うちのお風呂と異世界が繋がっています

えりー

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ウォン2

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その日は、少しウォンの帰りが遅かった。
王の仕事は何をしているのかは分からないけれども大変なんだろうなと思った。
真紀は入浴を済ませ、先に眠る事にした。
うつらうつらしているとウォンは帰ってきた。
真紀は眠たくて寝たふりをすることにした。
「真紀。もう眠ったのか?」
ベッドに腰かけ真紀の髪を梳いていく。
「俺の気持ちも知らないで・・・そんなに無防備にするなよ」
そう言うと優しくキスをしてきた。
徐々にキスが深くなる。
「んぅ・・・んん!!」
(窒息するわ!!)
真紀は目を開け、せき込んだ。
「やっぱり起きていたか。俺を避けているのか?」
「いいえ、避けていないけど眠たかったから・・・」
「俺も眠たい。今日は古狸どもの相手をしていて疲れた」
(古狸?)
「どうしたら俺を好きになってくれる?」
そう言い真紀の肩に額を当てた。
「私は・・・ウォンの事全然知らない。少しずつ知っていけば好きになれるかもしれない」
「では、明日から俺の仕事場に一緒に来てもらおうか。側近のランファに話しを通しておく」
「・・・わかった」
「今日は抱かないから抱きしめて眠ってもいいか?」
今日は本当に疲れているようだった。
「何もしない?」
「ああ、何もしないと誓う」
「そ、それならいいけど」
そう言うと上着だけを脱いでベッドに入ってきた。
そうして真紀を抱きしめた。
すぐに寝息が聞こえてきた。
自然に抱き合う形になった。
何故かドキドキして眠れない真紀は自分から初めてウォンに触れてみた。
さらさらの髪。
滑らかな頬の感触。
やわらかな唇。
(綺麗な顔・・・)
この男が自分の事を好きになって欲しいという。
真紀は思った。
(私じゃ正妃なんて無理よ。何の知識もないもの)
それよりもどうしてウォンは私に入れ込んでしまったのだろうか。
きっと初めはただの好奇心からくるものだったはずだ。
しかし、今では真剣に求められているし、大事にされている気がする。
(怒らせたときは別だが)
真紀は一応約束させられたが帰ることが可能なら帰るつもりでいる。
まだ諦めてはいない。
翌朝、目を覚ますと足枷がとられていた。
ようやく自由になったように感じた。
しかし今日からウォンを知るために彼の仕事場まで一緒に行き何をしているのか見なくてはならない。
ウォンの側近のランファという男に紹介された。
ランファは跪き、真紀に挨拶をした。
「私はウォン様の側近をしております。ランファという者です」
「私は、真紀です。宜しくお願いします」
あまりにも畏まられすぎて真紀は一歩引いてしまった。
後ろにいたウォンにドンとぶつかってしまった。
「今日の仕事はどうなっている?」
「本日は書類の整理が主です」
「はー・・・一番苦手な作業だ。せっかく良い所を真紀に見せようと思ったのに」
「その後は剣技の稽古をしていただきます」
「それだけか?」
「はい、以上が本日の予定になっています」
(2人ともてきぱきとしていてすごいなぁ)
「ランファさんてきぱき指示なさっていてすごいですね」
ウォンは、真紀を睨んだ。
「お前は俺だけを見ていれば良いんだよ」
「ご、ゴメン」
「ふっ、ウォン様嫉妬なさっているんですか?」
ウォンは耳まで真っ赤にして怒った。
「うるさい!今日は真紀に見せる為に連れてきたんだ」
「はいはい。からかって悪かったです」
この2人は仲がいいのだろう。
まるで兄弟のようだ。
「ふふふふ」
「何がおかしい」
「2人とも仲が良いなと思って」
「ああ、こいつは俺の腹違いの弟だからな」
そんな事は初耳だ。
「本当なんですか?ランファさん」
「ええ。私は身分の低い母から生まれたので王位継承権がないのです」
「それで補佐を?」
「はい。こんな我儘な兄を支えられるのは私位な者でしょうしね」
確かにいいあしらい方をしている。
ランファさんが書斎の扉を開くと机の上にたくさんの書類の山が出来ていた。
「はー・・・」
ウォンはまた溜息を付いた。
「これは凄い」
今からこの書類全てにサインしていくらしい。
「時間がかかりますからこちらの椅子におかけください」
そう言い、ランファは椅子を用意してくれた。
仕事中のウォンは凛とし格好良く見えた。
書類作業は長時間続いた。
暫く見ていると段々眠たくなってきた。
うとうとしているとウォンに叱られた。
「おい。眠るなよ・・・」
「あははは、ゴメン」
「真紀様、眠気覚ましのお茶です」
「あ、ありがとうございます」
お茶を飲み少し眠気は取れた。

次は剣技の稽古らしい。
戦王と呼ばれるほどだきっと相当の腕前なのだろう。
何人もの兵士に囲まれているウォンをはらはらしながら見ていると、ランファが言った。
「大丈夫ですよ。ウォン様は強いです」
ウォンは木で出来た剣を構えた。
ウォンは1人1人倒していく。
その姿は優雅に戦っていた。
綺麗な身のこなし。
無駄のない動き。
しっかりした剣の扱い方。
思わず真紀はときめいてしまった。
「本当に強かったんですね」
隣にいるランファにそう声をかけた。
「ええ。いつものウォン様からでは考えられないでしょう?」
「はい、今日はたくさんウォン様の事を知れた気がします」
「それは良かったです。ところで真紀様はウォン様の事どう思っているんですか?」
「え?わかりません・・・」
嘘ではない。
自分の気持ちを知るためにこうしてウォンについて行動している。
「ウォンは・・・本気で私の事が好きなんでしょうか?」
「それは安心していいと思います。ウォン様は本気だと思います」
それを聞いて嬉しく感じてしまう自分がいることを自覚した真紀だった。

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