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19章
アールスローン戦記Ⅱ 転がる赤リンゴ
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【 政府警察 】
警察官らが言う
「企業会談及び会合の開始から 20分を経過 各地区の警備状態 異常なし」 「各地区警察の状態 通常状態と認識 主立った事件事故の発生は見受けられません」
シェイムが真剣な表情で思う
(今までの6件の事件は 同日に複数個所にて そして会談や会合と言われるそれらが開始されて 10分から 遅くとも20分までの間に事件は起こされていた しかし 今の所1件もそれらの報告も無いとなれば…?)
シェイムが肩の力を抜いて言う
「今日は もう 起きないと言う事でしょうか?」
シェイムが思う
(犯行は毎日起きていた訳でもない上に こちらが対策本部を立てたと公明したとあっては もう 行わないという可能性すら…?だとしたら尚更 現状手がかりになるものが 得られていない我々政府警察は どうやって 犯人らを…?)
電話が鳴る シェイムがハッとすると 警察官が受話器を取って言う
「こちら政府警察本部!…えっ!?事件がっ!?」
シェイムが慌てて言う
「事件が起きたのですかっ!?直ちに 出動させた人員の確認と 現場からの情報を共有しなさいっ!」
警察官が呆気に取られる シェイムが言う
「どうしたのですっ!?今作戦に関係の無い事件であっても 詳細の確認をしなさい!」
あちこちで電話が鳴る シェイムが驚いて言う
「こ、これは…っ!?」
警察官の1人が受話器を押さえて言う
「メイリス顧問官!報告です!」
シェイムが振り向いて言う
「報告?…警備部隊からの報告でしたら 地区警察へ行わせなさい!報告は纏めて そちらの署長から!」
警察官が言う
「そちらの署長から!リング地区の企業にて 会合襲撃事件が発生し 既に 犯行が行われたとの報告です!」
シェイムが驚いて言う
「犯行が行われたっ!?行われたとはっ!?そちらのリング地区警察の動きは どうなっているのですか!?」
別の警察官が言う
「メイリス顧問官!こちらも!マイルズ地区の企業にて 会談襲撃事件が発生し 身代金を振り込まされたとの 報告です!」
シェイムが驚いて言う
「振り込まされた!?それではっ!?」
シェイムが思う
(犯行は既に始まっているっ!?)
【 某企業会合所 】
犯人Aが警備員の頭に銃口を突きつけて言う
「全員動くなっ!少しでも可笑しな真似をしたら!」
犯人Bが連れて来た警備員の首を切り裂く 会合所に居た企業者たちが目を見開く 犯人Aが企業者たちを見て笑んで言う
「この通りだっ!お前たちも コイツのように殺されたくなかったら!言う通りにしろっ!」
企業者たちが怯える アースが澄まして見ていて思う
(なるほど これが 迅速な振込を実行させた手口か… 政府系企業となれば 国防軍系列の企業とは異なり 本物の死体は勿論 人の命が奪われる その現場を見る事は無い …脅しには十分か?)
犯人Bが死体を見せ付けている 企業者たちが怯えている アースが思う
(そして 恐らく 命を奪われた あの者は 最下層の者… だから 今までの政府の発表に置いては 死傷者数にカウントされていなかったのだろう もしくは 政府系企業の連中は 自分たちの保身の為に その事実を口外しなかったのか… どちらにせよ この犯行の計画者は…)
犯人Aが近くに居た企業者の トレードカードを見て言う
「ラスタス企業 資本金13億… よし、なら お前の身代金は 10億で良い 秘書へ連絡して振り込ませろ …今直ぐ!」
犯人Aが企業者へ銃を向ける 企業者が言う
「…わ、分かった 10億だな?」
犯人Bが警備員の首へナイフを当てている アースが思う
(政府のそれらの事情に 精通した者… もしくは それを仲間にしたつもりで 使われている 最下層の者か?)
企業者が言う
「口座は?」
犯人Aが言う
「そうだな?それなら まずは メイス地区銀行の番号は…」
アースが思う
(あの言い方からして 振込先の口座は 複数を使用すると言う事か?いや それだけでは見破られる 何か策を立ててある筈 いくつかを確認出来れば そこから 割り出せるか…?)
犯人Aが自身の携帯で口座の情報を確認すると言う
「よし それじゃ お前の命は保障してやる」
企業者が言う
「身代金を支払ったのだから 解放してくれるのでは無いのかっ!?」
犯人Aが言う
「保障してやるって言っただろう?そっちで待ってろ 他が終わったら 解放してやる」
犯人Cが銃を向ける 企業者が従う 犯人Aが言う
「よし 要領は分かったな?さっさとやってくれよ?…こうなりたくなければな?」
犯人Aが警備員の頭に銃を突き付ける 警備員が言う
「ひぃっ!?け、携帯は渡したっ 銃も渡したっ 命は助けてくれるとっ!?」
犯人Aが言う
「…あぁ そうだったぁ?」
アースが思う
(携帯は渡した?銃も?…本当に 民間の警備員だったのか?政府警察の制服を来た…?まさかな しかし…)
犯人Aが言う
「はははっ 悪ぃなぁ?うっかり忘れる所だったぁ お前らも 俺に 忘れさせねぇようにな?身代金を支払った後も 大人しくしていてくれよ?」
アースが思う
(本当に 連絡手段は 自信の持つ携帯電話だけだったのか?…作戦と言う名の下に置いては 呆れるばかりだが …とは言え 今更 引き下がる事も出来ない そうとなれば…)
犯人Aが天上へ向けて銃を放つ 人々が銃声に驚く アースが鼻で笑って思う
(ふん?大した演出だ 最も 素人が相手であればの話 …歴代国防軍長 ハブロス家の名誉と誇り… この魂を 見せる時が来たか)
犯人Aと犯人Cが企業者たちへ身代金の振込作業を行わせる 犯人Bが人質を取りつつ周囲を伺っている アースが寛いでいる 犯人Bがアースに気付き訝しむ
【 政府警察 】
シェイムが言う
「その他の地区警察からの連絡はっ!?」
警察官が言う
「リング地区とマイルズ地区の企業会合が襲われ 身代金の振込が終えられたと言う連絡以外 その他の地区警察は 全て 平常通りです!」
警察官が受話器を抑えて言う
「メイリス顧問官!メイス地区警察が出動したと!」
シェイムがハッとして言う
「メイス地区…っ!?」
シェイムが資料へ視線を向ける メイス地区の企業会合の参加者リストにアースの名が在る シェイムが言う
「分かりましたっ そちらの事件の情報と経過を!必要とあれば 追って指示を出します!」
警察官が言う
「分かりました!伝えます!」
シェイムが周囲を見て気を焦らせる
【 企業会合所 】
犯人Aと犯人Bが各々企業者から身代金の徴収をしている アースが一度コンソールへ視線を向けてから思う
(これまでに掛けられた時間は 平均して1人1分弱… こいつらには 同じ政府の仲間である 政府警察の作戦に 参加していると言う意識は無いのか?事件誘発の為の餌として撒かれたからには 彼らの到着を待つ為に 相応に時間を稼いでやるのが 筋というものを…っ)
犯人Aが言う
「ミリセスカンパニー 資本金9億… う~ん… なら 5億かぁ?少ねぇなぁ?…ちょいと追加して10億行っとくかぁ?」
企業者が言う
「5億でも10億でも良いっ!私の命の保障をしてくれっ!」
犯人Aが笑って言う
「そうかぁ!?流石は高位富裕層様~?じゃぁ アンタの身代金は 10億で?」
アースが気付いて思う
(うん?もしや…?)
アースが政府の書類を思い出して思う
(…そう言う事か 呆れた連中は警備員だけではなかった こいつらは皆…っ)
企業者が携帯へ言う
「私の身代金として10億を マイルズ銀行の口座番号098765へ 直ちに振り込めっ!」
携帯から秘書の声が聞こえる
『畏まりました 直ちに お振込を致します』
犯人Aが携帯で振込を確認してから笑って言う
「あっははあっ!資本金以上の身代金を払っちまって大変だったなぁ?まぁ 命は助かるんだから 後で精々稼いでくれやぁ?」
犯人Aが企業者の腕を引っ張り肩を叩いて向かわせる 企業者が犯人Aを振り返って鼻で笑って言う
「ふんっ」
アースが思う
(この作戦の中に置いて 支払った身代金は ”政府警察が全額保証する”と見込んでいるのだろう …そうとなれば尚更 今作戦の立案者である メイリス顧問官殿っ この作戦は 確実に成功させなければ…っ)
犯人Aがアースの下へ来て トレードカードを見ながら言う
「最後はお前だ 会社名は…エーアールティー?うん?…政府系企業じゃないのか?お前は… っ!?」
アースが思う
(現行 正義の名の下にある 我々の政府警察は 終わるぞっ!)
犯人Aがアースを見て驚いて言う
「国防軍総司令官っ!?」
アースが笑む
【 政府警察 】
コートハルドがやって来て言う
「メイリス顧問官っ!大変です!政府系企業を狙った犯行が 既に行われ しかも同日に2件もっ!そして今 そちらの2件の犯行に巻き込まれた企業主らから 身代金として支払わされた金額を 全額保証するように との請求が入りましたがっ!この額はとても 政府警察では賄い切れませんっ 何としても 犯人を捕まえなければっ!」
シェイムが言う
「そちらの身代金に関しては 考慮する必要は在りません!当初の予定通り もし企業経営主様方の御身へお怪我を負われたと言うのでしたら そちらは賠償を…っ しかし 身代金に関しましては そちらを保障するとは 我々政府及び政府警察は 一切申しておりませんっ!」
コートハルドが驚いて言う
「なっ!?何をっ!?…メイリス顧問官!?今回の作戦は 間違いなく 我々政府警察が立案し 政府の名の下に置いて 決行された作戦ですのでっ そちらで被害に会われたからには…っ!?」
シェイムが依頼書を突き付けて言う
「ではっ こちらの依頼書を再確認して頂いて下さいっ こちらには政府の下にある政府警察として 同じく政府の下にある企業者様方へ 作戦へ協力して頂きたいと そして そちらの作戦の中に置いて 政府警察が皆様の御身の保障をお約束しますと ”身”の保障はしておりますが ”金”の保証をするとは 一切書いておりませんっ!」
コートハルドが衝撃を受けて言う
「そ、それは…っ メイリス顧問官 そちらは確かに 身の保障であって 金の保証とは書かれておられませんが…」
シェイムが言う
「はいっ!でしたら 物的証拠もこちらに御座いますのでっ そちらの問題は解決ですっ」
コートハルドが言う
「いえ 残念ながら 解決は解決であっても 我々政府警察の完敗と言う形で解決です メイリス顧問官」
シェイムが言う
「完敗!?何を仰います!?コートハルド警察長!?こうして物的証拠もあるとなれば いくら高位富裕層がその権力を振りかざそうとも 我々の完勝ですかとっ!?」
コートハルドが言う
「そちらの高位富裕層の定義に置かれまして 高位富裕層の”身”とは 地位や名誉は勿論 その者が提唱すれば 家族の身や家さえも 自身の”身の一部”として 補償の範囲とされます そうとなりましては もちろん 彼らの愛する ”金さえも身の一部”です!」
シェイムが衝撃を受けて言う
「何ですってっ!?」
コートハルドが言う
「むしろ 彼ら政府系企業の高位富裕層にとっては ”金”が本体の様な物ですっ 金の為なら指の一本や臓器の1つ位 平気で提供するでしょうっ 彼らは そう言った者たちの集まりですっ」
シェイムが言う
「なんと言う悪の秘密結社ですかっ!?そちらの集まりはっ!?」
コートハルドが言う
「政府系企業です!」
シェイムが表情を引きつらせる
【 企業会合所 】
犯人Bがやって来て言う
「へぇ?こいつは 驚いたぁ?10年位ぇ前には TVで良く見てた面だ 覚えてる 国防軍総司令官」
アースが苦笑して言う
「懐かしい呼び名だ 久し振りにそうと呼ばれ 嬉しくもあるのだが」
犯人Aがトレードカードを確認している アースがそれを横目に言う
「今の私は ARTの司令官であって 国防軍の そちらではない」
犯人Aがトレードカードを手に言う
「資本金が書かれてねぇ…」
犯人Bが言う
「なら いくらにする?国防軍総司令官… ”だった奴の” 身代金ってぇ?」
アースが軽く笑って言う
「…フッ いくらだろうな?当ててみろ?」
犯人Aがトレードカードを捨てて言う
「なら 聞いた方が早ぇ そのARTって企業の資本金はいくらだ?」
アースが言う
「さぁな?」
犯人Aがアースへ銃を向けて言う
「殺されてぇのか?答えろ?」
アースが言う
「知らないものは答えようが無いだろう?」
犯人Aが言う
「知らない?んな訳ねぇだろ?てめぇの企業だろうが?」
アースが言う
「そうだな?私の企業だ 従って 資本金は私の家の物を 使用している」
犯人Bが犯人Aへ言う
「ってぇ 事は?」
犯人Aが言う
「思い出した 国防軍 ハブロス家… 超高位富裕層ハブロス家の奴だ!こりゃぁ すげぇ大物だぜ!?このアールスローン1の金持ちの男だっ!」
犯人Bが口笛を吹く
「ヒュ~!やりぃ!」
アースが言う
「アールスローン1の金持ちの男か?…そうだな?正解だ」
犯人Aと犯人Bが笑む アースが苦笑してコンソールの時計を見て思う
(13時30分… 警備部隊からの連絡が無いとしても 最低限であっても 常識的判断であれば 全ての作戦現場にて定時連絡を行う筈 ここで気付かない事は無いと思うが…っ)
犯人Aが言う
「よし それじゃ 秘書へ連絡を付けろ 大量の身代金を振り込ませてやる!」
犯人Aが銃を向ける アースが軽く片手を上げて見せてから その手で携帯を取り出す
【 政府警察 】
警察官が言う
「企業会談及び会合の開始から 30分を経過しました 警備部隊から定時連絡を確認中!」
シェイムが言う
「定時連絡に異常は!?連絡は襲撃のあった会場以外から 全て来ていますか!?」
警察官が言う
「只今確認中ですが… 連絡の無い警備部隊もあります こちらから確認をしますか?」
シェイムが焦って言う
「全ての地区の全ての警備部隊へ連絡を!連絡の付かない 警備部隊の下へ そちらの地区警察を向かわせなさいっ!」
警察官が言う
「メイリス顧問官!プロイム地区の警備部隊から報告です!先ほど 襲撃事件が発生したと 現在地区警察が向かっていますが…っ」
シェイムが言う
「プロイム地区の警察署長からの連絡はっ!?」
警察官が言う
「プロイム地区の警察署長から 応援要請です!警備部隊の隊員が人質にされ 現場に近付けないとの事ですっ 指示を頂きたいとっ!」
シェイムが言う
「警備を行う筈の警備隊員が 人質にっ!?何をしているんですかっ!?警備部隊は 自分たちの身さえ警備出来ないのですかっ!?」
警察官が言う
「メイリス顧問官!メイス地区警察署長より連絡です!」
シェイムがハッとして言う
「メイス地区っ!そちらはっ!?犯人の逮捕はっ!?」
警察官が喜んで言う
「はい!犯人を逮捕したとっ!」
皆が驚く シェイムが言う
「…っ!?…で、では 事件は解決?」
警察官が言う
「はい!コンビニ強盗犯と言う事で 警戒パトロール中の婦警が 逃走中の犯人を準現行犯逮捕したと!」
シェイムが衝撃を受けて言う
「コンビニ強盗…っ!?先ほどのは そちらの事件へ対して 出動していたと言う事ですねっ?しかも 出動した部隊ではなく パトロール中の婦警に取り押さえられたと?」
警察官が言う
「メイリス顧問官!プロイム地区の署長が 再び 指示を要求していますが!?」
シェイムが言う
「そちらは…っ!ではっ 犯人からの要求を聞きなさいと 伝えなさい!」
警察官が言う
「分かりました!」
警察官が言う
「メイリス顧問官!報告です!」
シェイムが言う
「今度は何ですか!?猫でも捕まえましたかっ!?」
警察官が言う
「メイス地区の警備部隊1部隊と 定時連絡が繋がりませんっ!」
シェイムがハッとして言う
「そちらの地区警察はっ!?既に向かっていますよねっ!?」
警察官が言う
「たった今 伝えましたがっ 現場へ急行するには 先のコンビニ強盗事件で出動している部隊を向かわせる為 通常より10分遅れると!現場へは19分掛かる予定との…っ!」
シェイムが言う
「警機を向かわせた方が早かったですねっ!?とは言え 今からでは変わりはありませんっ 作戦続行!可能な限りの手段を用いて 現場へ急行するようにと伝えなさいっ!」
警察官が言う
「分かりました!」
シェイムが周囲を見て時計を見る 時計の針が進む シェイムが思う
(…現場へは残り19分っ 連絡の無かった警備部隊へ それを確認してから向かっている以上 既に犯行は行われているっ 今までの犯行は企業のそれら開始から20分までの間に終えられているとなれば 間違いなく間に合わないっ …では もはや無意味だろうか?…いや もしかしたら?)
シェイムが資料にあるアースの名を見て思う
(あの悪知恵の温床 悪魔の司令官ならば?地区警察が到着するまでの時間を稼いでくれるのでは…?もしくは… …いやっ そちらは願ってはいけないっ ともすれば この事件を… 彼が解決してくれるのでは無いか…?などとっ そちらは もし 出来たとしても それをされては 今度こそ政府警察が!…いやっ 私がっ!)
シェイムが表情を苦しませる
【 企業会合所 】
アースが携帯を取り出して眺めながら 横目に犯人らを見て言う
「それで?私に 何処へ連絡をしろと 言っただろうか?」
アースが思う
(遅いっ!)
アースの携帯のディスプレーにシェイムを模したマスコットが悪魔のマスコットの下へ向かおうとしている アースが思う
(このモニター上の距離…っ 1センチが3分 …6センチも離れていると言う事は 残り18分っ)
モニターに13:35の時間表示がされている アースが思う
(たった今 警機を要請したとでも?非戦闘員の私に これから18分もの時間を 稼げというのかっ!?あの野郎ぉ!)
アースが携帯から視線を逸らすと モニターの表示が黒一色へ切り替わる 犯人Aが言う
「だから 言っただろう?お前の企業の秘書だよ?お前の秘書!それとも 金は別の奴が管理してるのか?」
アースが言う
「ああ そちらなら 先ほど教えてくれただろう?私の企業の資本は 私の家の物だと?そうとなれば?」
犯人Aが言う
「ああ、なら 家の方の?…何でも良いっ お前の身代金を払える奴に連絡しろ!お前の親父が居るって言うなら そいつでも良い!死にたくねぇだろ!?御曹司!」
犯人Aが銃を向ける アースが言う
「そうだな?私も出来れば 死にたくは無い 従って 身代金を払おう 家の執事へ連絡をする そちらで良いだろう?」
アースが携帯を操作してテーブルへ置く 犯人Aと犯人Bが視線を合わせて笑んでから アースを見る 携帯からレミックの声が聞こえる
『お疲れ様に御座います 旦那様 どうぞ 何なりと ご用命を』
犯人Aと犯人Bがアースを見る アースが言う
「ああ、レミック 私は今 ARTの代表として 政府企業の会合に出席していたのだが… そちらが 今朝 政府警察が対策本部を立てたと言っていた 正に そちらの事件の襲撃を受けてしまってな?」
犯人Aと犯人Bが笑んでアースを見ている アースが思う
(政府警察の名や そちらの対策本部という言葉を聞いても動揺が見られない そして 終始見せているこの落ち着き様… こいつらは 一見 低脳な愉快犯を装っているが その実はプロと言う事か?)
