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20.5章
アールスローン戦記Ⅱ 幕間の出来事
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【 アールスローン 銭湯 】
女湯
マリアが浴槽へ入って呆気に取られて言う
「わぁ…」
マリアが周囲を見渡すと ハイテク銭湯の情景が見える マリアが浴槽に浸かり周囲の説明モニターの通り 操作を行うと 浴槽がジェット風呂になる マリアが一瞬驚いた後楽しんで笑う
「わっ!?…うっふふっ」
マリアがシステムを楽しんでからハッとして頬を染めて周囲を見ると 小さな女の子が母親と一緒にマリアと同じシステムに笑っている マリアが呆気に取られた後微笑して湯に浸かると通信コールが鳴る マリアが反応して慌てて腕にしている銭湯通信機のスイッチを押すと ラミリツの声が聞こえる
「マリアさん 聞こえますか?」
マリアが慌てて言う
「あっ は、はいっ!?ラミリツさんっ!?」
マリアが思わず湯に深く浸かって周囲を見る
男湯
ラミリツがゆったり浴槽に浸かりながら言う
「何か分からない事がありましたら 遠慮なく そちらの通信機でご連絡を下さい」
ラミリツの腕に着いている銭湯通信機から マリアの声が聞こえる
『は、はいっ わ、分かりました けどっ!?え、えっと…っ!?』
ラミリツが微笑して言う
「それに こちらの施設は 最近アールスローンにて流行り始めた施設ですので もし 分からない事が有っても 不信に思われる様な事は有りませんので 周囲の者に聞いて頂いても大丈夫ですよ?」
マリアが言う
『な、なるほどっ それなら 安心ですっ!?』
ラミリツが苦笑した後 気付いて言う
「…あ、それからもちろん こちらの通信は 音声だけですので」
女湯
マリアが呆気に取られた後周囲を見ると ラミリツの声が聞こえる
『そちらの方も ご心配なく?』
マリアが苦笑して言う
「は、はいっ そうですよね?」
マリアがホッとする ラミリツの声が聞こえる
『では 旅の疲れを癒すと言う事で どうぞごゆっくり?上がる前にでも また連絡をします …あ、外の施設も 割と良いものもありますので 宜しければ そちらもご利用下さい』
マリアが言う
「はいっ 有難う御座います」
ラミリツの声がする
『はい それでは また後ほど』
通信が切れる マリアが軽く力を抜いてからゆったりと周囲を見てから微笑して言う
「気持ち良い… それに こんな大きなお風呂があるなんて …ウィザードさまも きっと驚くだろうな?」
マリアが軽く笑う 少し高い波が押し寄せる マリアが驚くと 女の子が面白がって波の出る装置を遊んでいる 母親がマリアへ向いて言う
「あらあら ごめんなさい …ほら 駄目でしょう マリアちゃん?」
マリアが呆気に取られて言う
「マリアちゃん…?」
母親が言う
「モニターの注意にあるように ちゃんと後ろを見てからにしないと… お姉さんに ごめんなさいは?」
女の子が言う
「お姉ちゃん ごめんなさい…」
マリアが微笑して言う
「ううん 大丈夫!私も…」
マリアが手をバスタブの淵に置くと 装置が起動して 波がマリアに掛かる マリアが呆気に取られると 一瞬の後笑い出す 女の子と母親が笑う
男湯
ジェットバスが起動して 隊員Cが堪能しながら言う
「あぁ~ 気持ち良いぃ~… こんなデカくて 気持ち良い風呂があるなんて…」
隊員Cがハッとして 湯に身を鎮めて思う
(…って ヤバイヤバイ あんま騒いでると 俺が 最下層の人間だって バレちまうかも…っ!?)
隊員Cが1人怪しい人物になって周囲を見渡している 隊員Cが自身の状態に気付かず ホッとして言う
「…って バレる訳ねぇか?1風呂5万も掛かる この施設を使う最下層の人間なんて 居る訳ねぇもんな?…って事は?」
隊員Cが浮かれて思う
(ひょっとしてっ!?俺って今 ラミリツ隊長やハブロス司令官みたいな 高位富裕層の人間に見られてるっ!?)
隊員Cが喜んで思う
(いやぁ~ っははは~?そうだよなー!?こんな 淵に足も届かない 風呂に入ってるんだから 何処からどう見たって!…こうなったらもうっ)
隊員Cが喜んで言う
「思いっきり堪能してっ …泳いじゃおうかなぁ~?なんてな~!?」
隊員Cが泳ぎながら思う
(風呂で泳げる日が来るなんて!)
隊員Cが言う
「いやぁ~ 最っ高だぜぇーっ!」
周囲のモニターに遊泳禁止のマークが出ている
男湯 リラクゼーションルーム
隊員Cの様子が見えている 男性客Aが呆れて言う
「うん?何だアレは?」
男性客Bが言う
「中位富裕層か そこらの使いだろう?共有施設へ連れて来るなら 最低限のマナー位は 躾けて欲しいものだ」
男性客Aが言う
「まったくだ… 初めは上位富裕層向けの施設だと思っていたが そうでもないのかもな?」
男性客Bが言う
「ああ、そうでもないらしい …見てくれ この楽曲ナンバー」
男性客Aが反応して言う
「うん?これは… 確か 少し前に騒いでいた 何とかキラーって 下賎な音楽バンドか?」
男性客Bが言う
「施設一押しの音楽に こんな音楽を掲げる位だ 上位富裕層向けの施設なんかじゃないんだろう?」
男性客Aが言う
「ああ、まったくだ 1風呂5万の湯を浴びる者の中で 誰が聞くと言うんだ 最下層の音楽など…」
男性客Aと男性客Bが去って行く その後ろでラミリツがマッサージチェアに寛ぎながらヘッドホンをしていて ヘッドフォンからデスメタミュージックが音漏れしている ラミリツが思う
(あぁ~ これこれ!ナックキラーが 特別に楽曲使用許可を出した1曲!CDにも入れられなかった お蔵入りのナンバーなんだって!それをあえて 上位富裕層向け施設に提供するって …相変わらず やってくれるよねっ!)
ラミリツが微笑して思う
(ナックキラー 最高っ!)
ラミリツが思わず腕を突き上げると ポールに当たって 良い音がする 周囲の人々が視線を向ける ラミリツがぶつけた手をさすって苦笑して思う
(イタタタタッ… 最高では有るけど やっぱ 外では…)
ラミリツが気を取り直して寛ぐ
女湯 脱衣所
マリアが呆気に取られる マリアがロッカーから服を取り出すと 1つずつラッピングされていて マリアが呆気に取られて言う
「え?凄い…っ お風呂に入っていた …たった 30分くらいの間に?」
マリアが服のラッピングを解いて 広げるとクリーニングされている マリアが軽く匂いを嗅いで言う
「わぁ… 良い香り …染みになりそうだった 汚れも取れてるし 綺麗にラッピングされてるだなんて…」
マリアがロッカーの中を覗いて言う
「一体 どんな構造に なっているんだろう?まるで…」
マリアが疑問して言う
「魔法…?」
マリアの後方のモニターに 瞬間クリーニング装置の説明が流れている マリアがハッとして言う
「…あっ いけない …早く お化粧しないと…っ」
マリアが急いで服を着ていると 荷物からファンデーションケースが落ちる マリアがハッとして言う
「あっ!」
ファンデーションケースが床に落ちると ファンデーションの粉が床に散らかる マリアが慌てて言う
「あぁっ 粉が床に…!どうしよう お店の方に …えっ?」
マリアの足元にお掃除ロボが颯爽と来て ファンデーションケースを持ち上げると 床の汚れを吸い取り マリアへ向いてファンデーションケースを持ち上げる マリアが衝撃を受け呆気に取られる
【 ART 司令塔 】
グレイゼスが資料を前に頭を抱えている ハイケルが疑問していると シュナイゼルがやって来て言う
「マスターグレイゼス中佐 ART館内及び正門前の瓦礫の撤去 それと、ART2マシーナリーの回収 完了致しました」
グレイゼスが言う
「了解… お疲れ様 シュナイゼル副隊長」
シュナイゼルが一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
「お疲れ様です マスターグレイゼス中佐」
グレイゼスが溜息を吐く シュナイゼルが言う
「ハブロス司令官の居られない この間に 大変な事態に見舞われてしまいましたね?」
ハイケルが反応して言う
「そう言う事か…?」
ハイケルがグレイゼスを見る グレイゼスが言う
「あぁ まったくだよ… どうしろって言うんだ?この被害状況…」
ハイケルが言う
「そちらはもちろん 被害状況… 即ち このART本部の破損は 修理をすれば良いのだろう?」
グレイゼスが言う
「だから それを どうやってっ!?」
ハイケルが疑問して言う
「…どうやって とは?」
グレイゼスが頭を抱えて言う
「俺が聞きたいよ…」
ハイケルが言う
「それはどう言う意味だ?今までも このART本部の破損は… 確かに ここまで大規模と言うものは無かったが 部分的な破損ランクBランクは 度々確認がなされていた よって 今回も修理修繕は可能なものと推測される」
シュナイゼルが言う
「ハイケル少佐 そちらは このARTが それだけの力を有していたが故の 可能であって 現状では…」
ハイケルが言う
「現状では?…何か問題なのか?グレイゼス?」
ハイケルがグレイゼスを見る グレイゼスが言う
「ハイケル… このART本部は 一見は通常の… 国防軍で例えれば 中級クラスと言われる Cランク施設と変わらないが その中身は それこそ アールスローン国内 唯一の Sランク設備といわれた あの国防軍レギスト駐屯地を越える ダブルSランクの機材を整えた設備なんだ それを… 施設全体の80% ほぼ全てと言える規模で ぎりぎり修繕可能の破損ランクDランク …この修理をするって言うのが どう言う事なのかは… 言わなくても」
ハイケルが言う
「どう言う事だ?」
グレイゼスが衝撃を受け コンソールを叩き立ち上がって言う
「大金が掛かるってコトーっ!言わせないでくれよ…」
グレイゼスが力なく座る ハイケルが言う
「…そう言う事か しかし それならば問題ない グレイゼス 私は…」
グレイゼスとシュナイゼルがハイケルを見る ハイケルが言う
「ハイケル・ヴォール・アーヴァイン少佐だ あの軍曹の養子!1億だろうが10億だろうが 今の私に恐れるものは無いっ!」
シュナイゼルが苦笑して言う
「ざっと拝見した限りですが 私の試算に置いても このART本部の修理には 軽く1兆ほど掛かりますかと?」
ハイケルの意識が大打撃を受けて言う
「何っ!?」
グレイゼスが言う
「やっぱ そう 思う~っ?」
シュナイゼルが言う
「はい それ位にはなりましょう?…最も 私は こちらの施設の詳細を知らずに 上辺だけを見ての試算ですので 実際には そちらの倍の額にはなるのではと 予想が付きます」
グレイゼスが言う
「1兆以上だぞっ!?1兆っ!ゼロが 13個っ!ゼロが9個の1億でも 遠い物が その…っ!」
グレイゼスがコンソールに伏せて言う
「…どうやって 直せって言うの… このART本部…」
ハイケルが沈黙してから言う
「…かつて無い 金額による 問題が発生した」
シュナイゼルが苦笑して言う
「問題はそちらの金額も然る事ながら それほどの額を動かす 力です もしハイケル少佐が ハブロス家のお力を得て そちらの額を御用意出来たとしても それだけでは 事業は動きません 通常を逸する額面を動かすには やはり 相応の者で無ければ… そちらの依頼を受け取る側も 信用の持たれない相手とは 応じては下されないものです」
ハイケルが言う
「…では これほどの問題を お前は一体 どうするつもりだ?ART司令塔主任 現ARTのトップを任された マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが言う
「ああ それじゃ こんな時は… 困った時の神頼みっ!帰って来ていて下さい …アニキ様ぁあーーっ!」
グレイゼスが携帯の操作をしてモニターを見詰めるハイケルが言う
「帰って来ていて下さい… とは?」
シュナイゼルが苦笑して言う
「そちらの… アニキ様… とは?」
モニターに該当者無しのエラーが出る グレイゼスが言う
「…だよなぁ そう都合良く 戻って来ている訳が 無いか…」
グレイゼスが落ち込む ハイケルとシュナイゼルが疑問する
【 マリアの家 】
アースがハンカチで顔を拭うと 視線を下げる 視線の先に洗面台があり アースが蛇口を確認してから 横へ向く 視線の先に洗濯機と浴室が見える アースが思う
(こちらの国の科学は 低いと思われていた初見の報告とは異なり 我々の国と同等であるとの ラミリツ隊長からの報告だったが…?)
アースが考えてから言う
「…いや ここで リスクは犯すべきではないな?ともすれば…」
アースが洗濯機を見てから言う
「衣類のクリーニングに 5分以上も掛かるかもしれない… そして 何より…」
アースが浴室を見てから言う
「あちらの個室は何だ?」
アースが小さなプッシュボトルを自身へ吹き付けると 洗面室を出て行きながら言う
「清掃用具を洗う部屋だろうか…?いや それにしても …狭過ぎるな?」
キッチン
アースがティーセットを見て言う
「全自動タイプのコーヒーメイカーであれば 使い方は分かるのだが…」
アースが思う
(もちろん 見た事はある… むしろ 日々見慣れたものではあるのだが 触れた事は一度も無い… では…?)
アースがティーセットへ向けていた手を止めて言う
「いや ここも リスクは犯すべきではないだろう …増してこちらは 破損の可能性すら拭えない …となると?」
アースが室内を見渡した後
リビング
アースがソファへ座り言う
「やはり 大人しく こちらで レイ・アーク・フォライサーの戻りを 待つか…」
アースが正面に在るTVに気付くと 苦笑して言う
「あぁ そうだな メディアはアールスローンの物と ほぼ変わりないと… では こちらで 時間を潰すか?」
アースが周囲を見渡すと TVのリモコンがある アースがリモコンを手に取ると苦笑して言う
「これは 幼少の頃に見掛けた物に似ている 最も…」
アースがリモコンをTVへ向けて言う
「自身で ボタンを押したのは初めてだ しかし こちらならば 破損のリスクは無いと言って良いだろう」
アースがリモコンのスイッチを押すと TVが点く アースがTVを見る モニターに映像が映り ドラマがやっている TVから音声が聞こえる
『貴方は 私と仕事と どちらが大切なのっ!?』
『そんな事 言わせるなよ?お前に決まっているだろう?』
『嘘よっ 貴方はいつもそう言って 私の事はいつも 後回しにするじゃないっ!』
アースが呆れて言う
「そのお前と共に在る為に 仕事をしているのだろう?分からないのか?」
アースがチャンネルを変えると 砂嵐の次に ニュースが流れる
『…した …では 次のニュースです 先日の破局騒動から一転 3日後には別の女優と電撃入籍を行っていた事が判明した 人気ボーカリストのリッパー・ミンディン氏が…』
アースが衝撃を受け不満げに言う
「…いや やはり 彼女の疑いが正しかったのかもしれない… 少なくとも この国では…?」
アースがチャンネルを戻すと TVから音声が聞こえる
『…アキ?お前なのかっ!?』
『ヒロシどうしてっ!?今夜は遅くなるって…っ!?』
『俺は… これをお前に渡したくて… ずっと… お前を驚かそうと…っ それなのにっ!?』
『ち、違うのっ 彼はっ!』
『お前の方こそ 二股だったんじゃないかっ!?』
『だって… 貴方が… いつも貴方が居ないからっ!』
『うるさいっ こんなもの…っ 用意した俺が馬鹿だったっ!』
TVからガラスの割れる音がする アースが呆れて言う
「では やはり…?」
アースが顔を逸らして言う
「…いや、先程のニュースは兎も角 これは フィクションであって 現実を伝えるものでは… いや、ともすれば?これが こちらの国の問題なのか?ならばその解決方法は…?アールスローンの様に 一夫二妻制が導入されていない事などが 問題なのでは…?」
アースがチャンネルを変えると アニメがやっている 女の子のキャラが言う
『私は テン君が好きよ!』
『けど ミーちゃんは タケ君と一緒に登校してるじゃないか?』
『タケ君は幼馴染で お家も隣だから それで…』
『僕の家だって その隣なのに いつも来てくれないじゃないかっ 僕だって本当は…っ』
アースが呆れて言う
「ならば お前が迎えに行けば良いだろう?」
アースがチャンネルを変えると 音楽番組がやっていて 歌手が歌う
『とっかえひっかえ あっちもこっちも 男も女も ラブキュッキューッ!』
アースが衝撃を受けた後 頭を抱えて言う
「…結局 どちらなんだ?…いや そもそも」
アースがチャンネルを複数切り替えた後 溜息を吐いて言う
「何故 この国は これほどまでに 政治的な話をしない?ドラマもニュースも音楽も… 果てには 子供向けのアニメまで 男女の恋愛にしか興味が無いと言う事なのか?…いや もちろん そちらを否定するつもりは無いが…」
アースが時計を見てから言う
「夕刻の5時前と言うのなら 行く行くは家族が集う時間とも言えるだろう?それならば… 複数チャンネルがあると言うのなら せめて 1チャンネル位は…」
アースがチャンネルを回すと ニュース画面でレポーターが言う
『…最後に 先の大事故の際 就任し 瞬く間に各街や村の復興に貢献した リンド・バーグ首相ですが』
アースが反応して言う
「おおっ これは!?我々も関わった あの復興支援作戦の際に こちらの国の代表であったと言う ラミリツ隊長からの任務報告書にもあった 内閣府首相 この国の代表とされる リンド・バーグ氏 この人物が!」
アースが思う
(よしっ これは 思わぬ所で有益情報を得られたぞ!報告書では載せる事が叶わなかったのであろう その者の顔や姿を 映像で確認が取られたとは)
アースが微笑して言う
「これだけでも この長い待ち時間を過ごす価値は あっ…」
レポーターが言う
『先日 週刊誌にて取りだたされた 不倫疑惑及び過去の脱税問題により 支持率が急落していると…』
アースが衝撃を受けて言う
「…ってないのか?」
アースが思う
(しかも 不倫疑惑で?)
