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犯人
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あの蛇の死骸を見ると何処に生息している蛇かすぐに特定できた。
後宮に心当たりのある人物がいる。
リン・シーランという娘だ。
リンの父親は野心家でリン自身も庶民出身のマリアを敵視していた。
シーラン大臣はしつこくリンの元へ通って欲しいといい寄ってきた人物だった。
鬱陶しいのでずっと無視していたが、マリアに危害を加えた報いは受けてもらう。
あの毒蛇はシーラン大臣の領地にしか生息していない蛇だった。
犯人は歴然としていた。
マリアは日に日に容態が悪くなっている。
医者に見せても今は安静にしておかせるしかないという。
早くマリアの笑った顔が見たい。
最近では笑顔を見せてくれるようになり、体にも触れさせてくれるようになっていたのに・・・。
起きている時は食事の時と体を拭き、服を着替える時だけだった。
朝と夜の食事は俺が食べさせてやっている。
その時だけ膝の上に乗せ体を支えてやり、唯一触れあえる時間だった。
早く元気になってほしいのだが食事もあまり喉を通らない様子だった。
流石に体を俺が拭いてやるのには抵抗感があるらしくマナが担当している。
(ああ、早く元気な姿が見たい)
そして、彼女から何か話したいことがあるらしいので聞きたい。
グレンは初めは興味本位で傍に置いたのにいつの間にかマリアに溺れていた。
こんな気持ちになったのは初めてだ。
大事にしていた花を踏みにじられた思いだった。
グレンはリンの元へ通い始めた。
男女の営みが目的ではない。
シーラン大臣の情報を聞き出すためとリンの行動を探るためだ。
リンは大喜びでグレンを部屋へ入れた。
シーラン大臣の領地には裏ルートがある事をこっそり教えてくれた。
そのルートを使って私腹を肥やしていることも。
シーラン大臣の娘はあまり賢い娘ではなかった。
その為、少し誘導的に尋問すればすぐに答えてくれた。
シーラン大臣の領地では栽培を禁止している花を栽培しているそうだ。
その花の球根をすり潰し、乾燥させ粉末状にすると猛毒の薬が出来上がるそうだ。
それを他国へ勝手に輸出して見返りとして金貨を得ているらしい。
シーラン大臣の表の顔はいつも穏やかな感じの男で少し気が弱い感じだった。
シーランは大臣の娘リンは甘やかされた世間知らずのお嬢様で頭が足りない。
父親が不利になるとも知らずにぺらぺらと話してくれる。
その晩から、マリアの食事に毒見役をつけた。
すると毒見役は徐々に弱っていった。
知らなかったとはいえマリアの食事に毒が盛られていたという事だ。
(道理で回復が遅いはずだ・・・)
今すぐあの親子を処刑台に立たせたい気持ちになった。
グレンはすぐ呼び鈴を鳴らしてマナを呼び、マリアの食事に毒を盛ることは可能か聞いてみた。
すると、マナは答えた。
「はい、配膳の際一瞬隙が出来るので可能です」
「そうか、ではその時に誰かが毒を盛っていたということか」
もう、言わなくても分かる。リンの侍女しかその行動はとれない。
多分聞き出した情報の中にあった毒草の粉末だろう。
確か、無味無臭と言っていた。
マリアがまだ生きているから排除しようと躍起になっているとしか思えない。
その晩の食事はマナが作りなおしてくれた。
それを全て、マリアは食べた。
「美味かったかマリア?」
「うん。だってマナさんが私の為に作ってくれたご飯だもん」
そう言い愛らしい笑みをグレンに向けた。
グレンはやっと見る事の出来た笑みに喜んだ。
「なぁ、マリア。マリアの具合が良くなったら俺からも話したいことがあるんだが、聞いてくれるか?」
「うん」
そう答えるとマリアはグレンの膝の上で眠ってしまた。
すぅすぅと寝息を立てている。
マリアは最近自分に無防備になってきているように思う。
グレンはそれが嬉しかった。
マリアは温かいグレンの胸に擦り寄ってきた。
(はー・・・俺は試されているのか?)