レミックが言う
『そちらは 大変な御事態に御座いますね?直ぐに対策本部の御座います 政府警察へ連絡を…』
犯人Aが言う
「おっと?待て?何馬鹿な事言ってんだ?その襲撃犯が たった今 てめぇの旦那様の目の前で 拳銃を突き付けているんだよ?警察に連絡なんかしてみろ?その警察が動いた瞬間 この拳銃の引き金も動くぜ?」
犯人Aが銃を向ける アースが思う
(しかし そちらはハッタリにしても 間が抜けている どうやって その警察が動いたと言う事実を知ろうと言うんだ?このメイス地区には警機を含め 割と多くの警察のそれらが点在している そこから 間違いなく この事件へと向かう警察の動きを悟る事は 実質不可能だ …となると こいつらの正体は?)
レミックが言う
『そちらは どうか お納めを 我が主の御身の為と御座いませば 私は どの様な手配をも執り行う所存に御座いますので その私めへ 貴方様のご要望をお聞かせ下さいませ』
犯人Aが笑って言う
「はっはーっ!こいつは良いな?王様気分だぜ?なら …って遊びてぇ気もするけど そんな暇はねぇ 俺たちが欲しいのは金だっ てめぇの ご主人様の身代金を 俺が言う口座へ振込しろ!」
レミックが言う
『畏まりました 付きましては そちらの御金額の提示を お願い致します』
犯人Aが言う
「よし なら…」
犯人Aがアースを見てから考えて言う
「その前に てめぇの旦那様の家には いくら金があるんだ?」
レミックが言う
『申し訳御座いません 執事の私めは そちらを把握しては 御座いません』
犯人Aがアースへ銃を向けて言う
「なら いくらあるんだ?答えろ 旦那様!」
アースが首を傾げて言う
「さぁな?分からないな?」
犯人Aが怒って言う
「ふざけんなっ!てめぇの金だろうっ!?」
アースが言う
「数えた事が無い 1つか2つの銀行の金で良いと言うのなら そちらを言っても構わないが?そちらで 足りるのか?」
犯人Aが言う
「なら その1つか2つの銀行の金と その銀行がいくつあるんだ!?それを全部だっ!」
アースが言う
「そうだな?変動のあるものだ 正確には分からないが… 大まかに言っても 1つに1千程度か?そして、それらの銀行が… いくつだったか?100位は在るかもな?」
犯人Aが疑問して言う
「1千が100… なら… 1千にゼロ2つで…」
犯人Bが言う
「1億?」
犯人Aが言う
「馬鹿っ 10億…って 少なくねぇか?」
アースが言う
「1つ… 1千億が 100だが?」
犯人たちが衝撃を受け 慌ててから言う
「い、1千億…っ!?」 「それにゼロ2つで…?い、いくらだ?」
犯人たちが悩む アースが思う
(割と馬鹿だった… これなら… 間に合うか?)
アースがコンソールの時計へ視線を向ける
【 政府警察 】
シェイムが時計から視線を離して言う
「メイス地区警察はっ!?まだ現場へ到着しては いないのですかっ!?」
警察官が言う
「メイス地区警察からの 現場到着の連絡は まだ入っていません!時計上に置いても 後10分は掛かるものと…」
シェイムが言う
「時計上は見れば分かりますよっ!地元の地区警察ならではの 抜け道と言う物があるでしょうっ!?そちらを使って 1分でも早く向かえと言う意味ですっ!」
警察官が言う
「わ、分かりましたっ 伝えます!」
警察官が言う
「メイリス顧問官っ レファム地区警察署長より連絡です!」
シェイムが言う
「そちらの 犯人らから 何か要求でもっ!?」
警察官が言う
「はいっ!メイリス顧問官のご指示の通り 犯人らの要求を飲み 犯人らを見逃したと」
シェイムが衝撃を受けて言う
「なぁあっ!?何をしているのですかっ!?誰がその様な指示をっ!?」
警察官が驚いて言う
「えっ!?いえ、た、確かに 先ほど メイリス顧問官からの ご指示で 犯人からの要求を聞けと?」
シェイムが言う
「要求を聞けとは言いましたが 誰が飲めと言ったのですかっ!?それも 犯人らを見逃すとはっ!?貴方方政府警察は 本当に犯人を逮捕しようと言う その思いはあるのですかっ!?」
警察官が言う
「も、申し訳ありません… では… レファム地区警察署長へは…?」
シェイムが言う
「始末書でも書いて置きなさいと 伝えなさいっ!」
警察官が言う
「わ、分かりました 伝えます…」
シェイムが表情を困らせて思う
(現場はどうなっているのでしょうっ!?この様な時 父上ならっ!?…あの …悪魔ならっ!?)
シェイムが書類へ視線を向ける
【 企業会合所 】
犯人Aが指折り言う
「1千億… 1兆… 10兆… うん?100兆?…100兆か?」
アースがコンソールの時計を見て思う
(…いや どんな馬鹿が相手でも 流石に 後10分は難しいか?そうとなれば…)
犯人Bが言う
「100兆か?じゃ それで良いんじゃねぇか?アールスローン1だって言うんだから?」
犯人Aが言う
「ああ、そうだな?100兆もあれば十分だ …よし!それじゃ!」
アースが思う
(そもそも あの表示も この場所から最も近い政府警察の動きを示しているだけで 確実に警機が導入されたとは言い切られない あの抜けた奴の事だ ともすれば 使えない地区警察を動かしたという可能性さえ払拭出来ない そうとなれば これはもう… 奴だけに任せては置かれないか?)
犯人Aが言う
「待たせたな 執事?お前のご主人様の 身代金が決まったぜ そいつを今から言う口座へ振込しろ!」
レミックが言う
『はい では 振込先の銀行名と御口座番号を お知らせ下さいませ』
犯人Aが言う
「よし 口座は… そうだな ならリング地区銀行の09876だ そこへ 今直ぐに 100兆振込しろ」
レミックが言う
『100兆… そちらが 我が主の身代金と言う事で お間違いは御座いませんでしょうか?』
犯人Aが疑問して言う
「あん?何だ?少ねぇって言うのか?なら… いや でももう良い 少し時間を掛け過ぎた 100兆だ!100兆でてめぇの旦那様を助けてやる!さっさと身代金を振込しろ!」
犯人Aが自分の携帯を見る レミックが言う
『金額のご提示を頂きました では お答えと致しまして』
犯人Aが言う
「うん?お答え?」
レミックが言う
『そちらの御金額は お振込を致しかねます』
犯人Aが疑問して言う
「は?」
レミックが言う
『申し訳御座いません』
犯人Aが呆気に取られてから気を取り直して言う
「お、おいっ 馬鹿言ってるんじゃねぇ!?てめぇのご主人様が 殺されても良いのか!?」
犯人Aがアースの頭に銃を突き付ける レミックが言う
『そちらは 宜しくは御座いません しかし 誠に申し訳御座いませんが 100兆の身代金は お支払いが致しかねます』
犯人Aが言う
「ならっ!?」
レミックが言う
『つきましては どうか そちらの御提示額を引き下げて頂きたいと存じます 正当な御金額に御座いませば 間違いなく御振込致します事を 我が主のお命の下へ お約束を致します』
犯人Bが言う
「高過ぎるってぇ?っははー!笑えるっ!」
アースが軽く笑って言う
「っはは 確かに笑えるな?残念ながら 私に100兆の価値は無いそうだ?」
犯人Bが言う
「あれ?笑ってる?」
アースが言う
「ああ、人間 悲し過ぎると笑えるそうだ?知らなかったか?」
犯人Bが言う
「へぇ?何だ?悲しんでんの?」
アースが言う
「そうかもな?」
犯人Bが笑んで言う
「へっへっへ… それ 分かるかも?」
アースが言う
「ほう?」
犯人Aが気を取り直して言う
「なら分かった!100兆が高ぇんなら10兆だ!」
レミックが言う
『10兆に御座いますね?』
犯人Aが言う
「そうだ!それをさっきの口座に!」
レミックが言う
『先ほどの御口座へ 我が主の身代金として 10兆を御振込する様にと?』
犯人Aが怒って言う
「そうだって言ってるだろっ!?早くしろっ!」
レミックが言う
『お時間を頂きまして 申し訳御座いませんでした では お答えを致します 誠に申し訳御座いませんが 10兆の身代金は お支払いが致しかねます』
犯人Aが怒って言う
「ふざけんなっ!ならいくらだっ!?1兆はっ!?」
レミックが言う
『ふざけるつもりは毛頭御座いません しかしながら 誠に申し訳御座いませんが 1兆の身代金は お支払いが致しかねます』
犯人Aが言う
「何で払えねぇんだっ!?100兆あるんだろっ!?だったら 1兆は払えるだろうっ!?好い加減 言ってんとっ!」
アースが言う
「好い加減ではなく それが 私の価値だと言う事だ 100兆でも10兆でも1兆でもないと 私の忠実なる執事は 私を助ける為に お前に提示金額の訂正を依頼している お前はそちらに従えば良い …簡単だろう?」
犯人Aが言う
「提示金額の訂正?…クソっ なら… 9千億だ!」
レミックが言う
『9千億で御座いますね しかし 誠に申し訳御座いません 9千億の身代金は お支払いが致しかねます』
犯人Aが言う
「8千億!」
レミックが言う
『8千億のご提示を頂きましたが 誠に申し訳御座いません…』
犯人Aが言う
「7千億!」
レミックが言う
『7千億のご提示を頂きましたが…』
犯人Aが言う
「6千億!」
レミックが言う
『6千億のご提示を頂きましたが…』
犯人Aが言う
「5千億!」
犯人Aが言い続けている 犯人Bが呆れている アースがコンソールの時計を見てから思う
(この調子で続けたとしても 恐らく途中で気付かれる… いや キレられるだろう となれば そろそろ限界か?)
犯人Aが言う
「もう 面倒臭ぇ!1千億!」
レミックが言う
『1千億のご提示を頂きましたが 誠に申し訳御座いません…』
犯人Aが言う
「100億!」
レミックが言う
『100億のご提示を頂きましたが 誠に申し訳御座いません…』
犯人Aが言う
「…10億」
アースが思う
(気付かれたか)
アースが言う
「酷い下がり様だな?」
アースが手を動かすと 犯人Bが言う
「おっと?」
犯人Bがアースの腕を掴む アースが言う
「ああ、失敬 タバコを1本吸いたいのだが?」
犯人Bが言う
「タバコ?」
犯人Bが犯人Aを見る アースが言う
「自分の価値が下げられていくのを聞いているんだ 憂さ晴らしに一服位は良いだろう?」
犯人Aが犯人Bへ指示を出す 犯人Bが頷いて言う
「なら… 俺が取る」
アースが言う
「悪いな?」
アースが上着の服を開いて内ポケットを見せると 犯人Bが内ポケットにあるタバコを取り出す 犯人Aがアースの携帯へ向いて言う
「10億だ それ以下はねぇだろ?他の企業の連中だって 最低でも それ位払ってるっ」
犯人Bがアースのライターを見てから言う
「これは怪しい …火なら 俺が持ってる」
アースが言う
「そうか では そちらを貰っても良いか?」
犯人Bがライターの火を灯けると アースが近付きタバコに火を付ける その瞬間に犯人Bの上着の中へ発信機を付ける 犯人Bは気付かずに自分のライターを消すと アースのライターを眺めている アースがタバコを吹かしてから言う
「怪しいか?欲しければ こちらの一服の礼に プレゼントしても構わないが?」
犯人Bが言う
「…いや 爆弾とかだったら困る」
アースが軽く笑って言う
「っはは それで 毎回火を付けるのは 中々面白いな?」
犯人Bが衝撃を受ける アースが犯人Bへ付けた発信機に微笑する 犯人Aが2人のやり取りを見てからアースの携帯を見る レミックが言う
『10億… そちらのご提示に御座いましても 誠に申し訳御座いませんが…』
犯人Aが苦笑して言う
「なら1億か?」
レミックが言う
『そちらのご提示に御座いましても…』
犯人Aが言う
「やっぱりな?端から 払う気がねぇんだろ?」
犯人Aがアースへ銃を向ける アースがタバコを吹かしてから言う
「1億以下の私に用は無いか?だろうな?」
犯人Aが顔を左右に振って言う
「そうじゃねぇよ?お前らグルになって 俺らを馬鹿にしてるんだろう?この銃は脅しで 本気じゃねぇだろうって?高位富裕層を殺したら 極刑だからな?だから 本当は俺らが ビビってると思ってんだろ?」
アースが言う
「ほう?そう来たか …まぁ そうだな?そちらは思っては居る お前たちこそ 死にたくは無いだろう?」
犯人Aが言う
「…そうか 国防軍総司令官 舐めてたぜ?そうだよな?その眼帯… 10年前TVで見た時には マジでビビったぜ?あの帝国に行って戦って来たんだって?それで怪我したってよ?…ホントか?」
アースが言う
「本当だと答えても 信じないのだろう?高位富裕層の御曹司に その様な真似が出来る筈が無いと?…では どうする?」
犯人Aが言う
「なら 試してやるよ?」
犯人Aが銃を向けると躊躇なく発砲する 場に居合わせた人々が驚く
【 ART研究開発室 】
M210の整備がされている ラミリツがそちらへ視線を向けている横で グレイゼスがコンソールを操作しつつ言う
「…と言う事なので 今朝のお話から ご連絡も無く変更してしまって 申し訳ないのですが 予定外の210マシーナリー30機の納品に続き そちらのジェットエンジンさえも揃ってしまったので 午後からはART1のマシーナリーの方も…」
ラミリツの身に強い動悸が起き ラミリツがハッとして言う
「う…っ!?」
グレイゼスが気付かずに話を続ける
「もちろん ART2のマシーナリーも…」
ラミリツが思う
(痛…っ!?…何?今一瞬 息が止まるかと…っ!?)
グレイゼスがモニター上でチェックしながら言う
「完成を急ぐつもりですが 今回はハブロス司令官からも…」
ラミリツが目を見開く グレイゼスが微笑して振り向きながら言う
「安全性をって… え?ラミリツ隊長?」
ラミリツが心臓の上に当たる服を握り締めて言う
「何か…っ 分かんないんだけど…っ ずっと…っ さっきから 凄い嫌な予感がするの…っ 何だろう?胸騒ぎなんて そんな甘いものじゃなくって…っ」
ラミリツが息を切らせつつ顔を左右に振る グレイゼスが呆気に取られていた状態から 慌てて言う
「嫌な予感?胸騒ぎって…っ そんな調子で?むしろ 何所か 具合が悪いんじゃ!?」
グレイゼスが心配して思わず身を乗り出すと ラミリツが言う
「それに 今一瞬…っ」
ラミリツがハッとして言う
「あ!ねぇ!?ちょっと 今 ここから 第二訓練所の様子を見れるよね!?ART2の訓練で 誰か怪我したとかっ!?」
グレイゼスが一瞬呆気に取られてから コンソールを操作して言う
「それは… もちろん 見られるが…っ」
モニターに第二訓練所の様子が映し出される グレイゼスとラミリツがモニターを見る モニターには異常なくART2の訓練の様子が映し出されている グレイゼスが言う
「それよりも その様子はただ事じゃない 取り合えず 今すぐ医務室へ向かって 医者に見てもらった方がっ?」
ラミリツが顔を左右に振ってから言う
「そう言うんじゃないってっ それは僕自身が一番良く分かるよっ!?怪我とか病気なんかじゃないっ でも 物凄く辛いのっ 何か分かんないんだけど… 失いそうな気がするっ …何かっ?…とても大切なものがっ!」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「そんな事が…?…っ!」
グレイゼスの視界に ラミリツの握られている服の下に見える神の刻印が見える グレイゼスがハッと気付いて言う
「神の刻印… …まさかっ!?ハブロス司令官!?」
ラミリツが驚いて言う
「え…っ?」
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官は 今 政府の依頼を受けて 政府警察の作戦に参加しているんだ …とは言え 元々死傷者の報告のない事件だから それなら もちろん そちらに参加しても 身の危険なんかがある筈は 無いんだが…?」
ラミリツが言う
「政府の依頼をって?…何で!?政府警察の作戦ってっ!?」
ラミリツがハッとして言う
「まさかっ 兄上がっ!?そうだっ それだよっ!?きっとっ!」
グレイゼスが言う
「え?」
ラミリツが言う
「政府系企業の会談とか会合を狙った 襲撃事件が起きてるって!兄上がその事件解決の為に 顧問官として作戦をっ!それに ハブロス司令官が参加するなんてっ!?そんなの 危ないに決まってる!」
ラミリツが携帯を取り出して連絡する グレイゼスが言う
「危ないって?いや だって あの事件では 確かに負傷者はないって メディアのニュースで?」
ラミリツが言う
「政府の公認でメディアに流される情報なんてっ 増して負傷者の数なんかっ!当てにしちゃ駄目だよっ!何言ってるんだよ マスターの癖にっ!」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?そ、そうなのぉ!?って それを 政府の攻長閣下が…?」
【 政府警察 】
シェイムが言う
「メイス地区警察からの連絡はっ!?」
警察官が言う
「連絡はまだ… それに 時計上では」
シェイムが言う
「時計上では残り5分ですがっ 地元警察であるのなら それ位っ!」
シェイムの携帯が鳴る シェイムが気付き言う
「この忙しい時に誰が…っ!?」
シェイムがモニターの表示にハッとして言う
「エ、エーメレス!?」
シェイムが携帯を着信させるとラミリツの声が聞こえる
『兄上っ!』
シェイムが言う
「エーメレス 連絡をもらえるのは嬉しいのだが 今は少々…っ」
ラミリツが言う
『ハブロス司令官はっ!?』
シェイムが衝撃を受ける
【 ART マシーナリー研究開発室 】
ラミリツが携帯へ言う
「ハブロス司令官は無事なのっ!?作戦状況はっ!?ハブロス司令官が出席している 企業に襲撃は起きてないっ!?警備に就けてる警機の無線通信は!?本部でも常時チェックしてるよねっ!?」
グレイゼスが言う
「警備に就けている警機の無線通信… そうか!それなら こっちでだってっ!」
グレイゼスがコンソールを操作する 携帯からシェイムの声が聞こえる
『あぁ… いや… そちらは… 今は その… 今回は…』
ラミリツが言う
「”今回は” 何っ!?定期連絡でも良いから 企業周囲や社内の様子とか 何でも良いよ!?何か平常時と比べての異変とかっ 目撃情報とか!?」
グレイゼスが疑問して言う
「おや?現在メイス地区では 警機の無線ラインは立てられていないのか?だったら ここは国防軍の常時ラインで…」
グレイゼスがコンソールを操作する シェイムが言う
『実は… とても言い辛いのだが エーメレス …今 彼が出席している企業に 襲撃が有ったのでは無いかと?』
ラミリツが呆気に取られて言う
「…え?」
シェイムが言う
『警備部隊からの定時連絡が繋がらない事から 地区警察を急行させているのだが 到着まで 残り…』
コンソールのスピーカーから 犯人Aの声が聞こえる
『…の銃声が聞こえたか?執事?』
グレイゼスが驚いて顔を上げる ラミリツがコンソールへ向くと 犯人Aが言う
『けど 撃ったのは頭じゃない まだ死んでない だから さぁ!身代金を払え ハブロス家の旦那様の身代金は100億で良い!』
ラミリツが呆気に取られる グレイゼスが呆気に取られた状態から慌ててコンソールを操作する レミックの声が聞こえる
『大変申し訳御座いません アース様』
アースの声が聞こえる
『…ふっ 構わない レミック… お前は 最高の執事だ』
レミックが言う
『身に余るご名誉を頂きつつも お力添えが叶わず 恐縮至極に御座います』
ラミリツが言葉を失って言う
「ハブロス…っ 司令官…っ!?」
【 政府警察 】
シェイムの携帯の先に犯人Aの声が聞こえる
『どうしたっ!?100億を さっき言った口座へ振込しろっ!執事!』
シェイムが驚いて言う
「そちらの音声はっ!?」
グレイゼスの声が聞こえる
『ハブロス司令官が無線発信機を作動させている 周波数はレギストと警機の共用無線 特殊無線周波数62だ!』
シェイムが警察官へ言う
「直ちに 特殊無線周波数62を 受信させて下さい!」
警察官がハッとして言う
「わ、分かりましたっ」
スピーカーからレミックの声が聞こえる
『先ほどもお答えを致しました通り 誠に申し訳御座いませんが 100億の身代金は お支払いが致しかねます』
犯人Aの声が聞こえる
『本気で言ってるのかっ!?お前の旦那様の身代金だっ このまま殺されても良いのかっ!?今すぐ100億振込しろっ!』
警察官たちが呆気に取られる レミックが言う
『私共の旦那様で在らされます アース・メイヴン・ハブロス様を お助け出来る事とありませば 私どもは如何なる事でも致します しかし 歴代国防軍長のお家に御座いますハブロス家は アース・メイヴン・ハブロス様の身代金として 100億のお支払いは致しかねます』
シェイムが驚いて言う
「これは… どう言う事ですっ!?」
犯人Aが言う
『だったら 殺すっ!』
シェイムが目を見開く 携帯の先でグレイゼスが言う
『あっ!?ラミリツ隊長っ!?』
シェイムがハッとして携帯へ言う
「エーメレス!?」
携帯が切れる シェイムが呆気に取られる
【 企業会合所 】
企業主たちが息を飲んで見詰めている 視線の先 アースの座る椅子の下に血溜まりが出来ていて なおも血が滴って落ちる 企業主たちがアースを見る アースが撃たれた腹部を片手で押さえつつタバコを吹かす 犯人Bが呆気に取られて言う
「タバコ… 吸ってる…?」
犯人Aが携帯へ向いて怒って言う
「何で払わねぇんだっ!?払えねぇ訳じゃねぇだろ!?アールスローン1の金持ちの癖にっ!?100兆も有って 何で100億が払えねぇっ!?旦那様の為に 何でもするんだろっ!?」
レミックが言う
『私どもは如何なる事でも致しますが ハブロス家は アース・メイヴン・ハブロス様の身代金として 100億のお支払いは致しかねます』
犯人Aが言う
「訳が分からねぇえっ!殺すぞ!?今度こそ 頭をふっ飛ばすぞ!?…いや まだだっ!まだ 死んでないっ!まだ間に合うだろっ!?このまま 間に合わなくなっても 知らねぇえぞ!?」
アースが苦笑して言う
「…ふっ そうだな 視界が薄れて来た そろそろマズイな?人質は…」
犯人Aがアースを見る アースがタバコを吸うと煙を吐き捨てる
【 政府警察 】
皆が注目している中スピーカーからアースの声が聞こえる
『死んでしまっては 意味が無いのだが… … …遅いぞ トルゥース…』
シェイムが目を見開く 警察官がハッとして言う
「メイリス顧問官っ!メイス地区警察より連絡がっ!」
シェイムがハッとして言う
「到着しましたかっ!?」
警察官が言う
「事件現場へ向かう メイス地区フロンタスストリート21周辺 道路の混雑により 到着時間が…」
シェイムが怒って言う
