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目覚めると・・・
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目覚めるとそこにはウォンの姿はなかった。
その代りにフィンの姿があった。
「大丈夫ですか?真紀様」
「少し頭がぼーっとします」
「お水を持ってきます」
フィンが無事に戻ってきてくれてよかったと心底思った。
「痛い・・・」
体中が痛くて動きたくない。
足も腕も痛い。
昨日蛇に噛まれたところは治療されていた。
きっとフィンがしてくれたのだろう。
よく見るとまだ裸だった。
急いで脱がされた着物を拾い下着も身につけた。
昨日のあの最中の記憶が途中からない。
(ああ、そうか。途中で私気を失ってしまったんだった)
部屋を見渡すとまた貢物が置いてあった。
蓋をあげてみると、また煌びやかな着物が入っていた。
なんとなく袖を通してみた。
サイズはぴったりだった。
しかし受け取る理由がない。
ウォンは友人でもなければ恋人でもないからだ。
そこに水を持ってきたフィンが立っていた。
「凄くよくお似合いですよ!」
「・・・ありがとうございます」
「着るんですよね?」
「・・・はい」
昨日嫌がらせしてきた後宮の女性たちは皆着飾っていた。
自分も着てみたくなった。
ウォンに着ているのを見られなければいいか。
それに少し借りているだけという事にしておこう。
着かたがわからなかったので着付けはフィンにしてもらった。
前回の贈り物の中に化粧品も入っていたのでそれを使って化粧もしてみた。
初めて化粧をしてみたがこうも変わるものなのかと思った。
「どうですか?おかしくありませんか?」
「はい、本当によく似合っています。仕上げに簪を指しますね」
髪を軽く結われて簪を指された。
まるで七五三の衣装のようだと感じた。
でも、幼い顔立ちの自分にはちょうどいいように感じた。
「ウォンだが入るぞ」
タイミング悪くウォンが部屋に入ってきた。
「あの、これは・・・」
言い訳をしようとしたが思いつかなかった。
ウォンは嬉しそうな表情を浮かべている。
(そんな顔で見ないで欲しい・・・)
「俺の見立ては間違いじゃなかったな。前回は側近に選ばせてきたが今回は俺が選んできたんだ」
「そう・・・なんだ」
「何で急に受け取る気になった?」
「借りているだけよ!!昨日後宮の女性たちを見たの。皆、着飾っていて自分だけがみすぼらしかったのが嫌だったのよ」
正直に話した。
するとウォンが言った。
「その指の怪我は誰に負わされた?」
「これは・・・蛇に噛まれたの」
「蛇?」
そこでフィンが説明の為に口をはさんだ。
「寵愛を妬んだ女性が真紀様の足元に蛇を投げたんです。幸い毒蛇ではありませんでした」
「それで何で指を噛まれているんだ?」
「真紀様が蛇を投げ返したんです。その時に噛まれたんです」
その話を聞いたウォンは笑った。
「はははは、真紀。なかなかやるな」
「それはどうも・・・」
(そんなに笑わなくたっていいのに・・・)
「あと、この着物本当に借りているだけだからね!受け取ったわけじゃないから!!」
「そんなことどうでもいい。美しく装ったお前が見れただけでも満足だ」
部屋から出るようフィンに合図を送った。
フィンは黙って退出した。
「ただ紅が少し濃いな」
そう言い真紀に優しくキスをした。
そうして自分の唇に紅を移した。
(うっ、色っぽい・・・)
一瞬、真紀はときめいてしまった。
「もう・・・昨日の事怒っていないの?」
にこやかに微笑みながらウォンは言った。
「怒っているに決まっているだろう?」
「もう勝手なことしないから許してくれない?」
「帰るときは声をかけてから帰るから」
その言葉にピクリとウォンは反応した。
「帰さないと言っているだろう?」
ウォンに微笑を絶やさず凄まれた。
少し怖かったが昨日ほどの恐れはなかったがやはり怖いものは怖い。