思わずそんな事を考えてしまったグレンだった。
後宮に心当たりのある人物がいる。
リン・シーランという娘だ。
リンの父親は野心家でリン自身も庶民出身のマリアを敵視していた。
シーラン大臣はしつこくリンの元へ通って欲しいといい寄ってきた人物だった。
鬱陶しいのでずっと無視していたが、マリアに危害を加えた報いは受けてもらう。
あの毒蛇はシーラン大臣の領地にしか生息していない蛇だった。
犯人は歴然としていた。
マリアは日に日に容態が悪くなっている。
医者に見せても今は安静にしておかせるしかないという。
早くマリアの笑った顔が見たい。
最近では笑顔を見せてくれるようになり、体にも触れさせてくれるようになっていたのに・・・。
起きている時は食事の時と体を拭き、服を着替える時だけだった。
朝と夜の食事は俺が食べさせてやっている。
その時だけ膝の上に乗せ体を支えてやり、唯一触れあえる時間だった。
早く元気になってほしいのだが食事もあまり喉を通らない様子だった。
流石に体を俺が拭いてやるのには抵抗感があるらしくマナが担当している。
(ああ、早く元気な姿が見たい)
そして、彼女から何か話したいことがあるらしいので聞きたい。
グレンは初めは興味本位で傍に置いたのにいつの間にかマリアに溺れていた。
こんな気持ちになったのは初めてだ。
大事にしていた花を踏みにじられた思いだった。
グレンはリンの元へ通い始めた。
男女の営みが目的ではない。
シーラン大臣の情報を聞き出すためとリンの行動を探るためだ。
リンは大喜びでグレンを部屋へ入れた。
シーラン大臣の領地には裏ルートがある事をこっそり教えてくれた。
そのルートを使って私腹を肥やしていることも。
シーラン大臣の娘はあまり賢い娘ではなかった。
その為、少し誘導的に尋問すればすぐに答えてくれた。
シーラン大臣の領地では栽培を禁止している花を栽培しているそうだ。
その花の球根をすり潰し、乾燥させ粉末状にすると猛毒の薬が出来上がるそうだ。
それを他国へ勝手に輸出して見返りとして金貨を得ているらしい。
シーラン大臣の表の顔はいつも穏やかな感じの男で少し気が弱い感じだった。
シーランは大臣の娘リンは甘やかされた世間知らずのお嬢様で頭が足りない。
父親が不利になるとも知らずにぺらぺらと話してくれる。
その晩から、マリアの食事に毒見役をつけた。
すると毒見役は徐々に弱っていった。
知らなかったとはいえマリアの食事に毒が盛られていたという事だ。
(道理で回復が遅いはずだ・・・)
今すぐあの親子を処刑台に立たせたい気持ちになった。
グレンはすぐ呼び鈴を鳴らしてマナを呼び、マリアの食事に毒を盛ることは可能か聞いてみた。
すると、マナは答えた。
「はい、配膳の際一瞬隙が出来るので可能です」
「そうか、ではその時に誰かが毒を盛っていたということか」
もう、言わなくても分かる。リンの侍女しかその行動はとれない。
多分聞き出した情報の中にあった毒草の粉末だろう。
確か、無味無臭と言っていた。
マリアがまだ生きているから排除しようと躍起になっているとしか思えない。
その晩の食事はマナが作りなおしてくれた。
それを全て、マリアは食べた。
「美味かったかマリア?」
「うん。だってマナさんが私の為に作ってくれたご飯だもん」
そう言い愛らしい笑みをグレンに向けた。
グレンはやっと見る事の出来た笑みに喜んだ。
「なぁ、マリア。マリアの具合が良くなったら俺からも話したいことがあるんだが、聞いてくれるか?」
「うん」
そう答えるとマリアはグレンの膝の上で眠ってしまた。
すぅすぅと寝息を立てている。
マリアは最近自分に無防備になってきているように思う。
グレンはそれが嬉しかった。
マリアは温かいグレンの胸に擦り寄ってきた。
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思わずそんな事を考えてしまったグレンだった。
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