「何をしているのですかっ!?直ちに政府警察交通局を… いえっ 今から交通整理を行っていても間に合わないっ!事件発生時には周辺道路の閉鎖は常識でしょうっ!?それさえも 指示が必要ですかっ!?」
警察官が言う
「も、申し訳ありませんっ 地区警察には交通局への依頼要請権限がありませんので サイレンを鳴らして 周囲の車両や通行者への 協力を取り次いでの方法しか…」
警察官が言う
「メイリス顧問官っ!政府警察交通局より 緊急通信っ!」
シェイムが表情を明るめて言う
「協力して下さるとっ!?」
警察官が言う
「そちらに関係は無いのですが たった今 同 事件現場周辺にて 暴走車両が現われたとっ!」
シェイムが衝撃を受けて言う
「ぼ、暴走車両?」
警察官が言う
「車両は 二輪車 ガワザギ 白色の KNIGHT250」
シェイムが衝撃を受けて言う
「エーメレスっ!?」
警察官が言う
「メイス地区の細い路地裏を暴走 メインストリートの渋滞車両を飛び越えるなど 危険運転が確認されている為 現在政府警察交通局が緊急出動したと!」
シェイムが慌てて言う
「ああっ!そちらは そのっ!」
【 企業会合所 】
アースが短くなったタバコを吸っている 犯人Aが困惑して言う
「本当に… 死ぬぞ?お前っ!?」
犯人Aがアースの出血を見てから アースの携帯へ向いて言う
「そんなに金が大切なのか?旦那様より 金かよっ!?高位富裕層は身体より金が大切だって聞いてたが 本当だったんだなっ!?」
レミックが言う
『私どもと致しましては… いえ ハブロス家にとっても アース・メイヴン・ハブロス様のお命が100億や100兆で助かるのでしたら これほどお値打ちの物は御座いません』
犯人Aが驚いて言う
「だったら何で 身代金を振込しねぇえっ!?身代金は100億で良いって言ってんだよっ!」
アースが言う
「それは お前たちが…」
犯人Aがアースを見る アースが傷を抑えていた血だらけの手でタバコの火を握り消し 煙を吐き捨てた後言う
「我々の 敵であるからだ」
アースが犯人Aを見据える 犯人Aが呆気に取られる
【 メイス地区公道 】
ラミリツのバイクがメインストリートの渋滞車両を飛び越える 車両に居るドライバーたちが驚いて見上げていると バイクが路肩の歩道を通過して ビルとビルの間にある細い路地裏へ突き進む 人々が呆気に取られる バイクが路地裏の側面に接触しつつ速度を上げる メーターの上へ貼り付けられた携帯モニターに 悪魔のアイコンと天使のアイコンが表示されている 携帯からグレイゼスの声が聞こえる
『100メートル先!フロンタスストリート 合流地点に左から熱源反応が接近中 恐らく通行者だ 現状のままではぶつかる!』
ラミリツが言う
「飛び越えるっ!カウントを!」
グレイゼスが言う
『了解っ カウント6!5、4、3…』
ラミリツが視線を強める バイクがストリートへ出る直前にジャンプする 通り掛った人が呆気に取られて言う
「な!?なぁああ~!?」
バイクが着地すると 再び 路地裏へ走り去る 通り掛った人が呆気に取られて言う
「あ…っ 危ないなぁ!?政府警察は 何やってんだっ?あんな…」
後方から白バイがサイレンを鳴らしながら走り去る 通り掛った人が呆気に取られて言う
「あぁ… ちゃんと仕事してんのか?あんな 危ないバイクのドライバーなんて 逮捕だ 逮捕!まったく…」
通り掛った人が立ち去る
バイクが路地裏を走っている グレイゼスの声が聞こえる
『あ、あら?ラ、ラミリツ隊長?政府警察交通局が出動しているみたいですけど?俺へナビを頼む前に そっちの処理を終わらせてくれたんじゃ なかったのかなぁ~?』
ラミリツが言う
「駄目…っ 今は僕っ 余裕無いっ!そっちでやっといてっ!お願い!」
【 ART マシーナリー研究開発室 】
グレイゼスが困って言う
「お、お願いって…?俺に頼まれても?大体 俺には何の権限も無いんですけどっ?」
スピーカーからアースの声が聞こえる
『我がハブロス家は 現行 我々の敵である お前たちへ 与えてやれる金は 一銭も無いと言っているんだ』
犯人Aの声が聞こえる
『それならもうっ お前が言えっ!死にたくなければ 執事に言えっ!100億振込しろって!旦那様の言葉だ!自分を助けてくれって お前が言えよ!それなら!…おらっ!』
アースの声が聞こえる
『く…っ』
グレイゼスがハッとする
【 企業会合所 】
企業主たちが怯えて息を飲む 視線の先 血溜まりの上にアースが立ち上がらされている 犯人Aがアースの襟首を掴み 椅子から引き上げていて言う
「ほら どうだ?痛ぇだろ?死にたくねぇだろ?だったら 執事に言えっ ”命令”しろ!今直ぐに 100億を振込しろって!」
アースが反応すると 犯人Aを見下して言う
「命令を?私が?…フッ 馬鹿を言うな?」
パトカーののサイレンが聞こえて来る 皆が反応する アースが言う
「この私が…」
【 政府警察 】
スピーカーからアースの声が聞こえる
『国防軍と その仲間である政府警察の 敵であるっ お前たちへ 歴代国防軍長ハブロス家の金を与えろなどとっ その様な事っ …例え殺されようともっ!』
シェイムと警察官たちが集中している モニターの地図上に複数の表示がされている
【 企業会合所 】
アースが言う
「我が忠実なる執事へ 命じてなるものかっ!」
アースが犯人Aの手を払う 犯人Aが驚き圧倒されて後ず去る 犯人Bが呆気に取られて アースと犯人Aを見比べる 犯人Aが銃を構えて言う
「い、良いのかっ!?本当に 撃つぞっ!?」
アースが笑んで言う
「やりたくば やれば良いだろう?高位富裕層を撃てば お前たちの罪が極刑となる ならば 一足先に 地獄で待って居てやる」
犯人Aが銃を持つ手を震わせる 間近の外でサイレンの音が響く 犯人Aが一度息を止めてから叫ぶ
「あぁああーっ!」
犯人Aが銃を撃とうとした瞬間 会合所のドアが叩き壊され ラミリツが現れて言う
「ハブロス司令官っ!」
皆が驚き 犯人Aが一瞬ラミリツを見てからアースへ銃を放つ その銃弾がギリギリ ラミリツの向けた剣の鞘に弾かれる 周囲の人々が驚く中 犯人Aが更に発砲を続けるが アースの前に立ったラミリツが弾丸を弾くと共に 犯人Aの銃を剣の鞘で叩き上げる 犯人Aが驚いて言う
「あ…っ ああ…っ!?」
犯人Aが一歩後ず去る 犯人Bが呆気に取られていると 犯人Cがハッとして警備員の頭へ銃を突きつけて言う
「こ、こいつをっ!」
ラミリツが瞬時に向かい 一瞬で犯人Cを失神させる 犯人Aが懐から取り出したナイフを手に アースへ向かいながら叫ぶ
「この野郎っ よくもっ!」
犯人Aのナイフを持つ手を ラミリツが捕らえ 捻ってナイフを落させると 続けて床へ押さえつけて言う
「殺人傷害 及び 政府系企業 襲撃事件現行犯として お前たちを逮捕する!」
メイス地区警察たちが到着して呆気に取られる ラミリツが犯人Aの手に手錠を掛ける 企業主たちが思わず歓声を上げて言う
「お、おぉー…」
ラミリツが立ち上がって言う
「メイス地区警察!その者を逃すな!」
メイス地区警察たちがハッとすると 犯人Bが逃げ去る メイス地区警察たちが衝撃を受け慌てて追い駆けて行くと 入れ替わって別のメイス地区警察がやって来る ラミリツが一瞬表情を顰めた後 気を取り直して言う
「…お前たちは こちらの2名を逮捕 署へ連行しろ!」
メイス地区警察たちが慌てて敬礼して言う
「は、はい!直ちに!」
メイス地区警察たちが犯人Cと犯人Aの下へ向かう アースが微笑して言う
「良くやった ラミリツ隊長」
ラミリツがアースの顔を見て一度微笑すると ハッとする アースが言う
「いえ… お力添えを 誠に有難う御座いました 政府長攻長閣下」
企業主たちが苦笑し言う
「あ、ああ… 流石は 我らの攻長閣下だ…」
ラミリツが床の血を見て 慌てて顔を上げて言う
「そんな事より… っ!」
アースが倒れる ラミリツが呆気に取られた状態から叫ぶ
「ハブロス司令官っ!!」
1時間後
薄暗い空からに雨が降り始める
【 ART 食堂 】
TVでニュースが流れていてキャスターが言う
『こんにちは 午後3時のニュースをお伝えいたします まず先ほど入った情報です 政府警察の対策本部も立てられました 政府管轄の企業を狙った襲撃事件が 本日午後1時過ぎ再び…』
休憩を取っているART2隊員たちがTVへ顔を向ける キャスターが続けて言う
『…して、政府警察は 犯人を逮捕したとの事です』
ART2隊員たちが歓声を上げて言う
「おおーっ」
キャスターが言う
『現行犯逮捕された犯人らの取調べと共に 現場から逃げ出した実行犯を追跡 仲間の実行犯らの潜伏先を着き止め 先ほど この度の事件に携わった犯人ら8名を逮捕すると共に…』
ART2隊員たちが言う
「やったな!」 「同じ政府警察の仲間が 活躍したと聞くと やはり嬉しいな?」 「いや?今の私たちは 政府警察の仲間ではなく ARTの仲間だろ?」 「いや?それは…」
ART2隊員たちが笑う シュナイゼルが言う
「ARTは政府と国防軍 双方の力を借り受けた 双方の仲間であるとされている そうとなれば やはり 政府警察は ART2となった我々の 仲間のままだろう?」
ART2隊員たちが微笑し合い言う
「そうですね!」 「了解!…いえ 分かりました!副隊長!」
ART2隊員たちが笑う シュナイゼルが微笑して頷く キャスターが言う
『尚 未確認情報ではありますが 事件解決の折 負傷者があったとの情報もあり 現在も 政府警察による現場検証が 行なわれていると…』
映像に救急車が映った後 企業本社正面玄関が映ると 入り口のガラス扉を破壊して横転しているバイクが映る シュナイゼルとART2隊員たちが衝撃を受け ART2隊員たちが言う
「あ、あのバイクは…?」 「そう言えば 隊長は… まだ…?」
シュナイゼルが苦笑して言う
「特注カラーの ガワザギ 白のKNIGHT250… 長くお戻りになられないと思っていたら 隊長… まさか…?」
【 政府メイス中央医療施設 】
輸血がされているベッドにアースが眠っている 輸血の管の先 その腕の手首に触れたラミリツがホッとして アースの顔を見て苦笑してから病室を出て行く
【 政府警察 】
シェイムが言う
「そちらの犯人のアジトとされる場所は 現状のまま現地の地区警察を使って 現場検証を続けさせて下さい 情報局へ依頼した 犯人らの使用口座と 同類の口座の洗い出しはどうなりましたか?国防軍管轄の孤児院への寄付情報は 確認は取られましたか?」
警察官が言う
「先ほど情報局からの連絡で 国防軍管轄の孤児院への寄付は 1件1件へ連絡を行い 経営主に直接確認をして頂く事から 少々時間が掛かるとの事ですが 現在確認が取られている範囲に置いては 犯人らによって振込させた形跡は 見られていないとの事です」
シェイムが言う
「そうですか… 国防軍管轄の孤児院は数も多いですから そちらを1件1件を… 増して個人で確認ともなると 時間が掛かるのも致し方ありませんね 分かりました それでは 確認を終え次第連絡を」
警察官が言う
「分かりました 伝えます!」
シェイムがホッとして言う
「…これで 後は」
コートハルドがやって来て言う
「メイリス顧問官」
シェイムが敬礼して言う
「コートハルド警察長 お疲れ様で御座います!」
コートハルドがシェイムの前に到着すると敬礼を返して言う
「お疲れ様でした 報告は伺いました 事件は無事解決ですね?」
シェイムが言う
「はい!各企業から提供された防犯カメラの映像から 事件に関与した犯人らの確認も済ませ 現行犯逮捕をした2名及び 逃走犯の潜伏先にて捕らえた 犯人たちの裏付けも取られました 更には 彼らが使用していた銀行口座も 政府の運営する教会のものだったと言う事が判明してからは 政府教会の銀行への寄付情報を確認した所 今までに行われていた同犯行の 身代金を振り込まされた企業の名前が全てヒットしまして 振込日付や金額も間違い御座いませんでした!」
コートハルドが微笑して言う
「でしたら もはや 国防軍の孤児院のそちらを確認する必要は あられないのでは?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「ハッ!?…い、言われて見れば?」
コートハルドが苦笑して言う
「事件の発生日時や 身代金の振込を行なった企業名は 全て把握しておりますので そちらがヒットしているのでしたら それ以上にもそれ以下にも あられませんかと?」
シェイムが言う
「そ、そうでしたね?つい…」
コートハルドが軽く笑ってから言う
「今回の事件は そちらの政府教会にて保護を受け 巣立って行った 下位富裕層の少年らが起こした事件だったそうですね?」
シェイムが言う
「政府教会に助けられた彼らが 自分たちを助けた政府教会へ 寄付金を贈らせる為に引き起こした犯行… だとしても 私には納得が行きませんっ 自分たちの育った政府教会を愛するのなら尚更 同じ政府系企業を狙うというのは 間違っているのでは無いかとっ?…いえ、もちろん だからと言って 国防軍の企業を狙え等と言うつもりはありませんが その方がまだ 納得が出来ると申しましょうか…」
コートハルドが反応してから言う
「まぁ… そうですね しかし…」
シェイムが言う
「政府教会は 国からの援助は勿論ですが 同じ政府系企業による融資によっても支えられています そして、いくら その額が少ないとは言え その事に腹を立てて 企業主を狙おうとは …正に 恩を仇で返すと言った所ではないでしょうか?」
コートハルドが言う
「そちらの融資に関しましては 政府系企業も 政府の名の下に行わなければならない 国家義務にして その金額は公にされるものですから 彼らも行わざるを得ず また 金額も その企業の名を公表する事からには 出し惜しみも出来ないと …毎回 企業会談などでは 重点を置いて話し合われる事らしいですが」
シェイムが呆れて言う
「重点を置いて?…いえ、善意の寄付額に対して 企業会談の中で重点を置いて 話し合う必要などがあるのでしょうか…?」
コートハルドが苦笑して言う
「彼らにとって お金は正に財産 命と同等ですからね 事件の中に置いても ”身代金”とは良く言ったものです そして 今回の事件ですが 残念ながら …いえ やはりと言いますか?その彼らもまた 犯人らへ協力をしていました」
シェイムが疑問して言う
「は?そちらは?」
コートハルドが言う
「実はメイリス顧問官へ 今事件の解決をお願いする以前から 我々は今回の事件には政府の… それら 身代金を払わされた企業は勿論 事件現場となったそちらの企業さえ 犯人らに関与しているのではないかと 踏んでいましたので」
シェイムが驚いて言う
「え!?そちらの情報は!?私はそう言った情報は 何も伺っておりませんでしたが!?」
コートハルドが苦笑して言う
「はい… そちらは… わざわざお伝えしなくとも ご認識をされておられるかと?」
シェイムが衝撃を受ける コートハルドが言う
「しかし 伝えて置くべきでしたね?私は メイリス顧問官は政府系企業の事は そもそも ご信頼されておられないものと思っていた為に 私の考察などは述べる必要は無いと思っていたのです」
シェイムが言う
「考察?では そちらに関しては 確固たる証拠があると言う訳ではないと?」
コートハルドが言う
「はい 証拠にはなりませんが しかし 考察を持って考えれは そちらは正しく証拠とするには十分です まず 第一に 何と言っても振込がなされた口座ですが 犯人らは企業の秘書やそれらの者へ連絡を行い 振込作業をさせる訳です そうとなりませば そちらの指定口座から情報が得られる事は当然で 事件数にして既に6件 合計にして40回以上も同作業は行われていたのですから いくら複数の口座を使用していても そちらの情報さえ得られれば やがては犯人と行き着くものです しかし、それが成されなかったのは…」
シェイムが言う
「私が情報局へ確認をした所 犯人らが使用した指定口座は確認出来なかった との返答でした しかし、結果から言えば 振込先の口座は 各地区の政府教会だった訳で… しかも 企業名も日時の情報も残っていた… と言う事は?」
コートハルドが言う
「そうです 事件に巻き込まれ そこで命と同等の資産を失われたとあれば それらの政府系企業は皆 ”保険に加入” していますからね?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「保険?…なっ!?では まさかっ!?」
コートハルドが言う
「自分たちの被害は そちらの保険により”全額補償” 更には 何処の教会であっても 政府教会へ自身の企業名にて ”超高額の寄付”を行ったと言う名誉は 公の下 そちらの企業へは 大いなる栄誉とされるでしょう?」
シェイムが怒って言う
「ではまさかっ!?振込先を知りながらっ その情報を政府警察へ隠していたとっ!?」
コートハルドが苦笑して言う
「流石にその現場に居ては気付かなかったかもしれませんが 少なくとも 事件に遭遇した時点で保険の適用は間違いないですから 後はその場に置いて自身の命さえ保守が出来れば… そして 命が助かって 先の身代金が寄付金にされていたとあれば 後はそちらの教会があります地区などで 何らかの事業を開始すると言う事でも考られるようで… 既に それらの企業が そちらの地区で 新規事業を立ち上げたという噂をチラホラと?」
シェイムが怒って言う
「くぅ…っ!つまり 被害に遭っていた政府系企業は 皆 事件を逆手に取っていた …ともすればっ そちらの事件内容は それら政府系企業の会談などでも 話し合われていたかもしれませんねっ!?」
コートハルドが言う
「そうですね?恐らく 重点を置かれて」
シェイムが言う
「ですよねっ!?彼らにとって 事件は 神様からの贈り物も同然なのですからっ それこそ その無償のプレゼントを 同じ政府系企業の仲間たちで分かち合おうと!」
コートハルドが言う
「はい しかし 彼らにとっては神様からの贈り物も その神様を代行する保険会社にしてみれば 堪ったものではありません 無償のプレゼントは無償ではなく 間違いなく それら保険会社の資産なのですから」
シェイムが気付きコートハルドを見る コートハルドが言う
「ですから 我々政府警察は 正義の名の下に 同じ政府系企業の彼らが了承している この事件を 何としても止めさせなければいけませんでした …とは言え 口座の情報は勿論 襲撃のあった企業の防犯カメラや 警備に就いていた者から 事件に関係する情報は一切聞き出せず」
シェイムが言う
「そうですね 襲撃の有った企業も そちらの会談や会合の主催者として 身代金を払わされている… しかし その事件を逆手に取る事が出来るとあれば 彼らの作戦に加担していたも同然です」
コートハルドが言う
「そうであっても 事件解決へ向けてのそれらの提供は 善意の捜査協力ですので そちらを不意にされても 我々には逮捕は勿論 文句さえも言えません 従って 私は この政府警察にとっての難解事件の解決を メイリス顧問官へ依頼したのです」
シェイムが衝撃を受けて言う
「え?あの…?えっと…?」
コートハルドが微笑して言う
「基本的に政府系企業のそれらには 同じ政府系企業の者か 個人企業の者しか呼ばれません …ですので そちらを解決するとあれば メイリス顧問官なら 必ず 元国防軍長にして歴代国防軍長のハブロス殿へ お力添えを頼まれるかと?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「さ、最初から 私が 彼を使うと…?」
コートハルドが苦笑して言う
「はい そちらは思っていたのですが… まさか 作戦そのものへ ご本人様を御投入させるとは 思いも寄りませんでした為に 本当に驚きました」
シェイムが言う
「あ…?そうでしたか?いえ 彼を使うのでしたら それ以外の方法などは?」
コートハルドが言う
「私はてっきり 事件解決へ向けての作戦の構築へ?もしくは そちらの作戦へ あちらの隊員を用いての 協力を要請されるかと思ったのです」
シェイムが言う
「事件を解決するのに 別の企業っ …いえっ 政府警察の隊員以外の者を用いていたのではっ 政府警察の名誉が下がってしまいますっ その様な事は断じて 行うべきでは有りませんっ!それに 作戦構築も… …いえ そちらに関しては…」
シェイムが思う
(作戦自体は 私が構築した… しかし 結果として 彼の作戦が有ったからこそ この事件は解決がなされた その事実は 揺るがないものとなるだろう そうとなれば やはり 政府警察には 元となる作戦を構築し 助言を行う顧問官という役職は 不要と言う事に…)
コートハルドが言う
「私であっては ARTとは言え 歴代国防軍長であるハブロス様へ 作戦構築の助言を頂いたり 増して 作戦そのものへご参加して頂くなどと言う事は到底出来ません 政府警察警察長として事件そのものを委託して 解決を依頼する事となりましょう… そして重大事件が起きる度に その様な事をしていては それこそ 政府警察の名誉など廃れてしまいます メイリス顧問官」
シェイムがコートハルドを見る コートハルドが言う
「この度の事件解決 誠にお疲れ様で御座いました どうかこれからも 政府警察の力として 我々と共に」
コートハルドが礼をする シェイムが困りつつ言う
「コートハルド警察長… いえ どうか そう… 私の方こそ 不甲斐ない顧問官ですが この政府警察に置いて頂ければと…」
コートハルドが微笑して言う
「もちろんです …ああ 失礼しました 遅くなりましたが こちらを」
コートハルドがシェイムへ警察バッチと身分証を渡す シェイムが驚く コートハルドが微笑して言う
「政府には マスターの名を持つ者は置かないと言う事になっていますが こちらには その たった一人の例外を認めた 反逆の兵士にのみ与えられる アールスローン国民の名が記載されています そして… その名は この度から変えられました 本日より貴方は 再び シェイム・トルゥース・メイリス殿です」
シェイムが呆気に取られてからコートハルドを見て言う
「…っ 有難う御座います コートハルド警察長っ」
コートハルドが微笑する シェイムがバッチと身分証を受け取る
【 メイス地区 政府中央医療施設 】
入り口ドアが開かれ 後方ではタクシーが発車して行く シェイムが身分証を眺めながら入って来て思わず微笑して思う
(これで これからは堂々と私の… シェイム・トルゥース・メイリスのIDを使用して タクシーに乗車する事も出来る もちろん 傘を買う事だって…?)
