小国の姫ですが大国へ嫁ぎます

えりー

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ルークとシン

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シンはゼンリがしたことを聞いて驚いた。
「・・・そういうわけだからあいつは先に帰らせた」
「そうですか・・・そんな事があったんですね」
シンはそう呟いた。
「ああ」
「ところでブランシュ様は?」
「体調を崩して眠っている」
「それほどショックが大きかったのでしょうね。お可哀そうに」
本当はそうじゃない。
体調も崩していない。
今、ブランシュは部屋に軟禁されている。
とはいうものの今までの生活とあまり変わらない。
あまり外に出るなから絶対外に出るなに変わっただけだった。
ブランシュは部屋で昨夜のルークの怒りを一身に受け、全身が痛かった。
今日は動けそうにない。
部屋の前には警備兵が置かれているし、窓の外にも警備兵が2人配置されている。
ブランシュはそれを見てルークから信頼を失ったような気になった。
確かに勝手に部屋を抜け出したのは良くなかったと反省している。
しかし、少々やりすぎなのではないだろうか。
はぁーと重たい溜息を付きブランシュはベッドに横になった。
するとすぐに眠気に襲われた。
昨夜は明け方まで抱き続けられていたから疲れているのだろう。
ブランシュはそのまま眠る事にした。

ブランシュは目を覚ました。
するとルークが仕事から戻ってきていた。
「ルーク様・・・お帰りなさい」
「ただいま。ブランシュ、今日は大人しくしていたか?」
「はい。ルーク様が昨夜、何度も抱かれたので動けませんでした」
プイっとそっぽを向きながらそう言うとルークがベッドへ近づいてきた。
(しまった!また怒られる)
ルークは黙ったままブランシュにキスをした。
「昨夜は無理をさせて悪かった」
「・・・いえ。私の方も悪かったです。勝手に部屋から抜け出してすみませんでした」
「しかし、嫉妬に狂って何度も気を失うまで抱いてしまって悪かったな」
「嫉妬・・・なさったんですか?」
「当り前だ。ブランシュ、昨日ゼンリが何をしようとしたか分かっているのか?」
「・・・はい」
「分かっているならいい。シンはそんな事する男ではないが男は皆、狼だ。気をつけろよ」
「それで警備兵を配置しているんですか?」
「ああ、お前に悪い虫がつかないようにしている」
(何だ・・・信用を失ったわけではなかったのか・・・良かったぁ)
「俺は明日からシンの治める土地へ行こうと思っている」
「わ、私も同行したいです」
「ははははっそう言うと思った」
「だが、その体で行けそうか?」
「はい、一晩寝れば大丈夫です」
ルークは思た通りの答えが返って来ておかしくなり吹き出した。
「馬で2日半くらいの場所だ。今回は馬車に乗ってくれ」
「王妃が乗馬していくのはまずいですか・・・」
「ああ、凄くまずい」
そう言って2人は仲直りをし、笑い合った。

翌日、城の外へ出ると立派な馬車が用意されていた。
同乗者はルークとシン、ブランシュだ。
3人は馬車に乗り込んだ。
ブランシュはシンをまじまじと見た。
あまりルークと似ていない・・・。
「私の顔に何かついていますか?ブランシュ様?」
「いいえ!すみません。じろじろ見てしまって」
「ふふふふ。構いませんよ。兄上と似ていないでしょう?」
「ええ」
ブランシュは正直に答えた。
「私は前王の妃の子なのです。腹違いの兄弟です」
「そんな話、聞いてしまってよかったんですか?」
するとシンは言った。
「この国の者は皆知っていることです」
ブランシュはルークを見た。
ルークは黙って頷いた。
「シンは気にしていないから大丈夫だ」
「はい。私は特に気にしていません」
それを聞いてブランシュは安心した。
馬車の中ではシンが統治するところの話やルミールの話をして楽しんだ。
「今日はこの辺で休むことになりそうだな」
「そうですね。もう日も暮れてきましたし」
シンはブランシュをちらりと見た。
「兄上、ブランシュ様は野営なんて初めてですよね?」
「ああ、ブランシュは大丈夫だ。・・・普通の姫とは違うんだ」
こめかみを押さえながらルークは言った。
「ルーク様、皆さんが何か始めています!見てきていいですか?」
「ああ。行って来い。だが、あまり遠くに行くなよ?」
「はい」
ブランシュはテントを張っている兵士たちを眺めている。
そして気さくに話しかけたりしていた。
「ほらな」
「・・・兄上、ブランシュ様は自由な方なんですね。私もああいう姫を初めてみました」
真剣な声でそう言われ思わずルークは笑い始めた。
「ははははは!」
「兄上は今、幸せそうですね」
「ブランシュが嫁いで来てから毎日飽きない」
「私も妃をもらうならブランシュ様みたいな姫がいいです」
「ブランシュはやらないからな」
今度はシンが笑う番だった。
「ふふふふふ。わかってます」