「二度と帰ろうとなんてするなよ?わかったな?」
「・・・う・・・ん」
こうして2人は一応仲直りをした。
その代りにフィンの姿があった。
「大丈夫ですか?真紀様」
「少し頭がぼーっとします」
「お水を持ってきます」
フィンが無事に戻ってきてくれてよかったと心底思った。
「痛い・・・」
体中が痛くて動きたくない。
足も腕も痛い。
昨日蛇に噛まれたところは治療されていた。
きっとフィンがしてくれたのだろう。
よく見るとまだ裸だった。
急いで脱がされた着物を拾い下着も身につけた。
昨日のあの最中の記憶が途中からない。
(ああ、そうか。途中で私気を失ってしまったんだった)
部屋を見渡すとまた貢物が置いてあった。
蓋をあげてみると、また煌びやかな着物が入っていた。
なんとなく袖を通してみた。
サイズはぴったりだった。
しかし受け取る理由がない。
ウォンは友人でもなければ恋人でもないからだ。
そこに水を持ってきたフィンが立っていた。
「凄くよくお似合いですよ!」
「・・・ありがとうございます」
「着るんですよね?」
「・・・はい」
昨日嫌がらせしてきた後宮の女性たちは皆着飾っていた。
自分も着てみたくなった。
ウォンに着ているのを見られなければいいか。
それに少し借りているだけという事にしておこう。
着かたがわからなかったので着付けはフィンにしてもらった。
前回の贈り物の中に化粧品も入っていたのでそれを使って化粧もしてみた。
初めて化粧をしてみたがこうも変わるものなのかと思った。
「どうですか?おかしくありませんか?」
「はい、本当によく似合っています。仕上げに簪を指しますね」
髪を軽く結われて簪を指された。
まるで七五三の衣装のようだと感じた。
でも、幼い顔立ちの自分にはちょうどいいように感じた。
「ウォンだが入るぞ」
タイミング悪くウォンが部屋に入ってきた。
「あの、これは・・・」
言い訳をしようとしたが思いつかなかった。
ウォンは嬉しそうな表情を浮かべている。
(そんな顔で見ないで欲しい・・・)
「俺の見立ては間違いじゃなかったな。前回は側近に選ばせてきたが今回は俺が選んできたんだ」
「そう・・・なんだ」
「何で急に受け取る気になった?」
「借りているだけよ!!昨日後宮の女性たちを見たの。皆、着飾っていて自分だけがみすぼらしかったのが嫌だったのよ」
正直に話した。
するとウォンが言った。
「その指の怪我は誰に負わされた?」
「これは・・・蛇に噛まれたの」
「蛇?」
そこでフィンが説明の為に口をはさんだ。
「寵愛を妬んだ女性が真紀様の足元に蛇を投げたんです。幸い毒蛇ではありませんでした」
「それで何で指を噛まれているんだ?」
「真紀様が蛇を投げ返したんです。その時に噛まれたんです」
その話を聞いたウォンは笑った。
「はははは、真紀。なかなかやるな」
「それはどうも・・・」
(そんなに笑わなくたっていいのに・・・)
「あと、この着物本当に借りているだけだからね!受け取ったわけじゃないから!!」
「そんなことどうでもいい。美しく装ったお前が見れただけでも満足だ」
部屋から出るようフィンに合図を送った。
フィンは黙って退出した。
「ただ紅が少し濃いな」
そう言い真紀に優しくキスをした。
そうして自分の唇に紅を移した。
(うっ、色っぽい・・・)
一瞬、真紀はときめいてしまった。
「もう・・・昨日の事怒っていないの?」
にこやかに微笑みながらウォンは言った。
「怒っているに決まっているだろう?」
「もう勝手なことしないから許してくれない?」
「帰るときは声をかけてから帰るから」
その言葉にピクリとウォンは反応した。
「帰さないと言っているだろう?」
ウォンに微笑を絶やさず凄まれた。
少し怖かったが昨日ほどの恐れはなかったがやはり怖いものは怖い。
「二度と帰ろうとなんてするなよ?わかったな?」
「・・・う・・・ん」
こうして2人は一応仲直りをした。
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