シェイムが衝撃を受け 顔を左右に振ってから言う
「もう あちらの事はっ…」
シェイムが気付き表情を落して思う
(…いや むしろ 今は その彼のお見舞いに… その為に 初めてこのIDを使い タクシーに乗車したと… 初めて使用したそれが 彼のお見舞いに行く為にと言うのは… それこそ 彼のせいで買えなかった傘以上の…っ)
フレイゼスが気付いて言う
「おや?シェイム殿?」
シェイムが反応し 声の主を探してから言う
「フレイゼス殿?何故こちらへ?政府外交長の貴方が?」
フレイゼスがやって来て言う
「ああ… はい 私は確かに 政府外交長ですが 現代に置いては割と その役職の仕事が御座いませんので」
シェイムが衝撃を受けてから言う
「そ、そうですね?それ故に 私がその… 政府で唯一の例外とされる 反逆の兵士にのみ与えられる アールスローンの名を 頂けた訳で…」
フレイゼスが気付いて言う
「おや?…と、申します事は?もしや?」
シェイムが言う
「はいっ 本日付で 私が そちらの名を!しかも その名前はっ!」
フレイゼスが微笑して言う
「無事、『シェイム・トルゥース・メイリス』の名に 変更されましたでしょう?」
シェイムが驚いて言う
「え?何故 そちらを ご存知で?」
フレイゼスが言う
「はい そちらは 以前の内から 私とハブロス殿で」
シェイムが衝撃を受けて言う
「ハ、ハブ… いえ、彼と?フレイゼス殿が?」
フレイゼスが言う
「何とかして シェイム殿のお名前を 元へ戻せないものかと… そちらの お話し合いをさせて頂いておりまして?」
シェイムが呆気に取られて言う
「フレイゼス殿と …彼が?私の名前を?」
フレイゼスが言う
「はい そしてハブロス殿がご提案された案を ミックワイヤー長官のお力もお借りしつつ 決行された作戦でした それでも 無事作戦が成功するまでは シェイム殿へはお知らせしないようにとの お約束でした為に 本日までそちらを伏せておりまして …ですので シェイム殿に関する事で秘密にしておりました事を お詫び致します」
フレイゼスが頭を下げる シェイムが慌てて言う
「ああっ いえっ!どうか お顔を上げて下さいっ それで…?えっと…?ちなみに そちらの作戦とは?」
フレイゼスが顔を上げると微笑して言う
「はい 政府と国防軍が協力して 政府の力となる事が出来ました暁には 反逆の兵士の名の変更を 認めてもらえるようにと?ですので シェイム殿がそちらの身分証を手になされた その瞬間に 作戦は無事成功を収めたと言う事になります この度の事件解決と合わせまして 作戦は成功ですね?流石は 歴代国防軍長ハブロス殿の作戦です」
シェイムが言う
「で、では… あの彼が?私の名を 元に戻そうと 働いてくれたと?」
フレイゼスが言う
「その通りです 歴代国防軍長ハブロス家の力となるのは 歴代政府警察メイリス家の者で無ければ 許されないと?…歴史を戻したいと仰っておられました そちらが 今も尚 ハブロス殿の お父上様の願い であるそうで?」
シェイムが呆気に取られて言う
「彼の父上様の?…ヴォール・アーケスト・ハブロス殿 の…?」
シェイムが視線を落し考える フレイゼスが苦笑してから言う
「私は そちらのハブロス殿に関しましては お話をしたのも ものの数回 お会いしたのは あの日が最初で最後でしたが それでも… シェイム殿やラミリツ殿の父上様である フレイスにとって唯一無二の親友であられたのだと そちらのお話は 良く伺っていました そして、そのお2人が… いえ ヴォール・アーケスト・ハブロス殿が ご記憶の欠損があろうとも 今も尚 フレイスの事を その様に仰っていると聞けば 私に出来る事は 行いたいと思います」
シェイムがハッとして言う
「っ!そうでした 私の…っ 反逆の兵士の名が変えられたとなれば 以前の フレイゼス殿のお名前は…っ?」
フレイゼスが微笑して言う
「歴代政府外交長 メルフェス・ラドム・カルメスの名は どうやら引退の様です」
シェイムが言う
「…申し訳ありません」
フレイゼスが言う
「いえ 確かに思い入れは無いとは言いませんが 様々な問題を引き起こした者の名でもあります ここらで引退するのも良いのかもしれません」
シェイムが苦笑して言う
「シェイム・トルゥース・メイリスも 少々問題を引き起こしましたが…」
フレイゼスが微笑して言う
「メルフェス・ラドム・カルメス程では 御座いませんよ?」
2人が軽く笑った後 シェイムが言う
「それらは全て アールスローンの為に 行った事です」
フレイゼスが言う
「そうですね?そちらに間違いは有りません …反逆の兵士の名に誓って」
シェイムが言う
「はいっ」
フレイゼスが頷いてから 気を取り直して言う
「…それで シェイム殿が こちらにお越しになられたのは」
シェイムが衝撃を受けて言う
「あ、は、はい… そちらは…」
フレイゼスが微笑して言う
「ハブロス殿 お見舞いですね?」
シェイムが言う
「…はい 事件の後片付けも粗方終わりましたので 今回の事件解決へ ご… 協力を 頂きました…」
シェイムが思う
(むしろ 解決をして 頂いた…)
シェイムが言う
「ハ、ハブロス殿へ… お礼を兼ね いえ お詫びを兼ねて お見舞いにと…」
フレイゼスが言う
「でしたら 丁度良かったと申してしまうのも 失礼かとは思うのですが 私の方は ラミリツ殿に」
シェイムが反応して言う
「エーメレスに!?」
フレイゼスが苦笑して言う
「ART2の部隊訓練を放棄して出動してしまったので 戻らなければならないと しかし、こちらの施設が 政府管轄の医療施設ですので 入院患者は別として 基本的に政府関係者以外の長時間の滞在は許可されません そこで 一時的にでも 私に付き添いを交代して欲しいと 頼まれて来たのですが」
シェイムが言う
「あ、そうでしたか それでは…」
シェイムが思う
(…と言う事は そうか!今 彼の付き添いにはエーメレスがっ では 私は こちらのIDを初めて使って訪れた先は エーメレスの下であったと言う事でも!?…と?…いや、今はそれよりも)
フレイゼスが困って言う
「…シェイム殿?」
シェイムがハッとして言う
「あっ!いえっ!はいっ …で、では そうですね?私もこれから エーメレスの下へ …いえっ 彼のお見舞いへ向かいますので ご一緒に?」
フレイゼスが言う
「いえ、如何に 仕事の少なくなった外交長とは言え 一応 それなりに職務は御座いますので シェイム殿が向かわれると言う事でしたら 私は 政府本部へ戻りましょうかと?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「えっ!?ご一緒に向かっては 頂けないのですかっ!?」
フレイゼスが苦笑して言う
「シェイム殿もお忙しいでしょうから 私も後ほど そちらの職務を終えた後にでも また参りますので それまでの間は お願いをしても宜しいでしょうか?」
シェイムが言う
「あ… いえ?私の今日の仕事は終わったも同然なので そちらの心配は無いのですが むしろ 私としましては あの悪魔の下へ向かうと言う事が 何よりの問題と申しましょうか… 心配と申しましょうか…」
フレイゼスが呆気に取られて言う
「え?あの… シェイム殿?そちらの悪魔… いえ、ハブロス殿は」
シェイムが顔を逸らして言う
「フレイゼス殿の仰る通り 確かに 私は 彼の作戦のお陰で 地位も名前も取り戻したようなものですがっ!?そもそも そちらは その彼に奪われたものであってっ それを…っ」
シェイムの脳裏に様々なアースの悪態が思い出される シェイムが怒りに震える フレイゼスが苦笑して言う
「シェイム殿」
シェイムが不満そうに言う
「ええ 分かっていますっ それでも そちらを戻して頂いた事は 確かに礼を言うべき事かもしれませんがっ!?私としましては…!」
フレイゼスが言う
「ハブロス殿は お怪我を負われて 入院をされて居られるのですよ?」
シェイムがハッとすると シェイムの脳裏にあったアースの悪態が消える フレイゼスが言う
「シェイム殿がどうしても 今までの事を水に流す事は出来ないとおっしゃるのでしたら そちらは私の責任でもありますので その私が シェイム殿のこの度の作戦協力に当たっての お礼のお言葉も携えた上で ハブロス殿の付き添いを行います ですので シェイム殿は このままご公務へ戻られても 構いません」
シェイムが呆気に取られて言う
「フレイゼス殿…」
フレイゼスが言う
「一度失われた信用や… ハブロス殿の申される 両家の歴史を戻す事は難しい事ですが そちらを行おうと 努力する事は 両家の為にも 政府と国防軍の為にも 必要な事だと… 私もミックワイヤー長官も望んでおります そして、それはきっと…」
シェイムが言う
「分かりました」
フレイゼスがシェイムを見る シェイムが苦笑して言う
「私も 今日からは また意識の上に置いても名前の上に置いても 間違いなく メイリス家の者です 今は亡き父の為にも メイリス家とハブロス家 そして 政府と国防軍の為に 私に出来る事を 尽くします」
フレイゼスが微笑して言う
「はい それでしたら 宜しくお願いします シェイム殿」
シェイムが微笑して言う
「はい お任せ下さい フレイゼス殿」
フレイゼスが頷き立ち去って行く シェイムが苦笑してから受付へ向かう
病室前
ラミリツが携帯で電話をしていて言う
「え?兄上が?」
携帯からフレイゼスの声が聞こえる
『はい シェイム殿はお見舞いの為にといらしていた所 丁度 受付の前でお会いをしまして 職務の方もひと段落されたと言う事でしたので 私がラミリツ殿から頼まれていました ハブロス殿への付き添いの方も お願いを致しました』
ラミリツが言う
「付き添いの方もって…?じゃ アンタは来ないの?兄上の名前が戻ったら 作戦成功だって …ハブロス司令官へ報告するんじゃなかったの?」
フレイゼスが言う
『そちらのご報告も ともすれば 私が行うよりも シェイム殿から直接伺う方が… お2方にとって とても意味の有る事では 御座いませんかと?』
ラミリツが言う
「ふーん?そう言うもの?僕だったら 自分が受け持った任務の報告は 自分がしたいって思うけど… でも アンタも結構策略家だもんね?そのアンタが言うのなら そう言うもの?なら良いよ 分かった」
フレイゼスが言う
『策略家…?あぁ いえ?私の考えなど とても 高位富裕層方の 増して 政府の中では通じません しかし その政府が行う外交の中に置きましては 使えるものだと自負しておりますが』
ラミリツが疑問して言う
「それって…?どう言う意味?」
フレイゼスが言う
『そうですね?言ってしまえば 今回の事件が現すように 高位富裕層の世界や政府の世界は マスターの名を持っていた 私の様な者ではとても勤まらないと申しましょうか?』
ラミリツが表情を困らせて言う
「…なんか もっと 分かんなくなって来たんだけど?」
フレイゼスが言う
『はい、しかし その様な私は フレイスの2人目の親友だったのだと そのフレイスのご子息様に 教えて頂きました そして そのシェイム殿もまた マスターの名を持つ者となったのですから』
ラミリツが困って言う
「あのさぁ?そのフレイスの2人目の息子である僕や その そもそもの父上だって そう言う ややっこしい言い方されるの苦手だったって… アンタも父上の2人目の親友なら 知ってるんじゃない?」
フレイゼスが言う
『ええ そうですね?その頃の私には ナノマシーンシュレイゼスの力がありましたので?』
ラミリツが言う
「つまり?」
フレイゼスが言う
『つまり 正義を見据えて戦うフレイスには 優秀な親友が必要だったのでしょう?高位富裕層や政府の 悪知恵を超えられる程の 頼られる親友が』
ラミリツが閃いて言う
「つまり 父上にはアーケスト殿の助けが必要だって事?」
フレイゼスが軽く笑って言う
『ふふ… その通りです 良くご存知ですね?』
ラミリツが言う
「そんなの ”当然だ” …で?それだけ?…あれ?けどそれじゃ なんか忘れてる気が…?」
ラミリツが首を傾げる フレイゼスが言う
『はい そして そちらのご親友は… つまり 現代のメイリス家とハブロス家に置かれましては 双方には 双方共にお2方ずつ ご兄弟が居られる訳ですから …やはり 私が思いますに そちらは…』
ラミリツが言う
「うん 僕の親友はアース・メイヴン・ハブロス司令官だよ?」
フレイゼスが衝撃を受けて言う
『え?あの… ラミリツ殿?』
ラミリツが言う
「僕の親友は ハブロス司令官なの!これ 絶対!」
フレイゼスが言う
『そちらは その… 出来ましたら ここは一歩譲って頂きまして ラミリツ殿は どうか 彼の弟様の方へと…?』
ラミリツが顔を逸らして言う
「駄目っ!僕は攻長でも 親兵攻長だからっ 親兵攻長の親友は 親兵防長なの!これ 常識!」
フレイゼスが言う
『そちらはそうかもしれませんが… 現代に置かれましては 少々曲げて頂けますと…?』
ラミリツが言う
「嫌っ!」
通路
シェイムが歩きながら考えている
フレイゼスが言う
『…歴史を戻したいと仰っておられました そちらが 今も尚 ハブロス殿の お父上様の願い であるそうで?』
シェイムが呆気に取られて言う
『彼のお父上様の?…ヴォール・アーケスト・ハブロス殿 の…』
シェイムが視線を落し考える フレイゼスが苦笑してから言う
『私は そちらのハブロス殿に関しましては お話をしたのも ものの数回 お会いしたのは あの日が最初で最後でしたが それでも… シェイム殿やラミリツ殿のお父上である フレイスにとって唯一無二の親友であったのだと そちらのお話は 良く伺っていましたので そのお2人が… いえ ヴォール・アーケスト・ハブロス殿が ご記憶の欠損があろうとも 今も尚 フレイスの事を その様に仰っていると聞けば 私に出来る事は 行いたいと思います』
シェイムが口ずさむ
「ヴォール・アーケスト・ハブロス殿…」
続く
警察官らが言う
「企業会談及び会合の開始から 20分を経過 各地区の警備状態 異常なし」 「各地区警察の状態 通常状態と認識 主立った事件事故の発生は見受けられません」
シェイムが真剣な表情で思う
(今までの6件の事件は 同日に複数個所にて そして会談や会合と言われるそれらが開始されて 10分から 遅くとも20分までの間に事件は起こされていた しかし 今の所1件もそれらの報告も無いとなれば…?)
