小国の姫ですが大国へ嫁ぎます

えりー

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ルークのお見舞い

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2週間安静を言い渡されたブランシュはベッドの上で大人しく寝ていた。
ブランシュはルークが帰って来てもお出迎えできないことが少し悲しかった。
戸が開く音がした。
本当なら出迎えたいところだがそれは出来ない。
「お帰りなさい。ルーク様」
「ただいま、ブランシュ」
ルークはブランシュの額にキスを落とした。
「今日も別々の部屋で眠るんですか?」
ルークは出血があって以来、隣の別室で休むようになった。
「ああ、俺はブランシュが隣で寝ているとつい手を出してしまうからな」
「少し寂しいです」
ブランシュがそう言うとルークが言った。
「安静にしておかなければいけない期間が終わったらまた一緒に眠ろう」
「・・・はい」
「隣の部屋にいるから何かあったらすぐにメイドを使って呼んでくれ」
「はい、わかりました」
ブランシュは俯きそう言った。
(本当は心細いからそばにいてほしいのにな・・・)
そう言えたらどんなにいいだろう。
せっかくルークが気を使ってくれているのでなかなかそんなこと言えない。
ブランシュは今、精神的に少し不安定になっていた。
でも、今回は安静にしていれば元の生活に戻れると言われているので、少し安心している。
16週目に入って油断していたのだろうか・・・。
そう思いながら日々は刻々と過ぎていった。
ある日ルークが大量の花を持って帰ってきた。
その花は森へ一緒に行ったときにブランシュが気に入って摘んで帰ってきた花だった。
ブランシュは驚いた。
あの花はあそこにしかないはずだ。
「ルーク様?その花は?」
「もちろん、お前への見舞いの品だ」
一輪だけとってブランシュに手渡した。
あとの花はメイドに渡し、花瓶へ活けさせた。
ブランシュはその花の匂いを嗅いだ。
花からは甘い香りがした。
「ありがとうございます」
ブランシュは花を受け取ると少し元気が出た。
ベッドのサイドテーブルの上に花瓶を置いてもらい部屋は甘い花の香りに包まれた。
「ルーク様が摘んでこられたんですか?」
「ああ、この花はブランシュのお気に入りだと知っているのは俺だけだからな」
ブランシュ微笑んで、ルークの頬にキスをした。
「ブランシュ。あまり挑発するな。これでも色々我慢している」
「?」
(一体何を我慢しているのかしら?)
ルークはブランシュの唇に濃厚なキスをした。
「んぅぅ!!」
いきなりの事だったのでブランシュは驚いた。
「こういう事を我慢している」
そう言われブランシュは真っ赤になった。
「私も色々我慢しています。一緒ですね」
「・・・我慢している内容は違うがな」
「?」
ブランシュにはルークの言った意味がよくわからなかった。
しかし、ブランシュの事で何かを我慢しているらしい。
「ルーク様。私、絶対に安静にしていますね」
「ああ。そうしてくれ。そうじゃないと俺の仕事に支障がでる」
ルークは笑いながらそう言った。
久しぶりに見るルークの笑顔だった。

翌日、ルークは凄く大きな絵画を持ってきて飾った。
風景画で川の絵が描かれている。
今にもせせらぎが聞こえてきそうな絵だった。
「これが今日の見舞いの品だ」
「今日もですか!?」
「ああ、少しでもブランシュの暇がまぎれるように今日は絵画にしてみた」
「・・・綺麗な色使いですね」
ブランシュは素直な感想を述べた。
「この川に見覚えはないか?」
「あ、この川は釣りに行った時の川ですね」
「その通りだ」
ブランシュは恐る恐る聞いてみた。
「もしかしてわざわざ描かせたんですか?」
「もちろん」
「ルーク様あまり、国のお金を無駄遣いなさらないでください」
「・・・わかった。気をつけよう」
「でも、嬉しいです!!ありがとうございます」
ブランシュは心からお礼を言った。
この川にはルークとの思い出がある。
この絵を見ながらベッドでじっとしているのも悪くないとブランシュは思った。
こうして毎日、お見舞いの品で部屋が溢れていった。
暫く何もお見舞いの品が届かなくなた。
これだけ揃えば十分だとルークが判断したのだろう。
しかしそうではなかった。
夜になりいつも通りルークが部屋にやって来た。
ルークの手にぬいぐるみが握られていた。
少し歪な形のクマのぬいぐるみだった。
ルークの手には包帯が巻かれている。
「ルーク様、その手どうなさったんですか!?」
「これは・・・そのぬいぐるみを作る時に怪我をしただけだ」
「え?」
(・・・という事はこのぬいぐるみは手作りなのかしら!?)
「このぬいぐるみもしかしてルーク様が作ったんですか!?」
「ああ、少し歪だが一応クマだ。喜んでくれるか?」
ブランシュは嬉しくてルークに飛びついた。
「ブランシュ!安静にしていろ!!動くな!!」
しかし、ブランシュは嬉しくてなかなかルークから離れようとしなかった。
ブランシュは歪なクマのぬいぐるみを抱きしめ、ルークに言った。
「ルーク様。このクマのぬいぐるみ宝物にします!」
「そんなにそれが嬉しかったのか?既製品と違って歪だぞ?」
「そんなことありません!とても良く出来ています」
ブランシュはそのぬいぐるみにポンっと名前を付けた。
安静にしている期間ブランシュはポンを手元から離さなかった。
それほど大切にしていたのだ。
しかし縫製が少し荒かったのでたまに綿が飛び出してきた。
その度ブランシュはルークには分らないように縫い直したのだった。
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