映像の中で バーグが言う
『過去の脱税問題は もうとっくに解決しているっ!私が不倫!?それは…っ 不倫ではなくっ 私は 彼女の他にも 複数の女性と もちろん本気ではなく 遊びの一環としてっ 離婚などは考えていないっ』
押し寄せる記者たちが言う
『奥様とは 別居状況であるとの噂ですが!?』 『奥様は 正式に弁護士を雇ったと言う情報も在りますが!?』
アースが溜息を吐いて言う
「…後日 再びこの国と 共同作戦を行う際には 新しい代表の者の名を 伺う事となりそうだ」
アースがTVを消すと 時計を見上げて言う
「残す時間は… 予定であっても 後1時間以上か…」
アースが視線を伺わせながら思う
(少し外を歩き 直接 こちらの国の情報収集を行うか?…いや 先程のメディアや ラミリツ隊長からの任務報告書 そして マリア殿から 伺える様子からしても 少なくとも この姿の私が 今 外へ出るとなれば 人目に付く筈… 過去の事とは言え この国にとっての アールスローンは良い印象が強いものと思われる ならば…)
アースが言う
「余計なリスクは 犯すべきではないな… やはり このまま 待つか」
アースが沈黙してから 困り汗を掻いて言う
「…暇だ」
アースが頭を抑えて思う
(疲れてはいるのだが 今 ここで 気を抜いては… とは言え こうも 手持ち無沙汰となっては 限界が…)
アースが視線を泳がせると反応して顔を向け 立ち上がって近付いて行く アースが一度視線を向け 別へ移した視線の先 出窓に写真が飾られている 写真は幼いマリアがマリア父の膝の上に座っていて マリア父がクラシックギターを持っている アースが言う
「これは…?」
アースが思う
(幼い頃のマリア殿だな?そして 一緒に映っている こちらの男性は… マリア殿の父親か?…そして)
アースが写真へ向けていた視線を別へ向ける 視線の先に ギターケースが置かれている
【 アールスローン 銭湯 】
サロン
タピオカ入り飲料がグラスに入れられて出される マリアが不思議そうに見て言う
「この黒いのは…?」
ラミリツが言う
「タピオカと言う 植物の根に在る成分から造られた デンプン質の物です 食感が良いので 甘いデザートや飲み物などに使われる事が多い物ですが どちらかと言えば 味よりも 食感を楽しむものですね?」
マリアがストローを吸ってタピオカを食べると 一瞬驚いた後微笑して言う
「あ、ホント… 特に味は無いみたいですけど 飲み物なのに食感があって 楽しいですね?」
ラミリツが微笑して言う
「お気に召して頂けたなら 良かったです」
ラミリツがタピオカ入り飲料を飲む マリアがもう一口飲むと 微笑して言う
「アールスローンは 本当に 色々な物が私たちの国の先を行っていて 先進的な国ですね?」
ラミリツが言う
「そうですか?私はそれほど マリアさん方のお国と 変わらないと思っていたのですが… あ、でも そうですね?以前マリアさんが仰った様に 機械的な発達は 先を行っているかもしれません」
マリアが言う
「はい この施設もそうですけど さっきも 私 更衣室でお洋服がクリーニングされていて ビックリしちゃいましたし それから 不注意で物を落としてしまったのですが それで汚れた床を お掃除の機械が来て お掃除だけでなく 私が落としたものを拾い上げてくれて… 本当に 何もかも ビックリです」
マリアが苦笑する ラミリツが微笑して言う
「この施設に在る機械は いろいろな会社の最新技術の物が 自社の宣伝も兼ねて 使われているので 真新しい物や 特徴的なものが多いかもしれませんが… この施設その物と同じで 遊びや宣伝の意味合いが強いです ここでは使われていても 一般家庭で 実際に使われている物は ごく僅かですし …ですから マスター …あ、いや サキシュ隊員も 使い方が分からなかったみたいですよ?」
マリアが気付いて言う
「あ、そうなのですか?では… アールスローンの一般のご家庭では 例えば… お掃除のあの機械や 泡や波の出るお風呂は無いのですか?」
ラミリツが言う
「一般の家庭では… そうですね?自動で掃除をするロボットはありますが 汚れを感知して 自分でやって来たり 物を拾い上げる機能などは 実装されていないです それから 泡や波の出るお風呂は 特別 そう言う物を好む一部の方が 個人的に使っている事はあるかもしれませんが 普通は無いですよ?」
マリアがホッとして言う
「そうなのですか それなら… 少しホッとしましちゃいました!」
ラミリツが微笑して言う
「それは良かったです それから ついでに言うなら入浴施設も そう言った遊びや宣伝の無い 一般的な施設が主流ですね?しかし、今回は …以前に1度 入った事のある こちらの施設を選びましたが もし ご不便があったとしたら 申し訳ありませんでした」
マリアが慌てて言う
「あぁっ いえっ!?驚きはしましたけど…っ とっても 楽しかったですよっ!?」
ラミリツが微笑して言う
「それなら 良かったです」
ラミリツが思う
(本当は ナックキラーのお蔵入りナンバーを聞ける この施設を使えるチャンスだと思って 連れて来ちゃったからね?…それと …むしろ知らないんだ 僕 …普通の銭湯の使い方って)
ラミリツが苦笑する マリアが飲み物を飲み干して言う
「それから アールスローンは機械だけでなく 甘味も先進的ですね?以前のジェラートも とっても美味しかったですし この飲み物も?」
ラミリツが気付くと微笑して言う
「では まだ時間もありますし 本当なら 夕食へお誘いをしたかったのですが 確か マリアさんは この後お国へ戻って ウィザードさまへ お食事を用意しなければいけないのですよね?」
マリアが言う
「はい、そうなんです ウィザードさまのお夕食は いつも割と早い時間なので…」
マリアが携帯の時計を確認してから 窓の外の様子を見て苦笑して言う
「こちらのアールスローンで生活をしていたのなら もうとっくに 支度をしている時間です それで大体6時頃には 食べられるようにと」
ラミリツが時計を見てから言う
「そうですか では 予定通りお国へ帰られるとしても お夕食までは後1時間以上… それなら?」
ラミリツがメニューを見せて言う
「軽く1品 デザートでも食べられますか?」
マリアが反応して言う
「え?あ… でも」
ラミリツとマリアがメニュー表を見ている 隊員Cが少し離れた所で メニュー表に顔を隠しつつ言う
「…さっきっから すげぇ 入り辛ぇんだけど?こりゃもう…」
隊員Cがメニューを広げて言う
「こっちは こっちで 1人で何か食って待つしかねぇよな?えっと… それじゃぁ?」
隊員Cがメニューを見て衝撃を受けて言う
「…げっ!?オレンジジュース1杯 1000とか…っ マジ有り得ねぇから…っ」
隊員Cが表情を顰めて 視線を逸らすと そこにある水を飲み干す
【 ART 出入り口前 】
グレイゼスが言う
「では 皆 今日は本当にお疲れ 今後の事も含めて また 詳しい事は明日伝達をする …あー ART2は 明日は休暇だったか?それじゃ…」
シュナイゼルが言う
「いえ 予定では休暇と在りましたが こちらのART本部の状況と 今後に掛けての そちらを確認する為にも 明日はART2全員 出隊をする事とさせて頂きました」
グレイゼスが言う
「あぁ そう?…まぁ そうだよな?」
グレイゼスが思う
(そうだよな 本部の状態と言い 指揮系統と言い… ARTがこんな状況じゃ とても ゆっくり休暇なんか取れる筈も無い)
グレイゼスが言う
「分かった それじゃ… 詳しい事は また 明日!だから… 今日は取り合えず 皆 これで帰宅して ゆっくり休んでくれ 一時解散!」
皆が敬礼して言う
「「了解っ 中佐!」」
皆が解散する グレイゼスが息を吐く ハイケルが振り向いて言う
「…それで?」
グレイゼスが言う
「ああ、こうなったら 何が何でもARTを… 先ずは 概観だけでも 修復しないと 隊員たちも 安心して休暇を取られないだろう?」
ハイケルが言う
「それはそうかもしれないが それを行うには マシーナリーや あのウィルシュよりも強敵である 1兆を越える額面と それを使用するに相応しい力が 必要と言う事だった筈だが そちらを得る事が出来るのか?」
グレイゼスが言う
「それはもちろん マスターの名を持ち 最下層の人間である俺には 到底 出来る事じゃない」
ハイケルが言う
「では?」
グレイゼスが言う
「そして このARTの創立者にして 所有管理者でもある ハブロス司令官が…」
グレイゼスが携帯を操作して着信を待つと 通話が繋がりガイダンスが流れる
『お掛けになった番号は 現在電波の届かない所に居るか 電源が入っていない為…』
グレイゼスが携帯を切って言う
「まだ戻っていないとなれば…」
グレイゼスが歩き出す ハイケルが追いながら言う
「やはり 現状は そのハブロス司令官から 管理を任された お前が対処を行う他に無いと思われるが?」
グレイゼスが言う
「とは言ったって 俺はそのハブロス司令官とは違って 1兆を越える財力も それを扱う力も無い訳だから こんな時は」
ハイケルが言う
「こんな時は?」
グレイゼスが言う
「ハイケル 現時刻は17時32分だ …この時間は どちらに居られるかね?」
ハイケルが言う
「どちらに居られる… とは?一体?」
グレイゼスが苦笑して言う
「まだ分からないのか?このARTは 言うなれば ハブロス司令官の所有物だ そのハブロス司令官は 超高位富裕層ハブロス家のご当主様 となれば 当然 このARTはハブロス家の資産と言う事になる それなら?現状 このアールスローン国を出て 連絡も付かない状態のハブロス司令官が 管理を出来ないとなれば このARTは誰の物になる?」
ハイケルが言う
「ハブロス司令官は 常に 自分に何かあった場合には ハブロス家を初め 自身の持つ全ての権限を…」
ハイケルが反応する グレイゼスが言う
「そう言う事」
ハイケルが言う
「では …軍曹へ?」
グレイゼスが言う
「施設の修繕なら 財力も権力も あのアーヴィン君であれば 問題は無いだろう?財力は ハブロス司令官の時と同じく ハブロス家からのものになるし それを使用する権力も十分!何しろご本人の意識は兎も角 地位は超高位富裕層 名誉で言えば 現在はARTの司令官と言うだけの ハブロス司令官を越える 現国防軍総司令官にして 国家家臣防長閣下だ」
ハイケルが言う
「そうだったな すっかり 忘れていた」
グレイゼスが衝撃を受けてから言う
「忘れてって… まぁ 気持ちは分かるが …それで?」
ハイケルが疑問して言う
「それで? …とは?」
グレイゼスが車へたどり着くと 運転席の前で言う
「もちろん その ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の 現在の居場所さ?現時刻は… 先ほどから1分30秒経過の 17時34分02秒 この時間と言うと?防長閣下総司令官様は 国防本部か?それとも 誰かさんみたいに もうとっくに お屋敷へお戻りか?」
ハイケルが助手席側に立って言う
「そうだな それは 俺には分からないが?」
グレイゼスが言う
「は?分からないって…」
ハイケルが言う
「以前であれば 俺は国防軍レギスト機動部隊の隊長であり 軍曹は 私の部下であり同じ部隊の副長であった事から 私は 奴の居場所を把握していたが 現在の私は 国防軍ではなく ARTの第一機動部隊隊長だ そして 現状 部下でもなく 同部隊の隊員でもない以上 私は奴の居場所を確認する事はしていない」
グレイゼスが言う
「それはそうかもしれないが… アーヴィン君は お前の養父で 同じハブロス家の家族だろう?オマケに毎晩 夕食も一緒に食べている程だったら このくらいの時間に何処にいるかってコト位は… 少なくとも 屋敷にいるかどうかは 分かるだろ?同じ屋根の下に住んでいるんだから?」
ハイケルが言う
「同じ屋根の下にはいるが 俺と軍曹の部屋は 直線距離にして200メートル以上離れている 従って 俺は 軍曹が何時 屋敷へ戻って来ているのかは 分からない」
グレイゼスが衝撃を受けた後言う
「同じ屋根の下で 200メートル以上… そうか 分かった それならそうと 仕方が無い …それに そうだな?事も大事だし 直接行くより 先に連絡をしておいた方が 良いだろう」
ハイケルが言う
「直接行く?これから軍曹の下へ行くのか?…帰宅をするのでは?」
グレイゼスが言う
「俺だって 出来ることなら帰宅したいよ?けど このARTの緊急時に そうも言ってはいられないだろう?最低でも 今後の目途になる様なものでも 確認してからじゃないと…」
グレイゼスが携帯を操作しながら言う
「…こちらART司令塔主任 マスターグレイゼス中佐だが 国防軍総司令官 ヴォール・アーヴァイン・防長閣下へ 繋いでもらいたい …まだ そちらに居られるだろうか?」
ハイケルが疑問して言う
「どちらにしろ 軍曹へ繋ぐというのなら 直接携帯へ連絡をすれば良いと思うのだが… 駄目なのか?」
グレイゼスが反応して言う
「…うん?そうか もう そちらを後に… では ご帰宅… いや、ハブロス家のお屋敷へ向われたと?」
携帯から秘書の声が聞こえる
『はい 総司令官は既に 本部を出られておられます どちらへ向われたかは 分かりかねますが 急を有する事態で御座いましょうか?』
グレイゼスが言う
「あ、いや… うん 急用ではあるのだが 緊急と言う事ではなく 事態は既に沈静している 従って連絡だけでもして置きたいんだ だから この電話を アーヴィ… いやっ 国防軍総司令官 ヴォール・アーヴァイン・防長閣下へ 繋いでもらいたいのだが?」
秘書が言う
『では 内容の方を ご確認させて頂けますでしょうか?』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「え…?」
ハイケルが反応する 秘書が言う
『現時刻は 既に 国防軍総司令官の業務時間を終了しておりますので 防長閣下への緊急連絡は そちらの内容を元に こちらで 判断をさせて頂きたいと存じます』
グレイゼスが困って言う
「あ… えっと…」
秘書が言う
『もしくは 事態は既に沈静しているとの事ですので 明日の業務時間内に 改めてご連絡を頂くと言う事でも構いませんが そちらの際に置かれましても 総司令官へお繋ぎする際には ご用件の概要をご説明頂く事とされております』
グレイゼスが言う
「…そうか 分かった それなら …また後日 改めて連絡をする」
秘書が言う
『畏まりました ご連絡が御座いました事は お伝えをしておきます』
グレイゼスが言う
「ああ、それじゃ…」
グレイゼスが通話を切る ハイケルが言う
「また後日 改めて連絡を… では 明日の早朝に 連絡をすると言う事か?」
グレイゼスが車に乗り込む ハイケルが助手席に乗り込むと グレイゼスが車のエンジンを掛けて言う
「いや、事態は沈静しているとは言え 明日の朝までなんて 悠長に待っては居られないんだ だから 少なくとも内容だけでも 今日の内に伝えて置かないと 明日動かれないだろう?」
ハイケルが言う
「それはそうだが …では?」
グレイゼスが言う
「だから こうなったら もう …直接向うしかない!」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「直接だと?では… まさかっ?」
グレイゼスがハイケルを見て笑んで言う
「有難うな?ハイケル?その為に お前も この車に乗ってくれたんだろ?」
ハイケルが言う
「俺は お前が 帰宅するものと判断をして…っ ハブロス家へ向うというのなら 俺は降り…っ なっ!?」
グレイゼスが車を発車させる ハイケルが言う
「車を止めろ グレイゼスっ 俺は ハブロス家へ向かうつもりはっ!」
グレイゼスが言う
「まぁまぁ?ハブロス家の ご当主様を巡る 家出なら 昨日1日やってもう十分だろう?大体 あのアーヴィン君が ハブロス司令官を ハブロス家から追い出すなんて事 する筈が無いんだから そうとなれば 今は このARTの緊急事態だ 使えるものは… 全て使う!これぞ アース・メイヴン・ハブロス司令官のART主戦法!ってな?」
ハイケルが言う
「だからと言って 仲間を…っ 俺をハブロス家へ入る為の 鍵として使おうとは…っ この… 悪魔の司令塔主任がっ!」
グレイゼスが笑んで言う
「にっひっひっ」
車が走り去る
【 帝国 】
高級車が到着すると 使用人がドアを開く マリアが降りて使用人へ頭を下げている 使用人が微笑して頭を下げると ラミリツが降りてその様子に微笑した後言う
「では こちらへ出た時と同じ様に 今から戻れば 丁度 良い時間になると思いますので」
隊員Cが降りると 自分が降りてきた高級車を振り返り まじまじと見る マリアが言う
「あ、はいっ!では また あの通路を?」
ラミリツが言う
「はい、恐らく こちらの門を入れば 同じ様に… うん?」
ラミリツが向かおうとした先 門の中からエルムαが出て来る ラミリツが微笑して言う
「ああ、エルム 丁度良かった そろそろハブロス司令官が 戻って来ると思うから 玉座の下へ向いたいのだけど?」
エルムαが言う
『必要ない』
マリアとラミリツが疑問して ラミリツが言う
「え?それは…?」
エルムαが言う
『到着 …だ』
ラミリツが言う
「到着?…ってっ!?わぁあっ!?」
ラミリツが避けると エルムαが吹っ飛んで来たアースを受け止める ラミリツが驚いて言う
「ハブロス司令官!?」
レイが現れて言う
「到着ーっ!マリアの前に到着だぞー!マリアー!」
マリアが言う
「ウィザードさま!」
ラミリツがマリアとレイを見てから アースへ向いて言う
「何だ ここへ到着する事も出来たの?以前と同じで 出発した あの頂上に戻って来ると思ってたんだけど?」
アースが言う
「あれは お前たちがその場所に居たから そちらへ向ったと言うだけで 風の力を操る レイ・アーク・フォライサー殿の力であるなら こちらの国の何処へでも 直接 到着する事が可能らしい」
レイが言う
「何処へでもじゃないぞ?ちゃんと 以前の内に!」
アースが言う
「ああ、以前の内に 訪れた事がある場合 もしくは 意識を留めた相手が居る場所であるのなら …と言う事だったな?」
レイが言う
「ああ!そうだぞ!それから マリア!俺たちが 居なかった間に 神の審判も消えてたからさ!これなら 今夜は安心して マリアのお家で眠れるぞ!マリア!」
マリアが言う
「そうですか それは良かったです!」
ラミリツが疑問して言う
「神の審判って…?」
アースが言う
「我々の国でも以前発生した あの空から注がれていた光の事だそうだ」
ラミリツが反応して言う
「え?それじゃ…っ!?」
アースが言う
「彼らの国にも発生し レイ・アーク・フォライサー殿は 睡眠時のそちらを回避する為に マリア殿と共に 一時的に エリックアーベストらヴァンパイアの国へと 退避していたらしい」
ラミリツが驚いて言う
「えっ!?彼らの国へっ!?」
マリアが言う
「はい 夜の間と その翌日 少し街の様子を伺って それで 帰る筈だったのですが その帰りのゲートを抜けた時… ちょっと違う場所に出てしまって その後も色々あって 結果的に その… ラミリツさんたちとお会いした 神様の国へと ゲートが繋がってしまって…」
ラミリツが言う
「ゲートが繋がって?それで マリアさんは あの国に …神の国に居たのですね?」
マリアが言う
「自分たちの国へ向かうつもりで ゲートを抜けたのですが 何故かあちらへと …あ、それはそうと 改めて 本当にお世話になりました ラミリツさん ハブロス司令官さん」
マリアが頭を下げる ラミリツとアースが微笑し ラミリツが言う
「どう致しまして それに…」
アースが言う
「我々も 貴方方のお力をお借りし 助けられた 貴方方へ敬意を称す」
隊員Cが1人離れていて 呆れ汗を流して言う
「お… 俺は…?」
レイが言う
「そんな硬い事は良いじゃないか それに マリア!今日の友が 明日のナントカって言うし 過ぎた事は良いから 俺は早く帰って マリアの作る夕食が食べたいよ マリア!」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「今日の友が… では無く 昨日の敵が今日の友 …ですよね?」
ラミリツが思う
(そこを 逆にしちゃ 駄目だから…)
マリアが言う
「そ、そうですねっ!?今日の友は 明日も それ以降も 友ですからっ!?…ね?ラミリツさん!?」
ラミリツが呆気に取られた後微笑して言う
「はい マリアさんっ」
マリアとラミリツが微笑を合わせて言う
「「またお会いしましょう!」」
マリアとラミリツが微笑む
マリアとレイが風に消える アースが消えた2人が居た場所を見てから 軽く息を吐いて言う
「任務完了か…」
アースが携帯を操作する ラミリツがアースへ向いて言う
「もう 何処から何処までが 任務だったのか 分からないけどね?」
アースが携帯の着信を確認してから言う
「異国の者が居る限りは 任務中だ」
アースが通話を切る ラミリツが不満げに言う
「その言い方は無しでしょ?マリアさんと マリアさんのウィザードさまは 仲間じゃない?」
アースが言う
「今日の友が 明日の敵になる可能性のある 相手だ …少なくとも 現状では その様に判断をしている」
ラミリツが言う
「それって… それじゃ 本心では仲間だと 思っていないって事?」
アースが言う
「目的を同じくする仲間ではあるが 本心をさらせる相手では無いと言う事だ …そちらは お前も同じだろう?ラミリツ隊長?」
ラミリツが言う
「え?僕はそんな事…?」
アースが言う
「話し言葉を変えると言うのは 礼儀作法の以前に 相手を警戒して居ると言う その表れだ」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「それはっ 違うよっ!?僕は 礼儀作法はもちろんだけど アレは…っ」
隊員Cが言う
「ホント マリアさんと話してる時のラミリツ隊長って 別人みたいですよね?」
アースが言う
「政府の教育施設では 国防軍とは異なり 徹底的に言葉を教え込むからな?そちらの影響だと言われれば 分からなくは無いが… お前の場合は その落差が有り過ぎるだろう?どちらを近付けろとは言えないが アレではマリア殿も何時まで経ってもお前へ対して気を抜かれない 友人になろうと思うのなら 少しは近付けたらどうだ?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ?…ハブロス司令官 意外と そう言う話もする人だったんですね?」
アースが衝撃を受けて言う
「うっ… いや そうでもない… 今のは 少々そちらに関連した 話題を目にしていた影響が…」
ラミリツが困り苦笑して言う
「うん… それは …僕も分かってはいるんだけどさ …でも どうも上手く行かないんだよね?どうしても…」
隊員Cが言う
「まぁ 分かりますって?ラミリツ隊長と同じ ART2の皆さんも 食堂で一緒に飯食ってても 堅いじゃないですか?」
アースが言う
「これほどでは無いだろう?」
隊員Cが言う
「ラミリツ隊長の場合は むしろ 野郎同士の会話では 砕けてますけどね?」
ラミリツが一度アースを見てから言う
「僕は昔から 言葉は駄目で 良く注意されてたんだけど それで ある時 神父様に」
隊員Cとアースがラミリツを見る ラミリツが言う
「女性と話す時には 自分の母上と話すつもりで 話しなさいって言われたの …だから それでかな?」
ラミリツが苦笑して言う
「任務でマリアさんたちの国へ行って 初めてマリアさんに会った時 どう接したら良いか分からなくってさ?咄嗟に 神父様の言葉を思い出して それで… それを実行していたら 何か 戻せなくなっちゃって?それに 今更 変えるって言うのも 変じゃない?」
隊員Cが言う
「自分の母親と話す様にって… 俺 母親と話す時も このまんま… つーか いつもと変わりませんけど?」
ラミリツが苦笑して言う
「僕の母上は 僕を産んで 死んじゃったから 実際に話した事は無いんだけど… だから 余計にかな?」
隊員Cが言う
「そうだったんすか そう言う事なら… 確かに 友達の母親なんかと話す時は 敬語を使いますからね?んな 感じッスか?」
ラミリツが言う
「あぁ、そうだね?そんな感じかな?ART2の皆も 他の隊員の母上様と話す時は 僕がマリアさんと話す時の言葉と 同じだったよ?」
隊員Cが言う
「なら うちのART1の連中は やっぱ あそこまで硬くはなりませんから …そう言う事っすね?分かって来ましたよ?」
ラミリツが軽く笑って言う
「ふふっ そうだね?そんな感じかも?」
ラミリツが思い出して言う
「あ、それはそうと マリアさんたちは 無事戻っただろうし 僕らも?」
隊員Cが言う
「そうっすね?これでやっと 任務完了っすよ?」
ラミリツが言う
「うん!そうだよね?…あ、良ければ 家まで送らせようか?」
隊員Cが喜んで言う
「えっ!?良いんすかっ!?」
ラミリツが言う
「良いよ?この車だって サキシュ隊員の携帯を 借りられたお陰で 呼べたんだもん?僕の携帯のバッテリー 切れちゃったから」
隊員Cが言う
「俺は結局 あっちで携帯の電源入れたのは 1、2回程度でしたから まだバッテリーは50%以上残ってますよ?」
ラミリツが軽く笑って言う
「お陰で助かったよ 有難う」
隊員Cが言う
「いえ!俺の方こそ 一生縁の無い風呂代 払ってもらいましたから!」
隊員Cが思う
(そして一生縁の無い 1杯800取られる水を うっかり飲んじまったと言う…)
ラミリツが微笑して言う
「別に構わないよ?何なら また今度 次は ARTの仲間たちも一緒に行くって言うのは?もちろん 施設の使用料は僕が払うし?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「マジですかっ!?ARTの皆の分までっ!?…さ、流石…」
ラミリツが微笑して言う
「あ、でも あんまり大勢で行くと 迷惑になっちゃうから …数人で?回数分けて行こうか?」
ラミリツが思う
(そうすれば あそこでしか聞けない ナックキラーのお蔵入りナンバーを 何回も聞けるもんね?)