シェイムが肩の力を抜いて言う
「今日は もう 起きないと言う事でしょうか?」
シェイムが思う
(犯行は毎日起きていた訳でもない上に こちらが対策本部を立てたと公明したとあっては もう 行わないという可能性すら…?だとしたら尚更 現状手がかりになるものが 得られていない我々政府警察は どうやって 犯人らを…?)
電話が鳴る シェイムがハッとすると 警察官が受話器を取って言う
「こちら政府警察本部!…えっ!?事件がっ!?」
シェイムが慌てて言う
「事件が起きたのですかっ!?直ちに 出動させた人員の確認と 現場からの情報を共有しなさいっ!」
警察官が呆気に取られる シェイムが言う
「どうしたのですっ!?今作戦に関係の無い事件であっても 詳細の確認をしなさい!」
あちこちで電話が鳴る シェイムが驚いて言う
「こ、これは…っ!?」
警察官の1人が受話器を押さえて言う
「メイリス顧問官!報告です!」
シェイムが振り向いて言う
「報告?…警備部隊からの報告でしたら 地区警察へ行わせなさい!報告は纏めて そちらの署長から!」
警察官が言う
「そちらの署長から!リング地区の企業にて 会合襲撃事件が発生し 既に 犯行が行われたとの報告です!」
シェイムが驚いて言う
「犯行が行われたっ!?行われたとはっ!?そちらのリング地区警察の動きは どうなっているのですか!?」
別の警察官が言う
「メイリス顧問官!こちらも!マイルズ地区の企業にて 会談襲撃事件が発生し 身代金を振り込まされたとの 報告です!」
シェイムが驚いて言う
「振り込まされた!?それではっ!?」
シェイムが思う
(犯行は既に始まっているっ!?)
【 某企業会合所 】
犯人Aが警備員の頭に銃口を突きつけて言う
「全員動くなっ!少しでも可笑しな真似をしたら!」
犯人Bが連れて来た警備員の首を切り裂く 会合所に居た企業者たちが目を見開く 犯人Aが企業者たちを見て笑んで言う
「この通りだっ!お前たちも コイツのように殺されたくなかったら!言う通りにしろっ!」
企業者たちが怯える アースが澄まして見ていて思う
(なるほど これが 迅速な振込を実行させた手口か… 政府系企業となれば 国防軍系列の企業とは異なり 本物の死体は勿論 人の命が奪われる その現場を見る事は無い …脅しには十分か?)
犯人Bが死体を見せ付けている 企業者たちが怯えている アースが思う
(そして 恐らく 命を奪われた あの者は 最下層の者… だから 今までの政府の発表に置いては 死傷者数にカウントされていなかったのだろう もしくは 政府系企業の連中は 自分たちの保身の為に その事実を口外しなかったのか… どちらにせよ この犯行の計画者は…)
犯人Aが近くに居た企業者の トレードカードを見て言う
「ラスタス企業 資本金13億… よし、なら お前の身代金は 10億で良い 秘書へ連絡して振り込ませろ …今直ぐ!」
犯人Aが企業者へ銃を向ける 企業者が言う
「…わ、分かった 10億だな?」
犯人Bが警備員の首へナイフを当てている アースが思う
(政府のそれらの事情に 精通した者… もしくは それを仲間にしたつもりで 使われている 最下層の者か?)
企業者が言う
「口座は?」
犯人Aが言う
「そうだな?それなら まずは メイス地区銀行の番号は…」
アースが思う
(あの言い方からして 振込先の口座は 複数を使用すると言う事か?いや それだけでは見破られる 何か策を立ててある筈 いくつかを確認出来れば そこから 割り出せるか…?)
犯人Aが自身の携帯で口座の情報を確認すると言う
「よし それじゃ お前の命は保障してやる」
企業者が言う
「身代金を支払ったのだから 解放してくれるのでは無いのかっ!?」
犯人Aが言う
「保障してやるって言っただろう?そっちで待ってろ 他が終わったら 解放してやる」
犯人Cが銃を向ける 企業者が従う 犯人Aが言う
「よし 要領は分かったな?さっさとやってくれよ?…こうなりたくなければな?」
犯人Aが警備員の頭に銃を突き付ける 警備員が言う
「ひぃっ!?け、携帯は渡したっ 銃も渡したっ 命は助けてくれるとっ!?」
犯人Aが言う
「…あぁ そうだったぁ?」
アースが思う
(携帯は渡した?銃も?…本当に 民間の警備員だったのか?政府警察の制服を来た…?まさかな しかし…)
犯人Aが言う
「はははっ 悪ぃなぁ?うっかり忘れる所だったぁ お前らも 俺に 忘れさせねぇようにな?身代金を支払った後も 大人しくしていてくれよ?」
アースが思う
(本当に 連絡手段は 自信の持つ携帯電話だけだったのか?…作戦と言う名の下に置いては 呆れるばかりだが …とは言え 今更 引き下がる事も出来ない そうとなれば…)
犯人Aが天上へ向けて銃を放つ 人々が銃声に驚く アースが鼻で笑って思う
(ふん?大した演出だ 最も 素人が相手であればの話 …歴代国防軍長 ハブロス家の名誉と誇り… この魂を 見せる時が来たか)
犯人Aと犯人Cが企業者たちへ身代金の振込作業を行わせる 犯人Bが人質を取りつつ周囲を伺っている アースが寛いでいる 犯人Bがアースに気付き訝しむ
【 政府警察 】
シェイムが言う
「その他の地区警察からの連絡はっ!?」
警察官が言う
「リング地区とマイルズ地区の企業会合が襲われ 身代金の振込が終えられたと言う連絡以外 その他の地区警察は 全て 平常通りです!」
警察官が受話器を抑えて言う
「メイリス顧問官!メイス地区警察が出動したと!」
シェイムがハッとして言う
「メイス地区…っ!?」
シェイムが資料へ視線を向ける メイス地区の企業会合の参加者リストにアースの名が在る シェイムが言う
「分かりましたっ そちらの事件の情報と経過を!必要とあれば 追って指示を出します!」
警察官が言う
「分かりました!伝えます!」
シェイムが周囲を見て気を焦らせる
【 企業会合所 】
犯人Aと犯人Bが各々企業者から身代金の徴収をしている アースが一度コンソールへ視線を向けてから思う
(これまでに掛けられた時間は 平均して1人1分弱… こいつらには 同じ政府の仲間である 政府警察の作戦に 参加していると言う意識は無いのか?事件誘発の為の餌として撒かれたからには 彼らの到着を待つ為に 相応に時間を稼いでやるのが 筋というものを…っ)
犯人Aが言う
「ミリセスカンパニー 資本金9億… う~ん… なら 5億かぁ?少ねぇなぁ?…ちょいと追加して10億行っとくかぁ?」
企業者が言う
「5億でも10億でも良いっ!私の命の保障をしてくれっ!」
犯人Aが笑って言う
「そうかぁ!?流石は高位富裕層様~?じゃぁ アンタの身代金は 10億で?」
アースが気付いて思う
(うん?もしや…?)
アースが政府の書類を思い出して思う
(…そう言う事か 呆れた連中は警備員だけではなかった こいつらは皆…っ)
企業者が携帯へ言う
「私の身代金として10億を マイルズ銀行の口座番号098765へ 直ちに振り込めっ!」
携帯から秘書の声が聞こえる
『畏まりました 直ちに お振込を致します』
犯人Aが携帯で振込を確認してから笑って言う
「あっははあっ!資本金以上の身代金を払っちまって大変だったなぁ?まぁ 命は助かるんだから 後で精々稼いでくれやぁ?」
犯人Aが企業者の腕を引っ張り肩を叩いて向かわせる 企業者が犯人Aを振り返って鼻で笑って言う
「ふんっ」
アースが思う
(この作戦の中に置いて 支払った身代金は ”政府警察が全額保証する”と見込んでいるのだろう …そうとなれば尚更 今作戦の立案者である メイリス顧問官殿っ この作戦は 確実に成功させなければ…っ)
犯人Aがアースの下へ来て トレードカードを見ながら言う
「最後はお前だ 会社名は…エーアールティー?うん?…政府系企業じゃないのか?お前は… っ!?」
アースが思う
(現行 正義の名の下にある 我々の政府警察は 終わるぞっ!)
犯人Aがアースを見て驚いて言う
「国防軍総司令官っ!?」
アースが笑む
【 政府警察 】
コートハルドがやって来て言う
「メイリス顧問官っ!大変です!政府系企業を狙った犯行が 既に行われ しかも同日に2件もっ!そして今 そちらの2件の犯行に巻き込まれた企業主らから 身代金として支払わされた金額を 全額保証するように との請求が入りましたがっ!この額はとても 政府警察では賄い切れませんっ 何としても 犯人を捕まえなければっ!」
シェイムが言う
「そちらの身代金に関しては 考慮する必要は在りません!当初の予定通り もし企業経営主様方の御身へお怪我を負われたと言うのでしたら そちらは賠償を…っ しかし 身代金に関しましては そちらを保障するとは 我々政府及び政府警察は 一切申しておりませんっ!」
コートハルドが驚いて言う
「なっ!?何をっ!?…メイリス顧問官!?今回の作戦は 間違いなく 我々政府警察が立案し 政府の名の下に置いて 決行された作戦ですのでっ そちらで被害に会われたからには…っ!?」
シェイムが依頼書を突き付けて言う
「ではっ こちらの依頼書を再確認して頂いて下さいっ こちらには政府の下にある政府警察として 同じく政府の下にある企業者様方へ 作戦へ協力して頂きたいと そして そちらの作戦の中に置いて 政府警察が皆様の御身の保障をお約束しますと ”身”の保障はしておりますが ”金”の保証をするとは 一切書いておりませんっ!」
コートハルドが衝撃を受けて言う
「そ、それは…っ メイリス顧問官 そちらは確かに 身の保障であって 金の保証とは書かれておられませんが…」
シェイムが言う
「はいっ!でしたら 物的証拠もこちらに御座いますのでっ そちらの問題は解決ですっ」
コートハルドが言う
「いえ 残念ながら 解決は解決であっても 我々政府警察の完敗と言う形で解決です メイリス顧問官」
シェイムが言う
「完敗!?何を仰います!?コートハルド警察長!?こうして物的証拠もあるとなれば いくら高位富裕層がその権力を振りかざそうとも 我々の完勝ですかとっ!?」
コートハルドが言う
「そちらの高位富裕層の定義に置かれまして 高位富裕層の”身”とは 地位や名誉は勿論 その者が提唱すれば 家族の身や家さえも 自身の”身の一部”として 補償の範囲とされます そうとなりましては もちろん 彼らの愛する ”金さえも身の一部”です!」
シェイムが衝撃を受けて言う
「何ですってっ!?」
コートハルドが言う
「むしろ 彼ら政府系企業の高位富裕層にとっては ”金”が本体の様な物ですっ 金の為なら指の一本や臓器の1つ位 平気で提供するでしょうっ 彼らは そう言った者たちの集まりですっ」
シェイムが言う
「なんと言う悪の秘密結社ですかっ!?そちらの集まりはっ!?」
コートハルドが言う
「政府系企業です!」
シェイムが表情を引きつらせる
【 企業会合所 】
犯人Bがやって来て言う
「へぇ?こいつは 驚いたぁ?10年位ぇ前には TVで良く見てた面だ 覚えてる 国防軍総司令官」
アースが苦笑して言う
「懐かしい呼び名だ 久し振りにそうと呼ばれ 嬉しくもあるのだが」
犯人Aがトレードカードを確認している アースがそれを横目に言う
「今の私は ARTの司令官であって 国防軍の そちらではない」
犯人Aがトレードカードを手に言う
「資本金が書かれてねぇ…」
犯人Bが言う
「なら いくらにする?国防軍総司令官… ”だった奴の” 身代金ってぇ?」
アースが軽く笑って言う
「…フッ いくらだろうな?当ててみろ?」
犯人Aがトレードカードを捨てて言う
「なら 聞いた方が早ぇ そのARTって企業の資本金はいくらだ?」
アースが言う
「さぁな?」
犯人Aがアースへ銃を向けて言う
「殺されてぇのか?答えろ?」
アースが言う
「知らないものは答えようが無いだろう?」
犯人Aが言う
「知らない?んな訳ねぇだろ?てめぇの企業だろうが?」
アースが言う
「そうだな?私の企業だ 従って 資本金は私の家の物を 使用している」
犯人Bが犯人Aへ言う
「ってぇ 事は?」
犯人Aが言う
「思い出した 国防軍 ハブロス家… 超高位富裕層ハブロス家の奴だ!こりゃぁ すげぇ大物だぜ!?このアールスローン1の金持ちの男だっ!」
犯人Bが口笛を吹く
「ヒュ~!やりぃ!」
アースが言う
「アールスローン1の金持ちの男か?…そうだな?正解だ」
犯人Aと犯人Bが笑む アースが苦笑してコンソールの時計を見て思う
(13時30分… 警備部隊からの連絡が無いとしても 最低限であっても 常識的判断であれば 全ての作戦現場にて定時連絡を行う筈 ここで気付かない事は無いと思うが…っ)
犯人Aが言う
「よし それじゃ 秘書へ連絡を付けろ 大量の身代金を振り込ませてやる!」
犯人Aが銃を向ける アースが軽く片手を上げて見せてから その手で携帯を取り出す
【 政府警察 】
警察官が言う
「企業会談及び会合の開始から 30分を経過しました 警備部隊から定時連絡を確認中!」
シェイムが言う
「定時連絡に異常は!?連絡は襲撃のあった会場以外から 全て来ていますか!?」
警察官が言う
「只今確認中ですが… 連絡の無い警備部隊もあります こちらから確認をしますか?」
シェイムが焦って言う
「全ての地区の全ての警備部隊へ連絡を!連絡の付かない 警備部隊の下へ そちらの地区警察を向かわせなさいっ!」
警察官が言う
「メイリス顧問官!プロイム地区の警備部隊から報告です!先ほど 襲撃事件が発生したと 現在地区警察が向かっていますが…っ」
シェイムが言う
「プロイム地区の警察署長からの連絡はっ!?」
警察官が言う
「プロイム地区の警察署長から 応援要請です!警備部隊の隊員が人質にされ 現場に近付けないとの事ですっ 指示を頂きたいとっ!」
シェイムが言う
「警備を行う筈の警備隊員が 人質にっ!?何をしているんですかっ!?警備部隊は 自分たちの身さえ警備出来ないのですかっ!?」
警察官が言う
「メイリス顧問官!メイス地区警察署長より連絡です!」
シェイムがハッとして言う
「メイス地区っ!そちらはっ!?犯人の逮捕はっ!?」
警察官が喜んで言う
「はい!犯人を逮捕したとっ!」
皆が驚く シェイムが言う
「…っ!?…で、では 事件は解決?」
警察官が言う
「はい!コンビニ強盗犯と言う事で 警戒パトロール中の婦警が 逃走中の犯人を準現行犯逮捕したと!」
シェイムが衝撃を受けて言う
「コンビニ強盗…っ!?先ほどのは そちらの事件へ対して 出動していたと言う事ですねっ?しかも 出動した部隊ではなく パトロール中の婦警に取り押さえられたと?」
警察官が言う
「メイリス顧問官!プロイム地区の署長が 再び 指示を要求していますが!?」
シェイムが言う
「そちらは…っ!ではっ 犯人からの要求を聞きなさいと 伝えなさい!」
警察官が言う
「分かりました!」
警察官が言う
「メイリス顧問官!報告です!」
シェイムが言う
「今度は何ですか!?猫でも捕まえましたかっ!?」
警察官が言う
「メイス地区の警備部隊1部隊と 定時連絡が繋がりませんっ!」
シェイムがハッとして言う
「そちらの地区警察はっ!?既に向かっていますよねっ!?」
警察官が言う
「たった今 伝えましたがっ 現場へ急行するには 先のコンビニ強盗事件で出動している部隊を向かわせる為 通常より10分遅れると!現場へは19分掛かる予定との…っ!」
シェイムが言う
「警機を向かわせた方が早かったですねっ!?とは言え 今からでは変わりはありませんっ 作戦続行!可能な限りの手段を用いて 現場へ急行するようにと伝えなさいっ!」
警察官が言う
「分かりました!」
シェイムが周囲を見て時計を見る 時計の針が進む シェイムが思う
(…現場へは残り19分っ 連絡の無かった警備部隊へ それを確認してから向かっている以上 既に犯行は行われているっ 今までの犯行は企業のそれら開始から20分までの間に終えられているとなれば 間違いなく間に合わないっ …では もはや無意味だろうか?…いや もしかしたら?)
シェイムが資料にあるアースの名を見て思う
(あの悪知恵の温床 悪魔の司令官ならば?地区警察が到着するまでの時間を稼いでくれるのでは…?もしくは… …いやっ そちらは願ってはいけないっ ともすれば この事件を… 彼が解決してくれるのでは無いか…?などとっ そちらは もし 出来たとしても それをされては 今度こそ政府警察が!…いやっ 私がっ!)
シェイムが表情を苦しませる
【 企業会合所 】
アースが携帯を取り出して眺めながら 横目に犯人らを見て言う
「それで?私に 何処へ連絡をしろと 言っただろうか?」
アースが思う
(遅いっ!)
アースの携帯のディスプレーにシェイムを模したマスコットが悪魔のマスコットの下へ向かおうとしている アースが思う
(このモニター上の距離…っ 1センチが3分 …6センチも離れていると言う事は 残り18分っ)
モニターに13:35の時間表示がされている アースが思う
(たった今 警機を要請したとでも?非戦闘員の私に これから18分もの時間を 稼げというのかっ!?あの野郎ぉ!)
アースが携帯から視線を逸らすと モニターの表示が黒一色へ切り替わる 犯人Aが言う
「だから 言っただろう?お前の企業の秘書だよ?お前の秘書!それとも 金は別の奴が管理してるのか?」
アースが言う
「ああ そちらなら 先ほど教えてくれただろう?私の企業の資本は 私の家の物だと?そうとなれば?」
犯人Aが言う
「ああ、なら 家の方の?…何でも良いっ お前の身代金を払える奴に連絡しろ!お前の親父が居るって言うなら そいつでも良い!死にたくねぇだろ!?御曹司!」
犯人Aが銃を向ける アースが言う
「そうだな?私も出来れば 死にたくは無い 従って 身代金を払おう 家の執事へ連絡をする そちらで良いだろう?」
アースが携帯を操作してテーブルへ置く 犯人Aと犯人Bが視線を合わせて笑んでから アースを見る 携帯からレミックの声が聞こえる
『お疲れ様に御座います 旦那様 どうぞ 何なりと ご用命を』
犯人Aと犯人Bがアースを見る アースが言う
「ああ、レミック 私は今 ARTの代表として 政府企業の会合に出席していたのだが… そちらが 今朝 政府警察が対策本部を立てたと言っていた 正に そちらの事件の襲撃を受けてしまってな?」
犯人Aと犯人Bが笑んでアースを見ている アースが思う
(政府警察の名や そちらの対策本部という言葉を聞いても動揺が見られない そして 終始見せているこの落ち着き様… こいつらは 一見 低脳な愉快犯を装っているが その実はプロと言う事か?)
