか?それじゃぁ その場所に 監視カメラでもあったのか?」

マリアが苦笑して言う
「え?えっと… そうですね?そんな感じで …だから 私 心配だったんです お母さんを誘拐した犯人たちは 普通の人だったので… つまり 魔法を使えない人たちですから ”お母さんのウィザードさま”だって その人たちへ対して 魔法を使っちゃいけない訳ですから」

レイが言う
「ああ、そうだな?でも それなら さっさと マリアのお母さんを連れて 魔法で 逃げれば良いんだよ 簡単だよ」

マリアが言う
「え?あ… いえ?ウィザード様?ウィザード様の”先輩”は 戦ったんですよ?魔法を使わないで 力と体力を使って 26人以上も居た お母さんをさらった 悪い人たちを やっつけたんです!」

レイが呆気に取られて言う
「戦った?やっつけた?」

マリアが言う
「はい!お陰で その後 ちゃんと警察が犯人と仲間たちを取り押さえて 今 詳しく犯人たちを 調べているって言ってました!”お母さんのウィザードさま”は 魔法だけじゃなくて 力と体力にも優れているんですね?」

レイが言う
「力と体力に?いや、そんな事 無いと思うけどなぁ?先輩だって ウィザードなんだから その2つに関しては 優れる事は出来ない筈だよ?」

マリアが言う
「え?でも… あのウィザードの杖って大きいですし その上 とても軽いですから あれを振り回すのには体力が必要だと思いますし 軽い物で打撃を与えるんじゃ かなり 力が必要だと思いますよ?」

レイが少し考えてから気付いて言う
「う~ん… ああ、分かった!それなら 先輩は 魔法を 使ったんだよ!」

マリアが疑問して言う
「え?しかし… 杖はその間 一度も光りませんでした …杖が光らないと言う事は 魔法を使っていない と言う証拠ですよね?」

マリアが思う
(だから 奉者協会や司法鑑定で 魔法の使用は無かったって…)

レイが言う
「ああ、それはさ?その… 犯人?って奴らに対して使ってないから 光らなかったんだよ 杖が光るのは ”誰かに”対して 魔法を使った時だからさ ”自分”に対して 魔法を使うなら杖は光らないんだ」

マリアが驚いて言う
「え?それじゃ…?」

レイがマリアを片腕で包んで言う
「だから 例えば そうだな?俺がマリアと一緒に 飛ぶ時にはさ?」

マリアが杖を見る 杖が光り レイとマリアが風に消える


自宅 前

レイとマリアが現れる レイが言う
「はい 到着!見てたか?光っただろ?」

マリアが呆気に取られて言う
「は、はい…」

レイがマリアから離れ言う
「けど 俺1人なら…」

レイが魔法で短距離を 一瞬で数回移動する マリアが驚く レイがマリアの前に現れて言う
「ほらな?光らないだろ?」

マリアが驚いて言う
「な、なるほど そういえば ウィザードさまが 犯人たちの攻撃を避ける時は 今の ウィザード様みたいに 軽々と避けてました」

レイが言う
「そうだろ?それに 杖で殴るのだって ただ 力だけで殴ろうとしても 大した 攻撃にはならないよ ちょっと殴られて 痛い位だ けど その瞬間に 自分の腕に魔法を掛ければ…」

レイが杖を振り下ろす ブンッと力強い音が風を切る レイがマリアへ向いて言う
「な?こんな感じじゃないか?」

マリアが呆気に取られて思う
(ホ、ホントだ… ”お母さんのウィザード様”と 同じ…)

