愛し方を知らない少年

えりー

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攫われたルミ

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「いってらっしゃい・・・気をつけてね?」
「ああ、いつも気を付けている」
そう言いカズキは家から出て行った。
カズキはあの日から少しずつ変わってきた。
少しずつ優しく接してくれるようになったような気がする。
たまに狂気じみた言動はとるものの・・・。
でもそれもカズキの一部なのだろう。
ルミはカズキのすべてを受け入れると決めたのだ。
今更引き下がることは出来なかった。
その時だった窓ガラスが割れる音がした。
急いでその場から離れた。
何か危険が迫っていると本能が告げている。
家から出ると何か得体の知れない気配を感じた。
「なんだ、あいつの女か?」
「ガキがいっちょ前に女囲ってんのか」
下品な物言いの男の声がする。
声がしない方へ逃げようとするとあっさり捕まってしまった。
「いや、離して!!」
男はルミの顔を見た。
「ん?お前目が見えないのか?」
「そうよ。見えないわ」
男はルミの手を縛り、担ぎ上げた。
そして歩き出した。
「待って!どこへ行くの!?私をどうする気!?」
男は言った。
「お前を囮にしてカズキを殺す」
「俺たちの仲間がカズキに殺されたんだ」
「これは復讐だ」
ルミは暴れた。
自分がいることでカズキが危険な目に合うことを避けたかった。
「駄目よ!そんな事させないわ」
そう言うと男たちは嘲笑った。
「そんな目のお前に何ができる?」
「~っ」
確かにその通りだ。
ルミは無力だ。
今も暴れてはみたものの男はビクともしなかった。
(カズキ助けに来ないでー・・・)
そう祈りながら彼を想った。

カズキが家に帰ると家の窓ガラスが割られていて、紙が一枚置かれていた。
”お前の女は預かった。返してほしければ仲間を殺した場所まで来い”
カズキはその紙を握りつぶした。
ルミが攫われたことが腹立たしかった。
ルミは自分のもので他の誰かが触れていい存在ではないと彼は思っている。
それなのにルミを攫われてしまった。
この手紙は先日殺し損ねた連中からのものだろう。
大体の見当はついていた。
カズキは指定された場所へ急いで向かった。
(ルミ・・・無事でいろよ)
そう願いながらカズキは急いだ。
そうしてようやく約束の場所へたどり着いた。
「おい!来たぞ!!ルミを返せ!!」
カズキは冷静さを失っていた。
ルミは縛られ、地面の上に転がされていた。
「ルミ!」
カズキはルミの元へ駆け寄ろうとした。
しかしルミはこう言った。
「来ちゃダメ!!これは罠よ!逃げて!」
気がつくと周りを男たちに囲まれていた。
「ちっ」
舌打ちをし、周りにいる男たちに攻撃をしようと身をひるがえした。
次の瞬間布を切り裂く音が聞こえた。
ルミの方を見るとひとりの男がルミに覆いかぶさり襲っているのが目に入った。
布を切り裂く音はルミの服を切り裂いた音だったのだ。
「なっ・・・ルミから離れろ!!」
そう言うと男はニヤリと笑いこう言った。
「お前が大人しく殺されるんならこの女には何もしない。だが、戦う気ならこいつをここで犯す」
「やめろ!ルミは関係ないだろう!」
「関係あるさ。お前の唯一の弱点なんだからな」
「お前が動揺するなんて余程大事な女なんだろうな」
意地の悪い笑みを浮かべ取り囲む男たちは言う。
悩んだ末、カズキは短剣のたくさんついたベルトと剣を地面へ投げた。
「カズキ!!逃げて!」
「馬鹿か!お前を置いて逃げられるはずないだろう」
カズキはそう怒鳴ると目を瞑りその場に立った。
相手からの攻撃を待つ。
相手はすぐに攻撃をしてきた。
カズキは避けずに攻撃を受けた。
「かはっ」
カズキは腹部に一撃喰らった。
そして次から次へと攻撃を受けていく。
その音はルミにも聞こえていた。
「もう、私はどうなってもいいからカズキ、戦って!!」
「・・・」
カズキはルミの言葉に何も答えない。
カズキは相手が剣を振りかざしてくるのを待っていた。
カズキは短剣を隠し持っていた。
相手は自分を殺す気なのは知っていた。
だから必ずその時が来ると思っていたのだ。
カズキはその時が来たと判断し、ブーツの底に隠し持っていた短剣で相手の急所を一突きにしていく。
その速さは素早く、ルミの傍にいる男さえ気づかないものだった。
自分を取り囲む男たちを皆殺しにし、ルミを襲おうとしている男の急所も一突きした。
男はあっさり倒れた。
カズキはボロボロになっていたが、ルミが無事なことを確認すると安心した。
カズキはルミに支えられながらその場を後にした。
(やっぱり殺しは相手を逃すとろくな目に合わないな・・・殺す時はやっぱり皆殺しにしなくては)
歩きながら彼はそう思った。
そうして何とかるみを連れ無事に家へ戻ることが出来た。
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