ラミリツがアースへ向いて言う
「あ、ハブロス司令官も 迎えを待つ位なら ハブロス家へ送らせるよ?一緒に乗って行く?」
アースが言う
「いや 折角のお誘いだが 既に近くまで来ているとの事だ 私に構わず お前たちは先に行ってくれ」
ラミリツが言う
「…そう?なら…」
アースが言う
「任務は完了 そして アールスローンへ戻ったとあれば こちらでまで お前たちの護衛は必要ない …お疲れ ラミリツ隊長 マスターラキンゼス隊員」
ラミリツが言う
「あぁ… まぁ そうだよね?なら… お疲れ様!ハブロス司令官!また明日 ARTで!」
アースが言う
「ああ」
隊員Cが苦笑して言う
「お、お疲れ様でした ハブロス司令官 …残念ですが また 明日 ARTで…」
アースが言う
「私との別れを それほど残念に思ってくれるとは これでは 次の任務へも マスターラキンゼス隊員を 指名するしかない様だな?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「そっちに 残念じゃないですからっ!」
アースが苦笑する
ラミリツと隊員Cの乗った高級車が発車して行く
ラミリツがミラーに見えなくなったアースの姿に 一度視線を後ろへ向けると言う
「…何か 変な感じ?」
隊員Cが言う
「まぁ 普通は 上官を差し置いて 部下が先に帰るって事は 無いっすからね?」
ラミリツが言う
「そうじゃなくって… ハブロス司令官なら そう言う事は 基本 気にしないと思う …だから」
隊員Cが疑問して言う
「なら そう言うんじゃなくって…?何か 変でした?」
ラミリツが苦笑して言う
「…うん でも もしかしたら ハブロス司令官も 少し疲れているのかもね?僕らは この2時間 ゆっくり休んで来たけど ハブロス司令官は マリアさんたちの国へ行って …だからと言って 向こうで やる事は無かったかもしれないけど 僕らみたいに ゆっくり休んでは居られなかったと思うから」
隊員Cが言う
「…まぁ そうっすね?俺も もし今回の任務 ラミリツ隊長やハブロス司令官の2人が居なくて 俺1人で行って来いって事だったら それこそ 夜中だって 1人じゃ眠れなかったかもしれませんし?」
ラミリツが言う
「あ… うん そうだよね?…やっぱ 一緒に戦う仲間ってさ?大切だよね?」
隊員Cが苦笑して言う
「そうっすね?ラミリツ隊長は いつも ARTで一緒に居て そう思ってますけど ハブロス司令官も… まぁ 相変わらず 俺の扱いは酷いですけど やっぱ… なんっつーか …あー言う時に居てくれると 滅茶苦茶 安心出来ます」
ラミリツが呆気に取られて思う
(え?それじゃ…)
ラミリツが苦笑して言う
「…うん 僕もそう思う」
隊員Cが笑んで言う
「はいっ」
ラミリツが思う
(うん やっぱりそうなんだ?それこそ マスターラキンゼス隊員と僕の2人だけだったら 僕も… あんなに安心は出来なかったと思う …いや それ所か …怖かったと思う …以前のマリアさんたちの国へ行ったのとは違う 僕らは)
ラミリツが手を握り思う
(神の国へ… 僕らの敵の国へ偵察に行っていた …今思い返してみれば 凄く怖い 実際 あの メリ・アーク・フォライサーと言う 女性のアークにも会ったし 僕は… 敵わなかった …だけど それでも 怖くなかった 立ち向かうことが出来たのは…)
ラミリツが顔を上げる 隊員Cが疑問して言う
「ラミリツ隊長?」
ラミリツが微笑してから言う
「…あっ そうだ それじゃさ?今度 あの入浴施設に行く時は」
隊員Cが言う
「はいっ 何時にします!?まぁ 他の連中に話すのが先ですけど?」
ラミリツが笑顔で言う
「ハブロス司令官も 誘ってみようか?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えぇええっ!?」
ラミリツが言う
「それこそ 裸の付き合いって言うの?一緒に湯を浴びたりすればさ?今よりもっと 仲間意識も高まると思うし マスターラキンゼス隊員も嬉しいでしょ?」
隊員Cが慌てて言う
「いやいやいやいやいやっ!?ちょっと待って下さいっ!ラミリツ隊長っ!流石に それはっ!?」
ラミリツが思い出して言う
「うん そうだよ!そうしよう!?ハブロス司令官は 入浴が好きだって噂 聞いた事あるし 現に ハブロス司令官に勤務時間外に連絡するとさ?入浴中だから折り返しとか 時間を改めてとか 断られる事多いんだよね?だから」
隊員Cが言う
「いやっ!それはマジで 勘弁して下さいっ 中休憩だけでも 一緒に過ごすのは限界なんですから その上 入浴施設なんてっ!?もう俺 2度と 浴槽で泳ぐ事はしませんからっ ですからっ!」
ラミリツが笑って言う
「っはははっ 冗談だよ?」
隊員Cが衝撃を受け 溜息を吐いて言う
「えっ!?はぁあ~ 何だ冗談か… 勘弁して下さいよ マジで…」
車が走り去る
アースがラミリツたちの車が見えなくなるのを確認すると言う
「…なるほど?こちらが顔を拭う程度が やっとであったと言う時に あいつらは この場所からも近く ナックキラーのお蔵入りナンバーを提供した あの入浴施設で時間を潰していたのか まったく… 羨ましい限りだ」
アースが軽く息を吐いて クリーニングスプレーを吹きかけると立ち去る
【 ハブロス家門前 】
グレイゼスの車が止まると グレイゼスが運転席から門を眺めて言う
「ひぇ~… 俺の愛車が可愛そうに思えるほどの ご立派な門です事…」
監視カメラが 車内のチェックをする グレイゼスが苦笑して言う
「目に見える 映像カメラの他… 生体感知システム 赤外線センサー 金属質量探知機… 流石は 超高位富裕層ハブロス家 そして…」
監視カメラがハイケルの顔を映す ハイケルがカメラへ向くと 門が開かれる グレイゼスが言う
「それらの防犯システムの数々を 顔パスとは …やってくれるねぇ?ハイケル・ヴォール・アーヴァイン様?」
ハイケルが言う
「その為に お前は俺を連行して来たのだろう?」
グレイゼスが言う
「連行って…」
グレイゼスが車のギアを入れて言う
「そんな物騒な事 お屋敷の人の前では言ってくれるなよ ハイケル?人さらいか何かと勘違いされて それこそ俺が政府警察に 連行されたらどうするんだ?」
ハイケルが言う
「そうと言うのなら 既に 遅い こちらの門には お前の言い当てたセンサー類の他に 声紋鑑識システム 及び 高感度収音マイクが設置されている」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「先に言ってくれるっ!?」
グレイゼスの車がハブロス家へ向う道を行く
屋敷前
グレイゼスの車が到着する 助手席のドアがフットマンによって開かれる グレイゼスが運転席から苦笑して言う
「あぁ… これまた 俺の車には 一生縁の無いだろうと思われていた光景が…」
ハイケルが降りるとフットマンを見て疑問してから 門前の使用人を見て疑問して言う
「いつもの 者たちではない様だが?…それに」
グレイゼスが反応して言う
「うん?いつもの者たちでは…?ならそれは?…アーヴィン君が指示を?」
ハイケルが思う
(挨拶も無しか… いつもは それほど気にしていなかった事だが… いや 今はそれよりも)
ハイケルが言う
「…そうだったな 軍曹を」
ハイケルが使用人へ向いて言う
「軍曹は 戻っているか?」
使用人たちが沈黙する ハイケルが一瞬間を置いて言う
「…では ヴォール・アーヴァイン・防長閣下は戻っているか?部屋に居ると言うのなら 直接 私が…」
ハイケルが屋敷へ向おうとすると 警備に遮られる ハイケルが疑問すると使用人が言う
「こちらのお屋敷へは ハブロス家のご家族様 以外の者が 立ち入る事は許されません」
ハイケルが表情を顰めて言う
「いつもの使用人らでは無い事から 統括が取られていないのか?私はハイケル・ヴォール・アーヴァインだ この屋敷に住んでいる そして 軍曹の… ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の養子だ」
ハイケルが再び向おうとすると 前を塞がれる 使用人が言う
「そちらは存じております ハイケル・ヴォール・アーヴァイン様」
ハイケルが言う
「では 何故 その私の帰宅を遮る?」
使用人が言う
「そちらは先ほども申しました通り こちらのお屋敷へは ハブロス家のご家族様 以外の者が 立ち入る事は許されない為です」
ハイケルが言う
「ならば言っているだろう?私は…っ」
使用人が言う
「貴方様は ハイケル・ヴォール・アーヴァイン様」
ハイケルが言う
「そうだ 従って 私は ハブロス家の家族だ」
使用人が言う
「そちらは異なります」
ハイケルが言う
「…何?…何を言っている?私はハイケル・ヴォール・アーヴァイン… ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の名を与えられた者だ そうとなれば 当然っ」
使用人が言う
「貴方様は お間違いなく ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の 御養子様ではあられますが ハブロス家のご家族様では 御座いません ハブロス家のご家族様は ハブロスのファミリーネームを お持ちの御仁のみとされております 従いまして ヴォール・アーヴァイン・防長閣下のお名前のみを与えられた 貴方様はハブロス家のご家族様とは 見なされて居りません」
ハイケルが呆気に取られて言う
「俺は… ハブロス家の家族では無い…?」
ハイケルがハッとすると ハイケルの意識の中でアースの姿が遠ざかる ハイケルが気付いて言う
「…そうか 了解 …では 俺は?ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の養子は この屋敷へ入る事は許されず…」
ハイケルが周囲を見てから言う
「この庭に居る事も 許されないと言う事か?」
ハイケルが思う
(この庭に居る 動物たちもまた ハブロス司令官の家族と言われていたが… いや?動物であるのなら?むしろ 私は?…動物たちとは異なり 人の姿をした私は…?)
使用人が言う
「滅相も御座いません ハブロス家のご家族様では御座いませんが ハイケル・ヴォール・アーヴァイン様は ヴォール・アーヴァイン・防長閣下のお名前を与えられている 御仁に御座いますので どうぞ こちらのハブロス家の 離れのお屋敷にて お過ごし下さい」
ハイケルが言う
「離れの…?」
ハブロス家 離れの屋敷
グレイゼスの車が到着すると 門前でレミックが礼をする ハイケルが気付き言う
「…っ あれは レミック?」
助手席のドアが開けられ フットマンが言う
「お帰りなさいませ!ハイケル少佐!」
ハイケルが車を降りると フットマンを見て呆気に取られて言う
「お前は いつもの…っ」
フットマンが微笑する レミックがやって来て言う
「お帰りなさいませ ハイケル少佐」
ハイケルがレミックを見て呆気に取られる グレイゼスが微笑すると 屋敷の扉が開かれ アリアが走って来て言う
「ハイケル少佐ーっ!」
ハイケルが振り向いて言う
「アリア… …っ!?」
アリアがハイケルに抱き付く ハイケルが呆気に取られると アリアが言う
「ハイケル少佐!昨日は お屋敷へ戻らず どちらへ行ってられたのでして?アリアは お父様がお出かけでいらっしゃらない この時に 真に不甲斐なく申し訳ない初世代の悪魔の兵士である ハイケル少佐が どちらかで お亡くなりになっているのではないかと とっても心配して差し上げたのでしてよっ!?」
グレイゼスが衝撃を受けた後苦笑する ハイケルが言う
「ああ すまない 私は グレイゼスの… 仲間の家で 夜を明かしていた」
アリアが言う
「それならそうと 事前のご連絡は必要な事でしてよ ハイケル少佐?アリアは 今日も戻らなければ エリィに命じて 捜索へ向かわせる所でしたのよ!?」
エリーナが歩いて来てハイケルを見る ハイケルが言う
「そうか アリアがそこまで私を… そうとは知らずに すまなかった 私は…」
エリーナが言う
「流石は欠陥品… だ」
ハイケルが衝撃を受けた後 苦笑してから言う
「そうだな 私は 欠陥品で在る事から この様な事態に どの様な作戦を用いたら良いのかが 分からずに それで…」
アリアが言う
「この様な事態に?まぁ?ハイケル少佐には 何か問題がありますの?アリアは ただ お父様のお帰りを待つだけでしてよ?それに ハイケル少佐が その様な真に不甲斐ない作戦を 思案していらしゃったりするものですから アリアはもちろん アーヴァイン叔父様が!」
ハイケルが反応して言う
「軍曹が…っ?」
軍曹が走って来て言う
「少佐ぁああーっ!」
ハイケルが振り向いて言う
「ぐんそ… ぐあっ!?」
エリーナがアリアを保護している 軍曹がハイケルを抱きしめて言う
「少佐ぁーっ!少佐ぁーっ!良くぞご無事でっ!少佐ぁーっ!」
ハイケルが苦しがりながら言う
「軍曹…っ それは 私の台詞であるのだが…っ その…っ 前に…っ く、苦しいっ 軍曹ぉーっ!」
軍曹がハッとして言う
「ハッ!?しょ、少佐ぁっ!失礼致しましたぁっ!自分はっ ついっ!?」
軍曹がハイケルを開放して見る ハイケルが失神寸前から蘇生する グレイゼスが苦笑して言う
「やれやれ… やっぱり アーヴィン君や…」
ファーストがユラに車椅子を押されて出て来ると ファーストが微笑して言う
「お帰り ハイケル お前が ハブロス家当主の変更をストライキして 家出をしてくれた事は 父上がお戻りになったら 僕から伝えて置いてあげるよ?」
ハイケルが衝撃を受けてから視線を逸らして言う
「そ、それは…っ 折角だが そちらは伝えてくれなくて良い ライヴィン… たった1日の家出で終わらせるなど 任務達成への気合が足りないと 逆に 私が1体殺されてしまうと言う可能性が…」
ファーストが笑顔で言う
「あははっ そうだね ハイケル?ハイケルはそろそろ1体くらい蘇らせた方が 気合が入り直るかもしれないと 父上も日々仰って居られたからね?」
ハイケルが衝撃を受けてから言う
「笑い事では無いのだが 奴はそれこそ 笑ってそちらを実行しかねない 悪魔の司令官にして…」
ハイケルが皆を見てから微笑して言う
「最高のハブロス家の当主 …だ」
皆が微笑する 軍曹が反応し視線を逸らす ハイケルが気付くと言う
「…軍曹?」
軍曹がハッとして言う
「あっ いえっ その…っ!じ、自分もっ!」
レミックが小声で言う
「アーヴァイン様…」
軍曹がハッとして黙る ハイケルが疑問した後 思い出して言う
「…ああ、そうだった それよりも 軍曹 こちらのハブロス家の状態も然る事ながら 我々の… ハブロス司令官のARTが 破損率80%と 甚大な被害に陥っている そして そちらの修繕費用なのだが …詳しい事は 現在そちらのARTの管理を任されている グレイゼスが説明を」
グレイゼスがやって来ると 軍曹が敬礼して言う
「はっ!マスターっ!この度は 真に…っ!」
グレイゼスが微笑して思う
(あぁ 良かった… 分かっては居たつもりだったが …こうして 実際に会って話をするまでは やっぱり 俺も 心配だった)
軍曹が言う
「…自分もっ メディアや国防軍内の情報から 伺い聞いたまででありますがっ!ART最高責任者の兄が居りません この時にっ 真に大変な事態に見舞われてしまいました様でっ!?が、しかしっ 流石は マスターと少佐の率いるARTでありますっ!自分は知る由も在りませんがっ 見事 事無きを得られたようでありまして!?これもひとえに マスターの的確なる ご指示 ご判断の成せる 偉業でありますかとっ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ まぁ… そうね?何とか ターゲットを撃破… いや?退治するには至ったんだが とても… 事無きとは 言い難い状況なんだわ…?詳しい資料は ここに集計したんだが その額は正に…」
レミックが周囲の動きに目を光らせ 軍曹へ言う
「アーヴァイン様 こちらで これ以上のお話は…」
軍曹がハッとして言う
「そ、そうであったっ!」
ハイケルが疑問する グレイゼスが疑問すると同時に耳に聞こえた僅かな音に視線を向けると 暗闇で人が隠れる グレイゼスが目を細めて思う
(刺客…っ!?…いや このハブロス家で この… 防長閣下の周囲で そんな者の存在が 許される筈が無い …となると?)
グレイゼスが耳を澄ますと 暗闇で人が携帯で話している声が聞こえる
「…先程の二人が 防長閣下とお話しをしています 内容は 先程と同じく ARTに関するもので その詳細を…」
グレイゼスが思う
(なるほど… 防長閣下を狙う刺客ではないが… それ所か 防長閣下を監視するとはねぇ?…しかも?)
グレイゼスが言う
「それはそうと… 防長閣下?」
ハイケルが疑問してグレイゼスを見る グレイゼスが言う
「こちらの離れでは無く ハブロス家の… あちらの母屋の方は…?」
軍曹が衝撃を受けた後困って言う
「あ… は、はぁ… その…」
暗闇から使用人が微笑してやって来て言う
「防長閣下 ルメリア様が 御夕食のお席へお呼びです 宜しければ 防長閣下と 久方振りの御夕食を ご一緒したいとの事で御座いますが?如何に御座いましょうか?」
ハイケルが言う
「ルメリア…?」
軍曹が衝撃を受けた後 困って言う
「…じ、自分は… その…」
レミックが礼をして言う
「では お車を ご用意致します 防長閣下?」
軍曹が言う
「う、うむ… レミックが そう言うのであれば …わ、分かった 母上へは 御一緒すると …そう 伝えてくれ…」
使用人が礼をして言う
「畏まりました」
使用人が立ち去る 軍曹が溜息を吐く ハイケルが軍曹を見る アリアがハイケルの腕を取って言う
「ハイケル少佐!アーヴァイン叔父様は お婆様にお呼ばれされてしまったのでは仕方が御座いませんわ!ハイケル少佐は アーヴァイン叔父様を除いた ハブロス家の家族 皆で お夕食にしましょう?」
ハイケルが呆気に取られた後微笑して言う
「…そうだな 了解」
アリアが微笑する ファーストが微笑しユラが鼻で笑う 軍曹が悲しんで言う
「じ、自分もっ!自分もっ 今日こそは 少佐とも ご一緒に…っ!」
レミックが言う
「防長閣下 お車のご用意が整いました」
軍曹が衝撃を受け 気を取り直して言う
「う、うむっ!?で、では…っ 自分は…っ 母上の下へ…っ い、行くのであるっ!…うむぅっ」
軍曹が後ろ髪引かれつつハイケルと皆の下から去って行く グレイゼスが軽く笑ってから言う
「取り合えずこれなら…?…ハイケル!それじゃ また明日な?」
ハイケルが反応してから言う
「可能であれば 私から軍曹へ伝えて置く」
グレイゼスが言う
「ああ、頼む …けど 無理はしない様にな?…周囲に気を付けて それと 重要な事を話す時には…」
グレイゼスが顔を向けると レミックが軍曹を車へ案内している レミックがグレイゼスの視線に振り向き微笑して礼をする グレイゼスが微笑してから ハイケルへ向いて言う
「あの執事の方に… そうだな?口の利き方を 教えてもらうように?…な?ハイケル?」
ハイケルが疑問して言う
「口の利き方を…?」
ハイケルがレミックを見ると レミックが軍曹とともに車に乗って去って行く ハイケルがグレイゼスへ向いて言う
「…そうか …了解」
グレイゼスが言う
「うん!それなら …それじゃ 俺はこれで!」
グレイゼスが車に乗ると走り去る ハイケルと皆がグレイゼスを見送ってから屋敷の中へ入って行く
車内
グレイゼスがミラーでハイケル達の様子を見た後 微笑して言う
「ハイケルの奴…」
グレイゼスが思う
(すっかり ハブロス家の… 少なくとも あのご家族の中には 入っているみたいだ …安心した それに…)
グレイゼスがレミックの事を思い出してから表情を強めて思う
(あの執事… 名前は確か… レミック …とか呼ばれていたな?)
グレイゼスが視線を強めて思う
(通常を超える マスターの聴力を持つ俺が あの時やっと気付いた物音に …間違いなく俺よりも早く気付いていた だが?あの人は?…マスターでは無い マスターには必ず見られる 光は見え無かった)
グレイゼスが言う
「…何者なんだ?」
グレイゼスの車の前で門が開かれ グレイゼスの車が出ると 門が閉じて行く グレイゼスが肩の力を抜いて言う
「…まぁ …良いか?今は?…少なくとも」
グレイゼスが思う
(あの人は 敵ではない それに あの人は 彼らの…)
グレイゼスの脳裏に 先程のハイケル達の姿が思い出される グレイゼスが言う
「味方… ひょっとして 執事まで ハブロス司令官にとっては 家族なのかもしれないな?何しろ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「赤の他人である 俺の事まで 家族だって言ってくれる位の お方なんだから?」
グレイゼスの車が走って行く
【 喫茶店マリーシア 】
グレイゼスの車が喫茶店マリーシアの前を過ぎると 駐車場に入る グレイゼスが車を降り鍵をかけて歩きながら思う
(それはそうと… 現状のハブロス家の問題には 俺は 立ち入る事も 触れる事も出来ない… しかし あの彼らが恐らく 何らかの手を打つのだろう)
グレイゼスが店のドアを見て言う
「まぁ… これが 以前のまま… あのアーヴィン君とハイケルだけだったとしたら 俺の出る幕も有ったのかも知れないが…?」
グレイゼスが店のドアを開けて入る グレイゼスが思う
(今の あいつらには…)
店の来客鈴に マリが振り返って言う
「お帰りなさい!グレイ君!」
グレイゼスが微笑してマリを見ると言う
「うん、ただいま マリ…」
グレイゼスが思う
(俺も同じだ… ハイケルにも お帰りと言ってくれる 家族が居る だから きっと…)
マリが言う
「今日は 遅かったのね?やっぱり…?」
グレイゼスが言う
「ああ、ハイケルを送り届けるのに 寄り道もしていたから 遅くなっちゃったよ それに… マリも?TVなんかで もう見た?」
グレイゼスがTVを見ると TVでニュースがやっていて ARTの文字が書かれている マリが言う
「ええ 最初に お客さんたちが話していたのを聞いた時には 信じられなかったけど… あ、でもね?その後で TVのニュースで 施設周囲の住民やARTの隊員に 死傷者は無しって 出ていたから?」
グレイゼスが呆気に取られた後 携帯で情報を調べながら言う
「え?あ、うん… 確かに死傷者は無かったんだけど… 参ったな?何処から その情報が…?本部の方へは 直接 そう言った メディアからの連絡は 無かった筈なんだが…?」
マリが疑問して言う
「あら?そうだったの?うーん それじゃ…?記者の人やメディアの人が 直接 ART本部の近くまで行って 見ていたって事?」
グレイゼスが言う
「いや それも出来ないようになってるんだよ 平常時はもちろん あの本部の周囲20キロは ハブロス家の私有地… 別名 特別区域に指定されているから 部外者が立ち入ることは出来ない それに 近付く事が許される 場所からじゃ 中の様子は確認は出来ないからな?」
グレイゼスが思う
(とは言え 望遠レンズやその他で 見ようと思えば見られなくも無いが…)
グレイゼスが言う
「音は聞こえるとしても とても 死傷者の確認が取られる程 見られはしない筈だし…?」
グレイゼスが思う
(一体どう言う事だ…?…いや、とは言え 今は)
グレイゼスが言う
「…まぁ 結果として そのメディアでも言われている通り 死傷者は無かったから そこは 本当に良かったんだけど…」
マリが言う
「そうね?それが無かったと言う事は 何よりだったわ?…はい お疲れ様!ART司令塔主任の中佐様!」
マリがコーヒーを置く グレイゼスが思う
(そう 今の問題は…)
グレイゼスがカウンター席に座り 溜息を吐いて言う
「うん それは本当に 良かったんだけど …ああ 有難う」
グレイゼスがコーヒーを一口飲んでから うな垂れて言う
「はぁあ~ どうしたら良いんだろうなぁ~?この後始末…」
グレイゼスが思う
(あのアーヴィン君が… 果たして?)
グレイゼスが言う
「金額や権力は兎も角… むしろ それらを扱う力の方が 彼にとっては問題と言うか… こうなると 本当に…」
グレイゼスが思う
(それらの問題を 当然の如くこなしていた人が… 頭では分かって居たつもりだった あのハブロス司令官が居ない その事の本当の問題… 代わりと言われていた アーヴィン君や… ハブロス家は あの状態だし …これは もう?)
グレイゼスが頭を抱えて言う
「俺に どうしろって 言うんだぁ~っ あの 悪魔の…っ!」
新聞紙の置かれる音が聞こえる グレイゼスがハッとして驚いて思う
(え…っ!?まさか この時間に お客がっ!?まだ 居たのかっ!?)
グレイゼスの脳裏に店のドアに準備中の札が掛けられていた事を思い出す グレイゼスが咄嗟に時計を見て思う
(そうかっ!?しまったっ …札はクローズにしていても 店内には まだっ!?話を聞かれたっ!?ARTの話を…っ 誰に…っ!?)
