花売り娘は身代わり花嫁

えりー

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ローズの恋物語

仲直り

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ロームは昨夜力任せに抱いてしまった事を後悔した。
初めからあの部屋には入らないように言っておけばこんな事にはならなかった。
あの部屋にはいい思い出はない。
中を見るのも嫌で片付けも出来ずにいた。
だからそのままにしておいた。
メイドたちにも入るなと指示をしている部屋だった。
「ああ・・・俺はなんてことを・・・」
我に返るとローズは悪くない。
怒り任せに抱いてしまった。
きっとローズは怖かっただろう。
初めてローズに荒ぶっている自分を見せた。
今までは好かれたい一心で優しく接してきた。
しかし、昨夜はそれが出来なかった。
早く家に帰りたい。
そして謝りたい。
ローズは許してくれるだろうか。
ローズは優しい。
必ず許してくれるだろう。
(だが、俺は自分が許せない)
ロームは早めに仕事を切り上げて帰ることにした。
(ローズは今、何をしているだろうか・・・)
馬を走らせ屋敷へと向かった。
屋敷に着くとメイドたちが心配そうに見つめてきた。
「大丈夫ですか?ローム様?」
「ああ。心配をかけてすまない。ローズの様子は?」
「今日はお部屋から外に出ていません。食事も部屋でとっていました」
(ローズはまだふさぎ込んでいるのだろうか)
「そうか。ありがとう」
メイドにお礼を言うとロームは夫婦寝室へ向かった。
戸をノックし部屋へ入った。
ローズはベッドで眠っていた。
「ローズ、ただいま」
そっと彼女の頬に触れた。
ローズはゆっくりと目を開けた。
「・・・ローム様?」
そう呟くとガバっと起き上がった。
「いたっ」
「どうした?どこが痛いんだい?」
「・・・秘部が痛いの」
ロームはそう言われ余計に申し訳なさが募った。
「ほら、横になっていなさい」
「はい」
「・・・」
「・・・」
重たい沈黙が落ちた。
最初に沈黙を破ったのはロームだった。
「昨夜はすまなかったね。痛かっただろう?」
「もう・・・大丈夫・・・」
「嘘はつかなくていいよ。まだ痛むのだろう?」
「・・・」
ローズは見透かされている気分になった。
ロームはローズの手を握り、謝った。
「本当にすまない。もう二度とあんなことはしないと誓うよ」
「昨日の事は私が悪いの!許可なく部屋に入ったから・・・」
「だが、俺が最初に入るなと言っておけばよかったんだよ」
「・・・」
こんなに落ち込んでいるロームを見るのは初めてでローズはどうしたらいいのかわからなかった。
「昨夜の事をお父様が知ったらローム様に斬りかかってきそう」
ローズはわざと話題を逸らした。
「ああ、そもそも俺がローズを抱いていると知っているだけで殺されそうだ」
2人は顔を見合わせ笑い合った。
ローズの父ウィザードは娘を溺愛している。
今思うと、だからこそ自分の親友に嫁がせたのかもしれない。
そのローズを昨夜傷つけてしまった。
そんな事が知れればすぐに駆け付けるだろう。
そう思うと少し娘への溺愛が怖い気がした。
「もうあの部屋には入らないでくれ、その内心の整理が出来たら片付けるよ」
「はい」
「それともう一つ。何故、昨夜酷い目に合うとわかっていて一緒にいてくれたんだい?」
ローズは答えた。
「あのまま1人にしていたら思い詰めて苦しみそうだったから」
「でも、自分が酷い目にあったじゃないか。ローズはそれでよかったのかい?」
「良くはないけど、私たちは夫婦だから苦しい時は一緒にいるべきじゃない?」
ロームはその言葉を聞いて驚いた。
ロームはローズを抱きしめた。
「ありがとうローズ。昨夜は君のおかげで助かったよ」
「そんな大げさな・・・」
そう言いかけるとロームはローズの唇にキスをした。
「んっ、どうしたの?ローム?」
「いや、ローズには救われてばかりいるなと思って」
「?」
「結婚してくれてありがとうローズ」
「それは私のセリフよ」
「愛しているわ。ローム様」
「ああ。俺もだ」
2人は再び唇を重ね合い濃厚なキスを交わした。

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