君だけがいい

えりー

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裕介の想い

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放課後になりまた一緒に家路についた。
(今日こそは何か話さなきゃ)
真綾は口を開こうとした。
その時だった。
突然裕介が真綾に語り掛けてきた。
「真綾はさ、俺と居て楽しいのか?」
「・・・え?」
裕介は自分の頭をがしがし掻いた。
そして溜息をついた。
「話かけてもあまり返事もしないし、俺と居てつまらないんじゃないのか?」
真綾は裕介がそんな風に思っていたなんて気が付かなかった。
「ちがう・・・」
「じゃあ、どうして自分の気持ちを言わないんだ?」
「それは・・・」
(嫌われるのが怖いから・・・)
「このまま付き合うかどうかよく考えて明日返事をくれないか」
裕介はそう言うとその場から走り去っていった。
(こんな形で終わりたくない)
(裕介は知らないでしょう?)
「私を傷つけるのも、私を笑顔にさせるのも今もこれからも君だけがいい」
真綾は本音をぽつりと零した。
(裕介の中の私はきっとこんなこと言わないでしょう?)
「でも本当は言わせてほしいの」
(怖くてなかなかできないけれどもー・・・)
「この言葉を明日伝えてみたらどうなるのかしら」
(本当に伝えたいの)
真綾はその場で泣き崩れた。
(いつも後悔ばかり生まれて、涙ばかり溢れてくるの・・・)
もう1人の自分がこう言っている。
(何をしているの、そんな暇あるなら走って駆け出せって)
でも真綾にはそんな勇気は無かった。
いつの間にか自分の中にもう1人の自分を作ってしまうほど追い詰められていた。
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