グレイゼスが振り返ると 置かれた新聞に書かれているARTの記事を前に アースが言う
「ART本部の壊滅… とは?」
グレイゼスが呆気に取られる アースが言う
「一体何が起きたのか 就業時間外とは言え 詳しい報告を聞かせて貰いたい所だな?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが驚いて叫ぶ言う
「ハブロス司令官ーーっ!?」
アースが煩そうにしてから言う
「この距離であるなら 常人の私の耳であっても 十分に声は聞こえている 折角の静かな喫茶店の雰囲気に 相応しくないぞ?マスター?」
マリが含み笑いをしている グレイゼスが衝撃を受けてから慌てて言う
「す、すみませんっ つい… って!?いえっ!?そんな事よりもっ!?」
グレイゼスがアースとマリを交互に見ると 慌ててアースの下へと向って言う
「な、何故っ!?ハブロス司令官が こ、ここにっ!?俺の…っ!?庶民の喫茶店にっ!?」
アースが言う
「私が 庶民の喫茶店に 入店してはいけないと言う 謂れは無い筈だが?」
グレイゼスが言う
「あぁ、いやっ!?そ、それはそうですがっ!?って そちらの問題ではなくてですねっ!」
アースが言う
「あぁ そうだったな?そうであっても 閉店時間を過ぎてまで 居座るつもりはなかったのだが こちらの店員であるマリーニ・アントワネット・ライネミア・アーミレイテス殿の許可を得た上で 閉店時間後であっても 店内にて過ごさせて頂いていた」
グレイゼスが言う
「あぁ… そうでしたか… …って そちらの問題でもなくてですねっ!?」
マリが片付け作業をしつつ含み笑いをしている グレイゼスが言う
「そもそも 任務を終えて アールスローンへ戻っていたのでしたらっ!?もっと別に行くべき 場所が…っ!?」
アースが言う
「生憎 アールスローンへ帰還した上で 任務を終えた時間は ARTの就業時間を過ぎ 更に 閉館時間をも過ぎていた …従って」
グレイゼスが言う
「し… 従って?」
アースが言う
「そちらの時間であっても間に合った こちらの喫茶店にて 過ごしていたのだが …何か問題か?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「も、問題でしょうっ!?何で 超高位富裕層ハブロス家のご当主様が こんな庶民の…っ 俺の店でなんか 時間を潰して居るんですかっ!?」
アースがコーヒーを一口飲んでから言う
「ああ、そちらは もちろん… 以前から アーヴィンやハイケル少佐が絶賛していた こちらの喫茶店のコーヒーを 試してみたいと…」
グレイゼスが言う
「本気で言っているんですかっ!?ARTやハブロス家が こんな時にっ!?」
アースがグレイゼスを見て言う
「ARTやハブロス家が こんな時に?」
アースが新聞の記事を見下ろす グレイゼスがハッとする アースが言う
「そうだな?では こんな時だ まずは… そのお前へと任せた こちらの記事にもある ARTの状況を …閉店後ではあるが 聞かせてもらえるか?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが思う
(それじゃ 本当は その為に?ここで?…俺を待っていたのか?)
グレイゼスが気を取り直して言う
「…はい 分かりました …それに この店内でしたら」
マリがドアの鍵を閉める グレイゼスが言う
「セキュリティの心配は ありませんので…」
グレイゼスがカウンター内へ向い タブレットを用意する アースが微笑して言う
「心強いな?マスター?」
グレイゼスが苦笑して思う
(俺が心強い?…いや 心強いのは やっぱり…)
グレイゼスがアースを見る アースがコーヒーを一口飲んでから 新聞の記事を確認してグレイゼスを見る グレイゼスがアースの下へ戻ると タブレットを操作して アースへ渡して言う
「元は そのマスターとしての 防衛の為でしたが …こんな事で ARTの役にも立つとは 思っても居ませんでしたよ …では 早速 これが 今回の襲撃に対する 内容と報告です それから その被害状況が 新聞の記事やメディアの情報にも 書かれている通りで… 詳細は…」
アースがグレイゼスからタブレットを受け取り内容を確認する
アースがタブレットを見終えて言う
「ふん…?なるほど 元々のART本部… あの施設自体で言うのなら それほど修理費用は掛からないが 備えていた最新の機材の破損が 高く付いたな?後は… ART2のマシーナリーが全てと ART1も旧型隊長機を含む5機が修理不能のDランク 更に そちらのマシーナリーへの エネルギーユニットの破損 こちらは 優先して修理… もしくは 帝国から 再び供給すると言う事も 考える必要があるか…?」
グレイゼスが言う
「修理は やろうと思えば出来なくは無いですが 今回は規模が大きいですので 時間の短縮を考えると 出来れば 改善前の状況であっても 帝国から供給して頂けた方が助かります」
アースが言う
「そうだな 時間も費用も そちらの方が安く付くだろう 後は 何よりも優先する事として それらを行うのに必要とされる…」
アースが考えてから コーヒーを一口飲む グレイゼスがアースを見てホッとして言う
「…はい 本当に…」
アースがカップから口を離してグレイゼスを見る グレイゼスが表情を緩めて言う
「このタイミングで ハブロス司令官が 戻って来て下さって 助かりました… 正に… これ以上のタイミングは無いと言いますか?」
グレイゼスがホッとして思う
(今日だけは本当に… いつもは 悪魔の司令官こと… 悪魔の様に人使いが荒く 強引なこの人が… まるで… …そう その背中にある …うん?その背中に ある…?)
グレイゼスがアースの左背後へ視線を向けて言う
「あれ?無い?」
グレイゼスが思う
(…あれ?おかしいな?見えないぞ?光は見えるのに?…いつもは その心の光さえ打ち消すほどに 眩しいほどの あの…)
アースが言う
「無い とは?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「あ…っ いえっ?その…?」
グレイゼスが思う
(え~っと?…参ったな?つい口に出して…っ)
マリがカウンター内で疑問する アースが一度マリを見てから 店内の鏡に映った自分を見てから気付いて言う
「…ああ 眼帯の事か?」
グレイゼスがハッとして言う
「え?…あ、はいっ そうです!?」
グレイゼスが思う
(あぁ 言われてみれば?…そっちは気付かなかったと言うか …それ所じゃ無かったと言うか?何しろ 超高位富裕層ハブロス家のご当主様が 俺の… 最下層の俺の 喫茶店に居ると言う この情景こそが 有り得ない事で そっちに驚いていたものだから…)
アースが言う
「任務で国外に居た間は 外して居た そして そのまま戻った事で 忘れていたと言うのが本音だが… 街中を移動する際も 今は こちらの方が私だと気付かれずに済む様だ この店へ入るにも 丁度良かった」
グレイゼスが気付いて言う
「あぁ なるほど?そう言う事で…?」
グレイゼスが思う
(…って それなら むしろ どこか相応の場所へ 俺を呼び出してくれても 良かったんだが…?)
アースがコーヒーを飲む グレイゼスが思う
(…後は 嘘か本当か?この店のコーヒーを試したくて?…いや それなら それこそ ART本部で淹れて差し上げても 良かったんだけどな?…ご命令と有りませば?…って いや それ所じゃなかった!)
グレイゼスが言う
「では 取り合えず そう言う事で… ARTの状況及び被害報告は 以上です」
グレイゼスがハッとして思う
(あ… そうだっ その報告が済んだのなら…)
アースが言う
「ああ、そうだったな マスターグレイゼス中佐」
グレイゼスがハッとして言う
「あ、はい?」
アースがタブレットから顔を上げて言う
「予想外の奇襲への対応として ARTの従業員への指示 及び 機動部隊への指揮はもちろんだが その他 ART総員の防衛を ご苦労だった マシーナリーや施設へ対する被害はあろうと ART隊員らへの被害はゼロ そうとあれば もちろん達成ランクはSランクだ 良くやった 上出来だ」
グレイゼスが驚いてから 喜びを味わって言う
「…っ 有難う御座います ハブロス司令官」
アースが微笑する グレイゼスが思う
(あぁ… 何だろうな?事態は分かってる とても 喜んで良い結果では無い だけど 感じる この… 心が温まる達成感は…)
グレイゼスがアースを見る アースがタブレットを見て言う
「…とは言え 総被害額は2兆4千億か… 決して安くは無いが ARTにはその価値がある …むしろ 金額などより 敵陣視察を終えたこのタイミングで 修復に時間が掛かると言う事の方が 問題となるのだが…」
グレイゼスが苦笑して思う
(2兆4千億の額面や このお方にとっては 指して言葉にする必要もない それを使う力より 問題は時間… …それこそ 俺には一生口に出来ない言葉だが このお方にとっては…)
アースが気付いて言う
「…そうだったな?時間といえば 大分長居をしてしまったな?」
グレイゼスが言う
「あ、いえ?そっちの時間の方は気にしないで下さい 俺にとってはそんな事より ハブロス司令官が…」
アースが疑問して言う
「私が…?」
グレイゼスがハッとして思う
(あ… しまった …けど 良いか?ここで隠さなくても?)
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官が 無事に戻って来てくれて …それが何よりでした」
アースが呆気に取られた後 微笑して言う
「…そうか それは…」
グレイゼスが苦笑して言う
「ARTの仲間たちへの指示とか そう言った事なら 自分でも 何とか こなせはしますが やっぱり…」
グレイゼスが思う
(ハブロス司令官が 居ない… その事が 俺の指示を受け取る彼らにとっても どれだけ心許無いものだったか… そして)
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官が 戻って来たとなれば これで ARTの心配は もう ありません!隊員たちも 自分も… これで 安心して 普段の訓練や業務へ戻られます!」
アースが苦笑して言う
「随分と大げさだな?お前が ARTの仲間たちへの指示をこなせるとあれば 言い換える所 そちらの業務を同じくする 司令官の私は 必要とされていないとも 受け取られると思うのだが?」
グレイゼスが言う
「え?あぁ いえ それは… 司令塔主任と司令官の業務は 確かに 近いものでは有るかもしれませんが 何よりの違いは やっぱり… 安心感ですかね?ハブロス司令官と自分では 圧倒的に その差が有りますかと?何しろ ハブロス司令官は 歴代国防軍長ハブロス家のご当主様にして 元国防軍総司令官様ですから!」
グレイゼスが思う
(…と、言ってみたが 改めて考えると?…その違いと言う事なのか?…つまりそれは やっぱり…?)
アースが言う
「私が 歴代国防軍長ハブロス家の者で 元国防軍総司令官であるから… つまり お前とは生い立ちが違うから と言う事か?」
グレイゼスが反応して言う
「え?あ…?そうですね?生い立ちが…」
グレイゼスが気付いて思う
(あぁ それはあるよな?現に…)
グレイゼスが苦笑して言う
「今の今まで自分は… 自分にはどうする事も出来ない ARTの修繕修復に掛かる その2兆4千億の金額と それを扱う力を持つ アーヴィン君へ ARTの復興を 依頼出来るものかと?そちらの悩みに 翻弄されていました それに 実際にハブロス家で アーヴィン君に会って 話をしようとしたのですが それさえも難しく…」
グレイゼスが思う
(あの様子じゃ 例えハイケルからアーヴィン君へ ARTの状態を伝えられたとしても アーヴィン君がARTの修復をこなせるかどうか… いや それ以前に あの母屋の状態を相手に出来るのか?と言う不安は 実の所はあった …だが このハブロス司令官さえ戻れば)
グレイゼスが言う
「それもこれも 全て解決するでしょう?ハブロス司令官さえ 戻って来たのなら!これで すべて一件落着です!」
グレイゼスが思う
(それこそ 悪魔の如く いつもの手腕で!)
アースが言う
「…なるほど?良く分かった」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「…うっ!?あ、あれ?自分は今 何か間違えた様な?」
マリが呆気に取られている アースが言う
「それならそうと 今この場所で お前へ伝えて置く事がある マスターグレイゼス中佐」
グレイゼスが衝撃を受けてから言う
「は、はいっ!?ハブロス司令官!?」
グレイゼスが思う
(しまったっ 考える事が有り過ぎたせいでっ 思考と言葉が混線して 今… 俺… ハブロス司令官へ 何か失礼な事を言ったか…?取り返しの付かない事を 言っていたとしたら…?俺は まさか ARTを…?)
アースが苦笑して言う
「私は… ハブロス家から 除名を されてしまった」
グレイゼスが思う
(ARTから 除名される…っ!…と … か…?)
グレイゼスが言う
「…は?今…?」
グレイゼスが思う
(ハブロス司令官は なんて言った…?)
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官?すみません 今… 何と…?」
アースが言う
「私は アールスローンを離れている間に 弟のアーヴァインによって ハブロス家から 名を消されてしまった 今の私は アース・メイヴン 姓を持たない いち庶民に過ぎない ハブロス家の家族でもなく 高位富裕層から下落した 最下層の人間となった私に 2兆4千億の金額はもちろん そちらを扱う力も無い… いや?むしろ 自分の浅はかな行いで 名誉ある 歴代国防軍長ハブロス家を除名をされた その様な私に 誰も安心感などは持たれないだろう …従って」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「そ… そんな…?まさか…っ!?あの アーヴィン君が…?」
グレイゼスがハッとして思う
(そうかっ ”アーヴィン君が” じゃ無いっ あの…っ!)
グレイゼスが言う
「あの…っ お母様の策略でっ!?」
アースが苦笑して言う
「アーヴァインに会って来たと言ったな?…あいつの様子はどうだった?やはり… 母上に怯えていたか?」
グレイゼスが悔やんで言う
「…はい」
アースが言う
「そうか… だろうな?アイツは昔からそうだった しかし そうとあっても 今回の作戦に置いては アイツが… ハブロス家の次期当主として 相応になっていてくれているものと 期待をしていたのだが… そうか やはり 変わらずだったか」
グレイゼスが言う
「そんなリスクがあったと言うのならっ 何故…っ!?…ハブロス司令官っ!?」
グレイゼスがハッとする アースが言う
「リスクは存在した 従って 私は お前に言った筈だ …ARTを任せると?」
グレイゼスが驚いて思う
(あれは…っ そう言う事だったのか!?本当にっ!?)
グレイゼスが言う
「…では …本当に?」
アースが言う
「当初の予定通り ARTの復興に必要とされる費用は アーヴァインへと頼んでくれ 変わらずとは言え あいつも本当の馬鹿ではない ARTの必要性と その価値は十分に分かっている …そして 何より 自分の尊信するハイケル少佐やお前 ついでに ラミリツ攻長の居る組織だ それらを守るためであれば あいつも強く動く事が出来るだろう …お前に不足といわれる 金と権力は アーヴァインが… そして ARTの指令はお前が 機動部隊の隊長は ハイケル少佐とラミリツ隊長が居る そうとなれば… ARTはこれまで同様に 問題はないな?アールスローンと世界の存亡を頼んだぞ マスターグレイゼス中佐」
アースがコーヒーを飲み干す グレイゼスが驚いて言う
「そんな…っ ちょっと待って下さいっ!」
アースがグレイゼスを見る グレイゼスが困って言う
「その…っ ハブロス家の状況は 自分も…っ この目で見てきた事です ですから …そちらはそうとっ …しかし ARTはっ!ARTを設立し 世界を守ると言った そのARTの司令官は 貴方でしょう!?ハブロス司令官っ!」
アースが視線を逸らし表情を落す グレイゼスが痛々しく見て思う
(…ハブロス司令官 そんな… …貴方がそんな顔をする日が来るなんて それも…)
グレイゼスが一度迷ってから言う
「…っ いえ… ハブロス司令官では… ハブロス様ではなくなったとしても 貴方は…っ …例え アース・メイヴンと言う名の いち庶民になったとしてもっ」
グレイゼスが思う
(そうだっ!今までずっと… それこそ 国防軍に居た時から 俺たちは一緒に戦って来たっ 仲間の内の 誰よりも傲慢を言うけど その誰よりも仲間想いで… 非戦闘員でありながら 前線へ出る事も恐れない 強い貴方と!それは…っ 例え ハブロス家の地位や名誉があったからと言って 出来る事では無かった筈だっ …貴方だからっ …貴方であったからこそ 出来た事っ!そうとなれば もちろん!我々の最高の司令官である その貴方はっ!)
グレイゼスがアースを見詰めて言う
「貴方は やはり …我々の司令官にして …我々の仲間ですっ!」
アースが一瞬驚く グレイゼスが思う
(…そうだっ 例え ハブロス家から除名され ”ハブロス”司令官では無くなろうともっ この人以上の司令官は居る筈がない 何しろ この人は…っ!)
アースが言う
「ハブロス家の人間では無い 私であっても良いと言うのか?財力も権力も… 地位も名誉も無い その私が 今更 ARTで何が出来る?」
グレイゼスが言う
「それは…っ …確かに 今までと同じ様には 行かないかもしれません…っ 高位富裕層を相手にする 資金繰りやそれらは出来ない… だとしてもっ それでも…!その貴方にも 出来る事がっ!?…っ …? …って?…あら?」
グレイゼスがハッと思い出して言う
「…そ、そうです?そもそも 貴方は…?」
グレイゼスが思う
(このアールスローンを守る 帝国の皇帝の身代わりが出来る 唯一の…)
アースが顔を逸らして舌打ちをして言う
「…チッ 気付かれたか」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「え?あ、あの… ハブロス司令官?…あっ!?」
グレイゼスが思う
(もう ”ハブロス”司令官では…)
グレイゼスが言う
「あの… では これからは… 何と お呼びしたら?」
グレイゼスが疑問して思う
(いや?”お呼びしたら”? 例え その身に持ち合わせている その力が 神と呼ばれる程のものであっても …その貴方が 俺と同じ最下層の人間だと言うのなら?それなら これからは…?)
アースが言う
「これから ”も” ハブロス司令官だが?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「は?」
アースがグレイゼスへ向いて言う
「嘘だ」
グレイゼスが顔を引きつらせて言う
「はい?」
グレイゼスが思う
(まさか…?)
アースが言う
「私がハブロス家から除名をされたと言ったのは あちらは嘘だ アーヴィンも 変わらずとは言え あれでもそれなりに成長していた 如何に購う事が苦しい あの母上が相手とあろうとも ハブロス家の現当主とされる 私の名と その地位を守ってくれていた… お陰で 私は今も変わりなく 歴代国防軍長 または 超高位富裕層と言われるハブロス家の 現当主にして ARTの最高責任者 アース・メイヴン・”ハブロス”司令官だ」
グレイゼスが衝撃を受け 怒りを込めて思う
(そうでなければ ぶっ飛ばしたいっ!)
グレイゼスが表情を顰めて言う
「…で、でしたら?先程のはっ!?何故っ!?あの様な嘘を!」
アースが言う
「ああ、そちらはもちろん?お前が私を ただの金蔓の様に言うからな?それならそうと 言ってやっただけだが?驚いたか?」
グレイゼスが衝撃を受け怒って言う
「激しく驚きましたがっ!?これで満足ですかっ!?」
アースが言う
「そうか では 気が済んだ」
グレイゼスが怒りを抑えて思う
(本当に この悪魔はっ…!)
アースが言う
「それに…」
グレイゼスがアースを見る アースが言う
「例え私が ハブロスの名を失った 最下層の人間となろうとも 変わらずに 仲間であると …そうと言ってくれた お前の言葉は この様な嘘をついた事を 後悔するほどに 嬉しかったぞ …有難う マスターグレイゼス」
アースが微笑する グレイゼスが呆気に取られると アースが気を取り直して言う
「…そうだな?ならば そのお前の言葉を無碍にする訳にも行かない 折角だ 嘘ではなく この際 本当にそうと なってしまおうか?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「止めて下さいっ!ハブロス司令官っ!折角 アーヴィン君が取り留めてくれた 地位をっ!」
【 ハブロス家 離れの屋敷 】
ハイケルが言う
「そうか では その母上殿が ハブロス家の母屋に居ようとも ハブロス家の当主は やはりハブロス司令官で変わりは無いのだな?」
ファーストが言う
「うん そこは叔父上が 頑として譲らなかったからね?まぁ その他に関しては 母屋はもちろん そちらに付ける 警備の者や使用人の変更も 何もかも祖母上の言い成りだったけど」
ハイケルが言う
「そちらは 軍曹の普段の様子と 先程の様子からも 想像が出来る… では 具体的に作戦は?」
ファーストが言う
「作戦?」
ハイケルが言う
「そうだ どうやって ハブロス家の母屋を取り返し 且つ 軍曹やお前たちと言う ハブロス家の家族を 母屋から追い出す あのターゲットを 追放するつもりだ?ライヴィン?」
ファーストが苦笑して言う
「追放って… ハイケル 祖母上は 残念だけど 間違いなく このハブロス家の大奥なんだ だから このハブロス家に居る事は当然で… そもそも 祖母上だって 自他共に認める ハブロス家の家族なんだよ?ハイケル?」
ハイケルが言う
「では 何故 今まで ハブロス家に居なかった?」
ファーストが反応する ハイケルが言う
「ルメリア・クリス・マリシェッド・ハブロス… ハブロスの名を持ち 自他共に認める このハブロス家の大奥様であるのなら 何故今まで奴は ハブロス家の屋敷に居なかった?如何に家族の帰宅が分からないほど 巨大なハブロス家の母屋であろうとも 奴が存在していなかったと言う事… 帰宅していなかったと言う事は 私も知っている」
ファーストが言う
「うん… それは… …そうだね?ハイケルは家族だから話しても良いかな?祖母上は… ルメリア・クリス・マリシェッド・ハブロス は ヴォール・アーケスト・ハブロス… 僕らの祖父上の妻だけど その祖父上が ご病気になられた時に このハブロス家に見切りを付けて 当時の祖父上によって 負う物と思われていた ハブロス家の負債から逃れる為に ハブロス家を出て行ったんだよ… 叔父上や父上を残して」
ハイケルが視線を強めて言う
「家族を支える 父親が病気になった際に 家族を捨てて逃げる母親など… その様な者は 仲間とは …家族とは言わないのでは無いのか?」
ファーストが言う
「そうだね 僕も ハイケルの言う通りだと思うよ 現にそれに怒った父上が ハブロス家に有った祖母上に関するものを 全て燃やすように命じたんだって …だけど 祖母上からハブロスの名を取り上げる事は ハブロス家の当主となった 今でも 祖母上の夫である 祖父上のサインが無ければ出来ない事だから… それで 祖母上は 今も ハブロス家の 家族のままなんだよ」
ハイケルが言う
「そして 更には その事を理由に ハブロス司令官が 国外へ出ている間に ハブロス家へ戻って来たと言う事か?」
ファーストが言う
「戻って来たのは 父上が国外へ向われた昨日ではなくて 今日の… あのARTが壊滅したと言う情報が 発表された後だけどね?」
ハイケルが反応して言う
「ARTの その情報が発表された 後に…?それは どう言う事だ?」
ファーストが言う
「それはね ハイケル… 父上は歴代国防軍長ハブロス家の当主では在るけれど 現行は 国防軍の総司令官では無い それに… 元々父上は 歴代ハブロス家のファーストネームを継がない長男だから いつか ハブロス家の当主の座を 叔父上へ返納する事になる」
ハイケルが驚いて言う
「…っ …そうなのか?」
ファーストが言う
「うん それもあって 元々父上には 信用や信頼と言うものは無いんだ けど その父上が 前ハブロス家当主の祖父上と ハブロス家のファーストネームを持つ叔父上から それこそ信用や信頼を持って ハブロス家の当主を任されている… その上で 父上が 現在行っている アールスローン1の巨大事業 ARTが壊滅した …これが どう言う事か分かるかい?ハイケル?」
ハイケルが呆気に取られて言う
「信用や信頼が… 壊された?」
ファーストが言う
「父上が行っていた巨大事業が その状態で しかも その時に 当の父上は居ない …だから 祖母上は このタイミングでハブロス家へ戻って …遠回しに 父上の除名を …ハブロス家の当主の変更を 迫っているんだよ」
ハイケルが言う
「では ハブロス司令官をハブロス家から除名し その当主の位に… 軍曹を?」
ファーストが言う
「それは違うよ ハイケル」
ハイケルが言う
「違うのか?では… ルメリア・クリス・マリシェッド・ハブロスは ハブロス司令官の持つ ハブロス家当主の座を 一体 誰に与えようと?」
ファーストが言う
「ハブロス家の当主の座は 父上から 祖父上へ戻され その祖父上が 判断やサインはもちろん 当主の行いが出来ないとなれば 通常通り次の有権者へ …つまり 祖母上へ委譲されるんだ」
ハイケルが視線を細めて言う
「奴の狙いは それか」
続く
女湯
マリアが浴槽へ入って呆気に取られて言う
「わぁ…」
マリアが周囲を見渡すと ハイテク銭湯の情景が見える マリアが浴槽に浸かり周囲の説明モニターの通り 操作を行うと 浴槽がジェット風呂になる マリアが一瞬驚いた後楽しんで笑う
「わっ!?…うっふふっ」
マリアがシステムを楽しんでからハッとして頬を染めて周囲を見ると 小さな女の子が母親と一緒にマリアと同じシステムに笑っている マリアが呆気に取られた後微笑して湯に浸かると通信コールが鳴る マリアが反応して慌てて腕にしている銭湯通信機のスイッチを押すと ラミリツの声が聞こえる
「マリアさん 聞こえますか?」
マリアが慌てて言う
「あっ は、はいっ!?ラミリツさんっ!?」
マリアが思わず湯に深く浸かって周囲を見る
男湯
ラミリツがゆったり浴槽に浸かりながら言う
「何か分からない事がありましたら 遠慮なく そちらの通信機でご連絡を下さい」
ラミリツの腕に着いている銭湯通信機から マリアの声が聞こえる
『は、はいっ わ、分かりました けどっ!?え、えっと…っ!?』
ラミリツが微笑して言う
「それに こちらの施設は 最近アールスローンにて流行り始めた施設ですので もし 分からない事が有っても 不信に思われる様な事は有りませんので 周囲の者に聞いて頂いても大丈夫ですよ?」
マリアが言う
『な、なるほどっ それなら 安心ですっ!?』
ラミリツが苦笑した後 気付いて言う
「…あ、それからもちろん こちらの通信は 音声だけですので」
女湯
マリアが呆気に取られた後周囲を見ると ラミリツの声が聞こえる
『そちらの方も ご心配なく?』
マリアが苦笑して言う
「は、はいっ そうですよね?」
マリアがホッとする ラミリツの声が聞こえる
『では 旅の疲れを癒すと言う事で どうぞごゆっくり?上がる前にでも また連絡をします …あ、外の施設も 割と良いものもありますので 宜しければ そちらもご利用下さい』
マリアが言う
「はいっ 有難う御座います」
ラミリツの声がする
『はい それでは また後ほど』
通信が切れる マリアが軽く力を抜いてからゆったりと周囲を見てから微笑して言う
「気持ち良い… それに こんな大きなお風呂があるなんて …ウィザードさまも きっと驚くだろうな?」
マリアが軽く笑う 少し高い波が押し寄せる マリアが驚くと 女の子が面白がって波の出る装置を遊んでいる 母親がマリアへ向いて言う
「あらあら ごめんなさい …ほら 駄目でしょう マリアちゃん?」
マリアが呆気に取られて言う
「マリアちゃん…?」
母親が言う
「モニターの注意にあるように ちゃんと後ろを見てからにしないと… お姉さんに ごめんなさいは?」
女の子が言う
「お姉ちゃん ごめんなさい…」
マリアが微笑して言う
「ううん 大丈夫!私も…」
マリアが手をバスタブの淵に置くと 装置が起動して 波がマリアに掛かる マリアが呆気に取られると 一瞬の後笑い出す 女の子と母親が笑う
男湯
ジェットバスが起動して 隊員Cが堪能しながら言う
「あぁ~ 気持ち良いぃ~… こんなデカくて 気持ち良い風呂があるなんて…」
隊員Cがハッとして 湯に身を鎮めて思う
(…って ヤバイヤバイ あんま騒いでると 俺が 最下層の人間だって バレちまうかも…っ!?)
