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狗飼
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放課後、狗飼は授業全てサボった有希のところに彼女のカバンをもって保健室に現れた。
有希は眠っていた。頭がパンク状態で考えることを体全体が放棄したように深い眠りの中にいた。
狗飼は眠る有希の唇にキスをした。
「う、ん・・・」
それでも起きる気配はなかった。
狗飼はそれをいいことに有希の手や額、頬などにもキスをしていった。
「ずっと触れたかったんだ・・・やっぱり、思った通り柔らかい・・・」
うっとりとした表情で有希の手を取り自分の頬にあてた。
「こら、こんなところで発情するんじゃない」
「功様!!」
ぽこんと丸めた書類で頭をたたかれてしまった。
功様は神出鬼没。
「・・・山から下りてきてよかった。何?襲う気だったのか?」
「ち、違います!!つい出来心で・・・」
二人がそんなやり取りをしていると有希が目を覚ました。
「う・・・ん・・・」
目を覚ますと例の二人が何か言い合っていた。
(夢じゃなかったのね)
「有希。ほら、お前のカバン。一緒に帰ろう。もう外が暗くなる」
そう言われ、カーテンを開けて外を見ると外が暗くなり始めていた。
「大変、早く帰らなくっちゃ」
「急がなくても大丈夫。俺も一緒に帰るから・・・怖がらなくてもいいぞ」
「!!」
「どうして私がくらいの駄目なの知ってるの!?」
狗飼は人差し指を自分の唇に当ててこういった。
「まだ、言わない。自分で思い出すんだな」
そういわれ山神様の方を見ると複雑そうに微笑んでいた。
二人ともまだ教える気がないらしい。
(それならそれでいいわ)
頭ではそう思っても有希は気になった。
何か引っかかる・・・。
「功様、ありがとうございます。今日、学校生活楽しかったです」
「そうか、それは良かったな」
「それに有希とも話せるようになったし」
そう言いながら狗飼は有希の方をじっと見つめた。
狗飼は有希の手を取り帰ることを促した。
「ちょ、手、離して」
「功様、明日もよろしくお願いします」
狗飼は山神に挨拶すると、有希を連れて保健室を後にした。
ぐいぐい引っ張られ薄暗くなった校舎内を二人で歩いていく。
(確かに暗いのは怖いけどこんな状態他の人に見られたら噂になっちゃう)
「このくらいの暗さなら大丈夫だから手を離して」
「そうなのか」
そう納得すると狗飼は手を離してくれた。
「狗飼・・・君はどうして私に執着しているの?学校生活送りたいだけなら私はいらないでしょう?」
「有希がいなきゃ意味がないんだ」
清々しいほどあっさり言われた。
有希の顔が真っ赤になった。
(私がいなきゃ意味がない?それってどういうことなの?)
まるで愛の告白をするかのような真剣な瞳で見据えられ有希は言葉を失った。
「まだ思い出さないか?」
「え?だから何を?」
「色々。主に俺のこと」
また謎かけのような言葉だ。わからない。何のことを言われているのかさっぱりだ。
「まぁ、少しづつでもおもいだしてよ」
そう言いながら有希に再びキスしようとした。
有希はカバンでガードして逃げた。
靴箱まで猛ダッシュした。
「捕まえた」
ふわりと後ろから抱きしめられた。
「もう、何でそんなにスキンシップ過剰なの!?」
「過剰か?人間の姿は不便だな。犬の時は普通だったのに」
狗飼はつぶやいた
「え?何か言った?」
「・・・いや、何でもない」
(それよりもう家についたんだけど何で上がろうとしているの?)
「まさか・・・」
「ただいま」
そう言って狗飼は家の中に入っていった。
「おお、遅かったな二人とも」
「お帰り、狗飼君と有希」
父と母にまで暗示がかかっていた。
どうやら親せきで一緒に暮らしているという設定らしい。
学校でも家でも気が休まりそうにない・・・。
私の平穏な日常は一体どこへ行ってしまったんだろうか・・・?
