コレクター王と白髪娘

えりー

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後宮の終わり

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マリアの身を案じたグレンは寵愛を受けられない娘達は後宮から出て行ってもらう事にした。
周囲はグレンを止めたがグレンはそれを聞き入れなかった。
これ以上危険な行動をとる娘が現れるのがグレンは怖かった。
マリアの事になると臆病になる自分は滑稽だと思った。
後宮から出ても皆、美しい容姿をしているのですぐ縁談が決まるだろう。
ここでくすぶらせておくにはあまりにも不憫だとも思っていた。
大臣たちは自分の出世に関わるので必死に説得してくるがもう決めたことだ。
グレンは有言実行タイプなので本当に実行する。
大臣達も嫌というほどそれを見てきたので暫くすると反対意見は無くなった。
「我が王のお考えに従うしかない」
「王は一度言ったことは必ずやるお方だ」
皆口々そう言い、諦めていった。
まだマリアにはこの事を伝えていない。
きっと喜ぶだろう。
これでマリアは自由に後宮内をうろうろ出来るようになる。
彼女はじっとしておくのが苦手なようで何かにつけては外へ行きたがった。
「危険だから駄目だ」
そう言っても聞きやしない。
だから部屋の外に出るときは、必ずマナに付き添ってもらうようにしている。
それでも窮屈に感じていたらしく森や泉に連れて行くと凄く喜んだ。
後宮から女性の姿が徐々に消えていく事に違和感を覚えたマリアはマナに訊ねた。
「最近後宮の人達の姿をあまり見かけなくなったけど・・・気のせいかな?」
「いいえ、気のせいではありませんよ」
マリアはきょとんとした表情をマナに向けた。
「この話は私が話すより、グレン王から聞いたほうがいいでしょう」
「?」
「マリア様の為です。私の口からはこれしか言えません」
そう言いにっこりマナは微笑んだ。

夜になり公務と風呂を済ませたグレンが部屋に戻って来た。
髪の毛がまだ濡れていることに気が付きマリアは彼の後ろに回りタオルで髪を拭いてあげた。
「ねぇ、グレン最近後宮であまり女性の姿を見ないんだけどどうして?」
「その話か。マリアにこれ以上危害を加える女が出てきても困るから皆に後宮から出て行ってもらっている最中だ」
「え?」
「後宮は空っぽになるがもとより押し付けられた娘達だ」
「いいの?そんなことしてしまって・・・グレンの立場が悪くなったりしない?」
マリアはグレンの心配をした。
「大丈夫だ。暫く周囲はうるさかったが今では皆、納得していることだ」
「それなら良かった」
その言葉を聞きマリアは安心した。
「2人きりになってしまうのね」
「何だ、他に女がいたほうがいいのか?」
「そんなはずないじゃない」
そう言いながらマリアはグレンを後ろから抱きしめた。
「ありがとう。グレン」
グレンは短くなった髪の毛をまだ痛々しい表情で見る。
マリアの髪を撫で抱きしめ言った。
「俺はマリアだけがいれば良い。他はいらん」
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