隊員Cが1人怪しい人物になって周囲を見渡している 隊員Cが自身の状態に気付かず ホッとして言う
「…って バレる訳ねぇか?1風呂5万も掛かる この施設を使う最下層の人間なんて 居る訳ねぇもんな?…って事は?」
隊員Cが浮かれて思う
(ひょっとしてっ!?俺って今 ラミリツ隊長やハブロス司令官みたいな 高位富裕層の人間に見られてるっ!?)
隊員Cが喜んで思う
(いやぁ~ っははは~?そうだよなー!?こんな 淵に足も届かない 風呂に入ってるんだから 何処からどう見たって!…こうなったらもうっ)
隊員Cが喜んで言う
「思いっきり堪能してっ …泳いじゃおうかなぁ~?なんてな~!?」
隊員Cが泳ぎながら思う
(風呂で泳げる日が来るなんて!)
隊員Cが言う
「いやぁ~ 最っ高だぜぇーっ!」
周囲のモニターに遊泳禁止のマークが出ている
男湯 リラクゼーションルーム
隊員Cの様子が見えている 男性客Aが呆れて言う
「うん?何だアレは?」
男性客Bが言う
「中位富裕層か そこらの使いだろう?共有施設へ連れて来るなら 最低限のマナー位は 躾けて欲しいものだ」
男性客Aが言う
「まったくだ… 初めは上位富裕層向けの施設だと思っていたが そうでもないのかもな?」
男性客Bが言う
「ああ、そうでもないらしい …見てくれ この楽曲ナンバー」
男性客Aが反応して言う
「うん?これは… 確か 少し前に騒いでいた 何とかキラーって 下賎な音楽バンドか?」
男性客Bが言う
「施設一押しの音楽に こんな音楽を掲げる位だ 上位富裕層向けの施設なんかじゃないんだろう?」
男性客Aが言う
「ああ、まったくだ 1風呂5万の湯を浴びる者の中で 誰が聞くと言うんだ 最下層の音楽など…」
男性客Aと男性客Bが去って行く その後ろでラミリツがマッサージチェアに寛ぎながらヘッドホンをしていて ヘッドフォンからデスメタミュージックが音漏れしている ラミリツが思う
(あぁ~ これこれ!ナックキラーが 特別に楽曲使用許可を出した1曲!CDにも入れられなかった お蔵入りのナンバーなんだって!それをあえて 上位富裕層向け施設に提供するって …相変わらず やってくれるよねっ!)
ラミリツが微笑して思う
(ナックキラー 最高っ!)
ラミリツが思わず腕を突き上げると ポールに当たって 良い音がする 周囲の人々が視線を向ける ラミリツがぶつけた手をさすって苦笑して思う
(イタタタタッ… 最高では有るけど やっぱ 外では…)
ラミリツが気を取り直して寛ぐ
女湯 脱衣所
マリアが呆気に取られる マリアがロッカーから服を取り出すと 1つずつラッピングされていて マリアが呆気に取られて言う
「え?凄い…っ お風呂に入っていた …たった 30分くらいの間に?」
マリアが服のラッピングを解いて 広げるとクリーニングされている マリアが軽く匂いを嗅いで言う
「わぁ… 良い香り …染みになりそうだった 汚れも取れてるし 綺麗にラッピングされてるだなんて…」
マリアがロッカーの中を覗いて言う
「一体 どんな構造に なっているんだろう?まるで…」
マリアが疑問して言う
「魔法…?」
マリアの後方のモニターに 瞬間クリーニング装置の説明が流れている マリアがハッとして言う
「…あっ いけない …早く お化粧しないと…っ」
マリアが急いで服を着ていると 荷物からファンデーションケースが落ちる マリアがハッとして言う
「あっ!」
ファンデーションケースが床に落ちると ファンデーションの粉が床に散らかる マリアが慌てて言う
「あぁっ 粉が床に…!どうしよう お店の方に …えっ?」
マリアの足元にお掃除ロボが颯爽と来て ファンデーションケースを持ち上げると 床の汚れを吸い取り マリアへ向いてファンデーションケースを持ち上げる マリアが衝撃を受け呆気に取られる
【 ART 司令塔 】
グレイゼスが資料を前に頭を抱えている ハイケルが疑問していると シュナイゼルがやって来て言う
「マスターグレイゼス中佐 ART館内及び正門前の瓦礫の撤去 それと、ART2マシーナリーの回収 完了致しました」
グレイゼスが言う
「了解… お疲れ様 シュナイゼル副隊長」
シュナイゼルが一瞬呆気に取られてから苦笑して言う
「お疲れ様です マスターグレイゼス中佐」
グレイゼスが溜息を吐く シュナイゼルが言う
「ハブロス司令官の居られない この間に 大変な事態に見舞われてしまいましたね?」
ハイケルが反応して言う
「そう言う事か…?」
ハイケルがグレイゼスを見る グレイゼスが言う
「あぁ まったくだよ… どうしろって言うんだ?この被害状況…」
ハイケルが言う
「そちらはもちろん 被害状況… 即ち このART本部の破損は 修理をすれば良いのだろう?」
グレイゼスが言う
「だから それを どうやってっ!?」
ハイケルが疑問して言う
「…どうやって とは?」
グレイゼスが頭を抱えて言う
「俺が聞きたいよ…」
ハイケルが言う
「それはどう言う意味だ?今までも このART本部の破損は… 確かに ここまで大規模と言うものは無かったが 部分的な破損ランクBランクは 度々確認がなされていた よって 今回も修理修繕は可能なものと推測される」
シュナイゼルが言う
「ハイケル少佐 そちらは このARTが それだけの力を有していたが故の 可能であって 現状では…」
ハイケルが言う
「現状では?…何か問題なのか?グレイゼス?」
ハイケルがグレイゼスを見る グレイゼスが言う
「ハイケル… このART本部は 一見は通常の… 国防軍で例えれば 中級クラスと言われる Cランク施設と変わらないが その中身は それこそ アールスローン国内 唯一の Sランク設備といわれた あの国防軍レギスト駐屯地を越える ダブルSランクの機材を整えた設備なんだ それを… 施設全体の80% ほぼ全てと言える規模で ぎりぎり修繕可能の破損ランクDランク …この修理をするって言うのが どう言う事なのかは… 言わなくても」
ハイケルが言う
「どう言う事だ?」
グレイゼスが衝撃を受け コンソールを叩き立ち上がって言う
「大金が掛かるってコトーっ!言わせないでくれよ…」
グレイゼスが力なく座る ハイケルが言う
「…そう言う事か しかし それならば問題ない グレイゼス 私は…」
グレイゼスとシュナイゼルがハイケルを見る ハイケルが言う
「ハイケル・ヴォール・アーヴァイン少佐だ あの軍曹の養子!1億だろうが10億だろうが 今の私に恐れるものは無いっ!」
シュナイゼルが苦笑して言う
「ざっと拝見した限りですが 私の試算に置いても このART本部の修理には 軽く1兆ほど掛かりますかと?」
ハイケルの意識が大打撃を受けて言う
「何っ!?」
グレイゼスが言う
「やっぱ そう 思う~っ?」
シュナイゼルが言う
「はい それ位にはなりましょう?…最も 私は こちらの施設の詳細を知らずに 上辺だけを見ての試算ですので 実際には そちらの倍の額にはなるのではと 予想が付きます」
グレイゼスが言う
「1兆以上だぞっ!?1兆っ!ゼロが 13個っ!ゼロが9個の1億でも 遠い物が その…っ!」
グレイゼスがコンソールに伏せて言う
「…どうやって 直せって言うの… このART本部…」
ハイケルが沈黙してから言う
「…かつて無い 金額による 問題が発生した」
シュナイゼルが苦笑して言う
「問題はそちらの金額も然る事ながら それほどの額を動かす 力です もしハイケル少佐が ハブロス家のお力を得て そちらの額を御用意出来たとしても それだけでは 事業は動きません 通常を逸する額面を動かすには やはり 相応の者で無ければ… そちらの依頼を受け取る側も 信用の持たれない相手とは 応じては下されないものです」
ハイケルが言う
「…では これほどの問題を お前は一体 どうするつもりだ?ART司令塔主任 現ARTのトップを任された マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが言う
「ああ それじゃ こんな時は… 困った時の神頼みっ!帰って来ていて下さい …アニキ様ぁあーーっ!」
グレイゼスが携帯の操作をしてモニターを見詰めるハイケルが言う
「帰って来ていて下さい… とは?」
シュナイゼルが苦笑して言う
「そちらの… アニキ様… とは?」
モニターに該当者無しのエラーが出る グレイゼスが言う
「…だよなぁ そう都合良く 戻って来ている訳が 無いか…」
グレイゼスが落ち込む ハイケルとシュナイゼルが疑問する
【 マリアの家 】
アースがハンカチで顔を拭うと 視線を下げる 視線の先に洗面台があり アースが蛇口を確認してから 横へ向く 視線の先に洗濯機と浴室が見える アースが思う
(こちらの国の科学は 低いと思われていた初見の報告とは異なり 我々の国と同等であるとの ラミリツ隊長からの報告だったが…?)
アースが考えてから言う
「…いや ここで リスクは犯すべきではないな?ともすれば…」
アースが洗濯機を見てから言う
「衣類のクリーニングに 5分以上も掛かるかもしれない… そして 何より…」
アースが浴室を見てから言う
「あちらの個室は何だ?」
アースが小さなプッシュボトルを自身へ吹き付けると 洗面室を出て行きながら言う
「清掃用具を洗う部屋だろうか…?いや それにしても …狭過ぎるな?」
キッチン
アースがティーセットを見て言う
「全自動タイプのコーヒーメイカーであれば 使い方は分かるのだが…」
アースが思う
(もちろん 見た事はある… むしろ 日々見慣れたものではあるのだが 触れた事は一度も無い… では…?)
アースがティーセットへ向けていた手を止めて言う
「いや ここも リスクは犯すべきではないだろう …増してこちらは 破損の可能性すら拭えない …となると?」
アースが室内を見渡した後
リビング
アースがソファへ座り言う
「やはり 大人しく こちらで レイ・アーク・フォライサーの戻りを 待つか…」
アースが正面に在るTVに気付くと 苦笑して言う
「あぁ そうだな メディアはアールスローンの物と ほぼ変わりないと… では こちらで 時間を潰すか?」
アースが周囲を見渡すと TVのリモコンがある アースがリモコンを手に取ると苦笑して言う
「これは 幼少の頃に見掛けた物に似ている 最も…」
アースがリモコンをTVへ向けて言う
「自身で ボタンを押したのは初めてだ しかし こちらならば 破損のリスクは無いと言って良いだろう」
アースがリモコンのスイッチを押すと TVが点く アースがTVを見る モニターに映像が映り ドラマがやっている TVから音声が聞こえる
『貴方は 私と仕事と どちらが大切なのっ!?』
『そんな事 言わせるなよ?お前に決まっているだろう?』
『嘘よっ 貴方はいつもそう言って 私の事はいつも 後回しにするじゃないっ!』
アースが呆れて言う
「そのお前と共に在る為に 仕事をしているのだろう?分からないのか?」
アースがチャンネルを変えると 砂嵐の次に ニュースが流れる
『…した …では 次のニュースです 先日の破局騒動から一転 3日後には別の女優と電撃入籍を行っていた事が判明した 人気ボーカリストのリッパー・ミンディン氏が…』
アースが衝撃を受け不満げに言う
「…いや やはり 彼女の疑いが正しかったのかもしれない… 少なくとも この国では…?」
アースがチャンネルを戻すと TVから音声が聞こえる
『…アキ?お前なのかっ!?』
『ヒロシどうしてっ!?今夜は遅くなるって…っ!?』
『俺は… これをお前に渡したくて… ずっと… お前を驚かそうと…っ それなのにっ!?』
『ち、違うのっ 彼はっ!』
『お前の方こそ 二股だったんじゃないかっ!?』
『だって… 貴方が… いつも貴方が居ないからっ!』
『うるさいっ こんなもの…っ 用意した俺が馬鹿だったっ!』
TVからガラスの割れる音がする アースが呆れて言う
「では やはり…?」
アースが顔を逸らして言う
「…いや、先程のニュースは兎も角 これは フィクションであって 現実を伝えるものでは… いや、ともすれば?これが こちらの国の問題なのか?ならばその解決方法は…?アールスローンの様に 一夫二妻制が導入されていない事などが 問題なのでは…?」
アースがチャンネルを変えると アニメがやっている 女の子のキャラが言う
『私は テン君が好きよ!』
『けど ミーちゃんは タケ君と一緒に登校してるじゃないか?』
『タケ君は幼馴染で お家も隣だから それで…』
『僕の家だって その隣なのに いつも来てくれないじゃないかっ 僕だって本当は…っ』
アースが呆れて言う
「ならば お前が迎えに行けば良いだろう?」
アースがチャンネルを変えると 音楽番組がやっていて 歌手が歌う
『とっかえひっかえ あっちもこっちも 男も女も ラブキュッキューッ!』
アースが衝撃を受けた後 頭を抱えて言う
「…結局 どちらなんだ?…いや そもそも」
アースがチャンネルを複数切り替えた後 溜息を吐いて言う
「何故 この国は これほどまでに 政治的な話をしない?ドラマもニュースも音楽も… 果てには 子供向けのアニメまで 男女の恋愛にしか興味が無いと言う事なのか?…いや もちろん そちらを否定するつもりは無いが…」
アースが時計を見てから言う
「夕刻の5時前と言うのなら 行く行くは家族が集う時間とも言えるだろう?それならば… 複数チャンネルがあると言うのなら せめて 1チャンネル位は…」
アースがチャンネルを回すと ニュース画面でレポーターが言う
『…最後に 先の大事故の際 就任し 瞬く間に各街や村の復興に貢献した リンド・バーグ首相ですが』
アースが反応して言う
「おおっ これは!?我々も関わった あの復興支援作戦の際に こちらの国の代表であったと言う ラミリツ隊長からの任務報告書にもあった 内閣府首相 この国の代表とされる リンド・バーグ氏 この人物が!」
アースが思う
(よしっ これは 思わぬ所で有益情報を得られたぞ!報告書では載せる事が叶わなかったのであろう その者の顔や姿を 映像で確認が取られたとは)
アースが微笑して言う
「これだけでも この長い待ち時間を過ごす価値は あっ…」
レポーターが言う
『先日 週刊誌にて取りだたされた 不倫疑惑及び過去の脱税問題により 支持率が急落していると…』
アースが衝撃を受けて言う
「…ってないのか?」
アースが思う
(しかも 不倫疑惑で?)