有希は眠っていた。頭がパンク状態で考えることを体全体が放棄したように深い眠りの中にいた。
狗飼は眠る有希の唇にキスをした。
「う、ん・・・」
それでも起きる気配はなかった。
狗飼はそれをいいことに有希の手や額、頬などにもキスをしていった。
「ずっと触れたかったんだ・・・やっぱり、思った通り柔らかい・・・」
うっとりとした表情で有希の手を取り自分の頬にあてた。
「こら、こんなところで発情するんじゃない」
「功様!!」
ぽこんと丸めた書類で頭をたたかれてしまった。
功様は神出鬼没。
「・・・山から下りてきてよかった。何?襲う気だったのか?」
「ち、違います!!つい出来心で・・・」
二人がそんなやり取りをしていると有希が目を覚ました。
「う・・・ん・・・」
目を覚ますと例の二人が何か言い合っていた。
(夢じゃなかったのね)
「有希。ほら、お前のカバン。一緒に帰ろう。もう外が暗くなる」
そう言われ、カーテンを開けて外を見ると外が暗くなり始めていた。
「大変、早く帰らなくっちゃ」
「急がなくても大丈夫。俺も一緒に帰るから・・・怖がらなくてもいいぞ」
「!!」
「どうして私がくらいの駄目なの知ってるの!?」
狗飼は人差し指を自分の唇に当ててこういった。
「まだ、言わない。自分で思い出すんだな」
そういわれ山神様の方を見ると複雑そうに微笑んでいた。
二人ともまだ教える気がないらしい。
(それならそれでいいわ)
頭ではそう思っても有希は気になった。
何か引っかかる・・・。
「功様、ありがとうございます。今日、学校生活楽しかったです」
「そうか、それは良かったな」
「それに有希とも話せるようになったし」
そう言いながら狗飼は有希の方をじっと見つめた。
狗飼は有希の手を取り帰ることを促した。
「ちょ、手、離して」
「功様、明日もよろしくお願いします」
狗飼は山神に挨拶すると、有希を連れて保健室を後にした。
ぐいぐい引っ張られ薄暗くなった校舎内を二人で歩いていく。
(確かに暗いのは怖いけどこんな状態他の人に見られたら噂になっちゃう)
「このくらいの暗さなら大丈夫だから手を離して」
「そうなのか」
そう納得すると狗飼は手を離してくれた。
「狗飼・・・君はどうして私に執着しているの?学校生活送りたいだけなら私はいらないでしょう?」
「有希がいなきゃ意味がないんだ」
清々しいほどあっさり言われた。
有希の顔が真っ赤になった。
(私がいなきゃ意味がない?それってどういうことなの?)
まるで愛の告白をするかのような真剣な瞳で見据えられ有希は言葉を失った。
「まだ思い出さないか?」
「え?だから何を?」
「色々。主に俺のこと」
また謎かけのような言葉だ。わからない。何のことを言われているのかさっぱりだ。
「まぁ、少しづつでもおもいだしてよ」
そう言いながら有希に再びキスしようとした。
有希はカバンでガードして逃げた。
靴箱まで猛ダッシュした。
「捕まえた」
ふわりと後ろから抱きしめられた。
「もう、何でそんなにスキンシップ過剰なの!?」
「過剰か?人間の姿は不便だな。犬の時は普通だったのに」
狗飼はつぶやいた
「え?何か言った?」
「・・・いや、何でもない」
(それよりもう家についたんだけど何で上がろうとしているの?)
「まさか・・・」
「ただいま」
そう言って狗飼は家の中に入っていった。
「おお、遅かったな二人とも」
「お帰り、狗飼君と有希」
父と母にまで暗示がかかっていた。
どうやら親せきで一緒に暮らしているという設定らしい。
学校でも家でも気が休まりそうにない・・・。
私の平穏な日常は一体どこへ行ってしまったんだろうか・・・?
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