マリアが微笑して言う
「そう言う事だったんですね?すっかり騙されちゃいました」

レイが微笑して言う
「けど わざわざ こんな手の込んだ事してまで その 犯人たちを 殴ったって事はさ?先輩 相当 怒ってたんだろうな?」

マリアが疑問して言う
「え?」

レイが言う
「だってさ?実際に やれって言われれば 俺だって 今みたいに出来るけど 俺 正直 今のだけでも 疲れたよ?」

マリアが衝撃を受ける レイが苦笑して言う
「こいつを26回もやれって?俺なら さっさと逃げるね!って言うか 26回もやれるか ちょっと 自信ないな 俺 精神力は先輩より 低いからさ?相変わらず 先輩 やってくれるよ」

マリアが言う
「えっと… 細かい事を言えば お母さんを ずっと脅していた犯人を含めて 27回だと思います… て言うか」

マリアが苦笑して思う
(”お母さんのウィザード様” 怒ってたんだ?それは やっぱり…)

レイが考えて言う
「それにしても… なるほどな?こんな方法もあるもんだな?マリアに言われなきゃ 俺 考え付かなかったよ 流石 ウィザードの先輩 これも年の功って奴かな?」

マリアが衝撃を受けて言う
「ウィ、ウィザード様っ それは 褒めるにしても やっぱり その言い方は 失礼ですからっ」

レイが言う
「え?良いじゃないか?本当の事だろう?それだけ 魔法を使いこなしているから 考え付く方法だって!」

マリアが言う
「な、なるほど?そうですか…」

マリアが思う
(それなら… 良いのかなぁ?)

マリアが苦笑して言う
「…でも、”お母さんのウィザード様”は やっぱり 自分の奉者を傷付けられた事で 犯人たちに 仕返しをしたいって 思っちゃったんですかね?意外と… ちょっと 人間味があるって言うか…」

マリアが思う
(なんだか… 嬉しいかも?)

マリアが言う
「本来 暴力は いけない事ですけど 私、ちょっとだけ 嬉しかったです お母さんの為に それだけ 怒って下さったって事なら」

レイが言う
「ああ、そうだな ウィザードだって 人間だからな?神様じゃないんだからさ?怒る事だってあるだろ?増して 自分の大好きな奴を 傷付けられれば 当然だよな?」

マリアが呆気に取られて言う
「え?自分の大好きな奴を…?」

マリアが思う
(それって…)

レイが言う
「俺だって もし 誰かがマリアを 傷付けたりなんかしたら 怒るぞ?けど 俺は先輩みたいに 細かい事は考えないからさ?マリア以外 全員 魔法で ぶっ飛ばしちゃうな!」

マリアが衝撃を受けて言う
「だ、駄目ですよっ!」

レイが言う
「何で?」

マリアが慌てて言う
「な、何でってっ!?」

レイが言う
「誰にもバレなけりゃ 大丈夫だよ マリアは 言わないでくれれば 良いだけだし!」

マリアが言う
「で、ですからっ!そう言う問題ではなくてっ!」

マリアが思う
(え、え~と…っ!?)

マリアが言う
「ほ、法律は守って下さいっ!魔法で人を傷付けては 駄目です!今回みたいに 人並みに解決して下さいっ …って言うか もう 面倒なので そんな時は やっぱり 私だけ連れて 逃げて下さいっ!」

レイが言う
「うん!そうだな!マリアが言うなら 俺はそうするよ!それに 流石 マリアだな!?」

マリアが疑問して言う
「流石って…?」

マリアが思う
(また 私が優しいって言うの?でも これ位は 常識… 普通の事だし…)

レイが言う
「俺の 食堂の時間を気にして 話を切り上げてくれるなんてさっ!」

マリアが衝撃を受け苦笑して思う
(そっち!?…て言うか 私 今それは 考えてなかったんだけど… それより むしろ私は 今…)