それからあっという間にシンの治める場所に辿り着いた。
すれ違う国民は皆シンの帰りを喜んでいた。
シンは国民に好かれているのがすぐに分かった。
空を見ると今にも雨が降りそうな空だった。
「ブランシュ、どうした?」
ぼんやり空を眺めていたのでルークに心配をかけてしまった。
「いいえ、何でもありません」
シンの城につき、馬車から降りて早速畑の視察に行くことになった。
「こちらです」
ルークは跪き土を手に取った。
「これは酷いな。土が乾いてしまっている」
次の瞬間雨が降ってきた。
慌てて大きな木の下に避難した。
だが、雨はすぐに止んでしまった。
(確かにこれでは水不足の心配するわよね・・・)
「話に聞いていた通りだな」
「はい」
「何故かすぐ止んでしまいます。井戸も水が少なくなってきていますし・・・」
「心配だな。すぐにでも工事にはいった方が良いかもしれないな」
「兄上、ありがとうございます」
2人が話している間ブランシュは口を挟まなかった。
大事な話の邪魔をしたくなかった。
「兄上今日はゆっくりしていってください」
「ああ、そうさせてもらう」
「ブランシュ様、城へ戻りますよ」
「あ、はい」
シンとルークの話が終わったようだ。
城に戻ると豪華な部屋に案内された。
「今日はこの部屋をお2人で使ってください」
「ありがとうございます」
ブランシュはシンにお礼を言った。
シンは微笑みながら部屋を後にした。
「視察って大変なんですね」
「何だ突然」
「こうやってみんなで国を守っているんですね・・・」
素直な感想を述べた。
「王の役目だからな」
「はー・・・少し疲れました」
「ははははっ、明日には帰るから今日はゆっくり休んでおけ」
「はい」
ルークも自分の城を長く空けられない。
夕食は部屋にメイドが持ってきてくれた。
ルークと2人きりで食事をとり、別々に入浴をしベッドに入った。
明日の朝は早い。
少しでも体力を回復しておかねばならない。
ルークもそれを分かっているから抱いたりはせず大人しく寝てくれた。
2人は抱き合い眠りについた。

ブランシュが目を覚ますとルークの姿がなかった。
ブランシュは急いで身支度を済ませ、ルークが部屋に戻ってくるのを待った。
本当は探しに行きたかったが行き違いになってはいけない。
ブランシュの判断は正しかった。
すぐにルークが部屋に戻ってきた。
「ブランシュ、もう支度が出来たのか?」
「はい」
「では行こうか」
「はい」
ブランシュは自分からルークの手を取った。
「どうした?」
「は、はぐれないように手をつなぎました」
「そうだな」
そう言いルークはブランシュの小さい手を握り返してきた。
それだけでブランシュは嬉しくなった。
「兄上、もう出発されるんですか?」
「ああ、向こうでやらねばならない事があるからな」
「水路の件、宜しくお願いします」
「もちろん、大急ぎで取り掛かるつもりだ」
そう言ってシンの頭をぽんぽんっと叩いた。
「兄上!もう子ども扱いしないでください!」
シンは真っ赤になりながらそう言った。
意外な一面だった。
いつも冷静な彼があんな顔をするなんて思わなかった。
「では、元気でな。また会おう」
「はい」
「シン様、また遊びに来てもいいですか?」
「ええ、歓迎しますよ」
そう挨拶してシンと別れた。
馬車が動き出した。
ルークとブランシュは帰路についた。
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