映像の中で バーグが言う
『過去の脱税問題は もうとっくに解決しているっ!私が不倫!?それは…っ 不倫ではなくっ 私は 彼女の他にも 複数の女性と もちろん本気ではなく 遊びの一環としてっ 離婚などは考えていないっ』
押し寄せる記者たちが言う
『奥様とは 別居状況であるとの噂ですが!?』 『奥様は 正式に弁護士を雇ったと言う情報も在りますが!?』
アースが溜息を吐いて言う
「…後日 再びこの国と 共同作戦を行う際には 新しい代表の者の名を 伺う事となりそうだ」
アースがTVを消すと 時計を見上げて言う
「残す時間は… 予定であっても 後1時間以上か…」
アースが視線を伺わせながら思う
(少し外を歩き 直接 こちらの国の情報収集を行うか?…いや 先程のメディアや ラミリツ隊長からの任務報告書 そして マリア殿から 伺える様子からしても 少なくとも この姿の私が 今 外へ出るとなれば 人目に付く筈… 過去の事とは言え この国にとっての アールスローンは良い印象が強いものと思われる ならば…)
アースが言う
「余計なリスクは 犯すべきではないな… やはり このまま 待つか」
アースが沈黙してから 困り汗を掻いて言う
「…暇だ」
アースが頭を抑えて思う
(疲れてはいるのだが 今 ここで 気を抜いては… とは言え こうも 手持ち無沙汰となっては 限界が…)
アースが視線を泳がせると反応して顔を向け 立ち上がって近付いて行く アースが一度視線を向け 別へ移した視線の先 出窓に写真が飾られている 写真は幼いマリアがマリア父の膝の上に座っていて マリア父がクラシックギターを持っている アースが言う
「これは…?」
アースが思う
(幼い頃のマリア殿だな?そして 一緒に映っている こちらの男性は… マリア殿の父親か?…そして)
アースが写真へ向けていた視線を別へ向ける 視線の先に ギターケースが置かれている
【 アールスローン 銭湯 】
サロン
タピオカ入り飲料がグラスに入れられて出される マリアが不思議そうに見て言う
「この黒いのは…?」
ラミリツが言う
「タピオカと言う 植物の根に在る成分から造られた デンプン質の物です 食感が良いので 甘いデザートや飲み物などに使われる事が多い物ですが どちらかと言えば 味よりも 食感を楽しむものですね?」
マリアがストローを吸ってタピオカを食べると 一瞬驚いた後微笑して言う
「あ、ホント… 特に味は無いみたいですけど 飲み物なのに食感があって 楽しいですね?」
ラミリツが微笑して言う
「お気に召して頂けたなら 良かったです」
ラミリツがタピオカ入り飲料を飲む マリアがもう一口飲むと 微笑して言う
「アールスローンは 本当に 色々な物が私たちの国の先を行っていて 先進的な国ですね?」
ラミリツが言う
「そうですか?私はそれほど マリアさん方のお国と 変わらないと思っていたのですが… あ、でも そうですね?以前マリアさんが仰った様に 機械的な発達は 先を行っているかもしれません」
マリアが言う
「はい この施設もそうですけど さっきも 私 更衣室でお洋服がクリーニングされていて ビックリしちゃいましたし それから 不注意で物を落としてしまったのですが それで汚れた床を お掃除の機械が来て お掃除だけでなく 私が落としたものを拾い上げてくれて… 本当に 何もかも ビックリです」
マリアが苦笑する ラミリツが微笑して言う
「この施設に在る機械は いろいろな会社の最新技術の物が 自社の宣伝も兼ねて 使われているので 真新しい物や 特徴的なものが多いかもしれませんが… この施設その物と同じで 遊びや宣伝の意味合いが強いです ここでは使われていても 一般家庭で 実際に使われている物は ごく僅かですし …ですから マスター …あ、いや サキシュ隊員も 使い方が分からなかったみたいですよ?」
マリアが気付いて言う
「あ、そうなのですか?では… アールスローンの一般のご家庭では 例えば… お掃除のあの機械や 泡や波の出るお風呂は無いのですか?」
ラミリツが言う
「一般の家庭では… そうですね?自動で掃除をするロボットはありますが 汚れを感知して 自分でやって来たり 物を拾い上げる機能などは 実装されていないです それから 泡や波の出るお風呂は 特別 そう言う物を好む一部の方が 個人的に使っている事はあるかもしれませんが 普通は無いですよ?」
マリアがホッとして言う
「そうなのですか それなら… 少しホッとしましちゃいました!」
ラミリツが微笑して言う
「それは良かったです それから ついでに言うなら入浴施設も そう言った遊びや宣伝の無い 一般的な施設が主流ですね?しかし、今回は …以前に1度 入った事のある こちらの施設を選びましたが もし ご不便があったとしたら 申し訳ありませんでした」
マリアが慌てて言う
「あぁっ いえっ!?驚きはしましたけど…っ とっても 楽しかったですよっ!?」
ラミリツが微笑して言う
「それなら 良かったです」
ラミリツが思う
(本当は ナックキラーのお蔵入りナンバーを聞ける この施設を使えるチャンスだと思って 連れて来ちゃったからね?…それと …むしろ知らないんだ 僕 …普通の銭湯の使い方って)
ラミリツが苦笑する マリアが飲み物を飲み干して言う
「それから アールスローンは機械だけでなく 甘味も先進的ですね?以前のジェラートも とっても美味しかったですし この飲み物も?」
ラミリツが気付くと微笑して言う
「では まだ時間もありますし 本当なら 夕食へお誘いをしたかったのですが 確か マリアさんは この後お国へ戻って ウィザードさまへ お食事を用意しなければいけないのですよね?」
マリアが言う
「はい、そうなんです ウィザードさまのお夕食は いつも割と早い時間なので…」
マリアが携帯の時計を確認してから 窓の外の様子を見て苦笑して言う
「こちらのアールスローンで生活をしていたのなら もうとっくに 支度をしている時間です それで大体6時頃には 食べられるようにと」
ラミリツが時計を見てから言う
「そうですか では 予定通りお国へ帰られるとしても お夕食までは後1時間以上… それなら?」
ラミリツがメニューを見せて言う
「軽く1品 デザートでも食べられますか?」
マリアが反応して言う
「え?あ… でも」
ラミリツとマリアがメニュー表を見ている 隊員Cが少し離れた所で メニュー表に顔を隠しつつ言う
「…さっきっから すげぇ 入り辛ぇんだけど?こりゃもう…」
隊員Cがメニューを広げて言う
「こっちは こっちで 1人で何か食って待つしかねぇよな?えっと… それじゃぁ?」
隊員Cがメニューを見て衝撃を受けて言う
「…げっ!?オレンジジュース1杯 1000とか…っ マジ有り得ねぇから…っ」
隊員Cが表情を顰めて 視線を逸らすと そこにある水を飲み干す
【 ART 出入り口前 】
グレイゼスが言う
「では 皆 今日は本当にお疲れ 今後の事も含めて また 詳しい事は明日伝達をする …あー ART2は 明日は休暇だったか?それじゃ…」
シュナイゼルが言う
「いえ 予定では休暇と在りましたが こちらのART本部の状況と 今後に掛けての そちらを確認する為にも 明日はART2全員 出隊をする事とさせて頂きました」
グレイゼスが言う
「あぁ そう?…まぁ そうだよな?」
グレイゼスが思う
(そうだよな 本部の状態と言い 指揮系統と言い… ARTがこんな状況じゃ とても ゆっくり休暇なんか取れる筈も無い)
グレイゼスが言う
「分かった それじゃ… 詳しい事は また 明日!だから… 今日は取り合えず 皆 これで帰宅して ゆっくり休んでくれ 一時解散!」
皆が敬礼して言う
「「了解っ 中佐!」」
皆が解散する グレイゼスが息を吐く ハイケルが振り向いて言う
「…それで?」
グレイゼスが言う
「ああ、こうなったら 何が何でもARTを… 先ずは 概観だけでも 修復しないと 隊員たちも 安心して休暇を取られないだろう?」
ハイケルが言う
「それはそうかもしれないが それを行うには マシーナリーや あのウィルシュよりも強敵である 1兆を越える額面と それを使用するに相応しい力が 必要と言う事だった筈だが そちらを得る事が出来るのか?」
グレイゼスが言う
「それはもちろん マスターの名を持ち 最下層の人間である俺には 到底 出来る事じゃない」
ハイケルが言う
「では?」
グレイゼスが言う
「そして このARTの創立者にして 所有管理者でもある ハブロス司令官が…」
グレイゼスが携帯を操作して着信を待つと 通話が繋がりガイダンスが流れる
『お掛けになった番号は 現在電波の届かない所に居るか 電源が入っていない為…』
グレイゼスが携帯を切って言う
「まだ戻っていないとなれば…」
グレイゼスが歩き出す ハイケルが追いながら言う
「やはり 現状は そのハブロス司令官から 管理を任された お前が対処を行う他に無いと思われるが?」
グレイゼスが言う
「とは言ったって 俺はそのハブロス司令官とは違って 1兆を越える財力も それを扱う力も無い訳だから こんな時は」
ハイケルが言う
「こんな時は?」
グレイゼスが言う
「ハイケル 現時刻は17時32分だ …この時間は どちらに居られるかね?」
ハイケルが言う
「どちらに居られる… とは?一体?」
グレイゼスが苦笑して言う
「まだ分からないのか?このARTは 言うなれば ハブロス司令官の所有物だ そのハブロス司令官は 超高位富裕層ハブロス家のご当主様 となれば 当然 このARTはハブロス家の資産と言う事になる それなら?現状 このアールスローン国を出て 連絡も付かない状態のハブロス司令官が 管理を出来ないとなれば このARTは誰の物になる?」
ハイケルが言う
「ハブロス司令官は 常に 自分に何かあった場合には ハブロス家を初め 自身の持つ全ての権限を…」
ハイケルが反応する グレイゼスが言う
「そう言う事」
ハイケルが言う
「では …軍曹へ?」
グレイゼスが言う
「施設の修繕なら 財力も権力も あのアーヴィン君であれば 問題は無いだろう?財力は ハブロス司令官の時と同じく ハブロス家からのものになるし それを使用する権力も十分!何しろご本人の意識は兎も角 地位は超高位富裕層 名誉で言えば 現在はARTの司令官と言うだけの ハブロス司令官を越える 現国防軍総司令官にして 国家家臣防長閣下だ」
ハイケルが言う
「そうだったな すっかり 忘れていた」
グレイゼスが衝撃を受けてから言う
「忘れてって… まぁ 気持ちは分かるが …それで?」
ハイケルが疑問して言う
「それで? …とは?」
グレイゼスが車へたどり着くと 運転席の前で言う
「もちろん その ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の 現在の居場所さ?現時刻は… 先ほどから1分30秒経過の 17時34分02秒 この時間と言うと?防長閣下総司令官様は 国防本部か?それとも 誰かさんみたいに もうとっくに お屋敷へお戻りか?」
ハイケルが助手席側に立って言う
「そうだな それは 俺には分からないが?」
グレイゼスが言う
「は?分からないって…」
ハイケルが言う
「以前であれば 俺は国防軍レギスト機動部隊の隊長であり 軍曹は 私の部下であり同じ部隊の副長であった事から 私は 奴の居場所を把握していたが 現在の私は 国防軍ではなく ARTの第一機動部隊隊長だ そして 現状 部下でもなく 同部隊の隊員でもない以上 私は奴の居場所を確認する事はしていない」
グレイゼスが言う
「それはそうかもしれないが… アーヴィン君は お前の養父で 同じハブロス家の家族だろう?オマケに毎晩 夕食も一緒に食べている程だったら このくらいの時間に何処にいるかってコト位は… 少なくとも 屋敷にいるかどうかは 分かるだろ?同じ屋根の下に住んでいるんだから?」
ハイケルが言う
「同じ屋根の下にはいるが 俺と軍曹の部屋は 直線距離にして200メートル以上離れている 従って 俺は 軍曹が何時 屋敷へ戻って来ているのかは 分からない」
グレイゼスが衝撃を受けた後言う
「同じ屋根の下で 200メートル以上… そうか 分かった それならそうと 仕方が無い …それに そうだな?事も大事だし 直接行くより 先に連絡をしておいた方が 良いだろう」
ハイケルが言う
「直接行く?これから軍曹の下へ行くのか?…帰宅をするのでは?」
グレイゼスが言う
「俺だって 出来ることなら帰宅したいよ?けど このARTの緊急時に そうも言ってはいられないだろう?最低でも 今後の目途になる様なものでも 確認してからじゃないと…」
グレイゼスが携帯を操作しながら言う
「…こちらART司令塔主任 マスターグレイゼス中佐だが 国防軍総司令官 ヴォール・アーヴァイン・防長閣下へ 繋いでもらいたい …まだ そちらに居られるだろうか?」
ハイケルが疑問して言う
「どちらにしろ 軍曹へ繋ぐというのなら 直接携帯へ連絡をすれば良いと思うのだが… 駄目なのか?」
グレイゼスが反応して言う
「…うん?そうか もう そちらを後に… では ご帰宅… いや、ハブロス家のお屋敷へ向われたと?」
携帯から秘書の声が聞こえる
『はい 総司令官は既に 本部を出られておられます どちらへ向われたかは 分かりかねますが 急を有する事態で御座いましょうか?』
グレイゼスが言う
「あ、いや… うん 急用ではあるのだが 緊急と言う事ではなく 事態は既に沈静している 従って連絡だけでもして置きたいんだ だから この電話を アーヴィ… いやっ 国防軍総司令官 ヴォール・アーヴァイン・防長閣下へ 繋いでもらいたいのだが?」
秘書が言う
『では 内容の方を ご確認させて頂けますでしょうか?』
グレイゼスが呆気に取られて言う
「え…?」
ハイケルが反応する 秘書が言う
『現時刻は 既に 国防軍総司令官の業務時間を終了しておりますので 防長閣下への緊急連絡は そちらの内容を元に こちらで 判断をさせて頂きたいと存じます』
グレイゼスが困って言う
「あ… えっと…」
秘書が言う
『もしくは 事態は既に沈静しているとの事ですので 明日の業務時間内に 改めてご連絡を頂くと言う事でも構いませんが そちらの際に置かれましても 総司令官へお繋ぎする際には ご用件の概要をご説明頂く事とされております』
グレイゼスが言う
「…そうか 分かった それなら …また後日 改めて連絡をする」
秘書が言う
『畏まりました ご連絡が御座いました事は お伝えをしておきます』
グレイゼスが言う
「ああ、それじゃ…」
グレイゼスが通話を切る ハイケルが言う
「また後日 改めて連絡を… では 明日の早朝に 連絡をすると言う事か?」
グレイゼスが車に乗り込む ハイケルが助手席に乗り込むと グレイゼスが車のエンジンを掛けて言う
「いや、事態は沈静しているとは言え 明日の朝までなんて 悠長に待っては居られないんだ だから 少なくとも内容だけでも 今日の内に伝えて置かないと 明日動かれないだろう?」
ハイケルが言う
「それはそうだが …では?」
グレイゼスが言う
「だから こうなったら もう …直接向うしかない!」
ハイケルが衝撃を受けて言う
「直接だと?では… まさかっ?」
グレイゼスがハイケルを見て笑んで言う
「有難うな?ハイケル?その為に お前も この車に乗ってくれたんだろ?」
ハイケルが言う
「俺は お前が 帰宅するものと判断をして…っ ハブロス家へ向うというのなら 俺は降り…っ なっ!?」
グレイゼスが車を発車させる ハイケルが言う
「車を止めろ グレイゼスっ 俺は ハブロス家へ向かうつもりはっ!」
グレイゼスが言う
「まぁまぁ?ハブロス家の ご当主様を巡る 家出なら 昨日1日やってもう十分だろう?大体 あのアーヴィン君が ハブロス司令官を ハブロス家から追い出すなんて事 する筈が無いんだから そうとなれば 今は このARTの緊急事態だ 使えるものは… 全て使う!これぞ アース・メイヴン・ハブロス司令官のART主戦法!ってな?」
ハイケルが言う
「だからと言って 仲間を…っ 俺をハブロス家へ入る為の 鍵として使おうとは…っ この… 悪魔の司令塔主任がっ!」
グレイゼスが笑んで言う
「にっひっひっ」
車が走り去る
【 帝国 】
高級車が到着すると 使用人がドアを開く マリアが降りて使用人へ頭を下げている 使用人が微笑して頭を下げると ラミリツが降りてその様子に微笑した後言う
「では こちらへ出た時と同じ様に 今から戻れば 丁度 良い時間になると思いますので」
隊員Cが降りると 自分が降りてきた高級車を振り返り まじまじと見る マリアが言う
「あ、はいっ!では また あの通路を?」
ラミリツが言う
「はい、恐らく こちらの門を入れば 同じ様に… うん?」
ラミリツが向かおうとした先 門の中からエルムαが出て来る ラミリツが微笑して言う
「ああ、エルム 丁度良かった そろそろハブロス司令官が 戻って来ると思うから 玉座の下へ向いたいのだけど?」
エルムαが言う
『必要ない』
マリアとラミリツが疑問して ラミリツが言う
「え?それは…?」
エルムαが言う
『到着 …だ』
ラミリツが言う
「到着?…ってっ!?わぁあっ!?」
ラミリツが避けると エルムαが吹っ飛んで来たアースを受け止める ラミリツが驚いて言う
「ハブロス司令官!?」
レイが現れて言う
「到着ーっ!マリアの前に到着だぞー!マリアー!」
マリアが言う
「ウィザードさま!」
ラミリツがマリアとレイを見てから アースへ向いて言う
「何だ ここへ到着する事も出来たの?以前と同じで 出発した あの頂上に戻って来ると思ってたんだけど?」
アースが言う
「あれは お前たちがその場所に居たから そちらへ向ったと言うだけで 風の力を操る レイ・アーク・フォライサー殿の力であるなら こちらの国の何処へでも 直接 到着する事が可能らしい」
レイが言う
「何処へでもじゃないぞ?ちゃんと 以前の内に!」
アースが言う
「ああ、以前の内に 訪れた事がある場合 もしくは 意識を留めた相手が居る場所であるのなら …と言う事だったな?」
レイが言う
「ああ!そうだぞ!それから マリア!俺たちが 居なかった間に 神の審判も消えてたからさ!これなら 今夜は安心して マリアのお家で眠れるぞ!マリア!」
マリアが言う
「そうですか それは良かったです!」
ラミリツが疑問して言う
「神の審判って…?」
アースが言う
「我々の国でも以前発生した あの空から注がれていた光の事だそうだ」
ラミリツが反応して言う
「え?それじゃ…っ!?」
アースが言う
「彼らの国にも発生し レイ・アーク・フォライサー殿は 睡眠時のそちらを回避する為に マリア殿と共に 一時的に エリックアーベストらヴァンパイアの国へと 退避していたらしい」
ラミリツが驚いて言う
「えっ!?彼らの国へっ!?」
マリアが言う
「はい 夜の間と その翌日 少し街の様子を伺って それで 帰る筈だったのですが その帰りのゲートを抜けた時… ちょっと違う場所に出てしまって その後も色々あって 結果的に その… ラミリツさんたちとお会いした 神様の国へと ゲートが繋がってしまって…」
ラミリツが言う
「ゲートが繋がって?それで マリアさんは あの国に …神の国に居たのですね?」
マリアが言う
「自分たちの国へ向かうつもりで ゲートを抜けたのですが 何故かあちらへと …あ、それはそうと 改めて 本当にお世話になりました ラミリツさん ハブロス司令官さん」
マリアが頭を下げる ラミリツとアースが微笑し ラミリツが言う
「どう致しまして それに…」
アースが言う
「我々も 貴方方のお力をお借りし 助けられた 貴方方へ敬意を称す」
隊員Cが1人離れていて 呆れ汗を流して言う
「お… 俺は…?」
レイが言う
「そんな硬い事は良いじゃないか それに マリア!今日の友が 明日のナントカって言うし 過ぎた事は良いから 俺は早く帰って マリアの作る夕食が食べたいよ マリア!」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「今日の友が… では無く 昨日の敵が今日の友 …ですよね?」
ラミリツが思う
(そこを 逆にしちゃ 駄目だから…)
マリアが言う
「そ、そうですねっ!?今日の友は 明日も それ以降も 友ですからっ!?…ね?ラミリツさん!?」
ラミリツが呆気に取られた後微笑して言う
「はい マリアさんっ」
マリアとラミリツが微笑を合わせて言う
「「またお会いしましょう!」」
マリアとラミリツが微笑む
マリアとレイが風に消える アースが消えた2人が居た場所を見てから 軽く息を吐いて言う
「任務完了か…」
アースが携帯を操作する ラミリツがアースへ向いて言う
「もう 何処から何処までが 任務だったのか 分からないけどね?」
アースが携帯の着信を確認してから言う
「異国の者が居る限りは 任務中だ」
アースが通話を切る ラミリツが不満げに言う
「その言い方は無しでしょ?マリアさんと マリアさんのウィザードさまは 仲間じゃない?」
アースが言う
「今日の友が 明日の敵になる可能性のある 相手だ …少なくとも 現状では その様に判断をしている」
ラミリツが言う
「それって… それじゃ 本心では仲間だと 思っていないって事?」
アースが言う
「目的を同じくする仲間ではあるが 本心をさらせる相手では無いと言う事だ …そちらは お前も同じだろう?ラミリツ隊長?」
ラミリツが言う
「え?僕はそんな事…?」
アースが言う
「話し言葉を変えると言うのは 礼儀作法の以前に 相手を警戒して居ると言う その表れだ」
ラミリツが衝撃を受けて言う
「それはっ 違うよっ!?僕は 礼儀作法はもちろんだけど アレは…っ」
隊員Cが言う
「ホント マリアさんと話してる時のラミリツ隊長って 別人みたいですよね?」
アースが言う
「政府の教育施設では 国防軍とは異なり 徹底的に言葉を教え込むからな?そちらの影響だと言われれば 分からなくは無いが… お前の場合は その落差が有り過ぎるだろう?どちらを近付けろとは言えないが アレではマリア殿も何時まで経ってもお前へ対して気を抜かれない 友人になろうと思うのなら 少しは近付けたらどうだ?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えっ?…ハブロス司令官 意外と そう言う話もする人だったんですね?」
アースが衝撃を受けて言う
「うっ… いや そうでもない… 今のは 少々そちらに関連した 話題を目にしていた影響が…」
ラミリツが困り苦笑して言う
「うん… それは …僕も分かってはいるんだけどさ …でも どうも上手く行かないんだよね?どうしても…」
隊員Cが言う
「まぁ 分かりますって?ラミリツ隊長と同じ ART2の皆さんも 食堂で一緒に飯食ってても 堅いじゃないですか?」
アースが言う
「これほどでは無いだろう?」
隊員Cが言う
「ラミリツ隊長の場合は むしろ 野郎同士の会話では 砕けてますけどね?」
ラミリツが一度アースを見てから言う
「僕は昔から 言葉は駄目で 良く注意されてたんだけど それで ある時 神父様に」
隊員Cとアースがラミリツを見る ラミリツが言う
「女性と話す時には 自分の母上と話すつもりで 話しなさいって言われたの …だから それでかな?」
ラミリツが苦笑して言う
「任務でマリアさんたちの国へ行って 初めてマリアさんに会った時 どう接したら良いか分からなくってさ?咄嗟に 神父様の言葉を思い出して それで… それを実行していたら 何か 戻せなくなっちゃって?それに 今更 変えるって言うのも 変じゃない?」
隊員Cが言う
「自分の母親と話す様にって… 俺 母親と話す時も このまんま… つーか いつもと変わりませんけど?」
ラミリツが苦笑して言う
「僕の母上は 僕を産んで 死んじゃったから 実際に話した事は無いんだけど… だから 余計にかな?」
隊員Cが言う
「そうだったんすか そう言う事なら… 確かに 友達の母親なんかと話す時は 敬語を使いますからね?んな 感じッスか?」
ラミリツが言う
「あぁ、そうだね?そんな感じかな?ART2の皆も 他の隊員の母上様と話す時は 僕がマリアさんと話す時の言葉と 同じだったよ?」
隊員Cが言う
「なら うちのART1の連中は やっぱ あそこまで硬くはなりませんから …そう言う事っすね?分かって来ましたよ?」
ラミリツが軽く笑って言う
「ふふっ そうだね?そんな感じかも?」
ラミリツが思い出して言う
「あ、それはそうと マリアさんたちは 無事戻っただろうし 僕らも?」
隊員Cが言う
「そうっすね?これでやっと 任務完了っすよ?」
ラミリツが言う
「うん!そうだよね?…あ、良ければ 家まで送らせようか?」
隊員Cが喜んで言う
「えっ!?良いんすかっ!?」
ラミリツが言う
「良いよ?この車だって サキシュ隊員の携帯を 借りられたお陰で 呼べたんだもん?僕の携帯のバッテリー 切れちゃったから」
隊員Cが言う
「俺は結局 あっちで携帯の電源入れたのは 1、2回程度でしたから まだバッテリーは50%以上残ってますよ?」
ラミリツが軽く笑って言う
「お陰で助かったよ 有難う」
隊員Cが言う
「いえ!俺の方こそ 一生縁の無い風呂代 払ってもらいましたから!」
隊員Cが思う
(そして一生縁の無い 1杯800取られる水を うっかり飲んじまったと言う…)
ラミリツが微笑して言う
「別に構わないよ?何なら また今度 次は ARTの仲間たちも一緒に行くって言うのは?もちろん 施設の使用料は僕が払うし?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「マジですかっ!?ARTの皆の分までっ!?…さ、流石…」
ラミリツが微笑して言う
「あ、でも あんまり大勢で行くと 迷惑になっちゃうから …数人で?回数分けて行こうか?」
ラミリツが思う
(そうすれば あそこでしか聞けない ナックキラーのお蔵入りナンバーを 何回も聞けるもんね?)
