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変らぬ世界
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目覚めるとそこは・・・異世界のままだった。
高い天井、朱色の柱、四面に描かれた美しい絵画。
「はぁー・・・」
美乃梨は溜息をつきながらバフッとまた枕に頭を埋めた。
「思い出したい」
(・・・けど思い出したら抱かれてしまう)
「あの言葉は本気なのかな?」
自分で言うのもあれだけど自分に異性を虜にするようなものは何1つないはず。
それなのにこの5年間体を狙われ続けてきた。
いつも守ってくれていた。
それは責任からのものだったのだろうか・・・。
(花嫁の印か・・・)
美乃梨には心当たりがあった。
美乃梨の背中には金の鱗ような痣があった。
あの痣のせいでもし狙われていたのならと思うと少し怖い。
結果的にはいつも助けてくれていたが、本当にあと一歩のところで処女喪失するような出来事もあった。
助けてくれていた事には感謝はするが・・・。
色々複雑な心境になる。
あんまり考えることになれていない美乃梨は頭を抱え唸り始めた。
その時だった。
トントンっと部屋の戸をノックする音がした。
「あ、はい」
「お目覚めですか?お食事のご用意をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
そういえば食事は部屋に運ぶって竜王が言っていた。
その事を思い出し慌てて返事をした。
「はい!お願いします」
「それではお部屋にお運びいたしますね」
料理は中華料理のようなものだった。
しかも、量が多い。
「あの・・・私、1人分にしては多いのでは・・・?」
「竜王様もこちらでお召し上がりになるそうです」
(あ、1人ぶんじゃないのね。良かった・・・じゃない!!なにも良くない)
「竜王・・・さまってどんな方ですか?」
「あら、私より美乃梨様の方がお詳しいはずですわ」
くすくす笑いながら召使は去って行った。
「・・・えー・・・?」
美乃梨は思わず首を傾げた。
暫くすると竜王が姿を現した。
「どうした?食べないのか?毒見は済んでるぞ」
朝から何も食べていないので匂いに誘われてお腹が鳴った。
竜王はくっと笑いをかみ殺している。
恥ずかしかったので美乃梨は竜王に八つ当たりをした。
「どうして一緒に食べなきゃいけないの?」
「俺がそうしたいからだ」
「そう」
美乃梨が冷たい声音でそう言うと竜王は言った。
「ここは俺達の部屋だしな」
「え?」
「夫婦が同じ部屋なのは当り前だろう?」
竜王は意地悪く笑った。
その顔があまりにも美しかったので美乃梨の反論は遅れた。
「・・・まだ夫婦じゃない!」
「床を共にするくらいいいじゃないか」
「良くない!!」
思わず勢いよく席を立った。
「・・・竜王には”花嫁の印”の効果は効かないの?」
「いや。効いている。今にも襲い掛かりそうだ」
そんな事を平気で言ってきた。
美乃梨はぞっとした。
「冗談だ。自制心で何とかなる」
「そんな事信用できるはずないでしょう?」
半ば呆れ気味で美乃梨が反論すると竜王は言った。
「昔の方が素直だったな」
「え?」
「お前の方から俺の布団に潜り込んできたんだぞ?」
(そんな事覚えていない・・・)
「お前がいつここに戻って来てもいいようにこの世界の時を止めて待っていたんだ」
(懐かしいと感じるのはそのせいか・・・)
「美乃梨、せっかくの料理が冷める」
「あ、うん」
「話は後でしよう」
そう言い無言で食事が行われた。
高い天井、朱色の柱、四面に描かれた美しい絵画。
「はぁー・・・」
美乃梨は溜息をつきながらバフッとまた枕に頭を埋めた。
「思い出したい」
(・・・けど思い出したら抱かれてしまう)
「あの言葉は本気なのかな?」
自分で言うのもあれだけど自分に異性を虜にするようなものは何1つないはず。
それなのにこの5年間体を狙われ続けてきた。
いつも守ってくれていた。
それは責任からのものだったのだろうか・・・。
(花嫁の印か・・・)
美乃梨には心当たりがあった。
美乃梨の背中には金の鱗ような痣があった。
あの痣のせいでもし狙われていたのならと思うと少し怖い。
結果的にはいつも助けてくれていたが、本当にあと一歩のところで処女喪失するような出来事もあった。
助けてくれていた事には感謝はするが・・・。
色々複雑な心境になる。
あんまり考えることになれていない美乃梨は頭を抱え唸り始めた。
その時だった。
トントンっと部屋の戸をノックする音がした。
「あ、はい」
「お目覚めですか?お食事のご用意をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
そういえば食事は部屋に運ぶって竜王が言っていた。
その事を思い出し慌てて返事をした。
「はい!お願いします」
「それではお部屋にお運びいたしますね」
料理は中華料理のようなものだった。
しかも、量が多い。
「あの・・・私、1人分にしては多いのでは・・・?」
「竜王様もこちらでお召し上がりになるそうです」
(あ、1人ぶんじゃないのね。良かった・・・じゃない!!なにも良くない)
「竜王・・・さまってどんな方ですか?」
「あら、私より美乃梨様の方がお詳しいはずですわ」
くすくす笑いながら召使は去って行った。
「・・・えー・・・?」
美乃梨は思わず首を傾げた。
暫くすると竜王が姿を現した。
「どうした?食べないのか?毒見は済んでるぞ」
朝から何も食べていないので匂いに誘われてお腹が鳴った。
竜王はくっと笑いをかみ殺している。
恥ずかしかったので美乃梨は竜王に八つ当たりをした。
「どうして一緒に食べなきゃいけないの?」
「俺がそうしたいからだ」
「そう」
美乃梨が冷たい声音でそう言うと竜王は言った。
「ここは俺達の部屋だしな」
「え?」
「夫婦が同じ部屋なのは当り前だろう?」
竜王は意地悪く笑った。
その顔があまりにも美しかったので美乃梨の反論は遅れた。
「・・・まだ夫婦じゃない!」
「床を共にするくらいいいじゃないか」
「良くない!!」
思わず勢いよく席を立った。
「・・・竜王には”花嫁の印”の効果は効かないの?」
「いや。効いている。今にも襲い掛かりそうだ」
そんな事を平気で言ってきた。
美乃梨はぞっとした。
「冗談だ。自制心で何とかなる」
「そんな事信用できるはずないでしょう?」
半ば呆れ気味で美乃梨が反論すると竜王は言った。
「昔の方が素直だったな」
「え?」
「お前の方から俺の布団に潜り込んできたんだぞ?」
(そんな事覚えていない・・・)
「お前がいつここに戻って来てもいいようにこの世界の時を止めて待っていたんだ」
(懐かしいと感じるのはそのせいか・・・)
「美乃梨、せっかくの料理が冷める」
「あ、うん」
「話は後でしよう」
そう言い無言で食事が行われた。
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