マリアが微笑して言う
「はい 私も やっぱり 早く お母さんの顔を見たいので 今日はこれで」

レイが言う
「うん!そうだな!いくら先輩が居るから 大丈夫だって言っても そんな光景を見てたんなら マリアは早く お母さんに会いたいよな?」

マリアが苦笑して言う
「はい 私にとっては 残された たった一人の家族… たった一人の お母さんですから!」

レイが一瞬気付いた後 苦笑して言う
「そ、そうか… あ、けど」

マリアが疑問して言う
「はい?」

レイが一瞬の後言う
「今日はまだ マリアのお母さんは 先輩の部屋に居るみたいぞ?いつもなら もう こっちに向かってるんだけどな?」

マリアが言う
「え?そんな事が 分かるんですか?」

レイが言う
「ああ、分かるよ マリアのお母さんは 長い事 先輩と一緒に居るからさ?先輩の魔力が十分に移ってるからな!」

マリアが呆気に取られて言う
「え?魔力が移る?」

レイが言う
「そうそう だから 奉者は 自分の仕える ウィザードに守られるんだよ ちょっとした危害なら その魔力だけで 守られたりもするんだぞ?」

マリアが呆気に取られて言う
「そ、そうなんですか…?」

レイが言う
「うん、それに 何より 身の危険を感じた時に その意識が 伝わるんだ だから 助けにいけるんだよ …今回も そうだろう?」

マリアが気付いて思う
(あ…っ!?そっか… だから お母さんが 犯人に殴られたって… そう TVで言った時に ”お母さんのウィザード様”が あの場所に…?)

マリアが言う
「そう言う事だったんだ…」

マリアが思う
(てっきり… お父さんが… お母さんの為に ウィザードさまを 連れて来てくれたのかと…)

マリアがバックに入れてある 定期券入れへ意識を向ける マリアが苦笑する

レイが言う
「俺もマリアに何か有れば 飛んで行って 助けてやるからな?安心しろよ マリア!…あ、安心しちゃ駄目だな?ちゃんと 身の危険は感じないと 俺に伝わらないからな?」

マリアが苦笑して言う
「はい、分かりました 難しい所ですね?」

レイが軽く笑って言う
「そうだな!」

レイとマリアが笑い レイがハッとして言う
「あっ!食堂の時間がっ!それから マリア 今、マリアのお母さんが 先輩の部屋を出たみたいだぞ?いつもよりちょっと遅いけど ちゃんと帰って来るだろうから 安心しろよ マリア」