レミックが言う
『そちらは 大変な御事態に御座いますね?直ぐに対策本部の御座います 政府警察へ連絡を…』
犯人Aが言う
「おっと?待て?何馬鹿な事言ってんだ?その襲撃犯が たった今 てめぇの旦那様の目の前で 拳銃を突き付けているんだよ?警察に連絡なんかしてみろ?その警察が動いた瞬間 この拳銃の引き金も動くぜ?」
犯人Aが銃を向ける アースが思う
(しかし そちらはハッタリにしても 間が抜けている どうやって その警察が動いたと言う事実を知ろうと言うんだ?このメイス地区には警機を含め 割と多くの警察のそれらが点在している そこから 間違いなく この事件へと向かう警察の動きを悟る事は 実質不可能だ …となると こいつらの正体は?)
レミックが言う
『そちらは どうか お納めを 我が主の御身の為と御座いませば 私は どの様な手配をも執り行う所存に御座いますので その私めへ 貴方様のご要望をお聞かせ下さいませ』
犯人Aが笑って言う
「はっはーっ!こいつは良いな?王様気分だぜ?なら …って遊びてぇ気もするけど そんな暇はねぇ 俺たちが欲しいのは金だっ てめぇの ご主人様の身代金を 俺が言う口座へ振込しろ!」
レミックが言う
『畏まりました 付きましては そちらの御金額の提示を お願い致します』
犯人Aが言う
「よし なら…」
犯人Aがアースを見てから考えて言う
「その前に てめぇの旦那様の家には いくら金があるんだ?」
レミックが言う
『申し訳御座いません 執事の私めは そちらを把握しては 御座いません』
犯人Aがアースへ銃を向けて言う
「なら いくらあるんだ?答えろ 旦那様!」
アースが首を傾げて言う
「さぁな?分からないな?」
犯人Aが怒って言う
「ふざけんなっ!てめぇの金だろうっ!?」
アースが言う
「数えた事が無い 1つか2つの銀行の金で良いと言うのなら そちらを言っても構わないが?そちらで 足りるのか?」
犯人Aが言う
「なら その1つか2つの銀行の金と その銀行がいくつあるんだ!?それを全部だっ!」
アースが言う
「そうだな?変動のあるものだ 正確には分からないが… 大まかに言っても 1つに1千程度か?そして、それらの銀行が… いくつだったか?100位は在るかもな?」
犯人Aが疑問して言う
「1千が100… なら… 1千にゼロ2つで…」
犯人Bが言う
「1億?」
犯人Aが言う
「馬鹿っ 10億…って 少なくねぇか?」
アースが言う
「1つ… 1千億が 100だが?」
犯人たちが衝撃を受け 慌ててから言う
「い、1千億…っ!?」 「それにゼロ2つで…?い、いくらだ?」
犯人たちが悩む アースが思う
(割と馬鹿だった… これなら… 間に合うか?)
アースがコンソールの時計へ視線を向ける
【 政府警察 】
シェイムが時計から視線を離して言う
「メイス地区警察はっ!?まだ現場へ到着しては いないのですかっ!?」
警察官が言う
「メイス地区警察からの 現場到着の連絡は まだ入っていません!時計上に置いても 後10分は掛かるものと…」
シェイムが言う
「時計上は見れば分かりますよっ!地元の地区警察ならではの 抜け道と言う物があるでしょうっ!?そちらを使って 1分でも早く向かえと言う意味ですっ!」
警察官が言う
「わ、分かりましたっ 伝えます!」
警察官が言う
「メイリス顧問官っ レファム地区警察署長より連絡です!」
シェイムが言う
「そちらの 犯人らから 何か要求でもっ!?」
警察官が言う
「はいっ!メイリス顧問官のご指示の通り 犯人らの要求を飲み 犯人らを見逃したと」
シェイムが衝撃を受けて言う
「なぁあっ!?何をしているのですかっ!?誰がその様な指示をっ!?」
警察官が驚いて言う
「えっ!?いえ、た、確かに 先ほど メイリス顧問官からの ご指示で 犯人からの要求を聞けと?」
シェイムが言う
「要求を聞けとは言いましたが 誰が飲めと言ったのですかっ!?それも 犯人らを見逃すとはっ!?貴方方政府警察は 本当に犯人を逮捕しようと言う その思いはあるのですかっ!?」
警察官が言う
「も、申し訳ありません… では… レファム地区警察署長へは…?」
シェイムが言う
「始末書でも書いて置きなさいと 伝えなさいっ!」
警察官が言う
「わ、分かりました 伝えます…」
シェイムが表情を困らせて思う
(現場はどうなっているのでしょうっ!?この様な時 父上ならっ!?…あの …悪魔ならっ!?)
シェイムが書類へ視線を向ける
【 企業会合所 】
犯人Aが指折り言う
「1千億… 1兆… 10兆… うん?100兆?…100兆か?」
アースがコンソールの時計を見て思う
(…いや どんな馬鹿が相手でも 流石に 後10分は難しいか?そうとなれば…)
犯人Bが言う
「100兆か?じゃ それで良いんじゃねぇか?アールスローン1だって言うんだから?」
犯人Aが言う
「ああ、そうだな?100兆もあれば十分だ …よし!それじゃ!」
アースが思う
(そもそも あの表示も この場所から最も近い政府警察の動きを示しているだけで 確実に警機が導入されたとは言い切られない あの抜けた奴の事だ ともすれば 使えない地区警察を動かしたという可能性さえ払拭出来ない そうとなれば これはもう… 奴だけに任せては置かれないか?)
犯人Aが言う
「待たせたな 執事?お前のご主人様の 身代金が決まったぜ そいつを今から言う口座へ振込しろ!」
レミックが言う
『はい では 振込先の銀行名と御口座番号を お知らせ下さいませ』
犯人Aが言う
「よし 口座は… そうだな ならリング地区銀行の09876だ そこへ 今直ぐに 100兆振込しろ」
レミックが言う
『100兆… そちらが 我が主の身代金と言う事で お間違いは御座いませんでしょうか?』
犯人Aが疑問して言う
「あん?何だ?少ねぇって言うのか?なら… いや でももう良い 少し時間を掛け過ぎた 100兆だ!100兆でてめぇの旦那様を助けてやる!さっさと身代金を振込しろ!」
犯人Aが自分の携帯を見る レミックが言う
『金額のご提示を頂きました では お答えと致しまして』
犯人Aが言う
「うん?お答え?」
レミックが言う
『そちらの御金額は お振込を致しかねます』
犯人Aが疑問して言う
「は?」
レミックが言う
『申し訳御座いません』
犯人Aが呆気に取られてから気を取り直して言う
「お、おいっ 馬鹿言ってるんじゃねぇ!?てめぇのご主人様が 殺されても良いのか!?」
犯人Aがアースの頭に銃を突き付ける レミックが言う
『そちらは 宜しくは御座いません しかし 誠に申し訳御座いませんが 100兆の身代金は お支払いが致しかねます』
犯人Aが言う
「ならっ!?」
レミックが言う
『つきましては どうか そちらの御提示額を引き下げて頂きたいと存じます 正当な御金額に御座いませば 間違いなく御振込致します事を 我が主のお命の下へ お約束を致します』
犯人Bが言う
「高過ぎるってぇ?っははー!笑えるっ!」
アースが軽く笑って言う
「っはは 確かに笑えるな?残念ながら 私に100兆の価値は無いそうだ?」
犯人Bが言う
「あれ?笑ってる?」
アースが言う
「ああ、人間 悲し過ぎると笑えるそうだ?知らなかったか?」
犯人Bが言う
「へぇ?何だ?悲しんでんの?」
アースが言う
「そうかもな?」
犯人Bが笑んで言う
「へっへっへ… それ 分かるかも?」
アースが言う
「ほう?」
犯人Aが気を取り直して言う
「なら分かった!100兆が高ぇんなら10兆だ!」
レミックが言う
『10兆に御座いますね?』
犯人Aが言う
「そうだ!それをさっきの口座に!」
レミックが言う
『先ほどの御口座へ 我が主の身代金として 10兆を御振込する様にと?』
犯人Aが怒って言う
「そうだって言ってるだろっ!?早くしろっ!」
レミックが言う
『お時間を頂きまして 申し訳御座いませんでした では お答えを致します 誠に申し訳御座いませんが 10兆の身代金は お支払いが致しかねます』
犯人Aが怒って言う
「ふざけんなっ!ならいくらだっ!?1兆はっ!?」
レミックが言う
『ふざけるつもりは毛頭御座いません しかしながら 誠に申し訳御座いませんが 1兆の身代金は お支払いが致しかねます』
犯人Aが言う
「何で払えねぇんだっ!?100兆あるんだろっ!?だったら 1兆は払えるだろうっ!?好い加減 言ってんとっ!」
アースが言う
「好い加減ではなく それが 私の価値だと言う事だ 100兆でも10兆でも1兆でもないと 私の忠実なる執事は 私を助ける為に お前に提示金額の訂正を依頼している お前はそちらに従えば良い …簡単だろう?」
犯人Aが言う
「提示金額の訂正?…クソっ なら… 9千億だ!」
レミックが言う
『9千億で御座いますね しかし 誠に申し訳御座いません 9千億の身代金は お支払いが致しかねます』
犯人Aが言う
「8千億!」
レミックが言う
『8千億のご提示を頂きましたが 誠に申し訳御座いません…』
犯人Aが言う
「7千億!」
レミックが言う
『7千億のご提示を頂きましたが…』
犯人Aが言う
「6千億!」
レミックが言う
『6千億のご提示を頂きましたが…』
犯人Aが言う
「5千億!」
犯人Aが言い続けている 犯人Bが呆れている アースがコンソールの時計を見てから思う
(この調子で続けたとしても 恐らく途中で気付かれる… いや キレられるだろう となれば そろそろ限界か?)
犯人Aが言う
「もう 面倒臭ぇ!1千億!」
レミックが言う
『1千億のご提示を頂きましたが 誠に申し訳御座いません…』
犯人Aが言う
「100億!」
レミックが言う
『100億のご提示を頂きましたが 誠に申し訳御座いません…』
犯人Aが言う
「…10億」
アースが思う
(気付かれたか)
アースが言う
「酷い下がり様だな?」
アースが手を動かすと 犯人Bが言う
「おっと?」
犯人Bがアースの腕を掴む アースが言う
「ああ、失敬 タバコを1本吸いたいのだが?」
犯人Bが言う
「タバコ?」
犯人Bが犯人Aを見る アースが言う
「自分の価値が下げられていくのを聞いているんだ 憂さ晴らしに一服位は良いだろう?」
犯人Aが犯人Bへ指示を出す 犯人Bが頷いて言う
「なら… 俺が取る」
アースが言う
「悪いな?」
アースが上着の服を開いて内ポケットを見せると 犯人Bが内ポケットにあるタバコを取り出す 犯人Aがアースの携帯へ向いて言う
「10億だ それ以下はねぇだろ?他の企業の連中だって 最低でも それ位払ってるっ」
犯人Bがアースのライターを見てから言う
「これは怪しい …火なら 俺が持ってる」
アースが言う
「そうか では そちらを貰っても良いか?」
犯人Bがライターの火を灯けると アースが近付きタバコに火を付ける その瞬間に犯人Bの上着の中へ発信機を付ける 犯人Bは気付かずに自分のライターを消すと アースのライターを眺めている アースがタバコを吹かしてから言う
「怪しいか?欲しければ こちらの一服の礼に プレゼントしても構わないが?」
犯人Bが言う
「…いや 爆弾とかだったら困る」
アースが軽く笑って言う
「っはは それで 毎回火を付けるのは 中々面白いな?」
犯人Bが衝撃を受ける アースが犯人Bへ付けた発信機に微笑する 犯人Aが2人のやり取りを見てからアースの携帯を見る レミックが言う
『10億… そちらのご提示に御座いましても 誠に申し訳御座いませんが…』
犯人Aが苦笑して言う
「なら1億か?」
レミックが言う
『そちらのご提示に御座いましても…』
犯人Aが言う
「やっぱりな?端から 払う気がねぇんだろ?」
犯人Aがアースへ銃を向ける アースがタバコを吹かしてから言う
「1億以下の私に用は無いか?だろうな?」
犯人Aが顔を左右に振って言う
「そうじゃねぇよ?お前らグルになって 俺らを馬鹿にしてるんだろう?この銃は脅しで 本気じゃねぇだろうって?高位富裕層を殺したら 極刑だからな?だから 本当は俺らが ビビってると思ってんだろ?」
アースが言う
「ほう?そう来たか …まぁ そうだな?そちらは思っては居る お前たちこそ 死にたくは無いだろう?」
犯人Aが言う
「…そうか 国防軍総司令官 舐めてたぜ?そうだよな?その眼帯… 10年前TVで見た時には マジでビビったぜ?あの帝国に行って戦って来たんだって?それで怪我したってよ?…ホントか?」
アースが言う
「本当だと答えても 信じないのだろう?高位富裕層の御曹司に その様な真似が出来る筈が無いと?…では どうする?」
犯人Aが言う
「なら 試してやるよ?」
犯人Aが銃を向けると躊躇なく発砲する 場に居合わせた人々が驚く
【 ART研究開発室 】
M210の整備がされている ラミリツがそちらへ視線を向けている横で グレイゼスがコンソールを操作しつつ言う
「…と言う事なので 今朝のお話から ご連絡も無く変更してしまって 申し訳ないのですが 予定外の210マシーナリー30機の納品に続き そちらのジェットエンジンさえも揃ってしまったので 午後からはART1のマシーナリーの方も…」
ラミリツの身に強い動悸が起き ラミリツがハッとして言う
「う…っ!?」
グレイゼスが気付かずに話を続ける
「もちろん ART2のマシーナリーも…」
ラミリツが思う
(痛…っ!?…何?今一瞬 息が止まるかと…っ!?)
グレイゼスがモニター上でチェックしながら言う
「完成を急ぐつもりですが 今回はハブロス司令官からも…」
ラミリツが目を見開く グレイゼスが微笑して振り向きながら言う
「安全性をって… え?ラミリツ隊長?」
ラミリツが心臓の上に当たる服を握り締めて言う
「何か…っ 分かんないんだけど…っ ずっと…っ さっきから 凄い嫌な予感がするの…っ 何だろう?胸騒ぎなんて そんな甘いものじゃなくって…っ」
ラミリツが息を切らせつつ顔を左右に振る グレイゼスが呆気に取られていた状態から 慌てて言う
「嫌な予感?胸騒ぎって…っ そんな調子で?むしろ 何所か 具合が悪いんじゃ!?」
グレイゼスが心配して思わず身を乗り出すと ラミリツが言う
「それに 今一瞬…っ」
ラミリツがハッとして言う
「あ!ねぇ!?ちょっと 今 ここから 第二訓練所の様子を見れるよね!?ART2の訓練で 誰か怪我したとかっ!?」
グレイゼスが一瞬呆気に取られてから コンソールを操作して言う
「それは… もちろん 見られるが…っ」
モニターに第二訓練所の様子が映し出される グレイゼスとラミリツがモニターを見る モニターには異常なくART2の訓練の様子が映し出されている グレイゼスが言う
「それよりも その様子はただ事じゃない 取り合えず 今すぐ医務室へ向かって 医者に見てもらった方がっ?」
ラミリツが顔を左右に振ってから言う
「そう言うんじゃないってっ それは僕自身が一番良く分かるよっ!?怪我とか病気なんかじゃないっ でも 物凄く辛いのっ 何か分かんないんだけど… 失いそうな気がするっ …何かっ?…とても大切なものがっ!」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「そんな事が…?…っ!」
グレイゼスの視界に ラミリツの握られている服の下に見える神の刻印が見える グレイゼスがハッと気付いて言う
「神の刻印… …まさかっ!?ハブロス司令官!?」
ラミリツが驚いて言う
「え…っ?」
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官は 今 政府の依頼を受けて 政府警察の作戦に参加しているんだ …とは言え 元々死傷者の報告のない事件だから それなら もちろん そちらに参加しても 身の危険なんかがある筈は 無いんだが…?」
ラミリツが言う
「政府の依頼をって?…何で!?政府警察の作戦ってっ!?」
ラミリツがハッとして言う
「まさかっ 兄上がっ!?そうだっ それだよっ!?きっとっ!」
グレイゼスが言う
「え?」
ラミリツが言う
「政府系企業の会談とか会合を狙った 襲撃事件が起きてるって!兄上がその事件解決の為に 顧問官として作戦をっ!それに ハブロス司令官が参加するなんてっ!?そんなの 危ないに決まってる!」
ラミリツが携帯を取り出して連絡する グレイゼスが言う
「危ないって?いや だって あの事件では 確かに負傷者はないって メディアのニュースで?」
ラミリツが言う
「政府の公認でメディアに流される情報なんてっ 増して負傷者の数なんかっ!当てにしちゃ駄目だよっ!何言ってるんだよ マスターの癖にっ!」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「えぇえっ!?そ、そうなのぉ!?って それを 政府の攻長閣下が…?」
【 政府警察 】
シェイムが言う
「メイス地区警察からの連絡はっ!?」
警察官が言う
「連絡はまだ… それに 時計上では」
シェイムが言う
「時計上では残り5分ですがっ 地元警察であるのなら それ位っ!」
シェイムの携帯が鳴る シェイムが気付き言う
「この忙しい時に誰が…っ!?」
シェイムがモニターの表示にハッとして言う
「エ、エーメレス!?」
シェイムが携帯を着信させるとラミリツの声が聞こえる
『兄上っ!』
シェイムが言う
「エーメレス 連絡をもらえるのは嬉しいのだが 今は少々…っ」
ラミリツが言う
『ハブロス司令官はっ!?』
シェイムが衝撃を受ける
【 ART マシーナリー研究開発室 】
ラミリツが携帯へ言う
「ハブロス司令官は無事なのっ!?作戦状況はっ!?ハブロス司令官が出席している 企業に襲撃は起きてないっ!?警備に就けてる警機の無線通信は!?本部でも常時チェックしてるよねっ!?」
グレイゼスが言う
「警備に就けている警機の無線通信… そうか!それなら こっちでだってっ!」
グレイゼスがコンソールを操作する 携帯からシェイムの声が聞こえる
『あぁ… いや… そちらは… 今は その… 今回は…』
ラミリツが言う
「”今回は” 何っ!?定期連絡でも良いから 企業周囲や社内の様子とか 何でも良いよ!?何か平常時と比べての異変とかっ 目撃情報とか!?」
グレイゼスが疑問して言う
「おや?現在メイス地区では 警機の無線ラインは立てられていないのか?だったら ここは国防軍の常時ラインで…」
グレイゼスがコンソールを操作する シェイムが言う
『実は… とても言い辛いのだが エーメレス …今 彼が出席している企業に 襲撃が有ったのでは無いかと?』
ラミリツが呆気に取られて言う
「…え?」
シェイムが言う
『警備部隊からの定時連絡が繋がらない事から 地区警察を急行させているのだが 到着まで 残り…』
コンソールのスピーカーから 犯人Aの声が聞こえる
『…の銃声が聞こえたか?執事?』
グレイゼスが驚いて顔を上げる ラミリツがコンソールへ向くと 犯人Aが言う
『けど 撃ったのは頭じゃない まだ死んでない だから さぁ!身代金を払え ハブロス家の旦那様の身代金は100億で良い!』
ラミリツが呆気に取られる グレイゼスが呆気に取られた状態から慌ててコンソールを操作する レミックの声が聞こえる
『大変申し訳御座いません アース様』
アースの声が聞こえる
『…ふっ 構わない レミック… お前は 最高の執事だ』
レミックが言う
『身に余るご名誉を頂きつつも お力添えが叶わず 恐縮至極に御座います』
ラミリツが言葉を失って言う
「ハブロス…っ 司令官…っ!?」
【 政府警察 】
シェイムの携帯の先に犯人Aの声が聞こえる
『どうしたっ!?100億を さっき言った口座へ振込しろっ!執事!』
シェイムが驚いて言う
「そちらの音声はっ!?」
グレイゼスの声が聞こえる
『ハブロス司令官が無線発信機を作動させている 周波数はレギストと警機の共用無線 特殊無線周波数62だ!』
シェイムが警察官へ言う
「直ちに 特殊無線周波数62を 受信させて下さい!」
警察官がハッとして言う
「わ、分かりましたっ」
スピーカーからレミックの声が聞こえる
『先ほどもお答えを致しました通り 誠に申し訳御座いませんが 100億の身代金は お支払いが致しかねます』
犯人Aの声が聞こえる
『本気で言ってるのかっ!?お前の旦那様の身代金だっ このまま殺されても良いのかっ!?今すぐ100億振込しろっ!』
警察官たちが呆気に取られる レミックが言う
『私共の旦那様で在らされます アース・メイヴン・ハブロス様を お助け出来る事とありませば 私どもは如何なる事でも致します しかし 歴代国防軍長のお家に御座いますハブロス家は アース・メイヴン・ハブロス様の身代金として 100億のお支払いは致しかねます』
シェイムが驚いて言う
「これは… どう言う事ですっ!?」
犯人Aが言う
『だったら 殺すっ!』
シェイムが目を見開く 携帯の先でグレイゼスが言う
『あっ!?ラミリツ隊長っ!?』
シェイムがハッとして携帯へ言う
「エーメレス!?」
携帯が切れる シェイムが呆気に取られる
【 企業会合所 】
企業主たちが息を飲んで見詰めている 視線の先 アースの座る椅子の下に血溜まりが出来ていて なおも血が滴って落ちる 企業主たちがアースを見る アースが撃たれた腹部を片手で押さえつつタバコを吹かす 犯人Bが呆気に取られて言う
「タバコ… 吸ってる…?」
犯人Aが携帯へ向いて怒って言う
「何で払わねぇんだっ!?払えねぇ訳じゃねぇだろ!?アールスローン1の金持ちの癖にっ!?100兆も有って 何で100億が払えねぇっ!?旦那様の為に 何でもするんだろっ!?」
レミックが言う
『私どもは如何なる事でも致しますが ハブロス家は アース・メイヴン・ハブロス様の身代金として 100億のお支払いは致しかねます』
犯人Aが言う
「訳が分からねぇえっ!殺すぞ!?今度こそ 頭をふっ飛ばすぞ!?…いや まだだっ!まだ 死んでないっ!まだ間に合うだろっ!?このまま 間に合わなくなっても 知らねぇえぞ!?」
アースが苦笑して言う
「…ふっ そうだな 視界が薄れて来た そろそろマズイな?人質は…」
犯人Aがアースを見る アースがタバコを吸うと煙を吐き捨てる
【 政府警察 】
皆が注目している中スピーカーからアースの声が聞こえる
『死んでしまっては 意味が無いのだが… … …遅いぞ トルゥース…』
シェイムが目を見開く 警察官がハッとして言う
「メイリス顧問官っ!メイス地区警察より連絡がっ!」
シェイムがハッとして言う
「到着しましたかっ!?」
警察官が言う
「事件現場へ向かう メイス地区フロンタスストリート21周辺 道路の混雑により 到着時間が…」
シェイムが怒って言う