ラミリツがアースへ向いて言う
「あ、ハブロス司令官も 迎えを待つ位なら ハブロス家へ送らせるよ?一緒に乗って行く?」
アースが言う
「いや 折角のお誘いだが 既に近くまで来ているとの事だ 私に構わず お前たちは先に行ってくれ」
ラミリツが言う
「…そう?なら…」
アースが言う
「任務は完了 そして アールスローンへ戻ったとあれば こちらでまで お前たちの護衛は必要ない …お疲れ ラミリツ隊長 マスターラキンゼス隊員」
ラミリツが言う
「あぁ… まぁ そうだよね?なら… お疲れ様!ハブロス司令官!また明日 ARTで!」
アースが言う
「ああ」
隊員Cが苦笑して言う
「お、お疲れ様でした ハブロス司令官 …残念ですが また 明日 ARTで…」
アースが言う
「私との別れを それほど残念に思ってくれるとは これでは 次の任務へも マスターラキンゼス隊員を 指名するしかない様だな?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「そっちに 残念じゃないですからっ!」
アースが苦笑する
ラミリツと隊員Cの乗った高級車が発車して行く
ラミリツがミラーに見えなくなったアースの姿に 一度視線を後ろへ向けると言う
「…何か 変な感じ?」
隊員Cが言う
「まぁ 普通は 上官を差し置いて 部下が先に帰るって事は 無いっすからね?」
ラミリツが言う
「そうじゃなくって… ハブロス司令官なら そう言う事は 基本 気にしないと思う …だから」
隊員Cが疑問して言う
「なら そう言うんじゃなくって…?何か 変でした?」
ラミリツが苦笑して言う
「…うん でも もしかしたら ハブロス司令官も 少し疲れているのかもね?僕らは この2時間 ゆっくり休んで来たけど ハブロス司令官は マリアさんたちの国へ行って …だからと言って 向こうで やる事は無かったかもしれないけど 僕らみたいに ゆっくり休んでは居られなかったと思うから」
隊員Cが言う
「…まぁ そうっすね?俺も もし今回の任務 ラミリツ隊長やハブロス司令官の2人が居なくて 俺1人で行って来いって事だったら それこそ 夜中だって 1人じゃ眠れなかったかもしれませんし?」
ラミリツが言う
「あ… うん そうだよね?…やっぱ 一緒に戦う仲間ってさ?大切だよね?」
隊員Cが苦笑して言う
「そうっすね?ラミリツ隊長は いつも ARTで一緒に居て そう思ってますけど ハブロス司令官も… まぁ 相変わらず 俺の扱いは酷いですけど やっぱ… なんっつーか …あー言う時に居てくれると 滅茶苦茶 安心出来ます」
ラミリツが呆気に取られて思う
(え?それじゃ…)
ラミリツが苦笑して言う
「…うん 僕もそう思う」
隊員Cが笑んで言う
「はいっ」
ラミリツが思う
(うん やっぱりそうなんだ?それこそ マスターラキンゼス隊員と僕の2人だけだったら 僕も… あんなに安心は出来なかったと思う …いや それ所か …怖かったと思う …以前のマリアさんたちの国へ行ったのとは違う 僕らは)
ラミリツが手を握り思う
(神の国へ… 僕らの敵の国へ偵察に行っていた …今思い返してみれば 凄く怖い 実際 あの メリ・アーク・フォライサーと言う 女性のアークにも会ったし 僕は… 敵わなかった …だけど それでも 怖くなかった 立ち向かうことが出来たのは…)
ラミリツが顔を上げる 隊員Cが疑問して言う
「ラミリツ隊長?」
ラミリツが微笑してから言う
「…あっ そうだ それじゃさ?今度 あの入浴施設に行く時は」
隊員Cが言う
「はいっ 何時にします!?まぁ 他の連中に話すのが先ですけど?」
ラミリツが笑顔で言う
「ハブロス司令官も 誘ってみようか?」
隊員Cが衝撃を受けて言う
「えぇええっ!?」
ラミリツが言う
「それこそ 裸の付き合いって言うの?一緒に湯を浴びたりすればさ?今よりもっと 仲間意識も高まると思うし マスターラキンゼス隊員も嬉しいでしょ?」
隊員Cが慌てて言う
「いやいやいやいやいやっ!?ちょっと待って下さいっ!ラミリツ隊長っ!流石に それはっ!?」
ラミリツが思い出して言う
「うん そうだよ!そうしよう!?ハブロス司令官は 入浴が好きだって噂 聞いた事あるし 現に ハブロス司令官に勤務時間外に連絡するとさ?入浴中だから折り返しとか 時間を改めてとか 断られる事多いんだよね?だから」
隊員Cが言う
「いやっ!それはマジで 勘弁して下さいっ 中休憩だけでも 一緒に過ごすのは限界なんですから その上 入浴施設なんてっ!?もう俺 2度と 浴槽で泳ぐ事はしませんからっ ですからっ!」
ラミリツが笑って言う
「っはははっ 冗談だよ?」
隊員Cが衝撃を受け 溜息を吐いて言う
「えっ!?はぁあ~ 何だ冗談か… 勘弁して下さいよ マジで…」
車が走り去る
アースがラミリツたちの車が見えなくなるのを確認すると言う
「…なるほど?こちらが顔を拭う程度が やっとであったと言う時に あいつらは この場所からも近く ナックキラーのお蔵入りナンバーを提供した あの入浴施設で時間を潰していたのか まったく… 羨ましい限りだ」
アースが軽く息を吐いて クリーニングスプレーを吹きかけると立ち去る
【 ハブロス家門前 】
グレイゼスの車が止まると グレイゼスが運転席から門を眺めて言う
「ひぇ~… 俺の愛車が可愛そうに思えるほどの ご立派な門です事…」
監視カメラが 車内のチェックをする グレイゼスが苦笑して言う
「目に見える 映像カメラの他… 生体感知システム 赤外線センサー 金属質量探知機… 流石は 超高位富裕層ハブロス家 そして…」
監視カメラがハイケルの顔を映す ハイケルがカメラへ向くと 門が開かれる グレイゼスが言う
「それらの防犯システムの数々を 顔パスとは …やってくれるねぇ?ハイケル・ヴォール・アーヴァイン様?」
ハイケルが言う
「その為に お前は俺を連行して来たのだろう?」
グレイゼスが言う
「連行って…」
グレイゼスが車のギアを入れて言う
「そんな物騒な事 お屋敷の人の前では言ってくれるなよ ハイケル?人さらいか何かと勘違いされて それこそ俺が政府警察に 連行されたらどうするんだ?」
ハイケルが言う
「そうと言うのなら 既に 遅い こちらの門には お前の言い当てたセンサー類の他に 声紋鑑識システム 及び 高感度収音マイクが設置されている」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「先に言ってくれるっ!?」
グレイゼスの車がハブロス家へ向う道を行く
屋敷前
グレイゼスの車が到着する 助手席のドアがフットマンによって開かれる グレイゼスが運転席から苦笑して言う
「あぁ… これまた 俺の車には 一生縁の無いだろうと思われていた光景が…」
ハイケルが降りるとフットマンを見て疑問してから 門前の使用人を見て疑問して言う
「いつもの 者たちではない様だが?…それに」
グレイゼスが反応して言う
「うん?いつもの者たちでは…?ならそれは?…アーヴィン君が指示を?」
ハイケルが思う
(挨拶も無しか… いつもは それほど気にしていなかった事だが… いや 今はそれよりも)
ハイケルが言う
「…そうだったな 軍曹を」
ハイケルが使用人へ向いて言う
「軍曹は 戻っているか?」
使用人たちが沈黙する ハイケルが一瞬間を置いて言う
「…では ヴォール・アーヴァイン・防長閣下は戻っているか?部屋に居ると言うのなら 直接 私が…」
ハイケルが屋敷へ向おうとすると 警備に遮られる ハイケルが疑問すると使用人が言う
「こちらのお屋敷へは ハブロス家のご家族様 以外の者が 立ち入る事は許されません」
ハイケルが表情を顰めて言う
「いつもの使用人らでは無い事から 統括が取られていないのか?私はハイケル・ヴォール・アーヴァインだ この屋敷に住んでいる そして 軍曹の… ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の養子だ」
ハイケルが再び向おうとすると 前を塞がれる 使用人が言う
「そちらは存じております ハイケル・ヴォール・アーヴァイン様」
ハイケルが言う
「では 何故 その私の帰宅を遮る?」
使用人が言う
「そちらは先ほども申しました通り こちらのお屋敷へは ハブロス家のご家族様 以外の者が 立ち入る事は許されない為です」
ハイケルが言う
「ならば言っているだろう?私は…っ」
使用人が言う
「貴方様は ハイケル・ヴォール・アーヴァイン様」
ハイケルが言う
「そうだ 従って 私は ハブロス家の家族だ」
使用人が言う
「そちらは異なります」
ハイケルが言う
「…何?…何を言っている?私はハイケル・ヴォール・アーヴァイン… ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の名を与えられた者だ そうとなれば 当然っ」
使用人が言う
「貴方様は お間違いなく ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の 御養子様ではあられますが ハブロス家のご家族様では 御座いません ハブロス家のご家族様は ハブロスのファミリーネームを お持ちの御仁のみとされております 従いまして ヴォール・アーヴァイン・防長閣下のお名前のみを与えられた 貴方様はハブロス家のご家族様とは 見なされて居りません」
ハイケルが呆気に取られて言う
「俺は… ハブロス家の家族では無い…?」
ハイケルがハッとすると ハイケルの意識の中でアースの姿が遠ざかる ハイケルが気付いて言う
「…そうか 了解 …では 俺は?ヴォール・アーヴァイン・防長閣下の養子は この屋敷へ入る事は許されず…」
ハイケルが周囲を見てから言う
「この庭に居る事も 許されないと言う事か?」
ハイケルが思う
(この庭に居る 動物たちもまた ハブロス司令官の家族と言われていたが… いや?動物であるのなら?むしろ 私は?…動物たちとは異なり 人の姿をした私は…?)
使用人が言う
「滅相も御座いません ハブロス家のご家族様では御座いませんが ハイケル・ヴォール・アーヴァイン様は ヴォール・アーヴァイン・防長閣下のお名前を与えられている 御仁に御座いますので どうぞ こちらのハブロス家の 離れのお屋敷にて お過ごし下さい」
ハイケルが言う
「離れの…?」
ハブロス家 離れの屋敷
グレイゼスの車が到着すると 門前でレミックが礼をする ハイケルが気付き言う
「…っ あれは レミック?」
助手席のドアが開けられ フットマンが言う
「お帰りなさいませ!ハイケル少佐!」
ハイケルが車を降りると フットマンを見て呆気に取られて言う
「お前は いつもの…っ」
フットマンが微笑する レミックがやって来て言う
「お帰りなさいませ ハイケル少佐」
ハイケルがレミックを見て呆気に取られる グレイゼスが微笑すると 屋敷の扉が開かれ アリアが走って来て言う
「ハイケル少佐ーっ!」
ハイケルが振り向いて言う
「アリア… …っ!?」
アリアがハイケルに抱き付く ハイケルが呆気に取られると アリアが言う
「ハイケル少佐!昨日は お屋敷へ戻らず どちらへ行ってられたのでして?アリアは お父様がお出かけでいらっしゃらない この時に 真に不甲斐なく申し訳ない初世代の悪魔の兵士である ハイケル少佐が どちらかで お亡くなりになっているのではないかと とっても心配して差し上げたのでしてよっ!?」
グレイゼスが衝撃を受けた後苦笑する ハイケルが言う
「ああ すまない 私は グレイゼスの… 仲間の家で 夜を明かしていた」
アリアが言う
「それならそうと 事前のご連絡は必要な事でしてよ ハイケル少佐?アリアは 今日も戻らなければ エリィに命じて 捜索へ向かわせる所でしたのよ!?」
エリーナが歩いて来てハイケルを見る ハイケルが言う
「そうか アリアがそこまで私を… そうとは知らずに すまなかった 私は…」
エリーナが言う
「流石は欠陥品… だ」
ハイケルが衝撃を受けた後 苦笑してから言う
「そうだな 私は 欠陥品で在る事から この様な事態に どの様な作戦を用いたら良いのかが 分からずに それで…」
アリアが言う
「この様な事態に?まぁ?ハイケル少佐には 何か問題がありますの?アリアは ただ お父様のお帰りを待つだけでしてよ?それに ハイケル少佐が その様な真に不甲斐ない作戦を 思案していらしゃったりするものですから アリアはもちろん アーヴァイン叔父様が!」
ハイケルが反応して言う
「軍曹が…っ?」
軍曹が走って来て言う
「少佐ぁああーっ!」
ハイケルが振り向いて言う
「ぐんそ… ぐあっ!?」
エリーナがアリアを保護している 軍曹がハイケルを抱きしめて言う
「少佐ぁーっ!少佐ぁーっ!良くぞご無事でっ!少佐ぁーっ!」
ハイケルが苦しがりながら言う
「軍曹…っ それは 私の台詞であるのだが…っ その…っ 前に…っ く、苦しいっ 軍曹ぉーっ!」
軍曹がハッとして言う
「ハッ!?しょ、少佐ぁっ!失礼致しましたぁっ!自分はっ ついっ!?」
軍曹がハイケルを開放して見る ハイケルが失神寸前から蘇生する グレイゼスが苦笑して言う
「やれやれ… やっぱり アーヴィン君や…」
ファーストがユラに車椅子を押されて出て来ると ファーストが微笑して言う
「お帰り ハイケル お前が ハブロス家当主の変更をストライキして 家出をしてくれた事は 父上がお戻りになったら 僕から伝えて置いてあげるよ?」
ハイケルが衝撃を受けてから視線を逸らして言う
「そ、それは…っ 折角だが そちらは伝えてくれなくて良い ライヴィン… たった1日の家出で終わらせるなど 任務達成への気合が足りないと 逆に 私が1体殺されてしまうと言う可能性が…」
ファーストが笑顔で言う
「あははっ そうだね ハイケル?ハイケルはそろそろ1体くらい蘇らせた方が 気合が入り直るかもしれないと 父上も日々仰って居られたからね?」
ハイケルが衝撃を受けてから言う
「笑い事では無いのだが 奴はそれこそ 笑ってそちらを実行しかねない 悪魔の司令官にして…」
ハイケルが皆を見てから微笑して言う
「最高のハブロス家の当主 …だ」
皆が微笑する 軍曹が反応し視線を逸らす ハイケルが気付くと言う
「…軍曹?」
軍曹がハッとして言う
「あっ いえっ その…っ!じ、自分もっ!」
レミックが小声で言う
「アーヴァイン様…」
軍曹がハッとして黙る ハイケルが疑問した後 思い出して言う
「…ああ、そうだった それよりも 軍曹 こちらのハブロス家の状態も然る事ながら 我々の… ハブロス司令官のARTが 破損率80%と 甚大な被害に陥っている そして そちらの修繕費用なのだが …詳しい事は 現在そちらのARTの管理を任されている グレイゼスが説明を」
グレイゼスがやって来ると 軍曹が敬礼して言う
「はっ!マスターっ!この度は 真に…っ!」
グレイゼスが微笑して思う
(あぁ 良かった… 分かっては居たつもりだったが …こうして 実際に会って話をするまでは やっぱり 俺も 心配だった)
軍曹が言う
「…自分もっ メディアや国防軍内の情報から 伺い聞いたまででありますがっ!ART最高責任者の兄が居りません この時にっ 真に大変な事態に見舞われてしまいました様でっ!?が、しかしっ 流石は マスターと少佐の率いるARTでありますっ!自分は知る由も在りませんがっ 見事 事無きを得られたようでありまして!?これもひとえに マスターの的確なる ご指示 ご判断の成せる 偉業でありますかとっ!」
グレイゼスが苦笑して言う
「あぁ まぁ… そうね?何とか ターゲットを撃破… いや?退治するには至ったんだが とても… 事無きとは 言い難い状況なんだわ…?詳しい資料は ここに集計したんだが その額は正に…」
レミックが周囲の動きに目を光らせ 軍曹へ言う
「アーヴァイン様 こちらで これ以上のお話は…」
軍曹がハッとして言う
「そ、そうであったっ!」
ハイケルが疑問する グレイゼスが疑問すると同時に耳に聞こえた僅かな音に視線を向けると 暗闇で人が隠れる グレイゼスが目を細めて思う
(刺客…っ!?…いや このハブロス家で この… 防長閣下の周囲で そんな者の存在が 許される筈が無い …となると?)
グレイゼスが耳を澄ますと 暗闇で人が携帯で話している声が聞こえる
「…先程の二人が 防長閣下とお話しをしています 内容は 先程と同じく ARTに関するもので その詳細を…」
グレイゼスが思う
(なるほど… 防長閣下を狙う刺客ではないが… それ所か 防長閣下を監視するとはねぇ?…しかも?)
グレイゼスが言う
「それはそうと… 防長閣下?」
ハイケルが疑問してグレイゼスを見る グレイゼスが言う
「こちらの離れでは無く ハブロス家の… あちらの母屋の方は…?」
軍曹が衝撃を受けた後困って言う
「あ… は、はぁ… その…」
暗闇から使用人が微笑してやって来て言う
「防長閣下 ルメリア様が 御夕食のお席へお呼びです 宜しければ 防長閣下と 久方振りの御夕食を ご一緒したいとの事で御座いますが?如何に御座いましょうか?」
ハイケルが言う
「ルメリア…?」
軍曹が衝撃を受けた後 困って言う
「…じ、自分は… その…」
レミックが礼をして言う
「では お車を ご用意致します 防長閣下?」
軍曹が言う
「う、うむ… レミックが そう言うのであれば …わ、分かった 母上へは 御一緒すると …そう 伝えてくれ…」
使用人が礼をして言う
「畏まりました」
使用人が立ち去る 軍曹が溜息を吐く ハイケルが軍曹を見る アリアがハイケルの腕を取って言う
「ハイケル少佐!アーヴァイン叔父様は お婆様にお呼ばれされてしまったのでは仕方が御座いませんわ!ハイケル少佐は アーヴァイン叔父様を除いた ハブロス家の家族 皆で お夕食にしましょう?」
ハイケルが呆気に取られた後微笑して言う
「…そうだな 了解」
アリアが微笑する ファーストが微笑しユラが鼻で笑う 軍曹が悲しんで言う
「じ、自分もっ!自分もっ 今日こそは 少佐とも ご一緒に…っ!」
レミックが言う
「防長閣下 お車のご用意が整いました」
軍曹が衝撃を受け 気を取り直して言う
「う、うむっ!?で、では…っ 自分は…っ 母上の下へ…っ い、行くのであるっ!…うむぅっ」
軍曹が後ろ髪引かれつつハイケルと皆の下から去って行く グレイゼスが軽く笑ってから言う
「取り合えずこれなら…?…ハイケル!それじゃ また明日な?」
ハイケルが反応してから言う
「可能であれば 私から軍曹へ伝えて置く」
グレイゼスが言う
「ああ、頼む …けど 無理はしない様にな?…周囲に気を付けて それと 重要な事を話す時には…」
グレイゼスが顔を向けると レミックが軍曹を車へ案内している レミックがグレイゼスの視線に振り向き微笑して礼をする グレイゼスが微笑してから ハイケルへ向いて言う
「あの執事の方に… そうだな?口の利き方を 教えてもらうように?…な?ハイケル?」
ハイケルが疑問して言う
「口の利き方を…?」
ハイケルがレミックを見ると レミックが軍曹とともに車に乗って去って行く ハイケルがグレイゼスへ向いて言う
「…そうか …了解」
グレイゼスが言う
「うん!それなら …それじゃ 俺はこれで!」
グレイゼスが車に乗ると走り去る ハイケルと皆がグレイゼスを見送ってから屋敷の中へ入って行く
車内
グレイゼスがミラーでハイケル達の様子を見た後 微笑して言う
「ハイケルの奴…」
グレイゼスが思う
(すっかり ハブロス家の… 少なくとも あのご家族の中には 入っているみたいだ …安心した それに…)
グレイゼスがレミックの事を思い出してから表情を強めて思う
(あの執事… 名前は確か… レミック …とか呼ばれていたな?)
グレイゼスが視線を強めて思う
(通常を超える マスターの聴力を持つ俺が あの時やっと気付いた物音に …間違いなく俺よりも早く気付いていた だが?あの人は?…マスターでは無い マスターには必ず見られる 光は見え無かった)
グレイゼスが言う
「…何者なんだ?」
グレイゼスの車の前で門が開かれ グレイゼスの車が出ると 門が閉じて行く グレイゼスが肩の力を抜いて言う
「…まぁ …良いか?今は?…少なくとも」
グレイゼスが思う
(あの人は 敵ではない それに あの人は 彼らの…)
グレイゼスの脳裏に 先程のハイケル達の姿が思い出される グレイゼスが言う
「味方… ひょっとして 執事まで ハブロス司令官にとっては 家族なのかもしれないな?何しろ?」
グレイゼスが苦笑して言う
「赤の他人である 俺の事まで 家族だって言ってくれる位の お方なんだから?」
グレイゼスの車が走って行く
【 喫茶店マリーシア 】
グレイゼスの車が喫茶店マリーシアの前を過ぎると 駐車場に入る グレイゼスが車を降り鍵をかけて歩きながら思う
(それはそうと… 現状のハブロス家の問題には 俺は 立ち入る事も 触れる事も出来ない… しかし あの彼らが恐らく 何らかの手を打つのだろう)
グレイゼスが店のドアを見て言う
「まぁ… これが 以前のまま… あのアーヴィン君とハイケルだけだったとしたら 俺の出る幕も有ったのかも知れないが…?」
グレイゼスが店のドアを開けて入る グレイゼスが思う
(今の あいつらには…)
店の来客鈴に マリが振り返って言う
「お帰りなさい!グレイ君!」
グレイゼスが微笑してマリを見ると言う
「うん、ただいま マリ…」
グレイゼスが思う
(俺も同じだ… ハイケルにも お帰りと言ってくれる 家族が居る だから きっと…)
マリが言う
「今日は 遅かったのね?やっぱり…?」
グレイゼスが言う
「ああ、ハイケルを送り届けるのに 寄り道もしていたから 遅くなっちゃったよ それに… マリも?TVなんかで もう見た?」
グレイゼスがTVを見ると TVでニュースがやっていて ARTの文字が書かれている マリが言う
「ええ 最初に お客さんたちが話していたのを聞いた時には 信じられなかったけど… あ、でもね?その後で TVのニュースで 施設周囲の住民やARTの隊員に 死傷者は無しって 出ていたから?」
グレイゼスが呆気に取られた後 携帯で情報を調べながら言う
「え?あ、うん… 確かに死傷者は無かったんだけど… 参ったな?何処から その情報が…?本部の方へは 直接 そう言った メディアからの連絡は 無かった筈なんだが…?」
マリが疑問して言う
「あら?そうだったの?うーん それじゃ…?記者の人やメディアの人が 直接 ART本部の近くまで行って 見ていたって事?」
グレイゼスが言う
「いや それも出来ないようになってるんだよ 平常時はもちろん あの本部の周囲20キロは ハブロス家の私有地… 別名 特別区域に指定されているから 部外者が立ち入ることは出来ない それに 近付く事が許される 場所からじゃ 中の様子は確認は出来ないからな?」
グレイゼスが思う
(とは言え 望遠レンズやその他で 見ようと思えば見られなくも無いが…)
グレイゼスが言う
「音は聞こえるとしても とても 死傷者の確認が取られる程 見られはしない筈だし…?」
グレイゼスが思う
(一体どう言う事だ…?…いや、とは言え 今は)
グレイゼスが言う
「…まぁ 結果として そのメディアでも言われている通り 死傷者は無かったから そこは 本当に良かったんだけど…」
マリが言う
「そうね?それが無かったと言う事は 何よりだったわ?…はい お疲れ様!ART司令塔主任の中佐様!」
マリがコーヒーを置く グレイゼスが思う
(そう 今の問題は…)
グレイゼスがカウンター席に座り 溜息を吐いて言う
「うん それは本当に 良かったんだけど …ああ 有難う」
グレイゼスがコーヒーを一口飲んでから うな垂れて言う
「はぁあ~ どうしたら良いんだろうなぁ~?この後始末…」
グレイゼスが思う
(あのアーヴィン君が… 果たして?)
グレイゼスが言う
「金額や権力は兎も角… むしろ それらを扱う力の方が 彼にとっては問題と言うか… こうなると 本当に…」
グレイゼスが思う
(それらの問題を 当然の如くこなしていた人が… 頭では分かって居たつもりだった あのハブロス司令官が居ない その事の本当の問題… 代わりと言われていた アーヴィン君や… ハブロス家は あの状態だし …これは もう?)
グレイゼスが頭を抱えて言う
「俺に どうしろって 言うんだぁ~っ あの 悪魔の…っ!」
新聞紙の置かれる音が聞こえる グレイゼスがハッとして驚いて思う
(え…っ!?まさか この時間に お客がっ!?まだ 居たのかっ!?)
グレイゼスの脳裏に店のドアに準備中の札が掛けられていた事を思い出す グレイゼスが咄嗟に時計を見て思う
(そうかっ!?しまったっ …札はクローズにしていても 店内には まだっ!?話を聞かれたっ!?ARTの話を…っ 誰に…っ!?)