マリアが言う
「はいっ それでは お母さんの為に 私も 張り切って 用意しておきます!」

レイが言う
「そうか!それじゃ また明日な!お休み!マリア!」

マリアが言う
「はい、お休みなさい ウィザード様」

レイが風に消える マリアが微笑した後 玄関へ向いて言う
「さ!お母さんが 帰って来るまでに!」

マリアが家へ向かう

――…

ソニアが玄関へ入り言う
「ただいまー」

マリアがキッチンから出て来て言う
「お帰りなさい!お母さん!」

ソニアがマリアを見て苦笑する マリアが苦笑し駆け寄って言う
「お母さん… 良かった…っ」

ソニアが微笑して言う
「ええ、マリア… 心配を掛けちゃったかしら?ごめんなさい」

マリアがソニアに抱き付く ソニアがマリアを抱き締める

マリアが言う
「心配したよ…っ 会社で後輩の子が 知らせてくれて… ずっと TVの前で… …でも 良かった」

ソニアが微笑すると マリアが顔を上げ 微笑して言う
「それでね!お母さん きっと 朝から何も食べてないと思って… だから ご馳走作って 待ってたよ!」

ソニアが一瞬驚いてから微笑して言う
「まぁ… 有難う マリア…」

マリアが言う
「さ!一緒に食べよう!?お母さんの顔見て安心したら 私 お腹空いちゃった!」

ソニアが言う
「ええ、そうね お母さんも マリアの顔を見て 安心した… それに マリアの作ってくれた手料理を 食べられるなんて お母さん 嬉しいわ」

マリアとソニアが微笑しキッチンへ向かう


ソニアが言う
「美味しい… マリアもすっかり お料理が上手になったわね?」

マリアが言う
「トマトの煮込みマリネは お母さんが作った方が やっぱり美味しいけどね?」

ソニアが言う
「そんな事無いわ とっても美味しいわよ」

マリアが微笑する TVでニュースがやっている キャスターが言う
『…捕らえられた 犯人たちは 暴力団グループの名を名乗っており 更に…』

マリアが反応し苦笑して言う
「本当に 今日は大変だったね?お母さん 私… どうしたら良いか 分からなくなっちゃって… 最初は ”私のウィザード様”に お願いしようかと思ったの …でも 相手が 悪い人だって言っても 魔法を使わない人だから… ウィザード様に お願いしても 駄目かもしれないって…」

ソニアが反応し苦笑して言う
「ええ お母さんも同じだったわ ウィザードや魔法使いが 犯人たちに魔法を使う事は 許されないのだし… お母さん 実はね… 最初に捕まった時に 覚悟を決めていたの… これで お母さん… お父さんの所に 逝くのかなって…」

マリアが言う
「お母さん…」

ソニアが言う
「マリアには 可哀想だけど… 仕方が無いって …だから 最後は 私のウィザード様への 今までの感謝を込めて あの人の奉者として しっかりしていなきゃって」

マリアが思う
(それじゃ お母さんは 魔力が移るって事 知らなかったのかな?気をしっかり持っていたのは 奉者として… ウィザードさまへの 今までのお礼に?)

ソニアが苦笑して言う
「でも、犯人に殴られた瞬間にね?やっぱり 怖いって… ”助けて” って思ってしまったのよ… そうしたら …驚いたわ?まるでその言葉に 答えるかの様に 次の瞬間には 目の前に あの人が居らしたのだから …でも 慌てて言ったの ”私の事は 良いですから 逃げて下さい”って」

マリアが思う
(それじゃ 助けを求めた その相手は…)

ソニアが無意識に指輪に触れている

マリアが気付き微笑して言う
「わ、私もね!?TVの前で 必死にお祈りしてたの!”お父さん!お母さんを 助けて!”って!」

ソニアが一瞬驚いて 指輪に触れている手を止める マリアが気付き一瞬呆気に取られてから 気を取り直して言う

「あっ でもね!?お母さん?知らなかった?私も… 今日 ”私のウィザード様”から 聞いたんだけどね!?奉者は ウィザードに守られるんだって!長く一緒に居ると ウィザードの魔力が奉者に移って 小さな危害からは その魔力だけでも守られるって!それに 身の危険を感じると それが 伝わるんだって!だから…」

マリアが思う
(あの時 ウィザードさまを 連れて来たのは… その… 魔力で…)

ソニアが苦笑して言う
「あら… そうだったの?てっきり お父さんが 連れて来てくれたのかと思ったわ?”マリアを1人にしては いけませんよ?”ってね?」

マリアが微笑して言う
「そ、そうだよ!?それに… ”お母さんのウィザード様”は 直接犯人たちに 魔法を使わなくても 強いんだから!」

ソニアが軽く笑って言う
「うふ…っ そうよね?」

マリアが微笑して言う
「でも、私 最初 びっくりしちゃったっ ううんっ 私だけじゃないよね?だって TVのレポーターの人だって ”意外”って言ってたもん ”お母さんのウィザード様”が 犯人たちを あの杖で殴った事」

ソニアが苦笑して言う
「ええ お母さんも… まさか あの人が あんな事をするだなんて …お母さん 最初 何が起きたのか分からなくって 呆気に取られちゃったわ」

マリアが苦笑して言う
「お母さんも 驚いたのね?私、最初 魔法を使っちゃうのかと思って TVの前で 叫んじゃった ”駄目ーっ!”って!」

ソニアが笑う マリアが笑う ソニアが言う
「お母さんも そう思って ”逃げてー”って 叫んでいたのよ?」

マリアが言う
「そうだったんだ?やっぱり お母さんは 立派だね!奉者として ウィザードさまを 守ろうと思ったんでしょ!?」

ソニアが言う
「さぁ どうだったのかしら?分からないわ あの瞬間は もう…」

マリアが苦笑した後に言う
「でも、これからは 安心だね?お母さんは ”お母さんのウィザード様”が 守ってくれるから …それに 私は”私のウィザード様”が 守ってくれるって言うし?」