「何をしているのですかっ!?直ちに政府警察交通局を… いえっ 今から交通整理を行っていても間に合わないっ!事件発生時には周辺道路の閉鎖は常識でしょうっ!?それさえも 指示が必要ですかっ!?」
警察官が言う
「も、申し訳ありませんっ 地区警察には交通局への依頼要請権限がありませんので サイレンを鳴らして 周囲の車両や通行者への 協力を取り次いでの方法しか…」
警察官が言う
「メイリス顧問官っ!政府警察交通局より 緊急通信っ!」
シェイムが表情を明るめて言う
「協力して下さるとっ!?」
警察官が言う
「そちらに関係は無いのですが たった今 同 事件現場周辺にて 暴走車両が現われたとっ!」
シェイムが衝撃を受けて言う
「ぼ、暴走車両?」
警察官が言う
「車両は 二輪車 ガワザギ 白色の KNIGHT250」
シェイムが衝撃を受けて言う
「エーメレスっ!?」
警察官が言う
「メイス地区の細い路地裏を暴走 メインストリートの渋滞車両を飛び越えるなど 危険運転が確認されている為 現在政府警察交通局が緊急出動したと!」
シェイムが慌てて言う
「ああっ!そちらは そのっ!」
【 企業会合所 】
アースが短くなったタバコを吸っている 犯人Aが困惑して言う
「本当に… 死ぬぞ?お前っ!?」
犯人Aがアースの出血を見てから アースの携帯へ向いて言う
「そんなに金が大切なのか?旦那様より 金かよっ!?高位富裕層は身体より金が大切だって聞いてたが 本当だったんだなっ!?」
レミックが言う
『私どもと致しましては… いえ ハブロス家にとっても アース・メイヴン・ハブロス様のお命が100億や100兆で助かるのでしたら これほどお値打ちの物は御座いません』
犯人Aが驚いて言う
「だったら何で 身代金を振込しねぇえっ!?身代金は100億で良いって言ってんだよっ!」
アースが言う
「それは お前たちが…」
犯人Aがアースを見る アースが傷を抑えていた血だらけの手でタバコの火を握り消し 煙を吐き捨てた後言う
「我々の 敵であるからだ」
アースが犯人Aを見据える 犯人Aが呆気に取られる
【 メイス地区公道 】
ラミリツのバイクがメインストリートの渋滞車両を飛び越える 車両に居るドライバーたちが驚いて見上げていると バイクが路肩の歩道を通過して ビルとビルの間にある細い路地裏へ突き進む 人々が呆気に取られる バイクが路地裏の側面に接触しつつ速度を上げる メーターの上へ貼り付けられた携帯モニターに 悪魔のアイコンと天使のアイコンが表示されている 携帯からグレイゼスの声が聞こえる
『100メートル先!フロンタスストリート 合流地点に左から熱源反応が接近中 恐らく通行者だ 現状のままではぶつかる!』
ラミリツが言う
「飛び越えるっ!カウントを!」
グレイゼスが言う
『了解っ カウント6!5、4、3…』
ラミリツが視線を強める バイクがストリートへ出る直前にジャンプする 通り掛った人が呆気に取られて言う
「な!?なぁああ~!?」
バイクが着地すると 再び 路地裏へ走り去る 通り掛った人が呆気に取られて言う
「あ…っ 危ないなぁ!?政府警察は 何やってんだっ?あんな…」
後方から白バイがサイレンを鳴らしながら走り去る 通り掛った人が呆気に取られて言う
「あぁ… ちゃんと仕事してんのか?あんな 危ないバイクのドライバーなんて 逮捕だ 逮捕!まったく…」
通り掛った人が立ち去る
バイクが路地裏を走っている グレイゼスの声が聞こえる
『あ、あら?ラ、ラミリツ隊長?政府警察交通局が出動しているみたいですけど?俺へナビを頼む前に そっちの処理を終わらせてくれたんじゃ なかったのかなぁ~?』
ラミリツが言う
「駄目…っ 今は僕っ 余裕無いっ!そっちでやっといてっ!お願い!」
【 ART マシーナリー研究開発室 】
グレイゼスが困って言う
「お、お願いって…?俺に頼まれても?大体 俺には何の権限も無いんですけどっ?」
スピーカーからアースの声が聞こえる
『我がハブロス家は 現行 我々の敵である お前たちへ 与えてやれる金は 一銭も無いと言っているんだ』
犯人Aの声が聞こえる
『それならもうっ お前が言えっ!死にたくなければ 執事に言えっ!100億振込しろって!旦那様の言葉だ!自分を助けてくれって お前が言えよ!それなら!…おらっ!』
アースの声が聞こえる
『く…っ』
グレイゼスがハッとする
【 企業会合所 】
企業主たちが怯えて息を飲む 視線の先 血溜まりの上にアースが立ち上がらされている 犯人Aがアースの襟首を掴み 椅子から引き上げていて言う
「ほら どうだ?痛ぇだろ?死にたくねぇだろ?だったら 執事に言えっ ”命令”しろ!今直ぐに 100億を振込しろって!」
アースが反応すると 犯人Aを見下して言う
「命令を?私が?…フッ 馬鹿を言うな?」
パトカーののサイレンが聞こえて来る 皆が反応する アースが言う
「この私が…」
【 政府警察 】
スピーカーからアースの声が聞こえる
『国防軍と その仲間である政府警察の 敵であるっ お前たちへ 歴代国防軍長ハブロス家の金を与えろなどとっ その様な事っ …例え殺されようともっ!』
シェイムと警察官たちが集中している モニターの地図上に複数の表示がされている
【 企業会合所 】
アースが言う
「我が忠実なる執事へ 命じてなるものかっ!」
アースが犯人Aの手を払う 犯人Aが驚き圧倒されて後ず去る 犯人Bが呆気に取られて アースと犯人Aを見比べる 犯人Aが銃を構えて言う
「い、良いのかっ!?本当に 撃つぞっ!?」
アースが笑んで言う
「やりたくば やれば良いだろう?高位富裕層を撃てば お前たちの罪が極刑となる ならば 一足先に 地獄で待って居てやる」
犯人Aが銃を持つ手を震わせる 間近の外でサイレンの音が響く 犯人Aが一度息を止めてから叫ぶ
「あぁああーっ!」
犯人Aが銃を撃とうとした瞬間 会合所のドアが叩き壊され ラミリツが現れて言う
「ハブロス司令官っ!」
皆が驚き 犯人Aが一瞬ラミリツを見てからアースへ銃を放つ その銃弾がギリギリ ラミリツの向けた剣の鞘に弾かれる 周囲の人々が驚く中 犯人Aが更に発砲を続けるが アースの前に立ったラミリツが弾丸を弾くと共に 犯人Aの銃を剣の鞘で叩き上げる 犯人Aが驚いて言う
「あ…っ ああ…っ!?」
犯人Aが一歩後ず去る 犯人Bが呆気に取られていると 犯人Cがハッとして警備員の頭へ銃を突きつけて言う
「こ、こいつをっ!」
ラミリツが瞬時に向かい 一瞬で犯人Cを失神させる 犯人Aが懐から取り出したナイフを手に アースへ向かいながら叫ぶ
「この野郎っ よくもっ!」
犯人Aのナイフを持つ手を ラミリツが捕らえ 捻ってナイフを落させると 続けて床へ押さえつけて言う
「殺人傷害 及び 政府系企業 襲撃事件現行犯として お前たちを逮捕する!」
メイス地区警察たちが到着して呆気に取られる ラミリツが犯人Aの手に手錠を掛ける 企業主たちが思わず歓声を上げて言う
「お、おぉー…」
ラミリツが立ち上がって言う
「メイス地区警察!その者を逃すな!」
メイス地区警察たちがハッとすると 犯人Bが逃げ去る メイス地区警察たちが衝撃を受け慌てて追い駆けて行くと 入れ替わって別のメイス地区警察がやって来る ラミリツが一瞬表情を顰めた後 気を取り直して言う
「…お前たちは こちらの2名を逮捕 署へ連行しろ!」
メイス地区警察たちが慌てて敬礼して言う
「は、はい!直ちに!」
メイス地区警察たちが犯人Cと犯人Aの下へ向かう アースが微笑して言う
「良くやった ラミリツ隊長」
ラミリツがアースの顔を見て一度微笑すると ハッとする アースが言う
「いえ… お力添えを 誠に有難う御座いました 政府長攻長閣下」
企業主たちが苦笑し言う
「あ、ああ… 流石は 我らの攻長閣下だ…」
ラミリツが床の血を見て 慌てて顔を上げて言う
「そんな事より… っ!」
アースが倒れる ラミリツが呆気に取られた状態から叫ぶ
「ハブロス司令官っ!!」
1時間後
薄暗い空からに雨が降り始める
【 ART 食堂 】
TVでニュースが流れていてキャスターが言う
『こんにちは 午後3時のニュースをお伝えいたします まず先ほど入った情報です 政府警察の対策本部も立てられました 政府管轄の企業を狙った襲撃事件が 本日午後1時過ぎ再び…』
休憩を取っているART2隊員たちがTVへ顔を向ける キャスターが続けて言う
『…して、政府警察は 犯人を逮捕したとの事です』
ART2隊員たちが歓声を上げて言う
「おおーっ」
キャスターが言う
『現行犯逮捕された犯人らの取調べと共に 現場から逃げ出した実行犯を追跡 仲間の実行犯らの潜伏先を着き止め 先ほど この度の事件に携わった犯人ら8名を逮捕すると共に…』
ART2隊員たちが言う
「やったな!」 「同じ政府警察の仲間が 活躍したと聞くと やはり嬉しいな?」 「いや?今の私たちは 政府警察の仲間ではなく ARTの仲間だろ?」 「いや?それは…」
ART2隊員たちが笑う シュナイゼルが言う
「ARTは政府と国防軍 双方の力を借り受けた 双方の仲間であるとされている そうとなれば やはり 政府警察は ART2となった我々の 仲間のままだろう?」
ART2隊員たちが微笑し合い言う
「そうですね!」 「了解!…いえ 分かりました!副隊長!」
ART2隊員たちが笑う シュナイゼルが微笑して頷く キャスターが言う
『尚 未確認情報ではありますが 事件解決の折 負傷者があったとの情報もあり 現在も 政府警察による現場検証が 行なわれていると…』
映像に救急車が映った後 企業本社正面玄関が映ると 入り口のガラス扉を破壊して横転しているバイクが映る シュナイゼルとART2隊員たちが衝撃を受け ART2隊員たちが言う
「あ、あのバイクは…?」 「そう言えば 隊長は… まだ…?」
シュナイゼルが苦笑して言う
「特注カラーの ガワザギ 白のKNIGHT250… 長くお戻りになられないと思っていたら 隊長… まさか…?」
【 政府メイス中央医療施設 】
輸血がされているベッドにアースが眠っている 輸血の管の先 その腕の手首に触れたラミリツがホッとして アースの顔を見て苦笑してから病室を出て行く
【 政府警察 】
シェイムが言う
「そちらの犯人のアジトとされる場所は 現状のまま現地の地区警察を使って 現場検証を続けさせて下さい 情報局へ依頼した 犯人らの使用口座と 同類の口座の洗い出しはどうなりましたか?国防軍管轄の孤児院への寄付情報は 確認は取られましたか?」
警察官が言う
「先ほど情報局からの連絡で 国防軍管轄の孤児院への寄付は 1件1件へ連絡を行い 経営主に直接確認をして頂く事から 少々時間が掛かるとの事ですが 現在確認が取られている範囲に置いては 犯人らによって振込させた形跡は 見られていないとの事です」
シェイムが言う
「そうですか… 国防軍管轄の孤児院は数も多いですから そちらを1件1件を… 増して個人で確認ともなると 時間が掛かるのも致し方ありませんね 分かりました それでは 確認を終え次第連絡を」
警察官が言う
「分かりました 伝えます!」
シェイムがホッとして言う
「…これで 後は」
コートハルドがやって来て言う
「メイリス顧問官」
シェイムが敬礼して言う
「コートハルド警察長 お疲れ様で御座います!」
コートハルドがシェイムの前に到着すると敬礼を返して言う
「お疲れ様でした 報告は伺いました 事件は無事解決ですね?」
シェイムが言う
「はい!各企業から提供された防犯カメラの映像から 事件に関与した犯人らの確認も済ませ 現行犯逮捕をした2名及び 逃走犯の潜伏先にて捕らえた 犯人たちの裏付けも取られました 更には 彼らが使用していた銀行口座も 政府の運営する教会のものだったと言う事が判明してからは 政府教会の銀行への寄付情報を確認した所 今までに行われていた同犯行の 身代金を振り込まされた企業の名前が全てヒットしまして 振込日付や金額も間違い御座いませんでした!」
コートハルドが微笑して言う
「でしたら もはや 国防軍の孤児院のそちらを確認する必要は あられないのでは?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「ハッ!?…い、言われて見れば?」
コートハルドが苦笑して言う
「事件の発生日時や 身代金の振込を行なった企業名は 全て把握しておりますので そちらがヒットしているのでしたら それ以上にもそれ以下にも あられませんかと?」
シェイムが言う
「そ、そうでしたね?つい…」
コートハルドが軽く笑ってから言う
「今回の事件は そちらの政府教会にて保護を受け 巣立って行った 下位富裕層の少年らが起こした事件だったそうですね?」
シェイムが言う
「政府教会に助けられた彼らが 自分たちを助けた政府教会へ 寄付金を贈らせる為に引き起こした犯行… だとしても 私には納得が行きませんっ 自分たちの育った政府教会を愛するのなら尚更 同じ政府系企業を狙うというのは 間違っているのでは無いかとっ?…いえ、もちろん だからと言って 国防軍の企業を狙え等と言うつもりはありませんが その方がまだ 納得が出来ると申しましょうか…」
コートハルドが反応してから言う
「まぁ… そうですね しかし…」
シェイムが言う
「政府教会は 国からの援助は勿論ですが 同じ政府系企業による融資によっても支えられています そして、いくら その額が少ないとは言え その事に腹を立てて 企業主を狙おうとは …正に 恩を仇で返すと言った所ではないでしょうか?」
コートハルドが言う
「そちらの融資に関しましては 政府系企業も 政府の名の下に行わなければならない 国家義務にして その金額は公にされるものですから 彼らも行わざるを得ず また 金額も その企業の名を公表する事からには 出し惜しみも出来ないと …毎回 企業会談などでは 重点を置いて話し合われる事らしいですが」
シェイムが呆れて言う
「重点を置いて?…いえ、善意の寄付額に対して 企業会談の中で重点を置いて 話し合う必要などがあるのでしょうか…?」
コートハルドが苦笑して言う
「彼らにとって お金は正に財産 命と同等ですからね 事件の中に置いても ”身代金”とは良く言ったものです そして 今回の事件ですが 残念ながら …いえ やはりと言いますか?その彼らもまた 犯人らへ協力をしていました」
シェイムが疑問して言う
「は?そちらは?」
コートハルドが言う
「実はメイリス顧問官へ 今事件の解決をお願いする以前から 我々は今回の事件には政府の… それら 身代金を払わされた企業は勿論 事件現場となったそちらの企業さえ 犯人らに関与しているのではないかと 踏んでいましたので」
シェイムが驚いて言う
「え!?そちらの情報は!?私はそう言った情報は 何も伺っておりませんでしたが!?」
コートハルドが苦笑して言う
「はい… そちらは… わざわざお伝えしなくとも ご認識をされておられるかと?」
シェイムが衝撃を受ける コートハルドが言う
「しかし 伝えて置くべきでしたね?私は メイリス顧問官は政府系企業の事は そもそも ご信頼されておられないものと思っていた為に 私の考察などは述べる必要は無いと思っていたのです」
シェイムが言う
「考察?では そちらに関しては 確固たる証拠があると言う訳ではないと?」
コートハルドが言う
「はい 証拠にはなりませんが しかし 考察を持って考えれは そちらは正しく証拠とするには十分です まず 第一に 何と言っても振込がなされた口座ですが 犯人らは企業の秘書やそれらの者へ連絡を行い 振込作業をさせる訳です そうとなりませば そちらの指定口座から情報が得られる事は当然で 事件数にして既に6件 合計にして40回以上も同作業は行われていたのですから いくら複数の口座を使用していても そちらの情報さえ得られれば やがては犯人と行き着くものです しかし、それが成されなかったのは…」
シェイムが言う
「私が情報局へ確認をした所 犯人らが使用した指定口座は確認出来なかった との返答でした しかし、結果から言えば 振込先の口座は 各地区の政府教会だった訳で… しかも 企業名も日時の情報も残っていた… と言う事は?」
コートハルドが言う
「そうです 事件に巻き込まれ そこで命と同等の資産を失われたとあれば それらの政府系企業は皆 ”保険に加入” していますからね?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「保険?…なっ!?では まさかっ!?」
コートハルドが言う
「自分たちの被害は そちらの保険により”全額補償” 更には 何処の教会であっても 政府教会へ自身の企業名にて ”超高額の寄付”を行ったと言う名誉は 公の下 そちらの企業へは 大いなる栄誉とされるでしょう?」
シェイムが怒って言う
「ではまさかっ!?振込先を知りながらっ その情報を政府警察へ隠していたとっ!?」
コートハルドが苦笑して言う
「流石にその現場に居ては気付かなかったかもしれませんが 少なくとも 事件に遭遇した時点で保険の適用は間違いないですから 後はその場に置いて自身の命さえ保守が出来れば… そして 命が助かって 先の身代金が寄付金にされていたとあれば 後はそちらの教会があります地区などで 何らかの事業を開始すると言う事でも考られるようで… 既に それらの企業が そちらの地区で 新規事業を立ち上げたという噂をチラホラと?」
シェイムが怒って言う
「くぅ…っ!つまり 被害に遭っていた政府系企業は 皆 事件を逆手に取っていた …ともすればっ そちらの事件内容は それら政府系企業の会談などでも 話し合われていたかもしれませんねっ!?」
コートハルドが言う
「そうですね?恐らく 重点を置かれて」
シェイムが言う
「ですよねっ!?彼らにとって 事件は 神様からの贈り物も同然なのですからっ それこそ その無償のプレゼントを 同じ政府系企業の仲間たちで分かち合おうと!」
コートハルドが言う
「はい しかし 彼らにとっては神様からの贈り物も その神様を代行する保険会社にしてみれば 堪ったものではありません 無償のプレゼントは無償ではなく 間違いなく それら保険会社の資産なのですから」
シェイムが気付きコートハルドを見る コートハルドが言う
「ですから 我々政府警察は 正義の名の下に 同じ政府系企業の彼らが了承している この事件を 何としても止めさせなければいけませんでした …とは言え 口座の情報は勿論 襲撃のあった企業の防犯カメラや 警備に就いていた者から 事件に関係する情報は一切聞き出せず」
シェイムが言う
「そうですね 襲撃の有った企業も そちらの会談や会合の主催者として 身代金を払わされている… しかし その事件を逆手に取る事が出来るとあれば 彼らの作戦に加担していたも同然です」
コートハルドが言う
「そうであっても 事件解決へ向けてのそれらの提供は 善意の捜査協力ですので そちらを不意にされても 我々には逮捕は勿論 文句さえも言えません 従って 私は この政府警察にとっての難解事件の解決を メイリス顧問官へ依頼したのです」
シェイムが衝撃を受けて言う
「え?あの…?えっと…?」
コートハルドが微笑して言う
「基本的に政府系企業のそれらには 同じ政府系企業の者か 個人企業の者しか呼ばれません …ですので そちらを解決するとあれば メイリス顧問官なら 必ず 元国防軍長にして歴代国防軍長のハブロス殿へ お力添えを頼まれるかと?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「さ、最初から 私が 彼を使うと…?」
コートハルドが苦笑して言う
「はい そちらは思っていたのですが… まさか 作戦そのものへ ご本人様を御投入させるとは 思いも寄りませんでした為に 本当に驚きました」
シェイムが言う
「あ…?そうでしたか?いえ 彼を使うのでしたら それ以外の方法などは?」
コートハルドが言う
「私はてっきり 事件解決へ向けての作戦の構築へ?もしくは そちらの作戦へ あちらの隊員を用いての 協力を要請されるかと思ったのです」
シェイムが言う
「事件を解決するのに 別の企業っ …いえっ 政府警察の隊員以外の者を用いていたのではっ 政府警察の名誉が下がってしまいますっ その様な事は断じて 行うべきでは有りませんっ!それに 作戦構築も… …いえ そちらに関しては…」
シェイムが思う
(作戦自体は 私が構築した… しかし 結果として 彼の作戦が有ったからこそ この事件は解決がなされた その事実は 揺るがないものとなるだろう そうとなれば やはり 政府警察には 元となる作戦を構築し 助言を行う顧問官という役職は 不要と言う事に…)
コートハルドが言う
「私であっては ARTとは言え 歴代国防軍長であるハブロス様へ 作戦構築の助言を頂いたり 増して 作戦そのものへご参加して頂くなどと言う事は到底出来ません 政府警察警察長として事件そのものを委託して 解決を依頼する事となりましょう… そして重大事件が起きる度に その様な事をしていては それこそ 政府警察の名誉など廃れてしまいます メイリス顧問官」
シェイムがコートハルドを見る コートハルドが言う
「この度の事件解決 誠にお疲れ様で御座いました どうかこれからも 政府警察の力として 我々と共に」
コートハルドが礼をする シェイムが困りつつ言う
「コートハルド警察長… いえ どうか そう… 私の方こそ 不甲斐ない顧問官ですが この政府警察に置いて頂ければと…」
コートハルドが微笑して言う
「もちろんです …ああ 失礼しました 遅くなりましたが こちらを」
コートハルドがシェイムへ警察バッチと身分証を渡す シェイムが驚く コートハルドが微笑して言う
「政府には マスターの名を持つ者は置かないと言う事になっていますが こちらには その たった一人の例外を認めた 反逆の兵士にのみ与えられる アールスローン国民の名が記載されています そして… その名は この度から変えられました 本日より貴方は 再び シェイム・トルゥース・メイリス殿です」
シェイムが呆気に取られてからコートハルドを見て言う
「…っ 有難う御座います コートハルド警察長っ」
コートハルドが微笑する シェイムがバッチと身分証を受け取る
【 メイス地区 政府中央医療施設 】
入り口ドアが開かれ 後方ではタクシーが発車して行く シェイムが身分証を眺めながら入って来て思わず微笑して思う
(これで これからは堂々と私の… シェイム・トルゥース・メイリスのIDを使用して タクシーに乗車する事も出来る もちろん 傘を買う事だって…?)