グレイゼスが振り返ると 置かれた新聞に書かれているARTの記事を前に アースが言う
「ART本部の壊滅… とは?」
グレイゼスが呆気に取られる アースが言う
「一体何が起きたのか 就業時間外とは言え 詳しい報告を聞かせて貰いたい所だな?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが驚いて叫ぶ言う
「ハブロス司令官ーーっ!?」
アースが煩そうにしてから言う
「この距離であるなら 常人の私の耳であっても 十分に声は聞こえている 折角の静かな喫茶店の雰囲気に 相応しくないぞ?マスター?」
マリが含み笑いをしている グレイゼスが衝撃を受けてから慌てて言う
「す、すみませんっ つい… って!?いえっ!?そんな事よりもっ!?」
グレイゼスがアースとマリを交互に見ると 慌ててアースの下へと向って言う
「な、何故っ!?ハブロス司令官が こ、ここにっ!?俺の…っ!?庶民の喫茶店にっ!?」
アースが言う
「私が 庶民の喫茶店に 入店してはいけないと言う 謂れは無い筈だが?」
グレイゼスが言う
「あぁ、いやっ!?そ、それはそうですがっ!?って そちらの問題ではなくてですねっ!」
アースが言う
「あぁ そうだったな?そうであっても 閉店時間を過ぎてまで 居座るつもりはなかったのだが こちらの店員であるマリーニ・アントワネット・ライネミア・アーミレイテス殿の許可を得た上で 閉店時間後であっても 店内にて過ごさせて頂いていた」
グレイゼスが言う
「あぁ… そうでしたか… …って そちらの問題でもなくてですねっ!?」
マリが片付け作業をしつつ含み笑いをしている グレイゼスが言う
「そもそも 任務を終えて アールスローンへ戻っていたのでしたらっ!?もっと別に行くべき 場所が…っ!?」
アースが言う
「生憎 アールスローンへ帰還した上で 任務を終えた時間は ARTの就業時間を過ぎ 更に 閉館時間をも過ぎていた …従って」
グレイゼスが言う
「し… 従って?」
アースが言う
「そちらの時間であっても間に合った こちらの喫茶店にて 過ごしていたのだが …何か問題か?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「も、問題でしょうっ!?何で 超高位富裕層ハブロス家のご当主様が こんな庶民の…っ 俺の店でなんか 時間を潰して居るんですかっ!?」
アースがコーヒーを一口飲んでから言う
「ああ、そちらは もちろん… 以前から アーヴィンやハイケル少佐が絶賛していた こちらの喫茶店のコーヒーを 試してみたいと…」
グレイゼスが言う
「本気で言っているんですかっ!?ARTやハブロス家が こんな時にっ!?」
アースがグレイゼスを見て言う
「ARTやハブロス家が こんな時に?」
アースが新聞の記事を見下ろす グレイゼスがハッとする アースが言う
「そうだな?では こんな時だ まずは… そのお前へと任せた こちらの記事にもある ARTの状況を …閉店後ではあるが 聞かせてもらえるか?マスターグレイゼス中佐?」
グレイゼスが思う
(それじゃ 本当は その為に?ここで?…俺を待っていたのか?)
グレイゼスが気を取り直して言う
「…はい 分かりました …それに この店内でしたら」
マリがドアの鍵を閉める グレイゼスが言う
「セキュリティの心配は ありませんので…」
グレイゼスがカウンター内へ向い タブレットを用意する アースが微笑して言う
「心強いな?マスター?」
グレイゼスが苦笑して思う
(俺が心強い?…いや 心強いのは やっぱり…)
グレイゼスがアースを見る アースがコーヒーを一口飲んでから 新聞の記事を確認してグレイゼスを見る グレイゼスがアースの下へ戻ると タブレットを操作して アースへ渡して言う
「元は そのマスターとしての 防衛の為でしたが …こんな事で ARTの役にも立つとは 思っても居ませんでしたよ …では 早速 これが 今回の襲撃に対する 内容と報告です それから その被害状況が 新聞の記事やメディアの情報にも 書かれている通りで… 詳細は…」
アースがグレイゼスからタブレットを受け取り内容を確認する
アースがタブレットを見終えて言う
「ふん…?なるほど 元々のART本部… あの施設自体で言うのなら それほど修理費用は掛からないが 備えていた最新の機材の破損が 高く付いたな?後は… ART2のマシーナリーが全てと ART1も旧型隊長機を含む5機が修理不能のDランク 更に そちらのマシーナリーへの エネルギーユニットの破損 こちらは 優先して修理… もしくは 帝国から 再び供給すると言う事も 考える必要があるか…?」
グレイゼスが言う
「修理は やろうと思えば出来なくは無いですが 今回は規模が大きいですので 時間の短縮を考えると 出来れば 改善前の状況であっても 帝国から供給して頂けた方が助かります」
アースが言う
「そうだな 時間も費用も そちらの方が安く付くだろう 後は 何よりも優先する事として それらを行うのに必要とされる…」
アースが考えてから コーヒーを一口飲む グレイゼスがアースを見てホッとして言う
「…はい 本当に…」
アースがカップから口を離してグレイゼスを見る グレイゼスが表情を緩めて言う
「このタイミングで ハブロス司令官が 戻って来て下さって 助かりました… 正に… これ以上のタイミングは無いと言いますか?」
グレイゼスがホッとして思う
(今日だけは本当に… いつもは 悪魔の司令官こと… 悪魔の様に人使いが荒く 強引なこの人が… まるで… …そう その背中にある …うん?その背中に ある…?)
グレイゼスがアースの左背後へ視線を向けて言う
「あれ?無い?」
グレイゼスが思う
(…あれ?おかしいな?見えないぞ?光は見えるのに?…いつもは その心の光さえ打ち消すほどに 眩しいほどの あの…)
アースが言う
「無い とは?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「あ…っ いえっ?その…?」
グレイゼスが思う
(え~っと?…参ったな?つい口に出して…っ)
マリがカウンター内で疑問する アースが一度マリを見てから 店内の鏡に映った自分を見てから気付いて言う
「…ああ 眼帯の事か?」
グレイゼスがハッとして言う
「え?…あ、はいっ そうです!?」
グレイゼスが思う
(あぁ 言われてみれば?…そっちは気付かなかったと言うか …それ所じゃ無かったと言うか?何しろ 超高位富裕層ハブロス家のご当主様が 俺の… 最下層の俺の 喫茶店に居ると言う この情景こそが 有り得ない事で そっちに驚いていたものだから…)
アースが言う
「任務で国外に居た間は 外して居た そして そのまま戻った事で 忘れていたと言うのが本音だが… 街中を移動する際も 今は こちらの方が私だと気付かれずに済む様だ この店へ入るにも 丁度良かった」
グレイゼスが気付いて言う
「あぁ なるほど?そう言う事で…?」
グレイゼスが思う
(…って それなら むしろ どこか相応の場所へ 俺を呼び出してくれても 良かったんだが…?)
アースがコーヒーを飲む グレイゼスが思う
(…後は 嘘か本当か?この店のコーヒーを試したくて?…いや それなら それこそ ART本部で淹れて差し上げても 良かったんだけどな?…ご命令と有りませば?…って いや それ所じゃなかった!)
グレイゼスが言う
「では 取り合えず そう言う事で… ARTの状況及び被害報告は 以上です」
グレイゼスがハッとして思う
(あ… そうだっ その報告が済んだのなら…)
アースが言う
「ああ、そうだったな マスターグレイゼス中佐」
グレイゼスがハッとして言う
「あ、はい?」
アースがタブレットから顔を上げて言う
「予想外の奇襲への対応として ARTの従業員への指示 及び 機動部隊への指揮はもちろんだが その他 ART総員の防衛を ご苦労だった マシーナリーや施設へ対する被害はあろうと ART隊員らへの被害はゼロ そうとあれば もちろん達成ランクはSランクだ 良くやった 上出来だ」
グレイゼスが驚いてから 喜びを味わって言う
「…っ 有難う御座います ハブロス司令官」
アースが微笑する グレイゼスが思う
(あぁ… 何だろうな?事態は分かってる とても 喜んで良い結果では無い だけど 感じる この… 心が温まる達成感は…)
グレイゼスがアースを見る アースがタブレットを見て言う
「…とは言え 総被害額は2兆4千億か… 決して安くは無いが ARTにはその価値がある …むしろ 金額などより 敵陣視察を終えたこのタイミングで 修復に時間が掛かると言う事の方が 問題となるのだが…」
グレイゼスが苦笑して思う
(2兆4千億の額面や このお方にとっては 指して言葉にする必要もない それを使う力より 問題は時間… …それこそ 俺には一生口に出来ない言葉だが このお方にとっては…)
アースが気付いて言う
「…そうだったな?時間といえば 大分長居をしてしまったな?」
グレイゼスが言う
「あ、いえ?そっちの時間の方は気にしないで下さい 俺にとってはそんな事より ハブロス司令官が…」
アースが疑問して言う
「私が…?」
グレイゼスがハッとして思う
(あ… しまった …けど 良いか?ここで隠さなくても?)
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官が 無事に戻って来てくれて …それが何よりでした」
アースが呆気に取られた後 微笑して言う
「…そうか それは…」
グレイゼスが苦笑して言う
「ARTの仲間たちへの指示とか そう言った事なら 自分でも 何とか こなせはしますが やっぱり…」
グレイゼスが思う
(ハブロス司令官が 居ない… その事が 俺の指示を受け取る彼らにとっても どれだけ心許無いものだったか… そして)
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官が 戻って来たとなれば これで ARTの心配は もう ありません!隊員たちも 自分も… これで 安心して 普段の訓練や業務へ戻られます!」
アースが苦笑して言う
「随分と大げさだな?お前が ARTの仲間たちへの指示をこなせるとあれば 言い換える所 そちらの業務を同じくする 司令官の私は 必要とされていないとも 受け取られると思うのだが?」
グレイゼスが言う
「え?あぁ いえ それは… 司令塔主任と司令官の業務は 確かに 近いものでは有るかもしれませんが 何よりの違いは やっぱり… 安心感ですかね?ハブロス司令官と自分では 圧倒的に その差が有りますかと?何しろ ハブロス司令官は 歴代国防軍長ハブロス家のご当主様にして 元国防軍総司令官様ですから!」
グレイゼスが思う
(…と、言ってみたが 改めて考えると?…その違いと言う事なのか?…つまりそれは やっぱり…?)
アースが言う
「私が 歴代国防軍長ハブロス家の者で 元国防軍総司令官であるから… つまり お前とは生い立ちが違うから と言う事か?」
グレイゼスが反応して言う
「え?あ…?そうですね?生い立ちが…」
グレイゼスが気付いて思う
(あぁ それはあるよな?現に…)
グレイゼスが苦笑して言う
「今の今まで自分は… 自分にはどうする事も出来ない ARTの修繕修復に掛かる その2兆4千億の金額と それを扱う力を持つ アーヴィン君へ ARTの復興を 依頼出来るものかと?そちらの悩みに 翻弄されていました それに 実際にハブロス家で アーヴィン君に会って 話をしようとしたのですが それさえも難しく…」
グレイゼスが思う
(あの様子じゃ 例えハイケルからアーヴィン君へ ARTの状態を伝えられたとしても アーヴィン君がARTの修復をこなせるかどうか… いや それ以前に あの母屋の状態を相手に出来るのか?と言う不安は 実の所はあった …だが このハブロス司令官さえ戻れば)
グレイゼスが言う
「それもこれも 全て解決するでしょう?ハブロス司令官さえ 戻って来たのなら!これで すべて一件落着です!」
グレイゼスが思う
(それこそ 悪魔の如く いつもの手腕で!)
アースが言う
「…なるほど?良く分かった」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「…うっ!?あ、あれ?自分は今 何か間違えた様な?」
マリが呆気に取られている アースが言う
「それならそうと 今この場所で お前へ伝えて置く事がある マスターグレイゼス中佐」
グレイゼスが衝撃を受けてから言う
「は、はいっ!?ハブロス司令官!?」
グレイゼスが思う
(しまったっ 考える事が有り過ぎたせいでっ 思考と言葉が混線して 今… 俺… ハブロス司令官へ 何か失礼な事を言ったか…?取り返しの付かない事を 言っていたとしたら…?俺は まさか ARTを…?)
アースが苦笑して言う
「私は… ハブロス家から 除名を されてしまった」
グレイゼスが思う
(ARTから 除名される…っ!…と … か…?)
グレイゼスが言う
「…は?今…?」
グレイゼスが思う
(ハブロス司令官は なんて言った…?)
グレイゼスが言う
「ハブロス司令官?すみません 今… 何と…?」
アースが言う
「私は アールスローンを離れている間に 弟のアーヴァインによって ハブロス家から 名を消されてしまった 今の私は アース・メイヴン 姓を持たない いち庶民に過ぎない ハブロス家の家族でもなく 高位富裕層から下落した 最下層の人間となった私に 2兆4千億の金額はもちろん そちらを扱う力も無い… いや?むしろ 自分の浅はかな行いで 名誉ある 歴代国防軍長ハブロス家を除名をされた その様な私に 誰も安心感などは持たれないだろう …従って」
グレイゼスが呆気に取られて言う
「そ… そんな…?まさか…っ!?あの アーヴィン君が…?」
グレイゼスがハッとして思う
(そうかっ ”アーヴィン君が” じゃ無いっ あの…っ!)
グレイゼスが言う
「あの…っ お母様の策略でっ!?」
アースが苦笑して言う
「アーヴァインに会って来たと言ったな?…あいつの様子はどうだった?やはり… 母上に怯えていたか?」
グレイゼスが悔やんで言う
「…はい」
アースが言う
「そうか… だろうな?アイツは昔からそうだった しかし そうとあっても 今回の作戦に置いては アイツが… ハブロス家の次期当主として 相応になっていてくれているものと 期待をしていたのだが… そうか やはり 変わらずだったか」
グレイゼスが言う
「そんなリスクがあったと言うのならっ 何故…っ!?…ハブロス司令官っ!?」
グレイゼスがハッとする アースが言う
「リスクは存在した 従って 私は お前に言った筈だ …ARTを任せると?」
グレイゼスが驚いて思う
(あれは…っ そう言う事だったのか!?本当にっ!?)
グレイゼスが言う
「…では …本当に?」
アースが言う
「当初の予定通り ARTの復興に必要とされる費用は アーヴァインへと頼んでくれ 変わらずとは言え あいつも本当の馬鹿ではない ARTの必要性と その価値は十分に分かっている …そして 何より 自分の尊信するハイケル少佐やお前 ついでに ラミリツ攻長の居る組織だ それらを守るためであれば あいつも強く動く事が出来るだろう …お前に不足といわれる 金と権力は アーヴァインが… そして ARTの指令はお前が 機動部隊の隊長は ハイケル少佐とラミリツ隊長が居る そうとなれば… ARTはこれまで同様に 問題はないな?アールスローンと世界の存亡を頼んだぞ マスターグレイゼス中佐」
アースがコーヒーを飲み干す グレイゼスが驚いて言う
「そんな…っ ちょっと待って下さいっ!」
アースがグレイゼスを見る グレイゼスが困って言う
「その…っ ハブロス家の状況は 自分も…っ この目で見てきた事です ですから …そちらはそうとっ …しかし ARTはっ!ARTを設立し 世界を守ると言った そのARTの司令官は 貴方でしょう!?ハブロス司令官っ!」
アースが視線を逸らし表情を落す グレイゼスが痛々しく見て思う
(…ハブロス司令官 そんな… …貴方がそんな顔をする日が来るなんて それも…)
グレイゼスが一度迷ってから言う
「…っ いえ… ハブロス司令官では… ハブロス様ではなくなったとしても 貴方は…っ …例え アース・メイヴンと言う名の いち庶民になったとしてもっ」
グレイゼスが思う
(そうだっ!今までずっと… それこそ 国防軍に居た時から 俺たちは一緒に戦って来たっ 仲間の内の 誰よりも傲慢を言うけど その誰よりも仲間想いで… 非戦闘員でありながら 前線へ出る事も恐れない 強い貴方と!それは…っ 例え ハブロス家の地位や名誉があったからと言って 出来る事では無かった筈だっ …貴方だからっ …貴方であったからこそ 出来た事っ!そうとなれば もちろん!我々の最高の司令官である その貴方はっ!)
グレイゼスがアースを見詰めて言う
「貴方は やはり …我々の司令官にして …我々の仲間ですっ!」
アースが一瞬驚く グレイゼスが思う
(…そうだっ 例え ハブロス家から除名され ”ハブロス”司令官では無くなろうともっ この人以上の司令官は居る筈がない 何しろ この人は…っ!)
アースが言う
「ハブロス家の人間では無い 私であっても良いと言うのか?財力も権力も… 地位も名誉も無い その私が 今更 ARTで何が出来る?」
グレイゼスが言う
「それは…っ …確かに 今までと同じ様には 行かないかもしれません…っ 高位富裕層を相手にする 資金繰りやそれらは出来ない… だとしてもっ それでも…!その貴方にも 出来る事がっ!?…っ …? …って?…あら?」
グレイゼスがハッと思い出して言う
「…そ、そうです?そもそも 貴方は…?」
グレイゼスが思う
(このアールスローンを守る 帝国の皇帝の身代わりが出来る 唯一の…)
アースが顔を逸らして舌打ちをして言う
「…チッ 気付かれたか」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「え?あ、あの… ハブロス司令官?…あっ!?」
グレイゼスが思う
(もう ”ハブロス”司令官では…)
グレイゼスが言う
「あの… では これからは… 何と お呼びしたら?」
グレイゼスが疑問して思う
(いや?”お呼びしたら”? 例え その身に持ち合わせている その力が 神と呼ばれる程のものであっても …その貴方が 俺と同じ最下層の人間だと言うのなら?それなら これからは…?)
アースが言う
「これから ”も” ハブロス司令官だが?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「は?」
アースがグレイゼスへ向いて言う
「嘘だ」
グレイゼスが顔を引きつらせて言う
「はい?」
グレイゼスが思う
(まさか…?)
アースが言う
「私がハブロス家から除名をされたと言ったのは あちらは嘘だ アーヴィンも 変わらずとは言え あれでもそれなりに成長していた 如何に購う事が苦しい あの母上が相手とあろうとも ハブロス家の現当主とされる 私の名と その地位を守ってくれていた… お陰で 私は今も変わりなく 歴代国防軍長 または 超高位富裕層と言われるハブロス家の 現当主にして ARTの最高責任者 アース・メイヴン・”ハブロス”司令官だ」
グレイゼスが衝撃を受け 怒りを込めて思う
(そうでなければ ぶっ飛ばしたいっ!)
グレイゼスが表情を顰めて言う
「…で、でしたら?先程のはっ!?何故っ!?あの様な嘘を!」
アースが言う
「ああ、そちらはもちろん?お前が私を ただの金蔓の様に言うからな?それならそうと 言ってやっただけだが?驚いたか?」
グレイゼスが衝撃を受け怒って言う
「激しく驚きましたがっ!?これで満足ですかっ!?」
アースが言う
「そうか では 気が済んだ」
グレイゼスが怒りを抑えて思う
(本当に この悪魔はっ…!)
アースが言う
「それに…」
グレイゼスがアースを見る アースが言う
「例え私が ハブロスの名を失った 最下層の人間となろうとも 変わらずに 仲間であると …そうと言ってくれた お前の言葉は この様な嘘をついた事を 後悔するほどに 嬉しかったぞ …有難う マスターグレイゼス」
アースが微笑する グレイゼスが呆気に取られると アースが気を取り直して言う
「…そうだな?ならば そのお前の言葉を無碍にする訳にも行かない 折角だ 嘘ではなく この際 本当にそうと なってしまおうか?」
グレイゼスが衝撃を受けて言う
「止めて下さいっ!ハブロス司令官っ!折角 アーヴィン君が取り留めてくれた 地位をっ!」
【 ハブロス家 離れの屋敷 】
ハイケルが言う
「そうか では その母上殿が ハブロス家の母屋に居ようとも ハブロス家の当主は やはりハブロス司令官で変わりは無いのだな?」
ファーストが言う
「うん そこは叔父上が 頑として譲らなかったからね?まぁ その他に関しては 母屋はもちろん そちらに付ける 警備の者や使用人の変更も 何もかも祖母上の言い成りだったけど」
ハイケルが言う
「そちらは 軍曹の普段の様子と 先程の様子からも 想像が出来る… では 具体的に作戦は?」
ファーストが言う
「作戦?」
ハイケルが言う
「そうだ どうやって ハブロス家の母屋を取り返し 且つ 軍曹やお前たちと言う ハブロス家の家族を 母屋から追い出す あのターゲットを 追放するつもりだ?ライヴィン?」
ファーストが苦笑して言う
「追放って… ハイケル 祖母上は 残念だけど 間違いなく このハブロス家の大奥なんだ だから このハブロス家に居る事は当然で… そもそも 祖母上だって 自他共に認める ハブロス家の家族なんだよ?ハイケル?」
ハイケルが言う
「では 何故 今まで ハブロス家に居なかった?」
ファーストが反応する ハイケルが言う
「ルメリア・クリス・マリシェッド・ハブロス… ハブロスの名を持ち 自他共に認める このハブロス家の大奥様であるのなら 何故今まで奴は ハブロス家の屋敷に居なかった?如何に家族の帰宅が分からないほど 巨大なハブロス家の母屋であろうとも 奴が存在していなかったと言う事… 帰宅していなかったと言う事は 私も知っている」
ファーストが言う
「うん… それは… …そうだね?ハイケルは家族だから話しても良いかな?祖母上は… ルメリア・クリス・マリシェッド・ハブロス は ヴォール・アーケスト・ハブロス… 僕らの祖父上の妻だけど その祖父上が ご病気になられた時に このハブロス家に見切りを付けて 当時の祖父上によって 負う物と思われていた ハブロス家の負債から逃れる為に ハブロス家を出て行ったんだよ… 叔父上や父上を残して」
ハイケルが視線を強めて言う
「家族を支える 父親が病気になった際に 家族を捨てて逃げる母親など… その様な者は 仲間とは …家族とは言わないのでは無いのか?」
ファーストが言う
「そうだね 僕も ハイケルの言う通りだと思うよ 現にそれに怒った父上が ハブロス家に有った祖母上に関するものを 全て燃やすように命じたんだって …だけど 祖母上からハブロスの名を取り上げる事は ハブロス家の当主となった 今でも 祖母上の夫である 祖父上のサインが無ければ出来ない事だから… それで 祖母上は 今も ハブロス家の 家族のままなんだよ」
ハイケルが言う
「そして 更には その事を理由に ハブロス司令官が 国外へ出ている間に ハブロス家へ戻って来たと言う事か?」
ファーストが言う
「戻って来たのは 父上が国外へ向われた昨日ではなくて 今日の… あのARTが壊滅したと言う情報が 発表された後だけどね?」
ハイケルが反応して言う
「ARTの その情報が発表された 後に…?それは どう言う事だ?」
ファーストが言う
「それはね ハイケル… 父上は歴代国防軍長ハブロス家の当主では在るけれど 現行は 国防軍の総司令官では無い それに… 元々父上は 歴代ハブロス家のファーストネームを継がない長男だから いつか ハブロス家の当主の座を 叔父上へ返納する事になる」
ハイケルが驚いて言う
「…っ …そうなのか?」
ファーストが言う
「うん それもあって 元々父上には 信用や信頼と言うものは無いんだ けど その父上が 前ハブロス家当主の祖父上と ハブロス家のファーストネームを持つ叔父上から それこそ信用や信頼を持って ハブロス家の当主を任されている… その上で 父上が 現在行っている アールスローン1の巨大事業 ARTが壊滅した …これが どう言う事か分かるかい?ハイケル?」
ハイケルが呆気に取られて言う
「信用や信頼が… 壊された?」
ファーストが言う
「父上が行っていた巨大事業が その状態で しかも その時に 当の父上は居ない …だから 祖母上は このタイミングでハブロス家へ戻って …遠回しに 父上の除名を …ハブロス家の当主の変更を 迫っているんだよ」
ハイケルが言う
「では ハブロス司令官をハブロス家から除名し その当主の位に… 軍曹を?」
ファーストが言う
「それは違うよ ハイケル」
ハイケルが言う
「違うのか?では… ルメリア・クリス・マリシェッド・ハブロスは ハブロス司令官の持つ ハブロス家当主の座を 一体 誰に与えようと?」
ファーストが言う
「ハブロス家の当主の座は 父上から 祖父上へ戻され その祖父上が 判断やサインはもちろん 当主の行いが出来ないとなれば 通常通り次の有権者へ …つまり 祖母上へ委譲されるんだ」
ハイケルが視線を細めて言う
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続く
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2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。
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神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
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貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
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※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
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毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
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絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
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+++++
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異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
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農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
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・・・
・・
・
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