コレクター王と白髪娘

えりー

文字の大きさ
22 / 22

最終話

しおりを挟む
マリアは最近体がだるくて何もやる気が起きなかった。
「マリア様、最近元気がありませんね?」
「そんな事無いよ!元気はあるよ」
マリアは誤魔化した。
「一度お医者様に診てもらいましょうか?」
「いいよ、本当に大丈夫だから!」
マリアは元気に振舞った。
しかし、いつもなら喜んで行くシロの散歩もマナにお願いした。
マリアはベッドの上に横たわりじっとして目を閉じた。
(そう言えば・・・月のものが来ていない!)
(もしかして・・・身籠ってる?)
サーっと血の気が引いていくのを感じた。
だからこんなにだるいのかもしれない。
でも検査を受けるのは怖い。
もし、本当に世継ぎが出来ていたらマリアと同じ容姿で生まれてくるかもしれない。
そうなると国は乱れるのではないのだろうか・・・。
出来る事ならグレン似の子供が欲しい。
そうすれば何事もなくすむ。
グレンが珍しく仕事を切り上げて帰って来た。
「何だ?具合が悪いのか?」
グレンに相談してみよう。
「グレン、もし子供が出来ていたらどうする?」
「どうするも何も産んでもらうしかないだろう!」
グレンは動揺した。
「・・・出来たのか?俺たちの子が」
「まだ検査をしていないから分からないの」
そう言うとグレンは医師のいるとこまでマリアを横抱きにして連れて行こうとした。
「待って!まだ心の準備が・・・」
「黙ってじっとしていろ」
じろりと睨まれてしまった。
マリアはグレンが怖くてそれ以上何も言えなくなった。
医師のいる部屋に着いた。
ノックもせずにグレンは足で戸を開けた。
「グレン王様!?」
医師は驚いている。
「何事でしょうか!?」
「マリアに子が出来たかもしれない!」
「や、まだわからないんだって!!」
「それはおめでたい。早速検査をさせていただきます」
(みんな気が早い!!)
「俺も付き添うから不安がることないぞ」
「グレンは外で待ってて!!」
(どんな検査かも知らないくせにー!!恥ずかしいのに)
グレンは医務室から追い出されてしまた。
「いつ頃から月のものが来ていませんか?」
「わかりません」
「そうですか・・・それでは診させていただきますね」
(グレン以外の男性の前に秘部を晒すのは恥ずかしい!!)
検査中何度も逃げ出したい気持ちになった。
女性なら誰だってそうだろう。
グレンはイライラしながら待った。
暫くすると医務室の戸が開きマリアが出てきた。
マリアを抱きしめたグレンは医師に訊ねた。
「子はいたのか?」
「はい」
「本当か!?」
マリアはあまり喜んでいないように見えた。
「どうしたマリア、嬉しくないのか!?」
「え!嬉しいよ!!」
マリアは自分が妊娠していて腹の中に子がいることが不思議な感覚だったので呆然とした。
「先生ありがとうございました・・・」
真っ赤になりながらそう言うと医師は笑っていた。

部屋に帰るとグレンが横になるように言ってきた。
マリアは検査で疲れたので言われた通り横になった。
「どうしたんだ?嬉しくなさそうに見えるぞ?」
「・・・素直に喜べないよ!だって私と同じ容姿の子が生まれたら王宮で騒ぎになるだろうし」
「何だ、そんな事を気にしていたのか」
「そんな事って・・・!」
「だってグレンの立場が悪くなるかもしれないのに」
「俺はマリアも子も守りきる自信がある」
その自信は一体どこからくるものなのか・・・。
「面白いではないか白髪の世継ぎというのも」
「笑えないよ!奇異な目で見られるわ。子供がかわいそう」
そう言いながらマリアは自分の腹を撫でた。
ふー・・・っとグレンが溜息をついた。
「そんなに俺は信用できないか?」
「そういうわけじゃないけど」
「なぁ、俺たちの出会いは最悪だったけど今はどうだ?」
出会いを最悪な方法にした本人が言う。
「今?今は幸せだよ。好きな人の子にも恵まれて・・・」
「な?人は変わるんだ。初めは奇異な目で見られていてもきっと理解者は現れる」
そうかもしれない。くよくよしている場合じゃない。
「私も子供を全力で守るわ」
マナにも子が出来た話は伝わっていた。
戸がバンっと開きマナが飛び込んできた。
「失礼します。マリア様に子が出来たと聞いたので慌ててしまいました」
「マナ・・・ノックくらいしろ」
「はい、すみません・・・」
生まれる前に既に味方がいる。
それがこんなに嬉しい事だとは思わなかった。
マリアは嬉しくて泣き出した。
暫くグレンにしがみついて泣いたマリアだったが泣き止むとグレンにくぎを刺した。
「生まれてくる子はコレクションにしないでよね」
「当り前だ!大事な我が子をコレクションに加えたりしない」
「・・・あり得そうで笑えませんね」
じとーっと女2人からの視線に耐えられなくなり、グレンは言った。
「俺は公務に戻る。マナ、マリアの世話を頼む」
「畏まりました」
そう言うとグレンは部屋から出て行った。

マリアは双子の男女の子を産むことになる。
男児はグレン似で女児はマリアそっくりの容姿をしていた。
これはまだ先の話・・・。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

johndo
2019.06.13 johndo

とってもよかったですー。
出会いは、アレだけど、お互いが思い合って幸せになっていくのに、暖かい気持ちになりました。
双子ちゃんにも恵まれたみたいだし、番外編で、二人の子育てする一幕も覗いてみたいです。
ご検討、よろしくお願いします。

2019.06.13 えりー

感想ありがとうございます!!
とても嬉しいです!
双子の番外編も考え中です。
アイデアや意見等ありましたら宜しくお願いします。

解除

あなたにおすすめの小説

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない

二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。 ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。 当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。 だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。 ――君の××××、触らせてもらえないだろうか?

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。