うちのお風呂と異世界が繋がっています

えりー

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ウォンの焦り

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真紀はだいぶこの世界の文字が読めるようになってきた。
元々漢字に近い文字だったので読みやすかったおかげでもある。
意味もそんなに変わらない。
ただ漢文に近くて漢字のみで書かれていて初めは読みづらかった。
毎晩寝る前に復習を一緒にウォンがやってくれた。
おかげで読み書きの上達も早かった。
でも最近のウォンは少し怖い。
何か少し焦っているような感じがする。
夜は何度も抱いてくる。
前は1日1回くらいだったのに今では2回は当たり前になっている。
何がそんなに彼を追い立てているのだろう。
真紀は思った。
真紀は基本的にはあまり部屋から出ることを許されていない。
もう鉄格子はないが、ウォンが異様に心配する。
ウォンはいつも優しいが、優しいだけではない。
時には感情のままに真紀を抱くこともある。
その時の彼は何か切羽詰まっているようにも見える。
(ウォンに聞いてみよう)
そう思い書斎へ向かった。
廊下を歩いていると前から大臣みたいな人がやって来るのが見えた。
授業で習ったように端によけ、軽く会釈した。
すると、その男は立ち止まり真紀に声をかけてきた。
「お前が今の寵姫か」
「・・・はい」
(寵姫って何だろう。でも一応話を合わせておこう)
「はっ、まだ幼い娘じゃないか。こんな娘に入れ込んでいるのか。我が王は」
「・・・」
(何この人・・・嫌な人)
「自分の王に対する侮辱にも聞こえますよ?」
頭に来たのでつい言い返してしまった。
「私の事は何とでも言って頂いて結構ですけどウォン様の事を悪く言うのはやめてください」
「この・・・小娘が!子も孕めないくせに」
「!!」
そこにランファが現れた。
「今の話、一部始終聞かせてもらいました。大臣の座にまだ就いておきたいなら王を愚弄しないことですね」
「~っ!・・・王の犬め!」
「ええ、私はそれで満足しています」
大臣は悔しそうな顔をして去って行った。
「大丈夫ですか?酷い事を言われましたね」
「いいえ・・・本当の事ですから」
へたりとその場に座り込んでしまった。
するとウォンがやって来て言った。
「何故、この時間にここに真紀がいる?」
「あ、あの。ウォンに用事があったの」
「俺に?」
「それより今騒がしかったが何かあったのか?」
「はい、大臣様が・・・」
ランファが言おうとした言葉を真紀が遮った。
「何でもないの、ちょっと躓いて転んでしまったの」
「・・・」
その言葉を信じるほどウォンは馬鹿ではない。
「ランファ、少し席を外す」
「はい」
ウォンはへたり込んでいる真紀を立たせて、手を引き歩き始めた。
ウォンの手の力は強かった。
連れて来られた場所は後宮の庭だった。
様々な花が咲き乱れていて美しかった。
長椅子に2人は腰かけた。
「さっきの話本当は俺にも聞こえていた。真紀、さぞ不快だっただろう」
「うん」
「王宮の古狸たちは皆あんな感じだ。覚えておけ」
「うん、わかった」
(子も孕めないくせに・・・か)
確かにまだ子供は出来ていない。
しかし、それは焦っても仕方のないことだ。
(・・・ああ、そうか。これがウォンの焦りの原因なのか。私の為に・・・)
「早く子供を作りたいのは私の為でもあったのね」
「・・・そうだ。だが、それはお前に知られたくなかった」
「どうして?」
「傷つくかもしれないだろう?」
(確かにさっきの大臣の言葉は心に刺さった)
「・・・」
「・・・」
重たい沈黙が落ちる。
「わかったわ、子供を作りましょう」
「いいのか?お前あんなに怯えていたのに・・・」
「うん。もう踏ん切りがついた」
(私のせいでウォンが悪く言われるのは嫌だ)
真紀は覚悟を決めた。
「2人で古狸たちを見返しましょう」
「はははは、お前は本当に強いな。俺の母も真紀のように強ければよかったのにな」
真紀は無意識のうちにウォンを抱きしめていた。
「真紀?」
「私は弱くないわ。安心して?」
「ああ、それは心強いな」
そう言い2人は微笑みあいキスを交わし合った。

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