ソニアが微笑して言う
「そう それなら お母さんも 安心だわ」

マリアが言う
「あ、でもね?”私のウィザード様”は 精神力が ”お母さんのウィザード様”より 低いんだって?だから、今日も ”お母さんのウィザード様”の 真似をして見せてくれたんだけど 1回やっただけで 疲れちゃったって …ふふっ やっぱり”先輩”は 凄いって言ってたよ?」

マリアが思う
(でも 年の功って言うのは やっぱり…)

ソニアが言う
「あら そうなの?”マリアのウィザード様”の方が 若いのにね?うふふっ」

マリアが衝撃を受けて思う
(う…っ それを 言われると…っ あ!でも…)

マリアが言う
「あ、あのね?お母さん 今日の あの… 杖で叩いたのもね?本当は 魔法だったんだって だから…」

マリアが思う
(…だから 年齢とか 体力の問題じゃなくて… 精神力の…)

ソニアが言う
「ええ、今回は お母さんも 伺ったのよ?そうしたら あれは 魔法を使っていたのだ ですって?杖が光らなかったのは 相手に使わず 自分へ使っていたから なんですって?」

マリアが微笑して言う
「うん そうらしいね?お母さんも 聞いたのね?」

マリアが思う
(そうなんだ?今回は ”何も言わない” んじゃなかったんだ?)

ソニアが言う
「ええ、だから いくら魔法の力を借りても 身体を動かしている事には 変わりはないからって… だから」

マリアが思う
(そっか?そうよね?いくら身体を動かす為の その元の力は魔法に頼ったとしても 動いている事に 変わりは無いのだから… …で?それじゃ?)

ソニアが言う
「お部屋に戻ったら その後は もう動けないって 倒れちゃって…」

ソニアが笑う マリアが衝撃を受け言う
「えっ!?そ、そうだったんだ…?」

マリアが苦笑して思う
(やっぱり ”お母さんのウィザード様”も 疲れちゃったのね?それはそうよね?力と体力の無い ウィザードなんだから…)

マリアが苦笑した後言う
「あっ でもっ 凄いよね?”お母さんのウィザード様”は お母さんの為に 26回も… あ、27回も?そんな魔法を 自分に使って 一生懸命戦ったんだよね?お母さんの為に!」

ソニアが言う
「え?」

マリアが言う
「だって ”私のウィザード様”が 言ってたよ?そんな 大変な事するくらいなら 俺なら マリアを連れて さっさと逃げちゃうよって!”先輩”が そんな手の込んだ事をしてまで 犯人たちを殴ったのは 相当怒っていたんだろうなって!だから 私 ちょっと嬉しかったの ”お母さんのウィザード様”が お母さんの為に それだけ怒ってくれたんだから!」

ソニアが呆気に取られた後微笑して言う
「あら… そう… そうなのかしらね?お母さん 考えもしなかったわ?」

ソニアが無意識に指輪を撫でる マリアが気付きつつ苦笑して 気を取り直して言う
「えっと… それで お母さん 明日は?明日もやっぱり…?」

マリアが思う
(あんな事があった後でも やっぱり いつも通りに…)

ソニアが言う
「ええ、明日は そんな訳で ”一日休む”って 仰ってたのだけど… でも、あの様子じゃ ”一日動けない”の 間違えだと思うわ?」

マリアが呆気に取られた後笑って言う
「あ… ふっ ふふっ もぉ~!お母さんったら 酷ぉ~い!」

ソニアが笑う それを見たマリアが笑う

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