シェイムが衝撃を受け 顔を左右に振ってから言う
「もう あちらの事はっ…」
シェイムが気付き表情を落して思う
(…いや むしろ 今は その彼のお見舞いに… その為に 初めてこのIDを使い タクシーに乗車したと… 初めて使用したそれが 彼のお見舞いに行く為にと言うのは… それこそ 彼のせいで買えなかった傘以上の…っ)
フレイゼスが気付いて言う
「おや?シェイム殿?」
シェイムが反応し 声の主を探してから言う
「フレイゼス殿?何故こちらへ?政府外交長の貴方が?」
フレイゼスがやって来て言う
「ああ… はい 私は確かに 政府外交長ですが 現代に置いては割と その役職の仕事が御座いませんので」
シェイムが衝撃を受けてから言う
「そ、そうですね?それ故に 私がその… 政府で唯一の例外とされる 反逆の兵士にのみ与えられる アールスローンの名を 頂けた訳で…」
フレイゼスが気付いて言う
「おや?…と、申します事は?もしや?」
シェイムが言う
「はいっ 本日付で 私が そちらの名を!しかも その名前はっ!」
フレイゼスが微笑して言う
「無事、『シェイム・トルゥース・メイリス』の名に 変更されましたでしょう?」
シェイムが驚いて言う
「え?何故 そちらを ご存知で?」
フレイゼスが言う
「はい そちらは 以前の内から 私とハブロス殿で」
シェイムが衝撃を受けて言う
「ハ、ハブ… いえ、彼と?フレイゼス殿が?」
フレイゼスが言う
「何とかして シェイム殿のお名前を 元へ戻せないものかと… そちらの お話し合いをさせて頂いておりまして?」
シェイムが呆気に取られて言う
「フレイゼス殿と …彼が?私の名前を?」
フレイゼスが言う
「はい そしてハブロス殿がご提案された案を ミックワイヤー長官のお力もお借りしつつ 決行された作戦でした それでも 無事作戦が成功するまでは シェイム殿へはお知らせしないようにとの お約束でした為に 本日までそちらを伏せておりまして …ですので シェイム殿に関する事で秘密にしておりました事を お詫び致します」
フレイゼスが頭を下げる シェイムが慌てて言う
「ああっ いえっ!どうか お顔を上げて下さいっ それで…?えっと…?ちなみに そちらの作戦とは?」
フレイゼスが顔を上げると微笑して言う
「はい 政府と国防軍が協力して 政府の力となる事が出来ました暁には 反逆の兵士の名の変更を 認めてもらえるようにと?ですので シェイム殿がそちらの身分証を手になされた その瞬間に 作戦は無事成功を収めたと言う事になります この度の事件解決と合わせまして 作戦は成功ですね?流石は 歴代国防軍長ハブロス殿の作戦です」
シェイムが言う
「で、では… あの彼が?私の名を 元に戻そうと 働いてくれたと?」
フレイゼスが言う
「その通りです 歴代国防軍長ハブロス家の力となるのは 歴代政府警察メイリス家の者で無ければ 許されないと?…歴史を戻したいと仰っておられました そちらが 今も尚 ハブロス殿の お父上様の願い であるそうで?」
シェイムが呆気に取られて言う
「彼の父上様の?…ヴォール・アーケスト・ハブロス殿 の…?」
シェイムが視線を落し考える フレイゼスが苦笑してから言う
「私は そちらのハブロス殿に関しましては お話をしたのも ものの数回 お会いしたのは あの日が最初で最後でしたが それでも… シェイム殿やラミリツ殿の父上様である フレイスにとって唯一無二の親友であられたのだと そちらのお話は 良く伺っていました そして、そのお2人が… いえ ヴォール・アーケスト・ハブロス殿が ご記憶の欠損があろうとも 今も尚 フレイスの事を その様に仰っていると聞けば 私に出来る事は 行いたいと思います」
シェイムがハッとして言う
「っ!そうでした 私の…っ 反逆の兵士の名が変えられたとなれば 以前の フレイゼス殿のお名前は…っ?」
フレイゼスが微笑して言う
「歴代政府外交長 メルフェス・ラドム・カルメスの名は どうやら引退の様です」
シェイムが言う
「…申し訳ありません」
フレイゼスが言う
「いえ 確かに思い入れは無いとは言いませんが 様々な問題を引き起こした者の名でもあります ここらで引退するのも良いのかもしれません」
シェイムが苦笑して言う
「シェイム・トルゥース・メイリスも 少々問題を引き起こしましたが…」
フレイゼスが微笑して言う
「メルフェス・ラドム・カルメス程では 御座いませんよ?」
2人が軽く笑った後 シェイムが言う
「それらは全て アールスローンの為に 行った事です」
フレイゼスが言う
「そうですね?そちらに間違いは有りません …反逆の兵士の名に誓って」
シェイムが言う
「はいっ」
フレイゼスが頷いてから 気を取り直して言う
「…それで シェイム殿が こちらにお越しになられたのは」
シェイムが衝撃を受けて言う
「あ、は、はい… そちらは…」
フレイゼスが微笑して言う
「ハブロス殿 お見舞いですね?」
シェイムが言う
「…はい 事件の後片付けも粗方終わりましたので 今回の事件解決へ ご… 協力を 頂きました…」
シェイムが思う
(むしろ 解決をして 頂いた…)
シェイムが言う
「ハ、ハブロス殿へ… お礼を兼ね いえ お詫びを兼ねて お見舞いにと…」
フレイゼスが言う
「でしたら 丁度良かったと申してしまうのも 失礼かとは思うのですが 私の方は ラミリツ殿に」
シェイムが反応して言う
「エーメレスに!?」
フレイゼスが苦笑して言う
「ART2の部隊訓練を放棄して出動してしまったので 戻らなければならないと しかし、こちらの施設が 政府管轄の医療施設ですので 入院患者は別として 基本的に政府関係者以外の長時間の滞在は許可されません そこで 一時的にでも 私に付き添いを交代して欲しいと 頼まれて来たのですが」
シェイムが言う
「あ、そうでしたか それでは…」
シェイムが思う
(…と言う事は そうか!今 彼の付き添いにはエーメレスがっ では 私は こちらのIDを初めて使って訪れた先は エーメレスの下であったと言う事でも!?…と?…いや、今はそれよりも)
フレイゼスが困って言う
「…シェイム殿?」
シェイムがハッとして言う
「あっ!いえっ!はいっ …で、では そうですね?私もこれから エーメレスの下へ …いえっ 彼のお見舞いへ向かいますので ご一緒に?」
フレイゼスが言う
「いえ、如何に 仕事の少なくなった外交長とは言え 一応 それなりに職務は御座いますので シェイム殿が向かわれると言う事でしたら 私は 政府本部へ戻りましょうかと?」
シェイムが衝撃を受けて言う
「えっ!?ご一緒に向かっては 頂けないのですかっ!?」
フレイゼスが苦笑して言う
「シェイム殿もお忙しいでしょうから 私も後ほど そちらの職務を終えた後にでも また参りますので それまでの間は お願いをしても宜しいでしょうか?」
シェイムが言う
「あ… いえ?私の今日の仕事は終わったも同然なので そちらの心配は無いのですが むしろ 私としましては あの悪魔の下へ向かうと言う事が 何よりの問題と申しましょうか… 心配と申しましょうか…」
フレイゼスが呆気に取られて言う
「え?あの… シェイム殿?そちらの悪魔… いえ、ハブロス殿は」
シェイムが顔を逸らして言う
「フレイゼス殿の仰る通り 確かに 私は 彼の作戦のお陰で 地位も名前も取り戻したようなものですがっ!?そもそも そちらは その彼に奪われたものであってっ それを…っ」
シェイムの脳裏に様々なアースの悪態が思い出される シェイムが怒りに震える フレイゼスが苦笑して言う
「シェイム殿」
シェイムが不満そうに言う
「ええ 分かっていますっ それでも そちらを戻して頂いた事は 確かに礼を言うべき事かもしれませんがっ!?私としましては…!」
フレイゼスが言う
「ハブロス殿は お怪我を負われて 入院をされて居られるのですよ?」
シェイムがハッとすると シェイムの脳裏にあったアースの悪態が消える フレイゼスが言う
「シェイム殿がどうしても 今までの事を水に流す事は出来ないとおっしゃるのでしたら そちらは私の責任でもありますので その私が シェイム殿のこの度の作戦協力に当たっての お礼のお言葉も携えた上で ハブロス殿の付き添いを行います ですので シェイム殿は このままご公務へ戻られても 構いません」
シェイムが呆気に取られて言う
「フレイゼス殿…」
フレイゼスが言う
「一度失われた信用や… ハブロス殿の申される 両家の歴史を戻す事は難しい事ですが そちらを行おうと 努力する事は 両家の為にも 政府と国防軍の為にも 必要な事だと… 私もミックワイヤー長官も望んでおります そして、それはきっと…」
シェイムが言う
「分かりました」
フレイゼスがシェイムを見る シェイムが苦笑して言う
「私も 今日からは また意識の上に置いても名前の上に置いても 間違いなく メイリス家の者です 今は亡き父の為にも メイリス家とハブロス家 そして 政府と国防軍の為に 私に出来る事を 尽くします」
フレイゼスが微笑して言う
「はい それでしたら 宜しくお願いします シェイム殿」
シェイムが微笑して言う
「はい お任せ下さい フレイゼス殿」
フレイゼスが頷き立ち去って行く シェイムが苦笑してから受付へ向かう
病室前
ラミリツが携帯で電話をしていて言う
「え?兄上が?」
携帯からフレイゼスの声が聞こえる
『はい シェイム殿はお見舞いの為にといらしていた所 丁度 受付の前でお会いをしまして 職務の方もひと段落されたと言う事でしたので 私がラミリツ殿から頼まれていました ハブロス殿への付き添いの方も お願いを致しました』
ラミリツが言う
「付き添いの方もって…?じゃ アンタは来ないの?兄上の名前が戻ったら 作戦成功だって …ハブロス司令官へ報告するんじゃなかったの?」
フレイゼスが言う
『そちらのご報告も ともすれば 私が行うよりも シェイム殿から直接伺う方が… お2方にとって とても意味の有る事では 御座いませんかと?』
ラミリツが言う
「ふーん?そう言うもの?僕だったら 自分が受け持った任務の報告は 自分がしたいって思うけど… でも アンタも結構策略家だもんね?そのアンタが言うのなら そう言うもの?なら良いよ 分かった」
フレイゼスが言う
『策略家…?あぁ いえ?私の考えなど とても 高位富裕層方の 増して 政府の中では通じません しかし その政府が行う外交の中に置きましては 使えるものだと自負しておりますが』
ラミリツが疑問して言う
「それって…?どう言う意味?」
フレイゼスが言う
『そうですね?言ってしまえば 今回の事件が現すように 高位富裕層の世界や政府の世界は マスターの名を持っていた 私の様な者ではとても勤まらないと申しましょうか?』
ラミリツが表情を困らせて言う
「…なんか もっと 分かんなくなって来たんだけど?」
フレイゼスが言う
『はい、しかし その様な私は フレイスの2人目の親友だったのだと そのフレイスのご子息様に 教えて頂きました そして そのシェイム殿もまた マスターの名を持つ者となったのですから』
ラミリツが困って言う
「あのさぁ?そのフレイスの2人目の息子である僕や その そもそもの父上だって そう言う ややっこしい言い方されるの苦手だったって… アンタも父上の2人目の親友なら 知ってるんじゃない?」
フレイゼスが言う
『ええ そうですね?その頃の私には ナノマシーンシュレイゼスの力がありましたので?』
ラミリツが言う
「つまり?」
フレイゼスが言う
『つまり 正義を見据えて戦うフレイスには 優秀な親友が必要だったのでしょう?高位富裕層や政府の 悪知恵を超えられる程の 頼られる親友が』
ラミリツが閃いて言う
「つまり 父上にはアーケスト殿の助けが必要だって事?」
フレイゼスが軽く笑って言う
『ふふ… その通りです 良くご存知ですね?』
ラミリツが言う
「そんなの ”当然だ” …で?それだけ?…あれ?けどそれじゃ なんか忘れてる気が…?」
ラミリツが首を傾げる フレイゼスが言う
『はい そして そちらのご親友は… つまり 現代のメイリス家とハブロス家に置かれましては 双方には 双方共にお2方ずつ ご兄弟が居られる訳ですから …やはり 私が思いますに そちらは…』
ラミリツが言う
「うん 僕の親友はアース・メイヴン・ハブロス司令官だよ?」
フレイゼスが衝撃を受けて言う
『え?あの… ラミリツ殿?』
ラミリツが言う
「僕の親友は ハブロス司令官なの!これ 絶対!」
フレイゼスが言う
『そちらは その… 出来ましたら ここは一歩譲って頂きまして ラミリツ殿は どうか 彼の弟様の方へと…?』
ラミリツが顔を逸らして言う
「駄目っ!僕は攻長でも 親兵攻長だからっ 親兵攻長の親友は 親兵防長なの!これ 常識!」
フレイゼスが言う
『そちらはそうかもしれませんが… 現代に置かれましては 少々曲げて頂けますと…?』
ラミリツが言う
「嫌っ!」
通路
シェイムが歩きながら考えている
フレイゼスが言う
『…歴史を戻したいと仰っておられました そちらが 今も尚 ハブロス殿の お父上様の願い であるそうで?』
シェイムが呆気に取られて言う
『彼のお父上様の?…ヴォール・アーケスト・ハブロス殿 の…』
シェイムが視線を落し考える フレイゼスが苦笑してから言う
『私は そちらのハブロス殿に関しましては お話をしたのも ものの数回 お会いしたのは あの日が最初で最後でしたが それでも… シェイム殿やラミリツ殿のお父上である フレイスにとって唯一無二の親友であったのだと そちらのお話は 良く伺っていましたので そのお2人が… いえ ヴォール・アーケスト・ハブロス殿が ご記憶の欠損があろうとも 今も尚 フレイスの事を その様に仰っていると聞けば 私に出来る事は 行いたいと思います』
シェイムが口ずさむ
「ヴォール・アーケスト・ハブロス殿…」
続く
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